JP2011225040A - サスペンション制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】チャタリングの発生を抑制できるサスペンション制御装置を提供する。
【解決手段】車輪と車体との間に設けられ、車体の上下振動に対して減衰力を発生すると減衰力を変更可能なショックアブソーバと、車両のバネ下上下速度V1を検出するバネ下速度演算部12と、バネ下上下速度V1の包絡波形V1_envを逐次生成する逐次包絡波形生成部14と、包絡波形V1_envに基づいてショックアブソーバの目標減衰力F1を演算する目標減衰力演算部15と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、サスペンション制御装置に関する。
従来のサスペンション制御装置では、バネ下加速度が閾値を超えたとき、過振状態と判定し、ショックアブソーバの減衰特性を調整するアクチュエータの作動範囲を所定の制限時使用電流範囲に制限することで、アクチュエータの応答遅れに伴うバネ下の振動助長を抑制している(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−203831号公報
しかしながら、上記従来技術にあっては、バネ下共振周波数(約10〜15Hz)は±変動が速いため、バネ下加速度が閾値を頻繁に上下することでアクチュエータの作動範囲の制限と解除とが高速で切り替わり、チャタリングが発生するという問題があった。
本発明の目的は、チャタリングの発生を抑制できるサスペンション制御装置を提供することにある。
上記課題に対し、本発明のサスペンション制御装置では、車両のバネ下速度の包絡波形に基づいて減衰力発生手段の目標減衰力を演算する。
よって、本発明では、滑らかな包絡波形に基づいて減衰力を発生させるため、チャタリングの発生を抑制できる。
実施例1のサスペンション制御装置の模式図である。 実施例1の制御装置1の制御ブロック図である。 実施例1のバネ下速度検出部13の構成図である。 実施例1の逐次包絡波形生成部14の構成図である。 実施例1の目標減衰力演算部15の構成図である。 実施例1の制御信号変換部17の構成図である。 実施例1の逐次包絡波形生成部14の詳細な構成図である。 実施例1の位相遅延器21aの周波数特性図である。 実施例1における入力波形(15Hz)に対する包絡波形理論値と包絡波形生成器21により生成された包絡波形とを示す図である。 実施例1における入力波形(fu = 15Hz)に対する包絡波形理論値と包絡波形理論値を遅延器22(遮断周波数fc3 = 9.55Hz,0.24Hz)に通過させて生成された包絡波形とを示す図である。 実施例1における入力波形(fu = 15Hz)に対する包絡波形生成器21により生成された包絡波形とこの包絡波形を遅延器22に通過させて生成された包絡波形V1_envとを示す図である。 実施例1の制御装置1で実行されるバネ下制振制御処理の流れを示すフローチャートである。 突起乗り越し時に要求される減衰力発生タイミングを示す運転席フロア上下加速度のタイムチャートである。 突起乗り越し時における実施例1のバネ下制振制御の効果を示すバネ下上下加速度と制御指令電流のタイムチャートである。 実施例1におけるタイヤ接地点上下サインスイープ加振時のバネ下上下振動/接地点上下振動の振動伝達率を示す図である。 実施例1のバネ下制振制御の効果を示す接地点上下変位、制御指令電流およびバネ下上下加速度のタイムチャートである。 実施例2の逐次包絡波形生成部14の構成図である。 実施例2における入力波形(fu = 15Hz)に対する包絡波形理論値と入力波形をローパスフィルタ25(遮断周波数f3 = 9.55Hz,1.59Hz,0.24Hz,0.024Hz)に通過させて生成された包絡波形V1_envとを示す図である。 実施例3の逐次包絡波形生成部14の構成図である。 実施例3の包絡波形平滑化の効果を示す包絡波形V1_envのタイムチャート 実施例4のバネ下共振周波数算出部11の構成図である。 実施例5のバネ下共振周波数fuに対する遮断周波数指令値fc_comの設定マップである。 実施例6の車速Vに対する制御ゲインCの設定マップである。
以下、本発明のサスペンション制御装置を実施するための形態を、図面に基づく実施例により説明する。
〔実施例1〕
[サスペンション制御装置の全体構成]
図1は、実施例1のサスペンション制御装置の模式図である。
制御装置1は、減衰力可変ショックアブソーバ(減衰力発生手段であり、以下、ショックアブソーバ)2の減衰特性(減衰力の大小)を調整するアクチュエータ3の駆動に必要な制御指令電流Iを出力する。制御装置1への入力信号は、少なくとも車速V[km/h]、車輪回転速度ω[rad/s]、バネ下上下加速度G1[m/s2]およびバネ上上下加速度G2[m/s2]の4つの状態量を用い、この状態量は、各物理量に対する検出器(車輪速検出器、加速度検出器等)からの出力値、またはオブザーバなどにより推定された物理量とする。上記4つの入力信号を受けた制御装置1は、後述する構成に従って目標減衰力を演算し、アクチュエータ3に対し制御指令電流Iを出力する。アクチュエータ3は、制御指令電流Iの電流値に比例してショックアブソーバ2の減衰力を大きくするよう動作する。
