JP2011218890A - 車両駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ダウンシフト時にダブルクラッチ処理とブリッピング処理とギヤ段変更処理とを協調制御するための制御装置100,200を備える車両駆動装置において、前記ブリッピング処理によって変速機3の入力軸回転数が上昇し過ぎた場合でも、前記ブリッピング処理の後でギヤ入れ処理へ速やかに移行可能にするとともに、ギヤ入れ処理での常時噛み合い式の変速機3に備えるシンクロメッシュ機構34A〜34Cによる回転差吸収量を低減可能にする。
【解決手段】制御装置100,200は、前記ブリッピング処理を行うことによって入力軸回転数Niが目標範囲の上限値を上回った場合に、エンジン1をトルクダウンさせることによりエンジン回転数Neを速やかに低下させてから、摩擦クラッチ2を微継合させることにより入力軸回転数Niを低下させながらエンジン回転数Neを上昇させて、それら両方を前記目標範囲に収める補正処理を実行する。
【選択図】図11

Description

本発明は、常時噛み合い式の変速機のギヤ段を変更するための変速用アクチュエータと、エンジンと変速機との間の摩擦クラッチを作動させるためのクラッチアクチュエータと、エンジンの動作やシフトチェンジ処理を制御するための制御装置とを備える車両駆動装置に関する。
自動車等の車両においてシンクロメッシュ機構付きの常時噛み合い式変速機や摩擦クラッチを搭載している場合、運転者のシフトチェンジ(ダウンシフトまたはアップシフト)操作に応答して要求のギヤ段を成立させるようにしていた。
なお、前記シフトチェンジとは、摩擦クラッチを切断する処理と、変速機のギヤ段を変更する処理と、摩擦クラッチを継合する処理とを連続して行うことである。
近年では、前記摩擦クラッチの切断、継合処理と、前記変速機のギヤ段変更処理とを、それぞれ例えば油圧作動式のアクチュエータを用いて自動化するようにしたものが知られている(例えば特許文献1参照。)。
特開2008−256189号公報
前記特許文献1に係る従来例は、摩擦クラッチの切断、継合処理と、変速機のギヤ段変更処理とを自動化することが開示されているだけであって、例えばダウンシフト時にダブルクラッチ処理とブリッピング処理とギヤ段変更処理とを協調制御することについての記載はない。
ところで、先行技術文献(特開2001−270347号公報)には、「機械的なシンクロ機構を有しないノンシンクロギヤ段を備えた変速機の変速制御装置において、ダブルクラッチ制御を行うようにする」といった記載がある。但し、この先行技術文献は、シンクロメッシュ機構付きの常時噛み合い式変速機を用いる構成ではなく、本発明と前提構成が相違しているので、従来例としてではなく参考例として提示している。
このような事情に鑑み、本発明は、常時噛み合い式の変速機と摩擦クラッチとを運転者の操作無しに作動可能にした構成でかつダウンシフト時にダブルクラッチ処理とブリッピング処理とギヤ段変更処理とを協調制御する制御装置を備える車両駆動装置において、前記ダウンシフト時に行うブリッピング処理によって変速機の入力軸回転数が上昇し過ぎた場合でも、当該ブリッピング処理の後でギヤ入れ処理へ速やかに移行可能にするとともに、当該ギヤ入れ処理でのシンクロメッシュ機構による回転差吸収量を低減可能にすることを目的としている。
本発明は、シンクロメッシュ機構付きの常時噛み合い式変速機のギヤ段を変更するための変速用アクチュエータと、エンジンと前記変速機との間の摩擦クラッチを作動させるためのクラッチアクチュエータと、前記エンジンの動作やシフトチェンジ処理を制御するための制御装置とを備える車両駆動装置であって、前記制御装置は、ダウンシフト時に、前記摩擦クラッチを切断して前記変速機をニュートラルポジションにするギヤ抜き処理と、前記摩擦クラッチを半継合状態にしてブリッピングする処理と、前記摩擦クラッチを再切断して前記ニュートラルポジションから要求ギヤ段に変更するギヤ入れ処理と、前記摩擦クラッチを継合させるクラッチ継合処理とを連続的に行うとともに、前記ブリッピング処理によって前記変速機の入力軸回転数が目標範囲の上限値を上回った場合に、エンジンをトルクダウンさせることにより前記エンジン回転数を速やかに低下させてから、前記摩擦クラッチを微継合させることにより前記入力軸回転数を低下させながらエンジン回転数を上昇させて、それら両方を前記目標範囲に収める補正処理を実行する、ことを特徴としている。
