JP2011235506A - インクジェット式記録装置用インクカートリッジおよびインクジェット式記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】長時間使用しない場合でも、作業者に大きな負担をかけることなく、収容されたインクのインク成分の沈降や分離などが生じることを防止し、印刷時に常に所望の色を得ることができるインクジェット式記録装置用インクカートリッジおよびインクジェット式記録装置を提供する。
【解決手段】インクを貯留するインクジェット式記録装置用インクカートリッジにおいて、上記インクジェット式記録装置用インクカートリッジは、上記インクジェット式記録装置用インクカートリッジ内部に連通した第1の通路を有する第1の筒状部材と、上記インクジェット式記録装置用インクカートリッジ内部に連通した第2の通路を有する第2の筒状部材とを有するようにした。
【選択図】 図2
【解決手段】インクを貯留するインクジェット式記録装置用インクカートリッジにおいて、上記インクジェット式記録装置用インクカートリッジは、上記インクジェット式記録装置用インクカートリッジ内部に連通した第1の通路を有する第1の筒状部材と、上記インクジェット式記録装置用インクカートリッジ内部に連通した第2の通路を有する第2の筒状部材とを有するようにした。
【選択図】 図2
Description
本発明は、インクジェット式記録装置用インクカートリッジおよびインクジェット式記録装置に関する。
より詳細には、インク成分が沈降したり分離したりして、印刷時に色ムラなどが起きやすいインクを使用する際に用いて好適なインクジェット式記録装置用インクカートリッジおよびインクジェット式記録装置に関する。
なお、本明細書において、「媒体」とは、普通紙などの紙類よりなる各種の記録媒体は勿論のこと、PVC、ポリエステルなどの樹脂材料やアルミ、鉄、木材のような材料などの各種の材料が含まれるものとする。
また、本明細書において「インクジェット式」あるいは「インクジェット方式」とは、二値偏向方式あるいは連続偏向方式などの各種の連続方式や、サーマル方式あるいは圧電素子方式などの各種のオンデマンド方式を含む、従来より公知の各種の手法によるインクジェット技術による印刷方式を意味するものとする。
従来より、マイクロコンピューターによって全体の動作を制御され、媒体として給紙装置によって供給された記録紙上に記録紙の幅方向で移動するインクヘッドを用い、インクジェット方式により所定の印刷を行うようにしたインクジェット式記録装置、所謂、インクジェットプリンタが知られている。
こうしたインクジェットプリンタにおいては、特許文献1に記載されたようなインクカートリッジが用いられている。
この特許文献1に記載されたインクカートリッジは、インクパックをインクカートリッジケース内に収納するようにして構成されている。
ここで、インクパックは、インクを貯留するインク容器と、このインク容器に固着されインク流出孔を有する筒状部材と、この筒状部材内に嵌挿されインク容器外部と内部との連通を遮断するシール部材とを備えている。
そして、インクジェットプリンタに設けられたインク供給針が、シール部材を介してインク流出孔に挿通されることで、インク供給針を通じて、インク容器内部のインクが外部に導き出されるように構成されている。
ところで、インクジェットプリンタにおいては、インクカートリッジに収容されたインクの種類によっては、長時間使用しないとインク成分がインクカートリッジ内において沈降したり分離したりして、印刷時に色ムラなどが起きてしまう場合があった。
このため、作業者は、インクジェットプリンタを使用する前に、インクジェットプリンタからインクカートリッジを抜き取り、抜き取ったインクカートリッジを振ることにより当該インクカートリッジ内のインクを撹拌するようにしていた。
作業者は、こうした撹拌を終えた後に、抜き取ったインクカートリッジを再度インクジェットプリンタに差し込んで、インクジェットプリンタによる印刷を開始する。
しかしながら、こうしたインクジェットプリンタの使用前における作業者によるインクカートリッジ内のインクの撹拌作業は、作業者の大きな負担となるものであった。
また、作業者がこの撹拌作業を忘れてしまった場合には、インクカートリッジ内にインク成分が沈降したり分離した状態で印刷を開始する恐れがあった。
インクカートリッジ内にインク成分が沈降したり分離した状態で印刷を開始すると、印刷時に色ムラが生じるなどして、所望の色が得られないことが問題点として指摘されていた。
さらに、インクカートリッジの抜き差しを頻繁に行うと、インクカートリッジ内およびインクカートリッジからインクヘッドにインクを供給するインク供給経路内に気泡が混入してしまうことがあり、印刷結果の品質の低下を生じさせてしまうことが問題点として指摘されていた。
本発明は、上記したような従来の技術の有する種々の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、長時間使用しない場合でも、作業者に大きな負担をかけることなく、収容されたインクのインク成分の沈降や分離などが生じることを防止して、印刷時に常に所望の色を得ることができるインクジェット式記録装置用インクカートリッジおよびインクジェット式記録装置を提供しようとするものである。
上記目的を達成するために、本発明によるインクジェット式記録装置用インクカートリッジは、インクを貯留するインクジェット式記録装置用インクカートリッジにおいて、上記インクカートリッジは、上記インクカートリッジ内部に連通した第1の通路を有する第1の筒状部材と、上記インクカートリッジ内部に連通した第2の通路を有する第2の筒状部材とを有するようにしたものである。
また、本発明によるインクジェット式記録装置用インクカートリッジは、上記インクカートリッジは、その内部に、インクを貯留するインクパックを収納し、上記インクパックは、インクを貯留するインク容器と、上記インク容器に固着され、上記インク容器内部に連通した上記第1の通路を有する上記第1の筒状部材と、上記インク容器に固着され、上記インク容器内部に連通した上記第2の通路を有する上記第2の筒状部材とを有するようにしたものである。
また、本発明によるインクジェット式記録装置用インクカートリッジは、上記インクパックは、上記第1の筒状部材と上記第2の筒状部材との間に位置し、上記インク容器内を部分的に上記第1の筒状部材側の領域と上記第2の筒状部材側の領域とに分離する分離壁を有するようにしたものである。