ここで、図1の1輪モデルにおいて、Msはバネ上質量、Mwはバネ下質量、Ksはサスペンションバネ、Kwはタイヤ縦バネ、rはタイヤ動半径、Xoは路面上下変位である。
[アクチュエータの制御構成]
図2は、実施例1の制御装置1の制御ブロック図である。
バネ下共振周波数算出部(バネ下共振周波数算出手段)11は、バネ下質量Mwとタイヤ縦バネKwで決定されるあらかじめ設計されたバネ下共振周波数ベース値を記憶している。また、タイヤ回転アンバランス振動やチェーン装着、タイヤ交換などによりバネ下共振周波数が上記ベース値から乖離する場合には、車速V、車輪回転速度ω、バネ下上下加速度G1を用いてバネ下共振周波数fu[Hz]を推定してもよい。実施例1では、バネ下共振周波数を一定のベース値として説明する。
バネ下速度演算部(バネ下速度検出手段)12は、バネ下上下加速度G1を積分し、バネ下上下速度(バネ下速度)V1[m/s]を出力する。バネ下速度演算部12は、例えば、ディジタルフィルタやゲインで構成される。
バネ下速度検出部(バネ下制御対象速度算出手段)13は、バネ下上下速度V1からバネ下制御対象速度V1'[m/s]を検出し、出力する。バネ下速度検出部13は、図3に示すようにローパスフィルタ18とハイパスフィルタ19とを組み合わせたバンドパスフィルタである。ローパスフィルタ18およびハイパスフィルタ19は、バネ下共振周波数算出部11からのバネ下共振周波数fuに応じて下記の式(1),(2)のような遮断周波数fc1[Hz],fc2[Hz]とする。
fc1 = fu * √2 …(1)
fc2 = fu / √2 …(2)
逐次包絡波形生成部(逐次包絡波形生成手段)14は、図4に示すように包絡波形生成器21と遅延器22とを有する。
包絡波形生成器21は、バネ下制御対象速度V1'の方向成分(±符号)を排除し、絶対値化して振動波形の時間変化に応じた振動の大きさを逐次演算する。
遅延器22は、包絡波形生成器21で得られた包絡波形を基に、突起乗り越し時において、適切なタイミングで減衰力が指令されるように、包絡波形の出力を遅延させる。
なお、遅延器22における遅延時間については、アクチュエータ3および実際の発生減衰力応答遅れを考慮した遅延時間とし、アクチュエータ3および実際の発生減衰力の応答遅れが、以降で設定する所定遅延時間の範囲内となる場合には、包絡波形生成器21のみとし、遅延器22を省略してもよい。逐次包絡波形生成部14の出力が最終的な包絡波形V1_env[m/s]となる。
包絡波形生成器21および遅延器22の詳細については後述する。
目標減衰力演算部(目標減衰力演算手段)15は、図5のような乗算器であり、逐次包絡波形生成部14で得られた包絡波形V1_envに所定の制御ゲインC[Ns/m]を乗算し、目標減衰力F1[N]を演算する。
ストローク速度演算部16は、バネ下上下加速度G1とバネ上上下加速度G2とを入力し、ショックアブソーバ2のストローク速度V1x[m/s]を出力する。
制御信号変換部17は、図6に示すように、目標減衰力F1とストローク速度V1xから、減衰力−ストローク速度−電流マップを検索し、アクチュエータ指令電流値I1に変換する。アクチュエータ指令電流値I1により実現される減衰力を最低減衰力として制限することで、バネ下ばたつき抑制に必要な減衰力を確保する。一方、公知のスカイフック制御等、その他の目標減衰力演算により得られる目標減衰力(その他目標減衰力)F2[N]に対しては、上記制限された最低減衰力と、アクチュエータ3の能力による決まる最高減衰力との範囲内で制御を行うことで、バネ上の姿勢制御や操舵、ブレーキ、アクセル、変速等のドライバ操作に応じた制御と両立させる。最終的に求められた電流値を制御指令電流Iとしてアクチュエータ3を駆動することで、目標減衰力を達成できる。
[逐次包絡波形生成部]
図7は、実施例1の逐次包絡波形生成部14における包絡波形生成器21と遅延器22の詳細図である。なお、遅延器22の後段には、遅延器22の出力に所定のゲインKを乗算して包絡波形V1_envとする乗算器23が配置されている。乗算器23は遅延器22の内部に設けてもよい。
包絡波形生成器21は、位相遅延器21aと、二乗器21bと、二乗器21cと、加算器21dと、平方根器21eとを有する。
位相遅延器21aは、バネ下制御対象速度V1'を90deg位相遅延させるものであればよい。ここでは、周波数帯域f(fu/√2 ≦ f ≦ √2*fu)において、バネ下制御対象速度V1'と同振幅、かつ、位相を90deg遅延させるための90deg位相遅延フィルタを構成する。この90deg位相遅延フィルタの周波数特性を図8の(a)ゲイン線図と(b)位相線図に示す。図8のような周波数特性を実現するためには、フィルタ係数Hを下記の式(3)に基づいて設定すればよい。
H(z) = (zn + a1*zn-1 +…+ an) / (a + a1*z + a2*z2 +…+ an*zn) …(3)
二乗器21bは、バネ下制御対象速度V1'を二乗した値V1'2を出力する。
二乗器21cは、位相遅延器21aを通過後のバネ下制御対象速度V1"を二乗した値V1"2を出力する。
