JP2011235719A - 車両の前部車体構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
バンパレイン3と熱交換器15との間には、車体前部から取入れられた走行風を熱交換器15に導風する導風部26が設けられ、導風部26の剛性は熱交換器15の剛性よりも低く設定されると共に、車両の前突時に導風部26が熱交換器15に当接した時、導風部26が変形されるように構成されたことを特徴とする。
【選択図】図4
Description
加えて、上述の開口部84aからその内部に取入れられた走行風は、同図に仮想線で示すように熱交換器85に至るまでに、上記バンパレイン83の後方部で渦Zを巻き、走行風の流速が低下するという問題点もあった。なお、図12において、Eはエンジン、89はインタクーラ、90はボンネットである。
すなわち、図13に示すように、空調用のコンデンサやラジエータ等を含む熱交換器91を覆うシュラウド92を設ける一方、上述の熱交換器91の車両前方には、車幅方向に延びるバンパレイン93を設け、熱交換器91の左右両側部とバンパレイン93との間には、左右一対の導風板94,95を取付け、これら各導風板94,95の前部を、その後部に対して車幅方向外方に位置させて、車体前部から導入した走行風を、一対の導風板94,95にて効率的に熱交換器91に導き、該熱交換器91の冷却効率の向上を図ったものである。
上記構成によれば、バンパレインと熱交換器との間に上述の導風部を設けたので、この導風部により走行風を円滑に熱交換器へ送風案内することができる。
要するに、熱交換器への円滑な走行風の案内と、熱交換器の破損防止と、クラッシュスペース確保と、を達成することができる。
上記構成によれば、簡単な構造でありながら、車両の衝突時における導風部と熱交換器との接触の際に、上記当接面が熱交換器の前面に接触するので、熱交換器の破損を防止することができる。
上記構成によれば、シュラウド部材にはラジエータよりも前方に位置する先当て部を設けたので、車両の衝突時には導風部がラジエータに接触する以前に先当て部に当接して、該導風部が変位することになり、この結果、ラジエータの破損を防止することができる。
特に、車両の軽衝突時には、ラジエータなどの熱交換器部品の取替えを行なう必要がなくなる。
上記構成によれば、車両の衝突時に導風部はそのバンパレインとの連結が解徐されるので、該導風部の変位を容易に行なうことができ、熱交換器の破損を防止しつつ、導風部の変位により車両前部のクラッシュスペースを確保することができる。
上述の変形促進部は、切欠き部は脆弱部で構成してもよい。
上記構成によれば、導風部は変形促進部を備えているので、車両衝突による導風部と熱交換器との接触の際に、該導風部を容易に変位させることができる。
図面は車両の前部車体構造を示し、図1はバンパレイン前側のクロージングプレートおよび衝撃吸収部材を図示省略して示す正面図であって、車両前部にはその意匠面を形成すると共に、フロントバンパの外表面を構成する合成樹脂製のバンパフェイス1を取付け、このバンパフェイス1には車幅方向にわたる横長形状の開口部2が形成されるが、この開口部2の後方に位置するバンパレイン3(詳しくは、バンパレインフォースメント)により該開口部2は、上部開口部2Aと、下部開口部2Bとに上下に区画されている。
図2はボンネット5およびバンパフェイス1を取外した状態で示す平面図、図3は図2の要部斜視図、図4は車両の前部車体構造を示す側面図である。
そして、左右のクラッシュカン9,9の前端部相互間に上述のバンパレイン3を車幅方向に延びるように連結したものである。
このクロージングプレート10はバンパレイン3の前部に沿って車幅方向にわたって設けられたもので、上述のバンパレイン3の前部には、該クロージングプレート10を介して車幅方向にわたるように衝撃吸収部材11(以下単に、EA部材と略記する)が配設されている。このEA部材11は発泡ウレタン等により形成することができる。
また、同図に示すように、上部開口部2Aには、合成樹脂製の上部メッシュ部材12を一体的に取付け、この上部メッシュ部材12における走行風取入口12aの下部を、EA部材11の上端と一致させている。
ここで、上述の上部開口部2Aと下部開口部2Bとは、図1、図4に示すように、上部開口部2Aの開口面積が小さくなり、下部開口部2Bの開口面積が大きくなるように区画形成されている。換言すれば、上部開口部2Aからの走行風取入れ量が相対的に少なくなり、下部開口部2Bからの走行風取入れ量が相対的に多くなるように形成されているが、この開口面積の大小は車両デザインによっては、この実施例のものに限定されるものではない。
