JP2011246726A - 液晶配向剤及び液晶表示素子 - Google Patents
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Abstract
Description
ここで、前記ポリアミック酸もしくはその誘導体の少なくとも1種は、特定のジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られることを特徴とする。
従来の液晶表示素子としては、ネマチック液晶を用いた表示素子が主流であり、1)90度ツイストしたTN(Twisted Nematic)型液晶表示素子、2)通常180度以上ツイストしたSTN(Super Twisted Nematic)型液晶表示素子、3)薄膜トランジスタを使用したいわゆるTFT(Thin Film Transistor)型液晶表示素子が実用化されている。
方、残留電荷が大きいと、電圧印加後に電圧をOFFにしたにもかかわらず、消去される像が残ってしまういわゆる「残像」が発生する。
1)液晶配向膜を形成させるための、物性の異なる2以上のポリアミド酸を組み合わせて含むポリアミド酸組成物が知られている(特許文献1〜2参照)。
2)ポリアミド酸とポリアミドを含むポリマー成分と、溶剤とを含有するワニス組成物が知られている(特許文献3)。
3)物性の異なる2以上のポリアミド酸およびポリアミド、ならびに溶剤を含有するワニス組成物が知られている。(特許文献4)。
4)特定の構造を有するジアミン化合物を用いて合成されるポリアミド酸などを含む高分子材料を含むワニス組成物が知られている(特許文献5参照)。
しかしながら、これらの先行技術によっては、残留電荷が大きいことによる「残像」の問題が十分には解決されていない。
その結果、下記一般式(I)または(I')で表されるジアミンと、テトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体を含む液晶配向剤を使用して作製された液晶配向膜を具備する液晶表示素子により、前記課題が解決されることを見出した。
また、2種以上のポリアミック酸またはその誘導体を含む組成物であって、かつそのうちの少なくとも1種が後述のポリアミック酸Aである組成物を含有する液晶配向剤を使用して作製された液晶配向膜も、液晶表示素子に所望の残像特性を付与することができることを見出した。
さらに、ポリアミック酸Aと組み合わされるポリアミック酸の種類を適宜選択することにより、前記組成物を含有する液晶配向剤を使用して作製された液晶配向膜が、種々の表示駆動方式の液晶表示素子に適切に適用されうることを見出した。
[1] 下記一般式(I)または(I')で表されるジアミンを含むジアミンと、ピロメリット酸二無水物およびシクロブタンテトラカルボン酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られる、ポリアミック酸またはその誘導体。
2)前記一対の基板それぞれの対向している面に形成された液晶配向膜、および
3)前記一対の基板間に挟持された液晶層、を含む液晶表示素子であって、
前記液晶配向膜は、前記基板に[3]に記載の液晶配向剤を塗布し、加熱することによって形成される液晶配向膜である液晶表示素子。
本発明の組成物に含まれるポリアミック酸またはその誘導体のうち、少なくとも1種は、上記一般式(I)または(I')で表されるジアミンを含むジアミンA1とテトラカルボン酸二無水物A2とを反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体(以下、「ポリアミック酸A」ともいう)である。
さらに、少なくとも別の一種は、側鎖構造を有するジアミンを含むジアミンB1と、テトラカルボン酸二無水物B2とを反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体(以下、「ポリアミック酸B」ともいう)である。
なお、本発明の組成物は、ポリアミック酸AおよびBだけを含有してもよく、ポリアミック酸AおよびB以外のポリアミック酸またはその誘導体をさらに含有していてもよい。
前記の通り、本発明の組成物に含まれるポリアミック酸Aは、少なくともジアミンA1と、テトラカルボン酸二無水物A2とを反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体である。
