JP2011238875A - スイッチング素子、スイッチング素子の製造方法および半導体装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 イオン伝導体を薄膜化することなくオン電圧を低減可能なスイッチング素子を提供する。
【解決手段】 本発明のスイッチング素子10は、金属イオンを伝導可能なイオン伝導体14と、前記イオン伝導体14に接して設けられた第1電極11と、前記イオン伝導体14に接して設けられた第2電極12とを含み、前記第1電極11が、前記イオン伝導体14に金属イオンを供給可能であり、前記第1電極11の前記イオン伝導体14と接する部分11aが、前記金属の酸化物、前記金属の水酸化物および前記金属の塩からなる群から選択される少なくとも一つを含むことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、スイッチング素子、スイッチング素子の製造方法および半導体装置に関する。
プログラマブルロジック(書き換え可能な論理集積回路)は、ロジックセル間がスイッチにより相互に結線されて構成されている。前記プログラマブルロジックの機能を多様化し、電子機器などへの実装を推進するには、前記スイッチの小型化、オン抵抗の低減が必要である。金属の析出を利用したスイッチング素子は、半導体スイッチと比較して、小型であり、オン抵抗も小さいことが知られている。このようなスイッチング素子としては、例えば、特許文献1〜3に開示された2端子スイッチング素子、または特許文献3および4に開示された3端子スイッチング素子等があげられる。
図11に、2端子スイッチング素子の構造の一例を示す。図示のように、この2端子スイッチング素子は、金属イオンを供給する第1電極101と金属イオンを供給しない第2電極102とにより、イオン伝導体(イオン伝導層)104を挟持した構造である。この2端子スイッチング素子において、前記両電極間は、前記イオン伝導体中での金属架橋の形成・消滅(溶解)によってスイッチングする。このような2端子スイッチング素子は、その構造が単純であるため、製造プロセスが簡便であり、素子サイズをナノメートルオーダーまで小さく加工可能である。一方、前述の3端子スイッチング素子は、金属架橋の形成・消滅をコントロールする第3電極を設けることで、前記金属架橋の太さを制御可能であり、スイッチの書き込みおよび消去に必要な電流を大幅に低減可能である。
特表2002−536840号公報 特開2006−319028号公報 国際公開第2009−78251号 国際公開第2006−70773号
ここで、前述の2端子・3端子スイッチング素子を、プログラマブルロジックの配線切り換えスイッチに適用する場合、そのオン電圧(高抵抗状態から低抵抗状態に遷移させる電圧)が、周辺駆動回路の動作電圧の限界値より小さいことが望まれる。オン電圧が、周辺駆動回路の動作電圧の限界値より大きい場合には、例えば、上昇回路等を別途設ける必要があり、前述のスイッチング素子の適用による小型化のメリットを損なってしまう。
オン電圧は、イオン伝導体を薄膜化することにより低減可能である。しかし、前記薄膜化によりイオン伝導体の絶縁破壊電圧も低下するため、動作時に故障するリスクが増すなど、スイッチング素子の信頼性を低下させてしまうおそれがある。
本発明の目的は、イオン伝導体を薄膜化することなくオン電圧を低減可能なスイッチング素子、スイッチング素子の製造方法および半導体装置を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明のスイッチング素子は、
金属イオンを伝導可能なイオン伝導体と、
前記イオン伝導体に接して設けられた第1電極と、
前記イオン伝導体に接して設けられた第2電極とを含み、
前記第1電極が、前記イオン伝導体に金属イオンを供給可能であり、
前記第1電極の前記イオン伝導体と接する部分が、前記金属の酸化物、前記金属の水酸化物および前記金属の塩からなる群から選択される少なくとも一つを含むことを特徴とする。
また、本発明のスイッチング素子の製造方法は、
金属イオンを供給可能な第1電極を形成する第1電極形成工程と、
前記第1電極の表面を加工して、金属の酸化物、金属の水酸化物および金属の塩からなる群から選択される少なくとも一つを形成する表面加工工程と、
前記第1電極の金属の酸化物、金属の水酸化物および金属の塩からなる群から選択される少なくとも一つが形成されている表面に接するように、金属イオンを伝導可能なイオン伝導体を設けるイオン伝導体設置工程と、
前記イオン伝導体に接するように、第2電極を設ける第2電極設置工程とを含むことを特徴とする。
また、本発明の半導体装置は、
前記本発明のスイッチング素子、または前記本発明のスイッチング素子の製造方法により製造されたスイッチング素子を含むことを特徴とする。
本発明によれば、イオン伝導体を薄膜化することなくオン電圧を低減可能なスイッチング素子、スイッチング素子の製造方法および半導体装置を提供可能である。
図1は、本発明のスイッチング素子の一例(実施形態1)の構成を示す断面図である。 図2は、前記実施形態1のスイッチング素子の駆動方法の一例を説明する断面図である。 図3は、本発明のスイッチング素子のその他の例(実施形態2)の構成を示す断面図である。 図4は、前記実施形態2のスイッチング素子の駆動方法の一例を説明する断面図である。 図5は、本発明の半導体装置の一例(実施形態3)の構成を示す断面図である。 図6Aは、前記実施形態3の半導体装置の製造方法における一工程を説明する断面図である。 図6Bは、前記実施形態3の半導体装置の製造方法における別の一工程を説明する断面図である。 図6Cは、前記実施形態3の半導体装置の製造方法におけるさらに別の一工程を説明する断面図である。 図6Dは、前記実施形態3の半導体装置の製造方法におけるさらに別の一工程を説明する断面図である。 図6Eは、前記実施形態3の半導体装置の製造方法におけるさらに別の一工程を説明する断面図である。 図6Fは、前記実施形態3の半導体装置の製造方法におけるさらに別の一工程を説明する断面図である。 図6Gは、前記実施形態3の半導体装置の製造方法におけるさらに別の一工程を説明する断面図である。 図6Hは、前記実施形態3の半導体装置の製造方法におけるさらに別の一工程を説明する断面図である。 図6Iは、前記実施形態3の半導体装置の製造方法におけるさらに別の一工程を説明する断面図である。 図6Jは、前記実施形態3の半導体装置の製造方法におけるさらに別の一工程を説明する断面図である。 図6Kは、前記実施形態3の半導体装置の製造方法におけるさらに別の一工程を説明する断面図である。 図6Lは、前記実施形態3の半導体装置の製造方法におけるさらに別の一工程を説明する断面図である。 図7(a)〜(e)は、実施例1のスイッチング素子の製造方法を説明する断面図である。 図8(a)〜(e)は、実施例2のスイッチング素子の製造方法を説明する断面図である。 図9は、前記実施例1のスイッチング素子の動作(オン状態への遷移)を説明するグラフである。 図10は、前記実施例1のスイッチング素子の動作(オフ状態への遷移)を説明するグラフである。 図11は、関連技術の2端子スイッチング素子の一例の構成を示す断面図である。
以下、本発明について、例をあげて詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されない。なお、以下の図1から図11において、同一部分には、同一符号を付している。また、図面においては、説明の便宜上、各部の構造は適宜簡略化して示す場合があり、各部の寸法比等は、実際とは異なる場合がある。
(実施形態1)
本実施形態のスイッチング素子は、2端子スイッチング素子の一例である。図1に、本実施形態のスイッチング素子の構成を示す。図示のように、本実施形態のスイッチング素子10は、イオン伝導体であるイオン伝導層14と、イオン伝導層14の一方の面(図1において、上側の面)に接して設けられた第1電極11と、イオン伝導層14の他方の面(図1において、下側の面)に接して設けられた第2電極12とを含む。第1電極11のイオン伝導層14と接する部分(界面)には、金属酸化物11aが形成されている。図1において、金属酸化物11aは、二点鎖線で示す。なお、前記第1電極および前記第2電極の設置箇所は、この例に限定されない。
