JP2011251302A - 連続鋳造方法、連続鋳造の制御装置及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】溶鋼1から鋳型用の冷却水までの間に凝固シェル2、モールドパウダー層3、鋳型4の各熱伝導体が存在する連続鋳造において、第1の鋳型幅方向位置、及び、鋳型のコーナに近い第2の鋳型幅方向位置それぞれにおいて鋳型内に鋳造方向に位置をずらして埋設された複数の測温手段を用いて、第1の鋳型幅方向位置及び第2の鋳型幅方向位置それぞれにおいて熱伝達係数α及び熱伝達係数βを同時に決定し、凝固シェルの厚みを計算する。そして、第1の鋳型幅方向位置での凝固シェルの厚みに対して第2の鋳型幅方向位置での凝固シェルの厚みが所定の数値を超えて薄いとき、鋳型4のコーナ近傍で凝固遅れが発生していると推定されるので、鋳造速度を減少させて、凝固シェル2の成長時間を確保する。
【選択図】図8
Description
(1)潤滑不良による鋳型と凝固シェルの焼き付きによる破断(拘束性ブレイクアウト)。
(2)凝固シェルの凝固遅れにより厚みが薄くなった部位が破断。
(3)メニスカス(鋳型内の湯面)でなんらかの異物を噛み込み、これを起点として凝固シェルが破断。
(4)凝固シェルの継目で破断。
R=(1/β)+(ds/λs)+(dp/λp)+(1/hm)+(dm/λm)+(1/hw)・・・(101)
β=Nu×λ1×X1・・・(102)
Nu=0.664×Pr1/3×Re4/5(U<U0)・・・(103)
Nu=0.036×Pr1/3×Re1/2(U≧U0)・・・(104)
Re=U×X2/ν・・・(105)
1/α=(dp/λp)+(1/hm)・・・(106)
また、本発明の連続鋳造方法の他の特徴とするところは、前記熱伝達係数決定手順では、前記第1の鋳型幅方向位置において熱伝達係数α及び熱伝達係数βを同時に決定し、凝固シェルの厚みを計算した後、前記第2の鋳型幅方向位置での熱伝達係数βは当該第1の鋳型幅方向位置での熱伝達係数βと同じであるとして、前記第2の鋳型幅方向位置での熱伝達係数α及び熱伝達係数βを同時に決定し、凝固シェルの厚みを計算する点にある。
また、本発明の連続鋳造方法の他の特徴とするところは、前記第1の鋳型幅方向位置は鋳型のコーナから40mm以上で鋳型幅方向中央より内側の範囲で設定され、前記第2の鋳型幅方向位置は鋳型のコーナから40mmまでの範囲で設定される点にある。
また、本発明の連続鋳造方法の他の特徴とするところは、1.0m/minを超える鋳造速度で連続鋳造操業を行い、前記制御手順では、前記第1の鋳型幅方向位置での凝固シェルの厚みに対する前記第2の鋳型幅方向位置での凝固シェルの厚みの割合が0.5を下回っているとき、鋳造速度を0.8m/min以下の速度に減少させる点にある。
また、本発明の連続鋳造方法の他の特徴とするところは、前記制御手順では、前記第1の鋳型幅方向位置での凝固シェルの厚みに対する前記第2の鋳型幅方向位置での凝固シェルの厚みの割合が0.5以上であるが0.7を下回っているとき、鋳造速度を0.8m/minより高速であるが1.0m/min以下の速度に減少させる点にある。
また、本発明の連続鋳造方法の他の特徴とするところは、前記熱伝達係数決定手順では、Tを凝固シェルの温度、T0を溶鋼の温度、Tsを溶鋼と凝固シェルとの界面温度、uを鋳造速度、λsを凝固シェルの熱伝導率、csを凝固シェルの比熱、ρsを凝固シェルの密度、Lを凝固シェルの潜熱、dを鋳型の凝固シェル側の表面から測温手段までの距離、λmを鋳型の熱伝導率として、鋳造方向をz軸、鋳造方向に直交する方向をx軸とする2次元座標上で、凝固シェルの厚みs(z,t)及び凝固シェルの鋳型側の表面温度T(0,z,t)を表わす式(A)、(B)と、凝固シェルの鋳型側の表面−モールドパウダー層−熱電対間の熱収支に基づいて、鋳型を通過する熱流束qm(z,t)を表わす式(C)とを用いて、熱伝達係数α及び熱伝達係数βを同時に決定し、凝固シェルの厚みs(z,t)を計算する点にある。