ジアミンA1は1または2種以上のジアミンからなるが、A1に含まれるジアミンの一部はモノアミンに置換されていてもよい。
テトラカルボン酸二無水物A2は1または2種以上のテトラカルボン酸二無水物からなるが、A2に含まれるテトラカルボン酸二無水物の一部はジカルボン酸に置換されていてもよい。
ここでポリアミック酸の誘導体とは、1)ポリアミック酸の全てのアミノ基とカルボン酸とが脱水閉環反応したポリイミド、2)部分的に脱水閉環反応した部分ポリイミド、3)テトラカルボン酸二無水物A2に含まれる酸二無水物の一部を有機ジカルボン酸に置き換えて反応させて得られたポリアミック酸−ポリアミド共重合体、さらに4)該ポリアミック酸−ポリアミド共重合体の一部もしくは全部を脱水閉環反応させたポリアミドイミドを含む。
一般式(I)で表されるジアミンとしては、例えば以下のジアミンが挙げられる。これらのうち、より好ましくは式(I−1)または(I−2)で表されるジアミンが挙げられ、最も好ましくは式(I−2)で表されるジアミンが挙げられる。
ジアミンA1に含まれる一般式(I')で表されるジアミンとしては、例えば以下の式(I'−1)〜(I'−4)で表されるジアミンが挙げられる。式(I'−1)〜(I'−4)で表されるジアミンは、ベンゼン環に結合した水素のうちの任意の1〜4個の水素が、1〜4個のメチル基で置換されていても良い。
これらのうち、より好ましくは式(I'−1)または(I'−2)で表されるジアミンが挙げられ、最も好ましくは式(I'−2)で表されるジアミンが挙げられる。
前記ジアミンA1に含まれる、一般式(I)または(I')で表されるジアミン以外のジアミンは任意であるが、好ましくは表1に記載されたジアミンが挙げられる。表1に記載されたジアミンのうち、好ましくは式1−8、1−9、1−10、1−11、1−12
、1−13、1−16、1−19、1−34、1−39、1−40で表されるジアミンが挙げられる。
前記の通り、前記ジアミンA1に含まれるジアミンの一部は、モノアミンに置換されていてもよい。ジアミンの一部をモノアミンに置換することにより、重合反応のターミネーションを起こすことができ、それ以上の反応の進行を抑えることができることから、得られる重合体(ポリアミック酸A)の分子量を容易に制御することができる。ジアミンに対するモノアミンの比率は、本発明の効果を損なわない範囲にすればよいが、目安として全アミン量の10モル%以下にすることが好ましい。
なお、ポリアミック酸Aが液晶配向剤の成分として使用されるためには、溶剤に可溶な形態をとることが好ましい。ポリアミック酸Aを該可溶な形態とするために、テトラカルボン酸二無水物A2に含まれるテトラカルボン酸二無水物を適宜に選択することが好ましい。
下記する酸二無水物のうち、より好ましくは式(II−14)〜(II−16)、式(II−18)、式(II−20)、式(II−27)〜(II−29)で表される酸二無水物が挙げられ、特に好ましくは式(II−14)で表される1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。またポリアミック酸Aを溶媒に可溶性のポリイミドとするには、式(II−18)、式(II−27)〜(II−29)で表される酸二無水物を用いることが好ましい。
芳香族テトラカルボン酸二無水物と、脂肪族テトラカルボン酸二無水物もしくは脂環式テトラカルボン酸二無水物(特に好ましくは、ピロメリット酸二無水物と1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物)とを含む、テトラカルボン酸二無水物A2から合成されるポリアミック酸を含む液晶配向剤を用いて形成される液晶配向膜は、それを含む液晶表示素子に、顕著な残留DC低減効果を付与することができる。
テトラカルボン酸二無水物A2が、ピロメリット酸二無水物及び1,2,3,4−シク
ロブタンテトラカルボン酸二無水物を含む場合、ピロメリット酸二無水物/1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物のモル比率は、10/90〜90/10であることが好ましく、15/85〜75/25であることがより好ましい。