第1電極11は、イオン伝導層14に金属イオンを供給可能な電極である。その形成材料としては、例えば、銅、銀、アルミニウム、チタン等があげられ、これらの中でも、銅が特に好ましい。第2電極12は、電圧を印加した際に、イオン伝導層14中に金属イオンを供給しないことが好ましい。なお、第2電極12は、その全体が前記金属イオンを供給しない材料から形成されていなくとも、例えば、少なくともイオン伝導層14と接する部分が前記金属イオンを供給しない材料から形成されていればよい。その形成材料としては、例えば、ルテニウム、プラチナ、ニッケル等があげられ、これらの中でも、ルテニウムが特に好ましい。イオン伝導層14は、金属イオンを伝導させるための媒体となる。
つぎに、本実施形態のスイッチング素子の製造方法を、前記第1電極が銅である場合を例にとり説明する。
まず、スパッタ法、化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)、電気めっき法等により、所定の基板上に銅からなる第1電極11を形成する(第1電極形成工程)。この状態で、第1電極11の表面を酸化して酸化銅(CuOまたはCuO)11aを形成する(表面加工工程)。酸化銅11aは、第1電極11を酸素雰囲気中での加熱、または第1電極11を酸素プラズマ雰囲気中に暴露等して形成する。
前記加熱により前記酸化銅を形成する場合には、温度が高すぎると銅(第1電極)表面の平坦性が損なわれるおそれがあるため、前記温度は、LSIの配線層形成工程(バックエンド工程)のシングルダマシン後のアニール温度である350℃以下とすることが好ましい。なお、銅表面を十分に酸化する観点から、前記温度は、100℃以上とすることが好ましい。
前記酸素プラズマ暴露により前記酸化銅を形成する場合には、温度およびプラズマパワーが高すぎると銅(第1電極)表面の平坦性が損なわれるおそれがあるため、前記温度は、LSIの配線層形成工程(バックエンド工程)のシングルダマシン後のアニール温度である350℃以下とし、前記プラズマのパワーは、2kW以下とすることが好ましい。なお、銅表面を十分に酸化する観点から、前記パワーは、0.2kW以上とすることが好ましい。
つぎに、スパッタ法、レーザーアブレーション法、プラズマCVD法等により、イオン伝導層14を、第1電極11の酸化銅11a上に形成する(イオン伝導体設置工程)。金属酸化物からなるイオン伝導層を形成するには、例えば、焼結したターゲットを用いてスパッタ成膜する。この場合、成膜された金属酸化物のストイキオメトリーを損なわないため、スパッタチャンバー内に、例えば、40sccm(6.76×10−2Pa・m/s)の酸素を流入させる。前記金属酸化物としては、例えば、酸化タンタル、酸化シリコン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化チタンまたはそれらの混合物等があげられる。
SiOCH系材料またはSiOC系材料を含むイオン伝導層は、例えば、プラズマCVD法により形成することができる。この場合、例えば、環状有機シロキサンの原料と、キャリアガスであるヘリウムとを反応室内に流入させ、両者の供給が安定化し、反応室の圧力が一定になったところでRF(Radio Frequency;高周波)電力の印加を開始する。前記原料は、例えば、10〜200sccm(1.69×10−2〜3.38×10−1Pa・m/s)の範囲で供給する。前記ヘリウムは、例えば、原料気化器経由で500sccm(8.45×10−1Pa・m/s)、別ラインで反応室に直接500sccm(8.45×10−1Pa・m/s)供給する。前記SiOCH系材料またはSiOC系材料を含むイオン伝導層は、その比誘電率が2.1以上3.0以下であることが好ましく、その空孔径分布が単一ピークであることが好ましい。
つぎに、スパッタ法、CVD法、電気めっき法等により、イオン伝導層14の第1電極11が形成されていない面に、第2電極12を形成する(第2電極設置工程)。このようにして、本実施形態のスイッチング素子を製造可能である。ただし、本実施形態のスイッチング素子を製造する方法は、この例に限定されない。
つぎに、図2を参照して、本実施形態のスイッチング素子の駆動方法の一例を説明する。
第2電極12を接地して、金属酸化物11aを含む第1電極11に正電圧を印加すると、第1電極11の金属が、金属酸化物11aから金属イオン16となってイオン伝導層14内に溶解する。そして、イオン伝導層14中の金属イオン16が、第2電極12の表面に金属15になって析出する。この金属15が第1電極11の表面にまで達すると、第1電極11と第2電極12との間が金属15により架橋(金属架橋)されて電気的に接続される。これにより、スイッチがオン状態になる。
一方、このオン状態で、第2電極12を接地して、第1電極11に負電圧を印加すると、前記金属架橋が金属イオン16となってイオン伝導層14内に溶解し、前記金属架橋の一部が切れる。この際、金属イオン16は、第1電極11とイオン伝導層14内に分散した前記金属架橋とに回収される。これにより、第1電極11と第2電極12との間の電気的接続が切断され、スイッチがオフ状態になる。この状態で、再び第1電極11に正電圧を印加すれば、オン状態にすることができる。また、第1電極11を接地して、第2電極12に負電圧を印加することでスイッチをオン状態にし、第2電極12に正電圧を印加することでスイッチをオフ状態にしてもよい。なお、スイッチがオフ状態になる際、電気的接続が完全に切れる前の段階から酸化第1電極11および第2電極12の間の抵抗が大きくなったり、電極間容量が変化したりするなど電気特性の変化があって、最終的に電気的接続が切れる。
本実施形態のスイッチング素子では、金属イオンを供給可能な前記第1電極の前記イオン伝導層と接する部分に、前記金属酸化物が形成されている。このため、前記金属酸化物が形成されていない電極と比較して、前記金属イオンの前記イオン伝導層への注入速度が速くなる。この結果、本実施形態のスイッチング素子では、オン電圧を低減可能である。このような効果は、例えば、以下のようなメカニズムによると推察される。すなわち、電圧が印加されると、前記イオン伝導層の形成材料等に含まれる酸素等が酸化剤として作用して、第1電極を形成する銅等の金属から電子を奪うことで、前記金属がイオン化し、前記イオン伝導層への前記金属イオンの注入が進行すると推察される。ここで、本実施形態では、予めイオン伝導層と接する部分を前記金属酸化物としているため、酸化剤である酸素が豊富に存在し、前記金属イオンの注入速度が速くなる。なお、上記推察によって、本発明を何ら制限および限定しない。
例えば、LSIの銅配線では、銅配線から層間絶縁膜中への銅イオンの注入による銅配線間のショートが問題となっている(絶縁破壊寿命:TDDB(Time Dependence Dielectric Breakdown))。特に、銅配線工程中の化学機械研磨工程(CMP)等により酸化銅層が形成された場合、前記TDDBが短くなる傾向が報告されている(IEEE TRANSACTION ON ELECTRON DEVICES、52、p1743〜p1750、2005)。すなわち、銅配線からの銅イオンの層間絶縁膜中への注入速度が速くなっている。本実施形態では、前記銅配線において好ましくない現象を適用することにより、前記第1電極の金属が金属イオンとしてイオン伝導層への注入を速くしている。
本実施形態のスイッチング素子では、前記第1電極の前記イオン伝導層と接する部分には、金属酸化物が形成されているが、本発明は、この例に限定されず、例えば、前記金属の水酸化物であってもよいし、前記金属の塩であってもよいし、これらの混合物であってもよい。前記金属水酸化物および前記金属塩であっても、本発明の効果を得ることができる。このような効果が得られるメカニズムは特に制限されないが、例えば、前記と同様、前記金属水酸化物および前記金属塩において、金属以外の元素の少なくとも一部が、酸化剤としての役割を果たすためと考えられる。前記金属の塩としては、塩化物、フッ化物等のハロゲン化物、硫酸化物等があげられる。
(実施形態2)
