JP2017177222A - レーザ溶接方法およびレーザ溶接装置 - Google Patents

レーザ溶接方法およびレーザ溶接装置 Download PDF

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徹 酒井
潤司 藤原
Junji Fujiwara
潤司 藤原
中川 龍幸
Tatsuyuki Nakagawa
龍幸 中川
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Abstract

【課題】穴あきおよびアンダーフィルなどの表面欠陥の有無の判別を可能とするレーザ溶接方法およびレーザ溶接装置を提供する。
【解決手段】レーザ溶接時に被溶接材の溶融状態を表すプラズマおよびプルーム発光による光強度を光センサ11で測定することで行われる溶接ビードの不貫通孔の有無を判別するレーザ溶接方法であって、圧縮エアまたはシールドガスを穴あき・アンダーフィル有無の判別に適応させた位置・角度・流速で、吹き付けノズル9から溶接箇所に流すことにより、前記検査を阻害するビード表面を覆うプルーム量を最適な状態にし、正確な検査を可能にする。
【選択図】図1

Description

本開示はレーザ光を熱源とするレーザ溶接時における溶接ビードの穴あきおよびアンダーフィル検査に関するものである。
近年、自動車業界を含めた製造業では、生産性向上のため、生産タクトタイム短縮の要求が強く、高速に溶接できるレーザ溶接が求められている。レーザ溶接は、従来のスポット抵抗溶接やアーク溶接に比べ高速溶接が可能である。しかしながら、アーク溶接などでは、電流値や電圧値のフィードバックから、溶け込み深さや穴あき等の溶接欠陥の有無を監視可能であるのに対し、レーザ溶接はリモート溶接であるため、そのようなフィードバックがなく溶接欠陥の監視が難しい。このためレーザ溶接後に目視検査や手検査の後工程に多くの時間を要するので、生産タクトタイムおよび生産コストを増加させる。これらの背景から、レーザ溶接時における溶接品質の自動検査の要望は強い。しかしながら、十分な精度を持つ検査方法が確立されていないのが現状である。
従来の検査方法として、レーザ溶接時のプラズマ強度を監視し、溶け込み深さの適否を判断するものがある。さらには、被溶接材の裏面まで貫通溶接がなされた場合や、光センサの俯き角度に着目した改善を施し、溶け込み深さの判定精度を向上させた方法がある(例えば特許文献1)。
特開平6−262377号公報
しかしながら、溶け込み深さ、溶接ビードの内部欠陥の検査でなく、深い凹みであるアンダーフィルおよび穴あきといった被溶接材の表面欠陥の有無を検査、判断するには、ビード表面を覆うプルームを、検査に適する量・状態に調整するため、ビード表面に対し圧縮エアやシールドガスを適正な方法で流し、表面欠陥の有無の判断に不必要なプルームを除去することが不可欠となる。一方で、プルームを多量に排除しすぎてしまうと、穴あきやアンダーフィルの有無を判別するための適正な光強度を得ることができず判別不可である。したがって、従来の発想や着想にない、穴あきやアンダーフィル有無の判別に適応させた新たな検査手法の発明が必要である。
本開示は、圧縮エアまたはシールドガスを適正な位置・角度・流量で溶接箇所に流すことにより、検査を阻害するビード表面を覆う不必要なプルームを排出し、検査に必要な適量のみ残存させ検査に適する量・状態に調整することによりを高精度化する。このことが、レーザ溶接と並行してほぼ同時に実施される溶接ビードの穴あきおよび/またはアンダーフィル等の不貫通孔の有無の判別検査を可能にする。
上記課題を解決するために、本開示のレーザ溶接方法は、レーザ溶接時に被溶接材の溶融状態を表すプラズマおよびプルーム発光による光強度を測定することで行われる溶接ビードの不貫通孔の有無の判別するレーザ溶接方法であって、被溶接箇所に横から圧縮エアもしくはシールドガスを流すことで測定した光強度および不貫通孔の有無の判別を行うものである。