本発明のプログラムは、溶鋼から鋳型用の冷却水までの間に凝固シェル、モールドパウダー層、鋳型の各熱伝導体が存在する連続鋳造において、凝固シェルと鋳型との間の熱伝達係数α、及び、溶鋼と凝固シェルとの間の熱伝達係数βを求めて、これら熱伝達係数α、βに基づいて連続鋳造を制御するためのプログラムであって、第1の鋳型幅方向位置、及び、前記第1の鋳型幅方向位置よりも鋳型のコーナに近い第2の鋳型幅方向位置それぞれにおいて鋳型内に鋳造方向に位置をずらして埋設された複数の測温手段を用いて、鋳型を通過する熱流束を取得する熱流束取得処理と、熱伝達係数α及び熱伝達係数βを含み、鋳型を通過する熱流束を表わす式と、前記熱流束取得処理で取得した熱流束とを用いて、前記第1の鋳型幅方向位置及び前記第2の鋳型幅方向位置それぞれにおいて熱伝達係数α及び熱伝達係数βを同時に決定し、凝固シェルの厚みを計算する熱伝達係数決定処理と、前記熱伝達係数決定処理で決定した前記第1の鋳型幅方向位置での凝固シェルの厚みに前記第2の鋳型幅方向位置での凝固シェルの厚みが所定の数値を超えて薄いとき、鋳造速度を減少させる制御処理とをコンピュータに実行させる。
まず、本発明において利用する、凝固シェルと鋳型との間の熱伝達係数α、及び、溶鋼と凝固シェルとの間の熱伝達係数βの決定手法について説明する。
図1は、鋳型内凝固状態を示す概念図であり、連続鋳造設備の鋳型の断面の一部を示す。図1において、1は溶鋼である。2は鋳片たる凝固シェル(凝固層)である。3はモールドパウダー層である。4は鋳型銅板(単に鋳型とも呼ぶ)であり、冷却水を流すための水冷溝が形成されている。図1に示すように、溶鋼1から鋳型用の冷却水までの間に凝固シェル2、モールドパウダー層3、鋳型銅板4の各熱伝導体が存在する。
図3(a)は各熱電対L1〜L7の温度計測値を示す特性図、図3(b)は各熱電対L1〜L7の温度計測値から得られた各熱電対L1〜L7位置での熱流束を示す特性図である。熱電対L1〜L7は、各々、湯面から10mm、30mm、40mm、70mm、100mm、160mm、270mmの位置に設置されている。また、鋳型銅板の内表面か各熱電対L1〜L7までの距離dは10mm、各熱電対から水冷位置までの距離dwは5mmである。図3(b)に示す熱流束は、式(17)により求めたものである。
2:凝固シェル
3:モールドパウダー層
4:鋳型銅板
5、5a、5b、5c、5d:熱電対
11:熱流束取得部
12:熱伝達係数決定部
13:制御部
Claims (9)
- 溶鋼から鋳型用の冷却水までの間に凝固シェル、モールドパウダー層、鋳型の各熱伝導体が存在する連続鋳造において、凝固シェルと鋳型との間の熱伝達係数α、及び、溶鋼と凝固シェルとの間の熱伝達係数βを求めて、これら熱伝達係数α、βに基づいて連続鋳造を制御する連続鋳造方法であって、
第1の鋳型幅方向位置、及び、前記第1の鋳型幅方向位置よりも鋳型のコーナに近い第2の鋳型幅方向位置それぞれにおいて鋳型内に鋳造方向に位置をずらして埋設された複数の測温手段を用いて、鋳型を通過する熱流束を取得する熱流束取得手順と、
熱伝達係数α及び熱伝達係数βを含み、鋳型を通過する熱流束を表わす式と、前記熱流束取得手順で取得した熱流束とを用いて、前記第1の鋳型幅方向位置及び前記第2の鋳型幅方向位置それぞれにおいて熱伝達係数α及び熱伝達係数βを同時に決定し、凝固シェルの厚みを計算する熱伝達係数決定手順と、
前記熱伝達係数決定手順で決定した前記第1の鋳型幅方向位置での凝固シェルの厚みに対して前記第2の鋳型幅方向位置での凝固シェルの厚みが所定の数値を超えて薄いとき、鋳造速度を減少させる制御手順とを有することを特徴とする連続鋳造方法。 - 前記熱伝達係数決定手順では、前記第1の鋳型幅方向位置において熱伝達係数α及び熱伝達係数βを同時に決定し、凝固シェルの厚みを計算した後、前記第2の鋳型幅方向位置での熱伝達係数βは当該第1の鋳型幅方向位置での熱伝達係数βと同じであるとして、前記第2の鋳型幅方向位置での熱伝達係数α及び熱伝達係数βを同時に決定し、凝固シェルの厚みを計算することを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造方法。
- 前記第1の鋳型幅方向位置は鋳型のコーナから40mm以上で鋳型幅方向中央より内側の範囲で設定され、前記第2の鋳型幅方向位置は鋳型のコーナから40mmまでの範囲で設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の連続鋳造方法。
