JP2011219395A - α,β−不飽和アルデヒドの製造方法 - Google Patents

α,β−不飽和アルデヒドの製造方法 Download PDF

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Shinsuke Kashiki
信介 樫木
Akinobu Takeda
明展 竹田
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五朗 浅沼
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Abstract

【課題】工業的に有利な手法によって、2−エチルクロトンアルデヒド(ECD)などのα,β−不飽和アルデヒドを高収率で製造しうる手段を提供する。
【解決手段】α,β−不飽和アルデヒドを製造する際に、アセトアルデヒドと化学式1で表されるアルデヒドとをアルドール反応させて、化学式2で表されるβ−ヒドロキシカルボニル化合物を含む反応物を得た後、酸を含有する熱水中に当該反応物を連続的に供給して、上記β−ヒドロキシカルボニル化合物の脱水により生成する化学式3で表されるα,β−不飽和アルデヒドを水との共沸により分離する。
【選択図】なし

Description

本発明は、α,β−不飽和アルデヒドの製造方法に関する。具体的には、アセトアルデヒドと2つのα水素を有する他のアルデヒドとの交差アルドール反応により得られるβ−ヒドロキシカルボニル化合物の脱水によりα,β−不飽和アルデヒドを製造する方法に関する。本発明の製造方法により得られるα,β−不飽和アルデヒドは、種々の医薬、農薬などの原料などとして用いられうる。
α,β−不飽和アルデヒドは、アルデヒド基のα位炭素とβ位炭素との間に不飽和二重結合を有するアルデヒド化合物の総称である。かようなα,β−不飽和アルデヒドの1つとして、従来、2−エチルクロトンアルデヒド(ECD)が知られている。このECDは、下記の化学式:
Figure 2011219395
で表され、trans−クロトンアルデヒドの2位の水素原子がエチル基により置換された構造を有する。
従来、このECDの製造方法として、一般的なα,β−不飽和アルデヒドと同様に、原料であるアセトアルデヒド(AA)とn−ブチルアルデヒド(n−BA)との混合物を触媒の存在下に反応させて交差アルドール反応させ、得られた反応物に含まれるβ−ヒドロキシカルボニル化合物(アルドール;具体的には2−エチル−3−ヒドロキシブチルアルデヒド)を脱水させて、最終的にECDを得るという手法が知られている。
例えば、特許文献1には、AAとn−BAとをアルドール反応させて得られるアルドール反応液を苛性アルカリの沸騰水液中に連続的に供給し、アルドールの脱水により生成したECDを水蒸気と共に留出させてECDを得る手法が開示されている。
また、特許文献2には、AAとn−BAとのアルドール反応生成物を酸性条件下で脱水反応させる方法において、脱水反応混合物から分離された多塩基酸の酸性塩を含有する水溶液を脱水反応系に循環させて、ECDを得る手法が開示されている。
さらに、特許文献3には、AAn−BAとのアルドール反応生成物を脱水反応させる方法において、(1)酸性脱水剤で処理し、(2)生成した不飽和アルデヒドを蒸留により分離し、(3)次いで得られる残留物をアルカリで処理して、ECDを得る手法が開示されている。
また、特許文献4には、苛性アルカリまたは炭酸アルカリを触媒とし、AAとn−BAとを反応させて、3−ヒドロキシアルデヒドおよびECDを得る手法が開示されている。
さらに、特許文献5には、所定のゼオライト担持塩基組成物を触媒とし、AAとn−BAとを反応させて、ECDを得る手法が開示されている。
また、特許文献6には、カチオン性イオン交換樹脂を触媒とし、AAとn−BAとを反応させて、ECDを得る手法が開示されている。
特公昭57−61010号公報 特公昭49−6887号公報 特公昭48−42042号公報 特開2003−26626号公報 特開平9−57108号公報 特開平10−59892号公報
上述した各特許文献に記載の方法では、いずれも何らかの課題が未解決のまま存在している。具体的には、特許文献1〜5に記載の方法では、依然として収率が低く、いまだ満足のいくレベルには達していない。また、特許文献6に記載の方法では、収率の改善が認められるものの、100℃以上の高温条件、10kg/cm程度の高圧条件のもとで反応を実施する必要があり、工業的に不利であるという問題がある。
そこで本発明は、工業的に有利な手法によって、2−エチルクロトンアルデヒド(ECD)などのα,β−不飽和アルデヒドを高収率で製造しうる手段を提供することを目的とする。