また、本発明によるインクジェット式記録装置用インクカートリッジは、上記インク容器は、略矩形形状の可撓性を有する2枚のシート状の材料を重ね合わせての各辺を溶着して袋状に形成されてなり、上記第1の筒状部材と上記第2の筒状部材とは、上記略矩形形状の一方の短辺側の側面に並んで配設されてなり、上記分離壁は、上記側面における上記第1の筒状部材と上記第2の筒状部材との間の位置から長手方向に沿って延設されてなるようにしたものである。
また、本発明によるインクジェット式記録装置は、本発明によるインクジェット式記録装置用インクカートリッジと、上記インクカートリッジに貯留されたインクを吐出するインクヘッドと、上記インクカートリッジの上記第1の筒状部材と上記インクヘッドとの間に形成され、上記インクカートリッジに貯留されたインクを上記インクヘッドへ導くためのインク供給経路と、上記インク供給経路上の途中位置と上記インクカートリッジの上記第2の筒状部材との間に形成されたインク環流経路と、上記インク供給経路と上記インク環流経路との間でインクを循環させるためのポンプと、上記インクヘッドおよび上記ポンプの各動作をそれぞれ制御する制御部とを有するようにしたものである。
また、本発明によるインクジェット式記録装置は、上記制御部は、上記インクヘッドからインクを吐出する以前に前記ポンプを駆動するようにしたものである。
また、本発明によるインクジェット式記録装置は、上記インク供給経路上の上記途中位置に、インクを一時的に貯留するダンパーが設けられ、上記ダンパーを含んで上記インク供給経路と上記インク環流経路とが形成されるようにしたものである。
本発明は、以上説明したように構成されているので、長時間使用しない場合でも、作業者に大きな負担をかけることなく、収容されたインクのインク成分の沈降や分離などが生じることを防止して、印刷時に常に所望の色を得ることができるという優れた作用効果を奏する。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明によるインクジェット式記録装置用インクカートリッジおよびインクジェット式記録装置の実施の形態の一例を詳細に説明するものとする。
まず、図1には、本発明の実施の形態の一例によるインクジェット式記録装置用インクカートリッジを用いたインクジェット式記録装置の概略構成斜視説明図が示されている。
なお、図1に示すインクジェット式記録装置100は、所謂、インクジェットプリンタであって、媒体として記録紙を用いるものとする。
この記録紙は、幅方向(以下、記録紙の幅方向を「主走査方向」と適宜に称する。)において所定の長さを有するとともに、主走査方向と直交する方向、即ち、記録紙の長手方向(以下、記録紙の長手方向を「副走査方向」と適宜に称する。)に搬送されるようになされている。
この図1に示すインクジェット式記録装置100は、基台部112に支持され主走査方向に延長して配設された固定系のベース部材114と、ベース部材114の左右両端でベース部材114に直交して配設された側方部材116L、116Rと、左右2つの側方部材116L、116Rを連結する中央壁118と、中央壁118の壁面に主走査方向に延長して配設されたガイドレール119と、中央壁118の壁面に平行して主走査方向に移動自在に配設されたワイヤー120と、ワイヤー120に固定的に配設されるとともにガイドレール119に摺動自在に装着され、ベース部材114上に位置する媒体たる記録紙121と対向するようにして配設されたインクヘッドホルダー122と、側方部材116R内に配設されてそれぞれ異なる色彩の液体状のインクを貯留した6つのインクカートリッジ10と、側方部材116R内に副走査方向に移動自在に配設されたクリーニングユニット124とを有して構成されている。
なお、6つのインクカートリッジ10はそれぞれ液状のインクを収容するものであり、具体的には、それぞれ異なる色彩のインクが後述するインクパック12に充填されてインクカートリッジケース11内に収容されている。
こうしたインクジェット式記録装置100の全体の動作は、後述するように図示しないマイクロコンピューターにより構成される制御部によって制御される。
ここで、インクヘッドホルダー122には、異なる色彩のインクをインクジェット方式によりそれぞれ記録紙121上に吐出する6つのインクヘッド126が搭載されている。
これら6つのインクヘッド126は、それぞれ互いに同様の構成を備えている。
なお、個々のインクヘッド126をそれぞれ特定して示す際には、理解を容易にするために符号としてそれぞれ126a、126b、126c、126d、126e、126fを付して示す。
インクヘッド126a、126b、126c、126d、126e、126fは、主走査方向における左方側から右方側に向かう順で、主走査方向に沿ってインクヘッドホルダー122内に順次配置されている。
詳細な図示は省略するが、6つのインクヘッド126a、126b、126c、126d、126e、126fの下面には、インクを記録紙121に対して吐出する際の吐出口としての複数個のインクジェットノズルが記録紙121に対向するようにして配設されている。
これら複数個のインクジェットノズルは副走査方向に一列に並んで配置され、副走査方向と平行にインクジェットノズル列を形成しており、インクヘッドホルダー122の底面部に穿設された孔からインクヘッドホルダー122の外部に位置するように配設されている。
また、6つのインクカートリッジ10は、それぞれ互いに同様の構成を備えている。
なお、個々のインクカートリッジ10をそれぞれ特定して示す際には、理解を容易にするために符号としてそれぞれ10a、10b、10c、10d、10e、10fを付して示す。
こうしたインクカートリッジ10は、インクカートリッジケース11内にインクパック12を収納した構成となっている。
このインクパック12は、インクを貯留するインク容器12aと、インク容器12aに固着されインク流出孔を有する第1の筒状部材たる筒状部材12bと、インク容器12aに固着されインク流入孔を有する第2の筒状部材たる筒状部材12cとを備えて構成されている。
つまり、筒状部材12bは、インクカートリッジ10内からインクを流出するためのインク流出孔が形成され、筒状部材12cは、インクカートリッジ10内にインクを流入するためのインク流入孔が形成されている。
インク容器12aは、略矩形形状の可撓性を有する2枚のシート状の材料(例えば、アルミシートなどである。)を重ね合わせ、重ね合わせた材料の各辺を溶着して袋状に形成されている。
そして、インク容器12aにおける略矩形形状の一方の短辺側の側面12dに、高さ方向における下方側と上方側とにそれぞれ筒状部材12bと筒状部材12cとが並んで配設されている。
なお、筒状部材12b、12cは、特許文献1に記載された公知のインクカートリッジの筒状部材と同様な構成を備えている。
即ち、筒状部材12b、12c内には、インク容器12aの外部と内部との連通を遮断するシール部材が嵌挿されている。
