JP2011251316A - アーク溶接方法およびその装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プラズマトーチ10を用いてワークWにアーク溶接を施すアーク溶接方法であって、プラズマトーチが進行する接合方向に対して直交する方向の磁場Bをワークの内部に生成し、プラズマトーチと前記ワークとの間に流れる電流Iと、磁場とに起因したローレンツ力Fにより、アークAの先端側をプラズマトーチの進行方向前方へ曲げて溶接する。この場合、ワークの接合線の両側に、磁力がアークに及ぼす影響に比べてワークの内部に及ぼす影響がより大きくなる位置に電磁石21を配置することによって、磁場を生成する。
【選択図】図1
Description
この現象を解消するため、例えば、図11、図12に示すように、アークトーチ100のノズルの先端からワークWに延びるアークAに磁場(図12にBで示す)を作用させることにより、ローレンツ力F(図12にFで示す)を用いてアークAを前方へ振らせる技術が提案されている(特許文献1参照)。
すると、この曲がったアークAがノズル自体を焼くことなり、ノズルの先端部が消耗していくため、先端部チップの交換頻度が上がる。
また、アークAが根元側から前方へ曲がることで、アークAがワークWから浮いてしまい、入熱領域が浅くなるため、最終的に入熱量が低下する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るアーク溶接装置としてのプラズマアーク溶接装置1の斜視図である。
プラズマアーク溶接装置1は、アークトーチとしてのプラズマトーチ10と、磁場生成機構としての磁場生成部材20と、支持フレーム30と、を備える。
第2ノズル14の先端には、円環形状の第2噴出口15が形成されており、この第2噴出口15を通して、シールドガスが噴出する。
第2ノズル14の噴出口15は、第1ノズル12の噴出口13よりも、電極10の軸方向の先端側に位置している。
磁場生成部材20がワークの内部に生成する磁場Bは、プラズマトーチ10の進行方向(接合方向)に対して直交する方向の磁場である。この磁場Bと、プラズマトーチ10とワークWとの間に流れる電流Iとに起因したローレンツ力Fにより、アークAの先端側はプラズマトーチ10の進行方向前方へ曲げられる。
すなわち、プラズマトーチ10の進行方向(接合方向)に向かって突き合わせ部の一側(例えば左側)には、N極の電磁石21(N)が、接合方向の前後に2つ配置される。
プラズマトーチ10の進行方向(接合方向)に向かって突き合わせ部の他側(例えば右側)には、S極の電磁石21(S)が、接合方向の前後に2つ配置される。
同様に、接合方向後方の電磁石21(N)と電磁石21(S)は、突き合わせ部の延びる方向(接合線)と直交する平面内で互いに対向して配置される。そのため、接合方向後方の電磁石21(N)から電磁石21(S)へ向かう磁場の方向Bは、突き合わせ部の延びる方向(接合線)と直交する。
すなわち、支持フレーム30によって、4つの電磁石21は、その下端面が、クランプ31の上面との間に微小な間隙を隔てる高さに支持される。
支持フレーム30によって、プラズマトーチ10は、その下端から延びるアークAが、ワークWの突き合わせ部を溶接する所定の高さに支持される。
具体的には、厚みが薄い板材であるワークW(1)と、ワークW(1)よりも厚みが厚い板材であるワークW(2)を突き合わせ溶接して、テーラードブランク材を形成する。
また、第1ノズル12の第1噴出口13からプラズマガスを噴出させつつ、電極11とワークW(1)、W(2)との間に電圧を印加してアークAを発生させる。また、第2ノズル14の第2噴出口15から、アークAの周囲を囲むようにシールドガスを噴出させる。
(1)ワークWの内部に磁場Bを生成することにより、磁場Bが最も強い箇所はワークWの内部であり、ワークWから離れるにしたがって磁場Bは弱くなる。したがって、アークAを曲げるローレンツ力Fは、ワークWに近いほど強く、プラズマトーチ10に近いほど弱くなる。そのため、アークAの先端側のみを接合方向前方へ曲げることができる。
