JP2011245045A - 寒冷条件下で高い係合力を発現する面ファスナー - Google Patents

寒冷条件下で高い係合力を発現する面ファスナー Download PDF

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【課題】寒冷な条件、例えば付着した水滴が氷結するような寒冷な条件下において、高い係合力を発現する面ファスナーであって、特にスキーウエアーに代表される寒冷地において外衣や防寒衣として着用されるウエアーや靴、手袋等に好適な面ファスナーを提供する。
【解決手段】基布表面に多数の係合素子を有する織面ファスナーにおいて、係合素子表面及び基布表面が共にフッ素系撥水剤でコートされている織面ファスナー。
【選択図】なし

Description

本発明は寒冷な条件、例えば付着した水滴が氷結するような寒冷な条件下において、高い係合力を発現する面ファスナーに関する。特に、スキーウエアーに代表される寒冷地において外衣や防寒衣として着用されるウエアーや靴、手袋、あるいは寒冷地において持ち運びされる鞄等に好適な面ファスナーに関する。
従来から、フック状係合素子を有する面ファスナーを一方のシートや布帛の表面に取り付け、もう一方のシートや布帛の表面に、ループ状係合素子を有する面ファスナーを取り付け、この両面ファスナーを係合させることにより、2枚のシート又は布帛を密着させる方法が一般的に行なわれており、例えば、衣類や靴や鞄等の分野に広く用いられている。
ところが、これら面ファスナーを、付着した水滴が氷結するような寒冷な条件下で用いると、水滴が付着することにより係合力が急激に低下することが見出された。
その現象について本発明者等は深く観察を行なった結果、面ファスナー表面に付着した水滴が、面ファスナーの係合素子内まで浸透し、その状態で氷結しており、その結果、ループ状係合素子のループ内が氷で閉ざされたり、フック状係合素子のフック彎曲内が氷で占有されたりして、相手の係合素子が係合できず、係合力が大きく低下することを見出した。特に、マルチフィラメント束からなるループ状係合素子を有する面ファスナーにおいては、その傾向が極めて大きいことが判明した。
従来より、面ファスナーを構成する素材として、疎水性の樹脂、例えばポリプロピレン系樹脂を用いることは一般的に行なわれている(例えば特開平9‐309168号公報)。同公報に記載された発明は、使い捨ておむつの係止部材として用いる面ファスナーの雌材としてポリプロピレン系繊維を用いるものであり、それにより、面ファスナー雌材を濡れ難くした発明である。
本発明者等は、面ファスナーを構成する繊維としてポリプロピレン系繊維を用いたところ、この技術では面ファスナーへの水滴の付着および係合素子内への浸透を防ぐことができず、氷結による係合力低下を防ぐ上で効果を殆ど有していないことを見出した。
これに代わる、面ファスナーへの水滴の付着および係合素子内への浸透を防止する方法として、撥水剤を塗付する方法を思いつき、面ファスナー表面に撥水剤をスプレー塗付したところ、面ファスナー表面に存在する係合素子の頂点付近は撥水性を有することとなるが、係合素子、特にマルチフィラメント束がループを形成してループ状係合素子となっている面ファスナーにおいては、ループ状係合素子に妨げられてループ内部や基布まで撥水剤が到達できず、面ファスナーのループ状係合素子内へ水滴が付着することを防止することが不充分であり、係合力低下を防ぐ効果が不充分であることを見出した。
特開平9‐309168号公報
本発明は、面ファスナーに水滴が付着し、それが氷結して係合素子内を占有することにより係合力が低下することを防止することを目的とするものである。
すなわち、本発明は、基布表面に多数の係合素子を有する面ファスナーにおいて、係合素子表面及び基布表面が共にフッ素系撥水剤でコートされていることを特徴とする寒冷条件下で高い係合力を発現する面ファスナーである。
また本発明は、面ファスナーを撥水剤含有液中に浸漬した後、面ファスナーを該液中から取り出し、乾燥することを特徴とする寒冷条件下で高い係合力を発現する面ファスナーの製造方法である。
