JP2011230170A - 高温鉛フリーはんだ材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、前記事情に鑑み、鉛や金等を含有することなく、液相線温度が250℃〜400℃程度必要となる高温はんだに対応した酸化や腐食に起因する経時劣化を防止し、高信頼性を有する高温鉛フリーはんだ材料を低価格で提供することである。
【解決手段】Znを15重量%〜92重量%、Mnを0.1重量%以下(範囲下限値の零を含まず)、残部Sn及び不可避不純物からなるはんだ材料を用いることにより、優れたはんだ特性を有し、250℃〜400℃の温度域でのはんだ接合に対応する高い液相線温度を有し、更に、はんだ接合部の酸化や腐食に起因する経時劣化を防止する、優れた鉛フリーはんだ材料の提供を可能とする。そして、上記組成にAlを1重量%以下(範囲下限値の零を含まず)添加することにより、はんだ接合部の接合強度を一層向上させることを可能とする。
【選択図】なし
【解決手段】Znを15重量%〜92重量%、Mnを0.1重量%以下(範囲下限値の零を含まず)、残部Sn及び不可避不純物からなるはんだ材料を用いることにより、優れたはんだ特性を有し、250℃〜400℃の温度域でのはんだ接合に対応する高い液相線温度を有し、更に、はんだ接合部の酸化や腐食に起因する経時劣化を防止する、優れた鉛フリーはんだ材料の提供を可能とする。そして、上記組成にAlを1重量%以下(範囲下限値の零を含まず)添加することにより、はんだ接合部の接合強度を一層向上させることを可能とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、鉛フリーはんだ材料に関し、詳しくはSn−Znを基本組成とする高温鉛フリーはんだ材料及びそのはんだ材料を用いたはんだ接合に関する。
電子部品のはんだ付けにおいて、人体や環境に有害な鉛を含まないはんだ合金が用いられており、液相線温度が200℃〜250℃の温度域においてSn−Ag系及びSn−Cu系はんだ材料等の実用化が進んでいる。一方、車載用電子部品やパワートランジスタ素子のダイボンディング等においては250℃〜400℃のより高温の温度域でのはんだ接合に対応した高い液相線温度を有するはんだ材料が必要とされている。
しかしながら、係る高温はんだ材料は、鉛を高濃度に含有したはんだ材料や金を高濃度に配合したはんだ材料が従来より用いられている。
しかしながら、係る高温はんだ材料は、鉛を高濃度に含有したはんだ材料や金を高濃度に配合したはんだ材料が従来より用いられている。
近年、環境への配慮やコストダウンの要求が高まり、鉛や金を配合しない高温はんだ材料の検討がなされている。例えば、特許文献1に見られるSn-Zn系はんだ合金、特許文献2に見られるSn-Sb系はんだ合金、特許文献3に見られるSn-Al系はんだ合金等を開示する。
しかし、特許文献1のはんだ合金は、Znの配合量が20〜40重量%、残部Snを基本とする組成になっており、液相線温度が約350℃程度であり、求められている液相線温度である400℃を満たしていない。また、特許文献2のはんだ合金もSbの配合量を3〜10重量%、残部Snを基本とする組成になっており、液相線温度が400℃程度必要となる高温はんだには対応できない。
そして、特許文献3のはんだ合金は、Alの配合量が2〜9重量%、Geの配合量が2〜9重量%、残部Znを基本とする組成になっており、液相線温度に関しては対応可能であるが、接合強度等のはんだ特性において十分に満足できるものには至っていない。また、高温域のはんだ合金においても、はんだ接合部の経時劣化が発生しにくいはんだ接合材料が求められている。
そして、特許文献3のはんだ合金は、Alの配合量が2〜9重量%、Geの配合量が2〜9重量%、残部Znを基本とする組成になっており、液相線温度に関しては対応可能であるが、接合強度等のはんだ特性において十分に満足できるものには至っていない。また、高温域のはんだ合金においても、はんだ接合部の経時劣化が発生しにくいはんだ接合材料が求められている。
本発明の目的は、前記事情に鑑み、鉛や金等を含有することなく、液相線温度が250℃〜400℃程度必要となる高温はんだに対応し、はんだ接合部の経時劣化が生じにくい高温鉛フリーはんだ材料を低価格で提供することである。
本発明の課題を解決すべく発明者は鋭意検討した結果、Znを15重量%〜92重量%、Mnを0.1重量%以下(範囲下限値の零を含まず)、残部Sn及び不可避不純物からなるはんだ材料を用いることにより、液相線温度が250℃〜400℃の温度域でのはんだ接合に対応し、優れたはんだ特性を有した高い液相線温度を有するはんだ材料の提供を可能とした。
更に、前記組成にAlを1重量%以下(範囲下限値の零を含まず)添加することにより、更なる接合強度の向上が可能となる。
本発明の鉛フリーはんだ材料は、鉛を含有しないはんだ材料であるため、環境に配慮したはんだ接合を可能とすることは勿論のこと、Auを含まずSn及びZnからなる基本組成に微量のMn及びAlを添加した組成よりなるため、低価格でありながら高温はんだ接合に対応した高信頼性を有する鉛フリーはんだ材料を提供することが可能となる。
