JP2011236537A - ウォッシャブル生糸によるパイル製品の製法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来公知の方法で作られたシルクのパイル地は、強度や弾力性が低く、洗濯耐久性も劣悪で、収縮、スレ、硬化、潰れが発生し、特に介護や医療分野における寝具類、各種衣類には不適当であった。また、樹脂や他の繊維でパイルの形態を保持する方法もあるが繊維の風合が低下したり、経済性に問題があった。
【解決手段】本発明者等はかかる品質、安全性、経済性の諸問題を解決する為に生糸を用いたパイル製品について研究を重ねた結果、一定の太さを有する生糸を特定の架橋薬剤でウォッシャブル加工したセリシン定着生糸を用いてパイル地を織り、そのパイル地を繊維製品として使用すれば、嵩高性、軽量性、弾力性、復元性、洗濯耐久性などに優れた物性を有し、かつ風合も優れた介護・医療用を初めとする健康用途に適した各種繊維製品が得られることを見出した。
【選択図】なし
【解決手段】本発明者等はかかる品質、安全性、経済性の諸問題を解決する為に生糸を用いたパイル製品について研究を重ねた結果、一定の太さを有する生糸を特定の架橋薬剤でウォッシャブル加工したセリシン定着生糸を用いてパイル地を織り、そのパイル地を繊維製品として使用すれば、嵩高性、軽量性、弾力性、復元性、洗濯耐久性などに優れた物性を有し、かつ風合も優れた介護・医療用を初めとする健康用途に適した各種繊維製品が得られることを見出した。
【選択図】なし
Description
本発明は繭から引き出された糸を4〜20本撚り合わせて得た一定の太さを有する生糸を特定の架橋剤で熱処理したウォッシャブル生糸(セリシン定着シルクフィラメント)を用いたパイル地と、該パイル地を含んだ繊維製品の製法に関する。更に詳しくは、本発明は織地或いは編地の芯基布にパイル生糸を織り込んだパイル織物の製法に関するもので、そのパイル生糸が繭から引き出された糸を4〜20本撚り合わせて得た「一定の太さを有するシルクフィラメント」(以下「生糸」と略称する事がある)中のセリシンを特定の架橋剤によって固着すると共にウォッシャブル性を付与したシルクフィラメントをパイル糸として使用するパイル地の製法に関するものである。
本発明で使用するウォッシャブル性を付与された一定の太さを有するセリシン定着シルクフィラメントを織物の片面或いは両面に輪奈を織り出したパイル地は、パイルの形態安定性に優れ、風合いが良く、嵩高性を有し、軽量で、高圧縮弾性にも優れており、空気保持率が高く、保温性にも優れ、洗濯を繰り返す事によるループの抜けや損傷がなく洗濯耐久性に優れているので、医療用、介護用、一般用の寝具類或いは衣類を初めとする各種繊維製品に極めて有用である。
従来パイル地は、タオルやタオルケットに綿素材を用いて作られる場合が多いが、シルクの絹紡糸を用いたパジャマやインナー製品も見受けられる。
しかし、これらのシルクの繊維製品はパイルの形態安定性が不十分で、洗濯を繰り返す内にパイルがつぶれたり、抜けたり、硬化する場合が多く、嵩高性や風合いが消失して保温性や弾力性も失われる事が多かった。
しかし、これらのシルクの繊維製品はパイルの形態安定性が不十分で、洗濯を繰り返す内にパイルがつぶれたり、抜けたり、硬化する場合が多く、嵩高性や風合いが消失して保温性や弾力性も失われる事が多かった。
これらの問題点を改善する方法として、(1)特開平7−42063号公報に記載がある通り、パイルを可撓性バインダー樹脂で固定されたパイル生地を用いる方法が提案されている。この場合用いられる樹脂はポリウレタン、アクリル酸エステル重合体、スチレンブタジエン共重合体等のバインダー樹脂であるが、可撓性重合体皮膜がパイルを固定するというものである。しかし、この方法で作られたパイル地は、例え天然素材を使用したとしても風合いや吸湿性、保温性、弾力性が劣り、寝具類や介護用繊維製品には適さない。
また、(2)特開平7−279000号公報には、地経糸と緯糸とからなるパイル地組織にパイル経糸を打ち込み輪奈を形成してパイル織物を製織するに際し、前記パイル経糸としてフィラメント糸に紡績糸を撚り合わせた合撚糸を用いる方法が記載されている。更に(3)特開平11−36150号、(4)特開2009−191373号、(5)特開2001−89958号にはパイル用加工糸或いはパイル布帛としてポリエステル系繊維やアクリル系繊維を用いる方法が記載されている。これらの方法は製法が煩雑で、経済性に課題が残る上に、フィラメント糸として合成繊維を用いるので吸湿性や風合い等に問題があり、肌に触れる寝具類や各種衣類には不適である。