加算器21dは、両二乗器21b,21cの出力を加算した値(V1'2 + V1"2)を出力する。
平方根器21eは、加算器21dの出力(V1'2 + V1"2)の平方根√(V1'2 + V1"2)を出力する。
以上のように、包絡波形生成器21では、バネ下制御対象速度V1'とバネ下制御対象速度V1'を90deg位相遅延させたV1"の振幅の合成値を求めることで、バネ下制御対象速度V1'から包絡波形V1_envを生成している。
図9は、入力波形(fu = 15Hz)に対する包絡波形理論値(非因果的演算)と包絡波形生成器21により生成された包絡波形とを示す図であり、90deg位相遅延フィルタにより生成された包絡波形は、包絡波形理論値に対し、高精度の近似が得られる。
ただし、包絡波形生成器21のみでは、高精度な波形近似であっても、その応答波形は、突起乗越し初期から高減衰力を要求することになるため、突起乗越し時に求められる減衰力発生タイミングに合致しない。よって、実施例1では、遅延器22により、包絡波形生成器21で生成した包絡波形を所定時間遅延させることで、ショックの緩和とダンピング時の振動の早期収束との両立を図る。
遅延器22はローパスフィルタ22aで構成される。ローパスフィルタ22aの遮断周波数は、包絡波形生成器21により生成された包絡波形を所定時間遅延させるために、バネ下共振周波数の関数で表される時定数となるように設定する。ここで、包絡波形生成器21において、包絡波形理論値が得られる場合の遅延器22(ローパスフィルタ)の遮断周波数fc3の設定範囲を下記の式(4)に示す。
fc3 = 1/4 * 1/2π * fu 〜 1/10 * 1/2π * fu …(4)
図10は、入力波形(fu = 15Hz)に対する包絡波形理論値と包絡波形理論値を遅延器22(遮断周波数fc3 = 9.55Hz,0.24Hz)に通過させて生成された包絡波形とを示す図である。
式(4)では、遮断周波数fc3をバネ下共振周波数fuの逆数であるバネ下共振周期Tuの1/4倍〜10倍の時定数を持つように設定する。1/4倍では、突起乗越し時の少なくとも、突き上げショックのみを緩和できるように設定する場合に用い、本設定がショック緩和とダンピング特性向上との両立を達成するための遮断周波数の上限、かつ、最も早い応答を示す。10倍では、バネ下振動振幅が後から増幅する特性のタイヤ、またはサスペンション特性に対応できるように設定する場合であり、ショック域においては、よりショックが緩和され、ダンピング域においては、より高減衰力の継続時間を長くして、バネ下振動の収束を早める場合に用いる。
次に、90deg位相遅延フィルタを用いた場合の包絡波形生成器21の出力に対する遅延器22(ローパスフィルタ)の遮断周波数の設定範囲を示す。遮断周波数の設定範囲は、包絡波形V1_envの近似精度が高く、包絡波形理論値に近いため、式(4)と同一でよい。図11は、入力波形(fu = 15Hz)に対する包絡波形生成器21により生成された包絡波形とこの包絡波形を遅延器22に通過させて生成された包絡波形V1_envとを示す図である。
[バネ下制振制御処理]
図12は、実施例1の制御装置1で実行されるバネ下制振制御処理の流れを示すフローチャートであり、以下、各ステップについて説明する。
ステップS1では、バネ下速度演算部12において、バネ下上下加速度G1を積分してバネ下上下速度V1を演算する。
ステップS2では、ストローク速度演算部16において、バネ下上下加速度G1とバネ上上下加速度G2とに基づいてストローク速度V1x[m/s]を演算する。
ステップS3では、バネ下共振周波数算出部11において、車速Vと車輪回転速度ωとバネ下上下加速度G1とに基づいてバネ下共振周波数fuを算出する。
ステップS4では、バネ下速度検出部13において、バネ下上下速度V1とバネ下共振周波数fuとに基づいてバネ下制御対象速度V1'を演算する。
ステップS5では、逐次包絡波形生成部14において、バネ下制御対象速度V1'とバネ下共振周波数fuとに基づいて包絡波形V1_envを生成する。
ステップS6では、目標減衰力演算部15において、包絡波形V1_envに制御ゲインCを乗算して目標減衰力F1を演算する。
ステップS7では、制御信号変換部17において、目標減衰力F1とストローク速度V1xとその他目標減衰力F2とに基づいて制御指令電流Iを演算する。
次に、実施例1の作用効果を説明する。
従来のサスペンション制御装置は、下記の2つの課題を有する。
課題1:バネ下制御対象速度は約10〜20Hzの非常に速い振動成分であり、これを直接用いてショックアブソーバのアクチュエータを駆動する特許文献1の制御、および極性を考慮した公知のベクトル制御(バネ下スカイフック制御)などでは、チャタリングや異音の発生、アクチュエータの追従遅れが問題となる。
課題2:突起乗り越し時の乗り心地現象においては、同じ約10〜20Hzの周波数成分の現象であっても、図13に示すように、突起乗越し時(ショック域)は減衰力を低下し、バネ上に伝わるショックを緩和した後、ダンピング時(ダンピング域)では減衰力を増加し、バネ下振動の収束を早めることが求められ、時間領域において逐次適切なタイミングで減衰力を指令する必要がある。