該重量平均分子量の上限については、液晶配向剤として用いたときに好ましい粘度となるような、また液晶配向剤のゲル化が抑制されるような重量平均分子量であればよく、目安として5×105以下であることが好ましい。
ここで、ポリアミック酸Aの重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により測定される。例えば、得られたポリアミック酸Aをジメチルホルムアミド(DMF)でポリアミック酸濃度が約1重量%になるように希釈し、クロマトパックC-R7A(島津製作所製)を用いて、DMFを展開剤としてゲル浸透クロマトグラフ分析(GPC)法により測定し、ポリスチレン換算することにより求める。
また、ポリアミック酸Aの分子量分布は多分散度で表すことができ、多分散度とは重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)の値であり、その値は1.5〜5であることが好ましい。ここで分子量分布は分子量測定と同様のGPC法により測定される。
次に、溶剤(例えばアミド系極性溶剤であるN−メチル−2ピロリドンやジメチルホルムアミドなど)および前記一般式(II)で表されるテトラカルボン酸二無水物の1種もしくは2種以上、さらに必要に応じてジカルボン酸を投入する。このときテトラカルボン酸二無水物の総仕込み量は、ジアミンの総モル数とほぼ等モル(モル比0.9〜1.1程度)とすることが好ましい。
攪拌下に温度0〜70℃で1〜48時間反応させることによりポリアミック酸の溶液を得ることができる。また、加熱して反応温度を上げる(例えば、50〜80℃)ことにより、分子量の小さいポリアミック酸を得ることもできる。
あるいは、得られたポリアミック酸溶液から多量の貧溶媒(メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒やグリコール系溶媒)を用いてポリアミック酸
を析出させ、析出させたポリアミック酸を、トルエン、キシレン等の溶媒中で、前記と同様の脱水剤及び脱水閉環触媒とともに、温度20〜150℃でイミド化反応させることもできる。
前記イミド化反応において、脱水剤と脱水閉環触媒の割合は0.1〜10(モル比)であることが好ましい。両者の合計使用量は、使用するテトラカルボン酸二無水物A2に含まれる酸二無水物のトータルのモル量に対して1.5〜10倍モルであることが好ましい。この化学的イミド化の脱水剤、触媒量、反応温度および反応時間を調整することによって、イミド化の程度を制御し、部分ポリイミドを得ることができる。
得られたポリイミドは、溶剤と分離して後述する溶剤に再溶解させて液晶配向剤として使用することもできるし、あるいは溶剤と分離することなく液晶配向剤として使用することもできる。
さらに、該ポリアミック酸−ポリアミド共重合体を化学的にイミド化することによってポリアミドイミドを製造することができる。
前記の通り、本発明の組成物に含まれるポリアミック酸Bは、ジアミンB1と、テトラカルボン酸二無水物B2を反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体を意味する。
ジアミンB1は1または2種以上のジアミンからなるが、B1に含まれるジアミンの一部はモノアミンに置換されていてもよい。
テトラカルボン酸二無水物B2は1または2種以上のテトラカルボン酸二無水物からなるが、B2に含まれるテトラカルボン酸二無水物の一部はジカルボン酸に置換されていてもよい。
ポリアミック酸の誘導体とは、1)ポリアミック酸の全てのアミノ基とカルボン酸とが脱水閉環反応したポリイミド、2)部分的に脱水閉環反応した部分ポリイミド、3)テトラカルボン酸二無水物の一部を有機ジカルボン酸に置換したB2を使用して得られるポリアミック酸−ポリアミド共重合体、さらに4)該ポリアミック酸−ポリアミド共重合体の一部もしくは全部を脱水閉環反応させたポリアミドイミドを含む。
〜5/95であることがより好ましい。
さらに、ジアミンB1に含まれるジアミンの一部は、モノアミンに置換されていてもよい。ここでジアミンに対するモノアミンの比率は、10モル%以下にすることが好ましい。
高分子主鎖に対して側鎖基を有するポリアミック酸またはポリイミドを含む液晶配向剤から形成される液晶配向膜は、液晶表示素子におけるプレチルト角を大きくすることができることが知られている。このことは、例えば、前記特許文献1(特開平11−193345)に記載されている。