(1)特開平7−42063号公報
(2)特開平7−279000号公報
(3)特開平11−36150号公報
(4)特開2009−191373号公報
(5)特開2001−89958号公報
(2)特開平7−279000号公報
(3)特開平11−36150号公報
(4)特開2009−191373号公報
(5)特開2001−89958号公報
前記した通り、従来技術のパイル製品は風合や吸湿性、耐久性など、品質に問題を抱えているので用途が限定されており、或いは加工工程上並びに消費者サイドに於ける種々の問題を抱えており、更に加工コストなどの経済性の問題も加わって改良品の開発が望まれていた。
シルクは天然繊維の中で唯一の細くて長い長繊維(フィラメント)で、柔らかくて暖かい肌触りと高い保湿性を有し、輝かしい光沢と風合を兼ね備えており、『繊維の女王』と呼ばれるにふさわしい天然繊維である。
また、生糸のフィブロインを被覆しているセリシンは、制菌性、防臭・脱臭性、吸汗性、保温性、保湿性等に優れた機能を有し、アトピー性皮膚炎の抑制効果や皮膚保護作用も認められる事から化粧品の成分としても活用されている。
シルクは古くから主として和服に用いられてきたが、近年、シルクの持つ着用快適性(風合の良さ)と優雅な感性や前記した種々の機能を活かして、インナーウエア、寝装・寝具、タオル、ブラウス、スーツ、ソックスといった高級な洋装カジュアル分野の用途が拡大している。
シルクは天然繊維の中で唯一の細くて長い長繊維(フィラメント)で、柔らかくて暖かい肌触りと高い保湿性を有し、輝かしい光沢と風合を兼ね備えており、『繊維の女王』と呼ばれるにふさわしい天然繊維である。
また、生糸のフィブロインを被覆しているセリシンは、制菌性、防臭・脱臭性、吸汗性、保温性、保湿性等に優れた機能を有し、アトピー性皮膚炎の抑制効果や皮膚保護作用も認められる事から化粧品の成分としても活用されている。
シルクは古くから主として和服に用いられてきたが、近年、シルクの持つ着用快適性(風合の良さ)と優雅な感性や前記した種々の機能を活かして、インナーウエア、寝装・寝具、タオル、ブラウス、スーツ、ソックスといった高級な洋装カジュアル分野の用途が拡大している。
本発明の目的は、この様に多様化しつつあるシルク繊維の需要にフレキシブルに対応し、更に、最近重要視されつつある医療や介護関連用途にも拡大できる様に種々研究した結果、弾力性や保温性と耐久性に優れたパイル地を作るに際して、繭から引き出された糸を4〜20本撚り合わせて得た未精練生糸を特定の架橋剤で熱処理してセリシンをフィブロインに固着すると共にウォッシャブル性を付与したシルクフィラメントを用いて織り上げられたパイル地を用いると、保温性や弾力性の点で従来のものより遥かに優れたパイル製品が得られる事を見出した(請求項1)。
また、繭から引き出された糸を4〜20本撚り合わせて得た生糸を特定の架橋剤を用いて熱処理する事によって得たセリシン定着シルクフィラメントを用いて織り上げられたパイル地を作製し、次いで天然繊維材料と共に縫製するか、或いは天然繊維によってカバーしたり挿入する事によって得た寝具類、介護用品或いは各種衣類は、保温性、弾力性、洗濯耐久性、嵩高性、軽量性等に優れた繊維製品となる事を見出した(請求項2)。
更に、特定の架橋剤として、ジクロロトリアジン系架橋剤、ポリハロゲノピリミジン系架橋剤、ジフルオロモノクロロピリミジン系架橋剤、フロロメチルクロルピリミジン系架橋剤、ジクロロキノキザリン系架橋剤又は/及びグリシジルエーテル系架橋剤を使用してセリシンを定着した特定の太さを有する生糸を用いて得たパイル地、並びに該パイル地を天然繊維と共に用いた寝具類、介護用品或いは各種衣類には優れた健康効果と耐久性がある事を見出した(請求項3)。
また、本発明は一定の太さを有する生糸を特定の架橋剤を用いて熱処理する事によって得たセリシン定着シルクフィラメントを用いて織り上げられたパイル製品の製法でもある(請求項4)。
