JPH08268025A - 車両用懸架装置 - Google Patents

車両用懸架装置

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JPH08268025A
JPH08268025A JP7688395A JP7688395A JPH08268025A JP H08268025 A JPH08268025 A JP H08268025A JP 7688395 A JP7688395 A JP 7688395A JP 7688395 A JP7688395 A JP 7688395A JP H08268025 A JPH08268025 A JP H08268025A
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JP
Japan
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damping force
speed
unsprung
vehicle body
damping
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Application number
JP7688395A
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English (en)
Inventor
Hideo Nakai
英雄 中井
Kazunori Yoshida
一徳 吉田
Kazunari Kamimura
一整 上村
Katsuji Yamashita
勝司 山下
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Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 スカイフック理論によって車体および車輪の
振動を抑え、乗り心地と接地性の両立を図る。 【構成】 車体10に対して制振制御を行うための減衰
力をスカイフック理論に基づき、バネ上要求減衰力算出
部30により算出する。一方車輪12に対して制振制御
を行うための減衰力をスカイフック理論に基づきバネ下
要求減衰力算出部32により算出する。バネ下要求減衰
力は、バネ下の共振周波数付近でのみ発生するように、
バネ下速度の検出信号をフィルタ28を通過させ、不要
な信号を除去した修正バネ下速度に基づき算出される。
そして、バネ上、バネ下要求減衰力を加算して制御目標
となるべき減衰力を制御減衰力算出部34に算出し、こ
の減衰力に基づき、調整部36にて減衰係数の制御を行
う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両用懸架装置に関
し、特に走行状況に応じて減衰力を変更可能なショック
アブソーバを車体と車輪の間に装着した車両用懸架装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】車両の懸架装置に要求される機能は主と
して、車体をバネでささえ、路面からの振動やショック
を吸収し、車体および車輪の振動を抑制して乗り心地を
向上させる機能と、車輪を車体に対して適切な剛性をも
たせて結合し、車輪と路面の間に生ずる前後左右の力を
確実に車体に伝達して操縦性を向上させる機能とがあ
る。
【0003】これらの機能は、互いに相反する要因を含
むことが多く、バネやショックアブソーバなどの懸架装
置を構成する部品の特性は、いずれかの機能に偏らない
ように適当な妥協点に合わせて設定されている。たとえ
ば、路面入力を十分に緩和するためには、ショックアブ
ソーバの減衰係数を小さく設定する必要があるが、こう
した場合一旦発生した振動を減衰するのに時間を要し、
ふわふわとして収まりの悪い乗り心地となる。
【0004】このように、相反する機能の各々につい
て、さらなる向上を求めて懸架装置の構成部品の特性を
走行状況に応じて変更する技術が多数研究・開発され、
その一部はすでに実用に供されている。
【0005】図9には、ショックアブソーバの減衰力を
変更できる懸架装置の解析モデルが示されている。図示
