JP2011245517A - 溶接センサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】溶接ワークWに検出光Lを照射可能な投光器2と検出光Lが照射された溶接ワークWを撮像するカメラ3とを内蔵したセンサハウジング4を有し、該センサハウジング4を閉鎖すべく溶接ワークW側に取り付けた蓋体5には投光器2用の投光窓6とカメラ3用の撮像窓7とが設けられ、蓋体5の投光窓6及び撮像窓7のハウジング内方側に投光器2及びカメラ3を覆う透光性の防護体8が配備され、防護体8と蓋体5との間に、投光窓6及び撮像窓7のそれぞれの内周縁部から中央に向かうパージエアPを噴出させる第1エア噴出機構9を有している。
【選択図】図2
Description
上述したシールドガスで形成されるシールドガス膜は、大気中の窒素・酸素等の影響から溶接ワイヤ先端のアークを守り安定させるものであって、シールドガス膜が破られては安定してアークを行うことができない。仮に、シールドガス膜が破られた場合、空気中の窒素・酸素等を巻き込みブローホール・溶け込み不足等の溶接欠陥が発生する。
上述の溶接センサは、多くの場合には、溶接トーチ(つまり、シールドガス膜)の近傍に配置されるが、溶接センサには、近年、投光器から出射したスリット光を溶接ワーク上に照射し、その反射光をカメラで受光し、溶接部位の形状データを得る視覚型の溶接センサが用いられる傾向にある。
この問題を解消するために、溶接センサの防護体に沿って略平行に流れる複数層の空気流を発生させ、複数層の空気流の防護体に最も近い方の層の流速を、他層の流速に比べて低速に設定することで、スパッタ等の引き込みを抑えて防護体の汚れを低減させる技術(特許文献1)、溶接センサ101の防護体102の前面に設けた逆V溝103と、この逆V溝103内に噴出した冷却ガスR1を外方へ排出することとで、防護体102にスパッタ等が滞留することを防ぐ技術(特許文献2)、上向き姿勢の溶接時に、ノズル手段から噴出された空気流で防護体の前方に形成されたエアカーテンによって、スパッタの蓄積を防ぐ技術(特許文献3)が開示されている。
本発明に係る溶接センサは、溶接ワークに検出光を照射可能な投光器と前記検出光が照射された溶接ワークを撮像するカメラとを内蔵したセンサハウジングを有し、該センサハウジングを閉鎖すべく溶接ワーク側に取り付けた蓋体には前記投光器用の投光窓とカメラ用の撮像窓とが設けられ、前記蓋体の投光窓及び撮像窓のハウジング内方側に前記投光器及びカメラを覆う透光性の防護体が配備されていて、前記防護体と蓋体との間に、前記投光窓及び撮像窓のそれぞれの内周縁部から中央に向かうパージエアを噴出させる第1エア噴出機構を有していることを特徴とする。
好ましくは、前記第1エア噴出機構は、前記防護体と蓋体との間に防護体表面に沿うように整流されたパージエアを噴出可能なエア隙間を備えていてもよい。
また、前記エア隙間の幅を投光窓及び撮像窓のそれぞれの内周縁部に沿って均一にしてもよく、これによって、パージエアの流速を上げ、効果的に防護体表面への汚れ付着を防止する。
これによって、整流させたパージエアを効果的に用いながら、同時に遮蔽用板を効果的に併用することにより、大電流によるスパッタ・ヒュームの汚れを効果的に防御することが可能となる。
このような構成によって、第2エア噴出機構から噴出されたパージエア(第2パージエア)は、シールドガスがやぶれず溶接品質に悪影響が出ないようまっすぐ整流させており、必要最低限のパージエア流量にて、効果的に重いスパッタを除去する。
なお、前記第2エア噴出機構から噴出されるパージエアの流速を、前記第1エア噴出機構から噴出されるパージエアの流速より速く設定していてもよく、第2パージエアに引き込まれたヒュームやスパッタが第1パージエアに引き込まれることを防ぐため、第1パージエアを越えて、防護体に付着することがないので、溶接センサの防護体の汚れを効果的に防止できる。
なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
[作業マニピュレータ21のシステム構成]
図1には、本発明に係る溶接センサ1を備えた作業マニピュレータ21(溶接マニピュレータ)が示されている。
この溶接システムは、溶接マニピュレータ21に取り付けられた溶接センサ1から取得された画像データを、通信線を通じて、制御用コンピュータ(図示省略)へ送る。送られた画像データをもとに、このコンピュータで、溶接線検出、補正量の算出を行い、コントローラ(図示省略)に検出結果及び算出結果を送付する。
なお、溶接マニピュレータ21は垂直6軸多関節ロボットに限定されない。
溶接トーチ22は、溶接マニピュレータ21の手先21aに取り付けられていて、溶接センサ1によって計測された溶接ワークWの開先形状の特徴量(例えば、ルートギャップや開先幅やビード幅等)に応じて、溶接トーチ22 のウィービング幅や移動速度及び溶接ワイヤの送り量が制御されている。