更に、本発明は、一定の太さを有する生糸を特定の架橋剤を用いて熱処理する事によって得たセリシン定着シルクフィラメントを用いて織り上げられたパイル地を作製し、次いで天然繊維材料と共に縫製するか、或いは天然繊維によってカバーしたり挿入する事によって得た寝具類、介護用品及び各種衣類等の繊維製品の製法でもある(請求項5)。
また、繭から引き出された糸を4〜20本撚り合わせて得た生糸を特定の架橋剤を用いて熱処理する事によって得たセリシン定着シルクフィラメントを用いて織り上げられたパイル地を作製し、次いで天然繊維材料と共に縫製するか、或いは天然繊維によってカバーしたり挿入する事によって得た寝具類、介護用品或いは各種衣類は、保温性、弾力性、洗濯耐久性、嵩高性、軽量性等に優れた繊維製品となる事を見出した(請求項2)。
更に、特定の架橋剤として、ジクロロトリアジン系架橋剤、ポリハロゲノピリミジン系架橋剤、ジフルオロモノクロロピリミジン系架橋剤、フロロメチルクロルピリミジン系架橋剤、ジクロロキノキザリン系架橋剤又は/及びグリシジルエーテル系架橋剤を使用してセリシンを定着した特定の太さを有する生糸を用いて得たパイル地、並びに該パイル地を天然繊維と共に用いた寝具類、介護用品或いは各種衣類には優れた健康効果と耐久性がある事を見出した(請求項3)。
また、本発明は一定の太さを有する生糸を特定の架橋剤を用いて熱処理する事によって得たセリシン定着シルクフィラメントを用いて織り上げられたパイル製品の製法でもある(請求項4)。
更に、本発明は、一定の太さを有する生糸を特定の架橋剤を用いて熱処理する事によって得たセリシン定着シルクフィラメントを用いて織り上げられたパイル地を作製し、次いで天然繊維材料と共に縫製するか、或いは天然繊維によってカバーしたり挿入する事によって得た寝具類、介護用品及び各種衣類等の繊維製品の製法でもある(請求項5)。
本発明は、繭から引き出された糸を4〜20本撚り合わせて得た未精練生糸のスレ防止・形態安定等、ウォッシャブル性を付与する加工工程を第一工程とし、次いでそのフィラメントを使用してパイル地を織る第二工程から成り立っている。このパイル地を芯、中綿、裏地に入れて縫製するか、或いは片面又は両面を天然繊維等でカバーして使用すると、弾力性や保温性及び洗濯耐久性の優れたパイル地を含む新機能性繊維製品として利用する事が出来る。
シルク繊維は洋装カジュアル分野、特にインナーウエアや、寝装・寝具、タオル、ソックス等に用いられる場合は、和服の場合に比べて洗濯する機会が大幅に増加するが、シルクの唯一の欠点であるスレ・形態破壊による風合、光沢、嵩高性、弾力性の劣化、特に水にぬれた時に生じやすいスレやフィブリル化が原因で繊維が硬くなり、風合や光沢、嵩高性、弾力性が失われていくという大きな問題がある。シルクの最高の長所である風合、光沢、嵩高性、弾力性が洗濯を繰返す事によって失われていく事は、介護や老人・小児医療分野に於けるシルク製品の需要拡大にとって致命的な欠陥であり、改善が求められている。
特にパイル製品では長時間の使用と、洗濯回数の増加によってパイル地のループがつぶれて、嵩高性、空隙エア保存性、保温性、肌触り性(風合い)、吸放湿性、高圧縮弾性、軽量性等が失われ、パイル繊維の抜けが生じるので、パイル地本来の機能が失われてしまう。
シルク繊維は洋装カジュアル分野、特にインナーウエアや、寝装・寝具、タオル、ソックス等に用いられる場合は、和服の場合に比べて洗濯する機会が大幅に増加するが、シルクの唯一の欠点であるスレ・形態破壊による風合、光沢、嵩高性、弾力性の劣化、特に水にぬれた時に生じやすいスレやフィブリル化が原因で繊維が硬くなり、風合や光沢、嵩高性、弾力性が失われていくという大きな問題がある。シルクの最高の長所である風合、光沢、嵩高性、弾力性が洗濯を繰返す事によって失われていく事は、介護や老人・小児医療分野に於けるシルク製品の需要拡大にとって致命的な欠陥であり、改善が求められている。
特にパイル製品では長時間の使用と、洗濯回数の増加によってパイル地のループがつぶれて、嵩高性、空隙エア保存性、保温性、肌触り性(風合い)、吸放湿性、高圧縮弾性、軽量性等が失われ、パイル繊維の抜けが生じるので、パイル地本来の機能が失われてしまう。