これに対し、実施例1のサスペンション制御装置では、包絡波形生成機能(包絡波形生成器21)と遅延機能(遅延器22)とを有する逐次包絡波形生成部14を設け、その出力(包絡波形V1_env)に基づいて目標減衰力F1を演算することで、上記2つの課題を解決している。
包絡波形生成器21は、90deg位相遅延フィルタにより、バネ下制御対象速度V1'の方向成分(±符号)を排除し絶対値化して、振動波形の時間変化に応じた振動の大きさを逐次演算する。結果として得られる波形は、10〜20Hzの振動成分が約1Hz以下の包絡波形に変換されたものになるため、上記課題1を解決できる。つまり、チャタリングや異音の発生、アクチュエータの追従遅れを抑制できる。
遅延器22は、ローパスフィルタ22aにより、突起乗り越し時において、適切なタイミングで減衰力が指令されるように、包絡波形生成器21で得られた包絡波形の出力を遅延させる。これにより、上記課題2を解決できる。つまり、ショック域におけるショックの緩和とダンピング域におけるバネ下振動の早期収束とを両立できる。
図14に突起乗り越し時における実施例1のバネ下制振制御の効果を示す。図14は、突起乗り越し時における(a)バネ下上下加速度G1と(b)制御指令電流Iのタイムチャートである。なお、図14には、実施例1の比較例として、スカイフック制御のみを行った例を示す。
突起乗り越し直後のショック域では、バネ下上下加速度G1に対して包絡波形V1_envの生成が遅延されるため、アクチュエータ指令電流値I1は所定時間ゼロのままであり、制御指令電流Iはスカイフック制御のその他目標減衰力F2に応じて一旦増減した後、所定時間ゼロを維持する。これにより、ショックアブソーバ2の減衰力が最低減衰力に維持されるため、ショックを緩和できる。
突起乗り越しから所定時間経過したダンピング域では、アクチュエータ指令電流値I1により実現される減衰力が最低減衰力として制限され、制御指令電流Iは高減衰力側にオフセットする。これにより、バネ下上下加速度G1の収束が早まり、ダンピング特性を向上できる。よって、実施例1のサスペンション制御装置によれば、ショック域におけるショックの緩和とダンピング域におけるダンピング特性の向上とを両立できる。
また、包絡波形V1_envに基づく制御指令電流Iは滑らかに変化するため、チャタリングや異音の発生を抑制できる。
図15にタイヤ接地点上下サインスイープ加振時のバネ下上下振動/接地点上下振動の振動伝達率を示す。
実施例1のバネ下制振制御を動作させることで、減衰力最大と同等の振動伝達率まで、ピークゲインを低減できるため、バネ下ばたつき感を低減できる。実施例1では、-6dB = 約50%以上振動低減効果が認められた。また、図16に示すように、バネ下上下速度V1のバネ下共振周波数成分のみを検知し、滑らかな包絡波形V1_envによりアクチュエータ3への制御指令が行われるため、バネ下振動を適切なタイミングで制振しつつ、チャタリングや異音の発生を抑制できる、という効果が得られる。
実施例1では、バネ下速度検出部13においてバネ下上下速度V1からバネ下共振周波数付近の周波数f(fu/√2 ≦ f ≦ √2*fu)成分を抽出したバネ下制御対象速度V1'を算出し、逐次包絡波形生成部14は、バネ下制御対象速度V1'に基づいて包絡波形V1_envを生成する。
不快な振動であるバネ下ばたつき感は、主にバネ下共振周波数成分の振動レベルが大きいときに感じられ、バネ下共振周波数成分の振動レベルを減衰力により低下させる必要がある。バネ下速度演算部12により得られたバネ下上下速度V1には、バネ下ばたつき以外の振動周波数成分も含まれており、このまま制御に利用すると、不要な振動周波数成分に反応し、バネ下がバタついていなくても、高い減衰力を指令してしまい、バネ上共振周波数(約1Hz)とバネ下共振周波数fu(10〜15Hz)の中間の約3〜6Hz領域におけるバネ上への振動伝達率を増加させ、乗心地を悪化させる問題が生じる。よって、バネ下速度検出部13によりバネ下上下速度V1からバネ下制振制御に必要な周波数成分のみを抽出することで、バネ上への振動伝達率の増加を抑制でき、乗り心地の悪化を防止できる。
実施例1のサスペンション制御装置では、以下に列挙する効果を奏する。
車輪と車体との間に設けられ、車体の上下振動に対して減衰力を発生すると減衰力を変更可能なショックアブソーバ2と、車両のバネ下上下速度V1を検出するバネ下速度演算部12と、バネ下上下速度V1の包絡波形V1_envを逐次生成する逐次包絡波形生成部14と、包絡波形V1_envに基づいてショックアブソーバ2の目標減衰力F1を演算する目標減衰力演算部15と、を備える。これにより、チャタリングや異音の発生、およびアクチュエータ3の追従遅れを抑制できる。
逐次包絡波形生成部14は、包絡波形V1_envをバネ下上下速度V1に対して所定時間遅延させるため、ショック域におけるショックの緩和とダンピング域におけるバネ下振動の早期収束(ダンピング特性の向上)との両立を図ることができる。
逐次包絡波形生成部14は、バネ下共振周波数fuに基づいて包絡波形V1_envの遅延特性を設定する。具体的には、90deg位相遅延フィルタの時定数がバネ下共振周波数fuの逆数であるバネ下共振周期Tuの1/4倍〜10倍となるように90deg位相遅延フィルタの遮断周波数fc3を設定する。つまり、バネ下共振周波数fuに基づいて包絡波形V1_envを生成するため、より効果的な減衰特性を得ることができる。
