JP2011230535A - 自動車運搬船における電力マネジメントシステムおよび自動車運搬船 - Google Patents

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Abstract

【課題】蓄電池を有する自動車を積載して運搬する自動車運搬船において、自動車の有する蓄電池を自動車運搬船の蓄電池の一部として利用しつつも、自動車運搬船が入港地に到着した時点で、自動車の蓄電池に蓄えられる充電量を一定以上確保する。
【解決手段】充放電制御装置11によって監視された充電量と、需要電力量監視装置12によって監視された自動車運搬船1における需要電力量と、発電量監視装置13によって監視された自動車運搬船1における発電量と、残余航行距離算出装置14によって算出された入港地までの残余航行距離とに応じて、電力マネジメント装置15は、充放電制御装置11に対して、自動車運搬船1に設置された船舶用蓄電池1Bおよび自動車運搬船1に積載された自動車2の有する自動車用蓄電池2Bの充電または放電を行うように指令を発する。
【選択図】図2

Description

本発明は、主として走行用の電力を蓄える蓄電池を有する自動車を積載して運搬する自動車運搬船における電力マネジメントシステム、および該電力マネジメントシステムを備えた自動車運搬船に関するものである。
近年、環境に与える負荷を軽減する目的で、ハイブリッド自動車や電気自動車等、走行用の電力を蓄える蓄電池を有する自動車が生産されるようになってきている。このため、自動車運搬船が運搬する自動車も、このような比較的大容量の蓄電池を有する自動車になってきている。
また、自動車運搬船自体も、燃料消費量やCO排出量を減少すべく、太陽光発電パネルを搭載したものや、メインエンジンからの排ガスの熱を利用して生成した蒸気によって蒸気タービンを駆動して発電する排熱回収発電システムを備えたもの等が登場してきている(例えば特許文献1参照)。
特開2007−1339号公報(図1参照)
ここで、太陽光発電パネルによる発電量は天候により変化し、排熱回収発電システムによる発電量も、メインエンジンの運転状況に応じて変化する。また、自動車運搬船における需要電力量も、自動車運搬船の巡航時には比較的小さく、入港時、荷役時、出港時には比較的大きくなる等、一定ではない。
船舶には一般的に蓄電池が設けられているので、発電量が需要電力量を上回るときに余剰電力を蓄電池に蓄えておき、その後発電量が需要電力量を下回った時に、蓄電池に蓄えておいた電力を使用することで、電力を効率的に使用することができる。
太陽光発電パネルや排熱回収発電システムの発電量の変化や、自動車運搬船の需要電力量の変化に十分対応するためには、蓄電池の蓄電容量をかなり大きく設定する必要がある。しかし、蓄電池の蓄電容量を大きく設定すると、蓄電池に要するコストが増大するだけでなく、蓄電池の寸法が大きくなるため、蓄電池の設置スペースによって自動車運搬船の荷役スペースが小さくなってしまう弊害がある。
そこで、自動車運搬船に積載された自動車の有する蓄電池を、自動車運搬船の航行中に、自動車運搬船の蓄電池の一部として使用することが考えられる。しかし、走行用の電力を蓄える蓄電池を有する自動車を積載して運搬する自動車運搬船において、自動車の有する蓄電池をそのまま自動車運搬船の蓄電池の一部として使用すると、自動車運搬船が入港地に到着した時点で、自動車運搬船から自動車を積み降ろすために自動車を自走させるのに必要な充電量が、自動車の蓄電池に残されていないという事態が生じる恐れがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、主として走行用の電力を蓄える蓄電池を有する自動車を積載して運搬する自動車運搬船において、自動車の有する蓄電池を自動車運搬船の蓄電池の一部として利用しつつも、自動車運搬船が入港地に到着した時点で、自動車の蓄電池に蓄えられる充電量を一定以上確保することのできる、自動車運搬船における電力マネジメントシステム、およびこれを備えた自動車運搬船を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の自動車運搬船における電力マネジメントシステムおよびこれを備えた自動車運搬船は以下の手段を採用する。
本発明の第1の態様に係る自動車運搬船における電力マネジメントシステムは、自動車用蓄電池を有する自動車を積載して所定の出港地から所定の入港地まで運搬する自動車運搬船における電力マネジメントシステムであって、前記自動車運搬船に設置された船舶用蓄電池の充電量および前記自動車用蓄電池の充電量を監視するとともに、これら船舶用蓄電池および自動車用蓄電池の充電および放電を制御する充放電制御装置と、前記自動車運搬船における需要電力量を監視する需要電力量監視装置と、前記自動車運搬船における発電量を監視する発電量監視装置と、前記自動車運搬船の予定航行経路および現在位置から、該自動車運搬船の前記入港地までの残余航行距離を算出する残余航行距離算出装置と、前記充放電制御装置によって監視された前記船舶用蓄電池および前記自動車用蓄電池の充電量と、前記需要電力量監視装置によって監視された前記自動車運搬船における需要電力量と、前記発電量監視装置によって監視された前記自動車運搬船における発電量と、前記残余航行距離算出装置によって算出された前記残余航行距離とに応じて、前記充放電制御装置に対して前記船舶用蓄電池および前記自動車用蓄電池の充電または放電を行うように指令を発する電力マネジメント装置とを備えている。
この自動車運搬船における電力マネジメントシステムによれば、船舶用蓄電池および自動車用蓄電池の充電量と、自動車運搬船における需要電力量と、自動車運搬船における発電量と、残余航行距離とに応じて、船舶用蓄電池と自動車用蓄電池の充電または放電が行われる。したがって、主として走行用の電力を蓄える蓄電池を有する自動車を積載して運搬する自動車運搬船において、自動車の有する自動車用蓄電池を自動車運搬船の蓄電池の一部として利用しても、自動車運搬船が入港地に到着した時点で、自動車運搬船から自動車を積み降ろすために自動車を自走させる等の目的に必要な充電量が、自動車の有する自動車用蓄電池に確実に残されるようにすることができる。
この結果、自動車運搬船の航行中に、自動車運搬船に積載された自動車の有する自動車用蓄電池を、自動車運搬船の蓄電池の一部として利用することが、支障なく行える。
これにより、自動車運搬船に設置された船舶用蓄電池の蓄電容量が比較的小さくても、自動車運搬船が航行中に使用可能な蓄電容量を十分確保できる。その結果、自動車運搬船における発電量が需要電力量を上回るときに、余剰電力を船舶用蓄電池だけでなく自動車用蓄電池にも蓄えておき、その後自動車運搬船における発電量が需要電力量を下回った時に、船舶用蓄電池とともに自動車用蓄電池にも蓄えておいた電力を使用するようにすることで、電力を非常に効率的に使用することができる。この結果、自動車運搬船に備え付ける発電機の出力や台数も、比較的小さくて済むようになる。
また、自動車運搬船によって運搬される自動車が新品の自動車である場合には、自動車運搬船によって自動車を運搬する間に、自動車の有する自動車用蓄電池の慣らし運転を済ませることができる。
上記自動車運搬船における電力マネジメントシステムにおいては、前記自動車運搬船は、例えば、該自動車運搬船のメインエンジンの排熱を回収して発電する排熱回収発電機を有しており、前記発電量監視装置によって監視される前記自動車運搬船における発電量には、前記排熱回収発電機によって発電された発電量が含まれる。
また、上記自動車運搬船における電力マネジメントシステムにおいては、前記自動車運搬船は、例えば、前記メインエンジンとは独立して構成された内燃機関発電機を有しており、前記発電量監視装置によって監視される前記自動車運搬船における発電量には、前記内燃機関発電機によって発電された発電量が含まれる。
