JP2011251406A - 転写箔、および電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】携帯デバイスなどの電子機器の筐体表面に、金属様外観を付与するための金属層と、アンテナなどとして機能可能な導電層とを設ける。
【解決手段】アンテナなどとして機能可能な導電層26、物体16に金属様外観を付与する金属層22、導電層26と金属層22とを絶縁する絶縁層24、および接着層20を有し、物体16表面に転写される転写箔18において、絶縁層24が透明であって、導電層26が、金属層22より反物体側に位置し、且つ、銀ナノファイバー30を透明なバインダー樹脂32に分散してなる透明導電性材料34から作製されて透明である。
【選択図】図2

Description

本発明は、転写対象に金属様外観を付与するとともにアンテナ、コイル、タッチセンサなどとして機能可能な転写箔、およびこの転写箔が転写された電子機器に関する。
従来より、意匠性を高めるために、携帯デバイスなどの電子機器の筐体を構成する成形品があたかも金属に見えるように、金属層を成形品の外側表面に形成して該外側表面に金属様外観(例えば金属特有の光沢またはヘアライン スピン模様またはつや消し)を付与することが行われている。
また、通常はプラスチック成形品など非導電性の筐体裏面に、アンテナ、または非接触充電用コイル、あるいは静電容量方式のタッチセンサなどとして機能する導電層を設置している。それは、例えばスクリーン印刷やエッチングなどによって物体表面に形成することにより行われている。例えば、特許文献1には、成形品の表面にフィルムが一体的に貼り付けられたフィルムインサート成形品によって構成された筐体を有する携帯デバイスが記載されており、そのフィルムに平面アンテナとして機能する導電層が印刷等によってアンテナ形状に形成されている。
国際特許公開2007/094494号
ところで、成形品表面に、上述の金属層と導電層の両方を形成したい場合がある。例えば、携帯デバイスの場合、その筐体の表面に、意匠性を高めるための金属光沢を筐体表面に付与する金属層と、アンテナ、非接触充電用コイル、またはタッチセンサの電極などとして機能する導電層とを設けたい場合がある。
この場合、成形品表面に金属層を形成し、その金属層上に(絶縁層を介して)導電層を形成すると、金属層が導電層によって部分的に覆われ、金属層が金属光沢を成形品表面に付与して意匠性を高める役割を十分に果たせなくなる。
これとは逆に、成形品表面に導電層を形成し、その導電層上に(絶縁層を介して)金属層を形成すると、金属層が導電層の機能を低下させる。例えば、金属層がアルミニウム層であって、導電層がアンテナとして形成された場合、そのアンテナは、アルミニウム層によって通信を遮られる。また、導電層が非接触充電用コイルとして形成された場合、そのコイルが発生した磁束が金属層によって遮られ、充電が行えない可能性がある。さらに例えば、導電層が静電容量式のタッチセンサとして形成された場合、指などの誘電体が触れてもタッチセンサの静電容量が適切に変化せず、誘電体の接触または接近を検出できない可能性がある。
そこで、本発明は、物体表面に金属様外観を付与する金属層が意匠性を高める役割を十分に果たせるように、且つ導電層がアンテナなどとして十分に機能できるように、金属層と導電層とを物体表面に設けることを課題とする。
上述の課題を解決するために、本発明の第1の態様によれば、
アンテナとして機能可能な導電層、物体に金属様外観を付与する金属層、導電層と金属層とを絶縁する絶縁層、および接着層を有し、物体表面に転写される転写箔において、
絶縁層が透明であって、
導電層が、金属層より反物体側に位置し、且つ、銀ナノファイバーを透明なバインダー樹脂に分散してなる透明導電性材料から作製されて透明である、転写箔が提供される。
また、本発明の第2の態様によれば、
非接触充電用コイルとして機能可能な導電層、物体に金属様外観を付与する金属層、導電層と金属層とを絶縁する絶縁層、および接着層を有し、物体表面に転写される転写箔において、
絶縁層が透明であって、
導電層が、金属層より反物体側に位置し、且つ、銀ナノファイバーを透明なバインダー樹脂に分散してなる透明導電性材料から作製されて透明である、転写箔が提供される。
さらに、本発明の第3の態様によれば、