なお、ギヤ抜き時とギヤ入れ時とでそれぞれ摩擦クラッチを切断するようなことをダブルクラッチ処理と言う。また、このダブルクラッチ処理は、例えば高応答なダウンシフトが必要な場合や変速機のシンクロメッシュ機構による回転差吸収量が過大になる場合などに行われる。
本発明は、要するに、変速機と摩擦クラッチとを運転者の操作無しに作動可能にした車両駆動装置において、ダウンシフト時にダブルクラッチ処理とブリッピング処理とギヤ段変更処理とを協調制御することによって円滑かつ迅速なダウンシフトを可能とする形態を前提にしており、前記ブリッピング処理を行うことに伴い変速機の入力軸回転数が上昇し過ぎるような場合に、補正処理(エンジンのトルクダウン、摩擦クラッチの微係合)を行うことにより、エンジン回転数と入力軸回転数とを可及的速やかに目標範囲に収めるようにしている。
ちなみに、本発明のような補正処理を行わない場合には、例えば変速機の入力軸回転数がフリクションによって自然低下して目標範囲に収まるまでギヤ入れ処理を引き伸ばす形態、あるいは変速機のシンクロメッシュ機構による回転差吸収作用でもって入力軸回転数を強制的に低下させる形態のどちらかを選ぶことが考えられる。
しかしながら、前者のように自然低下させる形態では、入力軸回転数が目標範囲に収まるまでの時間が長くなり過ぎるので、ダウンシフトのレスポンスが低下することが懸念される。かといって、後者のようにシンクロメッシュ機構で入力軸回転数を強制的に低下させる形態では、シンクロメッシュ機構による回転差吸収量が増大するために、当該シンクロメッシュ機構が早期に摩耗しやすくなるなど、耐久性が低下することが懸念される。
つまり、前記したようにブリッピング処理での不具合が発生した場合に本発明の前記補正処理を行うようにしていれば、ブリッピング処理の後でギヤ入れ処理へ速やかに移行することが可能になるとともに、当該ギヤ入れ処理でのシンクロメッシュ機構による回転差吸収量を低減することが可能になる。そのため、シンクロメッシュ機構が早期に摩耗したり、ダウンシフトのレスポンスが低下したりすることを抑制または防止することが可能になる。
好ましくは、前記エンジンをトルクダウンさせる処理は、フューエルカット処理あるいは点火時期の遅角処理とされる。
好ましくは、前記制御装置は、車両走行状況に応じて前記変速機の最適なギヤ段を選択して変更する自動変速モードと、人的なシフトチェンジ操作に応答して要求ギヤ段を成立させる手動変速モードとを実行する。
本発明は、常時噛み合い式の変速機と摩擦クラッチとを運転者の操作無しに作動可能にした構成でかつダウンシフト時にダブルクラッチ処理とブリッピング処理とギヤ段変更処理とを協調制御する制御装置を備える車両駆動装置において、前記ダウンシフト時に行うブリッピング処理に伴い変速機の入力軸回転数が上昇し過ぎた場合でも、当該ブリッピング処理の後でギヤ入れ処理へ速やかに移行することが可能になるとともに、当該ギヤ入れ処理でのシンクロメッシュ機構による回転差吸収量を低減することが可能になる。
そのため、前記のようなブリッピング処理での不具合が発生した場合でも、変速機に備えるシンクロメッシュ機構の耐久性が低下することを抑制または防止しながら、可及的速やかなダウンシフトが可能になる。
本発明に係る車両駆動装置の一実施形態を示す概略構成図である。 図1中の摩擦クラッチの概略構成を示す図である。 図2中のクラッチアクチュエータを示す断面図であり、摩擦クラッチの継合状態を示している。 図1中の変速機の概略構成を示すスケルトン図である。 図4中のシンクロメッシュ機構の上半分を示す断面図である。 図5中に示す変速操作ユニットの平面図である。 図1中のシフトレバーのシフトゲートを示す図である。 図1中のENG_ECUおよびAMT_ECUに関連する構成を示すブロック図である。 自動変速モードにおける変速タイミングを設定した変速マップを示すグラフである。 ダブルクラッチ処理が必要なダウンシフトが要求された場合に関する各部の動作波形を示すタイミングチャートである。 図8のAMT_ECUによる動作を主体とするフローチャートである。 図11の続きを示すフローチャートである。
以下、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1から図12に、本発明の一実施形態を示している。この実施形態では、図1に示すようなFR(フロントエンジン・リヤドライブ)方式の車両駆動装置を例に挙げている。