バネ下上下速度V1からバネ下共振周波数付近の周波数f(fu/√2 ≦ f ≦ √2*fu)成分を抽出したバネ下制御対象速度V1'を算出するバネ下速度検出部13を備え、逐次包絡波形生成部14は、バネ下制御対象速度V1'に基づいて包絡波形V1_envを生成する。これにより、バネ上への振動伝達率の増加を抑制でき、乗り心地の悪化を防止できる。
バネ下速度検出部13は、バネ下上下速度V1をバンドパスフィルタ(ローパスフィルタ18とハイパスフィルタ19)に通過させてバネ下制御対象速度V1'を算出するため、安価かつ効果的にバネ下制振制御に必要な周波数成分のみを抽出できる。
〔実施例2〕
実施例2は、包絡波形生成機能と遅延機能を1つのローパスフィルタで実現する例である。なお、実施例2は逐次包絡波形生成部14の構成のみ実施例1と異なるため、共通する構成については、同一呼称、同一の符号で表し、図示ならびに説明を省略する。
図17は、実施例2の逐次包絡波形生成部14の構成図であり、実施例2の逐次包絡波形生成部14は、絶対値演算器24とローパスフィルタ25と乗算器23とを有する。
絶対値演算器24は、バネ下制御対象速度V1'の絶対値|V1'|を算出する。つまり、バネ下制御対象速度V1'の方向成分(±符号)を排除する。
ローパスフィルタ25は、3つの乗算器25a,25b,25cと1つの遅延器25dと2つの加算器25e,25fを有するIIR(Infinite Impulse Response)型の3タップ移動平均フィルタであり、各乗算器25a,25b,25cのフィルタ係数b0,b1,-a1を調整することで移動平均の周波数特性を任意に設定できる。
ここで、ローパスフィルタ25の遮断周波数をバネ下速度検出部13のハイパスフィルタ19の遮断周波数と同じ周波数に設定することで、包絡波形V1_envは得られるが、実施例1で述べた課題2(ショック域におけるショックの緩和とダンピング域におけるバネ下振動の早期収束との両立)を解決するためには、実施例1と同様、遅延時間の設定が必要となる。この遅延時間は実施例1と同様の考え方で設定値が求められ、下記の式(5)の通りローパスフィルタ25の時定数がバネ下共振周期Tuの3/2倍〜10倍となるように、ローパスフィルタ25の遮断周波数fc3を設定することにより、実施例1の包絡波形生成器21による包絡波形生成機能と遅延器22の遅延機能の2つを得ることができる。
fc3 = 2/3 * 1/2π * fu 〜 1/10 * 1/2π * fu …(5)
実施例1におけるローパスフィルタ22aの遮断周波数fc3の設定範囲は、包絡波形近似精度が高いため、バネ下共振周期の1/4倍が下限であったが、実施例2では、近似精度が若干低下するため、1/4倍では高周波成分が除去しきれず、チャタリングの発生要因となりうる。この高周波成分を十分減衰させるには、バネ下共振周期の3/2倍の時定数となる遮断周波数を上限とするとよい。なお、高周波成分を除去するために、高次のローパスフィルタを用いてもよい。しかしながら、図13に示したバネ上振動波形(フロア上下加速度)から、バネ下共振周期の概ね3/2周期分までがショック域であり、本領域においては低減衰力特性であることが求められ、一方、3/2周期分以降がダンピング域であるから、式(5)のような遮断周波数の設定範囲でも十分実用に耐えうる精度を確保できる。
次に、実施例2の作用効果を説明する。
図18は、入力波形(fu = 15Hz)に対する包絡波形理論値と入力波形をローパスフィルタ25(遮断周波数f3 = 9.55Hz,1.59Hz,0.24Hz,0.024Hz)に通過させて生成された包絡波形V1_envとを示す図である。
(a) fc3 = 9.55Hzの場合
遮断周波数fcが式(5)に示した遮断周波数設定範囲上限を超えた9.55Hz、すなわちローパスフィルタ25の時定数をバネ下共振周期の1/4倍の時定数とした場合、包絡波形V1_envは生成できるものの、バネ下共振周波数の2倍成分が十分に減衰せず、ブルブル感悪化や、チャタリング、異音の発生を伴う。
(b) fc3 = 1.59Hzの場合
遮断周波数fcが遮断周波数設定範囲の上限値1.59Hz、すなわちローパスフィルタ25の時定数をバネ下共振周期の3/2倍の時定数とした場合、ブルブル感、チャタリング、異音は発生しない。
(c) fc3 = 0.24Hzの場合
遮断周波数fcが遮断周波数設定範囲の下限値0.24Hz、すなわちローパスフィルタ25の時定数をバネ下共振周期の10倍の時定数とした場合、状態量は、ショック域で小さく、ダンピング域で大きくなるため、ショックの緩和とダンピング特性の向上とを両立できる。また、包絡波形V1_envは滑らかであり、チャタリングや異音は発生しない。
(d) fc3 = 0.024Hzの場合
遮断周波数fcが遮断周波数設定範囲の下限を超えた0.024Hz、すなわちローパスフィルタ25の時定数をバネ下共振周期の100倍の時定数とした場合、遅れが大きすぎるため、バネ下振動に対して応答できず、包絡波形V1_envを生成できない。