この自動車運搬船における電力マネジメントシステムにおいては、前記内燃機関発電機の発電量を制御する発電量制御装置をさらに備え、前記電力マネジメント装置は、前記充放電制御装置によって監視された前記船舶用蓄電池および前記自動車用蓄電池の充電量と、前記需要電力量監視装置によって監視された前記自動車運搬船における需要電力量と、前記発電量監視装置によって監視された前記自動車運搬船における発電量と、前記残余航行距離算出装置によって算出された前記残余航行距離とに応じて、前記発電量制御装置に対して前記内燃機関発電機の発電量を調整するように指令を発することが好ましい。
この自動車運搬船における電力マネジメントシステムによれば、船舶用蓄電池および自動車用蓄電池の充電量と、自動車運搬船における需要電力量と、自動車運搬船における発電量と、残余航行距離とに応じて、内燃機関発電機の発電量が調整される。したがって、自動車運搬船における需要電力量があまり大きくないときや、船舶用蓄電池および自動車用蓄電池に蓄えられた充電量が十分あるときに、内燃機関発電機による発電量を小さくして、内燃機関発電機による燃料消費量を抑えることができる。
また、上記自動車運搬船における電力マネジメントシステムにおいては、前記自動車運搬船は、例えば、自然エネルギーを利用して発電する自然エネルギー発電機を有しており、前記発電量監視装置によって監視される前記自動車運搬船における発電量には、前記自然エネルギー発電機によって発電された発電量が含まれる。
上記自動車運搬船における電力マネジメントシステムにおいては、前記残余航行距離算出装置によって算出された前記残余航行距離が所定距離よりも大きく、かつ、前記需要電力量監視装置によって監視された前記自動車運搬船における前記需用電力量が所定値を上回っているとき、前記電力マネジメント装置は、前記充放電制御装置に対して、前記船舶用蓄電池および前記自動車用蓄電池の放電を無制限に許可する指令を発することが好ましい。
この構成によれば、自動車運搬船における需要電力量が一時的に大きくなったときに、自動車運搬船に設置された内燃機関発電機等を運転させなくても、船舶用蓄電池および自動車用蓄電池からの放電により需要電力量を賄うことができる。
例えば、自動車運搬船の出港時に、離岸のためスラスターを動作させるような場合に、需要電力量が一時的に非常に大きくなる。このような場合に、船舶用蓄電池および自動車用蓄電池に蓄えられた電力が無制限に放電されるので、内燃機関発電機等を運転させなくても、需要電力量を賄うことができる。
船舶用蓄電池および自動車用蓄電池の放電を無制限に行って、船舶用蓄電池および自動車用蓄電池の充電量がたとえ0に近くなっても、自動車運搬船の残余航行距離が所定距離よりも大きいので、その後の自動車運搬船の航行中に、メインエンジンの排熱を回収して発電する排熱回収発電機等によって得られる電力により、船舶用蓄電池および自動車用蓄電池の充電量を回復することが十分可能である。
上記自動車運搬船における電力マネジメントシステムにおいては、前記残余航行距離算出装置によって算出された前記残余航行距離が所定距離よりも大きく、かつ、前記需要電力量監視装置によって監視された前記自動車運搬船における前記需用電力量が所定値を上回っているとき、前記電力マネジメント装置は、前記充放電制御装置に対して、前記船舶用蓄電池および前記自動車用蓄電池の放電を、前記船舶用蓄電池の放電を前記自動車用蓄電池の放電よりも優先しつつ、無制限に許可する指令を発することが、特に好ましい。
また、上記自動車運搬船における電力マネジメントシステムにおいては、前記残余航行距離算出装置によって算出された前記残余航行距離が前記所定距離よりも大きく、かつ、前記電力マネジメント装置が、前記充放電制御装置に対して、前記船舶用蓄電池および前記自動車用蓄電池を充電する指令を発するときは、前記船舶用蓄電池の充電を前記自動車用蓄電池の充電よりも優先して行うようにすることが好ましい。
自動車運搬船の運航者は、一般的には、自動車メーカー、自動車販売会社や、フェリー船客から自動車の輸送委託を受けて、自動車を運搬すると考えられる。この場合、自動車運搬船の運航者が、自動車運搬船に積載される自動車の有する自動車用蓄電池を使用するにあたっては、自動車の所有者・管理者の承諾を受ける必要がある。
上記構成によれば、船舶用蓄電池の放電・充電が、自動車用蓄電池の放電・充電よりも優先して行われる。このように、自動車用蓄電池の放電・充電を、船舶用蓄電池の放電・充電に比べて抑えることにより、自動車用蓄電池が放電・充電によって受ける影響を小さく抑えることができる。したがって、自動車運搬船の運航者が、自動車運搬船に積載される自動車の有する自動車用蓄電池を使用するにあたり、自動車の所有者・管理者の承諾を受けやすくなる。
上記自動車運搬船における電力マネジメントシステムにおいては、前記自動車運搬船は、電力により駆動されて前記メインエンジンを加勢する軸発電機モータを有しており、前記残余航行距離算出装置によって算出された前記残余航行距離が0よりは十分大きく、前記発電量監視装置によって監視された前記自動車運搬船における発電量が、前記需要電力量監視装置によって監視された前記自動車運搬船における前記需用電力量を上回り、かつ、前記船舶用蓄電池および前記自動車用蓄電池の充電量が上限に達しているとき、前記電力マネジメント装置は、前記軸発電機モータを作動させることによって前記需要電力量を増加させ、該需要電力量を前記自動車運搬船における発電量と釣り合わせることが好ましい。
この構成によれば、残余航行距離算出装置によって算出された残余航行距離が0よりは十分大きいので、自動車運搬船は巡航中でありまだ入港地における接岸作業を開始していないと判断される。また、発電量監視装置によって監視された自動車運搬船における発電量が、需要電力量監視装置によって監視された自動車運搬船における需用電力量を上回っており、余剰電力が発生している。しかし、船舶用蓄電池および自動車用蓄電池の充電量が上限に達しているので、余剰電力を船舶用蓄電池および自動車用蓄電池の充電に充当することができない。そこで、この余剰電力を、軸発電機モータの運転に充当することで、自動車運搬船をより高速に航行させ、あるいはメインエンジンの必要出力の一部を負担することによってメインエンジンの出力を相対的に低下させて、自動車運搬船における発電量を効率的に使用することができる。
上記自動車運搬船における電力マネジメントシステムにおいては、前記残余航行距離算出装置によって算出された前記残余航行距離が前記所定距離以下であるが0よりは十分大きいとき、前記電力マネジメント装置は、前記充放電制御装置に対して、前記船舶用蓄電池および前記自動車用蓄電池の放電を禁止し、前記船舶用蓄電池および前記自動車用蓄電池を専ら充電する指令を発することが好ましい。
入港地において、自動車運搬船からの自動車の積み降ろしを実施する際には、自動車の有する自動車用蓄電池には、所定の下限充電量を上回る充電量を残しておく必要がある。特に、自動車が電気自動車である場合には、自動車の有する自動車用蓄電池に残された電力を利用して自動車を自走させることで、自動車運搬船からの積み降ろしを実施する。
また、上記のように、自動車運搬船の運航者は、一般的には、自動車メーカー、自動車販売会社や、フェリー船客から自動車の輸送委託を受けて、自動車を運搬すると考えられる。したがって、自動車運搬船が入港地に到着した時点で、自動車の有する自動車用蓄電池には、自動車を出港地において積み込んだ時点での充電量と同等以上の充電量を残しておくことが望まれる。
本構成によれば、残余航行距離算出装置によって算出された残余航行距離が所定距離以下であるが0よりは十分大きく、自動車運搬船が入港地に接近しつつあるがまだ入港地における接岸作業を開始していないと判断される場合に、船舶用蓄電池および自動車用蓄電池の放電を禁止し、船舶用蓄電池および自動車用蓄電池を専ら充電する。したがって、自動車運搬船が入港地に到着した時点で、自動車用蓄電池に残された充電量が所定の下限充電量を確実に上回るようにすることができる。