するように、この解析モデルは2自由度振動系であり、
車輪などのバネ下質量M1 と路面からの入力点Rの間に
は、タイヤの特性によって決定するバネ要素K1 と減衰
要素C1 が介在し、またバネ下質量M1 と車体などのバ
ネ上質量M2 の間にはバネ要素K2 と減衰要素C2 が介
在する。バネ要素K1と減衰要素C1 は、タイヤの特性
によってほぼ決定してしまうので可変要素として取り扱
うことは困難であり、固定要素としている。また、バネ
要素K2 についても固定要素とし、減衰要素C2 のみ変
更可能な要素としている。また、座標系は、路面からの
入力点(タイヤ接地点)の座標x0 、バネ下質量の座標
x1 およびバネ上質量x2 の座標は、上方向を正とす
る。バネ上質量に対するバネ下質量の相対変位Yについ
ては、双方が近づく方向を正とする。
【0006】図10には、図9に示される振動モデルの
入力点Rに単一周波数の振動を与え、この振動によって
生じるバネ上質量M2 の加速度までの伝達率が示されて
る。図に示すように、減衰要素C2 の減衰係数を変更す
ると伝達率は変化し、減衰係数が小さいときには、全体
的には伝達率は小さいもの、1Hz付近および10Hz
付近に伝達率が高くなる領域が存在する。また、減衰係
数を大きくすると、前述のようなピークは存在しなくな
るが、全体的に伝達率が大きくなる。
【0007】図11には、図9に示される振動モデルの
入力点Rに単一周波数の振動を与え、この振動によって
生じるバネ下質量M1 の路面に対する相対変位までの伝
達率が示されている。この場合も減衰係数が小さい場合
は、10Hz付近で伝達率がピークとなり、減衰係数が
大きい場合はこのピークが存在しなくなる。
【0008】バネ上質量M2 までの伝達率において、1
Hz付近のピークはバネ上質量固有の共振によって引き
起こされるものであると考えられ、また10Hz付近の
ピークは、バネ下の共振によって引き起こされるピーク
であると考えられる。バネ下の共振が発生した場合、バ
ネ下質量M1 (車輪)の路面追従性が悪化し、接地力が
十分に確保されない場合が起こりうる。これらのピーク
を減少させるためには、この共振領域において、減衰係
数を大きくすることで対応可能である。また、これらの
共振領域以外では減衰係数を小さく設定することにより
バネ上質量M2への振動伝達を抑えることができる。こ
のような制御、すなわち入力振動の周波数成分に応じて
適切な減衰係数を設定する制御を行う装置がすでに開発
されている。
【0009】以上のような減衰係数の制御は、入力され
る振動の周期に比して比較的長い期間に対して行われ
る。すなわち、可変減衰要素C2 (ショックアブソー
バ)が1回の伸縮運動をする間には、減衰係数はほとん
ど変更されない。これに対して、ショックアブソーバの
1回の伸縮運動の間に、刻々と減衰係数を変化させ、振
動伝達を抑え、また一旦発生した振動を速やかに収束さ
せる技術がある。このような技術が、特開平5−238
233号公報、特開平3−227711号公報、特開平
5−162523号公報、特開平6−247121号公
報などに記載されている。
【0010】前記の第1の技術は、車体の上下速度と相
対速度とが同符号のときにショックアブソーバの減衰力
を最小に設定し、異符号のときには減衰力が車体速度に
比例して発生するようにショックアブソーバの減衰力を
調整する技術である。
【0011】第2の技術は、車体の速度と相対速度の符
号の関係に基づき、ショックアブソーバの減衰力をソフ
ト側に設定するかハード側に設定するかを決め、かつ、
バネ上共振周波数近傍およびバネ下共振周波数近傍の車
体加速度のパワースペクトルに基づき前記ハード側の値
を変更する制御を行っている。
【0012】第3の技術は、ショックアブソーバに減衰
力調整バルブと周波数感応バルブとを直列に配置し、振
動周波数がバネ上振動周波数領域にあるときは、周波数
感応バルブのバルブ開度を車体上下速度と相対速度によ
り調整するとともに周波数感応バルブの発生減衰力を小
さくして、全体での発生減衰力を減衰力調整バルブの発
生減衰力にほぼ等しくし、また、振動周波数がバネ下振
動周波数領域にあるときには、周波数感応バルブの発生
減衰力を高くすることにより、全体での発生減衰力を減