以上の結果から、ローパスフィルタ25の時定数がバネ下共振周期Tuの3/2倍〜10倍となるようにローパスフィルタ25の遮断周波数fc3を設定することで、ショックの緩和とダンピング特性の向上とを両立できることがわかる。
よって、実施例2のサスペンション制御装置では、実施例1と同様の効果を奏する。また、バネ下上下速度V1の包絡波形V1_envを逐次生成する包絡波形生成機能と、包絡波形V1_envをバネ下上下速度V1に対して所定時間遅延させる遅延機能とを1つのローパスフィルタ25を用いて安価かつ容易に構成できる。さらに、実施例1の逐次包絡波形生成部14と比較して演算コストを低く抑えることができ、バネ下制振制御のようなリアルタイム制御への適用が容易である。
〔実施例3〕
実施例3は、バネ下制御対象速度の絶対値のピークから包絡波形を生成する例である。なお、実施例3は逐次包絡波形生成部14の構成のみ実施例1と異なるため、共通する構成については、同一呼称、同一の符号で表し、図示ならびに説明を省略する。
図19は、実施例3の逐次包絡波形生成部14の構成図であり、実施例3の逐次包絡波形生成部14は、包絡波形生成部26と遅延器22と乗算器23とを有する。
包絡波形生成部26は、絶対値演算器26aと、ピーク検出器26bと、判定器26cと、遅延器26dとを有する。
絶対値演算器26aは、バネ下制御対象速度V1'の絶対値|V1'|を算出する。つまり、バネ下制御対象速度V1'の方向成分(±符号)を排除する。
ピーク検出器26bは、下記の式(6)の立ち下がりによりピーク検出を行う。
dV(k)/dt = {V(k) - V(k - 1)}/T …(6)
判定器26cは、ピーク検出器26bによりピークが検出された場合、そのピーク値に更新し、未検出の場合は、前ステップ(前回制御周期)におけるピーク値を保持する。
遅延器26dは、前ステップでのピーク値を保持する。
ただし、バネ下制御対象速度の絶対値|V1'|のピークを取るだけでは包絡波形V1_envが階段状となり、高周波成分を含んでしまうため、チャタリングや異音の発生が問題となる。そこで、実施例3では、階段状の包絡波形を平滑化する。平滑化する方法は多々あるが、ここでは具体例として以下の2つの方法を示す。
1つ目の方法は、ローパスフィルタを用いる方法である。ここで、ローパスフィルタは既に遅延器22に設けられているため。遅延器22のローパスフィルタ22aを使用し、その遮断周波数fc3を下記の式(7)の範囲で設定する。
fc3 = 1/2π * fu 〜 1/10 * 1/2π * fu …(7)
2つ目の方法は、ピーク検出器26bの出力に変化率制限値を設ける方法である。変化率制限値alimは、同様にバネ下共振周期式から下記の式(8)のように決定され、下記の式(9)で示される出力を行う。
alim = 0.632/T, T = 1/fu 〜 10/fu …(8)
V_env(k) = V(k - 1) + alim*dt …(9)
次に、実施例3の作用効果を説明する。
図20は、上記平滑化の効果を示す包絡波形V1_envのタイムチャートであり、平滑化を実施しない場合(平滑前)、包絡波形V1_envが階段状となり、高周波数成分を含んでしまうため、チャタリングや異音が発生する。これに対し、平滑化を実施した場合(平滑後)、包絡波形V1_envから高周波数成分を除去でき、チャタリングや異音を抑制できる。よって、実施例1と同様の効果を奏する。
〔実施例4〕
実施例4は、バネ下共振周波数を推定する例である。なお、実施例4はバネ下共振周波数算出部11の構成のみ実施例1と異なるため、共通する構成については、同一呼称、同一の符号で表し、図示ならびに説明を省略する。
図21は、実施例4のバネ下共振周波数算出部11の構成図であり、実施例4のバネ下共振周波数算出部11は、バネ上の振動に伴い生じるバネ下上下加速度G1による誤検知を防ぐため、下記の式(10)のようにバネ下上下加速度G1の0.5〜3Hz成分の包絡波形が閾値Guth以下のときに演算、およびバネ下共振周波数の更新動作を行う。
G1env0.5〜3.0Hz ≦ Guth…(10)
以下、式(10)の条件を満たす場合のバネ下共振周波数算出部11の動作について構成と共に説明する。
フィルタバンク27aは、バネ下共振周波数fuを検索するため、周波数帯域毎の振動成分を抽出する。例えば、1/3オクターブバンドパスフィルタなどに代表されるバンドパスフィルタを高速に演算するため、実施例1〜3の逐次包絡波形生成部14と同様の構成とする。これにより、対象周波数域の振動成分をリアルタイムに算出できる。ここで、バネ下共振周波数fuの分解能を向上させるために、1/3オクターブバンドよりもさらに狭域のバンドパスフィルタ等を用いてもよい。または、更新時間や演算能力に余裕がある場合は、FFT(高速フーリエ変換)を用いてもよい。また、入力信号のバネ下上下加速度G1は車輪回転速度ωからの推定値を用いてもよい。
車速−振動レベル記憶部27bは、フィルタバンク27aの出力を車速Vと振動レベルのマップとして記憶する。
カーブフィット、傾き、平均値演算部27cは、車速−振動レベル記憶部27bから、カーブフィット近似を行う。このカーブフィット近似を行った結果に対し、車速依存性を抽出するための傾きを算出する。また、振動レベルの平均値を算出する。