また、自動車運搬船の入港時に、接岸のためスラスターを動作させるような場合に、需要電力量が一時的に大きくなる。本構成によれば、このスラスターの動作に必要な電力が、自動車運搬船が入港地に到着する前に、船舶用蓄電池と自動車用蓄電池とに予め蓄えられる。したがって、自動車運搬船の接岸作業におけるスラスターの動作時に、内燃機関発電機等による発電量を比較的小さく抑えることができる。この結果、内燃機関発電機等による燃料消費量を抑えることができ、電力の使用効率が高められる。
上記自動車運搬船における電力マネジメントシステムにおいては、前記残余航行距離算出装置によって算出された前記残余航行距離が前記所定距離以下であるが0よりは十分大きいとき、前記電力マネジメント装置は、前記充放電制御装置に対して、前記船舶用蓄電池および前記自動車用蓄電池の放電を禁止し、前記船舶用蓄電池および前記自動車用蓄電池の充電を、前記自動車用蓄電池の充電を前記船舶用蓄電池の充電よりも優先しつつ行うように指令を発することが好ましい。
この構成によれば、残余航行距離算出装置によって算出された残余航行距離が所定距離以下であるが0よりは十分大きく、自動車運搬船が入港地に接近しつつあるがまだ入港地における接岸作業を開始していないと判断される場合に、船舶用蓄電池および自動車用蓄電池の放電が禁止され、船舶用蓄電池および自動車用蓄電池の充電が、自動車用蓄電池の充電を船舶用蓄電池の充電よりも優先しつつ行われる。したがって、自動車運搬船が入港地に到着した時点で、自動車用蓄電池に残された充電量が所定の下限充電量を確実に上回るようにすることができる。
上記自動車運搬船における電力マネジメントシステムにおいては、前記残余航行距離算出装置によって算出された前記残余航行距離がほぼ0であり、かつ、前記需要電力量監視装置によって監視された前記自動車運搬船における前記需用電力量が所定値を上回っているとき、前記電力マネジメント装置は、前記充放電制御装置に対して、前記船舶用蓄電池の無制限の放電および前記自動車用蓄電池の充電量が所定の下限充電量に至るまでの放電を許可する指令を発することが好ましい。
この構成によれば、残余航行距離算出装置によって算出された残余航行距離がほぼ0であるので、自動車運搬船が入港地において接岸作業を開始しているか接岸作業を完了して停泊中であると判断される。上記のとおり、自動車運搬船の入港時に、接岸のためスラスターを動作させるような場合には、需要電力量が一時的に大きくなる。本構成によれば、このスラスターの動作に必要な電力を、船舶用蓄電池からの無制限の放電および自動車用蓄電池の充電量を所定の下限充電量に至るまでの放電によって賄うことができ、内燃機関発電機等による発電量を比較的小さく抑えることができる。この結果、内燃機関発電機等による燃料消費量を抑えることができ、電力の使用効率が高められる。
また、自動車用蓄電池からの放電は、自動車用蓄電池の充電量が所定の下限充電量に至るまでの放電に抑えられているので、自動車運搬船が入港地に到着した時点で、自動車の有する自動車用蓄電池に残された充電量が所定の下限充電量を確実に上回るようにすることができる。この自動車用蓄電池に残された電力を利用して、自動車運搬船から自動車を積み降ろすために自動車を自走させること等が行える。
本発明の第2の態様に係る自動車運搬船は、上記のいずれかに記載の自動車運搬船における電力マネジメントシステムを備えている。
この自動車運搬船によれば、上記の電力マネジメントシステムを備えているので、自動車の有する蓄電池を自動車運搬船の蓄電池の一部として利用しても、自動車運搬船が入港地に到着した時点で、自動車運搬船から自動車を積み降ろすために自動車を自走させる等の目的に必要な充電量が、自動車の有する自動車用蓄電池に確実に残されるようにすることができる。
したがって、自動車運搬船の航行中に、自動車運搬船に積載された自動車の有する自動車用蓄電池を、自動車運搬船の蓄電池の一部として利用することが、支障なく行える。
これにより、自動車運搬船に設置された船舶用蓄電池の蓄電容量が比較的小さくても、自動車運搬船が航行中に使用可能な蓄電容量を十分確保できる。その結果、自動車運搬船における発電量が需要電力量を上回るときに、余剰電力を船舶用蓄電池だけでなく自動車用蓄電池にも蓄えておき、その後自動車運搬船における発電量が需要電力量を下回った時に、船舶用蓄電池とともに自動車用蓄電池にも蓄えておいた電力を使用するようにすることで、電力を非常に効率的に使用することができる。この結果、自動車運搬船に備え付ける発電機の出力が比較的小さくて済むようになる。
本発明の自動車運搬船における電力マネジメントシステムおよび自動車運搬船によれば、船舶用蓄電池および自動車用蓄電池の充電量と、自動車運搬船における需要電力量と、自動車運搬船における発電量と、残余航行距離とに応じて、船舶用蓄電池と自動車用蓄電池の充電または放電が行われる。したがって、主として走行用の電力を蓄える蓄電池を有する自動車を積載して運搬する自動車運搬船において、自動車の有する自動車用蓄電池を自動車運搬船の蓄電池の一部として利用しても、自動車運搬船が入港地に到着した時点で、自動車運搬船から自動車を積み降ろすために自動車を自走させる等の目的に必要な充電量が、自動車の有する自動車用蓄電池に確実に残されるようにすることができる。
この結果、自動車運搬船の航行中に、自動車運搬船に積載された自動車の有する自動車用蓄電池を、自動車運搬船の蓄電池の一部として利用することが、支障なく行える。
これにより、自動車運搬船に設置された船舶用蓄電池の蓄電容量が比較的小さくても、自動車運搬船が航行中に使用可能な蓄電容量を十分確保できる。その結果、自動車運搬船における発電量が需要電力量を上回るときに、余剰電力を船舶用蓄電池だけでなく自動車用蓄電池にも蓄えておき、その後自動車運搬船における発電量が需要電力量を下回った時に、船舶用蓄電池とともに自動車用蓄電池にも蓄えておいた電力を使用するようにすることで、電力を非常に効率的に使用することができる。この結果、自動車運搬船に備え付ける発電機の出力や台数も、比較的小さくて済むようになる。
本発明の一実施形態に係る自動車運搬船の概略構成図である。 本発明の一実施形態に係る自動車運搬船における電力マネジメントシステム、およびこの電力マネジメントシステムによって制御される各機器の構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係る自動車運搬船における電力マネジメントシステムによって制御された電力の需要と供給との関係を示す図表である。
以下に、本発明に係る自動車運搬船における電力マネジメントシステムおよびこれを備えた自動車運搬船の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1には、自動車運搬船1の概略構成が示されている。本実施形態に係る自動車運搬船(Pure Car Carrier:PCC)1は、走行用の自動車用蓄電池2Bを有する電気自動車(自動車)2を積載して、所定の出港地から所定の入港地まで運搬する船舶である。
図1に示すように、自動車運搬船1は、この自動車運搬船1内の電力の需要と供給とを調整する電力マネジメントシステム10と、船舶用蓄電池1Bと、自動車運搬船1を推進させるメインエンジン20と、メインエンジン20に供給する空気を圧縮する排気タービン過給機21と、パワータービン(ガスタービン)23と、蒸気タービン26と、これらパワータービン23および蒸気タービン26に接続され、メインエンジン20の排熱を回収して発電するタービン発電機(排熱回収発電機)31と、メインエンジン20とは独立して構成された2台のディーゼル発電機(内燃機関発電機)32と、自動車運搬船1の上甲板(暴露甲板)上に設置された太陽光発電パネル(自然エネルギー発電機)33とを備えている。
タービン発電機31と、ディーゼル発電機32と、太陽光発電パネル33とにより発電された電力は、電力線51を通じて、自動車運搬船1内において電気自動車2を格納する船倉内の換気を行う通風器(図示せず)や、自動車運搬船1内に設置された照明灯およびコンセント、自動車運搬船1の機関室(図示せず)内に配置された海水ポンプ等の各機器41、軸発電機モータ42、スラスター43等に送られて消費される。