インクジェット式記録装置100に設けられた針が、シール部材を介して筒状部材12bのインク流出孔に挿通されることで、当該針を通じてインク容器12a内部のインクが外部に導き出される。
また、インクジェット式記録装置100に設けられた針が、シール部材を介して筒状部材12cのインク流入孔に挿通されることで、後述するインクの循環処理の際に、当該針を通じてインク容器12aの外部から内部へインクが流入可能なように構成されている。
さらに、筒状部材12bと筒状部材12cとの間である高さ方向の略中央部には、側面12dから長手方向に沿ってインク容器12a内を部分的に上方側の領域(筒状部材12c側の領域)と下方側の領域(筒状部材12b側の領域)とに分離するように溶着した中央分離壁12eが形成されている(図2(a)を参照する。)。
つまり、この中央分離壁12eは、筒状部材12b、12cが設けられた側面12dから、インク容器12aの長手方向における略中央部まで延設されている。具体的には、中央分離壁12eは、インク容器12aの長手方向における長さの1/2以上の長さを有して延設されている。
中央分離壁12eにより、インク容器12a内の一部の領域が上方空間S1(筒状部材12c側の領域)と下方空間S2(筒状部材12b側の領域)とに分離されており、上方空間S1と下方空間S2とは連通部12fにより連通するようになされている。つまり、筒状部材12cに形成されたインク流入孔は上方空間S1に、筒状部材12bに形成されたインク流出孔は下方空間S2に連通することとなる。
従って、インク容器12aにインクが充填されると、インク容器12aは、連通部12fにおいては、図2(b)に示すような断面形状となる。
一方、中央分離壁12eにより上方空間S1と下方空間S2とが分けられている領域においては、図2(c)に示すような断面形状となる。
なお、インクパック12は、筒状部材12b、12cがインクカートリッジケース11の外部に突出するようにして、インクカートリッジケース11内に収納される(図2(d)を参照する。)。
こうした構成のインクカートリッジ10a、10b、10c、10d、10e、10f内に収容されたインクは、それぞれインクヘッド126a、126b、126c、126d、126e、126fへ供給される。
具体的には、青色(シアン)のインクを収容したインクカートリッジ10aからは、インクヘッド126aへインクが供給される。
赤色(マゼンタ)のインクを収容したインクカートリッジ10bからは、インクヘッド126bへインクが供給される。
黄色(イエロー)のインクを収容したインクカートリッジ10cからは、インクヘッド126cへインクが供給される。
黒色(ブラック)のインクを収容したインクカートリッジ10dからは、インクヘッド126dへインクが供給される。
白色(ホワイト)のインクを収容したインクカートリッジ10eからは、インクヘッド126eへインクが供給される。
透明(クリアー)のインクを収容したインクカートリッジ10fからは、インクヘッド126fへインクが供給される。
ここで、インクカートリッジ10は、チューブ16、22、24、三方弁18およびポンプ22を介して、インクを一時的に貯留するダンパー14と接続されていて、これらによりインク成分沈殿防止システム20が構成されている。
なお、ダンパー14とインクヘッド126とは、導入管26によって接続されている。ダンパー14に貯留されたインクは、導入管26を通ってインクヘッド126へ供給される。
次に、図3を参照しながらインク成分沈殿防止システム20を説明すると、ダンパー14とインクカートリッジ10の筒状部材12bとが、三方弁18およびポンプ24を間に介してチューブ16とチューブ26とにより接続されている。
具体的には、チューブ16の一方の端部16aが筒状部材12bに接続され、チューブ16の他方の端部16bが三方弁18の第1の開口部18aに接続されている。
なお、ポンプ24は、チューブ16の略中間位置に配設されており、チューブ16内のインクを三方弁18側へ送出する。
このポンプ24は、インクカートリッジ10から供給されたインクをインクカートリッジ10内に環流させる際に作動させる(後述する。)。
一方、チューブ26の一方の端部26aが三方弁18の第2の開口部18bに接続され、チューブ26の他方の端部26bがダンパー14に接続されている。
インクカートリッジ10に収容されたインクは、チューブ16、ポンプ24、三方弁18、チューブ26という流路を通ってダンパー14に供給され、これがインク供給経路となる。インクカートリッジ10側がインク供給経路の上流側となり、ダンパー14側がインク供給経路の下流側となる。
また、チューブ22の一方の端部22aが筒状部材12cに接続され、チューブ22の他方の端部22bが三方弁18の第3の開口部18cに接続されている。
なお、後述するように、このチューブ22を通って、三方弁18から筒状部材12cにインクが還流されることになり、これがインク環流経路となる。三方弁18側がインク環流経路の上流となり、インクカートリッジ10側がインク環流経路の下流側となる。
上記した三方弁18は、例えば、三方電磁弁で構成されており、図示しないマイクロコンピューターによる制御により、チューブ16を選択的にチューブ22またはチューブ26と連通させるように機能する。
なお、クリーニングユニット124は、インクヘッド126が待機位置にあるときに、そのインクヘッド126と対向するようにして配設されている。
このクリーニングユニット124は、図示しないマイクロコンピューターの制御により、インクヘッド126のインクジェットノズルが設けられたノズル面にキャップを被せ、付着したインクを吸引して除去するものである。
このクリーニングユニット124のキャップには、ポンプ132が設けられた連結管128を介して廃液タンク130が接続されている。廃液タンク130は、クリーニングユニット124が吸引して回収したインクを貯留する容器である。
なお、インクジェット式記録装置100におけるダンパー14としては、従来より公知のダンパーを用いることができる。
以上の構成において、上記したインクジェット式記録装置100の動作について説明する。
まず、作業者がインクジェット式記録装置100を起動させることにより、図示しないマイクロコンピューターが起動し、図4に示すインク成分沈殿解消プログラムが起動する。このインク成分沈殿解消プログラムは、後述するように、作業者による印刷の前にインクの循環処理を行うものである。
このインク成分沈殿解消プログラムが起動すると、まず、このインク成分沈殿解消プログラムが起動した直後、つまり、インクジェット式記録装置100を起動させた直後から時間の計測を開始する(ステップS402)。
