JP2011252054A - 含フッ素ポリマー水性分散液の製造方法および含フッ素ポリマー水性分散液 - Google Patents

含フッ素ポリマー水性分散液の製造方法および含フッ素ポリマー水性分散液 Download PDF

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Abstract

【課題】含フッ素乳化剤の溶離回収が容易な弱塩基性IERを用い、含フッ素乳化剤の含有量が少なく、保存安定性に優れた含フッ素ポリマー水性分散液の製造方法を提供する。
【解決手段】含フッ素ポリマーと、含フッ素乳化剤と、有機カルボン酸とを含有する含フッ素ポリマー水性分散液を、弱塩基性IERと接触させて前記含フッ素乳化剤を吸着除去し、ついで、強塩基性IERと接触させて前記有機カルボン酸を吸着除去して、含フッ素乳化剤の含有量の少ない含フッ素ポリマー水性分散液を製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、含フッ素乳化剤の含有量の少ない含フッ素ポリマー水性分散液およびその製造方法に関する。
ポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」という)、溶融成形性フッ素樹脂、フルオロエラストマー等の含フッ素ポリマーを乳化重合により製造する際、水性媒体中で連鎖移動によって重合反応を妨げることのないようなフッ素乳化剤を一般的に用いる。
乳化重合により得られる含フッ素ポリマーの水性乳化重合液(以下、「含フッ素ポリマー水性乳化重合液」という)を凝集および乾燥することで、含フッ素ポリマーのパウダーが得られる。PTFEのパウダーは、ペースト押出し成形等の方法で成形した後、種々の用途に用いられる。また、含フッ素ポリマー水性乳化重合液に、必要に応じて非イオン系界面活性剤等を添加して安定化処理し、その後、濃縮処理することで、含フッ素ポリマーを高濃度に含有する含フッ素ポリマー水性分散液(以下、「高濃度含フッ素ポリマー水性分散液」という)が得られる。この高濃度含フッ素ポリマー水性分散液は、必要に応じて各種配合剤等を加えて、様々なコーティング用途、含浸用途等に用いられる。
ところで、含フッ素乳化剤は高価であり、その使用量は含フッ素ポリマーのパウダーや含フッ素ポリマー水性分散液の製造コストに大きく影響することから、含フッ素乳化剤を回収し、再使用することが望まれる。また、含フッ素乳化剤は自然界で容易に分解されない物質である。このため、近年、工場排水のみならず、含フッ素ポリマー水性分散液に含まれる含フッ素乳化剤の含有量を削減することが望まれている。
含フッ素ポリマー水性分散液に含まれる含フッ素乳化剤の含有量を低減する方法としては、特許文献1〜3に示されるように、塩基性の陰イオン交換樹脂(以下、「IER」という)を含フッ素ポリマー水性分散液に接触させ、含フッ素ポリマー水性分散液中の含フッ素乳化剤をIERに吸着させて除去する方法がある。
強塩基性IERは、弱塩基性IERに比べて、含フッ素乳化剤を含フッ素ポリマー水性分散液から効率よく吸着除去できるとされ、特許文献1〜3においても、主として強塩基性IERを使用している。
特表2002−532583号公報(段落番号0021参照) 特表2005−501956号公報(段落番号0032参照) 特表2006−515375号公報(段落番号0032参照)
強塩基性IERが吸着した含フッ素乳化剤は、水溶性有機溶剤を添加し、溶離を促進しない場合には、強塩基性IERから溶離し難く、含フッ素乳化剤の回収効率が極めて低かった。
一方、弱塩基性IERが吸着した含フッ素乳化剤は、水溶性有機溶剤を添加しなくても、比較的容易に溶離回収できる。しかしながら、弱塩基性IERで処理した含フッ素ポリマー水性分散液は、安定性が悪く、含フッ素ポリマーの粒子が経時的に沈降し易かった。また、弱塩基性IERで処理した含フッ素ポリマー水性分散液は、濃縮速度が遅く、更には、濃縮時に含フッ素ポリマーの凝集物が発生し易く、高濃度含フッ素ポリマー水性分散液の製造効率が悪かった。
本発明者らは、弱塩基性IERで処理した含フッ素ポリマー水性分散液の安定性や濃縮効率が不十分である原因について検討したところ、含有される有機カルボン酸の影響によるものであることを突き止めた。
含フッ素ポリマー水性分散液は、含フッ素モノマーの乳化重合時に使用した重合開始剤等の分解により生成した有機カルボン酸を含有していることがある。また、含フッ素ポリマー水性分散液のpHを低下させてIERによる含フッ素乳化剤の吸着効率を向上させるため、含フッ素ポリマー水性分散液に有機カルボン酸を添加することがある。
強塩基性IERであれば、含フッ素ポリマー水性分散液に含まれる有機カルボン酸を吸着除去できるが、弱塩基性IERでは、含フッ素ポリマー水性分散液に含まれる有機カルボン酸を、殆ど吸着除去できなかった。このため、弱塩基性IERで処理した含フッ素ポリマー水性分散液は、有機カルボン酸を含有していることが多く、上記した問題が発生していた。
よって、本発明の目的は、含フッ素乳化剤の溶離回収が容易な弱塩基性IERを用い、含フッ素乳化剤の含有量が少なく、保存安定性、濃縮効率に優れた含フッ素ポリマー水性分散液の製造方法および含フッ素ポリマー水性分散液を提供することにある。
本発明は、以下を提供する。