メインエンジン20は、エンジンコントロールシステム22によって動作が制御される。また、パワータービン23、蒸気タービン26およびタービン発電機28は、タービンコントロールパネル27によって動作が制御される。
メインエンジン20は、例えば低速2サイクルディーゼル機関とされている。
メインエンジン20の各シリンダの排気ポート(図示せず)は、排気マニホールド(図示せず)と接続されており、排気マニホールドは、排気タービン過給機21のタービン部21aの入口側と接続されるとともに、パワータービン23の入口側と接続されている。
一方、各シリンダの給気ポート(図示せず)は、給気マニホールド(図示せず)と接続されており、給気マニホールドは、インタークーラとされた空気冷却器(図示せず)を介して排気タービン過給機21のコンプレッサ部21bと接続されている。
メインエンジン20の出力軸には軸発電機モータ42が接続されており、この軸発電機モータ42にはプロペラ軸を介してスクリュープロペラが取り付けられている。
軸発電機モータ42は、自動車運搬船1内の余剰電力を得てメインエンジン20を加勢するモータ運転を行う。また、軸発電機モータ42は、メインエンジン20によって駆動されて発電することも可能となっている。
排気タービン過給機21のタービン部21aの下流側には、排ガスエコノマイザ30が設けられている。この排ガスエコノマイザ30には、排気タービン過給機21からの排ガスだけでなく、パワータービン23からの排ガスも導入されるようになっている。排ガスエコノマイザ30の熱交換部では、導入された排ガスの熱によって給水管(図示せず)から供給された水が加熱・蒸発されて過熱蒸気が発生する。熱交換部で生成された過熱蒸気は主蒸気として蒸気タービン26に導入され、また、この蒸気タービン26で仕事を終えた蒸気は復水器(図示せず)に導かれて水に戻される。復水器にて復水された水は、空気冷却器(図示せず)やメインエンジン20の壁部を冷却して温められた後、排ガスエコノマイザ30へ再び供給される。
パワータービン23は、メインエンジン20の排気マニホールドから抽気された排ガスによって回転駆動されるようになっている。また、蒸気タービン26は、排ガスエコノマイザ30によって生成された蒸気が供給されて回転駆動されるようになっている。
パワータービン23と蒸気タービン26とは直列に結合されてタービン発電機31を駆動するようになっている。蒸気タービン26の出力軸は、減速機27およびカップリング(図示せず)を介してタービン発電機31に接続されている。また、パワータービン23の出力軸は、減速機24およびクラッチ25を介して蒸気タービン26の入力軸と連結されている。
パワータービン23の排ガス流れ上流側には、パワータービン23に導入するガス量を制御するパワータービン用制御弁(排ガス量調整弁)28が設けられている。また、蒸気タービン26の蒸気流れ上流側には、蒸気タービン26に導入する蒸気量を制御する蒸気タービン用制御弁(蒸気量調整弁)29が設けられている。
パワータービン用制御弁28および蒸気タービン用制御弁29は、それぞれの開度がタービンコントロールパネル27(図2参照)によって制御される。
以上のようにタービン発電機31は、メインエンジン20の排ガス(燃焼ガス)の排気エネルギーを回収して動力として駆動されるようになっている。
上記電力マネジメントシステム10は、自動車運搬船1の機関室内に配置されており、電力線51および電力マネジメント用通信線52を通じて、船舶用蓄電池1B、自動車運搬船1に積載された電気自動車2の自動車用蓄電池2B、タービン発電機31、ディーゼル発電機32、太陽光発電パネル33、自動車運搬船1内の各機器41、軸発電機モータ42、スラスター43と接続されている。
これにより、電力マネジメントシステム10は、自動車運搬船1内の各機器41、軸発電機モータ42、スラスター43等による需要電力と、自動車運搬船1における発電量(タービン発電機31と、ディーゼル発電機32と、太陽光発電パネル33とによって発電された発電量)と、船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bの充電量等とを総合的に判断して、ディーゼル発電機32の発電量や、船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bの充電量および放電量等を制御するようになっている。
図2には、電力マネジメントシステム10、およびこの電力マネジメントシステムによって制御される各機器の構成が示されている。
電力マネジメントシステム10は、充放電制御装置(例えば、電気自動車2が積載される自動車運搬船1の各デッキごとに設置されている)11と、需用電力量監視装置12と、発電制御装置(発電量監視装置、発電量制御装置)13と、残余航行距離算出装置14と、電力マネジメント装置15とを備えている。
充放電制御装置11は、自動車運搬船1に設置された船舶用蓄電池1Bの充電量および自動車用蓄電池2Bの充電量を監視するとともに、これら船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bの充電および放電を制御する。
需要電力量監視装置12は、自動車運搬船1における需用電力量、具体的には、各機器41、軸発電機モータ42、スラスター43等における需要電力量を監視する。需要電力量監視装置12は、各機器41、軸発電機モータ42、スラスター43等に接続された電流計および電圧計から得た電流値および電圧値から、需用電力量を得るようになっている。
発電制御装置(発電量監視装置)13は、自動車運搬船1における発電量、すなわち、タービン発電機31と、ディーゼル発電機32と、太陽光発電パネル33とによって発電された発電量を監視する。
また、発電制御装置(発電量制御装置)13は、ディーゼル発電機32の発電量を制御する機能も備えている。
残余航行距離算出装置14は、自動車運搬船1の予定航行経路および現在位置から、該自動車運搬船1の入港地までの残余航行距離を算出する。
電力マネジメント装置15は、充放電制御装置11によって監視された船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bの充電量と、需要電力量監視装置12によって監視された自動車運搬船1における需要電力量と、発電制御装置13によって監視された自動車運搬船1における発電量と、残余航行距離算出装置14によって算出された残余航行距離とに応じて、充放電制御装置11に対して船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bの充電または放電を行うように指令を発する。
電力マネジメント装置15は、充放電制御装置11によって監視された船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bの充電量と、需要電力量監視装置12によって監視された自動車運搬船1における需要電力量と、発電制御装置13によって監視された自動車運搬船1における発電量と、残余航行距離算出装置14によって算出された残余航行距離とに応じて、発電制御装置13に対してディーゼル発電機32の発電量を調整するように指令を発する。
以下、自動車運搬船1への電気自動車2の積み込みから、自動車運搬船1の出港、巡航、入港を経て、自動車運搬船1からの電気自動車2の積み降ろしまでの一連の過程における、電力マネジメントシステム10による制御の一例を説明する。
自動車運搬船1の出港地においては、各電気自動車2が自動車運搬船1に積み込まれ次第、図1に示すように、電気自動車2の自動車用蓄電池2Bが、自動車運搬船1の電力線51および電力マネジメント用通信線52に、接続ボックス53を介して接続される。自動車用蓄電池2Bの電力線51および電力マネジメント用通信線52への接続は、接続ケーブルを用いて有線方式で行ってもよいし、これに変えて、無線充電・通信システムを利用して無線方式で行ってもよい。