次に、図示しないマイクロコンピューターにより、作業者による印刷指示があったか否かの判断を行う(ステップS404)。
このステップS404の判断処理において、作業者による印刷指示がないと判断された場合には、再びステップS404の判断処理に戻り、作業者による印刷指示があったと判断されるまで、ステップS404の処理を繰り返す。
一方、ステップS404の判断処理において、作業者による印刷指示があったと判断された場合には、ステップS406の処理へ進んで以降の各ステップの処理を行う。
まず、ステップS404における作業者による印刷指示があったとの判断が、インクジェット式記録装置100を起動させてから初めて(1回目)の印刷指示である場合について説明する。
1回目の印刷指示である場合には、インクジェット式記録装置100を起動したときを起点として、インク成分のインクカートリッジ10内での沈殿量が印刷に悪影響を及ぼす程度に達するまでの時間が経過しているか否かの判断を行う(ステップS406)。
なお、こうしたインク成分のインクカートリッジ10内での沈殿量が印刷に悪影響を及ぼす程度に達するまでの時間は、主としてインクの組成によって決定されるものであり、本実施の形態においては8時間とする。
従って、ステップS406の判断処理においては、インクジェット式記録装置100を起動してから8時間が経過しているか否かの判断を行うこととなる。
このステップS406の判断処理において、インクジェット式記録装置100を起動してから8時間が経過していないと判断された場合には、インクカートリッジ10内でのインク成分の沈殿の可能性が低く、このまま印刷しても印刷結果の品質の低下を生じることがないと判断し、作業者の印刷指示に基づいて所定の印刷を開始する(ステップS416)。
このとき、図示しないマイクロコンピューターにより、三方弁18を制御してチューブ16とチューブ22との連通を遮断し、かつ、チューブ16とチューブ26とを連通するとともに、ポンプ24を停止する。これにより、インクカートリッジ10に収容されたインクが、チューブ16、ポンプ24、三方弁18およびチューブ26によるインク供給経路を通ってダンパー14へ供給されることとなる。
一方、ステップS406の判断処理において、インクジェット式記録装置100を起動してから8時間が経過していると判断された場合には、図示しないマイクロコンピューターにより、インクジェット式記録装置100を起動してから経過した所定の時間内におけるインクの吐出量が所定量以下であったか否かの判断を行う(ステップS408)。
なお、インクの吐出量としては、印刷およびインクヘッド126のクリーニングなどによりインクヘッド126からインクが吐出した量のことであり、本実施の形態においては、所定の時間を8時間、所定量を7.5ccとする。
従って、ステップS408の判断処理においては、インクジェット式記録装置100を起動してから最初の印刷指示である場合には、インクジェット式記録装置100を起動してから8時間以内のインクの吐出量が7.5cc以下であるか否かの判断を行うこととなる。
このステップS408の判断処理において、インクジェット式記録装置100を起動してから8時間以内のインクの吐出量が7.5cc以下ではない、つまり、7.5ccを超える量であると判断された場合には、インクカートリッジ10内でのインク成分の沈殿の可能性が低く、このまま印刷しても印刷結果の品質の低下を生じることがないと判断し、ステップS416の処理に進み、作業者の印刷指示に基づいて所定の印刷を開始する。
また、ステップS408の判断処理において、インクジェット式記録装置100を起動してから8時間以内のインクの吐出量が7.5cc以下であると判断された場合には、インクカートリッジ10内で沈殿したインク成分が撹拌され、印刷に悪影響を及ぼさない程度にまで沈殿状態が解消されるような時間だけインクの循環処理を行う(ステップS410)。
このステップS410におけるインクの循環処理は、インクヘッド126を待機位置に移動させ、インクヘッド126にクリーニングユニット124のキャップを被せた状態で行う(図3の一点鎖線で示すクリーニングユニット124は、インクヘッド126にキャップを被せた状態を示している。)。
そして、インクの循環処理においては、図示しないマイクロコンピューターにより、三方弁を制御してチューブ16とチューブ22とを連通させ、かつ、チューブ16とチューブ26との連通を遮断する。この状態において、ポンプ24を駆動させる。
これにより、インクカートリッジ10の筒状部材12bから供給されたインクは、ポンプ24の駆動により、チューブ16、三方弁18、チューブ22、筒状部材12cという流路を通って、インクカートリッジ10内に環流されることになる(図3の破線矢印を参照する。)。
即ち、インクカートリッジ10の筒状部材12bから供給されたインクは、インク供給経路を通って三方弁18に至ると、インク環流経路を通ってインクカートリッジ10内に環流される。
このとき、インクカートリッジ10内においては、筒状部材12cよりインクカートリッジ10内に流入したインクが、上方空間S1から連通部12fを通って下方空間S2へ流れるようになり、下方空間S2に流れたインクは筒状部材12bからチューブ16へ供給されることになる(図2(a)の破線矢印を参照する。)。
つまり、このステップS410のインクの循環処理により、インクカートリッジ10に収容されたインクは、筒状部材12b、チューブ16、三方弁18、チューブ22、筒状部材12c、インクカートリッジ10内における上方空間S1、インクカートリッジ10内における連通部12f、インクカートリッジ10内における下方空間S2、筒状部材12bという流路で循環する。
インクカートリッジ10内で沈殿していたインク成分は、こうしたインクの循環を繰り返すことにより撹拌されて徐々に沈殿が解消されることになる。
ステップS410におけるインクの循環処理は、インクカートリッジ10内で沈殿したインク成分が撹拌されて、印刷に悪影響を及ぼさない程度にまで沈殿状態を解消可能な時間だけ行うことが好ましい。
なお、インクカートリッジ10内で沈殿したインク成分が撹拌されて、印刷に悪影響を及ぼさない程度にまで沈殿状態が解消されるような時間は、インクの組成、インクカートリッジ10の大きさ、インクの循環時の流速などによって適宜に決定されるものである。本実施の形態においては、その時間を40秒とする。
従って、ステップS410のインクの循環処理においては、上記したインク供給経路とインク環流経路とにより構成される流路により、40秒間だけインクを循環させることとなる。
このステップS410のインクの循環処理が終了すると、次に、インクの排出処理を行う(ステップS412)。