[1] 含フッ素ポリマーと、含フッ素乳化剤と、下記の一般式(1)で表される有機カルボン酸とを含有する含フッ素ポリマー水性分散液を、弱塩基性IERと接触させて前記含フッ素乳化剤を吸着除去し、ついで、強塩基性IERと接触させて前記有機カルボン酸を吸着除去することを特徴とする含フッ素ポリマー水性分散液の製造方法。
Q(CH(CH(OH))COOH ・・・(1)
(式(1)中、Qは、H、CHまたはCOOHであり、mおよびnは、それぞれ独立に0または1〜4の整数であり、4≧n+m≧1である。)
[2] 前記含フッ素ポリマーが、PTFEである[1]に記載の含フッ素ポリマー水性分散液の製造方法。
[3] 前記PTFEの標準比重が2.15〜2.35である[2]に記載の含フッ素ポリマー水性分散液の製造方法。
[4] 弱塩基性IERに接触させる前の含フッ素ポリマー水性分散液中の含フッ素乳化剤の含有量が、含フッ素ポリマーの質量に対して750ppm〜10000ppmである[1]〜[3]のいずれかに記載の含フッ素ポリマー水性分散液の製造方法。
[5] 弱塩基性IERと接触させた後の含フッ素ポリマー水性分散液中の含フッ素乳化剤の含有量が、含フッ素ポリマーの質量に対して200ppm以下である[1]〜[4]のいずれかに記載の含フッ素ポリマー水性分散液の製造方法。
[6] 前記有機カルボン酸が、下記の一般式(2)で表される化合物である[1]〜[5]のいずれかに記載の含フッ素ポリマー水性分散液の製造方法。
HOCO(CHCOOH ・・・(2)
(式(2)中、mは、0または1〜4の整数である。)
[7] 弱塩基性IERに接触させる前の含フッ素ポリマー水性分散液中の有機カルボン酸の含有量が、含フッ素ポリマーの質量に対して100ppm〜2000ppmである[1]〜[6]のいずれかに記載の含フッ素ポリマー水性分散液の製造方法
[8] 強塩基性IERと接触させた後の含フッ素ポリマー水性分散液中の有機カルボン酸の含有量が、含フッ素ポリマーの質量に対して100ppm以下である[1]〜[7]のいずれかに記載の含フッ素ポリマー水性分散液の製造方法。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載の方法で得られた含フッ素ポリマー水性分散液であって、含フッ素乳化剤の含有量が、含フッ素ポリマーの質量に対して200ppm以下であり、一般式(1)で表される有機カルボン酸の含有量が、含フッ素ポリマーの質量に対して100ppm以下である含フッ素ポリマー水性分散液。
Q(CH(CH(OH))COOH ・・・(1)
(式(1)中、Qは、H、CHまたはCOOHであり、mおよびnは、それぞれ独立に0または1〜4の整数であり、4≧n+m≧1である。)
[10]一般式(A)および/または一般式(B)で示される非イオン系界面活性剤の含有量が1〜20質量%である、[9]に記載の含フッ素ポリマー水性分散液。
−O−A−H ・・・(A)
(式(A)中、Rは炭素数8〜18のアルキル基であり、Aはオキシエチレン基数5〜20およびオキシプロピレン基数0〜2より構成されるポリオキシアルキレン鎖である。)
−C−O−B−H ・・・(B)
(式(B)中、Rは炭素数4〜12のアルキル基であり、Bはオキシエチレン基数5〜20より構成されるポリオキシエチレン鎖である。)
本発明によれば、含フッ素ポリマーと、含フッ素乳化剤と、上記一般式(1)で表される有機カルボン酸とを含有する含フッ素ポリマー水性分散液を、まず、弱塩基性IERと接触させて、含フッ素乳化剤は弱塩基性IERに吸着させる。次いで、強塩基性IERと接触させて、弱塩基性IERでは吸着できなかった有機カルボン酸等を、強塩基性IERに吸着させる。
このため、含フッ素乳化剤および有機カルボン酸の含有量が少なく、保存安定性、濃縮効率に優れた含フッ素ポリマー水性分散液を得ることができる。
また、含フッ素乳化剤は、弱塩基性IERに吸着されているので、含フッ素乳化剤を容易に溶離回収して再利用できる。
まず、本発明の含フッ素ポリマー水性分散液の製造方法で使用する含フッ素ポリマー水性乳化重合液について説明する。
本発明で使用する含フッ素ポリマー水性乳化重合液は、含フッ素ポリマーと、含フッ素乳化剤と、特定の有機カルボン酸とを含有する。このような、含フッ素ポリマー水性乳化重合液は、水性媒体中で、含フッ素乳化剤の存在下にて含フッ素モノマーを乳化重合して得られる。
乳化重合に用いる含フッ素モノマーとしては、特に限定されず、テトラフルオロエチレン(以下、「TFE」という)、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニル)エーテル(ここで、アルキル基の炭素数は1から5である。)、トリフルオロクロエチレン、(パーフルオロブチル)エチレン、フッ化ビニリデン等が挙げられる。
含フッ素ポリマー水性乳化重合液の好ましい一例としては、水性媒体中でTFEを乳化重合して得られるPTEF水性乳化重合液が挙げられる。なお、本発明において、PTFEとは、TFEの単独重合体に加えて、実質的に溶融加工のできない程度の微量のクロロトリフルオロエチレン等のハロゲン化エチレン、ヘキサフルオロプロピレン等のハロゲン化プロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)等のフルオロビニルエーテル等の、TFEと共重合しうるモノマーに基づく重合単位を含むPTFEである、いわゆる変性PTFEを含むものとする。