自動車運搬船1の運航者は、一般的には、自動車メーカー・販売会社や、フェリー船客から電気自動車2の輸送委託を受けて、電気自動車2を運搬すると考えられるので、上記接続を無線方式で行うと、電気自動車2に直接手を触れる必要がなく、好ましい。
自動車運搬船1の太陽光発電パネル33は、自動車運搬船1への電気自動車2の積み込みから、自動車運搬船1の出港、巡航、入港を経て、自動車運搬船1からの電気自動車2の積み降ろしに至るまで、天候条件が満たされる限りにおいて、常時発電を行い、自動車運搬船1内に電力を供給する。また、自動車運搬船1の停泊中に陸上の電源が利用可能である場合には、この陸上の電源を自動車運搬船1の電力線51に接続して利用する。
自動車運搬船1の出港時には、離岸のためスラスター43を動作させる必要があり、このスラスター43の動作により、需要電力量が一時的に増大する。しかし、ディーゼル発電機32で発電することのできる電力量には限りがある。また、環境等の観点から、離岸時に自動車運搬船1のディーゼル発電機32を運転しないことが求められる場合もある。そこで、自動車運搬船1の出港前の停泊中に、陸上の電源が利用できる場合には、電力マネジメント装置15は、この陸上の電源から供給される電力および太陽光発電パネル33によって発電された電力により、船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bを、前もってそれぞれ定格充電量まで充電させておくよう、充放電制御装置11に対して指令を発する。
ここで、電力マネジメント装置15が、充放電制御装置11に対して、船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bを充電する指令を発するときは、船舶用蓄電池1Bの充電を自動車用蓄電池2Bの充電よりも優先して行うようにする。
自動車運搬船1の停泊中に陸上の電源が利用できない場合には、自動車運搬船1内の需要電力は、船舶用充電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bから放電された電力および太陽光発電パネル33により発電された電力により賄われる。自動車運搬船1内の需要電力量(需用電力量監視装置12により監視された需用電力量)に対し、船舶用充電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bからの放電量および太陽光発電パネル33により発電された電力量(発電制御装置13により監視された発電量)が不足している場合には、電力マネジメント装置15は、発電制御装置13を通じて、ディーゼル発電機32に対し発電を行うように指令を発し、このディーゼル発電機32によって発電された電力を利用することによって、自動車運搬船1内の所要電力を賄うようにする。
自動車運搬船1への電気自動車2の積み込みが終了すると、メインエンジン20が起動され、自動車運搬船1が出港する。メインエンジン20の運転により、メインエンジン20の排ガスから熱が回収できるようになると、タービン発電機31によって発電が行われる。
自動車運搬船1の出港時には、上記のとおり、離岸のために自動車運搬船1のスラスター43を動作させるので、需要電力量が一時的に増大する。
上記残余航行距離算出装置14によって算出された残余航行距離が所定距離よりも大きく、かつ、需要電力量監視装置12によって監視された自動車運搬船1における需用電力量が所定値を上回っているとき、電力マネジメント装置15は、充放電制御装置11に対して、船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bの放電を、船舶用蓄電池1Bの放電を自動車用蓄電池2Bの放電よりも優先しつつ、無制限に許可する指令を発する。上記所定距離は、自動車運搬船1の出港地から入港地までの航行距離に比べて十分に小さく設定されている。
自動車運搬船1の出港直後の離岸作業中においては、残余航行距離算出装置14によって算出された残余航行距離は上記所定距離よりも大きいので、スラスター43の動作により、需要電力量監視装置12によって監視された自動車運搬船1における需用電力量が所定値を上回ると、電力マネジメント装置15は、充放電制御装置11に対して、船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bの放電を無制限に許可する指令を発する。
船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bからの放電により、船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bに蓄えられた充電量が減少し、船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bから放電された電力とタービン発電機31および太陽電池パネル33により発電された電力とにより需用電力量が賄えなくなった場合のみ、電力マネジメント装置15は、発電制御装置13を通じて、ディーゼル発電機32に対し発電を行うように指令を発し、このディーゼル発電機32によって発電された電力を利用することによって、自動車運搬船1内の所要電力を賄うようにする。
自動車運搬船1の離岸が終了すると、スラスター43が停止され、メインエンジン20の出力が上げられて、自動車運搬船1は巡航状態に移行する。スラスター43の停止により、自動車運搬船1内の需用電力量は減少し、メインエンジン20の出力が上げられることにより、タービン発電機31による発電量は上昇する。
この結果、自動車運搬船1内の需要電力量(需用電力量監視装置12により監視された需用電力量)に対し、タービン発電機31(、ディーゼル発電機32)および太陽光発電パネル33により発電された電力量(発電制御装置13により監視された発電量)が余るようになる。
この場合、電力マネジメント装置15は、充放電制御装置11を通じて、船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bに対し、余剰電力を利用して充電を行うように指令を発する。ここで、自動車運搬船1が巡航状態に移行した直後のように、残余航行距離算出装置14によって算出された残余航行距離が上記所定距離よりも大きい場合に、電力マネジメント装置15が、充放電制御装置11に対して、船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bを充電する指令を発するときは、船舶用蓄電池1Bの充電を自動車用蓄電池2Bの充電よりも優先して行うようにする。
船舶用蓄電池1Bの充電量が定格充電量に達したら、電力マネジメント装置15は、充放電制御装置11を通じて、自動車用蓄電池2Bに対し充電を行うように指令を発する。この際、複数台の電気自動車2がそれぞれ有する自動車用蓄電池2Bのうち、充電量が所定の下限充電量以下である自動車用蓄電池2Bを優先的に充電するようにする。
自動車運搬船1が巡航状態に移行する前には、上記のように、船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bからの放電が無制限に行われて、船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bに蓄えられた充電量が少なくなっている。しかし、自動車運搬船1が巡航状態に移行した後は、このようにメインエンジン20の排ガスの熱を利用してタービン発電機31によって発電された電力を利用することにより、船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bの充電量を回復することができる。
メインエンジン20の出力が小さい場合は、蒸気タービン26やパワータービン23を動作させるのに十分な排気エネルギーが得られないため、タービン発電機31の発電量が小さい。この場合には、電力マネジメント装置15は、必要に応じて、発電制御装置13を通してディーゼル発電機32を運転するように指令を発し、自動車運搬船1内における需用電力量を賄うようにする。2台のディーゼル発電機32は、自動車運搬船1内の需用電力量の増加に伴い、順に立ち上げるようにする。