タッチセンサとして機能可能な導電層、物体に金属様外観を付与する金属層、導電層と金属層とを絶縁する絶縁層、および接着層を有し、物体表面に転写される転写箔において、
絶縁層が透明であって、
導電層が、金属層より反物体側に位置し、且つ、銀ナノファイバーを透明なバインダー樹脂に分散してなる透明導電性材料から作製されて透明である、転写箔が提供される。
さらにまた、本発明の第4の態様によれば、
金属層が物体表面に金属光沢を付与する、第1から第3の態様のいずれか1つに記載の転写箔が提供される。
さらにまた、本発明の第5の態様によれば、
導電層の反物体側に透明な樹脂からなる保護層をさらに有する、第1から第3の態様のいずれか1つに記載の転写箔が提供される。
加えて、本発明の第6の態様によれば、
金属様外観を備えた筐体とアンテナとを有する電子機器において、
筐体に転写された転写箔を有し、
転写箔が、アンテナとして機能可能な導電層、筐体に金属様外観を付与する金属層、および導電層と金属層とを絶縁する透明な絶縁層を有し、
転写箔の導電層が、金属層より反筐体側に位置し、且つ、銀ナノファイバーを透明なバインダー樹脂に分散してなる透明導電性材料から作製されて透明である、電子機器が提供される。
また、本発明の第7の態様によれば、
金属様外観を備えた筐体と非接触充電用コイルとを有する電子機器において、
筐体に転写された転写箔を有し、
転写箔が、非接触充電用コイルとして機能可能な導電層、筐体に金属様外観を付与する金属層、および導電層と金属層とを絶縁する透明な絶縁層を有し、
転写箔の導電層が、金属層より反筐体側に位置し、且つ、銀ナノファイバーを透明なバインダー樹脂に分散してなる透明導電性材料から作製されて透明である、電子機器が提供される。
さらに、本発明の第8の態様によれば、
金属様外観を備えた筐体とタッチセンサとを有する電子機器において、
筐体に転写された転写箔を有し、
転写箔が、タッチセンサとして機能可能な導電層、筐体に金属様外観を付与する金属層、および導電層と金属層とを絶縁する透明な絶縁層を有し、
転写箔の導電層が、金属層より反筐体側に位置し、且つ、銀ナノファイバーを透明なバインダー樹脂に分散してなる透明導電性材料から作製されて透明である、電子機器が提供される。
さらにまた、本発明の第9の態様によれば、
電子機器が携帯デバイスである、第6から第8の態様のいずれか1つに記載の電子機器が提供される。
さらにまた、本発明の第10の態様によれば、
電子機器がPCデバイスである、第6から第8の態様のいずれか1つに記載の電子機器が提供される。
さらにまた、本発明の第11の態様によれば、
アンテナとして機能可能な導電層、物体に金属様外観を付与する金属層、導電層と金属層とを絶縁する絶縁層、および接着層を有し、物体表面に転写される転写箔において、
絶縁層が透明であって、
導電層が、金属層より反物体側に位置し、且つ、透明導電性ファイバーを透明なバインダー樹脂に分散してなる透明導電性材料から作製されて透明である転写箔が提供される。
本発明によれば、物体表面(例えば携帯デバイスの筐体表面)に、金属様外観を付与する金属層と、その金属層の反物体側に、透明な絶縁層を介して、アンテナなどとして機能する透明な導電層とが設けられる。導電層が金属層より外側に位置するが、導電層が銀ナノファイバーを含む透明導電性材料から作製されているため、金属層を導電層を介して視認することができる。したがって、金属層は、物体表面に意匠性を高める金属光沢を付与する役割を十分に果たすことができる。また、導電層が金属層より外側に位置するので、例えばアンテナとして機能する導電層は、電波を金属層によって遮られることなく送受信できる。
本発明の一実施形態に係る、転写箔が転写された携帯デバイスを示す図である。 本発明の一実施形態に係る転写箔の断面を示す図である。 本発明の一実施形態に係る転写箔の作製方法を説明するための図である。 転写箔の一例の転写方法を説明するための図である。 転写箔の別例の転写方法を説明するための図である。 本発明の別の実施形態に係る、転写箔が転写されたパーソナルコンピューター)を示す図である。
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器を示す図である。図に示す電子機器10は、例えば携帯電話などの携帯デバイスであって、金属光沢を持つ筐体(裏側)部品12を有する。また、携帯デバイス10は、筐体部品12にアンテナ14を内蔵している。アンテナ14は、例えば電話通信用アンテナ、Wi−Fi(ワイファイ:登録商標)アンテナなどである。
