JP5587918B2 - 羽根車の溶接方法、溶接装置及び羽根車 - Google Patents

羽根車の溶接方法、溶接装置及び羽根車 Download PDF

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Description

本発明は、遠心圧縮機等に用いられる羽根車の溶接方法及び溶接装置に係り、特に、羽根車の構成部材である羽根と心板、側板等の外装体とを接合するのに好適な溶接方法及び溶接装置に関する。
遠心圧縮機等に使用される羽根車のうち、図7に示される如くの、心板11、側板12、羽根13から構成される羽根車の製作では、それらの構成部材を接合して一体化するのに、通常、溶接が使用されている。この羽根車の溶接方法としては、図8に示される如くに、別々の部材として加工した心板11と羽根13、及び、側板12と羽根13を被覆アーク溶接、MIG溶接、TIG溶接等のアーク溶接法ですみ肉溶接する方法や、図9に示される如くに、機械加工による削り出し等で心板11と一体に形成された羽根13にスロット穴が穿設された側板を重ね合わせて、スロット穴をアーク溶接法で肉盛溶接して羽根13の端部と側板12を接合する方法が多く用いられている。
しかし、前者は、位置合わせの精度が悪く、また羽根13の高さが小さく、心板11と側板12との間の隙間空間15が小さい場合には溶接棒や溶接トーチが入らず、溶接することができない等の問題がある。後者は、側板12の外側面から溶接を行うため、心板11と側板12の間隙が小さい場合にも適用できる利点があるが、溶接入熱が多いため、溶接変形が大きいことや、アークの変動により側板12と羽根13の接合部に形成される裏波ビード4の形状が不均質になりやすい等の問題がある。
このような問題を解決すべく、従来においては、例えば、下記特許文献1に見られるように、心板11と側板12との間に水溶解性の変形防止材と耐熱性セラミックス製の裏当て材を設置して溶接を行い、溶接変形の抑制と裏波ビードの形状調整を行う方法や、下記特許文献2に見られるように、エネルギー密度が大きく溶接入熱を低減できる電子ビームを熱源として裏波ビードの形成と肉盛溶接を行う方法が提案されている。
特開昭62−107866公報 特開昭63−26285公報
しかしながら、前記した従来の羽根車の溶接方法のうち、水溶解性の変形防止材と耐熱性セラミックス製の裏当て材を用いる方法では、溶接前に変形防止材、裏当て材を設置する工程と、溶接後に変形防止材、裏当て材を除去する工程が必要となり、生産性が良いとは言えない。また、電子ビームを用いる方法では、深溶込みの溶接形態であるため裏波ビードの形状が凸形になりやすく、羽根車使用時の応力集中を避けるために溶接ビードの仕上げ加工、つまり、ビード部分が内方側に凹んだ曲面(R形状)となるように機械加工を施す必要があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、主目的とするところは、溶接ビードの仕上げ加工等を省略ないし簡素化を図りながら、羽根車使用時の応力集中を充分に緩和することができ、また、変形防止材、裏当て材等を不要として生産性の向上を図ることもでき、さらに、肉盛溶接の施工効率の向上、溶接変形の緩和等も図りながら、溶接継手部に所要の強度を確保できる羽根車の溶接方法及び溶接装置を提供することにある。
他の目的とするところは、羽根が三次元的な捩れを有する場合でも、シールドガスを供給するノズルや溶加材を供給するノズル等の溶接装置部分と羽根車との干渉を確実に回避できて、効率よく適切に溶接を行うことのできる羽根車の溶接装置を提供することにある。
前記目的を達成すべく、本発明に係る羽根車の溶接方法は、複数枚の羽根と、心板と側板とからなる外装体と、を備えた羽根車の溶接方法であって、前記羽根に突き合わせられる前記外装体の反突き合わせ側の面に、前記羽根に向けて所定の深さと幅を有する溝を設け、該溝の底部に集光部が方形ないし円形状とされたレーザ光を照射して、前記溝の底部と前記羽根の端部とを裏波溶接する第一の工程と、該第一の工程が完了した後、前記溝の底部に前記レーザ光を走査しながら溶融部に溶加材を供給して肉盛溶接を行う第二の工程と、を有することを特徴とで構成することを特徴としている。