また、上記に加えてレーザ溶接方法は、前記被溶接箇所に流す前記圧縮エアもしくはシールドガスの吹き付けノズルの角度を、被溶接箇所の面に対して0°以上30°以下、かつ前記圧縮エアもしくはシールドガスの流速を1.24m/sec以上、2.49m/sec以下とするものである。
また上記課題を解決するために、レーザ溶接装置は、被溶接材にレーザ照射するレーザ溶接ヘッドと、前記被溶接材の溶融状態を表すプラズマおよびプルーム発光による光強度を測定する光センサと、前記光センサからの出力信号に基づいて演算を行う光強度演算部と、前記演算部の出力情報から不貫通孔の有無を判別する溶接状態判断部とを備え、本開示のレーザ溶接方法により不貫通孔の有無を判断するものである。
また、上記に加えてレーザ溶接装置は、レーザ溶接時の溶接状態判断方法の結果をフィードバックしながら、レーザ照射の自動停止、あるいは溶接条件の修正を行うものである。
本開示によれば、レーザ溶接中における溶接ビードの不貫通孔の有無判別が高精度に行うことが出来る。
本開示の実施の形態におけるレーザ溶接装置の概略構成を示す図 本開示の実施の形態における圧縮エアもしくはシールドガスの吹き付けノズルの取付位置の一例を示す図 本開示の実施の形態におけるレーザ溶接装置の動作手順を示すフローチャート 本開示の実施の形態における不貫通孔の有無判別方法の処理手順を示すフローチャート 本開示の実施の形態における移動平均処理演算結果の一例を示す図 本開示の実施の形態における微分・加算演算結果の一例を示す図 圧縮エアもしくはシールドガスをビード表面に対し角度α=0°から流した際の不貫通孔の有無判別結果を示す図 圧縮エアもしくはシールドガスをビード表面に対し角度α=60°から流した際の不貫通孔の有無判別結果を示す図 本開示の実施の形態における圧縮エアもしくはシールドガスを吹き付ける角度αと不貫通孔の有無判別結果、メカニズムを示す図 圧縮エアもしくはシールドガスをビード表面に対し、各流速および各角度から流した際の不貫通孔の有無判別結果を示す図 本開示の実施の形態における圧縮エアもしくはシールドガスの吹き付けノズル開口面積と流量の関係を示す図 圧縮エアもしくはシールドガスをビード表面に対し、圧縮エアもしくはシールドガスをビード表面に対し、吹き付けノズルの開口面積当たりの流速が1.24 m/sec未満で流した際の光強度測定値を示す図 圧縮エアもしくはシールドガスをビード表面に対し、吹き付けノズルの開口面積当たりの流速が2.49m/secより大きく流した際の光強度測定値を示す図
(実施の形態)
本開示のレーザ溶接方法およびレーザ溶接装置について、本実施の形態について図1〜図13を参照して説明する。図1はレーザ溶接装置の概略構成を示す図である。図2はレーザ溶接を実行する際に圧縮エアまたはシールドガスを流す吹き付けノズルを取り付ける位置について示している。また、図3、図4は本開示のレーザ溶接装置において、溶接時の発生するプラズマおよびプルーム発光の光強度測定・演算方法の流れを示すフローチャートである。
図1において、レーザ溶接装置は、ロボット1、コントローラ2と、条件設定器3と、レーザ発振器4と、レーザ溶接ヘッド5を備え、レーザ7を被溶接材8に照射し溶接を行う。
本開示のレーザ溶接装置は、被溶接材8にレーザ7を照射するレーザ溶接ヘッド5と、被溶接材8の溶融状態を表すプラズマおよびプルーム発光による光強度を測定する光センサ11を備える。また、この光センサ11からの出力信号に基づいて演算を行う光強度演算部である光センサ出力信号演算部15と、光センサ出力信号演算部15の出力情報から穴あき・アンダーフィル等の不貫通孔の有無を判別する溶接状態判断部である不貫通孔の有無判断部12とを備える。これにより穴あき・アンダーフィル等の不貫通孔の有無を判断する。
ここで、穴あきおよびアンダーフィルの深さについて、深さと開口幅の比を用いて定義する。穴あきとは、深さ/開口幅が0.25以上を穴あきとする。また、深さ/開口幅が0.15以上、0.25未満をアンダーフィルとする。いずれも、溶接部の溶接強度低下を及ぼす欠陥である。以降ではこれらを総称し不貫通孔とする。