本発明者はかかるシルク繊維製品の品質上、経済上の諸問題を解決し、シルク繊維材料の風合を維持しつつ、洗濯耐久性の優れた生糸のパイル地を生産し、このパイル地を用いて医療・介護分野における軽量で保温性と弾力性に優れたウォッシャブル繊維製品、特に、シーツ、掛け布団、タオルケット等の寝具類、パジャマ、ガウン、スポーツウエア等の衣類、ストール、マフラー、ショール、膝かけ等の防寒衣類を開発する事を目的とするものである。
これらの目的を達成する為の加工法について鋭意研究を重ねた結果、先ず4〜20本撚りの生糸を原糸に用いて、セリシンを固着する架橋剤として、ジクロロトリアジン系架橋剤、ポリハロゲノピリミジン系架橋剤、ジフルオロモノクロロピリミジン系架橋剤、フロロメチルクロルピリミジン系架橋剤、ジクロロキノキザリン系架橋剤及び/又はグリシジルエーテル系架橋剤等の架橋薬剤を使用してセリシンを生糸に固着し、次いで該ウォッシャブル性を付与されたシルクフィラメントを用いて織り上げられたパイル地を作製し、次いで該パイル地を天然繊維からなる布帛と共に縫製したりカバーして得た各種繊維製品に優れた機能性と耐久性を付与できる事を見出した。
これらの目的を達成する為の加工法について鋭意研究を重ねた結果、先ず4〜20本撚りの生糸を原糸に用いて、セリシンを固着する架橋剤として、ジクロロトリアジン系架橋剤、ポリハロゲノピリミジン系架橋剤、ジフルオロモノクロロピリミジン系架橋剤、フロロメチルクロルピリミジン系架橋剤、ジクロロキノキザリン系架橋剤及び/又はグリシジルエーテル系架橋剤等の架橋薬剤を使用してセリシンを生糸に固着し、次いで該ウォッシャブル性を付与されたシルクフィラメントを用いて織り上げられたパイル地を作製し、次いで該パイル地を天然繊維からなる布帛と共に縫製したりカバーして得た各種繊維製品に優れた機能性と耐久性を付与できる事を見出した。
本発明は、シルク繊維材料の風合と嵩高性並びに弾力性を維持しつつ、耐久性のある形態安定性を付与されたシルクフィラメントのパイル地を用いて、介護・医療用途を初めとする各種繊維製品の開発を目的とする。その目的を達成する為に、(1)先ず、セリシンで被覆されている一定の太さを有する生糸中のセリシンを、前記した特定の架橋剤によって固着する第一工程があり、(2)次いでセリシンを固着されると共にウォッシャブル性を付与された該フィラメント(セリシン定着生糸)を用いてパイル地を織る第二工程から成り立っている。
先ず第一工程の生糸中のセリシンを固着する工程であるが、架橋薬剤としてジクロロトリアジン系架橋剤、ポリハロゲノピリミジン系架橋剤、ジフルオロモノクロロピリミジン系架橋剤、フロロメチルクロルピリミジン系架橋剤、ジクロロキノキザリン系架橋剤及び/又はグリシジルエーテル系架橋剤の単独或いは混合物を使用する事が出来る。
これらの架橋薬剤を1〜20%o.w.f.使用し、重炭酸ソーダ、ソーダ灰、苛性ソーダ等の酸結合剤或いはジエチレントリアミン等の触媒を加えて、チーズ染色機、カセ染色機等を用いて、80〜120℃で2時間〜10分間程度保温する事によってセリシンを生糸に固着すると共にウォッシャブル性を付与する。
これらの架橋薬剤を1〜20%o.w.f.使用し、重炭酸ソーダ、ソーダ灰、苛性ソーダ等の酸結合剤或いはジエチレントリアミン等の触媒を加えて、チーズ染色機、カセ染色機等を用いて、80〜120℃で2時間〜10分間程度保温する事によってセリシンを生糸に固着すると共にウォッシャブル性を付与する。
本発明の第一工程において用いる事が出来るジクロルトリアジン系の架橋薬剤は、塩化シアヌルを原料として用い、加水分解或いはアミン類との反応によって得られる下記の様な化合物の単体或いは混合物を例として挙げる事が出来る。
2,6−ジクロル−4−ヒドロキシ−S−トリアジン及びそのNa塩、K塩、Li塩、Mg塩、Ca塩等の塩類、2,6−ジクロル−4−(6,8−ジスルフォナフタレン−2−イルアミノ)−S−トリアジン、2,6−ジクロル−4−(5,7−ジスルフォナフタレン−2−イルアミノ)−S−トリアジン、2,6−ジクロル−4−(3,6,8−トリスルフォナフタレン−1−イルアミノ)−S−トリアジン、2,6−ジクロル−4−(8−オキシ−6−スルフォナフタレン−2−イルアミノ)−S−トリアジン、2,6−ジクロル−4−(5−ヒドロキシ−7−スルフォナフタレン−2−イルアミノ)−S−トリアジン、2,6−ジクロル−4−(2,4−ジスルフォアニリノ)−S−トリアジン、2,6−