好ましい態様では、前記第一の工程は、前記レーザ光が照射される裏側に形成されるビード部分が内方側に凹んだ曲面となるように裏波溶接される。
この場合、好ましくは、前記溝を、前記羽根の突き合わせ側端部が平面視で幅方向中央に位置するように、前記羽根の長さ方向に沿って設け、前記レーザ光の集光部を前記溝の底部の幅方向中央部を通るように走査するようにされる。
他の好ましい態様としては、前記第一の工程では、前記集光部の長辺もしくは長軸を前記溝の長さ方向に対して平行ないし所定角度傾斜させた状態で前記溝の長さ方向に沿って走査し、前記第二の工程では、前記集光部の長辺もしくは長軸を前記溝の長さ方向に対して第一の工程とは異なる角度に傾斜させた状態で前記溝の長さ方向に沿って走査するようにされる。
さらに、前記羽根車は、複数枚の羽根が設けられた心板もしくは側板と、羽根が設けられていない側板もしくは心板とを備えたものであることが好ましく、前記第二の工程の前記肉盛溶接は、前記溝を埋め戻す溶接であることが好ましい。
より好ましい態様では、前記第一の工程では、前記溝の長さ方向に対して前記集光部の長辺もしくは長軸が平行となる状態で走査し、前記第二の工程では、前記溝の長さ方向に対して前記集光部の長辺もしくは長軸が直交する状態で走査するようにされる。
他の好ましい態様では、溶接部を大気雰囲気からシールドすべく、前記集光部の側方から不活性ガスを溶接点に吹き付けるとともに、該不活性ガスの噴流内を通して溶加材を溶融部に供給するようにされる。
他の別の好ましい態様では、溶接部を大気雰囲気からシールドすべく、前記集光部の側方から不活性ガスを溶接点に吹き付けるとともに、該不活性ガスの噴流内に流速の異なるもう一つの不活性ガスの流れを形成し、この噴流内の不活性ガスの流れに乗せて溶加材としての金属粉末を溶融部に供給するようにされる。
また、本発明に係る羽根車の溶接装置は、長方形ないし楕円形状の集光部を生成するレーザ照射装置と、前記集光部の側方からレーザ光の照射方向と異なる角度で前記集光部に溶加材としての金属粉末を不活性ガスの流れに乗せて供給する金属粉末供給ノズルと、該金属粉末供給ノズルから供給される金属粉末を含んだ不活性ガスの噴流の外周を囲むように流速の異なる不活性ガスを噴出するシールドガスノズルと、を備えていることを特徴としている。
好ましい態様では、前記金属粉末供給ノズルの内部に形成されている金属粉末を含んだ不活性ガスの流路の断面積が出口に向かって小さくなるようにされる。
他の好ましい態様では、前記金属粉末供給ノズルの内部に形成されている金属粉末を含んだ不活性ガスの流路は、その向きが途中で変化せしめられる。
他の別の好ましい態様では、前記シールドガスノズルの出口は、弾性撓曲可能な部材を介して装置本体部に支持される。
そして、本発明に係る羽根車は、前記の羽根車の溶接方法で、前記複数枚の羽根心板、及び側板を接合したことを特徴としている。また、前記羽根車は、遠心圧縮機用であることが好ましい。
本発明に係る羽根車の溶接方法によれば、羽根に溶接すべき心板、側板等の外装体に溝を設け、この溝の底部にレーザ光を照射して溶融させ、裏側に形成されるビード部分が内方側に凹んだ曲面となるように、溝の底部と羽根の端部とを裏波溶接するようにされるので、羽根車使用時の応力集中を充分に緩和することができるとともに、裏波ビードの仕上げ加工を省略ないし簡素化することが可能となり、生産性を向上できる。
また、前記のように溝を設けて裏波溶接を行った後に、レーザ光の集光部を裏波溶接時とは溝の長さ方向に対して異なる傾斜角度をもって走査しながら溶融部に溶加材を供給して肉盛溶接を行うようにされるので、溶接継手部に所要の強度を確保できるとともに、肉盛溶接の施工効率の向上、溶接入熱の総量の低減、溶接変形の緩和等も図ることができ、さらに、変形防止材、裏当て材等も不要となるので、生産性を一層向上できる。