前記一般式(III)において、2つのアミノ基はフェニル環炭素に結合しているが、好ましくは、2つのアミノ基の結合位置関係は、メタまたはパラであることが好ましい。さらに2つのアミノ基はそれぞれ、「R2−R1−」の結合位置を1位としたときに3位と5位、または2位と5位に結合していることが好ましい。
一般式(III)で表されるジアミンとしては、例えば式(III−1)〜(III−31)で表されるジアミンが挙げられる。
一般式(IV)で表されるジアミンとしては、例えば式(IV−1)〜(IV−4)で表されるジアミンが挙げられる。
一般式(V)で表されるジアミンとしては、例えば式(V−1)〜(V−8)で表されるジアミンが挙げられる。
一般式(VI)で表されるジアミンとしては、例えば式(VI−1)〜(VI−3)で表されるジアミンが、一般式(VII)で表されるジアミンとしては例えば(VII−1)で表されるジアミンが挙げられる。
具体的には、ポリアミック酸Bの原料であるジアミンB1に含まれるジアミンの種類およびその組み合わせを適宜選択することにより、本発明の組成物を用いて形成される液晶配向膜に、プレチルト角を調整させることができる。
なお、ポリアミック酸Aを単独で、すなわちポリアミック酸Bと組み合わせずに用いた液晶配向剤は、IPS型液晶表示素子(プレチルト角が0°程度)の配向膜を形成するのに適しているが、これについては後述する。
上記表示素子における配向膜を形成させる場合には、上記一般式(VI−1)〜(VI−3)、または一般式(VII−1)で表されるジアミンを含むジアミンB1から得られるポリアミック酸Bを含有する本発明の組成物を、液晶配向剤成分として用いることが好ましい。
VA型液晶表示素子おける配向膜を形成させる場合には、前記一般式(III−11)〜(III−25)で表されるジアミン(さらに好ましくは、一般式(III−19)〜(III−25)で表されるジアミン)を含むジアミンB1から得られるポリアミック酸Bを含有する本発明の組成物を、液晶配向剤成分として用いることが好ましい。
物としては、テトラカルボン酸二無水物A2の説明において記載されたテトラカルボン酸二無水物と同様のものが挙げられる。
また、A2と同様、テトラカルボン酸二無水物B2に含まれるテトラカルボン酸二無水物の一部は、ジカルボン酸に置換されていてもよい。
該重量平均分子量の上限については、液晶配向剤として用いたときに好ましい粘度となるような、また液晶配向剤のゲル化が抑制されるような重量平均分子量であればよく、目安として5×105以下であることが好ましい。
また、ポリアミック酸Bの分子量分布は多分散度で表すことができ、多分散度とは重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)の値であり、その値は1.5〜5であることが好ましい。
ポリアミック酸Bの重量平均分子量および分子量分布は、ポリアミック酸Aの場合と同様に測定される。
本発明の組成物は、前述のポリアミック酸Aとポリアミック酸Bを混合させることにより調製され得る。混合されるポリアミック酸Aとポリアミック酸Bの重量比は、A/B=99/1〜50/50であることが好ましく、A/B=95/5〜80/20であることがより好ましい。該重量比は、求められるプレチルト角に応じて適宜調整されればよく、ポリアミック酸Bの比率を上げればプレチルト角を大きくすることができる。
前記の通りポリアミック酸Aは、ポリアミック酸Bと組み合わされることにより好ましい液晶配向剤の成分として用いられることができる。但し、ポリアミック酸Aを液晶配向剤の成分として使用するために、必ずしもポリアミック酸Bと組み合わされる必要があるわけではない。
すなわち、ポリアミック酸Aは単独で(ポリアミック酸Bと組み合わされずに)、液晶配向剤の成分として用いられることができる。ポリアミック酸Aを単独で含む液晶配向剤から形成される液晶配向膜は、液晶表示素子のプレチルト角を0〜2°にすることができ、従ってIPS型液晶表示素子の作製に特に有用である。
本発明の液晶配向剤は、前述したポリアミック酸A、または前述したポリアミック酸A
およびポリアミック酸Bの組成物、ならびに溶剤を含み、通常の液晶配向剤に含有される各種添加剤をさらに含んでいてもよい。