本発明者は上記問題を解決すべく鋭意検討を行なった。その結果、アセトアルデヒドと他のα水素含有アルデヒドとの交差アルドール反応により得られたアルドール含有反応物を、酸を含有する熱水中に連続的に供給することによりアルドールを脱水させ、生成したα,β−不飽和アルデヒドを水との共沸により分離することで、高温高圧条件を必要とすることなく高収率でECD等のα,β−不飽和アルデヒドが製造されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
このようにして完成された本発明のα,β−不飽和アルデヒドの製造方法は、アセトアルデヒドと、下記化学式1:
Figure 2011219395
式中、Rは炭素数1〜30のアルキル基または炭素数3〜30のシクロアルキル基を表す、
で表されるアルデヒド(以下、化学式1で表されるアルデヒドを「アルデヒド(1)」とも称する)とをアルドール反応させて、下記化学式2:
Figure 2011219395
で表されるβ−ヒドロキシカルボニル化合物を含む反応物を得る工程(以下、「第1工程」とも称する)と、
酸を含有する熱水中に前記反応物を連続的に供給して、前記β−ヒドロキシカルボニル化合物の脱水により生成する下記化学式3:
Figure 2011219395
で表されるα,β−不飽和アルデヒドを水との共沸により分離する工程(以下、「第2工程」とも称する)とを含む。
本発明によれば、工業的に有利な手法によって、2−エチルクロトンアルデヒド(ECD)などのα,β−不飽和アルデヒドを高収率で製造しうる手段が提供されうる。なお、本発明の製造方法により得られるα,β−不飽和アルデヒドは、種々の医薬、農薬などの原料などとして用いられる。
以下、本発明のα,β−不飽和アルデヒドの製造方法について、工程順に詳細に説明する。
[第1工程]
本発明のα,β−不飽和アルデヒドの製造方法では、まず、第1工程として、アセトアルデヒドと、下記化学式1:
Figure 2011219395
で表されるアルデヒド(1)とをアルドール反応させる。これにより、下記化学式2:
Figure 2011219395
で表されるβ−ヒドロキシカルボニル化合物を含む反応物を得る。
第1工程における原料は、アセトアルデヒド、およびアルデヒド(1)である。
アルデヒド(1)を表す化学式1において、Rは、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数3〜30のシクロアルキル基を表す。炭素数1〜30のアルキル基は、直鎖状または分枝状のいずれであってもよい。かようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−イソプロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2−メチル−1−イソプロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチル−1−イソプロピルブチル基、2−メチル−1−イソプロピル基、1−tert−ブチル−2−メチルプロピル基、n−ノニル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基などが挙げられる。また、炭素数3〜30のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などが挙げられる。これらのうち、化学式1におけるRは、好ましくはアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、一層好ましくは炭素数1〜3のアルキル基(対応するアルデヒド(1)は、プロピオンアルデヒド(R=メチル基)、ブチルアルデヒド(R=エチル基)、ペンチルアルデヒド(R=n−プロピル基)、3−メチルブチルアルデヒド(R=イソプロピル基))であり、最も好ましくはエチル基(対応するアルデヒド(1)は、ブチルアルデヒド)である。
原料として用いられるアセトアルデヒドおよびアルデヒド(1)の入手については、市販品が存在する場合にはその市販品を購入することにより準備することが可能である。また、自ら調製することにより当該化合物を準備してもよい。これらのアルデヒドを自ら調製する手法について特に制限はなく、有機化学の技術分野において従来公知の知見が適宜参照されうる。
第1工程においては、上記で準備した原料(2種のアルデヒド)をアルドール反応させる。用いられる原料アルデヒドの使用量に特に制限はなく、当モル前後の量となるように適宜調整されうる。例えば、アセトアルデヒド1.0モルに対して、アルデヒド(1)が0.1〜10モル、好ましくは0.5〜2モル、より好ましくは0.9〜1.1モル、用いられる。
第1工程におけるアルドール反応は、溶媒の存在下または不存在下で行なわれる。好ましくは、当該アルドール反応は、溶媒の存在下で行なわれる。用いられる溶媒は、原料アルデヒドとアルドール反応を起こすといった悪影響を及ぼさない限り特に限定されない。例えば、水;ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル;などが挙げられる。溶媒が用いられる場合における溶媒の使用量は、アセトアルデヒドに対して0.1〜10質量倍が好ましく、0.5〜2.0質量倍がより好ましい。