また、本発明に係る羽根車の溶接装置では、レーザ光の集光部の側方からレーザ光の照射方向と異なる角度でシールドガスや溶加材を供給するようにされるので、羽根が三次元的な捩れを有する、いわゆる三次元羽根車であっても、シールドガスを供給するノズルや溶加材を供給するノズル等の溶接装置部分と羽根車との干渉を確実に回避できて、効率よく適切に溶接を行うことができる。
本発明に係る羽根車の溶接方法及び溶接装置の第1実施形態の説明に供される図であり、(A)は第一の工程である裏波溶接時の様子を示す部分切欠断面図、(B)は第二の工程である肉盛溶接時の様子を示す部分切欠断面図。 (A)は、図1の(A)に対応して第一の工程である裏波溶接時の様子を示す部分拡大図、(B)は、図1の(B)に対応して第二の工程である肉盛溶接時の様子を示す部分拡大図。 (A)は、側板に予め形成される溝の説明に供される拡大断面図、(B)は第二の工程である肉盛溶接時に使用される金属粉末供給ノズルの先端部付近の詳細を示す拡大断面図。 本発明に係る羽根車の溶接方法及び溶接装置の第2実施形態の説明に供される図であり、(A)は第一の工程である裏波溶接時の様子を示す部分切欠断面図、(B)は第二の工程である肉盛溶接時の様子を示す部分切欠断面図。 (A)は、図4の(A)に対応して第一の工程である裏波溶接時の様子を示す部分拡大図、(B)は、図4の(B)に対応して第二の工程である肉盛溶接時の様子を示す部分拡大図。 第2実施形態において第二の工程である肉盛溶接時に使用される金属粉末供給ノズルの先端部付近の詳細を示す拡大断面図。 一般的な羽根車の外観を示す斜視図。 従来における羽根車溶接方法の一例の説明に供される図。 従来における羽根車溶接方法の他の例の説明に供される図。
以下、本発明の羽根車の溶接方法及び溶接装置の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1、図2、図3は、本発明に係る羽根車の溶接方法及び溶接装置の第1実施形態の説明に供される図である。
本実施形態は、機械加工によって複数枚の羽根13が形成された心板11と羽根を有さない側板12とを備えた羽根車10において、前記羽根13と側板12とを接合する場合に適用される。なお、心板11、側板12、及び羽根13は、ここでは同じ材質(例えばSUS410)である。前記羽根13に突き合わされる側板12の反突き合わせ側の面には、図2及び図3(A)に示される如くに、予め、羽根13の突き合わせ側端部が平面視で幅方向中央に位置するように所定の深さと幅を有する断面逆台形状の溝14が羽根13の長さ方向(羽根13の突き合わせ側端面)に沿って設けられている。より詳細には、羽根13は三次元的に捩れており、羽根13と突き合わされる側板12の反突き合わせ側の面(外側面)に、底部14aが羽根13と直交するように溝14が設けられ、羽根13の板厚中心が溝14の中心線92と一致するように、心板11及び羽根13上に側板12が乗せ置かれて、仮付け溶接により固定されている。
また、本実施形態で使用されるレーザ溶接装置1は、前記溝14の長さ方向に沿って移動可能な装置本体部2、該装置本体部2に支持固定された二重管構造のノズル(シールドガスノズル22及び該ノズル22内に配在された金属粉末供給ノズル23)等を備えている。装置本体部2は、図1、図2に示される如くに、溝14の底部14aの幅方向中央部に向けてレーザ光21を照射する。該レーザ光21は、前記溝14の底部14a上に形成される集光部211の形状が細長方形(例えば、幅1mm、長さ10mm)となるように、また、集光部211の長辺が溝14の長さ方向に対して平行ないし所定の傾斜角度を持つように、前記装置本体部2においてレンズ等で調節されている。また、前記二重管構造のノズルは、詳細には、前記集光部211の側方からレーザ光21の照射方向と異なる角度で前記集光部211に溶加材としての金属粉末8を不活性ガスの流れに乗せて供給する金属粉末供給ノズル23と、該金属粉末供給ノズル23から供給される金属粉末を含んだ不活性ガスの噴流の外周を囲むように流速の異なる不活性ガスを噴出するシールドガスノズル22とからなっている。