メインエンジン20の出力が所定値以上になると、蒸気タービン26が起動可能な蒸気量を得ることができる排ガス熱量が得られるので、まず蒸気タービン26を起動し、次いで、パワータービン23を起動する。蒸気タービン26、パワータービン23が順次起動するにしたがい、2台のディーゼル発電機32は、順次停止させる。
残余航行距離算出装置14によって算出された残余航行距離が0よりは十分大きく、発電制御装置13によって監視された自動車運搬船1における発電量が、需要電力量監視装置12によって監視された自動車運搬船1における需用電力量を上回り、かつ、船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bの充電量が上限に達しているとき、電力マネジメント装置15は、蒸気軸発電機モータ35を作動させることによって需要電力量を増加させ、自動車運搬船1における需要電力量を発電量と釣り合わせる。あるいは、電力マネジメント装置15は、発電制御装置13を通じて、パワータービン用制御弁28および蒸気タービン用制御弁29の開度を絞る指令をタービンコントロールパネル27に対して出力することによって発電量を減少させ、自動車運搬船1における需要電力量を発電量と釣り合わせる。
残余航行距離算出装置14によって算出された残余航行距離が所定距離以下であるが0よりは十分大きいとき、自動車運搬船1は巡航中であるが、入港地に近づきつつあると判断される。この場合、電力マネジメント装置15は、充放電制御装置11に対して、船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bの放電を禁止し、船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bの充電を、自動車用蓄電池2Bの充電を船舶用蓄電池1Bの充電よりも優先しつつ行うように指令を発する。
残余航行距離算出装置14によって算出された残余航行距離がほぼ0であり、かつ、需要電力量監視装置12によって監視された自動車運搬船1における需用電力量が所定値を上回っているとき、電力マネジメント装置15は、充放電制御装置11に対して、船舶用蓄電池1Bの無制限の放電および自動車用蓄電池2Bの充電量が所定の下限充電量に至るまでの放電を許可する指令を発する。
自動車運搬船1の入港直前の接岸作業中においては、残余航行距離算出装置14によって算出された残余航行距離がほぼ0であるので、スラスター43の動作により、需要電力量監視装置12によって監視された自動車運搬船1における需用電力量が所定値を上回ると、電力マネジメント装置15は、充放電制御装置11に対して、船舶用蓄電池1Bの無制限の放電および自動車用蓄電池2Bの充電量が所定の下限充電量に至るまでの放電を許可する指令を発する。
船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bからの放電により、船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bに蓄えられた充電量が減少し、船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bから放電された電力とタービン発電機31および太陽電池パネル33により発電された電力とにより需用電力量が賄えなくなった場合のみ、電力マネジメント装置15は、発電制御装置13を通じて、ディーゼル発電機32に対し発電を行うように指令を発し、このディーゼル発電機32によって発電された電力を利用することによって、自動車運搬船1内の所要電力を賄うようにする。
自動車運搬船1の接岸が終了すると、スラスター43が停止され、メインエンジン20も停止される。
そして、電気自動車2の自動車用充電池2Bの、接続ボックス53との接続が、順次解除される。さらに、各電気自動車2の自動車用蓄電池2Bに蓄えられた下限充電量以上の電力を利用して、電気自動車2を自走させ、順次自動車運搬船1から積み降ろされる。
自動車運搬船1の入港後の停泊中に、陸上の電源が利用できる場合には、この陸上の電源を自動車運搬船1の電力線15に接続して利用する。
自動車運搬船1の停泊中に陸上の電源が利用できない場合には、自動車運搬船1内の需要電力は、船舶用充電池1Bから放電された電力および太陽光発電パネル33により発電された電力により賄われる。自動車運搬船1内の需要電力量(需用電力量監視装置12により監視された需用電力量)に対し、船舶用充電池1Bからの放電量および太陽光発電パネル33により発電された電力量(発電制御装置13により監視された発電量)が不足している場合には、電力マネジメント装置15は、発電制御装置13を通じて、ディーゼル発電機32に対し発電を行うように指令を発し、このディーゼル発電機32によって発電された電力を利用することによって、自動車運搬船1内の所要電力を賄うようにする。
以上の通り、本実施形態の自動車運搬船1における電力マネジメントシステム10および自動車運搬船1によれば、船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bの充電量と、自動車運搬船1における需要電力量と、自動車運搬船1における発電量と、残余航行距離とに応じて、船舶用蓄電池1Bと自動車用蓄電池2Bの充電または放電が行われる。したがって、主として走行用の電力を蓄える蓄電池を有する電気自動車2を積載して運搬する自動車運搬船1において、電気自動車2の有する蓄電池を自動車運搬船1の蓄電池の一部として利用しても、自動車運搬船1が入港地に到着した時点で、自動車運搬船1から電気自動車2を積み降ろすために電気自動車2を自走させる等の目的に必要な充電量が、電気自動車2の有する自動車用蓄電池2Bに確実に残されるようにすることができる。
この結果、自動車運搬船1の運航中に、自動車運搬船1に積載された電気自動車2の有する自動車用蓄電池2Bを、自動車運搬船1の蓄電池の一部として利用することが、支障なく行える。
これにより、自動車運搬船1に設置された船舶用蓄電池1Bの蓄電容量が比較的小さくても、自動車運搬船1が航行中に使用可能な蓄電容量を十分確保できる。その結果、自動車運搬船1における発電量が需要電力量を上回るときに、余剰電力を船舶用蓄電池1Bだけでなく自動車用蓄電池2Bにも蓄えておき、その後自動車運搬船1における発電量が需要電力量を下回った時に、船舶用蓄電池1Bとともに自動車用蓄電池2Bにも蓄えておいた電力を使用するようにすることで、電力を非常に効率的に使用することができる。この結果、自動車運搬船1に備え付けるディーゼル発電機32の出力や台数も、比較的小さくて済むようになる。
また、自動車運搬船1によって運搬される電気自動車2が新品の自動車である場合には、自動車運搬船1によって電気自動車2を運搬する間に、電気自動車2の有する自動車用蓄電池2Bの慣らし運転を済ませることができる。
また、本実施形態の自動車運搬船1における電力マネジメントシステム10および自動車運搬船1によれば、船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bの充電量と、自動車運搬船1における需要電力量と、自動車運搬船1における発電量と、残余航行距離とに応じて、ディーゼル発電機32の発電量が調整される。したがって、自動車運搬船1における需要電力量があまり大きくないときや、船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bに蓄えられた充電量が十分あるときに、ディーゼル発電機32による発電量を小さくして、ディーゼル発電機32による燃料消費量を抑えることができる。
また、本実施形態の自動車運搬船1における電力マネジメントシステム10および自動車運搬船1によれば、自動車運搬船1における需要電力量が一時的に大きくなったときに、自動車運搬船1に設置されたディーゼル発電機32等を運転させなくても、船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bからの放電により需要電力量を賄うことができる。