PTEF水性乳化重合液中のPTFEの標準比重は、2.15〜2.35が好ましく、2.15〜2.30がより好ましい。なお、本発明において、PTFEの標準比重は、後述する実施例に記載した方法で測定した値を意味する。
PTEF水性乳化重合液中のPTFE微粒子の平均粒径は0.10〜0.50μmであり、0.12〜0.40μmが好ましく、0.15〜0.30μmが特に好ましい。PTFE微粒子の平均粒径が0.10μm未満であると、PTFEとしての機械的物性が損なわれる傾向となる。また、PTFE微粒子の平均粒径が0.50μmを超えると、PTFE微粒子が沈降され易く、保存安定性が損なわれる傾向となる。なお、本発明において、PTFE微粒子の平均粒径は、後述する実施例に記載した方法で測定した値を意味する。
PTFEの数平均分子量は任意に選ぶことができる。なかでも、10万〜3000万が好ましく、20万〜2500万がより好ましく、30万〜2000万が特に好ましい。PTFEの数平均分子量が10万未満であるとPTFEとしての機械的物性が低下する傾向にある。また、PTFEの数平均分子量が3000万を超えると、工業的に製造することが困難である。
含フッ素ポリマー水性乳化重合液に含まれる含フッ素乳化剤は、含フッ素モノマーの乳化重合に使用するものであればよく、特に限定されない。例えば、エーテル性酸素原子を有していてもよい含フッ素カルボン酸およびその塩、含フッ素スルホン酸およびその塩等が挙げられる。塩としては、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(Li、Na、K等)等が挙げられ、アンモニウム塩が好ましい。なかでも、エーテル性酸素原子を有していてもよい含フッ素カルボン酸およびその塩が好ましい。
含フッ素カルボン酸の具体例としては、パーフルオロカルボン酸、エーテル性酸素原子を有するパーフルオロカルボン酸、水素原子を有する含フッ素カルボン酸等が挙げられる。
パーフルオロカルボン酸としては、パーフルオロヘキサン酸、パーフルオロヘプタン酸、パーフルオロオクタン酸、パーフルオロノナン酸等が挙げられる。
エーテル性酸素原子を有するパーフルオロカルボン酸としては、COCF(CF)CFOCF(CF)COOH、COCOCFCOOH、COCOCFCOOH、COCOCFCOOH、COCFCFOCFCFOCFCOOH、CO(CFCOOH、CFOCOCFCOOH、CFOCFOCFOCFCOOH、CFOCFOCFOCFOCFCOOH、CFO(CFCFO)CFCOOH、CFOCFCFCFOCFCOOH、COCFCOOH、COCFCFCOOH、CFOCF(CF)CFOCF(CF)COOH、COCF(CF)COOH等が挙げられる。
水素原子を有する含フッ素カルボン酸としては、ω−ハイドロパーフルオロオクタン酸、COCF(CF)CFOCHFCOOH、CFCFHO(CFCOOH、CFO(CFOCHFCFCOOH、CFO(CFOCHFCOOH、COCHFCFCOOH、CFCFHO(CFCOOH等が挙げられる。
含フッ素スルホン酸としては、パーフルオロオクタンスルホン酸、C13CHCHSOH等が挙げられる。
含フッ素ポリマー水性乳化重合液中の含フッ素乳化剤の含有量は、最終的に得られる含フッ素ポリマーの質量に対して750ppm〜10000ppmが好ましく、1000ppm〜8000ppmがより好ましく、1500ppm〜6000ppmが特に好ましい。含フッ素乳化剤の含有量が750ppm未満であると、重合時に含フッ素ポリマーが凝集して、収率が低下し易くなる。含フッ素乳化剤の含有量が10000ppmを超えると、含フッ素ポリマーが微粒子として得られ難くなる。
本発明で使用する含フッ素ポリマー水性乳化重合液は、下記一般式(1)で表される有機カルボン酸を含有する。好ましくは、下記一般式(2)で表される有機カルボン酸である。以下、有機カルボン酸と記載した場合であっても、一般式(1)で表される有機カルボン酸を意味することとする。
Q(CH(CH(OH))COOH ・・・(1)
(式(1)中、Qは、H、CHまたはCOOHであり、mおよびnは、それぞれ独立に0または1〜4の整数であり、4≧n+m≧1である。)
HOCO(CHCOOH ・・・(2)
(式(2)中、mは、0または1〜4の整数である。)
有機カルボン酸の具体例としては、HOCOCHCOOH(マロン酸)、HOCO(CHCOOH(コハク酸)、HOCO(CHCOOH(グルタル酸)、HOCO(CHCOOH(アジピン酸)、HOCOCHCH(OH)COOH(リンゴ酸)、CHCH(OH)COOH(乳酸)、HOCO(CH(OH))COOH(酒石酸)、HOCO(CH(OH))COOH(D−ガラクタル酸およびD−グルカル酸)、HOCOCHCH(OH)COOH、CHCH(OH)COOH、CHCOOH(酢酸)、CHCHCOOH(プロピオン酸)、CH(CHCOOH(酪酸)、CH(CHCOOH(吉草酸)が挙げられる。好ましくは、HOCOCHCOOH、HOCO(CHCOOH、HOCO(CHCOOHおよびHOCO(CHCOOHから選ばれる一種である。