かかるレーザ溶接装置1を用いて、羽根13と側板12とを次のようにして溶接する。
まず、第一の工程として、図1(A)及び図2(A)に示される如くに、レーザ光21の集光部211を、その長辺が溝14の長さ方向に対して平行となる状態で、溝14の底部14aの幅方向中央部(中心線92上)に位置させ、溝14の長さ方向に沿って走査することにより、溝14の底部14aと羽根13の端部とを裏波溶接する。
本例では、シールドガスノズル22は集光部211の側方(溶接方向で見ると後方)に配置され、羽根車10の外周側から中心に向かってレーザ光21を走査するようにされる。この場合、集光部211の長辺側の中心線91を溝14の中心線92と一致させるようにレーザ光21(装置本体部2)を所定の速度で移動させる。また、この走査時(レーザ光照射中)に、シールドガスノズル22から、大気雰囲気による酸化を防止すべく、溶融部(溶接点)に向けて不活性ガスの一種であるアルゴンガス7を吹き付けるようにされる。なお、このときは、金属粉末供給ノズル23からの金属粉末の供給は行わない。
上記のようにして、レーザ溶接装置1を用いて裏波溶接を行うと、図2(A)に示される如くに、溝14に対して縦長の溶融池6(平面視涙滴形)が形成され、溶融金属の羽根13側、側板12の裏面側への濡れ拡がりが促進されて、羽根13の突き合わせ側端部(上端部)の両側に、内方側に凹んだ曲面(R形状)を有する裏波ビード4が形成される。本願発明者等の実験によれば、溝14の幅を羽根13の厚さの2倍以上、溝14の底の厚さを羽根13の厚さ以下とすることで、羽根車使用時の応力集中を充分に緩和できる、半径が羽根13の厚さ以上の凹形曲面を有する裏波ビード4の形成が可能であった。
上記のように、本実施形態の溶接方法及び溶接装置を用いて製作される羽根車10は、羽根13に突き合わせられる側板12の反突き合わせ側の面に設けられた溝14の底部14aが前記羽根13の端部に裏波溶接されて、該裏波溶接によるビード部分4が内方側に凹んだ曲面となり、このため、羽根車使用時の応力集中を充分に緩和することができる。
このようにして、裏波溶接を行った後は、第二の工程として、図1(B)及び図2(B)に示される如くに、前記溝14の底部14aにレーザ光21を走査しながら溶融部6に溶加材8を供給して肉盛溶接を行う。
この肉盛溶接工程では、シールドガスノズル22は集光部211の側方(溶接方向で見ると前方)に配置され、羽根車10の外周側から中心に向かってレーザ光21を走査するようにされる。この場合、図2(B)に示される如くに、集光部211の寸法形状は、幅1mm、長さ10mmの細長方形とされ(裏波溶接工程と同じ)、集光部211の長辺側の中心軸91を溝14の中心線92と直交させるようにされる。また、大気雰囲気による酸化を防止すべく、シールドガスノズル22から溶融部(溶接点)に向けて不活性ガスの一種であるアルゴンガス7を吹き付けるとともに、シールドガスノズル22内部に配在された金属粉末供給ノズル23から溶融部に向けて溶加材である金属粉末8を吹き付けて供給し、肉盛溶接を行う。なお、金属粉末8の材質は共金、つまり、心板11、側板12、及び羽根13と同じ材質(例えばSUS410)である。
図3(B)に金属粉末供給ノズル23の先端部231の断面構造の一例を示す。本例では、金属粉末流路232を先端部231で金属粉末供給ノズル23の中心軸234から15°曲げ、かつ、噴出口233に向かってその流路断面積が次第に小さくなるように(先細り状に)されている。
このような構成のもとで肉盛溶接を行うことにより、噴出された後の金属粉末8の拡がりが抑制され、金属粉末8が効率良く溶融部に溶着する。この結果、レーザ光21と側板12との間の隙間空間が狭く、金属粉末供給ノズル23の中心軸234が集光部211に直線的に向くように配置することができない場合にも、金属粉末供給ノズル23と溝底上の集光部211との距離を50mm以上離すことができ、かつ、金属粉末供給ノズル23がレーザ光21や心板11、側板12と接触することなく肉盛溶接を行うことが可能となる。
