JP2011252089A - 樹脂硬化物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性、貯蔵安定性に優れ、航空機用構造材料、電気用絶縁材料、レジスト用樹脂、半導体封止樹脂、液晶パネルの封止用樹脂等広範な用途に用いる構造材料等に使用されている樹脂硬化物の製造方法を提供すること。
【解決手段】(A)金属錯体触媒、シアン酸エステルおよびエポキシ樹脂を混合する工程、
(B)前記混合物を100℃〜130℃で1〜5時間加熱する工程、
(C)(B)工程で加熱した混合物をさらに131℃〜150℃で加熱する工程、
を含むことを特徴とする樹脂硬化物の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】(A)金属錯体触媒、シアン酸エステルおよびエポキシ樹脂を混合する工程、
(B)前記混合物を100℃〜130℃で1〜5時間加熱する工程、
(C)(B)工程で加熱した混合物をさらに131℃〜150℃で加熱する工程、
を含むことを特徴とする樹脂硬化物の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は耐熱性、貯蔵安定性に優れ、航空機用構造材料、電気用絶縁材料、レジスト用樹脂、半導体封止樹脂、液晶パネルの封止用樹脂等広範な用途に用いる構造材料等に使用されている樹脂硬化物の製造方法に関する。
エポキシ樹脂硬化物は優れた電気的性能と接着力を有するため、電気・電子分野において幅広い用途に使用されている。近年、エポキシ樹脂を含有する複合材料の用途拡大に伴い、高強度、高弾性率、高耐熱性、高耐湿性等の物性が求められている。このような場合、既存のエポキシ樹脂を単独もしくは2種以上を混合するだけでは得られた硬化物の物性が不十分であるため、エポキシ樹脂とシアン酸エステル樹脂を混合してなるシアン酸エステル−エポキシ複合樹脂組成物が使用されている。
しかしながら、シアン酸エステル−エポキシ樹脂を製造する際の硬化工程においては、十分に硬化させるために200℃以上の熱をかける必要があり(例えば特許文献1参照)、このような高温での硬化条件では航空機の翼や胴体、鉄道車両等の大型複合構造物の成型においては、冷却装置等を設置しなければならず、経済的に優れず好ましくなかった。また、低温で硬化させる場合は硬化速度が遅くなるために窒素原子上に活性水素を有さないアミン類(例えば特許文献2参照)、有機酸無水物、フェノール類等を助触媒として併用せざるを得ないが、その場合貯蔵状態で反応が進行してしまうため、樹脂の変質が起こってしまうという問題がある。
本発明の課題は、樹脂組成物としての貯蔵安定性が良好でかつ十分な耐熱性を有するシアン酸エステル−エポキシ樹脂硬化物を製造することにある。
本発明者は、上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、一液型シアン酸エステル−エポキシ樹脂を製造する際に、硬化時の硬化温度を低温から徐々に段階を経て上げていく工程を設けることで、助触媒を併用せず、かつ比較的低温で十分に樹脂組成物を硬化させる樹脂硬化物の製造方法を見出した。
すなわち本発明は、
(A)金属錯体触媒、シアン酸エステルおよびエポキシ樹脂を混合する工程、
(B)前記混合物を100℃〜130℃で1〜5時間加熱する工程、
(C)(B)工程で加熱した混合物をさらに131℃〜150℃で加熱する工程、
を含むことを特徴とする樹脂硬化物の製造方法である。
(A)金属錯体触媒、シアン酸エステルおよびエポキシ樹脂を混合する工程、
(B)前記混合物を100℃〜130℃で1〜5時間加熱する工程、
(C)(B)工程で加熱した混合物をさらに131℃〜150℃で加熱する工程、
を含むことを特徴とする樹脂硬化物の製造方法である。
本発明においてシアン酸エステル−エポキシ樹脂組成物を比較的低温で、かつ少量の触媒のみで硬化させることが可能になり、今まで硬化温度が高温であるがゆえに対応が不可能であった航空機の翼や胴体、鉄道車両等の大型複合構造物の成型等にも使用が可能になる。
まず、工程(A)について示す。本発明で用いられる金属錯体触媒としては、公知のものが使用できる。例えば、一般式(1)で表される金属塩が挙げられ、例えばオクチル酸亜鉛、オクチル酸マンガン、オクチル酸コバルト、オクチル酸銅、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸鉄、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸銅、アセチルアセトナト鉄、アセチルアセトナト銅等を例示することができる。これらは2種以上組み合わせてもよい。その中でも反応性、作業性の観点からオクチル酸亜鉛、オクチル酸マンガン、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガンが特に好ましい。これらは通常の工業用グレードのものを用いることができる。