第1工程におけるアルドール反応は、塩基触媒の存在下で行なわれる。塩基触媒としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物;水素化ナトリウム、水素化リチウム、水素化カルシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属水素化物;ナトリウムメチラート、カリウムメチラート等のアルコラート類;ピリジン、ピリミジン、ピラゾール等の有機塩基;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン(DBN)等の縮合N−複素環式化合物などが挙げられる。そして、高収率を達成しうる、溶媒として水が用いられうるなどの観点からは、縮合N−複素環式化合物が特に好ましく用いられる。なお、触媒の使用量について特に制限はなく、原料の1つであるアセトアルデヒド1モルに対して、通常は0.005〜0.5モル程度の量が用いられる。
第1工程におけるアルドール反応は、常圧下、加圧下、または減圧下のいずれにおいても行なうことができるが、常圧下において行なうことが工業的に有利であるため、好ましい。反応温度についても特に制限はないが、好ましくは−20〜100℃、より好ましくは0〜70℃である。また、水を含む溶媒中で触媒として上述した縮合N−複素環式化合物が用いられる場合、当該化合物の加水分解を防止するという点では、反応温度は好ましくは0〜50℃であり、さらに好ましくは20〜30℃である。
反応原料の添加形態に特に制限はないが、反応系の高沸化を防ぐという観点からは、アセトアルデヒドとアルデヒド(1)との混合物を、触媒を含有する溶媒中に滴下するという形態が好ましい。滴下時間は反応系のスケールに応じて変動しうるが、通常は3〜10時間程度かけて滴下すればよい。
第1工程では、アセトアルデヒドとアルデヒド(1)とのアルドール反応によって、下記化学式2:
Figure 2011219395
で表されるβ−ヒドロキシカルボニル化合物を含む反応物を得る。ここで、化学式2で表されるβ−ヒドロキシカルボニル化合物における「R」は、原料アルデヒドの1つであるアルデヒド(1)由来である。この「R」の定義は上述したとおりであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
第1工程において得られた反応物(反応液)は、そのまま後述する第2工程において用いられてもよいし、中和処理などを施された後に、第2工程に供されてもよい。例えば、反応終了後の反応物(反応液)に適当な酸を添加して反応系を中和することが好ましい。
[第2工程]
第2工程では、まず、上述した第1工程で得られた反応物を、酸を含有する熱水中に連続的に供給する。そうすると、当該酸が酸触媒として機能し、当該反応物に含まれるβ−ヒドロキシカルボニル化合物の脱水反応が進行して、下記化学式3:
Figure 2011219395
で表されるα,β−不飽和アルデヒドが生成する。ここで、化学式3で表されるα,β−不飽和アルデヒドにおける「R」もまた、原料アルデヒドの1つであるアルデヒド(1)由来である。この「R」の定義は上述したとおりであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
「酸を含有する熱水」について説明するが、まず、酸は、加熱条件下で上述したβ−ヒドロキシカルボニル化合物の脱水反応を促進しうる触媒としての機能を有するものであれば特に制限はない。かような酸としては、塩酸、硫酸、過塩素酸、リン酸等の鉱酸;ギ酸、酢酸、シュウ酸、トリクロロ酢酸等のカルボン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸などが挙げられるが、目的生成物の収率を向上させるという観点からは、カルボン酸が好ましく用いられうる。第2工程において酸として用いられうるカルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等の飽和脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸;アクリル酸、プロピオール酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、オレイン酸、リシノレン酸、フマル酸、マレイン酸等の不飽和脂肪酸;安息香酸、トルイル酸、ナフトエ酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、桂皮酸等の炭素環カルボン酸;フランカルボン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸等の複素環カルボン酸;グリコール