本実施の形態では、被溶接材8は上板と下板の2枚重ねであり、その間に部分的な隙間であるギャップgを有する。なお、2枚重ねだけでなく、2枚以上の複数枚の重ね継手においても同様の手順で検査を実施することで不貫通孔の有無の判別が可能である。
なお、本開示のレーザ溶接装置での不貫通孔の有無の判別の検査手法は、複数枚の被溶接材を重ねた状態で、その上方からレーザ溶接を行う場合に用いる。また、有無判別の対象である穴あきおよびアンダーフィルとは、上記複数枚すべてに穴が開く貫通孔ではなく、不貫通孔である。すなわち、上記複数枚のうち、最下層の被溶接材の裏側には孔がなく、最上層表面から一定の深さをもつ不貫通孔である。不貫通孔の有無は貫通孔よりも目視での確認が難しく、検査の必要性が高い。穴あきとアンダーフィルの違いはその凹み深さの違いである。
また、レーザ溶接時に発生するプルームが不貫通孔の有無の判別に適した量・状態となり、不貫通孔の有無の判別が高精度に行うため、圧縮エアまたはシールドガスの吹き付けノズル9から、圧縮エアまたはシールドガス18を被溶接材の溶接箇所19に流す。その際、吹き付けノズル9の取付位置および角度、流量を予め調整する。
レーザ溶接時に生じるプラズマおよび弱電離プラズマであるプルームの発光による光は、レーザ溶接ヘッド5に設けられた、特定の周波数(波長)、帯域のみを通すバンドパスフィルタ10を透過し、光センサ11の内部に入る。光センサ11から出力される信号は、不貫通孔の有無判断部12において、アンプ13、ノイズフィルタ14を通り、光センサ出力信号演算部15にて演算処理される。
そこで、演算結果と予め設定されている閾値とを連続して比較し、閾値を超えた場合は、不貫通孔の有無判断部12にて穴あきまたはアンダーフィル有りと判断され、コントローラ2に穴あきまたはアンダーフィル有りの信号が送られる。コントローラ2はその信号を受け取り、穴あきまたはアンダーフィル有りの表示が条件設定器3に表示され、レーザ溶接は自動停止する。その後、作業者は条件設定器3により溶接条件の変更を行う。なお、レーザ溶接の自動停止を実施するかは条件設定器3により作業者が予め設定できる。レーザ溶接時の溶接状態判断方法の結果をフィードバックしながら、レーザ照射の自動停止、あるいは溶接条件の修正を行うものであっても良い。
図1に示すように、本実施の形態では、光センサ11の取付位置は、レーザ溶接ヘッド5の内部である。また、光センサ11の取付位置はレーザ溶接ヘッド5の内部だけでなく、レーザ溶接ヘッド5の上面、側面、底面など、どの面を用いてもよく、光センサ11の受光面に溶接箇所からの光が受光されるように設置する。なお、レーザ溶接ヘッドの5の外側よりも内部に設置した場合の方が、レーザ溶接ヘッド5の保護ガラスおよび内部構造により溶接時の防塵性ならびに耐スパッタ性、耐ヒューム性が高いため、光センサ11の長寿命化が図られ、メンテナンス性が向上し、より好適である。
図1および図2に示すように、本実施の形態では、圧縮エアまたはシールドガスの吹き付けノズル9は、レーザ溶接ヘッド5に直接または間接的に取り付けられ、圧縮エアまたはシールドガス18が溶接箇所19のレーザ光が照射される面に対して角度αで吹き付けられるように設定されている。また、圧縮エアまたはシールドガスの吹き付けノズル9がレーザ溶接ヘッド5に取り付けられる位置は図2に示すように、溶接箇所19に対して圧縮エアまたはシールドガスが角度αで吹き付け可能な位置であれば全方位どの方向でもよい。
次に図1を用いて、光センサ11による光強度測定方法について記載する。
レーザ溶接時に生じるプラズマおよびプルームの発光による光は、特定の波長のみを透過させるバンドパスフィルタ10を通過して光センサ11に入光する。これにより、光センサ11にはレーザ溶接時の特定の波長の光のみが受光される。本実施の形態では、波長600nmの光のみを通すフィルタを採用した。