[Y−Z]・・・(1)
(式中、YはZn2+、Co2+、Co3+、Cu2+、Fe3+、Mn2+、Ni2+のいずれかの金属を表し、Zはナフテン酸、オクチル酸、アセチルアセトネートのいずれかの有機酸アニオンを表す。)
(式中、YはZn2+、Co2+、Co3+、Cu2+、Fe3+、Mn2+、Ni2+のいずれかの金属を表し、Zはナフテン酸、オクチル酸、アセチルアセトネートのいずれかの有機酸アニオンを表す。)
金属錯体触媒の使用量はシアン酸エステル100重量部に対して0.005重量部〜0.1重量部であることが好ましい。0.005重量部以上であると反応促進効果が十分に得られ、0.1重量部以下であると貯蔵安定性の観点から好ましいからである。さらに好ましい範囲としては0.01〜0.05重量部の範囲である。
本発明で用いられるシアン酸エステルとしては、固体または液体のものを用いることができ、例えばビスフェノールA型シアネート、ビスフェノールF型シアネート、ビスフェノールE型シアネート、フェノールノボラック型シアネートを例示することができる。これらは通常の工業用グレードのものを用いることができる。
その中でも作業性の観点から50℃において非結晶液体であるものが好ましく、特に一般式(2)で示される構造を有するものであることが好ましい。
その中でも作業性の観点から50℃において非結晶液体であるものが好ましく、特に一般式(2)で示される構造を有するものであることが好ましい。
本発明で用いられるエポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、キシレンノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキルノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキルノボラック型エポキシ樹脂等を例示することができる。これらは通常の工業用グレードのものを用いることができる。
その中でも液状もしくは固体であってもシアン酸エステルやエポキシ樹脂を併用することにより60℃で液状の樹脂組成物にすることが出来るものであれば使用可能であり、取り扱い性の観点からビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂およびジヒドロナフタレン型エポキシ樹脂であることが好ましい。さらにビスフェノールF型エポキシ、ビスフェノールA型エポキシが特に好ましい。
その中でも液状もしくは固体であってもシアン酸エステルやエポキシ樹脂を併用することにより60℃で液状の樹脂組成物にすることが出来るものであれば使用可能であり、取り扱い性の観点からビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂およびジヒドロナフタレン型エポキシ樹脂であることが好ましい。さらにビスフェノールF型エポキシ、ビスフェノールA型エポキシが特に好ましい。
本発明で用いられるシアン酸エステルとエポキシ樹脂の比はシアン酸エステル100重量部に対しエポキシ樹脂が40〜250重量部であることが好ましい。エポキシ樹脂が40重量部以上であると貯蔵安定性に優れるという点で好ましく、250重量部以下だと高耐熱な樹脂が得られるという点で好ましいからである。
金属錯体触媒、シアン酸エステルおよびエポキシ樹脂の混合方法としてはこれらが均一に分散する方法であれば特に限定されない。例えばガラスフラスコ内で攪拌羽を使用して攪拌して混合する方法が挙げられる。
次に工程(B)について示す。工程(A)で得られた混合物を加熱する方法としては、特に限定されないが例えば電熱オーブン、オイルバスにて加熱する方法が挙げられる。
加熱温度としては、100℃〜130℃の範囲が好ましい。100℃以上だと初期の硬化反応速度が十分に得られ、130℃以下にすると反応初期段階にてシアネート同士の反応以外の反応を抑え、硬化物の耐熱性を向上させるのに好適なトリアジン環のみ形成することが出来るという点で好ましいからである。
加熱時間としては1〜5時間が好ましい。1時間以上加熱することで硬化が始まり、5時間以下で行うことが工業的に有利だからである。その中でも特に2〜3時間が好ましい。