即ち、図示しないマイクロコンピューターにより、三方弁18を制御して、チューブ16とチューブ22との連通を遮断するとともにポンプ24を停止させ、インクヘッド126を制御してダンパー14に滞留しているインクをクリーニングユニット124に向けて吐出する。
吐出されたインクは、クリーニングユニット124によって吸引されて廃液タンク130に回収される。
ステップS412のインクの排出処理が終了すると、図示しないマイクロコンピューターにより、時間の計測をリセットし、新たな時間の計測を開始する(ステップS414)。
そして、ステップS414の処理が終了すると、ステップS416の処理に進み、作業者による印刷指示に基づいて所定の印刷を行う。
ステップS416の処理が終了すると、再度、ステップS404の判断処理に戻り、作業者による印刷指示があるか否かの判断を行う。
次に、ステップS404の判断処理において、インクジェット式記録装置100を起動してから2回目以降の印刷指示がなされたと判断された場合について説明する。
この場合にもステップS406の判断処理へ進み、ステップS414の処理において開始した時間の計測に基づいて、インク成分のインクカートリッジ10内での沈殿量が印刷に悪影響を及ぼす程度に達するまでの時間が経過しているか否かの判断を行う。
つまり、ステップS406の判断処理においては、前回のインクの循環処理(ステップS410の処理のことである。)およびインクの排出処理(ステップS412の処理のことである。)が終了したときを起点として、インク成分のインクカートリッジ10内での沈殿量が印刷に悪影響を及ぼす程度に達するまでの時間が経過しているか否かの判断を行う。
また、上記において説明したが、本実施の形態においては、インク成分のインクカートリッジ10内での沈殿量が印刷に悪影響を及ぼす程度に達するまでの時間を8時間とする。
従って、このステップS406の判断処理においては、前回のインクの循環処理(ステップS410の処理のことである。)およびインクの排出処理(ステップS412の処理のことである。)が終了した時点から8時間が経過したか否かの判断がなされる。
ステップ406の判断処理において、前回のインクの循環処理(ステップS410の処理のことである。)およびインクの排出処理(ステップS412の処理のことである。)が終了した時点から8時間が経過していないと判断された場合には、ステップS416の処理に進み、作業者による印刷指示に基づいて所定の印刷を行う。
一方、ステップS406の判断処理において、前回のインクの循環処理(ステップS410の処理のことである。)およびインクの排出処理(ステップS412の処理のことである。)が終了した時点から8時間が経過していると判断された場合には、ステップS408の判断処理に進む。
このステップS408の判断処理においては、図示しないマイクロコンピューターにより、前回のインク循環処理(ステップS410の処理のことである。)およびインクの排出処理(ステップS412の処理のことである。)が終了してから経過した所定の時間内におけるインクの吐出量が所定量以下であるか否かの否かの判断を行う。
なお、上記においても説明したように、インクの吐出量としては、印刷およびインクヘッド126のクリーニングなどによりインクヘッド126からインクが吐出した量のことであり、本実施の形態においては、所定の時間を8時間、所定量を7.5ccとした。
従って、ステップS408の判断においては、インクジェット式記録装置100を起動してから2回目以降の印刷指示の場合には、前回のインクの循環処理(ステップS410の処理のことである。)およびインクの排出処理(ステップS412の処理のことである。)が終了してから8時間以内のインクの吐出量が7.5cc以下であるか否かの判断を行うこととなる。
このステップS408の判断処理において、前回のインクの循環処理(ステップS410の処理のことである。)およびインクの排出処理(ステップS412の処理のことである。)が終了してから8時間以内のインクの吐出量が7.5cc以下でない、つまり、7.5ccを超える量であると判断された場合には、ステップS416の処理に進み、作業者の印刷指示に基づいて所定の印刷を行う。
また、ステップS408の判断処理において、前回のインクの循環処理(ステップS410の処理のことである。)およびインクの排出処理(ステップS412の処理のことである。)が終了してから8時間以内のインクの吐出量が7.5cc以下であると判断された場合には、ステップS410の処理に進みインクの循環処理を行う。ステップS410以降の処理については、インクジェット式記録装置100を起動してから最初(1回目)の印刷指示がなされた場合と同様のため省略する。
このように、本発明によるインクジェット式記録装置100においては、インク成分沈殿解消プログラムにより、インクカートリッジ10内においてインク成分が沈殿している恐れのあるインクに対して、当該インク成分の沈殿を解消することができるものである。
また、作業者がインクジェット式記録装置100を起動させることにより、図示しないマイクロコンピューターが起動し、上記したインク成分沈殿解消プログラムとともに、図5に示すインク成分沈殿防止プログラムが起動する。このインク成分沈殿防止プログラムは、後述するように、所定の時間間隔で定期的にインクの循環処理を行うものである。
このインク成分沈殿防止プログラムが起動すると、まず、このインク成分沈殿防止プログラムが起動した、つまり、インクジェット式記録装置100を起動させた直後からの時間を計測する(ステップS502)。
次に、インクジェット式記録装置100を起動してから初めてインク成分沈殿防止プログラムが実行される場合には、インクジェット式記録装置100を起動したときを起点として、インク成分のインクカートリッジ10内での沈殿量がその後の印刷に悪影響を及ぼす程度に達するまでの時間が経過しているか否かの判断を行う(ステップS504)。
なお、こうしたインク成分のインクカートリッジ10内での沈殿量がその後の印刷に悪影響を及ぼす程度に達するまでの時間は、主としてインクの組成によって決定されるものであり、本実施の形態においては8時間とする。
従って、ステップS504の判断処理においては、インクジェット式記録装置100を起動してから初めてインク成分沈殿防止プログラムが実行される場合には、図示しないマイクロコンピューターにより、インクジェット式記録装置100を起動してから8時間が経過しているか否かの判断を行うこととなる。
このステップS504の判断処理において、インクジェット式記録装置100を起動してから8時間が経過していないと判断された場合には、再度、ステップS504の判断処理を行う。
