JP2011230308A - フレキシブル銅張積層板及びフレキシブルプリント配線板 - Google Patents

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広海 清水
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克彦 伊藤
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Abstract

【課題】屈曲性及び取り扱い性を向上させることができると共に、反りを低減することができるフレキシブル銅張積層板を提供する。
【解決手段】フレキシブル銅張積層板5に関する。絶縁層1の一方側に圧延銅箔2を重ねると共に、前記絶縁層1の他方側に電解銅箔3を重ね、これをダブルベルトプレス機4でラミネートすることによって形成されている。前記圧延銅箔2のラミネート後の弾性率が30GPa以下であり、前記電解銅箔3のラミネート後の弾性率が35GPa以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、フレキシブルプリント配線板の製造に用いられるフレキシブル銅張積層板(FCCL)及びフレキシブル銅張積層板を用いて製造されるフレキシブルプリント配線板に関するものである。
電子機器の可動部や狭小部に主として用いられるフレキシブルプリント配線板8は、フレキシブル銅張積層板5を用いて製造されているが(例えば、特許文献1参照)、従来、このようなフレキシブル銅張積層板5は、次のようにして製造されている。すなわち、図2(a)に示すように、ポリイミド等の絶縁層1の両側に銅箔9を重ね、これを一対のロール16a,16bからなるロールプレス機15でラミネートすることによって、図2(b)のようなフレキシブル銅張積層板5が製造されている。そして、このフレキシブル銅張積層板5は、その銅箔9の不要部分をエッチングにより除去して導体パターン6を形成することによって、図2(c)のようなフレキシブルプリント配線板8に加工されている。
特開2006−40995号公報
しかし、銅箔9として圧延銅箔を用いると、フレキシブルプリント配線板8の屈曲性を向上させることができるが、そもそもフレキシブルプリント配線板8に加工する前のフレキシブル銅張積層板5が屈曲しやすいものであるのでその取り扱い性が低下している。逆に、銅箔9として電解銅箔を用いると、フレキシブル銅張積層板5は屈曲しにくいものとなりその取り扱い性を向上させることができるが、フレキシブルプリント配線板8に加工した後も屈曲しにくく屈曲性が低下したままである。このように、従来はフレキシブルプリント配線板8の屈曲性とフレキシブル銅張積層板5の取り扱い性を両立させることは困難であるという問題があった。
そこで、絶縁層1の一方側に圧延銅箔、他方側に電解銅箔を重ねてラミネートすることも考えられるが、圧延銅箔と電解銅箔は結晶構造が異なるため、反りを低減することができないという新たな問題が生じる。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、屈曲性及び取り扱い性を向上させることができると共に、反りを低減することができるフレキシブル銅張積層板及びフレキシブルプリント配線板を提供することを目的とするものである。
本発明に係るフレキシブル銅張積層板は、絶縁層の一方側に圧延銅箔を重ねると共に、前記絶縁層の他方側に電解銅箔を重ね、これをダブルベルトプレス機でラミネートすることによって形成され、前記圧延銅箔のラミネート後の弾性率が30GPa以下であり、前記電解銅箔のラミネート後の弾性率が35GPa以上であることを特徴とするものである。
本発明に係るフレキシブルプリント配線板は、前記フレキシブル銅張積層板の前記圧延銅箔の不要部分をエッチングにより除去して導体パターンが形成されていると共に、前記電解銅箔の一部をエッチングにより除去して屈曲部が形成されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、絶縁層の一方側に重ねた圧延銅箔のラミネート後の弾性率が30GPa以下であり、絶縁層の他方側に重ねた電解銅箔のラミネート後の弾性率が35GPa以上であるので、屈曲性及び取り扱い性を向上させることができると共に、ダブルベルトプレス機でラミネートされているので、反りを低減することができるものである。