本発明の液晶配向剤におけるポリアミック酸の含有率は、液晶配向剤の基板への塗布方法によって適宜選択されることができる。例えば、通常の液晶表示素子の製造工程で用いられる印刷機(オフセット印刷やインクジェット印刷機を含む。以下、「印刷機」と略すことがある。)で使用される液晶配向剤におけるポリアミック酸の含有率は、0.5〜30重量%であることが好ましく、より好ましくは1〜15重量%であることが好ましいが、液晶配向剤の粘度(後述)との関係で適宜調整される。
これらの溶剤を例示すれば以下のとおりである。
1)ポリアミック酸や可溶性ポリイミドに対し親溶剤である非プロトン性極性有機溶剤(以下、非プロトン性極性有機溶剤):例えば、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、ジエチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンである。これらのうち、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどがさらに好ましく例示される。
例えば、有機溶剤に可溶性の高分子化合物を添加剤としてもよく、それらを添加することにより、形成される配向膜の電気特性や配向性を制御することができる。該高分子化合物の例としては、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリエポキサイド、ポリエステルポリオール、シリコン変性ポリウレタン、シリコン変性ポリエステルなどを挙げることができる。
前記シランカップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリエトキシシラン、メタアミノフェニルトリメトキシシラン、メタアミノフェニルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロピルアミン、N,N'−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンなどを挙げることができる。
液晶配向剤の粘度は回転粘度測定法により測定され、例えば回転粘度計(東機産業製TVE-20L型)を用いて測定(測定温度:25℃)される。
本発明の液晶表示素子は、1)対向配置された一対の基板、2)前記一対の基板それぞれの対向している面に形成された液晶配向膜、および3)前記一対の基板間に挟持された液晶層を含む。ここで、前記一対の基板の双方に電極が配置されていてもよいが、IPS型液晶表示素子である場合は、前記一対の基板の一方に、電極(櫛型またはジグザグ構造の電極でありうる)が配置されている。
誘電率異方性が正である好ましい液晶組成物の例は、特許第3086228号公報、特許第2635435号公報、特表平5−501735号公報、特開平8−157828号
公報、特開平8−231960号公報、特開平9−241644号公報(EP885272A1)、特開平9−302346号公報(EP806466A1)、特開平8−199168号公報(EP722998A1)、特開平9−235552号公報、特開平9−255956号公報、特開平9−241643号公報(EP885271A1)、特開平10−204016号公報(EP844229A1)、特開平10−204436号公報、特開平10−231482号公報、特開2000−087040公報、特開2001−48822公報などに開示されている。
例えば、薄膜トランジスタを使用したカラー表示のTFT型液晶素子においては、第1の透明基板上に薄膜トランジスタ、絶縁膜、保護膜、信号電極および画素電極などが形成されており、第2の透明基板上に画素領域以外の光を遮断するブラックマトリクス、カラーフィルター、平坦化膜および画素電極などを有しうる。
また、VA型液晶表示素子、特にMVA型液晶表示素子においては、第1の透明基板上にドメインと称される微小な突起物が形成されている。また、基板間のセルギャップの調整用にスペーサーが形成されていてもよい。
。加熱処理の工程は一般に150〜300℃程度の温度で行うことが好ましい。
ピロメリット酸二無水物{式(II−1)}:PMDA
1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物{式(II−14)}
:CBDA
ブタンテトラカルボン酸二無水物{式(II−18)}:BTCA