このエンジン14の前方で、かつ上述のバンパレイン3の後方には、クーラントなどのエンジン冷却水を走行風を利用して空冷するための熱交換器15が車幅方向にわたって配置されている。
上述のラジエータシュラウド17の上部は、図2、図3に示すように、車幅方向に延びる車体部材としてのシュラウドアッパ25により支持される一方、ラジエータシュラウド17の下部には、該ラジエータシュラウド17から車幅方向の略全幅にわたって車両前方に延びるようにカバー部材30を連結している。
これにより、車両の正面衝突時において、導風部26と熱交換器15との接触の際に、該熱交換器15が破損するのを防止するように構成したものである。
この構成により、図4、図6に示すように、導風部26の上部導風部26A側に比較して、下部導風部26B側に積極的に走行風を送風案内させて、熱交換器15の冷却に対して有利となるものである。
さらに、図6に示すように、EA部材11の後端部上面11aおよび後端部下面11bと、バンパレイン3の前側に位置するクロージングプレート10と、導風部26の前端部と、の上下両面は凹凸がなく、走行風を乱さないように面一状に形成されており、この構造により、走行風の渦の発生を防止し、該走行風をスムーズに熱交換器15に送風案内すべく構成している。
なお、図2、図3において、31はフェンダ、32はホイールハウス、33は該ホイールハウス32と上述のカバー部材30とを連結する連結部材であり、図4において、34はボンネットレインフォースメントである。また、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印UPは車両上方を示す。
図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下作用を説明する。
上述のバンパレイン3と熱交換器15との間には導風部26を設けて、この導風部26の形状を、バンパレイン3から後方に行くに従ってその上下幅が小さくなる形状、所謂先細り形状と成したので、車体前部の上部開口部2Aにおける上部メッシュ部材12の走行風取入口12a、並びに、下部開口部2Bにおける下部メッシュ部材13の走行風取入口13aから取入れられた走行風は、図4に仮想線で示すように導風部26で案内されてスムーズに熱交換器15に送ることができる。
一方、車両の軽衝突時には、図4に示すノーマル状態から図7に示すようになる。但し、図7の仮想線αは図4と同一のノーマル状態を示す。
上述の導風部26が後退すると、この導風部26の当接面27がラジエータシュラウド17の縦桟部24(つまり、先当て部)に接触して、この接触により導風部26における下部導風部26Bの接着が外れて、該導風部26は該下部導風部26Bの前部が車両前方に変位するように変形する。
上述の軽衝突時には、カバー部材30は図4に示す略水平状態から図7に示すように前下がり状態に変位する。
しかも、導風部26の剛性を熱交換器15の剛性よりも低く設定し、車両の前突時に該導風部26が熱交換器15に当接した時、この導風部26が変形するように構成したので、車両の前突時に導風部26が後退して熱交換器15と接触した際、この熱交換器15の破損を防止することができると共に、導風部26の変形により車両前部のクラッシュスペースを確保することができる。
この構成によれば、簡単な構造でありながら、車両の衝突時における導風部26と熱交換器15との接触の際に、上記当接面27が熱交換器15の前面に接触するので、熱交換器15の破損を防止することができる。
この構成によれば、シュラウド部材(ラジエータシュラウド17)にはラジエータ16よりも前方に位置する先当て部(縦桟部24)を設けたので、車両の衝突時には導風部26がコンデンサ18およびラジエータ16に接触する以前に先当て部(縦桟部24)に当接して、該導風部26が変位することになり、この結果、コンデンサ18、ラジエータ16の破損を防止することができる。
特に、車両の軽衝突時には、コンデンサ18やラジエータ16などの熱交換器部品の取替えを行なう必要がなくなる。
この構成によれば、車両の衝突時に導風部26はそのバンパレイン3との連結が解徐されるので、該導風部26の変位を容易に行なうことができ、熱交換器15の破損を防止しつつ、導風部26の変位により車両前部のクラッシュスペースを確保することができる。
この場合には、上記導風部15により、走行風が渦巻くことがなく、該走行風を熱交換器15に案内させることができるので、走行風の流速が低下せず、熱交換器15の冷却性能の向上を図ることができる。さらに、車両デザインの自由度を達成しつつ、ラジエータ16を効率的に冷却することができる。