この車両駆動装置は、エンジン1、摩擦クラッチ2、変速機3、クラッチアクチュエータ20、油圧回路40、変速操作ユニット50、エンジン制御装置(以下、ENG_ECUとする)100、トランスミッション制御装置(以下、AMT_ECUとする)200などを備えている。
エンジン1は、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等とされる。エンジン1の出力軸であるクランクシャフト1aには、摩擦クラッチ2を介して変速機3が連結されている。この変速機3の出力側は、プロペラシャフト4a、デファレンシャル4bおよびドライブシャフト4c,4cを介して駆動輪4d,4dに連結されている。
このエンジン1は、ENG_ECU100で制御され、クランクシャフト1aの回転数(エンジン回転数Ne)はエンジン回転数センサ501によって検出される。
エンジン1に吸入される空気量は、電子制御式のスロットルバルブ5により調整される。この電子制御式のスロットルバルブ5は、運転者によるアクセルペダル7の操作に応答したスロットル開度とされる他、アクセルペダル7の操作とは独立してスロットル開度を任意に制御することが可能になっている。
運転者によるアクセルペダル7の踏み込み量(アクセル開度)はアクセル開度センサ502で検出される。運転者によりアクセルオフ、つまりアクセルペダル7の踏み込み量がゼロにされると、アクセル開度センサ502の出力がゼロとなるが、その際、一般的にはエンジンストールを防止するために、スロットルバルブ5の開度を全閉とせずにアイドル開度とする。
このスロットルバルブ5はスロットルモータ5aで作動され、スロットルモータ5aはENG_ECU100により制御される。ENG_ECU100によるスロットル制御動作としては、エンジン回転数センサ501で検出されるエンジン回転数Neやアクセル開度などのエンジン1の運転状態に応じた最適な吸入空気量(目標吸気量)が得られるスロットル開度(目標スロットル開度)とするように、スロットルモータ5aを制御する。スロットルモータ5aは、スロットル開度センサ503で検出される実スロットル開度を、目標スロットル開度に一致させるようにフィードバック制御される。エンジン1の水温(冷却水温)は水温センサ504で検出される。
摩擦クラッチ2は、エンジン1のクランクシャフト1aと変速機3の入力軸3aとを動力伝達可能に継合する状態(例えば図2参照)、動力伝達不可能に切断する状態、あるいは滑りを伴う半継合状態(いわゆる半クラッチ)にするものである。
摩擦クラッチ2の構成は、公知の乾式単板の摩擦クラッチと基本的に同じであるが、例えば図2に示すように、クラッチディスク2a、プレッシャープレート2b、ダイアフラムスプリング2cなどを備えている。
クラッチディスク2aは、変速機3の入力軸3aの先端に一体回転かつ軸方向変位可能にスプライン嵌合されることによって、エンジン1のクランクシャフト1aの後端に固定されるフライホイール1bに対向して配置されている。プレッシャープレート2bは、ダイアフラムスプリング2cの外周に取り付けられて、クラッチディスク2aに対向配置される。ダイアフラムスプリング2cは、自然状態においてプレッシャープレート2bでクラッチディスク2aをフライホイール1bに圧接させる。ダイアフラムスプリング2cの内径側が下記レリーズベアリング21でエンジン1側へ押圧されることによって弾性的に反転されると、プレッシャープレート2bをフライホイール1bから引き離してクラッチディスク2aをフライホイール1bから引き離す。
この摩擦クラッチ2は、運転者によるペダル操作無しに、クラッチアクチュエータ20と、駆動源としての油圧回路40と、AMT_ECU200とによって作動される。
クラッチアクチュエータ20は、摩擦クラッチ2のプレッシャープレート2bを軸方向に変位させることによって摩擦クラッチ2の状態を変える。
この実施形態でのクラッチアクチュエータ20は、図3に示すように、コンセントリックスレーブシリンダ等と呼ばれる油圧作動式とされている。このクラッチアクチュエータ20は、レリーズベアリング21を変速機3の入力軸3aの外周上で軸方向に沿って変位させて摩擦クラッチ2のダイアフラムスプリング2cを押圧することにより摩擦クラッチ2を切断する加圧切断タイプとされている。
このクラッチアクチュエータ20は、レリーズベアリング21、インナースリーブ22、アウタースリーブ23、ピストン24、予圧スプリング25、油圧室26などを備えている。