(2)アークAの先端側のみを接合方向前方へ曲げることができるため、例えばアークAが根元側から曲がる場合のように、アークAがワークWから浮いてしまうことがなく、深い入熱領域が得られる。そのため、十分な溶け込み深さを確保することができる。
(3)アークAの先端側のみを接合方向前方へ曲げて、しかも十分な溶け込み深さを確保することができるため、アークAの接合方向前方に十分な入熱量を確保することができる。そのため、溶接速度を向上させることができる。
(4)アークAの先端側のみを接合方向前方へ曲げることができるため、例えばアークAが根元側から曲がる場合のように、曲がったアークAがノズル自体を焼いてしまうことがなく、ノズルにダメージを及ぼさない。そのため、ノズル先端部の消耗を低減することができる。
プラズマアーク溶接装置2は、アークトーチとしてのプラズマトーチ40と、磁場生成機構としての磁場生成部材20と、支持フレーム30と、を備える。
この第1ノズル42は、筒状の内筒部44と、この内筒部44を囲んで設けられた外筒部45と、を備える。
外筒部45の先端部分は、先端に向かうに従って細くなる略円錐形状であり、この外筒部45の先端部分の外周面には、電極41の軸方向に対して傾斜した複数の溝部46が形成される。この溝部46は、外筒部45の先端まで延びている。
第2ノズル47の噴出口48は、電極41から離れる方向に向いている。また、第2ノズル47の噴出口48は、第1ノズル42の噴出口43よりも、電極41の軸方向の基端側に位置している。
また、上述の第1ノズル42の溝部46は、第2ノズル47の噴出口48まで延びている。
具体的には、厚みが薄い板材であるワークW(1)と、ワークW(1)よりも厚みが厚い板材であるワークW(2)を突き合わせ溶接して、テーラードブランク材を形成する。
また、第1ノズル42の第1噴出口43からプラズマガスを噴出させつつ、電極41とワークW(1)、W(2)との間に電圧を印加してアークAを発生させる。また、第2ノズル47の第2噴出口48から、アークAの周囲を囲むようにシールドガスを噴出させる。
具体的には、図8に示すように、ワークW(1)、W(2)の8箇所にシールドガスが吹き付けられ、各箇所でのシールドガスの流れる方向は、図8中黒矢印で示すようになる。
(5)厚みの異なるワークW(1)、W(2)を溶接する場合、螺旋状に流れるシールドガスを溶融池Pの表面に吹き付けて、アークAの進行方向後側の溶融金属を、薄い方のワークW(1)に向かって移動させることができる。これにより、この移動した溶融金属により薄い方のワークW(1)の母材の凹んだ部分を埋めることができる。その結果、薄い方のワークW(1)の板厚がアンダカットにより薄くなるのを抑制して、溶接後のワークWの強度を確保できる。
10…プラズマトーチ(アークトーチ)
20…磁場生成部材(磁場生成機構)
A…アーク
B…磁場
I…電流
F…ローレンツ力
Claims (3)
- アークトーチを用いてワークにアーク溶接を施すアーク溶接方法であって、
前記アークトーチが進行する接合方向に対して直交する方向の磁場を前記ワークの内部に生成し、
前記アークトーチと前記ワークとの間に流れる電流と、前記磁場とに起因したローレンツ力により、アークの先端側を前記アークトーチの進行方向前方へ曲げて溶接するアーク溶接方法。 - 請求項1に記載のアーク溶接方法において、
前記ワークの接合線の両側に、磁力がアークに及ぼす影響に比べて前記ワークの内部に及ぼす影響がより大きくなる位置に磁石を配置することによって、前記磁場を生成するアーク溶接方法。 - ワークにアーク溶接を施すアークトーチと、
前記アークトーチが進行する接合方向に対して直交する方向の磁場であって、当該磁場と、前記アークトーチと前記ワークとの間に流れる電流とに起因したローレンツ力により、アークの先端側を前記アークトーチの進行方向前方へ曲げる磁場を、前記ワークの内部に生成する磁場生成機構と、
を備えるアーク溶接装置。
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