本実施形態のスイッチング素子は、3端子スイッチング素子の一例である。図3に、本実施形態のスイッチング素子の構成を示す。図示のように、本実施形態のスイッチング素子20は、イオン伝導体であるイオン伝導層24と、イオン伝導層24の一方の面(図3において、下側の面)に接して設けられた第3電極23と、イオン伝導層24の他方の面(図3において、上側の面)に接して設けられた第1電極21および第2電極22とを含む。第3電極23のイオン伝導層24と接する部分(界面)には、金属酸化物23aが形成されている。図3において、金属酸化物23aは、二点鎖線で示す。なお、前記第1電極、前記第2電極および前記第3電極の設置箇所は、この例に限定されない。
第3電極23は、イオン伝導層24に金属イオンを供給可能な電極である。その形成材料は、例えば、前記実施形態1における第1電極と同様である。第1電極21および第2電極22は、電圧を印加した際に、イオン伝導層24中に金属イオンを供給しないことが好ましい。なお、第1電極21および第2電極22は、その全体が前記金属イオンを供給しない材料から形成されていなくとも、例えば、少なくともイオン伝導層24と接する部分が前記金属イオンを供給しない材料から形成されていればよい。その形成材料は、例えば、前記実施形態1における第2電極と同様である。第1電極21と第2電極22との間の距離は、0.5μm以下であることが好ましい。イオン伝導層24は、金属イオンを伝導させるための媒体となる。
つぎに、本実施形態のスイッチング素子の製造方法を、前記第3電極が銅である場合を例にとり説明する。
まず、スパッタ法、化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)、電気めっき法等により、所定の基板上に銅からなる第3電極23を形成する(第3電極形成工程)。この状態で、第3電極23の表面を酸化して酸化銅(CuOまたはCuO)23aを形成する(表面加工工程)。酸化銅23aは、第3電極23を酸素雰囲気中での加熱、または第3電極23を酸素プラズマ雰囲気中に暴露等して形成する。本実施形態における前記加熱による前記酸化銅の形成条件および前記酸素プラズマ暴露による前記酸化銅の形成条件は、例えば、前記実施形態1における形成条件と同様である。
つぎに、スパッタ法、レーザーアブレーション法、プラズマCVD法等により、イオン伝導層24を、第3電極23の酸化銅23a上に形成する(イオン伝導体設置工程)。本実施形態における金属酸化物からなるイオン伝導層の形成条件、およびSiOCH系材料またはSiOC系材料からなるイオン伝導層の形成条件は、例えば、前記実施形態1における形成条件と同様である。
つぎに、スパッタ法、CVD法、電気めっき法等により、イオン伝導層24の第3電極23が形成されていない面に、第1電極21および第2電極22を所定の距離をあけて形成する(第1電極設置工程および第2電極設置工程)。このようにして、本実施形態のスイッチング素子を製造可能である。ただし、本実施形態のスイッチング素子を製造する方法は、この例に限定されない。
つぎに、図4を参照して、本実施形態のスイッチング素子の駆動方法の一例を説明する。
第1電極21および第2電極22を接地して、第3電極23に正電圧を印加すると、第3電極23の金属が、金属酸化物23aから金属イオン26となってイオン伝導層24内に溶解する。そして、イオン伝導層24中の金属イオン26が、第1電極21および第2電極22の表面に析出する。第1電極21と第2電極22との間が、この金属により架橋(金属架橋25)されて電気的に接続される。これにより、スイッチがオン状態になる。
一方、このオン状態で、第3電極23に負電圧を印加すると、金属架橋25が金属イオン26となってイオン伝導層24内に溶解し、金属架橋25の一部が切れる。この際、金属イオン26は、第3電極23に回収される。これにより、第1電極21と第2電極22との間の電気的接続が切断され、スイッチがオフ状態になる。この状態で、再び第3電極23に正電圧を印加すれば、オン状態にすることができる。また、第3電極23を接地して、第1電極21または第2電極22に負電圧を印加することでスイッチをオン状態にし、第1電極21または第2電極22に正電圧を印加することでスイッチをオフ状態にしてもよい。
本実施形態のスイッチング素子では、金属イオンを供給可能な前記第3電極の前記イオン伝導層と接する部分に、前記金属酸化物が形成されているため、前記実施形態1と同様に、オン電圧を低減可能である。
前述のとおり、本発明のスイッチング素子は、イオン伝導体を薄膜化することなくオン電圧を低減可能である。このため、例えば、イオン伝導体の絶縁破壊電圧を低減させることなく、オン電圧をLSIの動作電圧範囲とすることができる。従って、本発明のスイッチング素子の用途としては、例えば、プログラマブルロジック、メモリ素子、アナログ用途の抵抗素子等の電子デバイスがあげられる。ただし、その用途は限定されず、広い分野に適用可能である。
(実施形態3)
本実施形態の半導体装置は、半導体基板上に積層された多層配線層と、前記多層配線層の内部に設けられた2端子スイッチング素子とを有するプログラマブルロジックの一例である。図5に、本実施形態の半導体装置の構成を示す。図示のように、本実施形態の半導体装置300は、半導体基板31と、多層配線層310と、多層配線層310の内部に設けられた2端子スイッチング素子30とを有する。多層配線層310は、半導体基板31上に、層間絶縁膜301、バリア絶縁膜302、層間絶縁膜303、バリア絶縁膜304、保護絶縁膜305、層間絶縁膜306、エッチングストッパ膜307、層間絶縁膜308およびバリア絶縁膜309が、前記順序で積層された絶縁積層体を有する。多層配線層310には、層間絶縁膜303およびバリア絶縁膜302に形成された配線溝に、バリアメタル311を介して第1配線312が埋め込まれている。また、多層配線層310には、層間絶縁膜308およびエッチングストッパ膜307に形成された配線溝に、第2配線313が埋め込まれており、層間絶縁膜306、保護絶縁膜305およびハードマスク膜314に形成された下穴に、プラグ315が埋め込まれている。第2配線313とプラグ315とは一体となっており、第2配線313の側面、プラグ315の側面および底面(図5において、下側の面)は、バリアメタル316に覆われている。
多層配線層310内部には、バリア絶縁膜304に形成された貫通孔からバリア絶縁膜304上に向かって、第1配線を兼ねる下部電極312、酸化防止膜34aおよびイオン伝導層34bからなる抵抗変化層34、ならびに第1上部電極32aおよび第2上部電極32bからなる上部電極32が、前記順序で積層された2端子スイッチング素子30が設けられている。抵抗変化層34は、本発明のスイッチング素子における前記「イオン伝導体」に相当する。第2上部電極32b上には、ハードマスク膜314が形成されている。酸化防止膜34a、イオン伝導層34b、第1上部電極32a、第2上部電極32bおよびハードマスク膜314の積層体の上面は、保護絶縁膜305に覆われている。第1配線312のバリア絶縁膜304に形成された貫通孔を介して酸化防止膜34aと接する部分(界面)には、金属酸化物312aが形成されている。図5において、金属酸化物312aは、二点鎖線で示す。なお、本実施形態では、前記下部電極(図5において、下側の電極)が前記第1電極であり、前記上部電極(図5において、上側の電極)が前記第2電極であるが、本発明は、この例には限定されない。
半導体基板31は、半導体素子が形成された基板である。半導体基板31には、例えば、シリコン基板、単結晶基板、SOI(Silicon on Insulator)基板、TFT(Thin Film Transistor)基板、液晶製造用基板等を用いることができる。層間絶縁膜301および層間絶縁膜303には、例えば、シリコン酸化膜またはシリコン酸化膜より比誘電率の低い低誘電率膜(例えば、SiOCH膜)等を用いることができる。層間絶縁膜301および層間絶縁膜303は、複数の絶縁膜を積層したものであってもよい。
バリア絶縁膜302は、層間絶縁膜301および層間絶縁層303間に介在したバリア性を有する絶縁膜であり、第1配線312用の配線溝の加工時にエッチングストップ層としての役割を果たす。バリア絶縁膜302には、例えば、窒化シリコン膜、SiC膜、SiCN膜等を用いることができる。バリア絶縁膜302は、配線溝のエッチング条件の選択によっては省略することもできる。