衰力調整バルブの発生減衰力によらず高くする。
【0013】また、第4の技術は、車体制御に関する重
み係数と車体の上下速度との積から車輪制御に関する重
み係数と車輪上下速度との積を差し引いた値に相対速度
を掛ける演算を行い、この演算により得られる値の正負
でソフト減衰特性とハード減衰特性とを選択し、かつ車
両情報(バネ上入力)においてバネ上共振周波数帯の値
が大きければ、車体に関する重み係数を大きくする一方
で車輪に関する重み係数を小さくし、逆にバネ下共振周
波数帯の値が大きければ、車体に関する重み係数を小さ
くする一方で車輪に関する重み係数を大きくする。これ
を式で記述すると以下のようになる。
【0014】
【数1】
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、第1の
技術においては、いわゆるスカイフック理論に基づく制
御であり、車体の振動を抑え乗り心地を確保することは
できるが、車体対象を車体振動のみとしているので、車
輪の振動を有効に制御することができず接地性の改善の
余地が残されている。
【0016】第2の技術においては、車体の制振性能、
乗り心地および接地性を確保するために、車輪の上下方
向の速度と車体と車輪の相対速度との位相を考慮せず、
バネ上共振周波数、バネ下共振周波数近傍の周波数帯域
の車体上下加速度のパワースペクトルの増減に応じて、
単にショックアブソーバのハード側の値を増減している
だけである。そのため、車輪に適切な減衰力を与えられ
ず十分な接地性を確保できないだけでなく、不必要な時
に減衰力を増加させることがあるため、スカイフック理
論に基づく技術により確保される車体の制振性能および
乗り心地も達成できない場合がある。
【0017】第3の技術においては、振動周波数がバネ
上共振領域にあるときは、車体の制振性能、乗り心地を
確保し、振動周波数がバネ下共振領域にあるときは、接
地性を確保することを目的としている。しかしながら、
振動周波数がバネ下共振領域にあるときには、前記バネ
下速度と前記相対速度との位相を考慮せず、ただ発生減
衰力を高くしているため、バネ下に適切な減衰力を与え
られず、十分な接地性を確保できないだけでなく、必要
のないときにも減衰力を増加させることがあるため、ス
カイフック理論に基づく技術などで確保される車体の制
振性能および乗り心地も達成できない場合がある。ま
た、この従来の技術においては、減衰力調整バルブの他
に周波数感応バルブを必要とするため、構成が複雑とな
る。
【0018】また、第4の従来技術においては、車体に
対するスカイフック制御と、車輪に対するスカイフック
制御によって算出されたショックアブソーバの減衰係数
の設定が相反する設定となった場合、すなわち一方の要
求がソフト設定であり他方がハード設定となった場合に
おいては、減衰係数をソフト設定(減衰力を実質的に最
小とする)するように制御している。
【0019】これを図12にて説明する。図に示すよう
に、横軸に車体上下速度と車体と車輪の上下速度の積を
採り、縦軸に車輪上下速度と車体と車輪の上下速度の積
を採る。そして、式(1)に示すように、重み係数が掛
けられた車体上下速度と車輪上下速度の差と相対速度が
同符号のときである図中の直線Aより上の領域で、減衰
力をハード設定に制御している。このような制御による
と、車体または車輪のいずれか一方にのみスカイフック
制御を行う場合において、ハード設定されるべきとき
に、ハード設定がなされない場合が生じる。すなわち、
車体を対象としたスカイフック制御によれば、図の座標
平面の第2象限と第3象限に対して、ハード設定をする
必要があるが、第4の従来技術によれば、第3象限の領
域(a)においては、ハードの設定されないことにな
る。この領域は、重み係数の値によって変化するが、な
くなることはない。また、車輪の共振周波数帯のパワー
スペクトルが大きい場合、直線Aの傾きは小さくなり、
前記の領域(a)が拡大する。その結果、車体制振をす
るために減衰力をハードに設定すべき条件の下でもハー
ドとならない場合が増加してしまう。
【0020】図13には、車体と車輪の一方に対しスカ
イフック理論を適用した場合の減衰力の時間的変化と、
第4の従来技術による減衰力の時間的変化を比較するグ