そして、本発明において好ましくは、基布裏面にはバックコート樹脂層が存在していない場合であり、また係合素子がループ状係合素子であり、かつ係合素子密度が20〜60本/cmである場合であり、また係合素子がマルチフィラメント束からなるループ状係合素子であり、かつ係合素子密度が20〜60本/cmである場合であり、また係合素子および基布が共にポリエステル系繊維から形成されている場合であり、また基布が織物である場合であり、そして撥水剤がフッ素系撥水剤である場合である。
そして、本発明の面ファスナーは、寒冷地着用用外衣に取り付ける面ファスナーとして、特にスキーウエアーとして、或いはスキー用靴またはスキー用手袋に取り付ける面ファスナーとして適している。
本発明の面ファスナーでは、係合素子の頂部のみならず、係合素子のループ部分やフックの彎曲部、さらに基布表面まで撥水剤処理されていることから、面ファスナーの係合素子表面に水滴が付着しても、係合素子内に水滴が浸透せずに、係合素子の頂部に付着した状態を保ち、面ファスナーに振動を与えると該水滴が面ファスナーから離れ落ちるため、係合素子のループ内やフック彎曲部内が氷で埋まることがなく、係合力が低下する問題も生じない。
更に面ファスナーの場合、それが靴等に取り付けられた場合、それに泥水が付着すると、水分が蒸発し、泥の土が面ファスナーのループ素子のループ内やフック素子の彎曲部に留まり、それが係合の際に邪魔をして係合力が低下するという現象が生じるが、本発明の面ファスナーの場合には、内部まで撥水処理されていることから、泥水が付着し難く、付着しても振動により容易に面ファスナーから脱落し、その結果、泥による係合力低下を防ぐことができる。
本発明の面ファスナーは、基布とその表面に存在している係合素子からなる。基布は織物、編物のいずれでも良いが、係合力の点から織物が好ましい。
基布が織物の場合、織物は、地経糸、地緯糸、係合素子を形成することとなるパイル糸から構成される。通常、織面ファスナーの基布裏面側には、係合を剥がす際に係合素子が基布から引き抜かれることを防ぐために、係合素子用糸を地経糸および地緯糸に固定するための接着用樹脂が塗付され、それが層として存在している(いわゆるバックコート樹脂層)。
しかしながら、本発明の面ファスナーでは、バックコート樹脂層が存在していないのが、基布まで充分に撥水処理させる上で好ましい。バックコート樹脂層が存在しない場合には、係合素子用糸が基布から引き抜かれることを防ぐために、バックコート樹脂層に代わる手段が採用される必要がある。具体的には、基布を構成する糸の一部、より好ましくは地緯糸の少なくとも一部として熱融着性のバインダー繊維を用い、基布を構成した後に該バインダー繊維を溶融させて係合素子の根元を溶融樹脂により固定し、更にバインダー繊維として、或いは地緯糸として熱収縮性繊維を含む糸を用いることにより係合素子の根元を熱収縮性繊維の収縮により締め付け、締め付けた状態でバインダー繊維が溶融して固定することにより係合素子が引き抜かれるのを防ぐようにした面ファスナーが好ましい。
一方、地経糸には、地緯糸と比べて収縮率が低い繊維を用いるのが面ファスナーの生産工程性および得られる面ファスナーが波打ちを生じない等の形状面の点で優れている。そして、地経糸と平行に係合素子用パイル糸が織物基布に織り込まれる。
本発明において、地経糸、地緯糸およびパイル糸のいずれもがポリエステル系繊維、特にポリエチレンテレフタレート系やポリブチレンテレフタレート系の繊維で形成されているのが付与したフッ素系撥水剤の耐久性の点で、さらに係合素子の耐引き抜き性の点で好ましい。特に、地緯糸として、ポリエステル系のバインダー繊維を用いるのが好ましく、具体的には、鞘成分が低融点ポリエステル(例えば、イソフタル酸を15〜50モル%共重合したポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート)、芯成分が高融点ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)からなる芯鞘型複合繊維を用い、鞘成分のみが溶融する温度条件下で面ファスナーを処理してバインダー繊維としての機能を発現させるのが好ましい。芯鞘型複合繊維における芯成分と鞘成分の重量比としては芯成分75〜30重量%、鞘成分25〜70重量%が好ましい。