バリア絶縁膜304は、第1配線312および層間絶縁膜303上に形成されている。バリア絶縁膜304は、第1配線312を形成する金属(例えば、銅)の酸化を防止し、層間絶縁膜306への第1配線312を形成する金属の拡散を防止する。バリア絶縁膜304は、第1上部電極32a、第2上部電極32b、酸化防止膜34aおよびイオン伝導層34bの加工時にエッチングストップ層の役割を果たす。バリア絶縁膜304には、例えば、SiC膜、SiCN膜、窒化シリコン膜、またはそれらの積層体等を用いることができる。バリア絶縁膜304の膜厚は、10nm〜50nm程度であることが好ましい。
保護絶縁膜305は、2端子スイッチング素子30を保護し、さらにイオン伝導層34bからの酸素の脱離を防止する機能を有する絶縁膜である。保護絶縁膜305には、例えば、窒化シリコン膜、SiCN膜等を用いることができ、バリア絶縁膜304と同一材料を用いることが好ましい。
ハードマスク膜314は、第2上部電極32b、第1上部電極32a、イオン伝導層34b、および酸化防止膜34aをエッチングする際のハードマスク膜、およびパッシベーション膜の役割を果たす。ハードマスク膜314には、例えば、SiN膜等を用いることができ、バリア絶縁膜304、保護絶縁膜305と同一材料を用いることが好ましい。バリア絶縁膜304、保護絶縁膜305およびハードマスク膜314に同一材料を用いた場合、例えば、バリア絶縁膜304と保護絶縁膜305とハードマスク膜314とを一体化することができる。前記一体化により、それぞれの界面の密着性が向上することで、外部からの水分などの浸入を防いで、2端子スイッチング素子をより保護可能である。また、前記一体化によりバリア絶縁膜304、保護絶縁膜305およびハードマスク膜314の、2端子スイッチング素子30からの脱離を防止可能である。
層間絶縁膜306および層間絶縁膜308には、例えば、シリコン酸化膜、SiOC膜またはシリコン酸化膜より比誘電率の低い低誘電率膜(例えば、SiOCH膜)等を用いることができる。層間絶縁膜306および層間絶縁膜308には、同一材料を用いてもよい。層間絶縁膜306および層間絶縁膜308は、複数の絶縁膜を積層したものであってもよい。
エッチングストッパ膜307は、層間絶縁膜306および層間絶縁層308間に介在した絶縁膜であり、第2配線313用の配線溝の加工時にエッチングストップ層としての役割を果たす。エッチングストッパ膜307には、例えば、窒化シリコン膜、SiC膜、SiCN膜等を用いることができる。エッチングストッパ膜307は、配線溝のエッチング条件の選択によっては省略することもできる。
バリア絶縁膜309は、第2配線313および層間絶縁膜308上に形成されており、第2配線313を形成する金属(例えば、銅)の酸化を防止し、第2配線313を形成する金属の上層への拡散を防止する役割を果たす絶縁膜である。バリア絶縁膜309には、例えば、SiC膜、SiCN膜、窒化シリコン膜、またはそれらの積層体等を用いることができる。
前述のとおり、第1電極312は、2端子スイッチング素子30の下部電極を兼ね、酸化防止膜34aと直接接している。第1配線312には、抵抗変化層34内に拡散、イオン伝導可能な金属を用いることができ、前記金属としては、例えば、銅等があげられる。また、第1配線312には、例えば、アルミニウムと合金化された材料を用いてもよい。
金属酸化物312aは、例えば、第1配線312のバリア絶縁膜304に形成された貫通孔の領域を酸化することで形成することができる。前記酸化には、例えば、酸素雰囲気中での加熱、または酸素プラズマ雰囲気中に暴露等の条件が用いられる。第1配線312が銅である場合には、酸化銅(CuOまたはCuO)が形成される。前記加熱の条件および前記酸素プラズマ暴露の条件は、例えば、前記実施形態1における形成条件と同様である。
バリアメタル311は、第1配線312を形成する金属が層間絶縁膜303または下層へ拡散するのを防止する、バリア性を有する導電性膜である。バリアメタル311には、例えば、第1配線312が銅を主成分とする金属元素からなる場合には、タンタル、窒化タンタル、窒化チタンもしくは炭窒化タングステン等の高融点金属、またはその窒化物等、またはそれらの積層膜を用いることができる。
前述のとおり、第2配線313は、プラグ315と一体となっている。プラグ315は、バリアメタル316を介して第2上部電極32bと電気的に接続されている。第2配線313およびプラグ315には、例えば、銅等を用いることができる。
バリアメタル316は、第2配線313およびプラグ315を形成する金属が層間絶縁膜306、層間絶縁膜308または下層へ拡散するのを防止する、バリア性を有する導電性膜である。バリアメタル316には、例えば、第2配線313およびプラグ315が銅を主成分とする金属元素からなる場合には、タンタル、窒化タンタル、窒化チタンもしくは炭窒化タングステン等の高融点金属、またはその窒化物等、またはそれらの積層膜を用いることができる。
酸化防止膜34aおよびイオン伝導層34bには、第1配線312(下部電極)を形成する金属の作用(拡散、イオン伝導など)により抵抗が変化する材料を用いることができる。前記抵抗変化(電気伝導度変化)を金属イオンの析出によって行う場合には、イオン伝導可能な膜が用いられ、酸化防止膜34aには、チタンを用いることが好ましく、イオン伝導層34bには、例えば、酸化シリコンと酸化タンタルとの混合物を用いることができる。
イオン伝導層34bは、スパッタ法、レーザーアブレーション法、プラズマCVD法等により形成される。金属酸化物からなるイオン伝導層の形成条件、およびSiOCH系材料またはSiOC系材料からなるイオン伝導層の形成条件は、例えば、前記実施形態1における形成条件と同様である。
酸化防止膜34aは、イオン伝導層34bの堆積の際の加熱またはプラズマ暴露により、第1配線312を形成する金属がイオン伝導層34b中に拡散するのを防止する役割を果たす。酸化防止膜34aがチタンである場合には、酸化防止膜34aは、イオン伝導層34bの成膜中に酸化チタンとなり、抵抗変化層34の一部となる。抵抗変化層34は、第1電極312の金属酸化物312a上、バリア絶縁膜304の貫通孔のテーパ面および絶縁性バリア膜304上に形成されている。抵抗変化層34の少なくとも金属酸化物312aとの接続部の外周部分は、絶縁性バリア膜304の貫通孔のテーパ面上に沿って配設されている。
第1上部電極32aは、2端子スイッチング素子30の上部電極32における下層側の電極であり、イオン伝導層34bと直接接している。第1上部電極32aには、第1配線312よりもイオン化しにくく、イオン伝導層34bにおいて拡散、イオン伝導しにくい金属が用いることができ、例えば、白金、ルテニウム、ニッケル等を用いることができる。
第2上部電極32bは、2端子スイッチング素子30の上部電極32における上層側の電極であり、第1上部電極32a上に形成されている。第2上部電極32bは、第1上部電極32aを保護する役割を果たす。すなわち、第2上部電極32bが第1上部電極32aを保護することで、製造プロセスにおける第1上部電極32aへのダメージを抑制し、2端子スイッチング素子30のスイッチング特性を維持することができる。第2上部電極32bには、例えば、タンタル、チタン、タングステンおよびそれらの窒化物等を用いることができる。第2上部電極32bおよびバリアメタル316には、同一材料を用いることが好ましい。例えば、バリアメタル316として、TaN(下層)/Ta(上層)の積層構造を用いる場合には、下層材料であるTaNを第2上部電極32bに用いることが好ましい。あるいは、バリアメタル316として、Ti(下層)/Ru(上層)を用いる場合には、下層材料であるTiを第2上部電極32bに用いることが好ましい。
つぎに、本実施形態の半導体装置の製造方法を、図6A〜図6Lを参照して説明する。
[工程1]