しかしながら、波長域400〜800nmの範囲では、どの波長域の光を用いても不貫通孔の有無判別が可能であることを確認済みである。したがって、本実施の形態に限らず、400〜800nmのどの波長域を選定しても、本開示の効果を得ることができる。
受光された光の強度に対応する光センサ11の出力信号が不貫通孔の有無判断部12に送られる。さらに不貫通孔の有無判断部12では、アンプ13、ノイズフィルタ14により、出力信号は増幅・ノイズ除去され、光センサ出力信号演算部15に送られる。
次に、図5〜図6、図3を用いて、光センサ出力信号演算部15にて行われる光センサ11の出力信号の演算結果に対して行う、不貫通孔の有無判別について説明する。本開示のレーザ溶接装置により、レーザ溶接時に被溶接材8から発生するプラズマおよびプルーム発光の光強度が光センサ11により測定される。その後、図3の本開示のレーザ溶接装置の動作手順を示すフローチャートに示すように、光強度を移動平均処理演算と微分演算、加算演算を繰り返すことにより、レーザ溶接中に生じる穴あき・アンダーフィル等の不貫通孔の有無をレーザ溶接時に正確に判別できる。さらに、穴あき・アンダーフィル等の不貫通孔が有りと判断された際には、作業者に自動で告知され、レーザ照射の自動停止、さらには作業者による溶接条件の変更が行われる。
具体的には、光センサ出力信号演算部15では、まず図5に示すように、光センサ11の出力信号に対し、移動平均処理を行う。さらに、光センサ出力信号演算部15では、入力された出力信号を移動平均処理したあと、微分計算を行い、微分の合計Pに加算する。計測開始時、予め微分の合計Pは0に設定されている。
現在の入力された出力信号を信号A2、1つ前に入力された出力信号を信号A1とし、微分計算はA2−A1の差分を微分し、微分値Aとして算出する。微分値AがA≧0であれば、微分の合計PにA2を加算し、P’=P+A2として、計算値P’を微分の合計P(=P’)として再定義する。微分の合計Pと予め設定しておいた閾値Tとを溶接区間にて連続して比較し、微分値の合計PがP≧Tとなれば、穴あきまたはアンダーフィル有りと判断する。微分値の合計PがP<Tであれば、光センサ11の次の出力信号に対し同様の演算および閾値との比較を続ける。図6に不貫通孔(B1〜B2)に対する判断結果の一例を示す。
一方、微分値AがA<0のとき、微分の合計値PをP=0に再定義し、次の出力信号を取り込み、同様の演算および閾値Tとの比較を行う。
図4を用いて、レーザ溶接時の検査方法の流れについて説明する。
図4に示すように、ロボットの動作が開始され、レーザ溶接が開始される直前に光センサ11の測定開始トリガ信号がコントローラ2より送られる。溶接開始と同時に光センサ11による測定が開始され、光センサ11の出力信号は不貫通孔の有無判断部12に取り込まれる。不貫通孔の有無判断部12では、前記演算方法と前記不貫通孔の有無の判別方法により、不貫通孔の有無が判別される。
不貫通孔が有りと判断された場合、コントローラ2に信号が送られ、条件設定器3に不貫通孔有りの表示がされ、溶接の自動停止等が行われる。その際、光センサ11の測定停止、およびロボット1の動作停止が行われる。
不貫通孔が有りと判断された場合、条件設定器3にその判別結果が表示され、作業者は溶接条件の修正を行うことができる。溶接条件の修正項目を予め設定することで、作業者が手動で条件設定器3に入力せずとも、レーザ溶接装置が溶接条件を自動的に修正し、レーザ溶接を引き続き行うこともできる。
不貫通孔無しと判断されている間は、溶接区間では光センサ11による測定および不貫通孔有無の判別が断続的に行われる。溶接区間のロボット移動終了時に不貫通孔が無く溶接を完了した場合も、光センサ11の測定、およびロボット1の動作が終了される。
次に不貫通孔の有無の判別に適した圧縮エアまたはシールドガスの吹き付け方法について示す。
