JP2011253915A - シリコンウェーハ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】主表面、主裏面及びエッジ部からなるシリコンウェーハであって、少なくとも前記シリコンウェーハの主面にあるデバイス作製領域以外に、脆性延性遷移温度が室温以下の金属からなる補強膜が形成されることで破壊強度が高められたものであるシリコンウェーハ。
【選択図】図1
Description
脆性材料は、ある温度以下の引張り試験や曲げ試験において、荷重増に伴い、歪みが比例して増える弾性変形領域の間に破損してしまうところに特長がある。ここでいう、弾性変形領域とは、荷重を取り除いた後、元の形状に復帰できる変形範囲のことである。これに対し、延性材料は、この弾性変形領域を過ぎても破損せず、荷重をかけ続けることでさらに材料は変形するが、この間生じた変形は荷重を取り除いても元の形状に復帰しない。この変形様式を塑性変形といい、延性材料は、この塑性変形がある程度進んだ後に破損する。一般に、塑性変形は弾性変形領域を越えて変形するために、転位を発生し、その応力を緩和する。そのため、破壊せずに変形が進むが、その発生した転位による永久歪みが残存する。
このように、補強膜が、シリコンウェーハの主裏面全面、及び/又は、エッジ部を含む表裏の周縁部に形成されたものであれば、装置等との接触が多く、衝撃を受けやすい領域や、脆い部分を補強膜で保護できるため、傷等がより効果的に防止されるシリコンウェーハとなる。
このように、補強膜が、シリコンウェーハのエッジ部周端から中心方向に20mm以内の範囲の表裏の周縁部に形成されたものであれば、シリコンウェーハ全体の強度を十分に高めるとともに、特に傷が生じやすい領域を補強膜で保護することができるため、より効率的に傷等が防止されるシリコンウェーハとなる。
このように、補強膜が、タンタル、チタン、ニオブ及びバナジウムのうち少なくとも一つからなるものであれば、シリコンウェーハの破壊強度を効果的に高めるために補強でき、さらに高温時等にもシリコンウェーハへの補強膜からの金属の拡散がほとんどないため、取扱い容易で、より高品質なシリコンウェーハとなる。
例えば、高分子化合物のゴム、プラスチック等は、衝撃緩衝材としての特性は優れているが、シリコンウェーハに対する汚染物質となりうる可能性が高く、特に高温ではシリコンウェーハ内部に拡散したり、強度的性質を変えたりすることで、悪影響が発現することが考えられる。
図1−3は、本発明のシリコンウェーハの実施態様の例を示す概略図である。
このように作製されたシリコンウェーハ10は、後工程でデバイスが作製される主面である主表面12、主裏面13を有し、その外縁には、面取り加工により、例えば、ウェーハ表面側の主表面12に続くテーパ面、最外周面、ウェーハ裏面側のテーパ面を経て裏面側の主裏面13に達するラウンド形状のエッジ部14を有する。
このような範囲は、装置等の接触が多く、また、特にエッジ部は他に比べて脆い部分であるため、本発明の補強膜を形成することで、傷等をより効果的に防止することができる。
上記範囲の周縁部に補強膜を形成すれば、特に脆いエッジ部の強度を確実に向上させるとともに、補強膜形成の効率も良いため、高品質で、低コストなシリコンウェーハとすることができる。また、補強膜11の形成領域が、シリコンウェーハ10のエッジ部14周端から20mm以内の範囲であれば、補強膜形成領域をデバイス作製領域より外側にすることができる。特に、シリコンウェーハ10のエッジ部14周端から10mm以内の範囲に補強膜11を形成することにより、エッジ部14の強度を向上させ、補強膜形成領域を確実にデバイス作製領域より外側にすることができるので、より好ましい。また、図3に示すように、シリコンウェーハ10の周縁部に加え、主裏面13全体に補強膜11’’を形成すれば、エッジ部14のみならずシリコンウェーハ10全体の強度を向上させることができる。
上記の金属は、緩衝材として十分な延性を示し、かつデバイス作製の際の熱処理時にもシリコンウェーハ内への拡散も少ないため、本発明の補強膜の材質として、より好適である。例えば、タンタル等に比べて比較的拡散が速いチタンは、低温プロセスで用いることが好ましい。また、補強膜11、11’、11’’の材質としては、上記以外の金属でも、例えば、通常の純度ではクロムは室温で脆性材料であるが、これを合金化することでBDTTを室温にして用いることもできる。
(実施例)
CZ法により、直径12インチ(300mm)、初期酸素濃度14ppma(JEIDA:日本電子工業振興協会による換算係数を使用)、方位<100>の結晶棒を、通常の引き上げ速度(0.8mm/min)で引き上げた。この結晶棒を加工してシリコンウェーハを作製した。このウェーハのエッジ部周端から中心方向に10mm程の範囲の表裏の周縁部に、タンタルをCVD(Chemical Vapor Deposition)法で堆積して、図1に示すようなシリコンウェーハとした。
また、作製したウェーハにドライ酸素雰囲気で、1000℃、20分の熱処理を行い、ウェーハライフタイムを測定した。その結果、タンタル(補強膜)を堆積していないウェーハを熱処理した場合と同程度となり、本発明の補強膜を形成した状態でデバイス作製熱処理等を行っても、汚染の問題がないことが確認できた。
CZ法により、直径12インチ(300mm)、初期酸素濃度14ppma(JEIDA:日本電子工業振興協会による換算係数を使用)、方位<100>の結晶棒を、通常の引き上げ速度(0.8mm/min)で引き上げた。この結晶棒を加工してシリコンウェーハとした。
このシリコンウェーハについて、補強膜を形成しないでそのままの状態で、特開2006−287139号公報に開示されている方法で機械的強度測定を行ったところ、破壊強度は50kgとなった。
実施例と比較例で測定された破壊強度値で比較すると、実施例は比較例に対し明らかに大きく、大幅な破壊強度の上昇を示したことがわかる。
12…主表面、 13…主裏面、 14…エッジ部。
Claims (4)
- 主表面、主裏面及びエッジ部からなるシリコンウェーハであって、少なくとも前記シリコンウェーハの主面にあるデバイス作製領域以外に、脆性延性遷移温度が室温以下の金属からなる補強膜が形成されることで破壊強度が高められたものであることを特徴とするシリコンウェーハ。
- 前記補強膜が、前記シリコンウェーハの主裏面全面、及び/又は、エッジ部を含む表裏の周縁部に形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載のシリコンウェーハ。
- 前記補強膜が、前記シリコンウェーハのエッジ部周端から中心方向に20mm以内の範囲の表裏の周縁部に形成されたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシリコンウェーハ。
- 前記補強膜が、タンタル、チタン、ニオブ及びバナジウムのうち少なくとも一つからなるものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のシリコンウェーハ。
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