筐体部品12は、その部分断面図である図2に示すように、成形品(樹脂成形品)からなる本体16と、本体16の表面に転写されて該表面に金属光沢を付与する転写箔18とから構成されている。
具体的には、転写箔18は、例えば厚さ40〜60μmの箔体であって、図2に示すように、複数の層から構成されている。転写箔18は、筐体部品12の本体16側から順に、接着層20、金属層22、絶縁層24、導電層26、およびハードコート層28を積層して構成されている。なお、図2はディフォルメ図面であるため、図中の複数の層20〜28の厚さ(厚さの比)は、実際のものと異なる。
転写箔18の接着層20は、転写箔18と本体16とを接合する接着剤の層であって、本体16の樹脂材料の種類に適した感熱性または感圧性の樹脂からなる。例えば、本体16がアクリル系樹脂であれば、接着層20の材料として、例えばアクリル系樹脂が選択される。また例えば、本体16がポリカーボネートまたはポリスチレン系樹脂であれば、接着層20の材料として、例えばアクリル、ポリスチレン、ポリアミド系樹脂を選択するのが好ましい。
金属層22は、接着層20の反本体16側(転写箔18が本体16に転写されたとき)にあって、携帯デバイス10の表面、すなわち筐体部品12の表面に所望の金属様外観、本実施形態では金属光沢を付与する役割をする金属材料からなる層である。金属層22は、例えば、アルミニウム、スズ、ニッケル、銅、亜鉛などからなる。また、金属層22は、合金であっても良いし、複数の種類の金属材料を重ねて、または部分的に構成して(模様として)形成されたものであってもよい。
絶縁層24は、金属層22の反本体16側にあって、金属層22と導電層26とを絶縁し、且つ金属層22が透けて見えることが可能な透明な層である。絶縁層24の材料として、例えば、塩化ビニル、エポキシ、ポリエステル系樹脂が選択される。
導電層26は、電気が流れ、アンテナ14として機能可能な形状にパターン形成され、且つ金属層22が透けて見えることが可能な透明な導電層である。本実施形態において、導電層26は、図1に示すように、ループアンテナ形状にパターン形成されている。なお、導電層26のパターンは、アンテナ14の種類に応じて対応する形状が適宜選択される。また、図示されてはいないが、導電層26は、携帯デバイス10内の電子部品(例えば筐体部品12内の無線通信用電子部品)に電気的に接続され、アンテナとして機能する。
なお、導電層26がアンテナとして機能する場合、導電層26は一定の太さを有するので導電層26が劣化しても機能が損なわれにくいという特性を有する。
この導電層26は透明導電性ファイバーと、透明導電性ファイバーを保持する透明なバインダー樹脂からなる透明導電性材料34によって形成されている。透明導電性ファイバーの大きさとしては、幅が0.1nm〜1μmの範囲で、長さが0.05nm〜100μmの範囲にあればよい。
透明導電性ファイバーの材質としては、銀、銅、金、インジウム、スズ、アルミ、ニッケル、クロムなどの金属、合金およびその金属酸化物や、カーボンナノチューブ、有機導電ポリマーなどの有機物が使用できる。なお、上記一群の中でも透明導電性ファイバーとしては、銀ナノファイバーが最も好ましい。なぜなら成形性に優れ透明度が高くかつ印刷などによるパターニングが容易だからである。
透明導電性ファイバーとして銀ナノファイバーを使用する場合、銀ナノファイバー30は、直径が例えば0.3〜300nmであって、長さが例えば0.1〜30μmの銀の極細短繊維であり、バインダー樹脂32内に分散されていることが好ましい。銀ナノファイバー30は、例えば、銀イオンを担持する前駆体の表面にプローブの先端から電圧または電流を印加し、このプローブの先端を前駆体から離れるように移動させることにより、前駆体から連続的に引き出されて作製される。
バインダー樹脂32は、例えばアクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルなどの透明な樹脂である。
このバインダー樹脂32に分散する銀ナノファイバー30の分散量は、主に、透明導電性材料34に対して要求される透明性と導電性とによって決定される。