さらにまた、上記実施例で開示したように、導風部26を熱交換器15の車幅方向の略全幅にわたって配設すると、該熱交換器15の略全幅に走行風をスムーズに送風案内することができて、熱交換器15の冷却性能を最大限向上させることができる。
さらに、上記実施例で開示したように、衝撃吸収部材(EA部材11)の後端部上面11aおよび後端部下面11bと、バンパレイン3の前端部(この実施例では、クロージングプレート10の上下両端部)と、導風部26の前端部とが面一状になるように形成すると、走行風の渦の発生を防止することができ、該走行風をスムーズに上記熱交換器15に送風案内することができる。
図8に示す実施例は、導風部26の形状を保持するためのリブ26Cを、下部導風部26Bの上面に、車幅方向に所定の間隔を隔てて複数設けたものであり、これら複数のリブ26Cにより導風部26の曲げ剛性の向上を図るように構成している。
図9に示すこの実施例では、上部導風部26Aの前端部上側に凹部26aを形成する一方、合成樹脂製または金属製の押え部材35を設け、バンパレイン3の上側の折曲げ部3aに導風部26の上部導風部26A前端部を上載し、この上部導風部26Aの上記凹部26a上に押え部材35を配置し、クリップ28などの取付け部材で、これら三者3a,26A,35を一体的に取付け固定し、この取付け状態において、EA部材11の後端部上面と、バンパレインの前端部(詳しくは、クロージングプレート10の上端部)と、押え部材の上面35とが面一状になるように形成したものである。
また、図10に示すこの実施例においては、上部導風部26Aの下面側にリブ26Cを一体形成している。
つまり、導風部26に上記切欠き部36(変形促進部)を設けたので、熱交換器15と導風部26との接触の際に、該導風部26を容易に変位させることができる。
すなわち、導風部26は、バンパレイン3の上部に配設されたフラットな上部導風部26Aと、バンパレイン3の下部に配設された下部導風部26Bとを有し、この下部導風部26Bはその後方が上部導風部26A後端直下の当接面27に向けて、なだらかに、且つ円弧状に立上がるように構成したものである。
この実施例においても、先の実施例と同様に、上述の下部導風部26Bは空力抵抗のうちの離脱抵抗を可及的小さくすべく、なだらかな曲面形状に形成したものである。
この発明のシュラウド部材は、実施例のラジエータシュラウド17に対応し、
以下同様に、
先当て部は、縦桟部24に対応し、
変形促進部は、切欠き部36に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、上記実施例においては、図1、図3で示したように、上述のインタクーラ4を下部導風部26Bの下方において車両の中央に配設したが、該インタクーラ4は車幅方向の左右何れかにオフセットした位置に配設してもよい。
8…フロントサイドフレーム
15…熱交換器
16…ラジエータ
17…ラジエータシュラウド(シュラウド部材)
24…縦桟部(先当て部)
26…導風部
27…当接面
36…切欠き部(変形促進部)
Claims (5)
- 車両の前部において前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレームと、
上記左右一対のフロントサイドフレームの前端同士を連結するバンパレインと、
該バンパレインの後方に配設された熱交換器と、を備えた車両の前部車体構造であって、
上記バンパレインと上記熱交換器との間には、車体前部から取入れられた走行風を上記熱交換器に導風する導風部が設けられ、
該導風部の剛性は上記熱交換器の剛性よりも低く設定されると共に、
車両の前突時に導風部が熱交換器に当接した時、該導風部が変形するように構成された
車両の前部車体構造。 - 上記導風部の後端部は、上記熱交換器の前面と近接する位置まで後方に延出され、
該後端部には熱交換器の前面と略平行となる当接面を備えた
請求項1記載の車両の前部車体構造。 - 上記熱交換器は、ラジエータと、該ラジエータを覆うシュラウド部材とを備え、
上記シュラウド部材のラジエータより前方に位置する部位には、前突時に上記導風部を変位させる先当て部が設けられた
請求項1または2記載の車両の前部車体構造。 - 上記導風部は上記バンパレインに連結されると共に、上記熱交換器との接触に伴ってバンパレインとの連結が解徐されるように構成された
請求項1〜3の何れか1に記載の車両の前部車体構造。 - 上記導風部は熱交換器との接触に伴って該導風部の下方への変位を促進する変形促進部を備えた
請求項1〜4の何れか1に記載の車両の前部車体構造。
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