含フッ素ポリマー水性乳化重合液中の有機カルボン酸の含有量は、最終的に得られる含フッ素ポリマーの質量に対して100ppm〜2000ppmが好ましく、200ppm〜2000ppmがより好ましく、300ppm〜2000ppmが特に好ましい。
有機カルボン酸の含有量が上記範囲にあれば、含フッ素ポリマー水性乳化重合液のpHが酸性となり、後述する弱塩基性IERによる含フッ素乳化剤の吸着効率が良好である。
なお、上記有機カルボン酸は、含フッ素モノマーの乳化重合時に使用した重合開始剤等の分解により生成されることがある。例えば、重合開始剤としてジコハク酸パーオキシドを使用して含フッ素モノマーの乳化重合を行うと、乳化重合工程中あるいは乳化重合後にジコハク酸パーオキシドが分解して、2分子のコハク酸を生ずる。このため、有機カルボン酸を添加しなくても、含フッ素モノマー水性乳化重合液中に有機カルボン酸が含まれており、pHが酸性である場合がある。
本発明で使用する含フッ素ポリマー水性乳化重合液は、含フッ素ポリマー水性乳化重合液から含フッ素乳化剤を除去する前に、非イオン系界面活性剤で安定化するのが好ましい(以下、非イオン系界面活性剤で安定化した含フッ素ポリマー水性乳化重合液を「低濃度含フッ素ポリマー水性分散液」という)。
非イオン系界面活性剤としては、下記一般式(A)および/または一般式(B)で示される界面活性剤等が挙げられる。
−O−A−H ・・・(A)
(式(A)中、Rは炭素数8〜18のアルキル基であり、Aはオキシエチレン基数5〜20およびオキシプロピレン基数0〜2より構成されるポリオキシアルキレン鎖である。)
−C−O−B−H ・・・(B)
(式(B)中、Rは炭素数4〜12のアルキル基であり、Bはオキシエチレン基数5〜20より構成されるポリオキシエチレン鎖である。)
一般式(A)の非イオン系界面活性剤の具体例としては、例えば、C1327−(OC10−OH、C1225−(OC10−OH、C1021CH(CH)CH−(OC−OH、C1327−(OC−OCH(CH)CH−OH、C1633−(OC10−OH、HC(C11)(C15)−(OC−OH等の分子構造をもつ非イオン系界面活性剤が挙げられる。市販品としては、ダウ社製タージトール(登録商標)15Sシリーズ、日本乳化剤社製ニューコール(登録商標)シリーズ、ライオン社製ライオノール(登録商標)TDシリーズ等が挙げられる。
一般式(B)の非イオン系界面活性剤の具体例としては、C17−C−(OC10−OH、C19−C−(OC10−OH等の分子構造をもつ非イオン系界面活性剤が挙げられる。市販品としては、ダウ社製トライトン(登録商標)Xシリーズ、日光ケミカル社製ニッコール(登録商標)OPシリーズまたはNPシリーズ等が挙げられる。
低濃度含フッ素ポリマー水性分散液は、上記非イオン系界面活性剤を、含フッ素ポリマーの質量に対して1〜20質量%含有することが好ましく、1〜10質量%含有することがより好ましく、2〜8質量%含有することが特に好ましい。非イオン系界面活性剤の含有量が上記範囲内であれば、含フッ素ポリマー水性分散液は、機械的安定性や、ぬれ性が良好である。
次に、本発明の含フッ素ポリマー水性分散液の製造方法について説明する。
上記低濃度含フッ素ポリマー水性分散液を、まず弱塩基性IERと接触させて、低濃度含フッ素ポリマー水性分散液中の含フッ素乳化剤を弱塩基性IERに吸着させる(以下、弱塩基性IERに接触させた後の含フッ素ポリマー水性分散液を、「弱塩基性IER処理含フッ素ポリマー水性分散液」という)。
本発明において、弱塩基性IERとは、アミノ基をイオン交換基として有するイオン交換樹脂のことである。弱塩基性IERのイオン交換基としては、1〜3級のアミノ基が好ましく、より好ましくは2〜3級のアミノ基であり、特に好ましくは3級のアミノ基である。
弱塩基性IERの一例としては、アミノ基をイオン交換基として有するスチレン−ジビニルベンゼン架橋樹脂、アミノ基をイオン交換基として有するアクリル−ジビニルベンゼン架橋樹脂、アミノ基をイオン交換基として有するセルロース樹脂よりなる粒状樹脂が挙げられる。中でも、アミノ基をイオン交換基として有するスチレン−ジビニルベンゼン架橋樹脂が好ましい。
弱塩基性IERの平均粒径は0.1〜2mmが好ましく、より好ましくは0.2〜1mmであり、特に好ましくは0.3〜0.8mmである。弱塩基性IERの粒子径が均一であるほうが、低濃度含フッ素ポリマー水性分散液の通液時に流路を閉塞し難いので好ましい。弱塩基性IERの平均粒径が上記範囲内であれば、例えば、弱塩基性IERを充填したカラムまたはボンベに、低濃度含フッ素ポリマー水性分散液を通液させた際に、流路を閉塞し難い。
弱塩基性IERの市販品としては、三菱化学社製ダイアイオン(登録商標)WA−30、ランクセス社製Lewatit(登録商標)MP−62WS、ダウ社製ダウエックスマラソン(登録商標)WBA等が挙げられる。
低濃度含フッ素ポリマー水性分散液と弱塩基性IERとの接触方法としては特に限定されない。1)低濃度含フッ素ポリマー水性分散液中に弱塩基性IERを投入し、攪拌または揺動する方法、2)弱塩基性IERを充填したカラムまたはボンベに、重力差またはポンプにより低濃度含フッ素ポリマー水性分散液を通す方法等が挙げられる。好ましくは、2)の方法である。弱塩基性IERを充填したカラムまたはボンベの下流側に、強塩基性IERを充填したカラムまたはボンベを配置することで、弱塩基性IERとの接触と、強塩基性IERとの接触とを連続して行うことができる。また、塩基性IERを充填したカラムまたはボンベに、非イオン性界面活性剤の水溶液を通過させて塩基性IERの粒子表面に非イオン性界面活性剤を吸着させておくことで、低濃度含フッ素ポリマー水性分散液の通液が安定する。