不貫通孔有無を正確に判別するには、圧縮エアもしくはシールドガスの吹き付けノズルの角度αを、被溶接材8が溶接される被溶接箇所の面に対して0°以上30°以下として、圧縮エアもしくはシールドガスを供給する。このように、レーザ光が照射される被溶接材8の溶接箇所19に対して圧縮エアもしくはシールドガスを流すことが重要である。
図7に圧縮エアもしくはシールドガスをビードの表面に対し吹き付けノズルの角度αを0°とし、角度α=0°から流した際の判別結果、図8に角度α=60°の位置から流した際の判別結果を示す。条件として、圧縮エアの流量を15L/minを、ノズルの開口面積を201mm2として吹き付けノズル9から溶接箇所19に流している。
図7に示すように、角度αが0°で流した結果では、不貫通孔がある箇所(B1〜B4)と、不貫通孔がない箇所との光強度の違いが大きく、正確に不貫通孔の有無の判別が可能であった。
それに対し、図8に示すように、角度α=60°から流した結果では、プルームやスパッタをレーザ光が照射される溶接箇所19(加工点)から十分に排出出来ず、不貫通孔がある箇所(C1〜C4)と、不貫通孔が無い箇所(D1〜D4)との判別は不可であった。
角度α=0°から流した結果と同様に、不貫通孔有無を正確に判別できる角度αは、ビードの表面に対し、吹き付けノズル9の角度αが0°〜30°である。一方、角度αが40°〜90°では上述のように吹き付けノズル9の角度αが60°から流した結果と同様の結果が得られ、角度αが30°より大きく40°以下では不貫通孔有無の判別精度が著しく低い。したがって、溶接箇所19に圧縮エアまたはシールドガスを吹き付ける吹き付けノズル9の角度αは、0°以上30°以下が好適である。
不貫通孔の有無を正確に判断するためには、不貫通孔がある箇所と、不貫通孔が無い箇所における光強度の違いがあることが必要である。光強度には測定点の残存プルーム量が深く関係するため、不貫通孔が有る箇所と、不貫通孔がない箇所における残存プルームの量に違いがあることが必要である。
図9に示すように、ビードの表面に対し、吹き付けノズル9の角度αが0°〜30°の場合、不貫通孔がある箇所では、残存プルーム量が多く光強度が高いのに対し、不貫通孔がない箇所では、プルームが横に排出され光強度測定位置から離れるため、測定される光強度が低い。このため、不貫通孔の有無を正確に判断することができる。
それに対し、図9に示すように、ビードの表面に対し、吹き付けノズル9の角度αが40°〜90°の場合、不貫通孔がある箇所と、不貫通孔がない箇所における残存プルーム量の差が小さくなり、光強度の明確な違いが認められないため、不貫通孔の有無を正確には判断できない。 圧縮エアもしくはシールドガスについて、ビード上に横方向から吹かせさえすればよく、言い換えると吹き付けノズル9の角度αが、被溶接材8が溶接される被溶接箇所の面に対して0°以上30°以下であれば、レーザ溶接ヘッド5に取り付ける以外にも、被溶接材の固定治具側に取り付けても良く、またはファンにより遠方から溶接箇所19へとエアやシールドガスを流す方法など、種々の方法を用いても同様の効果が得られる。
より好ましくは、レーザ光が照射される溶接箇所19(加工点)からプルームやスパッタを排出し、不貫通孔有無の判別に適した状態にするために用いられる圧縮エアもしくはシールドガスは、吹き付けノズル9の角度αが0°以上30°以下かつ圧縮エアもしくはシールドガスの流速Vを1.24m/sec以上、2.49m/sec以下として溶接箇所19に流す。
不貫通孔の有無を正確に判断するためには、不貫通孔がある箇所と、不貫通孔がない箇所における光強度の違いがあることが必要である。光強度には測定点の残存プルーム量が深く関係するため、不貫通孔がある箇所と、不貫通孔がない箇所における残存プルームの量に違いがあることが重要である。
したがって、不貫通孔の有無の判別性能・判別可否には、残存プルームの量が大きく影響する。一方、残存プルーム量は圧縮エアもしくはシールドガスの流速の大きさ、および吹き付けノズルの角度により大きく変化する。よって、下記に示すように、圧縮エアもしくはシールドガスの流速の大きさ、および吹き付けノズルの角度が判別性能・判別可否に大きく影響する。