ラフが示されている。グラフ(a)は車体振動のみを対
象として制振制御を行った場合のショックアブソーバの
特性の時間変化を示すものであり、グラフ(b)は車輪
の振動を対象としたときのショックアブソーバの特性で
ある。車体と車輪の振動は、その位相や周波数は一致す
るとは限らないので、図に示すように、一方がハード設
定となるときに他方がソフト設定となることも起こり得
る。特に車輪の振動が共振周波数付近である場合、前述
の重み係数βが大きくなるので、車輪の振動に重点をお
いて制御がなされる。そして、このときの、グラフ
(c)に示すように、グラフ(b)とほとんど同一の波
形となる。したがって、図中の期間T1 ,T2 におい
て、車体の制振を行う上でハード設定にされるべきであ
るのに、このように制御されない状況が生じる。
【0021】以上のように、前述の各従来技術において
は、車体に対する制振と、車輪に対する制振の双方を良
好に制御することができないという問題があった。
【0022】本発明は前述の問題点を解決するためにな
されたものであり、このような車体の制振性能、乗り心
地および接地性を確保可能な車両用懸架装置を提供する
ことを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】前述の目的を達成するた
めに、本発明にかかる車両用懸架装置は、車体と車輪の
間に介在し、減衰力が制御可能なショックアブソーバ
と、前記車体の上下方向の速度であるバネ上速度を算出
するバネ上速度算出手段と、前記車体に対する車輪の相
対速度を算出する相対速度算出手段と、前記車輪の上下
方向の速度であるバネ下速度を算出するバネ下速度算出
手段と、前記バネ下速度からバネ下共振周波数帯域の成
分を通過させ、修正バネ下速度を算出するフィルタと、
を有し、前記バネ上速度およびバネ下速度は上向きを正
とし、前記相対速度は前記車体と前記車輪が近づく向き
を正として、前記バネ上速度と前記相対速度が同符号の
ときには実質的に最小であり、異符号のときには前記バ
ネ上速度に比例した値であるバネ上要求減衰力を算出す
るバネ上要求減衰力算出手段と、前記修正バネ下速度と
前記相対速度が異符号のときには実質的に最小であり、
同符号の時には、前記修正バネ下速度に比例した値であ
るバネ下要求減衰力を算出するバネ下要求減衰力算出手
段と、前記バネ上要求減衰力と前記バネ上要求減衰力を
加算して、制御減衰力を算出する制御減衰力算出手段
と、前記制御減衰力に基づき前記ショックアブソーバの
減衰力を調整する減衰力調整手段とを有している。
【0024】
【作用】本発明は以上のような構成を有しており、車体
の上下速度、車体と車輪の相対速度および車輪の上下速
度に基づき制御目標となる減衰力の算出を行っている。
車体の上下速度と車体・車輪の相対速度とから車体の制
振を行うのに適した減衰力(バネ上要求減衰力)が算出
される。また、車輪の制振に関しては、車輪の上下速度
を算出し、さらにこれよりバネ下共振周波数付近の周波
数成分のみをフィルタによって抽出して、この修正され
た車輪上下速度を用いる。そして、この修正車輪速度
(修正バネ下速度)と相対速度に基づき車輪の制振を行
うのに適した減衰力(バネ下要求減衰力)が算出され
る。このバネ下減衰力は、バネ下共振周波数付近でのみ
実質的な値を有し、その他の領域においては前記のバネ
上減衰力に対して十分小さい値を有する。言い換えれ
ば、このような特性を有するように前記のフィルタの特
性が決定されている。
【0025】そして、前記のバネ上・バネ下要求減衰力
を加算して制御目標となる制御減衰力を算出し、この制
御減衰力が実現されるようにショックアブソーバの調整
が行われる。
【0026】したがって、車輪の振動が問題とならない
領域においては、前記バネ上速度と前記相対速度が同符
号のときには減衰力を実質的に最小とし、異符号のとき
には前記バネ上速度に比例した減衰力を与えるという車
体に対するスカイフック理論によって、車体の制振を行
う。前述のように、この領域においては、修正バネ下速
度がごく小さい値をとるので、従来の車体に対するスカ
イフック理論によって算出された減衰力とほぼ等しい制
御減衰力が算出される。よって、従来の車体に対する制