また、弱塩基性IERに含フッ素乳化剤を吸着させる際において、低濃度含フッ素ポリマー水性分散液のpHが低いほど、弱塩基性IERによる含フッ素乳化剤の吸着効率が向上するので、低濃度含フッ素ポリマー水性分散液のpHは7以下であることが好ましい。低濃度含フッ素ポリマー水性分散液のpHは、上記一般式(1)で表される有機カルボン酸の含有量を増加することで低下できる。
弱塩基性IERと接触させた後の含フッ素ポリマー水性分散液(弱塩基性IER処理含フッ素ポリマー水性分散液)は、含フッ素乳化剤の含有量が、含フッ素ポリマーの質量に対して200ppm以下であることが好ましく、より好ましくは100ppm以下であり、さらに好ましくは50ppm以下であり、最も好ましくは5ppm以下である。また、環境への影響を考慮すると、含フッ素乳化剤の含有量は少ないほど好ましいので、下限値は特に限定されない。下限値は、好ましくは1ppmであり、より好ましくは0.1ppmであり、最も好ましくは0.01ppmである。
次に、弱塩基性IER処理含フッ素ポリマー水性分散液を強塩基性IERに接触させて、弱塩基性IER処理含フッ素ポリマー水性分散液中の有機カルボン酸を強塩基性IERに吸着させる(以下、強塩基性IERに接触させた後の含フッ素ポリマー水性分散液を、「強塩基性IER処理含フッ素ポリマー水性分散液」という)。
本発明において、強塩基性IERとは、第四級アンモニウム塩基をイオン交換基として有するイオン交換樹脂のことである。強塩基性IERの一例としては、第四級アンモニウム塩基をイオン交換基として有するスチレン−ジビニルベンゼン架橋樹脂、第四級アンモニウム塩基をイオン交換基として有するアクリル−ジビニルベンゼン架橋樹脂、第四級アンモニウム塩基をイオン交換基として有するセルロース樹脂等からなる粒状樹脂が挙げられる。これらのうち、第四級アンモニウム塩基をイオン交換基として有するスチレン−ジビニルベンゼン架橋樹脂からなる粒状樹脂が好ましい。
強塩基性IERの平均粒径は0.1〜2mmが好ましく、より好ましくは0.2〜1mmであり、特に好ましくは0.3〜0.8mmである。強塩基性IERの粒子径は、上記範囲内であり、また均一であるほうが、弱塩基性IER処理含フッ素ポリマー水性分散液の通液時に流路を閉塞し難いので好ましい。
強塩基型IERの市販品としては、ランクセス社製Lewatit(登録商標)MP800OH、ランクセス社製Lewatit(登録商標)M800KR、ランクセス社製Lewatit(登録商標)MP600、ピュロライト社製PUROLITE(登録商標)A200MBOH等が挙げられる。
弱塩基性IER処理含フッ素ポリマー水性分散液と強塩基性IERとの接触方法は、低濃度含フッ素ポリマー水性分散液と弱塩基性IERとの接触方法で挙げた方法と同様の方法を採用できる。
強塩基性陰イオン交換樹脂と接触させた後の含フッ素ポリマー水性分散液(強塩基性IER処理含フッ素ポリマー水性分散液)は、有機カルボン酸の含有量が、含フッ素ポリマーに対して100ppm以下であることが好ましく、より好ましくは70ppm以下であり、さらに好ましくは50ppm以下であり、最も好ましくは5ppm以下である。有機カルボン酸の含有量は少ないほど、含フッ素ポリマー水性分散液の安定性や濃縮効率が向上するので、下限値は特に限定されない。下限値は、好ましくは1ppmであり、より好ましくは0.1ppmであり、最も好ましくは0.01ppmである。
このようにして得られる強塩基性IER処理含フッ素ポリマー水性分散液は、含フッ素乳化剤および有機カルボン酸の含有量が低減されている。
強塩基性IER処理含フッ素ポリマー水性分散液中の含フッ素乳化剤の含有量は、含フッ素ポリマーの質量に対して200ppm以下であり、好ましくは100ppm以下であり、さらに好ましくは50ppm以下であり、最も好ましくは5ppm以下である。
また、有機カルボン酸の含有量は、含フッ素ポリマーの質量に対して100ppm以下であり、好ましくは70ppm以下であり、さらに好ましくは50ppm以下であり、最も好ましくは5ppm以下である。
また、本発明では、弱塩基性IERに含フッ素乳化剤を吸着させるので、弱塩基性IERから含フッ素乳化剤を容易に溶離でき、溶離液に含まれる含フッ素乳化剤を、公知の方法により、精製して再生利用できる。
含フッ素乳化剤を吸収した弱塩基性IERから含フッ素乳化剤を溶離する手段として、WO2007/043278に記載される加熱アルカリ性水溶液による方法のほか、公知の方法が使用できる。
また、強塩基性IERには、有機カルボン酸が吸着されるが、アルカリ水溶液や食塩水等、公知の溶離液を用いて、強塩基性IERから有機カルボン酸を溶離でき、強塩基性IERを再利用できる。
強塩基性IER処理含フッ素ポリマー水性分散液は、そのまま使用することができる。また、公知の濃縮プロセスにより、含フッ素ポリマー濃度を60〜75質量%程度まで濃縮して用いてもよい。濃縮プロセスとしては、ふっ素樹脂ハンドブック(里川孝臣編、日刊工業新聞社、1990年)の32頁に記載されるように、遠心沈降法、電気泳動法、相分離法等の公知の方法が利用できる。