透明導電性材料34の透明性は、実質的には、銀ナノファイバー30が小さいために、光がバインダー樹脂32内を銀ナノファイバー30に反射されるまたは吸収されることなく透過することにより実現される。しかし、銀ナノファイバー30の分散量が多すぎると、透明導電性材料34の透明性(透明度)は低下する。このように、透明導電性材料34の透明性は、透明バインダー樹脂32に対する銀ナノファイバー30の分散量によって決まる。
透明導電性材料34の導電性は、バインダー樹脂32内の導電性の銀ナノファイバー30の分散量によって決まる。銀ナノファイバー30の分散量が多量であればあるほど透明導電性材料34の導電性は上がり、すなわち透明導電性材料34で作製された導電層26の抵抗が低くなる。これとは反対に、銀ナノファイバー30の分散量が少量であれば、透明導電性材料34の導電性は下がり、導電層26の抵抗が高くなる。
例えば、アクリル樹脂材料のバインダー樹脂から透明度90%、導電性絶縁抵抗値1×10Ωの透明導電性材料を作製する場合、バインダー樹脂100質量部あたり、銀ナノファイバーは6質量部だけ分散される。
ハードコート層28は、転写箔18の最も外(本体16から最も遠く外気に触れる位置)にあって、転写箔18を保護し、且つ金属層22が透けて見えることが可能な透明な保護層である。ハードコート層28の材料として、例えば、アクリルまたはポリエステル系樹脂、もしくは塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂のコポリマーが選択される。また、高い耐擦傷性が要求される場合は、ハードコート層28の材料として、例えば、紫外線硬化性樹脂または電子線硬化性樹脂などの活性エネルギー線硬化性樹脂(紫外線、電子線、光などの活性エネルギー線が照射されると硬化する樹脂)が選択される。
なお、上述したように、転写箔18の複数の層のうち、金属層22より上層に位置する絶縁層24、導電層26、およびハードコート層28は金属層22が透けて見えるように透明であるが、その透過率は50%以上、好ましくは80%以上がよい。透過率が50%より小さいと、金属層22からの反射光が弱く、十分な金属光沢を得られないからである。
次に、転写箔18の作製方法について、図3を参照しながら説明する。
まず、図3(A)に示すように、ベースフィルム36上にハードコート層28が形成される。ベースフィルム36は、ハードコート層28を保護するフィルムであって、ハードコート層28から剥離可能なフィルムである。このようなベースフィルム36の材料として、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、アクリルなどの樹脂フィルムが選択される。また、ハードコート層28から剥離可能であれば、ベースフィルム36は、樹脂に限らず、紙、セルロースなどであってもよい。ハードコート層28は、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、またはオフセット印刷法によってベースフィルム36上に形成される。
ベースフィルム36上にハードコート層28が形成されると、次に、図3(B)に示すように、ハードコート層28上に導電層26が形成される。導電層26は、例えばグラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷などの印刷方法、またはインクジェット、ダイコータなどの塗布方法によって、上述の透明導電性材料34をハードコート層28の表面にループアンテナ形状に印刷(塗布)することにより形成される。
導電層26がハードコート層28上に形成されると、図3(C)に示すように、絶縁層24が、導電層26を完全に覆うように該導電層26上に形成される。具体的には、次の工程において形成される金属層22と導電層26とが確実に絶縁できる厚さに絶縁層24が形成される。絶縁層24は、例えば、グラビアコート法、ロールコート法、コンマート法、グラビア印刷法、オフセット法などによって形成される。
絶縁層24が形成されると、図3(D)に示すように、絶縁層24上に金属層22が形成される。金属層22は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法などによって形成される。