図10は吹き付けノズルの角度αの大きさ、および圧縮エアまたはシールドガスの流速Vの大きさと不貫通孔有無の判別可否の結果を示す図である。圧縮エアもしくはシールドガスの流速が1.24m/sec未満の場合、または2.49m/secより大きい場合は不貫通孔の有無が判別不可である。圧縮エアまたはシールドガスの流速が1.24m/sec以上、2.49m/sec以下の場合は、吹き付けノズル角度が0°以上、30°以下で不貫通孔有無の判別が可能である。
これは、プルームを不貫通孔内に適した量だけ残存させることができ不貫通孔の有無の判別が可能となるためである。一方、圧縮エアもしくはシールドガスの流速が1.24m/sec未満の場合は、プルームやスパッタが被溶接材表面に滞留し、十分に排出されないため、光強度が著しく大きく変動も大きい。このため、不貫通孔の有無の判別に必要な光強度の違いを検出できない。従って、不貫通孔がある箇所を判別できない。また、圧縮エアもしくはシールドガスの流速が2.49m/secより大きい場合、すなわち圧縮エアもしくはシールドガスの吹き付けが大きい場合、プルームやスパッタが被溶接材表面から大量に排出され、不貫通孔内のプルームも排出されプルームの残存量が著しく少ないため、不貫通孔の有無と関係なく光強度が著しく低い。
このため、不貫通孔の有無を判別するための光強度の違いを検出できない。従って、不貫通孔がある箇所を判別できない。つまり、流速を1.24m/sec以上、2.49m/sec以下に設定することが重要である。
以降では、不貫通孔有無の判別に適した圧縮エアまたはシールドガスの流速を設定する方法、および吹き付けノズル9の形状設定方法を開示する。
図11は本開示の実施の形態における圧縮エアまたはシールドガスの吹き付けノズル開口面積と流量の関係を示す図である。不貫通孔の有無を判別可能な流速Vの境界としては、不貫通孔内に適したプルームを残すことができることにより、1.24m/secと2.49m/secに挟まれた領域が判別可能な範囲となる。
例えば、直径8mmの円筒型の吹き付けノズル9を用いた場合は、吹き出し開口面積が201mmとなる。この開口面積が201mmの場合は、圧縮エアまたはシールドガスの流量は図11に示すように15L/min以上、30L/min以下の範囲である。すなわち、吹き付けノズル9の開口面積当たりの流速Vは、1.24m/sec以上、2.49m/sec以下が必要である。圧縮エアもしくはシールドガスを流すためのランニングコストの観点を鑑みると、吹き付けノズル9の最小流速である1.24m/secとなる流量15L/minに設定することが好適である。
ただし、流量が多いほど溶接ビードに光沢が生まれ、外観品質が高い。したがって、外観品質を高める場合は流速が2.49m/secとなる流量30L/minに設定することが好適である。なお、1.24m/sec以上、2.49m/sec以下であれば、吹き付けノズル9の形状は円筒や多角形だけでなく、円弧と直線を含む種々の断面形状を有した吹き付けノズル9の開口形状を用いてもよい。吹き付けノズル開口面積の面積に応じ、流速が1.24m/sec以上、2.49m/sec以下になるように種々の条件を調整することが好適である。
図12は圧縮エアもしくはシールドガスをビード表面に対し、吹き付けノズルの開口面積当たりの流速が1.24 m/sec未満で流した際の光強度測定値を示す図である。
一方、図13は、圧縮エアもしくはシールドガスをビード表面に対し、吹き付けノズルの開口面積当たりの流速が2.49m/secより大きく流した際の光強度測定値を示す図である。
溶接の品質向上のために使うシールドガスの考え方では、溶接時に十分なシールド効果を得るため、多量のシールドガスを用いている。また、レーザ溶接の場合に、被溶接材表面に多く滞留するプルームに対して、レーザが通過する際、レーザが減衰し出力低下を起こすため、溶接不良を頻発させる場合があり、従来の溶接の品質向上のために使うシールドガスの考え方においては、シールドガスを強く吹き付けることによりプルームを残留させず、被溶接材表面から完全に排除することを目的としていた。