本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)はダブルベルトプレス機によるフレキシブル銅張積層板の製造工程の概略正面図であり、(b)はフレキシブル銅張積層板の概略断面図であり、(c)はフレキシブルプリント配線板の概略断面図である。 従来の技術を示すものであり、(a)はロールプレス機によるフレキシブル銅張積層板の製造工程の概略正面図であり、(b)はフレキシブル銅張積層板の概略断面図であり、(c)はフレキシブルプリント配線板の概略断面図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明においてフレキシブル銅張積層板5の材料である絶縁層1としては、例えば、ポリイミド、液晶ポリマー((株)クラレ製「vecstar」、ジャパンゴアテックス(株)製「BIAC」等)、ポリエステル等のように可撓性を有する絶縁フィルムを用いることができる。フレキシブルプリント配線板8の屈曲性を向上させるため、絶縁層1の厚さは175μm以下であることが好ましい。絶縁層1の厚さは、電気回路設計や絶縁設計により適宜選択されるが、実用上の下限は12.5μmである。
また、本発明においてフレキシブル銅張積層板5の材料である銅箔9としては、圧延銅箔2及び電解銅箔3を用いるが、圧延銅箔2及び電解銅箔3の厚さは、フレキシブルプリント配線板8の屈曲性を向上させるため、35μm以下であることが好ましい。圧延銅箔2及び電解銅箔3の厚さは、電気回路設計や絶縁設計により適宜選択されるが、実用上の下限は7μmである。
また、本発明においてフレキシブル銅張積層板5はダブルベルトプレス機4を用いて製造するが、このダブルベルトプレス機4は、図1(a)に示すように、上側の入口ロール10a及び出口ロール11a間に掛架した無端ベルト12aと、下側の入口ロール10b及び出口ロール11b間に掛架した無端ベルト12bとを密接させて形成されている。さらに入口ロール10及び出口ロール11間において、入口ロール10側には加熱加圧装置13、出口ロール11側には冷却加圧装置14が無端ベルト12の密接部分に近接してそれぞれ上下に設けられている。なお、加熱加圧装置13や冷却加圧装置14による加圧時間は30秒〜30分に設定することができ、無端ベルト12の速度は0.1〜5.0m/minに設定することができるが、これに限定されるものではない。
そして、本発明においてフレキシブル銅張積層板5は、絶縁層1の一方側に圧延銅箔2を重ねると共に、絶縁層1の他方側に電解銅箔3を重ね、これをダブルベルトプレス機4でラミネートすることによって製造することができる。具体的には、図1(a)に示すように、長尺の絶縁層1、長尺の圧延銅箔2及び電解銅箔3をそれぞれ長手方向に送りながら、絶縁層1の一方側に圧延銅箔2を重ねると共に、絶縁層1の他方側に電解銅箔3を重ねる。そのままこれをダブルベルトプレス機4の上下の入口ロール10a,10b間に挿入して送りながら、無端ベルト12を介して加熱加圧装置13により100〜400℃、0.5〜6MPaの条件で加熱加圧して絶縁層1に圧延銅箔2及び電解銅箔3を熱圧着させ、引き続き冷却加圧装置14により100〜300℃、0.5〜6MPaの条件で冷却加圧してさらに圧着させた後、上下の出口ロール11a,11b間から引き出すことによって、図1(b)のようなフレキシブル銅張積層板5を連続的に製造することができる。特に圧延銅箔2は、上記の加熱(アニール)によって軟化(再結晶化)が起こり、弾性率が30GPa以下に低下する。他方、電解銅箔3の弾性率も加熱により低下するが、35GPa以上を維持する。このようにして長尺のフレキシブル銅張積層板5を得ることができるが、このフレキシブル銅張積層板5は、図2(a)のような従来のロールプレス機15の一対のロール16a,16b間の線圧によるラミネートで形成されているのではなく、ダブルロールプレス機4の上下の無端ベルト12a,12b間の面圧によるラミネートで形成されているので、結晶構造の異なる圧延銅箔2と電解銅箔3が絶縁層1を介して重ねられていても、反りを低減することができるものである。