以下に、本発明の高温鉛フリーはんだ材料について詳細に説明する。
本発明の高温鉛フリーはんだ材料は、Sn−Znを基本組成として、それにMn及びAlを特定量添加したものである。
本発明の高温鉛フリーはんだ材料は、Sn−Znを基本組成として、それにMn及びAlを特定量添加したものである。
即ち、本発明の高温鉛フリーはんだ材料は、Sn及びZnの配合量として、図1の状態図に示す液相線温度が250℃〜400℃となるSnが8重量%〜85重量%(Znが15重量%〜92重量%)の範囲を基本組成とし、そのSn−Zn基本組成に、Mnを0.1重量%以下(範囲下限値の零を含まず)の範囲で添加することによりなる。前記の組成により構成されるはんだ材料を用いることにより、高温はんだ接合に対応することに加えてはんだ接合部の接合強度を向上させることや、はんだ溶解時からはんだ接合時のはんだ材料の酸化を防止するばかりでなくはんだ接合後のはんだ接合部の酸化や腐食に起因する経時劣化の発生を防止することが可能となる。更に、Alを1重量%以下(範囲下限値の零を含まず)の範囲で添加することにより、はんだ接合部の延性を向上させ、一層のはんだ接合強度を向上させることが可能となる。
本発明の高温鉛フリーはんだ材料の構成成分であるMnの添加量を0.1重量%以下(範囲下限値の零を含まず)とした理由は、本発明のSn−Zn基本組成に僅かでもMnが添加されることで、液相線温度が250℃〜400℃という高温はんだ材料としての特性を維持しながら、はんだ接合部の接合強度を向上させる効果、及びはんだ接合部の酸化や腐食に起因する経時劣化の発生を防止する効果を有するためである。
更に、0.02重量%以上の添加においては、はんだ接合部の結晶構造の粗大化を抑制する効果を有するため、好ましい範囲を0.02重量%〜0.1重量%とした。
しかし、0.1重量%以上の添加において、はんだ接合部の接合強度向上や結晶構造の粗大化抑制効果は見られるものの0.1重量%以下の配合と比較して顕著な効果は期待できないことに加え、液相線温度が上昇し、はんだ付けが困難になるというデメリットが生じる場合があるため上限を0.1重量%とした。
更に、0.02重量%以上の添加においては、はんだ接合部の結晶構造の粗大化を抑制する効果を有するため、好ましい範囲を0.02重量%〜0.1重量%とした。
しかし、0.1重量%以上の添加において、はんだ接合部の接合強度向上や結晶構造の粗大化抑制効果は見られるものの0.1重量%以下の配合と比較して顕著な効果は期待できないことに加え、液相線温度が上昇し、はんだ付けが困難になるというデメリットが生じる場合があるため上限を0.1重量%とした。
本発明の高温鉛フリーはんだ材料の構成成分であるAlの添加量に関して、Alを1重量%以下(範囲下限値の零を含まず)とした理由は、本発明のSn−Zn―Mn組成に、上記配合量を添加することによって、Al添加の優れた効果の一つであるはんだ接合部の延性を向上させる作用をMn添加による効果であるはんだ接合部の接合強度を向上させる作用を維持しながら相互の効果が相乗的に発揮されて、はんだ接合部の接合強度が飛躍的に向上するためである。
しかし、1重量%超を添加しても、1重量%以下の添加量に比べてはんだ接合部の接合強度を向上させる顕著な効果が期待できず、液相線温度上昇のデメリットを有するため、上記添加量とした。
しかし、1重量%超を添加しても、1重量%以下の添加量に比べてはんだ接合部の接合強度を向上させる顕著な効果が期待できず、液相線温度上昇のデメリットを有するため、上記添加量とした。
また、本発明の高温鉛フリーはんだ材料には、本発明の効果を損なわない範囲において、その他元素を適量添加しても構わない。勿論、その他成分には不可避不純物は含まれる。
そして、本発明の高温鉛フリーはんだ材料は、ペーストタイプや線状はんだ等への製品供給形態に応用が可能で、発明の効果を有する範囲において、その形態は限定されない。
そして、本発明の高温鉛フリーはんだ材料は、ペーストタイプや線状はんだ等への製品供給形態に応用が可能で、発明の効果を有する範囲において、その形態は限定されない。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されない。
耐酸化、耐腐食の評価は以下のように行なった。
耐酸化、耐腐食の評価は以下のように行なった。
(試験方法)
銅板上に本発明の高温鉛フリーはんだ材料と同組成のSn−Zn−Mn組成のはんだ合金とSn−Zn組成のはんだ合金を用いて図5に示すような試料を以下の条件下で500時間投入した後、はんだ接合部及びはんだ表層部の断面を走査型電子顕微鏡で撮影して評価した。
投入条件:温度85℃、湿度85%
銅板上に本発明の高温鉛フリーはんだ材料と同組成のSn−Zn−Mn組成のはんだ合金とSn−Zn組成のはんだ合金を用いて図5に示すような試料を以下の条件下で500時間投入した後、はんだ接合部及びはんだ表層部の断面を走査型電子顕微鏡で撮影して評価した。
投入条件:温度85℃、湿度85%
(試料)