また、集光部211の長辺側の中心軸91を溝14の中心線92と直交させるようにして走査することより、溝14に対して幅広(横長楕円状)の溶融池6が形成され、ビード幅の大きい肉盛ビード5が得られ、効率の良い肉盛溶接が実現される。溝14の幅が10mm以下の場合には、1層当たり1パス、10mm以上20mm以下の場合には1層当たり2パスの施工で、溝深さ10mm当たり5層以下での肉盛が可能であった。
なお、複数枚の羽根13に対する施工順序は、まず全ての羽根13に対して第一の工程の裏波溶接を行った後、第二の工程の肉盛溶接を行うことが好ましい。第二の工程の肉盛溶接は、一つの羽根13に対して複数のパスが必要であるが、それぞれの羽根13に対して1パスずつ、もしくは1層ずつ順番に施工を行うと、局部的な溶接変形の防止に効果的である。実際に溶接を行った羽根車1では、溶接前の基準面に対し、羽根車1の直径との比率で0.5%未満の溶接変形に抑制されていた。
以上のように、本実施形態の羽根車の溶接方法及び溶接装置によれば、羽根13に溶接すべき側板12に溝14を設け、この溝14の底部にレーザ光21を所定の態様で照射して溶融させ、裏側に形成されるビード部分4が内方側に凹んだ曲面となるように、溝14の底部14aと羽根13の端部とを裏波溶接するようにされるので、羽根車使用時の応力集中を充分に緩和することができるとともに、裏波ビードの仕上げ加工を省略ないし簡素化することが可能となり、生産性を向上できる。
また、前記のように溝14を設けて裏波溶接を行った後に、レーザ光21の集光部211を裏波溶接時とは溝の長さ方向に対して異なる傾斜角度をもって走査しながら溶融部に金属粉末(溶加材)8を供給して肉盛溶接を行うようにされるので、溶接継手部に所要の強度を確保できるとともに、肉盛溶接の施工効率の向上、溶接入熱の総量の低減、溶接変形の緩和等も図ることができ、さらに、変形防止材、裏当て材等も不要となるので、生産性を一層向上できる。
また、本実施形態の溶接装置1では、レーザ光21の集光部211の側方からレーザ光の照射方向と異なる角度でシールドガス7や溶加材8を供給するようにされるので、羽根13が三次元的な捩れを有する、いわゆる三次元羽根車10であっても、シールドガスを供給するノズル22や溶加材を供給するノズル23等の溶接装置部分と羽根車10との干渉を確実に回避できて、効率よく適切に溶接を行うことができる。
図4、図5、図6は、本発明に係る羽根車の溶接方法及び溶接装置の第2実施形態の説明に供される図である。
本実施形態は、複数枚の羽根13と、羽根を有さない心板11及び側板12とを備えた羽根車10’において、前記羽根13と心板11並びに前記羽根13と側板12とを接合する場合に適用される。羽根13と心板11の接合と羽根13と側板12の接合は基本的には同じである(心板11にも予め溝14を設ける)ので、以下においては、前述した実施形態と同様に羽根13と側板12とを接合する場合を説明する。また、羽根車10’並びに溶接装置1の基本構成も前述した実施形態と略同じであるので、以下においては、同一構成及び同一機能部分には同じ符号を付して重複説明を省略し、相違点を重点的に説明する。
本実施形態では、集光部211の寸法形状は、幅0.5mm、長さ12mmの細長方形とされ、第一の工程である裏波溶接時においては、図5(A)に示される如くに、集光部211の長辺側の中心軸91と溝14の中心線92のなす角度が0〜10°の範囲となるようにされる。なお、本実施形態においても、心板11、側板12、羽根13の材質は同じで、例えばSUS630とされる。かかる構成のもとで、前記実施形態と同様にレーザー光21を溝14の底部14aに照射して走査すると、溝の底部14aに対して縦長の溶融池6が形成され、溶融金属の羽根13側、側板12の裏面側への濡れ拡がりが促進されて、内方側に凹んだ曲面を有する裏波ビード4が形成される。溝14の幅を羽根13の厚さの2倍以上、溝14の底の厚さを羽根13の厚さ以下とすることで、半径が羽根13の厚さ以上の凹形曲面を有する裏波の形成が可能であった。