金属層22が形成されると、図3(E)に示すように、接着層20が金属層22上に形成される。接着層20は、例えば、グラビアコート法、ロールコート法、コンマート法、グラビア印刷法、オフセット法などによって形成される。
なお、接着層20が常温で粘着性を有する材料から形成されている場合、接着層20を保護する剥離シート、いわゆる台紙を接着層20に貼り付けるのが好ましい。
また、本発明に係る転写箔18は、接着層20、金属層22、絶縁層24、導電層26、ハードコート層28以外の層があってもよい。例えば、2つの層の間の接合を強固にするために、例えば、接着層20と金属層22との接合を強固にするために、接着層20と金属層22との間にアンカー層があってもよい。例えば、アンカー層の材料として、二液性硬化ウレタン樹脂、熱硬化ウレタン樹脂、メラミン系樹脂、またはセルロースエステル系樹脂が選択される。
さらに、例えば、転写箔18は、転写箔18が転写される物体(本実施形態においては筐体部品12の本体16)に金属光沢を付与するとともに、模様やマークなどの図柄を付与できるようにしてもよい。
この場合、転写箔18において、図柄を付与する図柄層は、金属層22より外側の位置(転写されたときに金属層22によって隠れずに見える位置)に形成される。このような図柄層は、例えば、バインダー樹脂に顔料や染料などの着色剤を含有してなる着色インクによって、金属層22の表面上、または金属層22より外側に位置する層(例えば、ハードコート層28)の表面上に形成される。この着色インクのバインダー樹脂として、例えば、ポリビニル、ポリアミド、またはポリエステル系樹脂が選択される。図柄層は、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷によって形成される。
ここからは、転写箔18の転写方法について説明する。なお、本発明の転写箔18は、その転写方法を限定しないが、ここでは一例の転写方法について説明する。
図4は、物体に転写箔を転写する熱転写機50を使用した転写方法を示している。なお、ここで説明する転写箔18の接着層20は、感熱式の樹脂からなる。
この熱転写機50は、物体(本実施形態においては筐体部品12の本体16)に転写箔を密着させた状態を維持しつつ、その転写箔を加熱しながら物体に向かって押圧することにより、物体に転写箔を転写する装置である。
具体的には、図4に示すように、熱転写機50は、概略、筐体部品12の本体16を覆うように置かれた転写箔18を該本体16側に吸引する複数の吸引孔52と、膨らんで転写箔18を本体16に向かって押圧するシリコンラバーのバルーン54と、転写箔18を固定するクランプ装置56とを有する。
まず、図4(A)に示すように、筐体部品12の本体16が熱転写機50にセットされ、その本体16上に転写箔18が配置される。このとき、転写箔18は、その接着層20が本体16に対向した状態で配置されている。
次に、図4(B)に示すように、クランプ装置56によって転写箔18を固定するとともに、複数の吸引孔52によって転写箔18を本体16に向かって吸引する。吸引孔52による吸引により、転写箔18と本体16との間の空気が抜かれ、これらは密着する。
吸引孔52による吸引によって転写箔18と本体16とを十分に密着させた後、転写箔18上に位置するバルーン54を、その内部に熱風を導入することによって膨張させる。そして、図4(C)に示すように、膨張したバルーン54によって転写箔18を本体16に強く密着させる。このとき、バルーン54内の熱い空気によって転写箔18の接着層20が加熱軟化され、この接着層20によって転写箔18と本体16とが接着する。
転写箔18と本体16との接着が完了すると、熱転写機50から転写箔18が接着された本体16が取り出され、転写箔18の余分な部分をトリミングして、転写箔18が転写された本体16、すなわち筐体部品12が完成される。なお、転写箔18のハードコート層28が活性エネルギー線硬化性樹脂からなる場合、活性エネルギー線が転写箔18に照射される。
この図4に示す方法の利点、すなわち熱転写機50の利点は、複雑な形状の物体に転写箔を転写可能なことである。転写箔を物体に加熱しながら押圧するバルーンが、物体の表面形状に合わせて変形できるため、凹凸が大きい表面に対して転写箔を転写することができる。