また、地経糸、地緯糸及びパイル糸は、ともにフィラメント糸であるのが、面ファスナーに付着した水滴を面ファスナーから脱落させて、面ファスナー内に水滴が残らないようにする上で好ましい。面ファスナーがループ状係合素子を有する面ファスナーである場合には、ループ状係合素子用パイル糸としてマルチフィラメント糸が用いられ、面ファスナーがフック状係合素子を有する面ファスナーである場合には、フック状係合素子用パイル糸としてモノフィラメント糸が用いられる。また、同一面ファスナーにフック状係合素子とループ状係合素子が混在している、いわゆるフック・ループ混在型面ファスナーでも良い。
地経糸を構成する糸としては、2〜10dtexのフィラメントが20〜70本集束した100〜400dtex、特に120〜300dtexのマルチフィラメント糸が、また地緯糸を構成する糸としては、2〜10dtexのフィラメントが50〜120本集束した150〜400dtexのマルチフィラメントが得られる面ファスナーの強度で代表される物性の点で好ましい。
また係合素子を形成することとなるパイル糸としては、フック状係合素子の場合には150〜500dtexのモノフィラメント、ループ状係合素子の場合には5〜20本のフィラメントが集束した150〜350dtexのマルチフィラメント糸が、係合力の点で好ましい。
係合素子を形成することとなるパイル糸は地経糸と平行に織物中に織り込まれ、その所々で基布面から突出するようにループを形成する。熱処理してループ形状を固定するとともにバインダー繊維を溶融させてパイル糸を固定する。フック状係合素子とする場合には、ループの一方の側部を切断することによりフック状係合素子が形成される。
ループ状係合素子の密度としては20〜60本/cmが、フック状係合素子密度としては20〜60本/cmが面ファスナー表面に付着した水滴が係合素子内や基布面に到達し難い点で好ましい。さらに、ループ状係合素子とフック状係合素子の高さとしては基布面から1.3〜3mmの高さが好ましい。また面ファスナーの目付けとしては150〜400g/mが好ましい。
なお、本発明において、フック状係合素子としては、ループを切断して得られるフックのほかに、基布面に直立させたモノフィラメントの先端部を溶融させてキノコ型としたキノコ型面ファスナーでもよく、本発明で言うフック状係合素子には、このキノコ型係合素子も包含している。
本発明の面ファスナーには、撥水剤が付与されている。しかも、撥水剤は、係合素子の頂部のみに付着している程度では不充分であり、基布まで充分に撥水剤が付着していなければ本発明の効果は得られない。本発明では、基布まで充分に撥水剤が付着するように、面ファスナーを撥水剤液に浸漬し、そして攪拌し、その後に撥水剤液から面ファスナーを取り出し乾燥するという方法を用いている。一般市販されている、撥水剤液入りのスプレーを面ファスナー上に軽く噴射する程度では基布まで充分に撥水剤が付与されたものを得ることは困難である。
本発明を構成する撥水剤としては、一般に用いられているものが本発明でも使用でき、例えばケイ素化合物系や炭素化合物系やフッ素化合物系等が代表例として挙げられるが、なかでもフッ素系化合物が好ましい。フッ素系化合物としては、フッ素系ウレタン樹脂やフッ素系アクリル樹脂等が挙げられる。
これらフッ素系撥水剤は、特に面ファスナーを構成している繊維がポリエステル系の場合には撥水効果が持続することから、本発明において好ましい組み合わせである。
面ファスナーに付着させる撥水剤の量としては、固形分重量で、面ファスナーに対して6〜7重量%が好ましい。
本発明の撥水剤付与面ファスナーは、付着した水滴が氷結するような寒冷な条件下で好適に用いられる。例えば、寒冷地や寒冷条件のなかで着用する外衣、例えばコートやジャンパー、ズボン等の防寒具、さらにスキー用のウエア、靴類、寒冷地で持ち運ぶバッグ類、さらに寒冷な条件下で用いる結束具類、固定具類等として好適に用いられ、更にそれ以外にも、泥水等の固形物含有液が付着するような用途、例えば靴や作業服、雨合羽等に好適に用いられる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。なお、実施例中、面ファスナーの引張剪断力はJIS‐L‐3416にしたがって測定した。