傾き、平均値マップ記憶部27dは、カーブフィット、傾き、平均値演算部27cの出力を対応するフィルタ番号、傾き、平均値のマップとして記憶する。
バネ下共振判定部27eは、傾き、平均値マップ記憶部27dの出力から、バネ下共振周波数成分の振動レベルは車速Vに依存しないことを利用し、傾き値が下記の式(11)で示される閾値以下であることを満たし、かつその平均値の最大値となるフィルタ番号を出力する。なお、アンバランス振動や、タイヤチェーン装着等により生じる回転次数成分は、車速の上昇と共に振動レベルが上昇するため、傾き値が大きくなり、式(11)によりその振動成分がバネ下共振周波数の候補から除外されることになる。
傾き値≦G1_gradth …(11)
Filter番号−中心周波数変換部27fは、バネ下共振判定部27eの出力から、Filter番号をフィルタバンク27aにてあらかじめ設定してあるバンドパスフィルタの中心周波数へ変換する。これにより、バネ下共振周波数推定値fust[Hz]が求められる。
比較部27gは、Filter番号−中心周波数変換部27fの出力であるバネ下共振周波数推定値fustとあらかじめ設定したバネ下共振周波数のベース値との比較を行い、異なる場合にfuをfustに更新する。
次に、実施例4の作用効果を説明する。
バネ下共振周波数fuは、バネ下質量Mwとタイヤ縦バネKwで決まるが、ユーザのタイヤ・ホイール交換や、回転アンバランス振動、タイヤチェーンの装着等により、バネ下振動のピーク周波数が変動することが想定される。ここで、バネ下振動のピーク周波数が変動した場合、あらかじめ設定したバネ下共振周波数fu以外の振動成分が顕著となり、不要に高い減衰力を指令してしまうことが問題となる。
これに対し、実施例4では、バネ下上下加速度G1を複数の周波数成分領域に分割して各領域で車速変化と振動レベルとの関係を記憶し、各周波数成分領域のうち車速変化に対する振動レベルの変動を表すカーブフィット近似の傾き値が閾値G1_grdth以下であって、かつ、振動レベルの平均値が最大となる周波数成分領域に基づいてバネ下共振周波数推定値fustを算出するバネ下共振周波数算出部11を設けた。これにより、アンバランス振動やタイヤチェーン装着等によってバネ下共振周波数が変化した場合であっても、発生減衰力の過不足を抑制でき、実際のバネ下共振周波数に合致した制振制御を実現できる。
〔実施例5〕
実施例5は、実施例1における遅延器22のローパスフィルタ22aの遮断周波数fc3を走行環境やドライバの好みに応じて適宜変更する例である。なお、実施例5は遅延器22の構成のみ実施例1と異なるため、共通する構成については、同一呼称、同一の符号で表し、図示ならびに説明を省略する。
実施例5の遅延器22は、図22に示すように、バネ下共振周波数fuに対する遮断周波数指令値fc_comの設定マップを備える。このマップでは、バネ下共振周波数fuが高いほど大きな遮断周波数指令値fc_comが設定される。これにより、バネ下共振周波数fuが高周波のときは応答性が上がり、低周波のときは応答性が下がる。また、ドライバがSPORT走行モードとCOMFORT走行モードを選択可能な走行モード選択スイッチの信号を受け、SPORT走行モードが選択された場合はベース値に対して遮断周波数指令値fc_comを大きくし、COMFORT走行モードが選択された場合はベース値に対して遮断周波数指令値fc_comを小さくする。さらに、ワイパ動作信号を受け、雨天時はベース値に対して遮断周波数指令値fc_comを大きくする。
次に、実施例5の作用効果を説明する。
実施例5の遅延器22では、SPORT走行モードが選択された場合はベース値に対して遮断周波数指令値fc_comを大きくして応答性を高める。一方、COMFORT走行モードが選択された場合は遮断周波数指令値fc_comを小さくして応答性を低くする。これにより、ドライバの好みに応じた制振性能を実現できる。
また、雨天時には遮断周波数指令値fc_comを大きくしてバネ下振動の収束を早め、接地荷重変動を抑制することで、操縦安定性を確保でき、ドライバに安心感を与えることができる。
以上のように、実施例5のサスペンション制御装置では、走行環境(天候)やドライバの好み(ドライバの所望する走行モード)に基づいて遅延器22のローパスフィルタ22aの遮断周波数fc3を変更するため、走行環境やドライバの好みに応じた制振性能を提供できる。
〔実施例6〕
実施例6は、実施例1における目標減衰力演算部15の制御ゲインCを走行環境やドライバの好みに応じて適宜変更する例である。なお、実施例6は目標減衰力演算部15の構成のみ実施例1と異なるため、共通する構成については、同一呼称、同一の符号で表し、図示ならびに説明を省略する。