インナースリーブ22は、変速機3の入力軸3aの外径側に非接触に配置されている。アウタースリーブ23は、インナースリーブ22の外径側に環状空間を形成するように配置されている。ピストン24には、レリーズベアリング21が取り付けられており、このレリーズベアリング21は、板ばね27によって抜け止めされている。予圧スプリング25は、レリーズベアリング21の外輪端面をダイアフラムスプリング2cの内径側に当接させるように付勢する。環状の油圧室26には、油圧回路40の油圧配管が接続されている。
このような油圧作動式のクラッチアクチュエータ20の駆動源となる油圧回路40は、公知の構成と同様であるから、ここでの詳細な説明を割愛するが、クラッチアクチュエータ20の油圧室26に作動油圧を供給して摩擦クラッチ2を切断状態にさせたり、油圧室26から作動油圧を回収して摩擦クラッチ2を継合状態にさせたり、油圧室26に対する作動油圧の供給量を調整して半継合状態にさせたりする。この油圧回路40は、AMT_ECU200により制御される。
そして、摩擦クラッチ2が継合すると、エンジン1で発生する駆動力が変速機3に伝達される。このエンジン1から摩擦クラッチ2を介して変速機3に伝達されるトルクは、「クラッチトルク」と呼ばれる。このクラッチトルクは、摩擦クラッチ2が切断されるとほぼ「0」であり、摩擦クラッチ2が徐々に継合されてクラッチディスク22の滑りが減少するにつれて増大し、最終的に摩擦クラッチ2が完全に継合されると、クランクシャフト1aの回転トルクに一致する。
この摩擦クラッチ2の実際の継合、切断状態は、クラッチストロークセンサ510の出力に基づいてAMT_ECU200が認識する。クラッチストロークセンサ510は、クラッチアクチュエータ20のピストン24のストローク量を検出し、それに対応する電気信号をAMT_ECU200に入力する。
変速機3は、公知のマニュアルトランスミッションと基本的に同様、シンクロメッシュ機構付きの常時噛み合い式の平行歯車機構であり、例えば前進6段、後進1段を有している。この変速機3は、例えばオートメイテット・マニュアル・トランスミッション(AMT)と呼ばれるものであり、変速操作ユニット50と、駆動源としての油圧回路40と、AMT_ECU200とにより作動されるようになっている。
この変速機3は、例えば図4に示すように、入力軸3a、出力軸3b、減速比の異なる6組の前進用ギヤ段331〜336、1組の後進用ギヤ段337、1−2変速用シンクロメッシュ機構34A、3−4変速用シンクロメッシュ機構34B、5−6変速用シンクロメッシュ機構34Cなどを備えている。
入力軸3aは、エンジン1のクランクシャフト1aに摩擦クラッチ2を介して連結される。出力軸3bは、プロペラシャフト4aに連結されている。
入力軸3aの回転数(入力軸回転数または摩擦クラッチ2の出力側回転数)Niは、入力軸回転数センサ511によって検出され、また、出力軸3bの回転数(出力軸回転数)Noは、出力軸回転数センサ512によって検出される。入力軸回転数センサ511及び出力軸回転数センサ512の出力信号から得られる回転数の比(出力軸回転数No/入力軸回転数Ni)に基づいて、変速機3の現在のギヤ段を判定することができる。これら入力軸回転数センサ511及び出力軸回転数センサ512の出力信号はAMT_ECU200に入力される。
前進用ギヤ段331〜336は、入力軸3a側に外装されるドライブギヤ331a〜336aと、出力軸3b側に外装されるドリブンギヤ331b〜336bとを組み合わせた構成である。ドライブギヤ331a〜336aとドリブンギヤ331b〜336bとは噛み合わされている。
1速および2速のドライブギヤ331a,332aは、入力軸3aに一体回転するように取り付けられているが、3速から6速のドライブギヤ333a〜336aは、入力軸3aにベアリング(例えばケージアンドローラ)を介して相対回転可能に取り付けられている。また、1速および2速のドリブンギヤ331b,332bは、出力軸3bにベアリング(例えばケージアンドローラ)を介して相対回転可能に取り付けられているが、3速から6速のドリブンギヤ333b〜336bは出力軸3bに一体回転するように取り付けられている。後進用ギヤ段337は、リバースドライブギヤ337a、リバースドリブンギヤ337b、リバースアイドラギヤ337cなどを備えている。