振制御と同等の制振特性を得ることができる。
【0027】一方、車輪の振動が問題となる領域におい
ては、修正バネ下速度が十分に大きな値をとり、バネ下
要求減衰力がバネ上要求減衰力に対して無視できない程
度の大きさとなる。したがって、これらの要求減衰力を
加えた制御減衰力は、従来の車体に対するスカイフック
理論による制御減衰力以上の値になる。したがって、従
来の制御において、減衰力が0または最小の値として制
御されるバネ上速度と相対速度が同符号のときにおいて
も、修正バネ下速度に比例した減衰力を設定することが
できるので、車輪に対して制振制御を行うことができ
る。
【0028】したがって、本発明によれば、バネ上すな
わち車体に対して十分な制振特性を確保しつつ、バネ下
の振動も抑えることによって、接地性の確保も同時に行
える。
【0029】
【実施例】以下、本発明にかかる好適な実施例を図面に
従って説明する。
【0030】図1には、本実施例の構成ブロック図が示
されている。車体10と車輪12の間には、バネ14お
よびショックアブソーバ16が介在し、路面から車体へ
の入力の緩和作用や、車体に発生した振動の減衰作用を
担っている。特に、本実施例のショックアブソーバ16
は、内部に封入された流体の流路に設けられたオリフィ
スの開口面積を変化させることによってその減衰係数を
変化させることが可能である。
【0031】なお、本実施例の系においては、図9のモ
デルと同様に、車体10および車輪12の地上に対する
変位(絶対変位)は上方向を正とし、車体10に対する
車輪12の変位(相対変位)は、これらが近づく方向を
正として、以下の説明を行う。
【0032】さらに、車体10および車輪12の挙動を
検出するための検出器である加速度検出器18が車体1
0に、車体10に対する車輪12の変位を検出する相対
変位検出器20が車体10と車輪12の間に配置されて
いる。加速度検出器18は、車体10の上下方向の加速
度を検出し、検出値をバネ上速度算出部22に送出す
る。このバネ上速度算出部22では、前記検出された加
速度を積分して車体10の上下方向の速度(d(x2)/dt)
を算出する。一方、相対変位検出器20にて検出された
相対変位は相対速度算出部24に送出され、ここで微分
され車体10に対する車輪12の相対速度(dy/dt )が
算出される。また、バネ下速度検出部26において、前
記の車体10の上下方向速度(d(x2)/dt)と相対速度
(dy/dt )より、車輪12の絶対速度(d(x1)/dt)が算
出される。さらに、車輪12の速度(d(x1)/dt)は、バ
ネ下の共振周波数領域の信号のみを通過させるフィルタ
28によって、修正速度(d(z1)/dt)に加工される。こ
のフィルタ28の特性については後述する。
【0033】以上によって、車体10と車輪12の挙動
が検出できる。この車体10と車輪12の挙動に対し
て、ショックアブソーバ16の減衰力を調整して適正な
制振制御を行う。
【0034】まず、車体10に対する制御は、従来技術
などに示されたスカイフック理論を用いて行うことがで
きる。すなわち、車体速度(d(x1)/dt)と相対速度(dy
/dt)が同符号のときには減衰力fcsを0とし、異符号
のときには車体速度(d(x2)/dt)に比例した減衰力fcs
を設定する。この減衰力fcsは、車体10の制振を行う
ために要求される減衰力(バネ上要求減衰力)であり、
これがバネ上減衰力算出部30にて算出される。また、
このバネ上要求減衰力fcsを式で表すと次式となる。
【数2】 ここでCs は減衰係数である。
【0035】次に、車輪12に対してもスカイフック理
論を適用して制御を行う。このとき車輪速度は前述の修
正速度(d(z1)/dt) が用いられる。車輪12に対して振
動制御を行う必要があるのは、車輪12が共振して、こ
れが車体10に伝達したり、接地性を悪化させる場合で
あるので、この共振領域である。したがって、このバネ
下の共振領域以外では、本実施例の制御系に対し、車輪
12が影響を及ぼさないように、フィルタ28によって
不要な成分を除去している。そして、修正車輪速度(d
(z1)/dt)と相対速度(dy/dt )が同符号のときには、