したがって、溶接トーチ22の近傍に配置された溶接センサ1には、ヒュームやスパッタなどの存在する雰囲気に曝されることとなるため、溶接センサ1には、アーク溶接時の飛散物Hから保護する防護体8が設けられており、以下にその溶接センサ1の詳細を述べる。
[溶接センサ1の構成(第1実施形態)]
溶接センサ1は、溶接マニピュレータ21の手先21aで且つ溶接トーチ22の傍に取り付けられている(図1参照)。
なお、投光器2からのスリット光Lは、センサハウジング4内に配備された鏡(図示省略)によって、所定角度で出射させてもよい。
前記センサハウジング4は、投光器2とカメラ3とを内蔵する略直方体状の筐体であって、投光器2及びカメラ3の前面側(溶接ワークW側)が開口している(開口部4a)。
さらに、この防護体8を覆い且つセンサハウジング4の開口部4aを閉鎖するように、蓋体5が着脱自在にセンサハウジング4の前面側(溶接ワークW側)に嵌め込まれる。
前記窓体23は、例えば、スリット光Lのみを透過させる光学フィルタ等からなる窓部材23aを、板状の枠部材23bに嵌め込んで形成されている。窓部材23aは、投光器2から出射されるスリット光Lや、溶接ワークWからカメラ3に入射する反射光が通り抜けるのに支障がない位置に嵌め込まれている。
[蓋体5、防護体8の説明]
図2に示す如く、前記蓋体5は、センサハウジング4の溶接ワークW側の外縁に着脱自在に嵌り込んで、開口部4aを閉鎖する。また、蓋体5をセンサハウジング4から外すことで、その内部の防護体8(及び窓体23)を着脱することが可能となる。
蓋体5には、スリット光Lが出射する略円形状の投光窓6が、投光器2の照射軸上に形成されている。また、溶接ワークWからの反射光がカメラ3に入射する略円形状の撮像窓7が、カメラ3の光軸上に形成されており、各光の入射及び出射には支障がない。
蓋体5の裏面(ハウジング内方側の面)には、後述する保護窓8a及びエア孔8bに対応する範囲に略円形のエア凹部27が2つ設けられている(図2、図5参照)。このエア凹部27は、深さ一様の凹みであって、本実施形態では、約0.1〜0.5mmである。
前記防護体8は、蓋体5と窓体23との間に配備された板状体であって、透光性を有したプラスチック素材の略円形の保護窓8aを2つ備えている。
つまり、スリット光Lや反射光の通り道が確保されると同時に、この通り道上に飛散物Hが進入してきたとしても、この保護窓8aに付着、堆積するため、通り抜けてさらに内部にある窓体23や投光器2及びカメラ3までには決して到達しない。
[第1エア噴出機構9の説明]
図2、3に示すように、保護窓8aの周りの防護体8には、周方向等間隔で内部エア空間4bと連通したエア孔8bが略円形状に複数設けられている。
これは、蓋体5裏面におけるエア孔8bの対応位置には、蓋体5のエア凹部27がエア孔8bを覆うように存在しているためであるが、防護体8前面と蓋体5のエア凹部27の底面との間には、所定の間隔を有するエア隙間10が形成される。
[パージエアPの流れ]
ここで図5にて、パージエアPの流れを説明する。
図5(a)中のP1に示すように、エア供給孔4cからセンサハウジング4の内部エア空間4bへエアが送り込まれる。内部エア空間4b内にエアが押し込まれると、防護体8のエア孔8bにエアが流れ込む(図5(a)中P2参照)。また、エア隙間10内を進むエアは、保護窓8aの表面に沿うように整流されて、パージエアPとなる(図5(a)中P3参照)。
これらのパージエアP3及びP4によって、防護体8の保護窓8aの前面側(防護体8表面)には、投光窓6及び撮像窓7のそれぞれの内周縁部から中央に向かって、一様なエア膜が形成される。このように形成されたエア膜によって、飛散物Hが保護窓8aに到達することを妨げることとなり、保護窓8aにおける飛散物Hの堆積量や堆積速度を低減させる。
さらには、保護窓8aの表面に沿うようにパージエアPを整流することによって、飛散物Hの直撃を防ぎながら、必要最低限のエア流量でエア膜を形成できるため、溶接トーチ22付近に形成されたシールドガス膜Sに影響を及ぼすことはない。
[遮蔽板11の説明]
図2に示すように、第1エア噴出機構9からのパージエアPによって、防護体8に対する飛散物Hの付着、堆積を防ぐとともに、上述した遮蔽板11を併用することによって、さらなる飛散物Hの防護体8への到達防止と、シールドガス膜Sへの影響低減とが同時に実現できる。
第1遮蔽板11aは、側面視において、蓋体5の溶接トーチ22側の端縁から下方へ延出し、溶接トーチ22から遠ざかるように曲がった後は、逆に溶接トーチ22に近づく方向へ所定角度だけ屈曲して形成されている(この部分を屈曲部26とする)。