3つのシンクロメッシュ機構34A,34B,34Cは、共に同じ構成であり、公知の構成であるので、図5を参照して簡単に説明する。この図5では、1−2変速用シンクロメッシュ機構34Aを代表として記載している。
1−2変速用シンクロメッシュ機構34Aは、スリーブ341、2つのシンクロナイザリング342,343、シフティングキー344、クラッチハブ345などを備えている。
クラッチハブ345は、変速機3の出力軸3bにスプライン(図示省略)により嵌合されており、出力軸3bと一体に回転する。スリーブ341は、図示していない内周スプラインによりクラッチハブ345の外周に嵌合されており、変速操作ユニット50のシフトフォーク51によってシフト方向(X方向またはY方向)に移動される。
第1シンクロナイザリング342は、スリーブ341によって例えばX方向に押圧されることにより、この第1シンクロナイザリング342のコーン面が、出力軸3b上で入力軸3aと同期した回転数で空転している前進用1速ギヤ段331のドリブンギヤ331bのコーン面に当接する。
第2シンクロナイザリング343は、スリーブ341によって例えばY方向に押圧されることにより、この第2シンクロナイザリング343のコーン面が、出力軸3b上で入力軸3aと同期した回転数で空転している前進用2速ギヤ段332のドリブンギヤ332bのコーン面に当接する。
両シンクロナイザリング342,343の外周には、スリーブ341の内周スプラインに噛み合う外周スプラインが形成されている。シフティングキー344は、スリーブ341の内周スプラインに嵌合されており、例えばX方向への移動初期において、第1シンクロナイザリング342の端面をX方向に押圧する。
この1−2変速用シンクロメッシュ機構34Aの動作は公知であるが、スリーブ341が図5に示す位置にあるときは変速機3がニュートラル状態となり、スリーブ341を図5のX方向に移動させて、第1シンクロナイザリング342の回転同期作用によってスリーブ341の内周スプラインを前進用1速ギヤ段331のドリブンギヤ331bに噛合させると、入力軸3aから前進用1速ギヤ段331を経て出力軸3bに動力が伝達される状態になる。この状態からスリーブ341を図5のY方向に移動させて、スリーブ341の内周スプラインを前進用1速ギヤ段331のドリブンギヤ331bから外して図5に示す位置に戻すと、前進用1速ギヤ段331が空転するニュートラル状態に戻される。
このスリーブ341は、変速操作ユニット50により作動される。この変速操作ユニット50は、図5および図6に示すように、3つのシフトフォーク51、3つのシフトフォークシャフト52、1つのセレクトロッド53、1つのシフトロッド54、セレクトアクチュエータ60、シフトアクチュエータ70などを備えている。
3つのシフトフォーク51は、3つのシンクロメッシュ機構34A〜34Cにおける各スリーブ341の外周溝に個別に係合される。3つのシフトフォークシャフト52は、それぞれ隣り合わせに平行に配置される。
セレクトロッド53は、3つのシフトフォークシャフト52の自由端側において前記各シフトフォークシャフト52の長手方向に対して直交する方向に横切るように配置されており、前記各シャフト52のいずれか1つのヘッド55に選択的に動力伝達可能となるように係合される。このセレクトロッド53は、セレクトアクチュエータ60のピストンロッドに連結されていて、セレクトアクチュエータ60によりセレクトロッド53が長手方向(セレクト方向)に沿って押し引きされる。セレクトロッド53の移動量(セレクトストローク)はセレクトストロークセンサ513で検出される。
シフトロッド54は、セレクトロッド53の長手方向に対して直交する方向に横切るように配置された状態でセレクトロッド53に係合されている。このシフトロッド54は、シフトアクチュエータ70のピストンロッドに連結されていて、シフトアクチュエータ70によりシフトロッド54が長手方向に押し引きされると、セレクトロッド53がその長手方向に対して直交する方向(シフト方向)に移動されるようになる。シフトロッド54の移動量(シフトストローク)はシフトストロークセンサ514で検出される
セレクトアクチュエータ60やシフトアクチュエータ70の駆動源である油圧回路40は、AMT_ECU200により制御される。AMT_ECU200は、セレクトストロークセンサ513およびシフトストロークセンサ514からの出力信号の入力に基づいて、油圧回路40を制御することによりセレクトアクチュエータ60やシフトアクチュエータ70でもってセレクトロッド53やシフトロッド54を作動させる。