まず、図6Aに示すように、半導体基板(例えば、半導体素子が形成された基板)31上に、プラズマCVD法を用いて、層間絶縁膜(例えば、シリコン酸化膜、膜厚:300nm)301を堆積し、この層間絶縁膜301上に、バリア絶縁膜(例えば、窒化シリコン膜、膜厚:50nm)302を堆積し、このバリア絶縁膜302上に、プラズマCVD法を用いて、層間絶縁膜(例えば、シリコン酸化膜、膜厚:300nm)303を堆積する。この状態で、リソグラフィ法(フォトレジスト形成、ドライエッチング、フォトレジスト除去を含む)を用いて、層間絶縁膜303およびバリア絶縁膜302に配線溝を形成し、この配線溝にバリアメタル(例えば、窒化タンタル/タンタル、膜厚:5nm/5nm)311を介して、第1配線312(例えば、銅)を埋め込む。第1配線312は、PVD法を用いてバリアメタルを形成し、PVD法によるCuシードの形成後、電解めっき法を用いて、銅を配線溝内に埋設し、200℃以上の温度で熱処理後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて、配線溝内以外の余剰の銅を除去することで形成することができる。前記CMP法とは、多層配線形成プロセス中に生じるウェハ表面の凹凸を、研磨液をウェハ表面に流しながら回転させた研磨パッドに接触させて研磨することによって平坦化する方法である。前記CMP法は、溝に埋め込まれた余剰の銅を研磨することによる埋め込み配線(ダマシン配線)の形成、または層間絶縁膜を研磨することによる平坦化に用いられる。
[工程2]
つぎに、図6Bに示すように、第1配線312および層間絶縁膜303上に、プラズマCVD法を用いて、バリア絶縁膜(例えば、窒化シリコン膜、膜厚:50nm)304を形成する。
[工程3]
つぎに、図6Cに示すように、バリア絶縁膜304上に、ハードマスク膜(例えば、シリコン酸化膜)317を形成する。この際、ハードマスク膜317は、ドライエッチング加工におけるエッチング選択比を大きく保つ観点から、バリア絶縁膜304とは異なる材料であることが好ましく、絶縁膜であっても、導電膜であってもよい。ハードマスク膜317には、シリコン酸化膜の他に、例えば、シリコン窒化膜、窒化チタン、チタン、タンタル、窒化タンタル等を用いることができ、窒化シリコン/シリコン酸化膜等の積層体を用いることができる。
[工程4]
つぎに、ハードマスク膜317上に、フォトレジスト(図示せず)を用いて貫通孔をパターニングし、前記フォトレジストをマスクとしてドライエッチングすることにより、図6Dに示すように、ハードマスク膜317に貫通孔パターンを形成する。その後、酸素プラズマアッシング等により、前記フォトレジストを剥離する。なお、前記ドライエッチングは、必ずしもバリア絶縁膜304の上面で停止している必要はなく、バリア絶縁膜304の内部にまで到達していてもよい。
[工程5]
ハードマスク膜317をマスクして、ハードマスク膜317の貫通孔から露出するバリア絶縁膜304をエッチバック(ドライエッチング)することにより、図6Eに示すように、バリア絶縁膜304に貫通孔を形成して、この貫通孔から第1配線312を露出させる。この状態で、アミン系の剥離液などによる有機剥離処理により、第1配線312の露出面に形成された酸化銅を除去するとともに、エッチバック時に発生したエッチング複生成物等も除去する。前記エッチバックでは、反応性ドライエッチングを用いることで、バリア絶縁膜304の貫通孔の壁面をテーパ面とすることができる。前記反応性ドライエッチングでは、エッチングガスとしてフルオロカーボンを含むガスを用いることができる。ハードマスク膜317は、前記エッチバックにおいて、完全に除去されることが好ましいが、絶縁材料である場合にはそのまま残存してもよい。また、バリア絶縁膜304の貫通孔の形状は円形とし、円の直径は、例えば、30nmから500nmとすることができる。ついで、非反応性ガスを用いたRFエッチングによって、第1配線312の表面の酸化物を除去する。前記非反応性ガスとしては、例えば、ヘリウムまたはアルゴン等を用いることができる。この状態で、スパッタ装置のRFチャンバ内に、酸素10sccm(1.69×10−2Pa・m/s)を流入させ、300℃で1分間、バリア絶縁膜304の貫通孔から露出している第1配線312の表面を酸化して、図6Eに示すように、金属酸化物312aを形成する。図6Eにおいて、金属酸化物312aは、二点鎖線で示す。
[工程6]
つぎに、図6Fに示すように、金属酸化物312aおよびバリア絶縁膜304上に、PVD法またはCVD法等を用いて、4nm以下の金属チタン(例えば、膜厚:2nm)を堆積する。この酸化防止膜上に、イオン伝導層34bとして酸化シリコンと酸化タンタルとの混合物を形成する。前記混合物の薄膜は、酸化タンタル中に酸化シリコンが24モル%含まれた焼結体のターゲットを用いて、スパッタ法により堆積して形成する。この際、成膜された複合酸化物の組成がターゲットの組成にできるだけ近くなるように、供給する酸素量を最適化する。具体的には、スパッタを行う際に、酸素流量10sccm(1.69×10−2Pa・m/s)とアルゴン流量40sccm(6.76×10−2Pa・m/s)との混合ガスを流入させた成膜条件で複合酸化物層を成膜し、酸化タンタル中に酸化シリコンが25モル%含まれた混合物を得る。前記金属チタンは、イオン伝導層34bの成膜中に自動的に酸化されて、図6Fに示すように、酸化チタンとなることで酸化防止膜34aとなり、抵抗変化層34の一部となる。バリア絶縁膜304の貫通孔は、有機剥離処理によって水分等が付着しているため、抵抗変化層34の堆積前に、250℃から350℃程度の温度において、減圧下で熱処理により脱ガスしておくことが好ましい。
[工程7]
つぎに、抵抗変化層34上に、図6Gに示すように、第1上部電極(例えば、ルテニウム、膜厚:10nm)32aおよび第2上部電極32b(例えば、タンタル、膜厚:50nm)を、前記順序で積層して、上部電極32を形成する。このようにして、2端子スイッチング素子30を設ける。
[工程8]
つぎに、図6Hに示すように、第2上部電極32b上に、プラズマCVD法を用いて、ハードマスク膜(例えば、SiN膜、膜厚:30nm)314およびハードマスク膜(例えば、SiO膜、膜厚:150nm)318を、前記順序で積層する。ハードマスク膜314とハードマスク膜318とは、本実施形態のように、異なる種類の膜であることが好ましい。ハードマスク膜314は、前記プラズマCVD法において、例えば、SiH/Nの混合ガスを高密度プラズマによって、高密度なSiN膜として形成されることが好ましい。
[工程9]
つぎに、ハードマスク膜318上に、2端子スイッチング素子30をパターニングするためのフォトレジスト(図示せず)を形成し、このフォトレジストをマスクとして、図6Iに示すように、ハードマスク膜314が表れるまでハードマスク膜318をドライエッチングする。この状態で、酸素プラズマアッシングと有機剥離とを用いて、前記フォトレジストを除去する。
[工程10]
つぎに、図6Jに示すように、ハードマスク膜318をマスクとして、ハードマスク膜314、第2上部電極32b、第1上部電極32a、イオン伝導層34bおよび酸化防止膜34aを、連続的にドライエッチングする。この際、ハードマスク膜318は、エッチバック中に完全に除去されることが好ましいが、そのまま残存してもよい。例えば、第2上部電極32bがTaの場合には、Cl系の反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)で加工することができ、第1上部電極32aがRuの場合には、Cl/Oの混合ガスのRIEで加工することができる。イオン伝導層34bのエッチングでは、下面のバリア絶縁膜304上でドライエッチングを停止させる必要があるため、イオン伝導層34bがTaを含む酸化物であり、バリア絶縁膜304がSiN膜またはSiCN膜である場合には、CF系、CF/Cl系、CF/Cl/Ar系等の混合ガスでエッチング条件を調節することで、RIEで加工することができる。このようなハードマスクRIE法を用いることで、抵抗変化素子34をレジスト除去のための酸素プラズマアッシング等に曝すことなく、抵抗変化素子34を加工することができる。また、加工後に酸素プラズマによって酸化処理する場合には、例えば、レジストの剥離時間に依存することなく酸化プラズマ処理を照射することができるようになる。
[工程11]