加熱温度としては、100℃〜130℃の範囲が好ましい。100℃以上だと初期の硬化反応速度が十分に得られ、130℃以下にすると反応初期段階にてシアネート同士の反応以外の反応を抑え、硬化物の耐熱性を向上させるのに好適なトリアジン環のみ形成することが出来るという点で好ましいからである。
加熱時間としては1〜5時間が好ましい。1時間以上加熱することで硬化が始まり、5時間以下で行うことが工業的に有利だからである。その中でも特に2〜3時間が好ましい。
次に工程(C)について示す。工程(B)で加熱した混合物をさらに加熱する方法であれば特に限定されない。また工程(B)と同じ方法で加熱温度を上げる方法が経済的な面および得られる硬化物の物性の点から好ましい。
加熱温度としては、131℃〜150℃の範囲が好ましい。131℃以上にすることでトリアジン環とエポキシの反応が進行しやすく150℃以下にすることで過剰な加熱設備が不要で工業的に好ましいからである。
加熱時間としては5〜9時間が好ましい。5時間以下であると反応が不十分であり、9時間以下であることが工業的に好ましい。その中でも特に5〜7時間が好ましい。
加熱温度としては、131℃〜150℃の範囲が好ましい。131℃以上にすることでトリアジン環とエポキシの反応が進行しやすく150℃以下にすることで過剰な加熱設備が不要で工業的に好ましいからである。
加熱時間としては5〜9時間が好ましい。5時間以下であると反応が不十分であり、9時間以下であることが工業的に好ましい。その中でも特に5〜7時間が好ましい。
工程(C)の後に工程(C)で得られた混合物を工程(C)よりも高い温度で加熱する工程を加えることもできる。方法としては、特に限定されないが例えば電熱オーブン、オイルバスにて加熱する方法が挙げられる。
加熱温度としては、151℃〜160℃の範囲が好ましい。151℃以上だと硬化反応が十分に進行し、160℃以下であると、高温加熱をする設備が不要で、ユーティリティコストの点でも有利だからである。
加熱時間としては1〜5時間が好ましい。1時間以上加熱することで更に反応が進行し、5時間以下であることが工業的な反応時間として好ましいからである。その中でも特に2〜3時間が好ましい。
加熱温度としては、151℃〜160℃の範囲が好ましい。151℃以上だと硬化反応が十分に進行し、160℃以下であると、高温加熱をする設備が不要で、ユーティリティコストの点でも有利だからである。
加熱時間としては1〜5時間が好ましい。1時間以上加熱することで更に反応が進行し、5時間以下であることが工業的な反応時間として好ましいからである。その中でも特に2〜3時間が好ましい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。組成物、硬化物の評価は、以下のとおりである。
(1)Tg測定:硬化物を10×50×4t(mm)に切断し、動的粘弾性より算出した。Seiko Instruments Inc.製 EXSTAR6000を用いて窒素雰囲気下、昇温速度2℃/minで300℃まで昇温し測定を行なった。
(2)貯蔵安定性試験:50℃もしくは60℃環境下に組成物を放置し、数時間おきにレオメーター(ジャスコインタナショナル社製 VAR−200AD)を用いて粘度測定を行ない、初期粘度の2倍値になる時間を測定した。
(1)Tg測定:硬化物を10×50×4t(mm)に切断し、動的粘弾性より算出した。Seiko Instruments Inc.製 EXSTAR6000を用いて窒素雰囲気下、昇温速度2℃/minで300℃まで昇温し測定を行なった。
(2)貯蔵安定性試験:50℃もしくは60℃環境下に組成物を放置し、数時間おきにレオメーター(ジャスコインタナショナル社製 VAR−200AD)を用いて粘度測定を行ない、初期粘度の2倍値になる時間を測定した。
実施例1
300mlのナスフラスコにビスフェノールE型シアネート(DCBE)(ハンツマン製、Alocy L10)60重量部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DGEBF)(DIC(株)製、EPICLON830)40重量部を加え攪拌羽によって攪拌し、オイルバスによって過熱しながら60℃で溶融混合し、その後メチルエチルケトンで0.04重量%に希釈したオクチル酸亜鉛(日本化学産業(株)製、ニッカオクチックス亜鉛18重量%)0.01重量部を撹拌させながら添加して、真空ポンプを用いて真空脱泡を行うことによりメチルエチルケトンを留去して樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を幅10mm、厚さ2mm、長さ10mmのステンレス製の金型に流し込んだ後に電熱オーブンにて130℃で2時間、更に150℃で7時間加熱することにより(表2)、複合樹脂硬化物を得た。