m−キシリレンジアミン{式(I'−2)}:MXDA
1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン{式(I−2)}:BAC
1,1−ビス{4−[(4−アミノフェニル)メチル]フェニル}−4−n−ブチルシクロヘキサン{式(VI−2)/R21=C4H9}:4Ch
5−{4−[2−(4−nヘプチルシクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル}フェニルメチル−1,3−ジアミノベンゼン{式(III−25)/R23=C7H15}
:7Ch2Ch
p−フェニレンジアミン(表1の1−8):PDA
4,4'−ジアミノジフェニルメタン(表1の1−11):DDM
1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン(表1の1−16):DDEt
N−メチル−2−ピロリドン:NMP
γ−ブチロラクトン:GBL
ブチルセロソルブ(エチレングリコールモノブチルエーテル):BC
[ポリアミック酸Aの合成]
合成例1
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口および窒素ガス導入口を備えた100mlの四つ口フラスコに、MXDAを1.9835g(14.56mmol)および脱水NMP35gを入れ、乾燥窒素気流下攪拌溶解した。次いでPMDA1.5884g(7.28mmol)およびCBDA1.4282g(7.28mmol)を添加し、室温環境下で30時間反応させた。反応中に反応温度が上昇する場合は、反応温度を約70℃以下に抑えて反応させた。
得られた溶液に、GBL30gおよびBC30gを加えて、濃度が5重量%のポリアミック酸溶液(PA1)を合成した。得られたPA1の粘度は20mPa・sであった。また、生成したポリアミック酸の重量平均分子量は44,000であった。
表2に示した割合にテトラカルボン酸二無水物、ジアミンおよび溶剤の組成を変更した以外は、合成例1に準拠してポリアミック酸溶液(PA2〜PA7)を合成した。合成例1を含めて、結果を表2にまとめた。
合成例8〜9
表3に示した割合でテトラカルボン酸二無水物、ジアミンおよび溶剤組成を変更した以外は、合成例1に準拠して側鎖を有するポリアミック酸(PA8〜PA9)を合成した。結果を表3にまとめた。
比較合成例1〜2
表2に示した割合でテトラカルボン酸二無水物、ジアミンおよび溶剤組成を変更した以外は、合成例1に準拠してポリアミック酸溶液(CPA1〜2)を合成した。合成例1を含めて、結果を表2にまとめた。
[実施例1]
合成例1で合成した濃度5重量%のポリアミック酸溶液(PA1)を、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶剤で、3重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通りIPS型液晶表示素子を作製した。
図1に示すIPS用櫛歯状電極付きガラス基板および電極のないガラス基板の2枚のガラス基板を使用した。液晶配向剤を、IPS用櫛歯状電極付きガラス基板上および電極のないガラス基板上にスピンナーにて塗布し、膜厚100nmの膜を形成させた。塗膜後、80℃にて約5分間加熱乾燥した後、220℃にて30分間加熱処理を行い、液晶配向膜を形成した。
配向膜が形成された2枚の基板をそれぞれ、株式会社飯沼ゲージ製作所製のラビング処理装置を用いて、ラビング布(毛足長1.9mm:レーヨン)の毛足押し込み量0.4mm、ステージ移動速度を60mm/sec、ローラー回転速度を1000rpmの条件で、電極の方向に対して30°の傾きになるようにラビング処理した。
ラビング処理した基板を、超純水中で5分間超音波洗浄した後、エタノールにて表面を洗浄してから、オーブン中120℃で30分間乾燥した。前記IPS用櫛歯状電極付きガラス基板に4μmのギャップ材を散布した。配向膜を形成した面を内側にして電極のないガラス基板をラビング方向が逆平行になるように対向配置させた後、エポキシ硬化剤でシールし、ギャップ4μmのアンチパラレルセルを作製した。該セルに下記液晶組成物Aを注入し、注入口を光硬化剤で封止した。次いで、110℃で30分間加熱処理を行い、IPS型液晶表示素子を作製した。