このような構成の変速機3は、運転者が車室内に設けられるシフトレバー(セレクトレバーともいう)8を操作することによって「自動変速モード」あるいは「手動変速モード」を任意に選択できるようになっている。
なお、自動変速モードとは、運転者によるシフトレバー8の操作を受けることなく、図9に示す変速マップに従ってギヤ段が自動的に変更されるモードである。一方、手動変速モードとは、運転者がシフトレバー8やステアリングホイール9のアップシフト用パドルスイッチ9a、ダウンシフト用パドルスイッチ9bを操作することによって要求されたギヤ段を成立させるモードである。この手動変速モードでは、シフトレバー8やパドルスイッチ9a,9bの操作で要求されたポジションを表す英文字やギヤ段を表す数字などが車室内の表示装置10に表示されるようになっている。
シフトレバー8は、運転者により手動で操作されるもので、図7に示すようなシフトゲート8aにおいてリバースポジション(R)、ニュートラルポジション(N)、自動変速ポジション(E)、手動変速ポジション(M)の任意の位置に変位される。
なお、シフトレバー8は、(R)、(E)、(N)、(M)ポジションに変位されたときに、その位置に固定配置されるが、(M)ポジションに配置された状態では、その位置を中立位置として前後のダウンポジション(−)とアップポジション(+)とに一時的に変位されてから(M)ポジションに自動的に戻るように変位する。例えばアップポジション(+)への1回操作ごとにギヤ段が1段ずつアップ(例えば1st→2nd→・・・→6th)される一方、ダウンポジション(−)への1回操作ごとにギヤ段が1段ずつダウン(例えば6th→5th→・・・→1st)される。図2に示すシフトゲート8aの形状は、例えば右ハンドル用の場合を例に挙げている。
シフトレバー8がシフトゲート8aにおいてRポジション、Eポジション、Nポジション、Mポジションのどこに位置しているかは、シフトポジションセンサ520によって検出され、この検出出力に基づいてAMT_ECU200が要求ポジションを認識する。また、シフトレバー8がMポジションにおいてアップポジション(+)に変位操作される毎にアップシフトスイッチ521からオン信号が出力され、また、シフトレバー8がMポジションにおいてダウンポジション(−)に変位操作される毎にダウンシフトスイッチ522からオン信号が出力され、各スイッチ521,522の出力に基づいてAMT_ECU200がアップシフトまたはダウンシフトの要求を認識する。アップシフトスイッチ521およびダウンシフトスイッチ522は、モーメンタリースイッチ(自動復帰型スイッチ)である。
ENG_ECU100およびAMT_ECU200は、共に、図8に符号を省略して示すように、CPU(中央処理装置)、ROM(プログラムメモリ)、RAM(データメモリ)、ならびにバックアップRAM(不揮発性メモリ)などを備える公知の構成とされる。ROMは、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップなどが記憶されている。CPUは、ROMに記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。また、RAMは、CPUでの演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAMは、エンジン1の停止時にその保存すべきデータなどを記憶する不揮発性のメモリである。
ENG_ECU100の入力インターフェース(図示省略)には、エンジン回転数センサ501、アクセル開度センサ502、スロットル開度センサ503、エンジン1の水温センサ504、車速センサ505などが接続されている。ENG_ECU100の出力インターフェース(図示省略)には、スロットルモータ5a、インジェクタ6、ならびに点火プラグのイグナイタ13などが接続されている。
AMT_ECU200の入力インターフェース(図示省略)には、シフトレバーポジションセンサ520、アップシフトスイッチ521、ダウンシフトスイッチ522、クラッチストロークセンサ510、入力軸回転数センサ511、出力軸回転数センサ512、セレクトストロークセンサ513、シフトストロークセンサ514などが接続されている。AMT_ECU200の出力インターフェース(図示省略)には、表示装置10や油圧回路40などが接続されている。ここでの入出力インターフェースに対する接続対象については、本発明に直接的に関係するもののみとしている。