試料の組成は以下の通りである。
試料1:Snが91重量%、Znが9重量%の鉛フリーはんだ合金
試料2:Snが93重量%、Znが7重量%の鉛フリーはんだ合金
試料3:Snが92.9923重量%、Znが7重量%、Mnが0.0077重量%の鉛フリーはんだ合金
試料の組成は以下の通りである。
試料1:Snが91重量%、Znが9重量%の鉛フリーはんだ合金
試料2:Snが93重量%、Znが7重量%の鉛フリーはんだ合金
試料3:Snが92.9923重量%、Znが7重量%、Mnが0.0077重量%の鉛フリーはんだ合金
図6〜図8に試験結果を示す。
各図に示す写真の上段は、はんだ接合部(3)の電子顕微鏡写真を、下段は、はんだ表層部(4)の電子顕微鏡写真である。
試料1は、はんだ接合部は、銅板上の金属間化合物層及びその上のはんだ合金層に腐食や酸化等の変化が見られないが、はんだ表層部は、クラックが多く発生しているのが見られ、酸化や腐食が進行しているのが分かる。試料2も、試料1と同様にはんだ表層部に酸化や腐食が進行しているが酸化や腐食の程度は少ない。これは、Znの配合量に比例していると考える。これに対して、本発明と同組成のSn−Zn−Mn組成のはんだ合金の場合は、はんだ接合部は勿論のことはんだ表層部にも殆どクラックの発生が見られず、酸化や腐食に対して優れていることが分かる。
試験結果より、本発明の高温鉛フリーはんだ材料の場合もMnを添加したことにより、Sn−Zn組成の鉛フリーはんだ合金に比べ、耐酸化及び耐腐食の特性が向上すると考える。
各図に示す写真の上段は、はんだ接合部(3)の電子顕微鏡写真を、下段は、はんだ表層部(4)の電子顕微鏡写真である。
試料1は、はんだ接合部は、銅板上の金属間化合物層及びその上のはんだ合金層に腐食や酸化等の変化が見られないが、はんだ表層部は、クラックが多く発生しているのが見られ、酸化や腐食が進行しているのが分かる。試料2も、試料1と同様にはんだ表層部に酸化や腐食が進行しているが酸化や腐食の程度は少ない。これは、Znの配合量に比例していると考える。これに対して、本発明と同組成のSn−Zn−Mn組成のはんだ合金の場合は、はんだ接合部は勿論のことはんだ表層部にも殆どクラックの発生が見られず、酸化や腐食に対して優れていることが分かる。
試験結果より、本発明の高温鉛フリーはんだ材料の場合もMnを添加したことにより、Sn−Zn組成の鉛フリーはんだ合金に比べ、耐酸化及び耐腐食の特性が向上すると考える。
1 銅板
2 はんだ
3 はんだ接合部
4 はんだ表層部
2 はんだ
3 はんだ接合部
4 はんだ表層部
Claims (4)
- Znを15〜92重量%、Mnを0.1重量%以下(範囲下限値の零を含まず)、残部Sn
及び不可避不純物からなることを特徴とする高温鉛フリーはんだ材料。 - Mnが0.02重量%〜0.1重量%であることを特徴とする請求項1記載の高温鉛フリーはんだ材料。
- 更に、Alを1重量%以下(範囲下限値の零を含まず)添加することを特徴とする請求項1〜請求項2記載の高温鉛フリーはんだ材料。
- 請求項1〜請求項3記載の何れかの高温鉛フリーはんだ材料を用いてはんだ付けを行なったはんだ継手。
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JP2010104409A JP2011230170A (ja) | 2010-04-28 | 2010-04-28 | 高温鉛フリーはんだ材料 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102787256A (zh) * | 2012-08-28 | 2012-11-21 | 苏州金仓合金新材料有限公司 | 一种用于焊接的环保锡锌锰合金棒及其制备方法 |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS4978654A (ja) * | 1972-12-05 | 1974-07-29 | ||
JPH07113135A (ja) * | 1993-08-26 | 1995-05-02 | Sang Kun Park | 錫−亜鉛系合金 |
JP2000015478A (ja) * | 1998-06-30 | 2000-01-18 | Toshiba Corp | ハンダ材 |
JP2003188529A (ja) * | 2001-12-14 | 2003-07-04 | Koa Corp | 鉛非含有の半田材及び接合方法 |
JP2003198118A (ja) * | 2002-10-18 | 2003-07-11 | Toshiba Corp | 非鉛系接合部材の形成方法及び回路基板 |
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2010
- 2010-04-28 JP JP2010104409A patent/JP2011230170A/ja active Pending
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