修正車輪速度(d(z1)/dt)に比例した値に減衰力fcuを
設定する。一方、異符号であるときには、0に設定す
る。この減衰力fcuは、車輪12の制振を行うために要
求される減衰力(バネ下要求減衰力)であり、これがバ
ネ下要求減衰力算出部32にて算出される。このバネ下
要求減衰力fcuを式で表すと次式となる。
【数3】 ここでCu は減衰係数である。
【0036】以上のバネ上、バネ下要求減衰力fcs、f
cuを制御減衰力算出部34において加算し、制御目標と
なる制御減衰力fc を算出する。そして、この制御減衰
力fc に基づき、ショックアブソーバ16の制御が行わ
れる。ショックアブソーバ16で発生できる減衰力は、
ショックアブソーバ16の伸長速度および前述のオリフ
ィス開口面積の関数として表される。したがって、前記
の制御減衰力fc を発生させるためには、車体10や車
輪12の速度ではなく、ショックアブソーバの伸長速
度、すなわち車体・車輪間の相対速度の情報も得て、シ
ョックアブソーバ16の制御を行う必要がある。ショッ
クアブソーバ16で発生すべき減衰力fcは、次式で表
される。
【数4】 ここでCは減衰係数である。したがって、所望の制御減
衰力fc を発生させるために減衰係数Cを調整する。一
般的に、ショックアブソーバにおいては、減衰係数Cは
オリフィス開口面積の関数として与えられる。よって、
調整部36では、式(4)に基づき所望の制御減衰力f
c と相対速度(dy/dt )から減衰係数Cを求め、この減
衰係数Cが達成されるようにオリフィスの開口面積を調
整する。
【0037】以上の本実施例によれば、バネ下共振領域
以外の場合においては、修正車輪速度(d(z1)/dt)は十
分に小さいので、これに比例するバネ下要求減衰力fcu
は、バネ上要求減衰力fcsに対して十分小さく、制御減
衰力fc にも影響を与えない。したがって、この領域に
おいて、制御減衰力fc は従来技術に示されるスカイフ
ック理論より求められる値とほとんど等しい値となり、
車体10の制振特性が十分満足される。一方、バネ下共
振領域においては、バネ上、バネ下要求減衰力fcs、f
cuが加えられた制御減衰力fc が発生する。式(2)、
式(3)によれば、相対速度(dy/dt )と車体速度(d
(x2)/dt)および修正車輪速度(d(z1)/dt)の関係によ
って、バネ上、バネ下要求減衰力fcs、fcuが0として
算出される時点があるが、これらを加算することによっ
て、一方が0として算出された場合においても、他方の
減衰力が0でない場合は、これが制御減衰力fc にな
り、適切な減衰力を発生させることができる。
【0038】図2には、車体10と車輪の一方に対しス
カイフック理論を適用した場合の減衰力の時間的変化
と、本実施例の装置による減衰力の時間的変化の比較例
が示されている。グラフ(a),(b)は図13と同様
車体振動と車輪振動のいずれか一方を制振する場合のシ
ョックアブソーバの特性の時間変化を示し、グラフ
(c)は本実施例による特性の時間変化を示している。
図に示されるように、車体10の制振のためにハード設
定とすべきときも、車輪12の制振のためにハード設定
とすべきときも、双方ともハード設定となり、双方に対
して制振制御が行われる。すなわち、図13で車体10
の制振のために必要であるにも拘らずハード設定となら
なかった期間T1 ,T2 に対してもショックアブソーバ
16は、ハード特性に設定される。
【0039】本実施例の作動特性を図12と同様の座標
平面に表すと、図3のようになる。すなわち、車体10
の振動を抑えるためにショックアブソーバ16をハード
設定とする必要がある領域c(第2、3象限)において
ハード設定がなされ、車輪12の振動を抑えるためにハ
ード設定とする必要がある領域d(第1、2象限)にお
いてもハード設定がなされる。前述の第4の従来技術の
ようにハード設定を行う必要があるにもかかわらず、ハ
ード設定がなされない領域(図12の領域a,b)が、
本実施例においては存在しない。したがって、ショック
アブソーバ16の減衰力をハード設定とする必要がある
場合には、かならずハード設定がなされる。
【0040】以上の装置の減衰係数について考察する。
解析モデルとして図9のモデルを用いる。ショックアブ