ジクロル−4−(2−スルフォアニリノ)−S−トリアジン、2,6−ジクロル−4−(2,5−ジスルフォアニリノ)−S−トリアジン、2,6−ジクロル−4−(3,5−ジスルフォアニリノ)−S−トリアジン、2,6−ジクロル−4−(3−スルフォ−4−オキシ−5−カルボキシアニリノ)−S−トリアジン、2,6−ジクロル−4−(3,6−ジスルフォ−8−オキシナフタレン−1−イルアミノ)−S−トリアジン、2,6−ジクロル−4−(4,8−ジスルフォナフタレン−2−イルアミノ)−S−トリアジン、2,6−ジクロル−4(2−スルフォニルエチルアミノ)−S−トリアジン等及びこれらのNa塩、K塩、Li塩、Mg塩、Ca塩等の塩類。
ジクロルトリアジン系化合物は、この他にも数多くの有効な化合物が考えられるのであって、本発明はこれらの具体例に制約されるものではない。
2,6−ジクロル−4−ヒドロキシ−S−トリアジン及びそのNa塩、K塩、Li塩、Mg塩、Ca塩等の塩類、2,6−ジクロル−4−(6,8−ジスルフォナフタレン−2−イルアミノ)−S−トリアジン、2,6−ジクロル−4−(5,7−ジスルフォナフタレン−2−イルアミノ)−S−トリアジン、2,6−ジクロル−4−(3,6,8−トリスルフォナフタレン−1−イルアミノ)−S−トリアジン、2,6−ジクロル−4−(8−オキシ−6−スルフォナフタレン−2−イルアミノ)−S−トリアジン、2,6−ジクロル−4−(5−ヒドロキシ−7−スルフォナフタレン−2−イルアミノ)−S−トリアジン、2,6−ジクロル−4−(2,4−ジスルフォアニリノ)−S−トリアジン、2,6−ジクロル−4−(2−スルフォアニリノ)−S−トリアジン、2,6−ジクロル−4−(2,5−ジスルフォアニリノ)−S−トリアジン、2,6−ジクロル−4−(3,5−ジスルフォアニリノ)−S−トリアジン、2,6−ジクロル−4−(3−スルフォ−4−オキシ−5−カルボキシアニリノ)−S−トリアジン、2,6−ジクロル−4−(3,6−ジスルフォ−8−オキシナフタレン−1−イルアミノ)−S−トリアジン、2,6−ジクロル−4−(4,8−ジスルフォナフタレン−2−イルアミノ)−S−トリアジン、2,6−ジクロル−4(2−スルフォニルエチルアミノ)−S−トリアジン等及びこれらのNa塩、K塩、Li塩、Mg塩、Ca塩等の塩類。
ジクロルトリアジン系化合物は、この他にも数多くの有効な化合物が考えられるのであって、本発明はこれらの具体例に制約されるものではない。
また、ポリハロゲノピリミジン系架橋剤としては、2,4,6−トリクロロピリミジン、4,5,6−トリクロロピリミジン、2,6−ジクロロピリミジン、4,6−ジクロロピリミジン、2,4−ジクロロピリミジン、5−シアノ−2,4,6−トリクロロピリミジン、2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン、2,4−ジクロロ−5−メトキシピリミジン、6−メチル−2,4−ジクロロピリミジン、4,6−ジクロロ−2−メチルチオピリミジン、2−エトキシ−4,6−ジクロロピリミジン及びジフルオロモノクロロピリミジンからなる群から選ばれた1種以上のポリハロゲノピリミジン系化合物を具体例として挙げる事が出来る。
更に、グリシジルエーテル系架橋剤としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル等の単体或いは混合物を具体例として挙げる事が出来る。
架橋薬剤はそれぞれ長短があり、ジクロルトリアジン系は水溶性で、化合物の安定性に若干問題があり、5℃以上で保管すると加水分解を起こすので冷蔵庫保管が必須であり、長期間保存する場合は冷凍する必要がある。
ポリハロゲノピリミジン系とグリシジルエーテル系は室温で安定な化合物で、架橋効果も強いが、皮膚につくと皮膚障害を起こすので、取り扱い時、保護具を着用する等の注意が必要である。勿論、架橋反応処理中に生糸と反応するか、或いは加水分解を起こし、油性化合物の場合でも水溶性となって無害化され、ソーピングによって完全に洗浄除去されるので、生糸に薬剤が残る心配は皆無である。
架橋薬剤はそれぞれ長短があり、ジクロルトリアジン系は水溶性で、化合物の安定性に若干問題があり、5℃以上で保管すると加水分解を起こすので冷蔵庫保管が必須であり、長期間保存する場合は冷凍する必要がある。