しかしながら、本開示の不貫通孔の有無の判別を行うレーザ溶接方法では、従来とは逆の発想で、シールドガスを必要以上には吹き付けずに、プルームをあえて適量残してプルームによる乱反射による光強度の増加を用いて、高精度に不貫通孔の有無の判別を行うことを可能にしている。図7〜図13にも示すように、適した量のプルームを不貫通孔内に残存させることにより、不貫通孔の有無の判別が可能となる。検査を高精度化する目的で、上記吹き付けノズル角度、および圧縮エアもしくはシールドガスの流速の設定が重要であることを本開示の発明により明らかにした。
以降では吹き付けノズルの形状について記載する。
圧縮エアまたはシールドガスの吹き付けノズル9の形状について説明するため、被溶接材表面に対する吹き付けノズル9の開口の平行な長さ成分でビードの幅に平行な長さ成分を「幅」、被溶接材表面に対する垂直な長さ成分を「厚さ」と呼称する。
種々のノズル形状は、少なくともビードの幅以上の「幅」を有することが、ビード全体の不貫通孔有無の判別に好ましい。したがって、吹き付けノズル9の開口の幅はビードの幅以上とすることが好ましい。これにより溶接箇所19からプルームやスパッタを効率よく排出することが出来る。
以上のように、圧縮エアもしくはガスを適した流速で溶接箇所に流すことで、レーザ溶接時に発生するプルームが不貫通孔の有無の判別に適した量・状態となり、レーザ溶接中に不貫通孔の有無の判別を高精度に行うことが出来る。
本開示は、溶接継手強度に多大な影響を及ぼす、ビードの穴あきおよび/またはアンダーフィルといった不貫通孔の有無を正確に判別できる。また、レーザ溶接工程内での判別が可能なため、欠陥検出時に迅速対応が出来、溶接中の溶接条件の修正も可能となり、修正が早い段階で行える。またさらに、溶接後の目視検査や手検査といった外観検査作業を削減可能で、生産性向上に貢献する装置および方法である。
1 ロボット
2 コントローラ
3 条件設定器
4 レーザ発振器
5 レーザ溶接ヘッド
6 マニピュレータ
7 レーザ
8 被溶接材
9 吹き付けノズル
10 バンドパスフィルタ
11 光センサ
12 不貫通孔の有無判断部
13 アンプ(光センサ出力信号増幅部)
14 ノイズフィルタ(ノイズ除去部)
15 光センサ出力信号演算部
16 制御部
17 記憶部
18 圧縮エアまたはシールドガス
19 溶接箇所

Claims (4)

  1. レーザ溶接時に被溶接材の溶融状態を表すプラズマおよびプルーム発光による光強度を測定することで行われる溶接ビードの不貫通孔の有無の判別するレーザ溶接方法であって、
    被溶接箇所に横から圧縮エアもしくはシールドガスを流すことで測定した前記光強度および不貫通孔の有無の判別を行うレーザ溶接方法。
  2. 前記被溶接箇所に流す前記圧縮エアもしくはシールドガスの吹き付けノズルの角度を、被溶接箇所の面に対して0°以上30°以下、かつ前記圧縮エアもしくはシールドガスの流速を1.24m/sec以上、2.49m/sec以下とする請求項1記載のレーザ溶接方法。
  3. 被溶接材にレーザ照射するレーザ溶接ヘッドと、前記被溶接材の溶融状態を表すプラズマおよびプルーム発光による光強度を測定する光センサと、前記光センサからの出力信号に基づいて演算を行う光強度演算部と、前記演算部の出力情報から不貫通孔の有無を判別する溶接状態判断部とを備え、請求項1または2に記載のレーザ溶接方法により不貫通孔の有無を判断するレーザ溶接装置。
  4. レーザ溶接時の溶接状態判断方法の結果をフィードバックしながら、レーザ照射の自動停止、あるいは溶接条件の修正を行う請求項3記載のレーザ溶接装置。
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