<フック状面ファスナーの製造>
次の地経糸、地緯糸、フック用モノフィラメントを用い、以下の製造方法によりフック用面ファスナー(1)を製造した。
[地経糸]167dtex/48フィラメントからなるポリエチレンテレフタレート製マルチフィラメント糸
[地緯糸]鞘成分がイソフタル酸25モル%共重合ポリエチレンテレフタレートで芯成分がポリエチレンテレフタレートホモポリマーである芯鞘型複合の334dtex/96フィラメントのマルチフィラメント糸(210℃での収縮率が17%)
[フック用モノフィラメント]390dtexのポリエチレンテレフタレートからなるモノフィラメント
[製造方法]
地経糸密度:140本/インチ、
地緯糸密度:48本/インチ、
フック用モノフィラメントは地経糸4本に1本の割合となるように地経糸と平行に打込んだ。そして、所々がループを形成するように基布上に突出させるとともに、ループを形成したフック用モノフィラメントはループとなった個所で地経糸2本および地緯糸2本を跨ぐように地織物内に織り込まれている。
織組織:平織
上記の方法で得られたフック面ファスナー用織物を温度210℃で1分間熱処理して、フックのループ形状を固定すると共に、基布のバインダー繊維(芯鞘型複合繊維)を溶融かつ収縮させてフック用フィラメントを基布に接着させた。ついでフック用フィラメントが形成しているループの頂部から僅かに外れた個所をカットして面ファスナーを作製した。フック用モノフィラメントは地緯糸の融着により基布に充分に固定されている。
面ファスナーの目付:310g/m
フック状係合素子密度:40個/cm
フック状係合素子高さ:1.8mm
<ループ状面ファスナーの製造>
上記フック状面ファスナーの製造において、フック用モノフィラメントをポリエチレンテレフタレートからなる24dtex/12フィラメントからなるマルチフィラメント糸に置き換え、ループの側部をカットすることを行なわない以外は同一の方法によりループ状織面ファスナーを製造した。
面ファスナーの目付:310g/m
ループ状係合素子密度:40個/cm
ループ状係合素子高さ:1.8mm
以上の方法により得られたフック状面ファスナーとループ状面ファスナーの両方をフッ素系撥水剤液(日華化学社製フッ素系撥水剤NKガード/NDN−7E:撥水剤濃度6.5重量%)に浸漬し、該撥水剤液を攪拌して面ファスナー内部まで充分に撥水剤液を浸透させた。
面ファスナーを撥水剤液から取り出し、乾燥した。面ファスナーには6〜7重量%の撥水剤が付着していることを重量増加から確認した。さらに、得られた面ファスナーの係合素子表面のみならず基布表面にも撥水剤がコートされていることを撥水剤液に着色剤を添加することにより確認した。
この面ファスナーを10分間浸漬し、軽く振り払った状態で−10℃の雰囲気に5時間放置し、その状態でフック状面ファスナーとループ状面ファスナーを係合させて引張剪断力を測定した結果、15N/cmであり、係合力の点で何ら問題がなかった。
なお、水に濡らす前の面ファスナーの引張剪断力は10N/cmであった。
この撥水剤処理した面ファスナーを用いてスキー用アノラックの前の開き部に取り付けたところ、付着する雪の氷結により係合力が低下するという問題は全く生じなかった。同じく、この撥水処理した面ファスナーをスキー手袋の手首固定用に用いたところ、係合力低下の問題が全くなかった。
更に、ゴム長靴の足首部分に一方に上記フック面ファスナーを、他方のゴム長靴の足首部分に上記ループ面ファスナーを取り付け、このゴム長靴を履いて、面ファスナーにも泥が付着するように泥道を歩行し、そして、軽く水道水で泥を流したのち、乾燥させ、両ゴム長靴を一体化するために両面ファスナーを合わせて係合させたところ、係合力に殆ど変化は見られなかった。
比較例1
面ファスナーとして実施例1と同一の面ファスナーを用い、撥水剤を付与することなく水で濡らし、そして実施例1と同様に、−10℃の冷凍条件下で凍らせる方法を用いた。そして引張剪断力を測定した結果、5N/cmであり、係合力の点で実施例1のものよりはるかに劣るものであった。面ファスナーを詳細に観察した結果、ループ状係合素子のループ内やフック状係合素子の彎曲部内に氷の塊が見られ、それが係合力の低下を招いたものと予想された。