ENG_ECU100とAMT_ECU200とは、互いに必要な情報を双方向で送受する通信を行うように双方向バスで接続されている。
ENG_ECU100は、入力される情報に基づきエンジン1の運転状態を検出し、スロットルバルブ5の開度を調整するスロットルモータ5aの制御を行うとともに、インジェクタ(燃料噴射弁)6からの燃料噴射量、吸排気の各バルブの開閉タイミング、点火プラグの点火時期等の制御を行うことにより、エンジン1の動作を統括的に制御する。
AMT_ECU200は、入力される情報に基づき、摩擦クラッチ2を作動させる処理、変速機3を要求ギヤ段に変更する処理などを実行する。前記両方の処理は、クラッチアクチュエータ20と、セレクトアクチュエータ60およびシフトアクチュエータ70とに対する油圧回路40の作動油圧の供給、回収動作を制御することによって行う。
次に、上記した車両駆動装置における動作について説明する。
(自動変速モード)
シフトレバー8が「Eポジション」に運転者により操作されて「自動変速モード」が選択された場合、AMT_ECU200は、車両走行状態に応じた最適なギヤ段を図9に示す変速マップに基づいて自動的に選択して成立させる、「コーストダウン制御」を行う。
前記変速マップは、車速及びアクセル開度をパラメータとして最適なギヤ段を求めるためのマップであって、AMT_ECU200のROM内に記憶されている。例えば、アクセルペダル7の踏み込みにより車両走行状態が変化して図9のアップシフト変速線(実線)を跨いだ場合(図9の矢印で示す変化の場合)、アップシフト要求があると判断して変速機3のギヤ段変更を行う。
なお、車速は、出力軸回転数センサ512の出力信号から算出することができるが、ENG_ECU100から車速センサ505の出力に基づいて認識した情報を受けるようにしてもよい。また、図9のマップには、各1本のアップシフト変速線及びダウンシフト変速線を示しているが、実際には、変速機3のギヤ段(前進6速)に対応して複数のアップシフト変速線及びダウンシフト変速線が設定されている。
この自動変速モードでのダウンシフトやアップシフトは、クラッチ切断処理と、ギヤ段変更処理と、クラッチ継合処理とを連続的に行う。
具体的に、前記クラッチ切断処理では、AMT_ECU200が油圧回路40を制御してクラッチアクチュエータ20を作動させることにより、摩擦クラッチ2を切断する。
前記ギヤ段変更処理では、AMT_ECU200が油圧回路40を制御して変速操作ユニット50のセレクトアクチュエータ60やシフトアクチュエータ70を介して変速機3の各シンクロメッシュ機構34A〜34Cを作動させることにより、現在ギヤ段を一旦ニュートラルポジションNにしてから、要求ギヤ段に変更する。このギヤ段変更処理では、摩擦クラッチ2を切断したままの状態に保っている。
前記クラッチ継合処理では、AMT_ECU200が油圧回路40を制御してクラッチアクチュエータ20を作動させることにより、摩擦クラッチ2を徐々に継合する。
(手動変速モード)
シフトレバー8が「Mポジション」に運転者により操作されて「手動変速モード」が選択された場合において、シフトレバー8や各パドルスイッチ9a,9bが運転者により操作されることによりダウンシフトまたはアップシフトが要求されると、AMT_ECU200は、要求がダウンシフトであるのか、あるいはアップシフトであるのかを認識し、現在のギヤ段を要求ギヤ段に変更する制御を行う。
この手動変速モードにおけるアップシフト要求では、前記した自動変速モードと同様に、クラッチ切断処理と、ギヤ段変更処理と、クラッチ継合処理とを連続的に行う。但し、この場合の処理速度は、前記した自動変速モードに比べると速く設定される。
ところで、前記自動変速モードや手動変速モードにおいて、高応答なダウンシフトが要求される場合、例えばエンジン1の被駆動状態(パワーオフ)でシンクロメッシュ機構34A〜34Cによる回転差吸収量が過大になるような「パワーオフダウンシフト」が必要になる場合には、前記した処理に、ダブルクラッチ処理とブリッピング処理とをさらに加えている。
なお、前記ダブルクラッチ処理とは、前記したギヤ段変更処理において、現在ギヤ段をニュートラルポジションNに抜くときと、ニュートラルポジションNから要求ギヤ段に入れるときとでそれぞれ摩擦クラッチ2を切断することを意味している。