また、ステップS504の判断処理において、インクジェット式記録装置100を起動してから8時間が経過したと判断された場合には、図示しないマイクロコンピューターにより、インクカートリッジ10内で沈殿したインク成分を撹拌して、その後の印刷に悪影響を及ぼさない程度にまで沈殿状態が解消されるような時間だけインクの循環処理を行う(ステップS506)。
このステップS506におけるインクの循環処理は、上記したステップS410の処理と同様であるので詳細な説明は省略する。
ステップS506のインクの循環処理においても、40秒間だけインクの循環処理を行うこととなる。
ステップS506のインクの循環処理が終了すると、次に、インクの排出処理を行う(ステップS508)。
このステップS508におけるインクの排出処理は、上記したステップS412の処理と同様であるので詳細な説明は省略する。
ステップS508のインクの排出処理が終了すると、図示しないマイクロコンピューターにより、時間の計測をリセットし、新たな時間の計測を開始する(ステップS510)。
そして、ステップS510の処理が終了すると、再度、ステップS504の判断処理に進んで、ステップS504乃至ステップS510の処理を繰り返し実行する。
次に、ステップS504の判断処理において、インクジェット式記録装置100を起動してから1回以上ステップS506におけるインクの循環処理を行った場合について説明する。
ステップS504の判断処理において、インクジェット式記録装置100を起動してから1回以上ステップS506におけるインクの循環処理を行った場合には、前回のインク循環処理(ステップS506の処理のことである。)およびインクの排出処理(ステップS508の処理のことである。)が終了したときを起点として、インク成分のインクカートリッジ10内での沈殿量がその後の印刷に悪影響を及ぼす程度に達するまでの時間が経過しているか否かの判断を行う。
なお、上記においても説明したが、本実施の形態においては、インク成分のインクカートリッジ10内での沈殿量がその後の印刷に悪影響を及ぼす程度に達するまでの時間を8時間とする。
従って、このステップS504の判断処理においては、前回のインクの循環処理(ステップS506の処理のことである。)およびインクの排出処理(ステップS508の処理のことである。)が終了した時点から8時間が経過か否かの判断がなされる。
ステップS504の判断処理において、前回のインクの循環処理(ステップS506の処理のことである。)およびインクの排出処理(ステップS508の処理のことである。)が終了した時点から8時間が経過していないと判断された場合には、再度、ステップS504の判断処理を行う。
一方、ステップS504の判断処理において、前回のインクの循環処理(ステップS506の処理のことである。)およびインクの排出処理(ステップS508の処理のことである。)が終了した時点から8時間が経過していると判断された場合には、ステップS506の処理に進みインクの循環処理を行う。
ステップS506の以降の処理については、インクジェット式記録装置100を起動してから初めてインク成分沈殿防止プログラムが実行される場合と同様のため省略する。
このように、本発明によるインクジェット式記録装置100においては、インク成分沈殿防止プログラムにより定期的にインクカートリッジ10内のインクが循環することとなるので、インクカートリッジ10内において、収容されているインクのインク成分が沈殿するのを防止することができるものである。
以上において説明したように、インクカートリッジ10を、インク容器12a内に、インク容器12aの長手方向の長さの1/2以上の長さを有して中央分離壁12eを設け、インクカートリッジ10内を上方空間S1と下方空間S2とが、筒状部材12bと筒状部材12cとが位置する側面12dと対向する側面12g側で連通部により連通する構成とした。
そして、インクジェット式記録装置100において、上記した構成のインクカートリッジ10を用いて、インクカートリッジ10内(インクパック12内)をインクが上方空間S1、連通部12f、下方空間S2へと流れるインクの循環経路を形成するようにした。
このため、インクカートリッジ10に収容されたインクを印刷開始前あるいは定期的に循環させることによって、インク成分の沈殿を確実に撹拌することができる。
これにより、インクカートリッジ10内におけるインク成分の沈降や分離などが生じることを防止して、印刷時に常に所望の色を得ることができるようになる。
次に、図6を参照しながら、本発明によるインクジェット式記録装置の他の実施の形態について説明する。
このインクジェット式記録装置のインク成分沈殿防止システム200は、三方弁18を用いることなく、チューブ16の端部16bがダンパー14’の一方の側壁面に形成された開口部14’aに接続され、また、チューブ22の端部22bがダンパー14’の他方の側壁面に形成された開口部14’bに接続されている点において、インクジェット式記録装置100のインク成分沈殿防止システム20と異なる。
また、導入管26に、例えば、電磁弁などの弁28が設けられている点においても、インクジェット式記録装置100のインク成分沈殿防止システム20と異なる。この弁28は、導入管26に正圧が加わった際に閉まるように、図示しないマイクロコンピューターにより制御される。
図7には、図6に示すダンパー14’のC−C線による断面図が示されているが、ダンパー14’は、一面が開放された箱状のプラスチック製の枠体14’cと、枠体14’cの開放された一面に配設された可撓性の膜体14’dとを備えて構成されている。
開口部14’aと開口部14’bとは、枠体14’cの対向する側壁面に互いに対向する位置関係で形成されている。
枠体14’cの底壁面には導入管26が接続される開口部が形成されているが、この開口部には金属製のフィルター14’eが嵌め込まれている。
図6に示すインクジェット式記録装置のインク成分沈殿防止システム200により、上記したステップS410ならびにステップS506におけるインクの循環処理を行う際には、インクヘッド126を待機位置に移動させ、インクヘッド126にクリーニングユニット124のキャップを被せた状態で行う(図6の一点鎖線で示すクリーニングユニット124は、インクヘッド126にキャップを被せた状態を示している。)。
そして、図示しないマイクロコンピューターの制御によって、ポンプ24を駆動させると、インクカートリッジ10の筒状部材12bから供給されたインクは、ポンプ24によるインクの送出により、チューブ16、ダンパー14’、チューブ22、筒状部材12cという流路を通って、インクカートリッジ10内に環流されることになる(図6の破線矢印を参照する。)。
即ち、インクカートリッジ10の筒状部材12bから供給されたインクは、インク供給経路を通ってダンパー14’に至ると、インク環流経路を通ってインクカートリッジ10内に環流される。