実施例6の目標減衰力演算部15では、図23に示すように、車速Vに対する制御ゲインCの設定マップを備える。このマップでは、車速Vが高いほど大きな制御ゲインCが設定される。また、実施例5と同様に走行モード選択スイッチの信号を受け、SPORT走行モードが選択された場合はベース値に対して制御ゲインCを大きくし、COMFORT走行モードが選択された場合はベース値に対して制御ゲインCを小さくする。さらに、ワイパ動作信号を受け、雨天時はベース値に対して制御ゲインCを大きくする。加えて、タイヤ回転アンバランス振動、チェーン装着等が検知された場合は、ベース値に対して制御ゲインCを小さくする。ここで、タイヤ回転アンバランス振動やチェーン装着等は、バネ下共振周波数算出部11により算出されるバネ下共振周波数fuの変化から検知できる。
次に、実施例6の作用効果を説明する。
車速Vの上昇と共に人間の感度は快適性よりも安全性や安心感に注意が向く。高車速域では、バネ下がバタついた際の1周期あたりの走行距離が伸びるため、接地性が失われやすく、低車速域よりも高い制御ゲインCでバネ下振動の収束を早める必要がある。一方、低車速域では、人間の感度は快適性に注意が向くため、バネ下振動を若干許容しても快適な乗心地が求められる。よって、車速Vが高いほど制御ゲインCを大きくすることで、高車速域における操縦安定性の確保と低車速域における乗り心地の向上とを両立できる。
SPORT走行モードが選択された場合は、制御ゲインCを上げることで目標減衰力F1を増加させ、バネ下振動の収束を早めることで、乗り心地よりも操縦安定性を優先させる。一方、COMFORT走行モードが選択された際は、制御ゲインCを下げることで目標減衰力F1を低下させ、若干バネ下振動を許容してでも乗心地を優先させる。これにより、ドライバの好みに応じた制振性能を実現できる。
また、雨天時は制御ゲインCを大きくしてバネ下振動の収束を早め、接地荷重変動を抑制することで、操縦安定性を確保でき、ドライバに安心感を与えることができる。
さらに、タイヤ回転アンバランス振動、チェーン装着等が検知された場合は、不要な制御力による乗心地の悪化を防ぐため、制御ゲインCを下げることで、快適性を確保できる。
以上のように、実施例6のサスペンション制御装置では、運転状況(車速V)、走行環境(天候)、ドライバの好み(ドライバの所望する走行モード)や車両特性(タイヤ回転アンバランス振動、チェーン装着等)に基づいて目標減衰力演算部15の制御ゲインCを変更するため、運転状況、走行環境、ドライバの好みや車両特性に応じた制振性能を提供できる。
(他の実施例)
以上、本発明を実施するための形態を、実施例に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
包絡波形の生成方法は任意である。また、実施例1において、バネ下制御対象速度V1'を90deg位相遅延させる位相遅延器の構成を、バネ下共振周期の1/4周期分を無駄時間としてタイムシフトする構成としてもよい。
実施例4〜6は、実施例2または3と組み合わせてもよい。また、実施例4〜6の2つまたは全てを組み合わせた構成としてもよい。
1 制御装置
2 ショックアブソーバ(減衰力発生手段)
3 アクチュエータ
11 バネ下共振周波数算出部(バネ下共振周波数算出手段)
12 バネ下速度演算部(バネ下速度検出手段)
13 バネ下速度検出部(バネ下制御対象速度算出手段)
14 逐次包絡波形生成部(逐次包絡波形生成手段)
15 目標減衰力演算部(目標減衰力演算手段)

Claims (5)

  1. 車輪と車体との間に設けられ、車体の上下振動に対して減衰力を発生すると共に減衰力を変更可能な減衰力発生手段と、
    方向成分を有する車両のバネ下速度を検出するバネ下速度検出手段と、
    前記バネ下速度の方向成分を排除することで絶対値化して包絡波形を逐次生成する逐次包絡波形生成手段と、
    前記包絡波形に基づいて前記減衰力発生手段の目標減衰力を演算する目標減衰力演算手段と、
    を備えたことを特徴とするサスペンション制御装置。
  2. 請求項1に記載のサスペンション制御装置において、
    前記逐次包絡波形生成手段は、前記包絡波形を前記バネ下速度に対して所定時間遅延させることを特徴とするサスペンション制御装置。
  3. 請求項2に記載のサスペンション制御装置において、
    前記逐次包絡波形生成手段は、バネ下共振周波数に基づいて前記包絡波形の遅延特性を設定することを特徴とするサスペンション制御装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のサスペンション制御装置において、
    前記バネ下速度からバネ下共振周波数成分を抽出したバネ下制御対象速度を算出するバネ下制御対象速度検出手段を備え、
    前記逐次包絡波形生成手段は、前記バネ下制御対象速度に基づいて前記包絡波形を生成することを特徴とするサスペンション制御装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のサスペンション制御装置において、
    バネ下加速度を複数の周波数成分領域に分割して各領域で車速変化と振動レベルとの関係を記憶し、各周波数成分領域のうち車速変化に対する振動レベルの変動が閾値以下であって、かつ、振動レベルの平均値が最大となる周波数成分領域に基づいてバネ下共振周波数を推定するバネ下共振周波数算出手段を設けたことを特徴とするサスペンション制御装置。
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