PA1の代わりにPA2〜PA7を用いた以外は、実施例1と同様に液晶配向剤を得た。さらに、得られた液晶配向剤を用いて、実施例1と同様にIPS型液晶表示素子を作製した。
PA1の代わりにCPA1〜CPA2を用いた以外は、実施例1と同様に液晶配向剤を
得た。さらに、得られた液晶配向剤を用いて、実施例1と同様にIPS型液晶表示素子を作製した。
合成例1で合成した濃度5重量%のポリアミック酸溶液(PA1)と合成例8で合成したポリアミック酸溶液(PA8)とを重量比9/1で混合した。得られた混合物を、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶剤で4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通りTN型液晶表示素子を作製した。
液晶配向剤を、2枚のITO電極付きガラス基板にスピンナーにて塗布し、膜厚70nmの膜を形成した。塗膜後80℃にて約5分間加熱乾燥した後、220℃にて30分間加熱処理を行い、液晶配向膜を形成した。
配向膜が形成された一方のガラス基板を、株式会社飯沼ゲージ製作所製のラビング処理装置を用いて、ラビング布(毛足長1.9mm:レーヨン)の毛足押し込み量0.40mm、ステージ移動速度を60mm/sec、ローラー回転速度を1000rpmの条件で、ラビング処理した。もう一方のガラス基板は、他方のラビング方向と直交するようにラビング方向を90°変えて同様にラビング処理した。該基板を、超純水中で5分間超音波洗浄後、エタノールにて表面を洗浄してから、オーブン中120℃で30分間乾燥した。一方のガラス基板に7μmのギャップ材を散布した。
配向膜を形成した面を内側にしてラビング方向が直交するように対向配置させた後、エポキシ硬化剤でシールし、ギャップ7μmの90°ツイストセルを作製した。該セルに、前記液晶組成物A100質量部に対して光学活性物質であるコレステリックノナノエート5質量部を加えて均質にした組成物を注入し、注入口を光硬化剤で封止した。次いで、110℃で30分間加熱処理を行い、TN型液晶表示素子を作製した。
PA1の代わりにPA2〜PA7を用いたこと以外は、実施例8と同様に液晶配向剤を得た。さらに、得られた液晶配向剤を用いて、実施例8と同様にTN型液晶表示素子を作製した。
PA1の代わりにCPA1を用いたこと以外は、実施例8と同様に液晶配向剤を得た。さらに、得られた液晶配向剤を用いて、実施例8と同様にTN型液晶表示素子を作製した。
合成例1で合成した濃度5重量%のポリアミック酸溶液(PA1)と合成例9で合成したポリアミック酸溶液(PA9)とを重量比9/1で混合した。得られた混合液を、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶剤で、4重量%に希釈して液晶配向剤とした。該液晶配向剤を用いて、下記するようにVA型液晶表示素子を作製した。
液晶配向剤を、2枚のITO電極付きガラス基板にスピンナーにて塗布し、膜厚70nmの膜を形成した。塗膜後80℃にて約5分間加熱乾燥した後、220℃にて30分間加熱処理を行い、液晶配向膜を形成した。
配向膜が形成されたガラス基板を、株式会社飯沼ゲージ製作所製のラビング処理装置を用いて、ラビング布(毛足長1.9mm:レーヨン)の毛足押し込み量0.20mm、ステージ移動速度を60mm/sec、ローラー回転速度を1000rpmの条件で、ラビング処理した。配向膜が形成されたガラス基板を超純水中で5分間超音波洗浄後、エタノ
ールにて表面を洗浄してからオーブン中120℃で30分間乾燥した。
一方のガラス基板に4μmのギャップ材を散布し、配向膜を形成した面を内側にしてラビング方向が逆平行になるように対向配置させた後、エポキシ硬化剤でシールし、ギャップ4μmのアンチパラレルセルを作製した。該セルに下記する液晶組成物Bを注入し、注入口を光硬化剤で封止した。次いで、110℃で30分間加熱処理を行い、VA型液晶表示素子を作製した。
PA1の代わりにPA2〜7を用いたこと以外は、実施例15と同様に液晶配向剤を得た。さらに、得られた液晶配向剤を用いて、実施例15と同様にVA型液晶表示素子を作製した。
PA1の代わりにCPA2を用いたこと以外は、実施例15と同様に液晶配向剤を得た。さらに、得られた液晶配向剤を用いて、実施例15と同様にVA型液晶表示素子を作製した。
[試験例1〜7および比較試験例1〜2]