つぎに、図6Kに示すように、ハードマスク膜314、第2上部電極32b、第1上部電極32a、イオン伝導層34bおよび酸化防止膜34aを含むバリア絶縁膜304上に、プラズマCVD法を用いて、保護絶縁膜(例えば、窒化シリコン膜、膜厚:30nm)305を堆積する。保護絶縁膜305は、前記プラズマCVD法において、成膜前には反応室内で減圧下に維持する必要があり、この減圧により抵抗変化層34の側面から酸素が脱離し、リーク電流が増加するという問題が生じ得る。この問題を抑制するために、保護絶縁膜305の成膜温度を、250℃以下とすることが好ましい。また、成膜前に減圧化で成膜ガスに曝されるため、還元性のガスを用いないことが好ましい。したがって、保護絶縁膜305は、SiH/Nの混合ガスを高密度プラズマによって、基板温度200℃で形成したSiN膜などを用いることが好ましい。また、保護絶縁膜305は、バリア絶縁膜304およびハードマスク膜314と同一材料であることが好ましい。すなわち、2端子スイッチング素子30の周囲を全て同一材料で囲むことで、バリア絶縁膜304、保護絶縁膜305およびハードマスク膜314の界面を一体化することができる。
[工程12]
つぎに、図6Lに示すように、保護絶縁膜305上に、層間絶縁膜(例えば、シリコン酸化膜)306、エッチングストッパ膜(例えば、窒化シリコン膜)307、層間絶縁膜(例えば、シリコン酸化膜)308を、前記順序で堆積する。この状態で、第2配線313用の配線溝およびプラグ315用の下穴を形成する。銅デュアルダマシン配線プロセスを用いて、前記配線溝および前記下穴内にバリアメタル316(例えば、窒化タンタル/タンタル)を介して、第2配線(例えば、銅)313およびプラグ(例えば、銅)315を同時に形成する。第2配線313および層間絶縁膜308上に、バリア絶縁膜(例えば、窒化シリコン膜)309を堆積する。第2配線313の形成は、例えば、第1配線312の形成と同様のプロセスを用いることができる。この際、バリアメタル316と第2上部電極32bとを同一材料とすることで、プラグ315と第2上部電極32bとの間の接触抵抗が低減され、例えば、素子性能を向上させることができる。層間絶縁膜306および層間絶縁膜308は、プラズマCVD法を用いて形成することができる。2端子スイッチング素子によって形成される段差を解消するため、層間絶縁膜306を厚く堆積し、CMPによって層間絶縁膜306を削り込んで平坦化し、層間絶縁膜306を所望の膜厚としてもよい。このようにして、本実施形態の半導体装置を製造可能である。ただし、本実施形態の半導体装置を製造する方法は、この例に限定されない。
本実施形態の半導体装置では、2端子スイッチング素子30において、バリア絶縁膜304に形成された貫通孔を介して、酸化防止膜34aと第1配線312の金属酸化物312aが直接接しており、第2上部電極32bがバリアメタル316を介してプラグ315に電気的に接続されている。2端子スイッチング素子30は、電圧の印加、または電流を流すことにより、オン/オフの制御を行い、例えば、酸化防止膜34aおよびイオン伝導層34b内への第1配線312を形成する金属の電界拡散を利用してオン/オフの制御を行う。
本実施形態の半導体装置では、本発明のスイッチング素子を用いているため、例えば、オン電圧を周辺駆動回路の動作電圧範囲とすることができる。この結果、例えば、昇圧のための回路が不要となり、周辺駆動回路のサイズを大きくすることなく、低コストのプログラマブルロジックを実現することができる。また、本実施形態の半導体装置では、第1配線312が2端子スイッチング素子30の下部電極を兼ねているため、例えば、製造工程を簡略化しながら、電極抵抗を低下させることができる。具体的には、例えば、通常の銅ダマシン配線プロセスに追加工程として、例えば、2PRのマスクセットを作成するだけで、2端子スイッチング素子を搭載することができ、素子の低抵抗化と低コスト化を同時に達成できる。
つぎに、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、下記の実施例によって何ら限定および制限されない。
[実施例1]
前記実施形態1で示した2端子スイッチング素子を作製した。図7を参照して、本実施例のスイッチング素子の製造方法を説明する。
[工程1]
まず、図7(a)に示すように、低抵抗シリコン基板47の片面に、膜厚30nmのタンタル(図示せず)および100nmの銅(第1電極)41を、スパッタ法により前記順序で成膜した。
[工程2]
この状態で、スパッタ装置のRFチャンバ内に、酸素10sccm(1.69×10−2Pa・m/s)を流入させ、300℃で1分間、銅41の表面を熱酸化して、図7(b)に示すように、銅41の表面に酸化銅41aを形成した。X線反射率法(XRR:X−Ray Reflectivity)を用いて、酸化されている膜厚を測定したところ、表面より約20nmが酸化されていた。図7(b)において、酸化銅41aは、二点鎖線で示す。
[工程3]
つぎに、イオン伝導層の成膜時におけるプラズマおよび加熱によるイオン伝導層内への銅(第1電極)41からの銅イオンの拡散を防止するために、図7(c)に示すように、チタンを2nmスパッタ法により成膜して酸化防止層48を形成した。
[工程4]
つぎに、図7(d)に示すように、酸化シリコンと酸化タンタルとの混合物の薄膜(膜厚:5nm)をイオン伝導層44として形成した。前記混合物の薄膜は、酸化タンタル中に酸化シリコンが24モル%含まれた焼結体のターゲットを用いて、スパッタ法により堆積して形成した。この際、成膜された複合酸化物の組成がターゲットの組成にできるだけ近くなるように、供給する酸素量を最適化した。具体的には、スパッタを行う際に、酸素流量10sccm(1.69×10−2Pa・m/s)とアルゴン流量40sccm(6.76×10−2Pa・m/s)との混合ガスを流入させた成膜条件で複合酸化物層を成膜し、酸化タンタル中に酸化シリコンが25モル%含まれた混合物を得た。このイオン伝導層44の成膜の際に、酸化防止層48は、酸化されて酸化チタン48aとなり、イオン伝導層44と合わせて本発明における前記「イオン伝導体」となった。
[工程5]
つぎに、図7(e)に示すように、イオン伝導層44上に、真空蒸着法もしくはスパッタ法により、膜厚30nmのルテニウムを堆積した。この際、ステンレスもしくはシリコンで作製されたシャドーマスクを介してルテニウムを堆積し、1辺50μm〜150μmの正方形の第2電極42を形成した。このようにして、本実施例のスイッチング素子40を製造した。
[スイッチング素子の動作]
本実施例の2端子スイッチング素子の動作について、図9および図10に基づいて説明する。図9および図10における実線は、本実施例のスイッチング素子の動作に対する電気特性を示すグラフである。一方、図9および図10における破線は、比較対象である第1電極のイオン伝導層と接する部分に金属酸化物を形成しないスイッチング素子(例えば、図11に示す関連技術のスイッチング素子)の動作に対する電気特性を示すグラフである。
図9の実線は、本実施例のスイッチング素子におけるオフ状態(高抵抗の状態)からオン状態(低抵抗の状態)への遷移を示している。第1電極41と第2電極42とを半導体パラメータアナライザ(Agilent社、 商品名「4156C」)に接続して電気測定を行った。この際、第1電極41は、低抵抗シリコン基板47を介して、前記半導体パラメータアナライザに電気的に接続した。第2電極42を接地し、第1電極41に正電圧を印加すると、図9に示すように、印加電圧2.2Vでスイッチがオフ状態からオン状態へ遷移した。この際、スイッチング素子に流れる電流を、前記半導体パラメータアナライザにより100μAが上限となるように制限した。一方、図9の破線は、比較対象のスイッチング素子におけるオフ状態(高抵抗の状態)からオン状態(低抵抗の状態)への遷移を示している。すなわち、比較対象のスイッチング素子は、図9に示すように、印加電圧2.7Vでスイッチがオフ状態からオン状態へ遷移し、本実施例と比較して、オン電圧が0.5V程度高かった。すなわち、本実施例のスイッチング素子では、酸化銅41aの存在によって、銅イオンのイオン伝導層44および酸化防止層48aへの注入速度が速くなった結果、オン電圧が低減された。