また、強塩基性IER処理含フッ素ポリマー水性分散液は、含フッ素乳化剤の含有量が低減されているので、安定性や濃縮速度が低下することがある。このような場合には、安定性および濃縮速度を向上させるために、含フッ素乳化剤以外のアニオン性界面活性剤を、濃縮前または濃縮後に添加してもよい。具体的には、たとえば、ラウリル酸アンモニウム、ラウリル酸エタノールアミン、ケイ皮酸アンモニウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、p−t−ブチル安息香酸アンモニウム等が挙げられる。含フッ素乳化剤以外のアニオン性界面活性剤の含有量は、含フッ素ポリマー質量に対して0.01〜0.3質量%が好ましく、0.02〜0.25質量%がより好ましい。
濃縮プロセスによって得られる高濃度含フッ素ポリマー水性分散液は、そのままで、または水で希釈して使用できる。また、さらに安定性やぬれ性の向上のため、または粘度の適正化のために、追加の非イオン系界面活性剤、含フッ素乳化剤以外のアニオン系界面活性剤、ポリエチレンオキシドやポリウレタン系の粘性調整剤、各種レベリング剤、防腐剤、着色剤、フィラー、有機溶剤、アンモニア等のアルカリ性物質、その他公知の他の成分が必要に応じて添加される。含フッ素ポリマー濃度が55〜70質量%であり、界面活性剤濃度が含フッ素ポリマー質量に対して2〜12質量%の含フッ素ポリマー水性分散液として用いてもよい。この含フッ素ポリマー水性分散液は、従来用いられてきた各種の用途、例えば、ガラス繊維布にコーティングしてプリント基板や膜構造建築物の屋根材に供される用途、調理用品の表面にコーティングして離型性を向上させる用途、紡糸後に焼成し延伸して含フッ素ポリマー繊維とする用途、発塵性粉末と混合して発塵を防止する用途、電池の活性物質と混合してバインダーとする用途、プラスチックに添加して溶融時のたれ落ちを防止する用途等、多くの用途に使用できる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、これらは何ら本発明を限定するものではない。実施例中に記載される物性値の測定方法は下記のとおりである。
(A)PTFEの数平均分子量:諏訪(Journal of Applied Polymer Science, 17, 3253(1973))の方法に従い、示差熱分析での潜熱ΔHc(cal/g)から次式により数平均分子量Mを求めた。
M=2.1×1010×ΔHc−5.16
(B)PTFE微粒子の平均粒径:PTFE水性乳化重合液を乾燥後、走査型電子顕微鏡を用いて10000倍で写真撮影し、撮影した画像からPTFE微粒子100粒を任意に選択して各PTFE微粒子の長径と短径を測定し、その平均値から求めた。
(C)PTFE濃度、界面活性剤濃度:アルミ皿(質量W)にPTFE水性分散液を約10g入れて秤量し(質量W)、120℃1時間乾燥後の質量(質量W)、および380℃35分間乾燥後の質量(質量W)から、次式によって求めた。なお本発明でいう界面活性剤濃度は含フッ素乳化剤やその他の熱分解成分を含む数値である。
PTFE濃度(質量%)=[(W−W)/(W−W)]×100
界面活性剤濃度(質量%/PTFE)=[(W−W)/(W−W)]×100
(D)含フッ素乳化剤濃度:ガラス瓶にメチレンブルー溶液(水の約500mLに硫酸の12gを徐々に加え、冷却後これにメチレンブルーの0.03g、無水硫酸ナトリウムの50gを溶解し、水を加えて1Lとしたもの)の4mL、クロロホルムの5mLを入れ、さらに測定試料の1000〜3000倍希釈液の0.1gを加えて激しく振り混ぜ、静置後、下相のクロロホルム相を採取した。採取したクロロホルム相を孔径0.2μmのフィルターで濾過し、分光光度計で630nmの吸光度を測定した。含フッ素乳化剤の量に応じてクロロホルム相が青色を呈する。あらかじめ濃度既知の含フッ素乳化剤溶液の0.1gを使用して同様の方法で吸光度を測定して検量線を作成し、該検量線を用いて測定試料中の含フッ素乳化剤の濃度を求めた。
(E)コハク酸濃度:LC−MS(質量分析装置付き液体クロマトグラフィー)を用いて、検量線法により測定した。
(F)pH:ガラス電極法により測定した。
(G)粘度:ブルックフィールド型粘度計でNo.1スピンドルを用い、60回転で測定した。
(H)導電率:ラコム社製導電率テスターにより測定した。
(I)標準比重:ASTM D1457−91a、D4895−91aに準拠して測定した。12.0gのPTFEを計量して内径28.6mmの円筒金型で34.5MPaで2分間保持した。この成形片を290℃のオーブンへ入れて120℃/hrで昇温し、380℃で30分間保持した後、60℃/hrで降温して294℃で24分間保持後に冷却した。この試験片を23℃のデシケーター中で12時間保持した後、23℃での水中浸漬法により成形物と水との比重比を測定し、これを標準比重とした。
(J)保存安定性:含フッ素ポリマー水性分散液を100mlのメスシリンダー(液深さ約140mm)に入れ、室温で1か月間静置後、生成した上澄みの厚み(mm)を目視で計測した。次に、メスシリンダーを30秒間逆さにして排液後に再び正立させ、低部に付着した付着物厚み(mm)を測定した。この評価で、上澄みや低部付着物が少ないほど保存安定性に優れていることを意味する。