もう1つの遮蔽板11は、蓋体5における撮像窓7と投光窓6との間に設けられており(以下、第2遮蔽板11bとする)、この第2遮蔽板11bは、先細り状の板体であって、溶接トーチ22側へ屈曲部26と略同じ所定角度に傾いた状態で蓋体5から立設している。
図3に示すように、2つの遮蔽板11a、11bは、下方に先細り状に形成されており、溶接ワークWの開先が狭くても、干渉(接触)することが少なくなる。
[溶接センサ1の構成(第2実施形態)]
次に、第2実施形態の溶接センサ1について説明する。
この第2エア噴出機構12は、蓋体5の第1遮蔽板11a内にエアを通すエア通路28と、このエア通路28を通過したエアを第1遮蔽板11aの中途部からパージエアPとして噴出するエア噴出孔29とを備えている。
エア通路28は、入り口28aがエア供給孔4cを覆うまで上方に延設された蓋体5の縁部に設けられており、エア通路28の中途部からエア供給孔4cへエアが枝分かれするように構成されている。
エア噴出孔29は、第1遮蔽板11aにおける屈曲部26の基端部に形成されており、整流されたパージエアPを、溶接ワークW側からの飛散物Hの飛散方向と交差する方向に沿って、直線的に噴出することとなる。
なお、エア通路28、エア噴出孔29によって、第2エア噴出機構12が構成されている。
[パージエアPの流れ]
第2実施形態におけるパージエアPの流れも、図5にて説明する。
(図5(a)P5参照)。このP5は、中途からエア供給孔4cへP1と、さらに第1遮蔽板11a内のエア通路28を進むエア流れP6とに分かれる。分かれたP6は、エア通路28を通って、エア噴出孔29からパージエアP7として噴出される。
パージエアP7(第2パージエア)は、飛散物Hの飛散方向と交差する方向へ、第1エア噴出機構9のパージエアP4(第1パージエア)より速く噴出されているため、アーク点Xから真っ直ぐ飛んできた飛散物Hの向きが変わり、飛散物Hの運動エネルギーが軽減される。
したがって、さらなる防護体8への飛散物Hの付着が防止できる。
なお、第2実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、第1実施形態と同じであるので、その説明は省略する。
エア隙間10の幅は、内周縁部に沿って均一としていたが、パージエアPを噴出して防護体8表面に飛散物Hが付着するのを抑制できるのであれば、エア隙間10の幅を、エア孔8bの対応位置だけ大きくするなど、不均一にしてもよい。
第2エア噴出機構12から噴出されるパージエアPの流速を、第1エア噴出機構9から噴出されるパージエアPの流速より速く設定していたが、第2エア噴出機構12のパージエアPを飛散方向に交差するように噴出するのであれば、第1エア噴出機構9及び第2エア噴出機構12のエア流速を略同じ等に設定してもよい。
2 投光器
3 カメラ
4 センサハウジング
5 センサハウジングの蓋体
6 投光窓
7 撮像窓
8 防護体
9 第1エア噴出機構
10 エア隙間
11 遮蔽板
12 第2エア噴出機構
W 溶接ワーク
L 検出光
P パージエア
H 飛散物
Claims (6)
- 溶接ワークに検出光を照射可能な投光器と前記検出光が照射された溶接ワークを撮像するカメラとを内蔵したセンサハウジングを有し、該センサハウジングを閉鎖すべく溶接ワーク側に取り付けた蓋体には前記投光器用の投光窓とカメラ用の撮像窓とが設けられ、前記蓋体の投光窓及び撮像窓のハウジング内方側に前記投光器及びカメラを覆う透光性の防護体が配備されていて、
前記防護体と蓋体との間に、前記投光窓及び撮像窓のそれぞれの内周縁部から中央に向かうパージエアを噴出させる第1エア噴出機構を有していることを特徴とする溶接センサ。 - 前記第1エア噴出機構は、前記防護体と蓋体との間に防護体表面に沿うように整流されたパージエアを噴出可能なエア隙間を備えていることを特徴とする請求項1に記載の溶接センサ。
- 前記エア隙間の幅を投光窓及び撮像窓のそれぞれの内周縁部に沿って均一にしていることを特徴とする請求項2に記載の溶接センサ。
- 前記センサハウジングの蓋体に、前記溶接ワーク側から飛散物が投光窓及び撮像窓へ到達することを防ぐ遮蔽板を設けていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の溶接センサ。
- 前記センサハウジングに、前記溶接ワーク側からの飛散物の飛散方向と交差するように整流されたパージエアを噴出する第2エア噴出機構を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の溶接センサ。
- 前記第2エア噴出機構から噴出されるパージエアの流速を、前記第1エア噴出機構から噴出されるパージエアの流速より速く設定していることを特徴とする請求項5に記載の溶接センサ。
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