図10の実線は、本実施例のスイッチング素子におけるイオン伝導層44および酸化防止層48aの絶縁破壊挙動を示している。前記絶縁破壊挙動は、第2電極42を接地し、第1電極41に負電圧(銅イオンがイオン伝導層44および酸化防止層48aに注入されない)を印加することで調べた。一方、図10の破線は、比較対象のスイッチング素子におけるイオン伝導層の絶縁破壊挙動を示している。前記絶縁破壊挙動は、本実施例と同様にして調べた。図10に示すように、本実施例のスイッチング素子の絶縁破壊電圧および絶縁破壊するまでのリーク電流は、比較対象のスイッチング素子とほぼ一致した。
以上のことから、酸化銅41aが形成されている本実施例のスイッチング素子において、銅イオンが注入されるオン状態に遷移する電圧(オン電圧)が低減されているが、絶縁破壊電圧は低下していない。すなわち、イオン伝導体の絶縁破壊電圧を低下させることがなく、第1電極からイオン伝導体への銅イオンの注入速度が大きくなっていることが分かる。
[実施例2]
前記実施形態2で示した3端子スイッチング素子を作製した。図8を参照して、本実施例のスイッチング素子の製造方法を説明する。
[工程1]
まず、図8(a)に示すように、低抵抗シリコン基板57の片面に膜厚30nmのタンタル(図示せず)および100nmの銅(第3電極)53をスパッタ法により、前記順序で成膜した。
[工程2]
この状態で、スパッタ装置のRFチャンバ内に、酸素40sccm(6.76×10−2Pa・m/s)を流入させ、300℃で1分間、銅53の表面を熱酸化して、図8(b)に示すように、銅53の表面に酸化銅53aを形成した。XRR法を用いて、酸化されている膜厚を測定したところ、表面より約20nmが酸化されていた。図8(b)において、酸化銅53aは、二点鎖線で示す。
[工程3]
つぎに、イオン伝導層の成膜時におけるプラズマおよび加熱によるイオン伝導層内への銅(第3電極)53からの銅イオンの拡散を防止するために、図8(c)に示すように、チタンを2nm、スパッタ法により成膜して酸化防止層58を形成した。
[工程4]
つぎに、図8(d)に示すように、酸化シリコンと酸化タンタルとの混合物の薄膜(膜厚:5nm)をイオン伝導層54として形成した。前記混合物の薄膜は、酸化タンタル中に酸化シリコンが24モル%含まれた焼結体のターゲットを用いて、スパッタ法により堆積して形成した。この際、成膜された複合酸化物の組成がターゲットの組成にできるだけ近くなるように、供給する酸素量を最適化した。具体的には、スパッタを行う際に、酸素流量10sccm(1.69×10−2Pa・m/s)とアルゴン流量40sccm(6.76×10−2Pa・m/s)との混合ガスを流入させた成膜条件で複合酸化物層を成膜し、酸化タンタル中に酸化シリコンが25モル%含まれた混合物を得た。このイオン伝導層54の成膜の際に、酸化防止層58は、酸化されて酸化チタン58aとなり、イオン伝導層54と合わせて本発明における前記「イオン伝導体」となった。
[工程5]
つぎに、図8(e)に示すように、イオン伝導層54上に、真空蒸着法もしくはスパッタ法により、膜厚30nmのルテニウムを堆積した。この際、ステンレスもしくはシリコンで作製されたシャドーマスクを介してルテニウムを堆積し、1辺50μm〜150μmの正方形の第1電極51および第2電極52を形成した。第1電極51と第2電極52との間は、100nmであった。このようにして、本実施例のスイッチング素子50を製造した。
[実施例3]
図6A〜図6Lに示した製造方法に基づき、前記実施形態3で示した半導体装置を作製した。本実施例の半導体装置では、本発明のスイッチング素子を用いているため、オン電圧を周辺駆動回路の動作電圧範囲とすることができた。また、本実施例の半導体装置では、第1配線が2端子スイッチング素子の下部電極を兼ねているため、素子の低抵抗化と低コスト化を同時に達成できた。
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載しうるが、以下には限定されない。
(付記1)
金属イオンを伝導可能なイオン伝導体と、
前記イオン伝導体に接して設けられた第1電極と、
前記イオン伝導体に接して設けられた第2電極とを含み、
前記第1電極が、前記イオン伝導体に金属イオンを供給可能であり、
前記第1電極の前記イオン伝導体と接する部分が、前記金属の酸化物、前記金属の水酸化物および前記金属の塩からなる群から選択される少なくとも一つを含むことを特徴とするスイッチング素子。
(付記2)
前記第1電極の前記イオン伝導体と接する部分が、酸化銅を含むことを特徴とする付記1に記載のスイッチング素子。
(付記3)
前記イオン伝導体が、酸化タンタル、酸化シリコン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムおよび酸化チタンからなる群から選択される少なくとも一つを含むことを特徴とする付記1または2に記載のスイッチング素子。
(付記4)
前記イオン伝導体がSiOCH系材料およびSiOC系材料の少なくとも一方を含み、かつその比誘電率が2.1以上3.0以下であり、かつその空孔径分布が単一ピークであることを特徴とする付記1から3のいずれかに記載のスイッチング素子。
(付記5)
前記第1電極と前記イオン伝導体との間に、貫通孔が形成された絶縁性バリア層が配置され、
前記絶縁性バリア層の貫通孔を介して、前記第1電極が前記イオン伝導体の一方の面に、接して設けられ、
前記第2電極が、前記イオン伝導体の他方の面に接して設けられていることを特徴とする付記1から4のいずれかに記載のスイッチング素子。
(付記6)
さらに、前記イオン伝導体に接して設けられた第3電極を含み、
前記第1電極に代えて、前記第3電極が、前記イオン伝導体に金属イオンを供給可能であり、かつ、前記第1電極の前記イオン伝導体と接する部分に代えて、前記第3電極の前記イオン伝導体と接する部分が、前記金属の酸化物、前記金属の水酸化物および前記金属の塩からなる群から選択される少なくとも一つを含むことを特徴とする付記1から4のいずれかに記載のスイッチング素子。
(付記7)
前記第1電極から前記イオン伝導体中に供給された前記金属イオンが、前記イオン伝導体内に金属として析出することにより、前記第1電極および前記第2電極の間の電気伝導度が大きくなり、
前記析出した金属が前記イオン伝導体内にイオン化して溶解することにより、前記電気伝導度が小さくなることを特徴とする付記1から5のいずれかに記載のスイッチング素子。
(付記8)
前記第3電極から前記イオン伝導体中に供給された前記金属イオンが、前記イオン伝導体内に金属として析出することにより、前記第1電極および前記第2電極の間の電気伝導度が大きくなり、
前記析出した金属が前記イオン伝導体内にイオン化して溶解することにより、前記電気伝導度が小さくなることを特徴とする付記6に記載のスイッチング素子。
(付記9)
前記析出した金属が成長して、前記第1電極と前記第2電極との間に金属架橋が形成されることにより、スイッチがオン状態となり、
前記金属架橋が前記イオン伝導体内にイオン化して溶解することにより、スイッチがオフ状態となることを特徴とする付記7または8に記載のスイッチング素子。
(付記10)
金属イオンを供給可能な第1電極を形成する第1電極形成工程と、
前記第1電極の表面を加工して、金属の酸化物、金属の水酸化物および金属の塩からなる群から選択される少なくとも一つを形成する表面加工工程と、
前記第1電極の金属の酸化物、金属の水酸化物および金属の塩からなる群から選択される少なくとも一つが形成されている表面に接するように、金属イオンを伝導可能なイオン伝導体を設けるイオン伝導体設置工程と、
前記イオン伝導体に接するように、第2電極を設ける第2電極設置工程とを含むことを特徴とするスイッチング素子の製造方法。
(付記11)
前記表面加工工程において、
100℃以上350℃以下の酸素雰囲気中に暴露することにより、前記第1電極の前記表面に、金属酸化物を形成することを特徴とする付記10に記載のスイッチング素子の製造方法。
(付記12)
前記表面加工工程において、
100℃以上350℃以下で、かつ2kW以下の酸素プラズマ雰囲気中に暴露することにより、前記第1電極の前記表面に、金属酸化物を形成することを特徴とする付記10または11に記載のスイッチング素子の製造方法。