また、第二の工程である肉盛溶接工程では、集光部211の長辺側の中心軸91と溝14の中心線92のなす角度が80〜90°の範囲となるようにして、羽根車10’の外周側から中心に向かってレーザ光21を走査する。これに加え、シールドガスノズル22から溶融部(溶接点)に向けてアルゴンガス7を吹き付けるとともに、シールドガスノズル22内部に配在された金属粉末供給ノズル23から溶融部に向けてアルゴンガスと共に溶加材である金属粉末8を吹きつけて供給し、肉盛溶接を行う。
なお、金属粉末供給ノズル23の先端部231は、図6に断面構造が示されているように、金属粉末流路232を噴出口233に向かって流路断面積が次第に小さくなるように(先細り状に)されている。これにより、噴出された後の金属粉末8の拡がりが抑制され、金属粉末8が効率良く溶融部に溶着する。この結果、金属粉末供給ノズル23と集光部211とを50mm以上離間させることができ、側板12と金属粉末供給ノズル23がと接触干渉することなく肉盛溶接を行うことが可能となる。
また、シールドガスノズル22の先端部(出口)221を、図4(B)に示される如くに、スプリング状の弾性撓曲部材223を介して装置本体部2に支持させることで、装置本体部2の移動軌跡に誤差が生じ、シールドガスノズル先端部221が心板11や側板12と接触した場合に、シールドガスノズル先端部221のみが折れ曲がり、金属粉末供給ノズル23の位置が変化しないようにできる。シールドガスノズル先端部221が心板11や側板12と離れると、弾性撓曲部材223の元の形状に戻り、シールドガス先端部221は元の設定位置に復帰する。この結果、溝底上の集光部211に安定して金属粉末8を供給することが可能となる。
実際に溶接を行った羽根車10’では、溶接前の基準面に対し、羽根車の直径との比率で0.5%未満の溶接変形に抑制されていた。
このように、本第2実施形態の溶接方法及び溶接装置においても、前述した第1実施形態と略同様な作用効果が得られる。
なお、以上に説明した実施形態では、心板11、側板12、羽根13の材質と溶加材である金属粉末8の材質を同じ(例えばSUS410、SUS630)としたが、他の材料であってもよく、共金でない金属粉末を溶加材を使用しても構わない。また、溶加材は溶接棒や溶接ワイヤの形態であってもよい。シールドガス7及び金属粉末8のキャリアガスは窒素や他の不活性ガスを用いることも可能である。シールドガスノズル22及び金属粉末供給ノズル23の配置態様は、溶接(走査)方向に対して、前記実施形態と反対側であってもよい。また、集光部211の寸法形状は本実施形態と同じである必要はなく、また、集光部は、ダイレクト半導体レーザや、ビーム整形光学系と溶接用の各種レーザと組み合わせで得ることが可能である。
1:溶接装置
2:装置本体部
4:裏波ビード
5:肉盛ビード
6:溶融池
7:アルゴンガス
8:金属粉末
10:羽根車
11:心板
12:側板
13:羽根
14:溝
14a:底部
21:レーザ光
211:集光部
22:シールドガスノズル
221:ノズル先端部
222:ノズル本体
223:弾性撓曲部材
23:金属粉末供給ノズル
231:先端部
232:流路
233:噴出口
234:中心軸
91:中心軸
92:溝の中心線

Claims (15)

  1. 複数枚の羽根と、心板と側板とからなる外装体と、を備えた羽根車の溶接方法であって、
    前記羽根に突き合わせられる前記外装体の反突き合わせ側の面に、前記羽根に向けて所定の深さと幅を有する溝を設け、該溝の底部に集光部が長方形ないし楕円形状とされたレーザ光を照射して、前記溝の底部と前記羽根の端部とを裏波溶接する第一の工程と、該第一の工程が完了した後、前記溝の底部に前記レーザ光を走査しながら溶融部に溶加材を供給して肉盛溶接を行う第二の工程と、を有することを特徴とする羽根車の溶接方法。