実施例1〜7および比較例1〜2で作製したIPS型液晶表示素子について、電気特性の評価を行った。具体的には、1)電圧保持率、2)フリッカーフリー法による残留DC、3)VTヒステリシス法による残留DC、4)誘電吸収法による残留DCを測定した。各測定は以下のようにして行った。これらの測定結果を表4に示した。
東陽テクニカ製液晶物性評価装置6254型を用いて電圧保持率の測定を行った。測定条件は、ゲ−ト幅60μs、周波数0.3Hz、波高±5Vであり、測定温度は60℃とした。この値が大きいほど電気特性は良好といえる。
横河電機(株)製FG−110を用いて、30Hz、2V(液晶組成物A)または5.5V(液晶組成物B)の矩形波に、1V(IPS型液晶表示素子およびVA型液晶表示素子)または3V(TN型液晶表示素子)の直流電圧を重畳し、30分間印加した。印加終了直後から30分間フリッカー消去電圧を測定した。
表には、初期の値として印加終了直後のフリッカー消去電圧と10分後のフリッカー消去電圧を記載した。なお測定温度は25℃とした。この値が0(零)に近いほど電気特性が良好といえる。
液晶表示素子の両面に、一方の偏光板の偏光軸がラビング方向に合致するように配置し、他方の偏光板をそれとは直交(クロスニコル)になるように配置し、大塚電子(株)製5100AGSを使用して1kHzの矩形波で0.1〜10Vの各電圧(V)での透過率(%T)を測定した。次に負荷電圧として6Vの矩形波に1Vの直流電圧をオフセットした波形の電圧を4時間印加し、その後、再度1kHzの矩形波で0.1〜10Vの各電圧(V)での透過率(%T)を測定した。なお測定温度は60℃とした。
該負荷電圧の印加前後での透過率の差(ΔT)を求めた。表4には、負荷電圧を印加する前の測定において透過率が10%であったときの電圧(V10)および30%であったときの電圧(V30)におけるΔTの値を記載した。ΔTが小さいほど電気特性が良好といえる。
東陽テクニカ製液晶物性評価装置6254型を用いて誘電吸収法による残留DCの測定を行った。測定条件は、セルに直流5Vを1時間印加後1秒ショートして30分間電位差を観察した。表には最大の残留DCと最小の残留DCを記載した。なお測定温度は60℃である。この値が小さいほど電気特性が良好といえる。
一方、残留DCはいずれの測定方法によっても、比較試験例1〜2の場合と比較して、本発明の液晶配向剤を用いた試験例1〜7では、残留DCが顕著に抑制されていることがわかる。
すなわち、試験例1〜7において、フリッカーフリー法では初期および30分後のいずれにおいても残留DCが低いことがわかる。VTヒステリシス法では2Vおよび3Vのいずれの場合も透過率差ΔTが小さく、残留電圧が抑制されていることがわかる。また、誘電吸引法では残留DCの最大値および最小値とも低いことがわかる。
実施例8〜14および比較例3で作製したTN型液晶表示素子について、電気特性の評価を行った。具体的には、1)電圧保持率、2)フリッカーフリー法による残留DC、3)誘電吸収法による残留DCを、試験例1と同様にして測定した。これらの測定結果を表5に示した。
実施例15〜21および比較例4で作製したVA型液晶表示素子について、電気特性の評価を行った。具体的には、1)電圧保持率、2)フリッカーフリー法による残留DC、3)VTヒステリシス法による残留DCを測定した。
1)および2)の測定は試験例1と同様にして測定した。3)の測定では、負荷電圧を6Vの矩形波に1Vの直流電圧をオフセットした波形の電圧を4時間印加する代わりに、7Vの直流電圧を4時間印加すること以外は、試験例1と同様にして測定した。
これらの測定結果を表6に示した。
Claims (4)
- 請求項1または2に記載のポリアミック酸またはその誘導体、ならびに溶剤を含有する液晶配向剤。
- 1)対向配置されており、双方に電極が配置された一対の基板、または対向配置されており、一方に電極が配置された一対の基板、
2)前記一対の基板それぞれの対向している面に形成された液晶配向膜、および
3)前記一対の基板間に挟持された液晶層、を含む液晶表示素子であって、
前記液晶配向膜は、前記基板に請求項3に記載の液晶配向剤を塗布し、加熱することによって形成される液晶配向膜である液晶表示素子。
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