ソーバ16にて発生する減衰力は、ショックアブソーバ
16の伸縮の速度に比例するので、実際には(2)、
(3)式のように、車体の速度(d(x2)/dt)や修正車輪
速度(d(z1)/dt)の関数ではなく、車体10と車輪12
の相対速度(dy/dt )の関数となる。したがって、
(2)、(3)式は、実際には、次の式で表される。
【数5】 前述のように、減衰係数Cs ,Cu は一定値であり、車
体速度(d(x2)/dt)や修正車輪速度(d(z1)/dt)は相対
速度(dy/dt )に比例しないので、(5)、(6)式に
おける減衰係数C2s,C2uは一定とならず、時間的に変
化する。したがって、この減衰係数C2s,C2uを単純に
比較することは難しい。
【0041】そこで、図9の解析モデルのC2 を固定と
し、このモデルに所定の周波数を入力し、この時(5)
式により計算される減衰係数C2Sの時間平均を、減衰係
数C2sとして解析を行う。図4は、固定値C2 を500
0,1000,100(Ns/m)としたときに各入力
周波数と減衰係数C2sの関係を示すグラフである。固定
値C2 の値は、ショックアブソーバの減衰率の設定可能
な範囲に基づいて定められており、5000(Ns/
m)がほぼ設定上限値であり、100(Ns/m)がほ
ぼ設定下限値である。実際の制御においては減衰係数C
2sは時間的に変化するので、図4に示される結果と必ず
しも一致しないが、ほぼ上記の上限値と下限値の間に入
る。したがって、スカイフック理論による減衰係数C2s
の特性もほぼ図4に示す特性に近い特性を示すものと考
えられる。
【0042】(6)式においても同様に、図9の解析モ
デルのC2 を固定とし、このモデルに所定の周波数を入
力し、この時(6)式により計算される減衰係数C2uの
時間平均を、減衰係数C2uとして解析を行う。この結果
が図5に示されている。図5においては、バネ下共振領
域(10Hz付近)でピークが現われているが、これは
(6)式が修正車輪速度(d(z1)/dt)を用いている結果
であり、逆に言えば、このような特性を得るためにフィ
ルタ28が用いられている。
【0043】そして、本実施例において発生する減衰力
fc はバネ上要求減衰力fcsとバネ下要求減衰力fcuの
和であるので、次式で表される。
【数6】 (5)、(6)式において要求減衰力が0となる場合
は、(7)式においては、減衰係数C2s,C2uが0とな
るとして読み替えれば良い。減衰係数C2s,C2uは固定
値ではないので、前述のように時間平均された減衰係数
C2s,C2uとして取り扱う。したがって、(7)式は次
式のように書き換えられる。
【数7】 この減衰係数C2 は、図4と図5に示された減衰係数C
2s,C2uを加算したものとなることが分かる。この減衰
係数C2 の周波数特性を図6に示す。図4および図5と
同様、図6に示される特性は、減衰係数は固定値として
解析が行われているので、実際の装置を制御した場合と
は、厳密には異なる特性であるが、傾向としては、大き
くずれることはない。すなわち、バネ上共振周波数付近
においては、車体10に対する制振制御を同等の特性を
有し、バネ下共振周波数付近においては、車体10と車
輪12の双方に対する制振制御が行われる。
【0044】図7および図8は、従来のスカイフック理
論による制御結果と、本実施例による制振制御の周波数
特性を比較した図である。減衰係数が固定されたショッ
クアブソーバの場合の伝達率を示した図10、図11と
比較したとき、1Hz付近のバネ上共振によるピーク
は、従来のスカイフック理論と同等に抑えられている。
また、10Hz付近のピークは残存するものの、従来の
スカイフック理論に対してピークの高さが低く、本実施
例の効果が現われている。
【0045】なお、本実施例の装置においては、車輪1
2の速度は、車体10と車輪12の相対変位と、車体1
0の加速度に基づき求めているが、車輪12に加速度検
出器を取り付け、この出力に基づき速度を算出し、これ
を用いて制御を行うことも可能である。さらには、車両
の周波数応答特性を予め求めておけば、車体10の加速
度から、車輪12の挙動を推定し、これを用いて制御を