このとき、インクカートリッジ10内においては、筒状部材12cよりインクカートリッジ10内に流入したインクが、上方空間S1から連通部12fを通って下方空間S2へ流れるようになり、下方空間S2に流れたインクは筒状部材12bからチューブ16へ供給されることになる(図2(a)の破線矢印を参照する。)。
つまり、インクカートリッジ10に収容されたインクは、筒状部材12b、チューブ16、ダンパー14’、チューブ22、筒状部材12c、インクカートリッジ10内における上方空間S1、インクカートリッジ10内における連通部12f、インクカートリッジ10内における下方空間S2、筒状部材12bという流路で循環する。
従って、インクカートリッジ10内やダンパー14’内で沈殿していたインク成分は、こうしたインクの循環を繰り返すことにより撹拌されて徐々に解消されることになる。
なお、上記したインクの循環処理の際に、ポンプ132の構造やインクの循環方向によっては、導入管26における圧力が大きな正圧や大きな負圧になり、インクヘッド126からインクが漏れたり、クリーニングユニット124のキャップ内や連結管128内の廃液が逆流する可能性がある。こうしたことを防ぐため、弁28により連結管128を閉鎖する。
なお、インクヘッド126からインクが漏れたり、クリーニングユニット124のキャップ内や連結管128内の廃液が逆流する可能性がない場合には、弁28を設けなくともよいことは勿論である。
図6に示すインクジェット式記録装置のインク成分沈殿防止システム200により、上記したステップS412ならびにステップS508におけるインクの排出処理を行う際には、図示しないマイクロコンピューターの制御によって、ポンプ24を停止させ、インクヘッド126を制御してインクヘッド126内に滞留しているインクをクリーニングユニット124に向けて吐出する。
吐出されたインクは、クリーニングユニット124によって吸引されて廃液タンク130に回収される。
図6に示すインクジェット式記録装置のインク成分沈殿防止システム200により、上記したステップS416における印刷処理を行う際には、図示しないマイクロコンピューターの制御によって、ポンプ24を停止させ、インクヘッド126を制御して記録紙に対してインクを吐出させる。
なお、上記したように、インクジェット式記録装置100におけるダンパー14としては、例えば、従来より公知のダンパーを用いることができるものであるが、ダンパー14’とはチューブが接続される開口部の位置のみ異なり、他の構成はダンパー14’と同様な構成のものを用いてもよい。
以上において説明したように、インクジェット式記録装置のインク成分沈殿防止システム200によれば、インクカートリッジ10内だけでなく、ダンパー14’内のインクもインクの循環処理により撹拌されることとなり、インクカートリッジ10内およびバンパー14’内におけるインク成分の沈降や分離などが生じることを防止して、印刷時に常に所望の色を得ることができるようになる。
また、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(14)に示すように変形して他の実施の形態を構成してもよい。
(1)上記した実施の形態においては、インク容器12aに固着されインク流入孔を有する筒状部材12cを上方に位置するとともにインク容器12aに固着されインク流出孔を有する筒状部材12bが下方に位置するようにして、インクカートリッジ10をインクジェット式記録装置100に装着したが、これに限られるものではないことは勿論である。筒状部材12cを下方に位置するとともに筒状部材12bが上方に位置するようにして、インクカートリッジ10をインクジェット式記録装置100に装着してもよい。
(2)上記した実施の形態においては、インクカートリッジ10内を上方空間S1から下方空間S2へとインクが移動するようにインクを循環したが、これに限られるものではないことは勿論である。例えば、ポンプ24によるインクの送出方向を逆向きにして、インクカートリッジ10内を下方空間S2から上方空間S1へとインクが移動するようにインクを循環するようにしてもよい。
(3)上記した実施の形態においては、ポンプ24は、インク供給経路のチューブ16側に設けるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論である。ポンプ24は、インク循環経路のチューブ22側に設けるようにしてもよい。
(4)上記した実施の形態においては、全てのインクカートリッジ10a、10b、10c、10d、10e、10fを、本発明によるインクパック12を備えた同一の構成とした場合について説明したが、これに限られるものではない。インクカートリッジ10a、10b、10c、10d、10e、10fの一部のみを、本発明によるインクパック12を備えるように構成してもよい。
(5)上記した実施の形態においては、ポンプ24は各インクカートリッジ10a、10b、10c、10d、10e、10fに対してそれぞれ設ける場合について説明したが、これに限られるものではない。同色のインクを収容したインクカートリッジ10が複数ある場合には、1つのポンプ24で複数の同色のインクを収容したインクカートリッジ10内のインクを撹拌するようにインクを循環させてもよい。
(6)上記した実施の形態においては、筒状部材12bと筒状部材12cとが位置する側面12dから長手方向に沿って中央分離壁12eを形成したが、これに限られるものではない。
例えば、筒状部材12bと筒状部材12cとが位置する側面12dと対向する側面12gから長手方向に沿って中央分離壁12eを形成し、側面12d側に連通部12fが配置されるようにしてもよい。
また、インクパック12の長手方向中央部位にのみ中央分離壁12eを形成し、側面12d側と側面12g側との双方に連通部12fがそれぞれ配置されるようにしてもよい。
さらに、インクパック12の側面12dと側面12gとから長手方向に沿って中央分離壁12eを形成し、インクパック12の長手方向中央部位に連通部12fが配置されるようにしてもよい。
つまり、中央分離壁12eは、側面12dから長手方向に沿って、上方空間S1と下方空間S2とを連通する連通部12fを設けるようにして形成すればよく、連通部12fについては、中央分離壁12eの長手方向においてどの位置に設けられるようにしてもよく、複数設けられるようにしてもよい。
(7)上記した実施の形態においては、中央分離壁12eをインク容器12aの高さ方向の略中央部に形成するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、中央分離壁12eを高さ方向の略中央部から、上方あるいは下方のどちらか一方に偏位した位置に設けるようにしてもよい。