得られた硬化物において、ガラス転移点測定を行った。結果を表1に示す。
300mlのナスフラスコにビスフェノールE型シアネート(DCBE)(ハンツマン製、Alocy L10)60重量部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DGEBF)(DIC(株)製、EPICLON830)40重量部を加え攪拌羽によって攪拌し、オイルバスによって過熱しながら60℃で溶融混合し、その後メチルエチルケトンで0.04重量%に希釈したオクチル酸亜鉛(日本化学産業(株)製、ニッカオクチックス亜鉛18重量%)0.01重量部を撹拌させながら添加して、真空ポンプを用いて真空脱泡を行うことによりメチルエチルケトンを留去して樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を幅10mm、厚さ2mm、長さ10mmのステンレス製の金型に流し込んだ後に電熱オーブンにて130℃で2時間、更に150℃で7時間加熱することにより(表2)、複合樹脂硬化物を得た。
得られた硬化物において、ガラス転移点測定を行った。結果を表1に示す。
実施例2
樹脂組成物の加熱が130℃で2時間、150℃で5時間、更に160℃で2時間とした以外は(表2)、実施例1と同様にして複合樹脂硬化物を得た。結果を表1に示す。
樹脂組成物の加熱が130℃で2時間、150℃で5時間、更に160℃で2時間とした以外は(表2)、実施例1と同様にして複合樹脂硬化物を得た。結果を表1に示す。
実施例3
ビスフェノールE型シアネートが30重量部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が70重量部とした以外は、実施例1と同様にして複合樹脂硬化物を得た。結果を表1に示す。
ビスフェノールE型シアネートが30重量部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が70重量部とした以外は、実施例1と同様にして複合樹脂硬化物を得た。結果を表1に示す。
実施例4
樹脂組成物の加熱が130℃で2時間、150℃で5時間、更に160℃で2時間である以外は(表2)、実施例3と同様にして複合樹脂硬化物を得た。結果を表1に示す。
樹脂組成物の加熱が130℃で2時間、150℃で5時間、更に160℃で2時間である以外は(表2)、実施例3と同様にして複合樹脂硬化物を得た。結果を表1に示す。
比較例1
樹脂組成物の加熱が150℃で7時間、更に160℃で2時間である以外は(表2)、実施例3と同様にして複合樹脂硬化物を得た。結果を表1に示す。
樹脂組成物の加熱が150℃で7時間、更に160℃で2時間である以外は(表2)、実施例3と同様にして複合樹脂硬化物を得た。結果を表1に示す。
比較例2
樹脂組成物の加熱が150℃で1時間、170℃で3時間、更に180℃で1時間である以外は(表2)、実施例3と同様にして複合樹脂硬化物を得た。結果を表1に示す。
樹脂組成物の加熱が150℃で1時間、170℃で3時間、更に180℃で1時間である以外は(表2)、実施例3と同様にして複合樹脂硬化物を得た。結果を表1に示す。
比較例3
樹脂組成物の加熱が160℃で19時間である以外は(表2)、実施例3と同様にして複合樹脂硬化物を得た。結果を表1に示す。
樹脂組成物の加熱が160℃で19時間である以外は(表2)、実施例3と同様にして複合樹脂硬化物を得た。結果を表1に示す。
比較例4
オクチル酸亜鉛とともに、助触媒としてジメチルアミノピリジン(DMAP)(和光純薬製(株)製)0.5重量部を攪拌させながら添加した以外は、実施例5と同様にして複合樹脂硬化物を得た。結果を表1に示す。
オクチル酸亜鉛とともに、助触媒としてジメチルアミノピリジン(DMAP)(和光純薬製(株)製)0.5重量部を攪拌させながら添加した以外は、実施例5と同様にして複合樹脂硬化物を得た。結果を表1に示す。
比較例5
メチルエチルケトンで希釈したオクチル酸亜鉛を添加しなかった以外は、実施例5と同様の操作を行ったが硬化物は得られなかった。結果を表1に示す。
メチルエチルケトンで希釈したオクチル酸亜鉛を添加しなかった以外は、実施例5と同様の操作を行ったが硬化物は得られなかった。結果を表1に示す。
上記表1において、各実施例と比較例を比較することで本発明の有効性が見出せる。実施例1および2は硬化温度が160℃以下にも関わらず、温度を段階的に変化させて硬化させることにより貯蔵安定性に優れ、高いガラス転移点の硬化物を得ることが出来た。シアン酸エステルの配合量が少ない実施例3、4では、ややガラス転移点が劣るが貯蔵安定性に優れる樹脂組成物を得ることができた。