例えば、自動車運搬船1の出港時に、離岸のためスラスター43を動作させるような場合に、需要電力量が一時的に非常に大きくなる。このような場合に、船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bに蓄えられた電力が無制限に放電されるので、ディーゼル発電機32を運転しなくても、需要電力量を賄うことができる。
船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bの放電を無制限に行って、船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bの充電量がたとえ0に近くなっても、自動車運搬船1の残余航行距離が所定距離よりも大きいので、その後の自動車運搬船1の航行中に、メインエンジン20の排熱を回収して発電するタービン発電機31等によって得られる電力により、船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bの充電量を回復することが十分可能である。
また、上記のように、自動車運搬船1の運航者は、一般的には、自動車メーカー・販売会社や、フェリー船客から自動車の輸送委託を受けて、電気自動車2を運搬すると考えられる。この場合、自動車運搬船1の運航者が、自動車運搬船1に積載される電気自動車2の有する自動車用蓄電池2Bを使用するにあたっては、電気自動車2の所有者・管理者の承諾を受ける必要がある。
本実施形態の自動車運搬船1における電力マネジメントシステム10および自動車運搬船1によれば、船舶用蓄電池1Bの放電・充電が、自動車用蓄電池2Bの放電・充電よりも優先して行われる。このように、自動車用蓄電池2Bの放電・充電を、船舶用蓄電池1Bの放電・充電に比べて抑えることにより、自動車用蓄電池2Bが放電・充電によって受ける影響を小さく抑えることができる。したがって、自動車運搬船1の運航者が、自動車運搬船1に積載される電気自動車2の有する自動車用蓄電池2Bを使用するにあたり、電気自動車2の所有者・管理者の承諾を受けやすくなる。
また、本実施形態の自動車運搬船1における電力マネジメントシステム10および自動車運搬船1によれば、残余航行距離算出装置14によって算出された残余航行距離が0よりは十分大きく、自動車運搬船1は巡航中でありまだ入港地における接岸作業を開始していないと判断され、また、発電制御装置13によって監視された自動車運搬船1における発電量が、需要電力量監視装置12によって監視された自動車運搬船1における需用電力量を上回っていて、余剰電力が発生しており、さらに、船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bの充電量が上限に達していて、余剰電力を船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bの充電に充当することができない場合に、この余剰電力を、軸発電機モータの運転に充当することで、自動車運搬船1をより高速に航行させ、あるいはメインエンジン20の必要出力の一部を負担することによってメインエンジン20の出力を相対的に低下させて、自動車運搬船1における発電量を効率的に使用することができる。
入港地においては、自動車運搬船1からの自動車の積み降ろしを実施するために、自動車の有する蓄電池には、下限充電量を上回る電力を蓄電しておく必要がある。特に、電気自動車2は、自動車用蓄電池2Bに充電された電力を利用して自走させることで、自動車運搬船1からの積み降ろしを実施する。
また、上記のように、自動車運搬船1の運航者は、一般的には、自動車メーカー、自動車販売会社や、フェリー船客から輸送委託を受けて、電気自動車2を運搬すると考えられる。したがって、自動車運搬船1が入港地に到着した時点で、電気自動車2の有する自動車用蓄電池2Bには、電気自動車2を出港地において積み込んだ時点での充電量と同等以上の充電量を充電しておくことが望まれる。
本実施形態の自動車運搬船1における電力マネジメントシステム10および自動車運搬船1によれば、残余航行距離算出装置14によって算出された残余航行距離が所定距離以下であるが0よりは十分大きく、自動車運搬船1が入港地に接近しつつあるがまだ入港地における接岸作業を開始していないと判断される場合に、船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bの放電を禁止し、船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bを専ら充電する。したがって、自動車運搬船1が入港地に到着した時点で、自動車用蓄電池2Bに残された充電量が所定の下限充電量を確実に上回るようにすることができる。
また、自動車運搬船1の入港時に、接岸のためスラスター43を動作させるような場合に、需要電力量が一時的に大きくなる。本実施形態の自動車運搬船1における電力マネジメントシステム10および自動車運搬船1によれば、スラスター43の動作に必要な電力が、自動車運搬船1が入港地に到着する前に、船舶用蓄電池1Bと自動車用蓄電池2Bとに予め蓄えられる。したがって、自動車運搬船1の接岸作業におけるスラスター43の動作時に、ディーゼル発電機32による燃料消費量を抑えることができ、電力の使用効率が高められる。
また、本実施形態の自動車運搬船1における電力マネジメントシステム10および自動車運搬船1によれば、残余航行距離算出装置14によって算出された残余航行距離が所定距離以下であるが0よりは十分大きく、自動車運搬船1が入港地に接近しつつあるがまだ入港地における接岸作業を開始していないと判断される場合に、船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bの放電が禁止され、船舶用蓄電池1Bおよび自動車用蓄電池2Bの充電が、自動車用蓄電池2Bの充電を船舶用蓄電池1Bの充電よりも優先しつつ行われる。したがって、自動車運搬船1が入港地に到着した時点で、自動車用蓄電池2Bに残された充電量が所定の下限充電量を確実に上回るようにすることができる。
また、本実施形態の自動車運搬船1における電力マネジメントシステム10および自動車運搬船1によれば、残余航行距離算出装置14によって算出された残余航行距離がほぼ0であって、自動車運搬船1が前記入港地において接岸作業を開始していると判断され、かつ、接岸のためスラスター43を動作させて、需要電力量が一時的に大きくなった場合に、この需要電力量を、船舶用蓄電池1Bからの無制限の放電および自動車用蓄電池2Bの充電量が所定の下限充電量に至るまでの放電によって賄うことができる。この結果、ディーゼル発電機32による燃料消費量を抑えることができ、電力の使用効率が高められる。
また、自動車用蓄電池2Bからの放電は、自動車用蓄電池2Bの充電量が所定の下限充電量に至るまでの放電に抑えられているので、自動車運搬船1が入港地に到着した時点で、電気自動車2の有する自動車用蓄電池2Bに残された充電量が所定の下限充電量を確実に上回るようにすることができる。この自動車用蓄電池2Bに残された電力を利用して、自動車運搬船1から電気自動車2を積み降ろすために、電気自動車2を自走させることができる。
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本発明における自然エネルギー発電装置として、上記太陽電池パネル33に代えて、例えば風力発電装置等を用いることができる。また、自動車運搬船1によって運搬される自動車は、蓄電池を有するものであればよく、電気自動車2に代えて、例えばハイブリッド自動車等であってもよい。
1 自動車運搬船
1B 船舶用蓄電池
2 自動車(電気自動車)
2B 自動車用蓄電池
10 電力マネジメントシステム
11 充放電制御装置
12 需要電力量監視装置
13 発電量監視装置、発電量制御装置(発電制御装置)