[含フッ素乳化剤の回収試験]
(試験例1)
2Lビーカーに弱塩基性IER(ランクセス社製、商品名「Lewatit(登録商標)MP−62WS」)の50gと、含フッ素乳化剤(構造式:CFCFOCFCFOCFCOO(NH)10000ppm水溶液の1000gを入れ、24時間攪拌した。攪拌後、水溶液中の含フッ素乳化剤の濃度は、1639ppmであったことから、弱塩基性IERに8.4gの含フッ素乳化剤が吸着されたことになる。また弱塩基性IERを回収し、60℃で4時間乾燥させた後の重量は33.9gであったことから、1gあたり0.24gの含フッ素乳化剤が吸着していることになる。
攪拌子を入れた9ccガラス瓶に、上記の含フッ素乳化剤を吸着させた弱塩基性IERの0.5g、水酸化ナトリウム2%水溶液5gを入れ、60℃で1時間攪拌した。
水溶液中の濃度を測定したところ、121ppmの含フッ素乳化剤を含有しており、弱塩基性IERからの含フッ素乳化剤の回収率は46%であった。
(試験例2)
2Lビーカーに強塩基性IER(ピュロライト社製PUROLITE(登録商標)A200MBOH)の50gと、含フッ素乳化剤(構造式:CFCFOCFCFOCFCOO(NH)の10000ppm水溶液の1000gを入れ、24時間攪拌した。攪拌後、水溶液中の含フッ素乳化剤の濃度は、5ppmであったことから、強塩基性IERに10gの含フッ素乳化剤が吸着されたことになる。また強塩基性IERを回収し、60℃で4時間乾燥させた後の重量は35gであったことから、1gあたり0.28gの含フッ素乳化剤が吸着していることになる。
攪拌子を入れた9ccガラス瓶に上記の含フッ素乳化剤を吸着させた強塩基性IERの0.5g、水酸化ナトリウム2%水溶液5gを入れ、60℃で1時間攪拌した。
水溶液中の濃度を測定したところ、含フッ素乳化剤は含有しておらず、回収率は0%であった。
試験例1と試験例2の結果を表1に示す。これは各IERに吸着した含フッ素乳化剤の回収率を比較しており、弱塩基性IERに吸着した含フッ素乳化剤のほうが、強塩基性IERからよりも回収効率が良いことがわかる。
(実施例1)
含フッ素乳化剤として、CFCFOCFCFOCFCOO(NHを使用し、脱イオン水の61Lを仕込んだ100Lのステンレス製オートクレーブに、パラフィンワックスの0.6kg、重合触媒であるジコハク酸パーオキシドの26.3gを添加し、オートクレーブ内部を窒素置換後、減圧にしたのち65℃で攪拌しながらTFEモノマーを導入して、圧力1.8MPaで乳化重合させた。重合後、オートクレーブを冷却し、上部に固化したパラフィンワックスを除去してPTFE水性乳化重合液(a)の80kgを得た。このPTFE水性乳化重合液(a)は、PTFE濃度が25質量%であり、含フッ素乳化剤の含有量がPTFE質量に対して3000ppmであり、PTFE微粒子の平均一次粒子径が0.26μm、PTFEの数平均分子量が130万であり、PTFEの標準比重が2.20、コハク酸の含有量がPTFE質量に対し544ppmであった。また、コハク酸以外の有機カルボン酸は含有していないと推定される。
このPTFE水性乳化重合液(a)に、非イオン系界面活性剤(日本乳化剤社製、商品名「Newcol(登録商標)1308FA」)と水を加え、PTFE濃度が23質量%であり、界面活性剤濃度がPTFE質量に対して3%である低濃度PTFE水性分散液(b)を得た。
弱塩基性IER(ランクセス社製、商品名「Lewatit(登録商標)MP62WS」)を充填した、長さ80cm、内径0.9cmのカラム(内容積51cc)に、チューブ式ポンプにより非イオン系界面活性剤(Newcol(登録商標)1308FA)の1.5質量%水溶液を毎時50ccで100mL通液した。ついで、低濃度PTFE水性分散液(b)の32Lを毎時120ccで約275時間かけて通液し、弱塩基性IER処理PTFE水性分散液(c)を得た。この弱塩基性IER処理PTFE水性分散液(c)は、含フッ素乳化剤の含有量がPTFE質量に対して10ppmであり、コハク酸の含有量がPTFE質量に対し204ppmであった。
次に、強塩基性IER(ピュロライト社製、商品名「PUROLITE(登録商標)A200MBOH」)を充填した、長さ80cm、内径0.9cmのカラム(内容積51cc)に、チューブ式ポンプにより非イオン系界面活性剤(Newcol(登録商標)1308FA)の1.5質量%水溶液を毎時50ccで100mL通液した。そして、弱塩基性IER処理PTFE水性分散液(c)の16Lを、このカラムに毎時120ccで通液し、強塩基性IER処理PTFE水性分散液(d1)を得た。この強塩基性IER処理PTFE水性分散液(d1)は、含フッ素乳化剤の含有量がPTFE質量に対して3ppmであり、コハク酸の含有量がPTFE質量に対して1ppm以下であった。
次に、強塩基性IER処理PTFE水性分散液(d1)を、電気泳動法により、30時間かけて濃縮を行い、3.6Lの高濃度PTFE水性分散液(e1)(PTFE含有量が67.9質量%、比重1.622)を得た。濃縮操作で発生した凝集物の乾燥質量は40gであり、濃縮工程での収率は84%であった。
次に、得られた高濃度PTFE水性分散液(e1)を水で希釈し、非イオン系界面活性剤を追加して調合を行ない、PTFE含有量が60.7質量%、界面活性剤含有量がPTFE質量に対して5.0質量%であるPTFE水性分散液(f1)を得た。このPTFE水性分散液(f1)を1か月静置したのち生じた上澄みは2.3mm、沈降物は4.2mmであった。