なお、図4に示す方法と類似する方法として、ロール式熱転写機やアップダウン式熱転写機を使用した転写箔の転写方法がある。ロール式熱転写機は、ヒータ内蔵のシリコンロールによって転写箔を物体表面に加熱しながら押圧することにより、転写箔を物体表面に転写する。アップダウン式熱転写機は、シリコンラバーが取付けられた加熱板が降下して転写箔を物体表面に押圧することにより、転写箔を物体表面に転写する。
次に、図4に示す方法とは異なる、転写箔18の転写方法について説明する。図4に示す転写方法は、形を有する物体に対して、本実施形態で言えば成形品に対して転写箔を転写する方法であるが、次に説明する転写方法はこれとは異なる。
図5に示す転写方法は、射出成形同時転写法である。
まず、図5(A)に示すように、転写箔18が射出成形機の射出成形金型60の一方の型60aにクランプ装置(図示せず)によって固定される。
転写箔18の固定が完了すると、射出成形金型60が閉じられ、図5(B)に示すように、溶融した樹脂Pが他方の型60bに形成されたゲート62を介して金型60内に射出される。このとき、溶融した樹脂Pの熱や射出圧によって転写箔18が型60aの成形面64に密着して成形される。
射出成形金型60内の樹脂Pが硬化すると、図5(C)に示すように金型60が開けられる。そして、転写箔18の余分な部分をトリミングすれば、転写箔18が本体16に転写されてなる筐体部品12が得られる。
本実施形態によれば、携帯デバイス10の筐体部品12の本体16の表面に転写箔18を転写することにより、筐体部品12の表面に金属光沢を付与する金属層22と、その金属層22の反本体16側に、透明な絶縁層24を介して、アンテナ14として機能する透明な導電層26とが設けられる。導電層26(アンテナ14)が金属層22より外側に位置するが、導電層26が銀ナノファイバー30を含む透明導電性材料34から作製されているため、金属層22を導電層26を介して視認することができる。したがって、金属層22は筐体部品12の表面に意匠性を高める金属光沢を付与する役割を十分に果たすことができる。また、導電層26、すなわちアンテナ14が金属層22より外側に位置するので、アンテナ14は電波を金属層22によって遮られることなく送受信できる。
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されない。
例えば、本発明に係る転写箔18が転写される対象は、携帯デバイス10に限らない。本発明に係る転写箔は、転写箔18の接着層20を構成する接着剤を適切に選択すれば、あらゆる対象に転写可能である。例えば、図6に示すようにPC(パーソナルコンピューター)110の表面部分112にも可能である。PC110の表面部分に転写箔が転写される場合、PC110の表面部分112の転写箔が転写される面積は、携帯デバイスのそれと比べて広いので、PCの表面部分には携帯デバイスと比べて大きなアンテナ114を設置することができる。その結果、精度の高いアンテナ機能を有するPC110を作製することができる。
加えて、上述の実施形態の場合、転写箔18の導電層26はアンテナ14として機能するが、本発明はこれに限らない。
例えば、転写箔18の導電層26は、非接触充電に使用されるコイル、すなわち通電されると磁束を発生するコイル(給電側コイル)、または逆に磁束を受けると電流を発生するコイル(受電側コイル)であってもよい。これにより、この転写箔が転写された電子機器は、同様のコイルを備える他の電子機器(例えば、携帯デバイスの充電スタンド)との間で非接触充電が可能になる。
なお、補足すると、本発明の転写箔(金属層がコイルより内側にある転写箔)によれば、その結果として非接触充電を行うコイル同士の間に金属層が介在しないので、非接触充電を実行することができる(金属層によって磁束が遮られることがない)。
また例えば、転写箔18の導電層26は、静電容量式のタッチセンサであってもよい。これにより、この転写箔が転写された携帯デバイスは、タッチセンサからなる入力手段を持つことができる。
なお、補足すると、本発明の転写箔によれば、タッチセンサと指などの誘電体(タッチセンサをタッチする誘電体)との間に金属層が介在しないので、タッチセンサから指などの誘電体に向かってまたはその逆に適切に見かけ上電流が流れる(見かけ上電荷が移動する)。これにより、タッチセンサの静電容量が適切に変化し、タッチセンサは、指などの誘電体が該タッチセンサに触れたことまたは接近したことを検出することができる。