(付記13)
前記表面加工工程に先立ち、前記第1電極の前記表面に貫通孔が形成された絶縁性バリア層を形成する絶縁性バリア層形成工程をさらに含み、
前記イオン伝導体設置工程において、
前記絶縁性バリア層の貫通孔を介して、前記イオン伝導体の一方の面が前記第1電極に接するように、前記イオン伝導体を設け、
前記第2電極設置工程において、
前記イオン伝導体の他方の面に接するように、前記第2電極を設けることを特徴とする付記10から12のいずれかに記載のスイッチング素子の製造方法。
(付記14)
前記第1電極形成工程に代えて、金属イオンを供給可能な第3電極を形成する形成工程と、
前記イオン伝導体に接するように、第1電極を設ける第1電極設置工程とを含み、
前記表面加工工程において、
前記第1電極に代えて、前記第3電極の表面を加工して、金属の酸化物、金属の水酸化物および金属の塩からなる群から選択される少なくとも一つを形成し、
前記イオン伝導体設置工程において、
前記第1電極に代えて、前記第3電極の金属の酸化物、金属の水酸化物および金属の塩からなる群から選択される少なくとも一つが形成されている表面に接するように、金属イオンを伝導可能なイオン伝導体を設けることを特徴とする付記10から12のいずれかに記載のスイッチング素子の製造方法。
(付記15)
付記1から9のいずれかに記載のスイッチング素子、または付記10から14のいずれかに記載の製造方法により製造されたスイッチング素子を含むことを特徴とする半導体装置。
(付記16)
半導体基板上に積層された多層配線層と、前記多層配線層の内部に設けられたスイッチング素子とを含み、
前記スイッチング素子が、付記5に記載のスイッチング素子、または付記13に記載の製造方法により製造されたスイッチング素子であり、
前記多層配線層は、前記第1電極に電気的に接続された配線と、前記第2電極に電気的に接続されたプラグとを含むことを特徴とする付記15に記載の半導体装置。
(付記17)
前記配線が、前記第1電極を兼ねていることを特徴とする付記16に記載の半導体装置。
(付記18)
前記第2電極が、前記イオン伝導体に接する電極と前記プラグに電気的に接続される電極とを含み、
前記イオン伝導体に接する電極が、白金、ルテニウムおよびニッケルからなる群から選択される少なくとも一つから形成されることを特徴とする付記16または17に記載の半導体装置。
(付記19)
前記プラグに電気的に接続された電極が、タンタル、チタン、タングステンおよびそれらの窒化物からなる群から選択される少なくとも一つから形成されることを特徴とする付記18に記載の半導体装置。
10、40 2端子スイッチング素子(スイッチング素子)
11、41 第1電極(銅)
11a、41a 金属酸化物(酸化銅)
12、42 第2電極
14、24 イオン伝導層(イオン伝導体)
15 金属
16、26 金属イオン
20、50 3端子スイッチング素子(スイッチング素子)
21、51 第1電極
22、52 第2電極
23、53 第3電極(銅)
23a、53a 金属酸化物(酸化銅)
25 金属架橋
30 2端子スイッチング素子
31 半導体基板
32 上部電極(第2電極)
32a 第1上部電極
32b 第2上部電極
34 抵抗変化層(イオン伝導体)
34a 酸化防止膜(酸化チタン)
34b イオン伝導層
44、54 イオン伝導層
47、57 低抵抗シリコン基板
48、58 酸化防止層(チタン)
48a、58a 酸化防止層(酸化チタン)
101 第1電極
102 第2電極
104 イオン伝導層
300 半導体装置
301、303、306、308 層間絶縁膜
302、304、309 バリア絶縁膜
305 保護絶縁膜
307 エッチングストッパ膜
310 多層配線層
311、316 バリアメタル
312 第1配線(下部電極(第1電極))
312a 金属酸化物
313 第2配線
314、317、318 ハードマスク膜
315 プラグ

Claims (10)

  1. 金属イオンを伝導可能なイオン伝導体と、
    前記イオン伝導体に接して設けられた第1電極と、
    前記イオン伝導体に接して設けられた第2電極とを含み、
    前記第1電極が、前記イオン伝導体に金属イオンを供給可能であり、
    前記第1電極の前記イオン伝導体と接する部分が、前記金属の酸化物、前記金属の水酸化物および前記金属の塩からなる群から選択される少なくとも一つを含むことを特徴とするスイッチング素子。
  2. 前記第1電極の前記イオン伝導体と接する部分が、酸化銅を含むことを特徴とする請求項1記載のスイッチング素子。
  3. 前記イオン伝導体が、酸化タンタル、酸化シリコン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムおよび酸化チタンからなる群から選択される少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1または2記載のスイッチング素子。
  4. 前記イオン伝導体がSiOCH系材料およびSiOC系材料の少なくとも一方を含み、かつその比誘電率が2.1以上3.0以下であり、かつその空孔径分布が単一ピークであることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のスイッチング素子。
  5. 前記第1電極と前記イオン伝導体との間に、貫通孔が形成された絶縁性バリア層が配置され、
    前記絶縁性バリア層の貫通孔を介して、前記第1電極が前記イオン伝導体の一方の面に、接して設けられ、
    前記第2電極が、前記イオン伝導体の他方の面に接して設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のスイッチング素子。
  6. さらに、前記イオン伝導体に接して設けられた第3電極を含み、
    前記第1電極に代えて、前記第3電極が、前記イオン伝導体に金属イオンを供給可能であり、かつ、前記第1電極の前記イオン伝導体と接する部分に代えて、前記第3電極の前記イオン伝導体と接する部分が、前記金属の酸化物、前記金属の水酸化物および前記金属の塩からなる群から選択される少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のスイッチング素子。
  7. 金属イオンを供給可能な第1電極を形成する第1電極形成工程と、
    前記第1電極の表面を加工して、金属の酸化物、金属の水酸化物および金属の塩からなる群から選択される少なくとも一つを形成する表面加工工程と、
    前記第1電極の金属の酸化物、金属の水酸化物および金属の塩からなる群から選択される少なくとも一つが形成されている表面に接するように、金属イオンを伝導可能なイオン伝導体を設けるイオン伝導体設置工程と、
    前記イオン伝導体に接するように、第2電極を設ける第2電極設置工程とを含むことを特徴とするスイッチング素子の製造方法。
  8. 前記表面加工工程に先立ち、前記第1電極の前記表面に貫通孔が形成された絶縁性バリア層を形成する絶縁性バリア層形成工程をさらに含み、
    前記イオン伝導体設置工程において、
    前記絶縁性バリア層の貫通孔を介して、前記イオン伝導体の一方の面が前記第1電極に接するように、前記イオン伝導体を設け、
    前記第2電極設置工程において、
    前記イオン伝導体の他方の面に接するように、前記第2電極を設けることを特徴とする請求項7記載のスイッチング素子の製造方法。
  9. 請求項1から6のいずれか一項に記載のスイッチング素子、または請求項7または8記載の製造方法により製造されたスイッチング素子を含むことを特徴とする半導体装置。
  10. 半導体基板上に積層された多層配線層と、前記多層配線層の内部に設けられたスイッチング素子とを含み、
    前記スイッチング素子が、請求項5記載のスイッチング素子、または請求項8記載の製造方法により製造されたスイッチング素子であり、
    前記多層配線層は、前記第1電極に電気的に接続された配線と、前記第2電極に電気的に接続されたプラグとを含むことを特徴とする請求項9記載の半導体装置。
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