また、上記のようにして形成されたフレキシブル銅張積層板5において、圧延銅箔2のラミネート後の弾性率は30GPa以下(下限は10GPa)であり、電解銅箔3のラミネート後の弾性率は35GPa以上(上限は150GPa)である。このように、フレキシブル銅張積層板5は、圧延銅箔2のラミネート後の弾性率は30GPa以下であり軟らかいものであっても、電解銅箔3のラミネート後の弾性率は35GPa以上であり硬いものであるので、全体としては屈曲しにくいものとなっており、取り扱い性が向上しているものである。しかし、圧延銅箔2のラミネート後の弾性率が30GPaを超えると、フレキシブルプリント配線板8に加工した場合に十分な屈曲性を得ることができない。他方、電解銅箔3のラミネート後の弾性率が35GPa未満であると、フレキシブル銅張積層板5の取り扱い性が低下するものである。なお、圧延銅箔2及び電解銅箔3のラミネート後の弾性率は、フレキシブル銅張積層板5の製造条件と同様の条件で圧延銅箔2単体又は電解銅箔3単体を加熱加圧した後の弾性率と同じであり、このような弾性率は、例えば、(株)島津製作所製「AG−10KNE」等の引張試験機によって測定することができる。そして、加熱加圧後の弾性率が30GPa以下となるような圧延銅箔2及び加熱加圧後の弾性率が35GPa以上となるような電解銅箔3をあらかじめ選定し、これらをフレキシブル銅張積層板5の製造に用いるのである。
次に、上記のようにして得られた図1(b)に示すフレキシブル銅張積層板5を用いて、図1(c)のようなフレキシブルプリント配線板8を製造することができる。具体的には、サブトラクティブ法等を使用し、図1(b)に示すフレキシブル銅張積層板5の圧延銅箔2の不要部分をエッチングにより除去して導体パターン6を形成すると共に、電解銅箔3の一部をエッチングにより除去して屈曲部7を形成する。このようにして形成された図1(c)に示すフレキシブルプリント配線板8は、ラミネート後の弾性率が35GPa以上の電解銅箔3の一部が除去されて屈曲部7が形成されているので、この屈曲部7を中心にして屈曲させることができ、屈曲性が向上しているものである。さらに、図1(c)のように屈曲部7を跨って導体パターン6が形成されていても、この導体パターン6は、ラミネート後の弾性率が30GPa以下の軟らかい圧延銅箔2で形成されているので、屈曲性に悪影響を及ぼしにくいものである。なお、電解銅箔3の残部で導体パターン6を形成してもよい。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
図1(a)に示すように、長尺の絶縁層1(厚さ14μmのポリイミド(PI))、長尺の圧延銅箔2(厚さ12μmの圧延銅箔A)及び電解銅箔3(厚さ12μmの電解銅箔A)をそれぞれ長手方向に送りながら、絶縁層1の一方側に圧延銅箔2を重ねると共に、絶縁層1の他方側に電解銅箔3を重ねた。そのままこれをダブルベルトプレス機4の上下の入口ロール10a,10b間に挿入して送りながら、無端ベルト12を介して加熱加圧装置13により330℃、5MPaの条件で加熱加圧して絶縁層1に圧延銅箔2及び電解銅箔3を熱圧着させ、引き続き冷却加圧装置14により250℃、5MPaの条件で冷却加圧してさらに圧着させた後、上下の出口ロール11a,11b間から引き出すことによって、図1(b)のようなフレキシブル銅張積層板5を連続的に製造した。
上記のようにして形成されたフレキシブル銅張積層板5において、圧延銅箔2及び電解銅箔3の絶縁層1側の表面粗度(M面表面粗度Rz)及びラミネート後の弾性率を下記[表1]に示す。
また、フレキシブル銅張積層板5の反りを評価するため、50mm×50mmの矩形状に切り取ったフレキシブル銅張積層板5を平面上に置き、この平面から最も高い部分の高さを測定した。その結果を下記[表1]に示す。
次に、上記のようにして得られた図1(b)に示すフレキシブル銅張積層板5を用いて、図1(c)のようなフレキシブルプリント配線板8を製造した。具体的には、サブトラクティブ法を使用し、図1(b)に示すフレキシブル銅張積層板5の圧延銅箔2の不要部分をエッチングにより除去して導体パターン6を形成すると共に、電解銅箔3の一部をエッチングにより除去して屈曲部7を形成した。
そして、フレキシブル銅張積層板5の取り扱い性を評価するため、導体パターン6を形成する予定の領域全体の面積(100%)に対して、実際に導体パターンを形成することができた領域の面積の割合(導体パターン形成性)を算出した。その結果を下記[表1]に示す。
また、フレキシブルプリント配線板8の屈曲性を評価するため、屈曲半径を0.38mmとし、屈曲部7で繰り返し屈曲させるMIT法による屈曲試験を行い、フレキシブルプリント配線板8が屈曲部7で破断するまでの屈曲回数を計測した。その結果を下記[表1]に示す。
(実施例2)