最後に、上述のような、すなわち図2に示す転写箔18の透明な導電層26の透明導電性材料34として、ITO(酸化インジウムスズ)が考えられるが、ITOは可撓性に劣るため、ITOからなる導電層は自由に湾曲させることができない。そのため、曲面に転写可能な転写箔の特徴が損なわれる。これに対し、本発明の導電層を構成する透明導電性材料は、実質的には樹脂であるので(バインダー樹脂であるので)、ITOに比べて可撓性に優れている。したがって、曲面に転写可能な転写箔の特徴が損なわれることがない。
16 物体(筐体部品の本体)
20 接着層
22 金属層
24 絶縁層
26 導電層
30 銀ナノファイバー
32 バインダー樹脂
34 透明導電性材料

Claims (11)

  1. アンテナとして機能可能な導電層、物体に金属様外観を付与する金属層、導電層と金属層とを絶縁する絶縁層、および接着層を有し、物体表面に転写される転写箔において、
    絶縁層が透明であって、
    導電層が、金属層より反物体側に位置し、且つ、銀ナノファイバーを透明なバインダー樹脂に分散してなる透明導電性材料から作製されて透明である転写箔。
  2. 非接触充電用コイルとして機能可能な導電層、物体に金属様外観を付与する金属層、導電層と金属層とを絶縁する絶縁層、および接着層を有し、物体表面に転写される転写箔において、
    絶縁層が透明であって、
    導電層が、金属層より反物体側に位置し、且つ、銀ナノファイバーを透明なバインダー樹脂に分散してなる透明導電性材料から作製されて透明である転写箔。
  3. タッチセンサとして機能可能な導電層、物体に金属様外観を付与する金属層、導電層と金属層とを絶縁する絶縁層、および接着層を有し、物体表面に転写される転写箔において、
    絶縁層が透明であって、
    導電層が、金属層より反物体側に位置し、且つ、銀ナノファイバーを透明なバインダー樹脂に分散してなる透明導電性材料から作製されて透明である転写箔。
  4. 金属層が物体表面に金属光沢を付与する請求項1から3のいずれか1項に記載の転写箔。
  5. 導電層の反物体側に透明な樹脂からなる保護層をさらに有する請求項1から3のいずれか1項に記載の転写箔。
  6. 金属様外観を備えた筐体とアンテナとを有する電子機器において、
    筐体に転写された転写箔を有し、
    転写箔が、アンテナとして機能可能な導電層、筐体に金属様外観を付与する金属層、および導電層と金属層とを絶縁する透明な絶縁層を有し、
    転写箔の導電層が、金属層より反筐体側に位置し、且つ、銀ナノファイバーを透明なバインダー樹脂に分散してなる透明導電性材料から作製されて透明である電子機器。
  7. 金属様外観を備えた筐体と非接触充電用コイルとを有する電子機器において、
    筐体に転写された転写箔を有し、
    転写箔が、非接触充電用コイルとして機能可能な導電層、筐体に金属様外観を付与する金属層、および導電層と金属層とを絶縁する透明な絶縁層を有し、
    転写箔の導電層が、金属層より反筐体側に位置し、且つ、銀ナノファイバーを透明なバインダー樹脂に分散してなる透明導電性材料から作製されて透明である電子機器。
  8. 金属様外観を備えた筐体とタッチセンサとを有する電子機器において、
    筐体に転写された転写箔を有し、
    転写箔が、タッチセンサとして機能可能な導電層、筐体に金属様外観を付与する金属層、および導電層と金属層とを絶縁する透明な絶縁層を有し、
    転写箔の導電層が、金属層より反筐体側に位置し、且つ、銀ナノファイバーを透明なバインダー樹脂に分散してなる透明導電性材料から作製されて透明である電子機器。
  9. 電子機器が携帯デバイスである請求項6から8のいずれか1項に記載の電子機器。
  10. 電子機器がPCデバイスである請求項6から8のいずれか1項に記載の電子機器。
  11. アンテナとして機能可能な導電層、物体に金属様外観を付与する金属層、導電層と金属層とを絶縁する絶縁層、および接着層を有し、物体表面に転写される転写箔において、
    絶縁層が透明であって、
    導電層が、金属層より反物体側に位置し、且つ、透明導電性ファイバーを透明なバインダー樹脂に分散してなる透明導電性材料から作製されて透明である転写箔。
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