14 残余航行距離算出装置
15 電力マネジメント装置
20 メインエンジン
31 排熱回収発電機(タービン発電機)
32 内燃機関発電機(ディーゼル発電機)
33 自然エネルギー発電機(太陽光発電パネル)
42 軸発電機モータ

Claims (13)

  1. 自動車用蓄電池を有する自動車を積載して所定の出港地から所定の入港地まで運搬する自動車運搬船における電力マネジメントシステムであって、
    前記自動車運搬船に設置された船舶用蓄電池の充電量および前記自動車用蓄電池の充電量を監視するとともに、これら船舶用蓄電池および自動車用蓄電池の充電および放電を制御する充放電制御装置と、
    前記自動車運搬船における需要電力量を監視する需要電力量監視装置と、
    前記自動車運搬船における発電量を監視する発電量監視装置と、
    前記自動車運搬船の予定航行経路および現在位置から、該自動車運搬船の前記入港地までの残余航行距離を算出する残余航行距離算出装置と、
    前記充放電制御装置によって監視された前記船舶用蓄電池および前記自動車用蓄電池の充電量と、前記需要電力量監視装置によって監視された前記自動車運搬船における需要電力量と、前記発電量監視装置によって監視された前記自動車運搬船における発電量と、前記残余航行距離算出装置によって算出された前記残余航行距離とに応じて、前記充放電制御装置に対して前記船舶用蓄電池および前記自動車用蓄電池の充電または放電を行うように指令を発する電力マネジメント装置と
    を備えることを特徴とする自動車運搬船における電力マネジメントシステム。
  2. 前記自動車運搬船は、該自動車運搬船のメインエンジンの排熱を回収して発電する排熱回収発電機を有しており、
    前記発電量監視装置によって監視される前記自動車運搬船における発電量には、前記排熱回収発電機によって発電された発電量が含まれることを特徴とする請求項1に記載の自動車運搬船における電力マネジメントシステム。
  3. 前記自動車運搬船は、前記メインエンジンとは独立して構成された内燃機関発電機を有しており、
    前記発電量監視装置によって監視される前記自動車運搬船における発電量には、前記内燃機関発電機によって発電された発電量が含まれることを特徴とする請求項1または2に記載の自動車運搬船における電力マネジメントシステム。
  4. 前記内燃機関発電機の発電量を制御する発電量制御装置をさらに備え、
    前記電力マネジメント装置は、前記充放電制御装置によって監視された前記船舶用蓄電池および前記自動車用蓄電池の充電量と、前記需要電力量監視装置によって監視された前記自動車運搬船における需要電力量と、前記発電量監視装置によって監視された前記自動車運搬船における発電量と、前記残余航行距離算出装置によって算出された前記残余航行距離とに応じて、前記発電量制御装置に対して前記内燃機関発電機の発電量を調整するように指令を発することを特徴とする請求項3に記載の自動車運搬船における電力マネジメントシステム。
  5. 前記自動車運搬船は、自然エネルギーを利用して発電する自然エネルギー発電機を有しており、
    前記発電量監視装置によって監視される前記自動車運搬船における発電量には、前記自然エネルギー発電機によって発電された発電量が含まれることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の自動車運搬船における電力マネジメントシステム。
  6. 前記残余航行距離算出装置によって算出された前記残余航行距離が所定距離よりも大きく、かつ、前記需要電力量監視装置によって監視された前記自動車運搬船における前記需用電力量が所定値を上回っているとき、前記電力マネジメント装置は、前記充放電制御装置に対して、前記船舶用蓄電池および前記自動車用蓄電池の放電を無制限に許可する指令を発することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の自動車運搬船における電力マネジメントシステム。
  7. 前記残余航行距離算出装置によって算出された前記残余航行距離が所定距離よりも大きく、かつ、前記需要電力量監視装置によって監視された前記自動車運搬船における前記需用電力量が所定値を上回っているとき、前記電力マネジメント装置は、前記充放電制御装置に対して、前記船舶用蓄電池および前記自動車用蓄電池の放電を、前記船舶用蓄電池の放電を前記自動車用蓄電池の放電よりも優先しつつ、無制限に許可する指令を発することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の自動車運搬船における電力マネジメントシステム。
  8. 前記残余航行距離算出装置によって算出された前記残余航行距離が前記所定距離よりも大きく、かつ、前記電力マネジメント装置が、前記充放電制御装置に対して、前記船舶用蓄電池および前記自動車用蓄電池を充電する指令を発するときは、前記船舶用蓄電池の充電を前記自動車用蓄電池の充電よりも優先して行うようにすることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の自動車運搬船における電力マネジメントシステム。
  9. 前記自動車運搬船は、電力により駆動されて前記メインエンジンを加勢する軸発電機モータを有しており、
    前記残余航行距離算出装置によって算出された前記残余航行距離が0よりは十分大きく、前記発電量監視装置によって監視された前記自動車運搬船における発電量が、前記需要電力量監視装置によって監視された前記自動車運搬船における前記需用電力量を上回り、かつ、前記船舶用蓄電池および前記自動車用蓄電池の充電量が上限に達しているとき、前記電力マネジメント装置は、前記軸発電機モータを作動させることによって前記需要電力量を増加させ、該需要電力量を前記自動車運搬船における発電量と釣り合わせることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の自動車運搬船における電力マネジメントシステム。
  10. 前記残余航行距離算出装置によって算出された前記残余航行距離が前記所定距離以下であるが0よりは十分大きいとき、前記電力マネジメント装置は、前記充放電制御装置に対して、前記船舶用蓄電池および前記自動車用蓄電池の放電を禁止し、前記船舶用蓄電池および前記自動車用蓄電池を専ら充電する指令を発することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の自動車運搬船における電力マネジメントシステム。
  11. 前記残余航行距離算出装置によって算出された前記残余航行距離が前記所定距離以下であるが0よりは十分大きいとき、前記電力マネジメント装置は、前記充放電制御装置に対して、前記船舶用蓄電池および前記自動車用蓄電池の放電を禁止し、前記船舶用蓄電池および前記自動車用蓄電池の充電を、前記自動車用蓄電池の充電を前記船舶用蓄電池の充電よりも優先しつつ行うように指令を発することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の自動車運搬船における電力マネジメントシステム。
  12. 前記残余航行距離算出装置によって算出された前記残余航行距離がほぼ0であり、かつ、前記需要電力量監視装置によって監視された前記自動車運搬船における前記需用電力量が所定値を上回っているとき、前記電力マネジメント装置は、前記充放電制御装置に対して、前記船舶用蓄電池の無制限の放電および前記自動車用蓄電池の充電量が所定の下限充電量に至るまでの放電を許可する指令を発することを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の自動車運搬船における電力マネジメントシステム。
  13. 請求項1から12のいずれかに記載の自動車運搬船における電力マネジメントシステムを備えた自動車運搬船。
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