電解銅箔3として、厚さ12μmの電解銅箔Bを用いるようにした以外は、実施例1と同様にして、フレキシブル銅張積層板5及びフレキシブルプリント配線板8を製造し、反り、取り扱い性及び屈曲性を評価した。その結果を下記[表1]に示す。
(実施例3)
電解銅箔3として、厚さ12μmの電解銅箔Cを用いるようにした以外は、実施例1と同様にして、フレキシブル銅張積層板5及びフレキシブルプリント配線板8を製造し、反り、取り扱い性及び屈曲性を評価した。その結果を下記[表1]に示す。
(実施例4)
絶縁層1として、厚さ25μmの液晶ポリマー(LCP)((株)クラレ製「vecstar」(グレードCTV25))を用い、圧延銅箔2として、厚さ12μmの圧延銅箔Bを用い、電解銅箔3として、厚さ12μmの電解銅箔Cを用い、加熱加圧装置13による加熱加圧条件を320℃、3MPa、冷却加圧装置14による冷却加圧条件を220℃、3MPaとした以外は、実施例1と同様にして、フレキシブル銅張積層板5及びフレキシブルプリント配線板8を製造し、反り、取り扱い性及び屈曲性を評価した。その結果を下記[表1]に示す。
(比較例1)
圧延銅箔A及び電解銅箔Aの代わりに厚さ12μmの電解銅箔Bを用いるようにした以外は、実施例1と同様にして、フレキシブル銅張積層板5及びフレキシブルプリント配線板8を製造し、反り、取り扱い性及び屈曲性を評価した。その結果を下記[表1]に示す。
(比較例2)
圧延銅箔Aの代わりに厚さ12μmの電解銅箔Cを用い、電解銅箔Aの代わりに厚さ12μmの電解銅箔Cを用いるようにした以外は、実施例1と同様にして、フレキシブル銅張積層5板及びフレキシブルプリント配線板8を製造し、反り、取り扱い性及び屈曲性を評価した。その結果を下記[表1]に示す。
(比較例3)
電解銅箔Aの代わりに厚さ12μmの圧延銅箔Aを用いるようにした以外は、実施例1と同様にして、フレキシブル銅張積層板5及びフレキシブルプリント配線板8を製造し、反り、取り扱い性及び屈曲性を評価した。その結果を下記[表1]に示す。
(比較例4)
図2(a)に示すように、長尺の絶縁層1(厚さ14μmのポリイミド(PI))、長尺の銅箔9として圧延銅箔(厚さ12μmの圧延銅箔A)及び電解銅箔(厚さ12μmの電解銅箔A)をそれぞれ長手方向に送りながら、絶縁層1の一方側に圧延銅箔を重ねると共に、絶縁層1の他方側に電解銅箔を重ねた。そのままこれをロールプレス機15の一対のロール16a,16b間に挿入して送りながら、380℃、6MPaの条件で加熱加圧して絶縁層1に圧延銅箔及び電解銅箔を熱圧着させることによって、図2(b)のようなフレキシブル銅張積層板5を連続的に製造した。その後は、実施例1と同様にして、フレキシブル銅張積層板5及びフレキシブルプリント配線板8を製造し、反り、取り扱い性及び屈曲性を評価した。その結果を下記[表1]に示す。
Figure 2011230308
上記[表1]から明らかなように、実施例1〜4は、屈曲性及び取り扱い性が向上し、反りを低減することができることが確認された。
これに対して、絶縁層1の両側に電解銅箔3を重ねた比較例1、2は、取り扱い性が向上し、反りを低減することができるものの、屈曲性が低下していることが確認された。
また、絶縁層1の両側に圧延銅箔2を重ねた比較例3は、屈曲性が向上し、反りを低減することができるものの、取り扱い性が低下していることが確認された。
また、ロールプレス機15を用いた比較例4は、屈曲性及び取り扱い性が向上しているものの、反りを低減することができないことが確認された。
1 絶縁層
2 圧延銅箔
3 電解銅箔
4 ダブルベルトプレス機
5 フレキシブル銅張積層板
6 導体パターン
7 屈曲部
8 フレキシブルプリント配線板

Claims (2)

  1. 絶縁層の一方側に圧延銅箔を重ねると共に、前記絶縁層の他方側に電解銅箔を重ね、これをダブルベルトプレス機でラミネートすることによって形成され、前記圧延銅箔のラミネート後の弾性率が30GPa以下であり、前記電解銅箔のラミネート後の弾性率が35GPa以上であることを特徴とするフレキシブル銅張積層板。
  2. 請求項1に記載のフレキシブル銅張積層板の前記圧延銅箔の不要部分をエッチングにより除去して導体パターンが形成されていると共に、前記電解銅箔の一部をエッチングにより除去して屈曲部が形成されていることを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
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