(比較例1)
実施例1で得た、弱塩基性IER処理PTFE水性分散液(c)の16Lを、電気泳動法により、44時間かけて濃縮を行い、2.4Lの高濃度PTFE水性分散液(e2)(PTFE濃度が68.1質量%、比重1.625)を得た。濃縮操作で発生した凝集物の乾燥質量は106gであり、濃縮工程での収率は57%であった。
次に、この高濃度PTFE水性分散液(e2)を水で希釈し、非イオン系界面活性剤を追加して調合を行ない、PTFE微粒子含有量が60.4質量%、界面活性剤含有量がPTFE微粒子の質量に対して5.0質量%であるPTFE水性分散液(f2)を得た。このPTFE水性分散液(f2)を1か月静置したのち生じた上澄みは3.8mm、沈降物は5.6mmであった。
実施例1と比較例1の結果を表1に示す。実施例1の高濃度PTFE水性分散液は、コハク酸含有量が1ppm以下であり、電気濃縮時の濃縮時間が短く濃縮速度が良好であった。また、発生する凝集物の量が少なく、収率が高かった。さらに、保存安定性にも優れていた。
本発明の含フッ素ポリマー水性分散液は、ガラス繊維布にコーティングしてプリント基板や膜構造建築物の屋根材に供される用途、調理用品の表面にコーティングして離型性を向上させる用途、紡糸後に焼成し延伸して含フッ素ポリマー繊維とする用途、発塵性粉末と混合して発塵を防止する用途、電池の活性物質と混合してバインダーとする用途、プラスチックに添加して溶融時のたれ落ちを防止する用途等、多くの用途に使用できる。

Claims (10)

  1. 含フッ素ポリマーと、含フッ素乳化剤と、下記の一般式(1)で表される有機カルボン酸とを含有する含フッ素ポリマー水性分散液を、弱塩基性陰イオン交換樹脂と接触させて前記含フッ素乳化剤を吸着除去し、ついで、強塩基性陰イオン交換樹脂と接触させて前記有機カルボン酸を吸着除去することを特徴とする含フッ素ポリマー水性分散液の製造方法。
    Q(CH(CH(OH))COOH ・・・(1)
    (式(1)中、Qは、H、CHまたはCOOHであり、mおよびnは、それぞれ独立に0または1〜4の整数であり、4≧n+m≧1である。)
  2. 前記含フッ素ポリマーが、ポリテトラフルオロエチレンである請求項1に記載の含フッ素ポリマー水性分散液の製造方法。
  3. 前記ポリテトラフルオロエチレンの標準比重が2.15〜2.35である請求項2に記載の含フッ素ポリマー水性分散液の製造方法。
  4. 弱塩基性陰イオン交換樹脂に接触させる前の含フッ素ポリマー水性分散液中の含フッ素乳化剤の含有量が、含フッ素ポリマーの質量に対して750ppm〜10000ppmである請求項1〜3のいずれかに記載の含フッ素ポリマー水性分散液の製造方法。
  5. 弱塩基性陰イオン交換樹脂と接触させた後の含フッ素ポリマー水性分散液中の含フッ素乳化剤の含有量が、含フッ素ポリマーの質量に対して200ppm以下である請求項1〜4のいずれかに記載の含フッ素ポリマー水性分散液の製造方法。
  6. 前記有機カルボン酸が、下記の一般式(2)で表される化合物である請求項1〜5のいずれかに記載の含フッ素ポリマー水性分散液の製造方法。
    HOCO(CHCOOH ・・・(2)
    (式(2)中、mは、0または1〜4の整数である。)
  7. 弱塩基性陰イオン交換樹脂に接触させる前の含フッ素ポリマー水性分散液中の有機カルボン酸の含有量が、含フッ素ポリマーの質量に対して100ppm〜2000ppmである請求項1〜6のいずれかに記載の含フッ素ポリマー水性分散液の製造方法
  8. 強塩基性陰イオン交換樹脂と接触させた後の含フッ素ポリマー水性分散液中の有機カルボン酸の含有量が、含フッ素ポリマーの質量に対して100ppm以下である請求項1〜7のいずれかに記載の含フッ素ポリマー水性分散液の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の方法で得られた含フッ素ポリマー水性分散液であって、含フッ素乳化剤の含有量が、含フッ素ポリマーの質量に対して200ppm以下であり、一般式(1)で表される有機カルボン酸の含有量が、含フッ素ポリマーの質量に対して100ppm以下である含フッ素ポリマー水性分散液。
    Q(CH(CH(OH))COOH ・・・(1)
    (式(1)中、Qは、H、CHまたはCOOHであり、mおよびnは、それぞれ独立に0または1〜4の整数であり、4≧n+m≧1である。)
  10. 一般式(A)および/または一般式(B)で示される非イオン系界面活性剤の含有量が1〜20質量%である、請求項9に記載の含フッ素ポリマー水性分散液。
    −O−A−H ・・・(A)
    (式(A)中、Rは炭素数8〜18のアルキル基であり、Aはオキシエチレン基数5〜20およびオキシプロピレン基数0〜2より構成されるポリオキシアルキレン鎖である。)
    −C−O−B−H ・・・(B)
    (式(B)中、Rは炭素数4〜12のアルキル基であり、Bはオキシエチレン基数5〜20より構成されるポリオキシエチレン鎖である。)
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