行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる実施例の構成を示す図であ
る。
【図2】 本実施例の減衰係数の時間変化の様子の一例
を示す図である。
【図3】 本実施例の制振制御が行われる範囲を示す図
である。
【図4】 本実施例の減衰率の周波数特性を推定するた
めの図である。
【図5】 本実施例の減衰率の周波数特性を推定するた
めの図である。
【図6】 本実施例の減衰率の周波数特性を推定するた
めの図である。
【図7】 本実施例の制振特性を振動伝達率を用いて表
した図である。
【図8】 本実施例の制振特性を振動伝達率を用いて表
した図である。
【図9】 2自由度振動系モデルを示す図である。
【図10】 図9の振動モデルの伝達率を示した図であ
る。
【図11】 図9の振動モデルの伝達率を示した図であ
る。
【図12】 特開平6−247121号公報に示された
装置の制振制御が行われる範囲を示す図である。
【図13】 特開平6−247121号公報に示された
装置の減衰係数の時間変化の様子の一例を示す図であ
る。
【符号の説明】
10 車体、12 車輪、16 ショックアブソーバ、
22 バネ上速度算出部、24 相対速度算出部、26
バネ下速度算出部、28 フィルタ、30バネ上要求
減衰力算出部、32 バネ下要求減衰力算出部、34
制御減衰力算出部、36 調整部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 一徳 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 上村 一整 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 山下 勝司 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体と車輪の間に介在し、減衰力が制御
    可能なショックアブソーバと、 前記車体の上下方向の速度であるバネ上速度を算出する
    バネ上速度算出手段と、 前記車体に対する車輪の相対速度を算出する相対速度算
    出手段と、 前記車輪の上下方向の速度であるバネ下速度を算出する
    バネ下速度算出手段と、 前記バネ下速度からバネ下共振周波数帯域の成分を通過
    させ、修正バネ下速度を算出するフィルタと、を有し、
    前記バネ上速度およびバネ下速度は上向きを正とし、前
    記相対速度は前記車体と前記車輪が近づく向きを正とし
    て、 前記バネ上速度と前記相対速度が同符号のときには実質
    的に最小であり、異符号のときには前記バネ上速度に比
    例した値であるバネ上要求減衰力を算出するバネ上要求
    減衰力算出手段と、 前記修正バネ下速度と前記相対速度が異符号のときには
    実質的に最小であり、同符号の時には、前記修正バネ下
    速度に比例した値であるバネ下要求減衰力を算出するバ
    ネ下要求減衰力算出手段と、 前記バネ上要求減衰力と前記バネ上要求減衰力を加算し
    て、制御減衰力を算出する制御減衰力算出手段と、 前記制御減衰力に基づき前記ショックアブソーバの減衰
    力を調整する減衰力調整手段と、を有することを特徴と
    する車両用懸架装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006273222A (ja) * 2005-03-30 2006-10-12 Honda Motor Co Ltd 可変減衰力ダンパーの制御装置
JP2007302211A (ja) * 2006-05-15 2007-11-22 Toyota Motor Corp サスペンションシステム
JP2010155474A (ja) * 2008-12-26 2010-07-15 Nissan Motor Co Ltd サスペンション制御装置、及びサスペンション制御方法
JP2010253989A (ja) * 2009-04-21 2010-11-11 Nissan Motor Co Ltd サスペンション制御装置及びサスペンション制御方法

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