- 1.0m/minを超える鋳造速度で連続鋳造操業を行い、
前記制御手順では、前記第1の鋳型幅方向位置での凝固シェルの厚みに対する前記第2の鋳型幅方向位置での凝固シェルの厚みの割合が0.5を下回っているとき、鋳造速度を0.8m/min以下の速度に減少させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の連続鋳造方法。 - 前記制御手順では、前記第1の鋳型幅方向位置での凝固シェルの厚みに対する前記第2の鋳型幅方向位置での凝固シェルの厚みの割合が0.5以上であるが0.7を下回っているとき、鋳造速度を0.8m/minより高速であるが1.0m/min以下の速度に減少させることを特徴とする請求項4に記載の連続鋳造方法。
- 前記熱伝達係数決定手順では、
Tを凝固シェルの温度、T0を溶鋼の温度、Tsを溶鋼と凝固シェルとの界面温度、uを鋳造速度、λsを凝固シェルの熱伝導率、csを凝固シェルの比熱、ρsを凝固シェルの密度、Lを凝固シェルの潜熱、dを鋳型の凝固シェル側の表面から測温手段までの距離、λmを鋳型の熱伝導率として、
鋳造方向をz軸、鋳造方向に直交する方向をx軸とする2次元座標上で、凝固シェルの厚みs(z,t)及び凝固シェルの鋳型側の表面温度T(0,z,t)を表わす式(A)、(B)と、凝固シェルの鋳型側の表面−モールドパウダー層−熱電対間の熱収支に基づいて、鋳型を通過する熱流束qm(z,t)を表わす式(C)とを用いて、熱伝達係数α及び熱伝達係数βを同時に決定し、凝固シェルの厚みs(z,t)を計算することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の連続鋳造方法。
- 溶鋼から鋳型用の冷却水までの間に凝固シェル、モールドパウダー層、鋳型の各熱伝導体が存在する連続鋳造において、凝固シェルと鋳型との間の熱伝達係数α、及び、溶鋼と凝固シェルとの間の熱伝達係数βを求めて、これら熱伝達係数α、βに基づいて連続鋳造を制御する連続鋳造の制御装置であって、
第1の鋳型幅方向位置、及び、前記第1の鋳型幅方向位置よりも鋳型のコーナに近い第2の鋳型幅方向位置それぞれにおいて鋳型内に鋳造方向に位置をずらして埋設された複数の測温手段を用いて、鋳型を通過する熱流束を取得する熱流束取得手段と、
熱伝達係数α及び熱伝達係数βを含み、鋳型を通過する熱流束を表わす式と、前記熱流束取得手段で取得した熱流束とを用いて、前記第1の鋳型幅方向位置及び前記第2の鋳型幅方向位置それぞれにおいて熱伝達係数α及び熱伝達係数βを同時に決定し、凝固シェルの厚みを計算する熱伝達係数決定手段と、
前記熱伝達係数決定手段で決定した前記第1の鋳型幅方向位置での凝固シェルの厚みに前記第2の鋳型幅方向位置での凝固シェルの厚みが所定の数値を超えて薄いとき、鋳造速度を減少させる制御手段とを備えることを特徴とする連続鋳造の制御装置。 - 溶鋼から鋳型用の冷却水までの間に凝固シェル、モールドパウダー層、鋳型の各熱伝導体が存在する連続鋳造において、凝固シェルと鋳型との間の熱伝達係数α、及び、溶鋼と凝固シェルとの間の熱伝達係数βを求めて、これら熱伝達係数α、βに基づいて連続鋳造を制御するためのプログラムであって、
第1の鋳型幅方向位置、及び、前記第1の鋳型幅方向位置よりも鋳型のコーナに近い第2の鋳型幅方向位置それぞれにおいて鋳型内に鋳造方向に位置をずらして埋設された複数の測温手段を用いて、鋳型を通過する熱流束を取得する熱流束取得処理と、
熱伝達係数α及び熱伝達係数βを含み、鋳型を通過する熱流束を表わす式と、前記熱流束取得処理で取得した熱流束とを用いて、前記第1の鋳型幅方向位置及び前記第2の鋳型幅方向位置それぞれにおいて熱伝達係数α及び熱伝達係数βを同時に決定し、凝固シェルの厚みを計算する熱伝達係数決定処理と、
前記熱伝達係数決定処理で決定した前記第1の鋳型幅方向位置での凝固シェルの厚みに前記第2の鋳型幅方向位置での凝固シェルの厚みが所定の数値を超えて薄いとき、鋳造速度を減少させる制御処理とをコンピュータに実行させるためのプログラム。
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