(8)上記した実施の形態においては、インクジェット式記録装置100にインクカートリッジ10を、インクカートリッジ10の長さ方向が水平方向と一致するように搭載するようにしたが、インクカートリッジ10の長さ方向が鉛直方向と一致するように搭載してもよい。
(9)上記した実施の形態は、中央分離壁12eを設けてインク容器12a内の一部を上方空間S1と下方空間S2との2つの領域に区分するようにしていたが、中央分離壁12eと同様の構成の分離壁を異なる位置に複数設けるようにして、インク容器12a内の一部を3つ以上の領域に区分するようにしてもよい。この場合、筒状部材12bと筒状部材12cとは、3つ以上の領域のいずれかに連通するように設ければよい。
(10)上記した実施の形態においては、筒状部材12bと筒状部材12cとをインク容器12aの側面12dに設けるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、筒状部材12bを側面12dに設けるとともに筒状部材12cを側面12gに設けるようにしてもよい。逆に、筒状部材12bを側面12gに設けるとともに筒状部材12cを側面12dに設けるようにしてもよい。
(11)上記した実施の形態においては、筒状部材12b、12cが設けられたインクパック12をインクカートリッジケース11に収納するようにしてインクカートリッジ10を形成するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、インクパック12を設けることなく、インクカートリッジケース11自体に、筒状部材12b、12cを設けるようにしてインクカートリッジケース内に直接インクを収容するようにしてもよい。
(12)上記した実施の形態においては、インク容器12aに中央分離壁12eを設けるようにしたが、中央分離壁12eを設けなくともよい。
(13)上記した実施の形態においては、インクジェット式記録装置を起動すると、インク成分沈殿解消プログラムおよびインク成分沈殿防止プログラムが起動し、それぞれのプログラムにおいてインクの循環処理およびインクの排出処理を実行するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論である。
つまり、インクジェット式記録装置の起動により、インク成分沈殿解消プログラムまたはインク成分沈殿防止プログラムのどちらか一方を起動するようにして、起動した一方のプログラムによりインクの循環処理およびインクの排出処理を実行するようにしてもよい。
(14)上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(13)に示す実施の形態は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
本発明は、UVインクなどの記録紙上に照射される光によって固化あるいは増粘する性質を有する光硬化型インク、水性インク、溶剤インクなど、あらゆるタイプのインクを用いたインクジェット式記録装置に利用することができる。
10…インクカートリッジ、11…インクカートリッジケース、12…インクパック、12b,12c…筒状部材、12d…側面、12e…中央分離壁、12…連通部、12g…側面、20、200…インク成分沈殿防止システム、100…インクジェット式記録装置
Claims (7)
- インクを貯留するインクジェット式記録装置用インクカートリッジにおいて、
前記インクカートリッジは、
前記インクカートリッジ内部に連通した第1の通路を有する第1の筒状部材と、
前記インクカートリッジ内部に連通した第2の通路を有する第2の筒状部材と
を有することを特徴とするインクジェット式記録装置用インクカートリッジ。 - 請求項1に記載のインクジェット式記録装置用インクカートリッジにおいて、
前記インクカートリッジは、その内部に、インクを貯留するインクパックを収納し、
前記インクパックは、
インクを貯留するインク容器と、
前記インク容器に固着され、前記インク容器内部に連通した前記第1の通路を有する前記第1の筒状部材と、
前記インク容器に固着され、前記インク容器内部に連通した前記第2の通路を有する前記第2の筒状部材と
を有することを特徴とするインクジェット式記録装置用インクカートリッジ。 - 請求項2に記載のインクジェット式記録装置用インクカートリッジにおいて、
前記インクパックは、前記第1の筒状部材と前記第2の筒状部材との間に位置し、前記インク容器内を部分的に前記第1の筒状部材側の領域と前記第2の筒状部材側の領域とに分離する分離壁を
有することを特徴とするインクジェット式記録装置用インクカートリッジ。 - 請求項2または請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット式記録装置用インクカートリッジにおいて、
前記インク容器は、略矩形形状の可撓性を有する2枚のシート状の材料を重ね合わせての各辺を溶着して袋状に形成されてなり、
前記第1の筒状部材と前記第2の筒状部材とは、前記略矩形形状の一方の短辺側の側面に並んで配設されてなり、
前記分離壁は、前記側面における前記第1の筒状部材と前記第2の筒状部材との間の位置から長手方向に沿って延設されてなる
ことを特徴とするインクジェット式記録装置用インクカートリッジ。 - 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット式記録装置用インクカートリッジと、
前記インクカートリッジに貯留されたインクを吐出するインクヘッドと、
前記インクカートリッジの前記第1の筒状部材と前記インクヘッドとの間に形成され、前記インクカートリッジに貯留されたインクを前記インクヘッドへ導くためのインク供給経路と、
前記インク供給経路上の途中位置と前記インクカートリッジの前記第2の筒状部材との間に形成されたインク環流経路と、
前記インク供給経路と前記インク環流経路との間でインクを循環させるためのポンプと、
前記インクヘッドおよび前記ポンプの各動作をそれぞれ制御する制御部と
を有することを特徴とするインクジェット式記録装置。 - 請求項5に記載のインクジェット式記録装置において、
前記制御部は、前記インクヘッドからインクを吐出する以前に前記ポンプを駆動する
ことを特徴とするインクジェット式記録装置。 - 請求項5または請求項6のいずれか1項に記載のインクジェット式記録装置において、
前記インク供給経路上の前記途中位置に、インクを一時的に貯留するダンパーが設けられ、
前記ダンパーを含んで前記インク供給経路と前記インク環流経路とが形成される
ことを特徴とするインクジェット式記録装置。
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