酸、乳酸、タルトロン酸、ロイシン酸、メバロン酸、パントイン酸、リシノール酸、リシネライジン酸、セレブロン酸等の脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸;リンゴ酸、酒石酸、シトラマル酸等の脂肪族ヒドロキシジカルボン酸;クエン酸、イソクエン酸等の脂肪族ヒドロキシトリカルボン酸;キナ酸、シキミ酸;サリチル酸、クレオソート酸、バニリン酸、シリング酸等の芳香族ヒドロキシ酸モノヒドロキシ酸;ピロカテク酸、レソルシル酸、ゲンチジン酸、プロトカテク酸、オルセリン酸等のジヒドロキシ酸;没食子酸等のトリヒドロキシ酸;マンデル酸、ベンジル酸、アトロラクチン酸、メリロト酸、フロレト酸、クマル酸、ウンベル酸、カフェー酸、フェルラ酸、イソフェルラ酸、シナピン酸などが挙げられる。これらのカルボン酸は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。なかでも、飽和脂肪族カルボン酸が好ましい。「酸を含有する熱水」における酸の濃度について特に制限はなく、第1工程において用いたアセトアルデヒド1モルに対して、0.001〜0.6モル程度含まれていればよい。
第2工程では、上記で生成したα,β−不飽和アルデヒドを、水との共沸により分離する。このため、「酸を含有する熱水」の温度は、水が沸騰する温度であり、常圧下では100℃である。なお、「酸を含有する熱水」は、この第2工程における使用のために新たに調製されたものであってもよいが、第1工程において水を溶媒として用いた場合には、第1工程の終了後に有機層と分離された水層に酸を添加したものを「酸を含有する熱水」として用いることが経済的であり、好ましい。
第2工程において、目的生成物であるα,β−不飽和アルデヒドを水との共沸により分離するための具体的な手法について特に制限はなく、従来公知の知見が適宜参照されうる。かような手法としては、例えば、酸を含有する熱水(沸騰水溶液)に対して、第1工程で得られた反応物(反応液)を連続的に供給(例えば、連続的に滴下)する形態が例示される。この際、反応物(反応液)の供給(滴下)は比較的時間をかけて行なうことが好ましい。具体的な供給時間(滴下時間)は反応系のスケールによって変動しうるが、例えば、3時間以上かけて反応物(反応液)を熱水に供給(滴下)するとよい。かような形態によれば、収率向上という利点が得られる。
第2工程では、上述したような反応物(反応液)の連続的な供給とともに、生成する目的生成物を水との共沸により分離すればよい。
第2工程において水との共沸により分離された目的生成物(α,β−不飽和アルデヒド)は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、カラムクロマトグラフィなどの分離手段により、またはこれらを組み合わせることによりさらに分離精製されうる。
本発明の製造方法により製造されるα,β−不飽和アルデヒドは、医薬、農薬その他の精密化学品の原料などとして好適に用いられうる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。
[実施例1]
攪拌機、温度計、冷却管を備えた2000mL四つ口フラスコに、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU) 11.6g(0.076mol)、水 653gを仕込んだ後、内温25〜30℃を保ちながら、アセトアルデヒド 371g(7.6mol)とブチルアルデヒド 546g(7.6mol)との混合液を7時間かけて滴下した。その後25℃で3時間攪拌したのち、濃硫酸 1.4g(0.014mol)を加えてpH6を確認し、1.0時間攪拌した。1.0時間静置したのち、有機層786gと水層790gとを分離した。得られた水層790gにアジピン酸 2.2g(0.015mol)を加えて85℃まで加熱したのち、有機層786gを5時間かけて滴下するのと同時に、内温100℃まで加熱して反応液を留出させた。滴下終了後、内温120℃まで加熱し、2.0時間反応液を留出させた。得られた留出液有機層 625gを定量分析したところ、2−エチルクロトンアルデヒド(ECD)303g(3.1mol、収率40.9%)を含有していた。
[実施例2]
攪拌機、温度計、冷却管を備えた100mL四つ口フラスコに、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン(DBN) 0.31g(0.0025mol)、水 27.0gを仕込んだ後、内温25〜30℃を保ちながら、アセトアルデヒド 12.2g(0.25 mol)とブチルアルデヒド 18.0g(0.25 mol)との混合液を5時間かけて滴下した。その後25℃で3時間攪拌したのち、濃硫酸 0.046g(0.00046mol)を加えてpH6を確認し、1.0時間攪拌した。1.0時間静置したのち、有機層26.7gと水層28.2gとを分離した。得られた水層28.2gにアジピン酸 0.072g(0.00049mol)を加えて85℃まで加熱したのち、有機層26.7gを3時間かけて滴下するのと同時に、内温100℃まで加熱して反応液を留出させた。滴下終了後、内温120℃まで加熱し、2.0時間反応液を留出させた。得られた留出液有機層 22.9gを定量分析したところ、2−エチルクロトンアルデヒド(ECD) 9.4g(0.096mol、収率38.5%)を含有していた。