ポリハロゲノピリミジン系とグリシジルエーテル系は室温で安定な化合物で、架橋効果も強いが、皮膚につくと皮膚障害を起こすので、取り扱い時、保護具を着用する等の注意が必要である。勿論、架橋反応処理中に生糸と反応するか、或いは加水分解を起こし、油性化合物の場合でも水溶性となって無害化され、ソーピングによって完全に洗浄除去されるので、生糸に薬剤が残る心配は皆無である。
本発明でパイル糸として使用される原糸は、家蚕又は野蚕の繭から引き出された極細の糸を、目的の太さになる様に4〜20本合わせて撚りをかけながら1本の生糸に集束された繰糸の状態にした生糸を使用する。
このセリシンで被覆された状態の未精練生糸を前記した特定の架橋剤を用いてセリシンの定着と同時に形態安定加工する事によって容易にはセリシンが脱落せず、弾力性とウォッシャブル性が付与された生糸とする。
このウォッシャブル性が付与された一定の太さと弾力性を有する生糸を用いて通常の方法でパイル織りを行う。例えば経パイル織の場合は、芯基布を形成する糸は同じくウォッシャブル性を付与された綿等の天然繊維を用い、緯は1種、経は地経とパイル経(架橋剤処理生糸)の2種を用いて布面に輪奈を形成させる。この場合、片面パイルと両面パイル(ダブルパイル)がある。
この様にして作られたウォッシャブル性、嵩高性、保温性、高圧縮弾性、軽量性、肌触り性等に優れたパイル地を用いて天然繊維と共に裏地、中綿、芯地として縫製するか、或いは天然繊維と併用する事によって介護・医療用を初めとして各種衣類に適した繊維製品が得られる。
このセリシンで被覆された状態の未精練生糸を前記した特定の架橋剤を用いてセリシンの定着と同時に形態安定加工する事によって容易にはセリシンが脱落せず、弾力性とウォッシャブル性が付与された生糸とする。
このウォッシャブル性が付与された一定の太さと弾力性を有する生糸を用いて通常の方法でパイル織りを行う。例えば経パイル織の場合は、芯基布を形成する糸は同じくウォッシャブル性を付与された綿等の天然繊維を用い、緯は1種、経は地経とパイル経(架橋剤処理生糸)の2種を用いて布面に輪奈を形成させる。この場合、片面パイルと両面パイル(ダブルパイル)がある。
この様にして作られたウォッシャブル性、嵩高性、保温性、高圧縮弾性、軽量性、肌触り性等に優れたパイル地を用いて天然繊維と共に裏地、中綿、芯地として縫製するか、或いは天然繊維と併用する事によって介護・医療用を初めとして各種衣類に適した繊維製品が得られる。
介護・医療用に適した繊維製品としては、このパイル地を綿布等のカバーで包み込んだシーツ、掛け布団、タオルケットがあり、例えば、この様にして作られたパイル地内臓のシーツを用いると電気毛布が不要になるほど保温性に優れており、弾力性にも優れている関係で床ずれも解消する等の効果を発揮する。
また、裏地として縫いこむか、或いは中綿として使用すると保温性と軽量性の優れた防寒着が出来る。院内で着用するパジャマやガウンとしても有用である。
セリシンには抗菌性、防奥・脱臭性、吸汗性、保温性、軽量性等の効果も知られており、形態の安定したセリシン定着生糸で織りあげられたパイルが包み込む多量の空気と共にアウターウエア、インナーウエア類の内綿や裏地としても大きな医療・介護効果を発揮する。
また、裏地として縫いこむか、或いは中綿として使用すると保温性と軽量性の優れた防寒着が出来る。院内で着用するパジャマやガウンとしても有用である。
セリシンには抗菌性、防奥・脱臭性、吸汗性、保温性、軽量性等の効果も知られており、形態の安定したセリシン定着生糸で織りあげられたパイルが包み込む多量の空気と共にアウターウエア、インナーウエア類の内綿や裏地としても大きな医療・介護効果を発揮する。
以下実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に制約されるものではない。なお、例中、%は重量%を意味する。
実施例1
実施例1
家蚕繭から6本撚りでつむいだ生糸500gをチーズ状に巻き取った。このチーズを10Lのチーズ染色機にセットし、水8kgを加えて液の循環をスタートさせた。次にALBAFLUID G(HUNTSMAN社製、脱気剤)5g、ノイゲンET−135(第一工業社製、乳化剤)5g、2,4,6−トリクロロピリミジンの50%乳化液(SC有機化学社製)50gを加え、更に芒硝1kg、炭酸ソーダ25g、重炭酸ソーダ50gを加えて昇温を開始した。30分で70℃に昇温し、同温度で30分間保温循環した。更に90℃に昇温して45分間保温循環したあと液を排出した。その後、10kgの水で2回水洗を行った。