この撥水剤処理していない面ファスナーを用いてスキー用アノラックの前の開き部に取り付けたところ、付着する雪の氷結により係合力が低下し、面ファスナーの機能を充分に発揮できなかった。
更に、ゴム長靴の足首部分に一方にフック面ファスナーを、他方のゴム長靴の足首部分にループ面ファスナーを取り付け、このゴム長靴を履いて、上記実施例1と同様に泥道を歩行し、そして、泥を水道水で軽く流して乾燥させ、両ゴム長靴を一体化するために両面ファスナーを合わせて係合させたところ、両長靴を一体化するのに必要な係合力は得られなかった。面ファスナーを観察したところ、ループ素子のループ内やフック素子のフック彎曲部内に泥の乾燥物が溜り、それらが係合を妨げたものと推測できた。
比較例2
実施例1で製造したループ状係合素子を有する面ファスナーの表面に撥水剤のスプレー(イワタ塗装社製)を満遍なく軽く噴射し、表面を撥水処理した。係合素子の頂上部は、撥水剤により充分な撥水性を有していたが、基布の表面に関しては、水滴を落として状態を観察したところ、撥水剤を噴霧しないものと殆ど変わらず、基布表面は、殆ど撥水剤が付与されていないことが確認された。
この面ファスナーを用いて、実施例1と同様に、水で濡らし、そして実施例1と同様に、−10℃の冷凍条件下で凍らせる方法を用いた。そして、引張剪断力を測定した結果、7N/cmであり、係合力の点で、比較例1のものより僅かに優れているが、実施例1のものより劣るものであった。面ファスナーを詳細に観察した結果、ループ状係合素子のループ内に氷の塊が見られ、それが係合力の低下を招いたものと予想された。
この面ファスナーを用いてスキー用アノラックの前の開き部に取り付けたところ、付着する雪の氷結により係合力が低下し、面ファスナーの機能を充分に発揮することができなかった。
更に、ゴム長靴の足首部分に一方に実施例1と同様のフック面ファスナーを、他方のゴム長靴の足首部分にこの撥水剤を噴霧したループ面ファスナーを取り付け、このゴム長靴を履いて、実施例1と同様に泥道を歩行し、その後、水道水で泥を軽く洗い流し、そして、両ゴム長靴を一体化するために両面ファスナーを合わせて係合させたところ、両長靴を一体化するのに必要な係合力が得られなかった。
面ファスナーを観察したところ、ループ素子のループ内に泥の乾燥物が溜り、それらが係合を妨げたものと推測できた。

Claims (11)

  1. 基布表面に多数の係合素子を有する面ファスナーにおいて、係合素子表面及び基布表面が共にフッ素系撥水剤でコートされていることを特徴とする寒冷条件下で高い係合力を発現する面ファスナー。
  2. 基布裏面にはバックコート樹脂層が存在しない請求項1に記載の面ファスナー。
  3. 係合素子がループ状係合素子であり、かつその係合素子密度が20〜60本/cmである請求項1または2に記載の面ファスナー。
  4. 係合素子がマルチフィラメント束から構成されているループ状係合素子であり、かつ係合素子密度が20〜60本/cmである請求項1または2に記載の面ファスナー。
  5. 係合素子および基布が共にポリエステル系繊維から形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の面ファスナー。
  6. 基布が織物である請求項1〜5のいずれかに記載の面ファスナー
  7. 撥水剤がフッ素系撥水剤である請求項1〜6のいずれかに記載の面ファスナー。
  8. 面ファスナーを撥水剤含有液中に浸漬した後、面ファスナーを該液中から取り出し、乾燥することを特徴とする寒冷条件下で高い係合力を発現する面ファスナーの製造方法。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の面ファスナーを取り付けた寒冷地着用用外衣。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載の面ファスナーを取り付けたスキーウエアー。
  11. 請求項1〜7のいずれかに記載の面ファスナーを取り付けたスキー用靴またはスキー用手袋。
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