[実施例3]
攪拌機、温度計、冷却管を備えた100mL四つ口フラスコに、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU) 0.39g(0.0025mol)、水 27.0gを仕込んだ後、内温25〜30℃を保ちながら、アセトアルデヒド 12.2g(0.25mol)とブチルアルデヒド 18.0g(0.25mol)との混合液を5時間かけて滴下した。その後25℃で3時間攪拌したのち、濃硫酸 0.046g(0.00046mol)を加えてpH6を確認し、1.0時間攪拌した。1.0時間静置したのち、有機層27.9gと水層28.0gとを分離した。得られた水層28.0gに濃硫酸0.13g(0.0013mol)を加えて85℃まで加熱したのち、有機層27.9gを3時間かけて滴下するのと同時に、内温100℃まで加熱して反応液を留出させた。滴下終了後、内温120℃まで加熱し、2.0時間反応液を留出させた。得られた留出液有機層 22.1gを定量分析したところ、2−エチルクロトンアルデヒド(ECD) 8.8g(0.090mol、収率36.0%)を含有していた。
[比較例1]
攪拌機、温度計、冷却管を備えた1000mL四つ口フラスコに、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU) 4.7g(0.030mol)、水 324.0gを仕込んだ後、内温25〜30℃を保ちながら、アセトアルデヒド 146.9g(3.0 mol)とブチルアルデヒド 216.4 g(3.0 mol)との混合液を6時間かけて滴下した。その後25℃で3時間攪拌したのち、濃硫酸 3.1g(0.032mol)を加え、内温150℃に加熱、脱水、蒸留をおこなった。得られた蒸留留出液 205.5gを定量分析したところ、2−エチルクロトンアルデヒド(ECD) 91.9g(0.94mol、収率31.2%)を含有していた。
[比較例2]
攪拌機、温度計、冷却管を備えた100mL四つ口フラスコに、水酸化ナトリウム 0.30g(0.0075mol)、水 27.0gを仕込んだ後、内温25〜30℃を保ちながら、アセトアルデヒド 12.2g(0.25mol)とブチルアルデヒド 18.0g(0.25mol)との混合液を1時間かけて滴下した。その後25℃で3時間攪拌したのち、濃硫酸 0.74g(0.0075mol)を加え、内温150℃に加熱、脱水、蒸留をおこなった。得られた蒸留留出液 18.9gを定量分析したところ、2−エチルクロトンアルデヒド(ECD) 5.7g(0.058mol、収率23.4%)を含有していた。

Claims (5)

  1. アセトアルデヒドと、下記化学式1:
    Figure 2011219395
    式中、Rは炭素数1〜30のアルキル基または炭素数3〜30のシクロアルキル基を表す、
    で表されるアルデヒドとをアルドール反応させて、下記化学式2:
    Figure 2011219395
    で表されるβ−ヒドロキシカルボニル化合物を含む反応物を得る工程と、
    酸を含有する熱水中に前記反応物を連続的に供給して、前記β−ヒドロキシカルボニル化合物の脱水により生成する下記化学式3:
    Figure 2011219395
    で表されるα,β−不飽和アルデヒドを水との共沸により分離する工程と、
    を含む、α,β−不飽和アルデヒドの製造方法。
  2. 前記酸がカルボン酸である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記カルボン酸がアジピン酸である、請求項2に記載の製造方法。
  4. 反応を、触媒としての1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンまたは1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネンの存在下で行なう、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記アルデヒドがn−ブチルアルデヒドであり、得られるα,β−不飽和アルデヒドが2−エチルクトロンアルデヒドである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
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