次いでPHを4〜5とした(酢酸使用)弱酸性の水10kgで60℃で10分間循環洗浄し、更に水洗して乾燥した。
このセリシンを固着してウォッシャブル性を付与した生糸をパイル経として用い、下記の通りパイル地を織った。
綿のウォッシャブル紡績糸を地経とし、前記ウォッシャブル生糸をパイル経として用い、緯も綿の紡績糸を用いて、地経と緯を交錯させて地組織を作り、パイル経を張力の調節によって、植え込み密度10×10/m2、立毛長6mmの条件で平織布を芯基布として植え込んだ両面パイル地を得た。
このパイル地は、嵩高性、圧縮弾性、軽量性、保温性並びに洗濯耐久性に優れており、比較例として、
次いでPHを4〜5とした(酢酸使用)弱酸性の水10kgで60℃で10分間循環洗浄し、更に水洗して乾燥した。
このセリシンを固着してウォッシャブル性を付与した生糸をパイル経として用い、下記の通りパイル地を織った。
綿のウォッシャブル紡績糸を地経とし、前記ウォッシャブル生糸をパイル経として用い、緯も綿の紡績糸を用いて、地経と緯を交錯させて地組織を作り、パイル経を張力の調節によって、植え込み密度10×10/m2、立毛長6mmの条件で平織布を芯基布として植え込んだ両面パイル地を得た。
このパイル地は、嵩高性、圧縮弾性、軽量性、保温性並びに洗濯耐久性に優れており、比較例として、
本実施例1で得た生糸を架橋反応せずに同じ条件でパイル地を作製して使用比較した場合、
本実施例1の生糸を常法により石鹸で精練した後、実施例1と同じ条件で架橋反応した絹糸を用いて同条件でパイル地を作製して使用比較した場合、を実地試験で比較すると、洗濯10回後の状態は下記の通り、いずれの場合も歴然たる差があった。
また、実施例1の生糸のパイル地を綿の袋カバーに入れる事によってパイル地を中綿の様にしてシーツとして用いると、空気保持性と保温性が著しく優れており、従来電気毛布を必要とした老人の場合、電気毛布が不要となる程保温性に優れていた。また、このパイル地を綿シーツでカバーして使うと床ずれが殆どしなくなった。
実施例2
また、実施例1の生糸のパイル地を綿の袋カバーに入れる事によってパイル地を中綿の様にしてシーツとして用いると、空気保持性と保温性が著しく優れており、従来電気毛布を必要とした老人の場合、電気毛布が不要となる程保温性に優れていた。また、このパイル地を綿シーツでカバーして使うと床ずれが殆どしなくなった。
実施例2
実施例1における架橋薬剤2,4,6−トリクロロピリミジンの50%乳化液の代わりに2,6−ジクロル−4−ヒドロキシ−S−トリアジンNa塩の10%水溶液250gを用いて、同じ条件でウォッシャブル加工処理した生糸を用いてパイル地を織り、未処理品と比較したところ、加工処理品の嵩高性、保温性、圧縮弾性、軽量性、洗濯耐久性は未処理品に比べて実施例1と同様に優れていた。
実施例3
実施例3
実施例1における架橋薬剤2,4,6−トリクロロピリミジンの50%乳化液の代わりにエポライト400E(共栄社化学社製、エポキシ系架橋薬剤:ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル)50gを使用し、炭酸ソーダ25g、重炭酸ソーダ50gの代わりに触媒としてジエチレントリアミン2gを用いて、同じ条件でウォッシャブル加工処理した生糸を用いてパイル地を織り未処理品と比較したところ、加工処理品の嵩高性、保温性、圧縮弾性、洗濯耐久性は未処理品に比べて実施例1と同様に優れていた。
本発明に記載した一定の太さを有するセリシン定着ウォッシャブル生糸を用いたパイル地は、パイルの形態安定性に優れており、嵩高性と高圧縮弾性を有し、常時使用しても、パイルの復元性・弾力性に優れており、洗濯を繰り返しても生糸のスレや収縮及び風合いの変化が殆ど無い。
パイルの嵩高性、軽量性、弾力性、復元性などに優れた物性を有する関係で保温性や身体・皮膚保護性が著しく優れており、介護・医療用途を初めとする各種繊維製品に極めて有用である。