一方比較例1においては、樹脂組成を実施例3と同様の条件とし、低温(130℃)からでなく150℃、160℃のみで行ったがガラス転移点が劣る結果になった。
比較例2においては、樹脂組成を実施例3と同様の条件とし、高い温度で硬化反応を行ったが、得られた硬化物は実施例4と同程度のものであったので、高い温度をかけるだけ工業的に不利であるといえる。
比較例3においては、硬化温度を160℃一定で行ったが、ガラス転移点が実施例3と同等のものを得るためには、19時間以上の硬化時間がかかってしまった。
比較例4においては、助触媒を樹脂組成物に加えているが、貯蔵安定性が劣る結果となった。
比較例5は、樹脂組成物に金属錯体触媒を用いない系であるが、硬化反応が進まず硬化物を得ることができなかった。
一方比較例1においては、樹脂組成を実施例3と同様の条件とし、低温(130℃)からでなく150℃、160℃のみで行ったがガラス転移点が劣る結果になった。
比較例2においては、樹脂組成を実施例3と同様の条件とし、高い温度で硬化反応を行ったが、得られた硬化物は実施例4と同程度のものであったので、高い温度をかけるだけ工業的に不利であるといえる。
比較例3においては、硬化温度を160℃一定で行ったが、ガラス転移点が実施例3と同等のものを得るためには、19時間以上の硬化時間がかかってしまった。
比較例4においては、助触媒を樹脂組成物に加えているが、貯蔵安定性が劣る結果となった。
比較例5は、樹脂組成物に金属錯体触媒を用いない系であるが、硬化反応が進まず硬化物を得ることができなかった。
以上の通り、本発明による反応方法で少量の触媒のみで低温で硬化させることを可能にし、このことは、高温であるがゆえに対応が不可能であった航空機の翼や胴体、鉄道車両等の大型複合構造物の成型等にも使用が可能となり、用途拡大につながる。
Claims (13)
- (A)金属錯体触媒、シアン酸エステルおよびエポキシ樹脂を混合する工程、
(B)前記混合物を100℃〜130℃で1〜5時間加熱する工程、
(C)(B)工程で加熱した混合物をさらに131℃〜150℃で加熱する工程、
を含むことを特徴とする樹脂硬化物の製造方法。 - 前記工程(C)の後に工程(C)で得られた混合物を151℃〜160℃にて1〜5時間加熱する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 前記シアン酸エステルとエポキシ樹脂の重量比がシアン酸エステル100重量部に対しエポキシ樹脂が40〜250重量部であることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記金属錯体触媒が、前記シアン酸エステル100重量部に対し0.01重量部〜0.1重量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 前記金属錯体触媒が、金属カルボン酸塩、金属アセチルアセトナト錯体、金属オクチル酸錯体および金属ナフテン酸錯体から選ばれる1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
- 前記シアン酸エステルが、50℃において非結晶性液体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
- 前記エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂およびジヒドロナフタレン型エポキシ樹脂から選ばれる1種であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の方法により得られた樹脂硬化物を用いることを特徴とする電気絶縁材料。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の方法により得られた樹脂硬化物を用いることを特徴とする半導体封止材。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の方法により得られた樹脂硬化物を用いることを特徴とする接着剤。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の方法により得られた樹脂硬化物を用いることを特徴とするレジスト材料。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の方法により得られた樹脂硬化物を用いることを特徴とする構造材料。
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