  2. 前記第一の工程は、前記レーザ光が照射される裏側に形成されるビード部分が内方側に凹んだ曲面となるように裏波溶接されることを特徴とする請求項1に記載の羽根車の溶接方法。
  3. 前記溝を、前記羽根の突き合わせ側端部が平面視で幅方向中央に位置するように、前記羽根の長さ方向に沿って設け、前記レーザ光の集光部を前記溝の底部の幅方向中央部を通るように走査することを特徴とする請求項1又は2に記載の羽根車の溶接方法。
  4. 前記第一の工程では、前記集光部の長辺もしくは長軸を前記溝の長さ方向に対して平行ないし所定角度傾斜させた状態で前記溝の長さ方向に沿って走査し、前記第二の工程では、前記集光部の長辺もしくは長軸を前記溝の長さ方向に対して第一の工程とは異なる角度に傾斜させた状態で前記溝の長さ方向に沿って走査することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の羽根車の溶接方法。
  5. 前記羽根車は、複数枚の羽根が設けられた心板もしくは側板と、羽根が設けられていない側板もしくは心板とを備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の羽根車の溶接方法。
  6. 前記第二の工程の前記肉盛溶接は、前記溝を埋め戻す溶接であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の羽根車の溶接方法。
  7. 前記第一の工程では、前記溝の長さ方向に対して前記集光部の長辺もしくは長軸が平行となる状態で走査し、前記第二の工程では、前記溝の長さ方向に対して前記集光部の長辺もしくは長軸が直交する状態で走査することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の羽根車の溶接方法。
  8. 溶接部を大気雰囲気からシールドすべく、前記集光部の側方から不活性ガスを溶接点に吹き付けるとともに、該不活性ガスの噴流内を通して溶加材を溶融部に供給することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の羽根車の溶接方法。
  9. 溶接部を大気雰囲気からシールドすべく、前記集光部の側方から不活性ガスを溶接点に吹き付けるとともに、該不活性ガスの噴流内に流速の異なるもう一つの不活性ガスの流れを形成し、この噴流内の不活性ガスの流れに乗せて溶加材としての金属粉末を溶融部に供給することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の羽根車の溶接方法。
  10. 長方形ないし楕円形状の集光部を生成するレーザ照射装置と、前記集光部の側方からレーザ光の照射方向と異なる角度で前記集光部に溶加材としての金属粉末を不活性ガスの流れに乗せて供給する金属粉末供給ノズルと、該金属粉末供給ノズルから供給される金属粉末を含んだ不活性ガスの噴流の外周を囲むように流速の異なる不活性ガスを噴出するシールドガスノズルと、を備えていることを特徴とする羽根車の溶接装置。
  11. 前記金属粉末供給ノズルの内部に形成されている金属粉末を含んだ不活性ガスの流路の断面積が出口に向かって小さくなっていることを特徴とする請求項10に記載の羽根車の溶接装置。
  12. 前記金属粉末供給ノズルの内部に形成されている金属粉末を含んだ不活性ガスの流路は、その向きが途中で変化せしめられていることを特徴とする請求項10又は11に記載の羽根車の溶接装置。
  13. 前記シールドガスノズルの出口は、弾性撓曲可能な部材を介して装置本体部に支持されていることを特徴とする請求項10記載の羽根車の溶接装置。
  14. 請求項1から9のいずれか一項に記載の羽根車の溶接方法で、前記複数枚の羽根、心板、及び側板を接合したことを特徴とする羽根車。
  15. 前記羽根車は、遠心圧縮機用であることを特徴とする請求項14に記載の羽根車。
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