パイルの嵩高性、軽量性、弾力性、復元性などに優れた物性を有する関係で保温性や身体・皮膚保護性が著しく優れており、介護・医療用途を初めとする各種繊維製品に極めて有用である。
Claims (5)
- 繭から引き出された糸を4〜20本撚り合わせて得たシルクフィラメントを特定の架橋剤を用いて熱処理する事によって得たウォッシャブルセリシン定着シルクフィラメントを用いて織り上げられた弾力性と耐久性に優れたパイル地。
- 繭から引き出された糸を4〜20本撚り合わせて得たシルクフィラメントを特定の架橋剤を用いて熱処理する事によって得たウォッシャブルセリシン定着シルクフィラメントを用いて織り上げられたパイル地並びに該パイル地を天然繊維と共に使用した繊維製品。
- 特定の架橋剤として、ジクロロトリアジン系架橋剤、ポリハロゲノピリミジン系架橋剤、ジフルオロモノクロロピリミジン系架橋剤、フロロメチルクロルピリミジン系架橋剤、ジクロロキノキザリン系架橋剤及び/又はグリシジルエーテル系架橋剤を使用する事を特徴とする請求項1及び2記載のセリシン定着シルクフィラメントを用いて織り上げられたパイル地並びに該パイル地を天然繊維と共に使用した繊維製品。
- 繭から引き出された糸を4〜20本撚り合わせて得たシルクフィラメントを特定の架橋剤を用いて熱処理する事によって得たウォッシャブルセリシン定着シルクフィラメントを用いて織り上げられたパイル地の製法。
- 繭から引き出された糸を4〜20本撚り合わせて得られるシルクフィラメントを特定の架橋剤を用いて熱処理する事によって得たウォッシャブルセリシン定着シルクフィラメントを用いて織り上げられたパイル地並びに、該パイル地を天然繊維と共に使用した繊維製品の製法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010119830A JP2011236537A (ja) | 2010-05-07 | 2010-05-07 | ウォッシャブル生糸によるパイル製品の製法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2010119830A JP2011236537A (ja) | 2010-05-07 | 2010-05-07 | ウォッシャブル生糸によるパイル製品の製法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2011236537A true JP2011236537A (ja) | 2011-11-24 |
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Country Status (1)
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JP (1) | JP2011236537A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5824131B1 (ja) * | 2014-10-08 | 2015-11-25 | 森博多織株式会社 | 生糸によるパイル織製品の製造方法及びパイル織製品 |
KR20180057328A (ko) * | 2016-11-22 | 2018-05-30 | 경북대학교 산학협력단 | 실크 부직포 및 그의 제조 방법 |
-
2010
- 2010-05-07 JP JP2010119830A patent/JP2011236537A/ja active Pending
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WO2016056593A1 (ja) * | 2014-10-08 | 2016-04-14 | 森博多織株式会社 | 生糸によるパイル織製品の製造方法及びパイル織製品 |
CN107075754A (zh) * | 2014-10-08 | 2017-08-18 | 森博多织株式会社 | 生丝制绒头织制品的制造方法及绒头织制品 |
KR20180057328A (ko) * | 2016-11-22 | 2018-05-30 | 경북대학교 산학협력단 | 실크 부직포 및 그의 제조 방법 |
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