そこで、前記のように高応答なダウンシフトが要求される場合などにおいては、ギヤ抜き処理と、ブリッピング処理と、ギヤ入れ処理と、クラッチ継合処理とを連続的に行う。
具体的に、前記ギヤ抜き処理では、AMT_ECU200が油圧回路40を制御してクラッチアクチュエータ20を作動させることにより摩擦クラッチ2を切断しておいて、AMT_ECU200が油圧回路40を制御して変速操作ユニット50のセレクトアクチュエータ60やシフトアクチュエータ70を介して変速機3の各シンクロメッシュ機構34A〜34Cを作動させることにより、現在のギヤ段をニュートラルポジションNにする。
前記ブリッピング処理では、AMT_ECU200が油圧回路40を制御してクラッチアクチュエータ20を作動させることにより摩擦クラッチ2を半継合状態にしたうえで、ENG_ECU100がスロットルモータ5aを制御してスロットルバルブ5を作動させることにより、エンジン回転数Neを一時的に上昇させる。
前記ギヤ入れ処理では、AMT_ECU200が油圧回路40を制御してクラッチアクチュエータ20を作動させることにより摩擦クラッチ2を切断したうえで、油圧回路40を制御して変速操作ユニット50のセレクトアクチュエータ60やシフトアクチュエータ70を介して変速機3の各シンクロメッシュ機構34A〜34Cを作動させることにより、前記ニュートラルポジションNから要求ギヤ段に変更する。
前記クラッチ継合処理では、AMT_ECU200が油圧回路40を制御してクラッチアクチュエータ20を作動させることにより、摩擦クラッチ2を徐々に継合する。
ところで、例えば前記のような高応答なダウンシフトが要求された場合において、前記ブリッピング処理を行うことに伴いエンジン回転数Neならびに変速機3の入力軸回転数Niが上昇し過ぎる場合が起こりうる。その理由としては、例えばエンジン1のトルクや摩擦クラッチ2の応答性がばらつくような場合が挙げられる。このような不具合が発生する場合に、本発明では、補正処理(エンジン1のトルクダウン、摩擦クラッチ2の微係合)を行うことにより、エンジン回転数Neと入力軸回転数Niとを可及的速やかに目標範囲に収めるようにしているので、以下で説明する。
具体的に、図10のタイミングチャートを参照して、例えばダブルクラッチ処理が必要なダウンシフトが要求されたときの動作を説明する。
例えば時刻t1においてダブルクラッチ処理が必要なダウンシフト要求があった場合には、時刻t2からt3にかけてギヤ抜き処理(摩擦クラッチ2を切断するとともに、その間に現在のギヤ段である例えば3速からニュートラルポジションNにする処理)を行ってから、時刻t3からt4にかけてブリッピング処理(エンジン1のトルクを一時的に上昇させる処理)を実行する。
このブリッピング処理の実行に伴い、エンジン回転数Neおよび入力軸回転数Niが上昇するが、仮に時刻t5において、入力軸回転数Niが目標範囲の上限値を上回ったとする。前記目標範囲は、シンクロメッシュ機構34A〜34Cで吸収可能な回転数の幅であり、目標回転数(要求ギヤ段の同期回転数)に基づいて適宜のマージンを加味することにより予め設定される。
このような不具合が発生した場合には、図10(c)の仮想線(二点鎖線)で示す比較例のように、前記ブリッピング処理に伴い上昇した入力軸回転数Niがフリクションによって自然低下するまで待ってから、次のギヤ入れ処理を行うことが考えられる。しかしながら、その場合には、当然ながらダウンシフトに要する時間が長くなり過ぎるなど、レスポンスが低下することが懸念される。かといって、変速機3のシンクロメッシュ機構34A〜34Cによる回転差吸収作用でもって入力軸回転数Niを強制的に低下させようにすると、シンクロメッシュ機構34A〜34Cによる回転差吸収量が増大するために、シンクロメッシュ機構34A〜34Cが早期摩耗しやすくなるなど、耐久性が低下することが懸念される。
そこで、前記ブリッピング処理によって入力軸回転数Niが目標範囲の上限値を超えた時刻t5をトリガーとして、下記する補正処理を行うようにしている。この補正処理は、エンジン1のトルクダウン処理と、摩擦クラッチ2の微継合処理とを含む。
ここで、例えば時刻t5をトリガーとして、エンジン1のトルクダウン処理として、例えばフューエルカット処理あるいは点火時期の遅角処理を実行する。このトルクダウン処理は、AMT_ECU200がENG_ECU100に指示することにより実行させる。このトルクダウン処理の実行により、エンジン回転数Neが速やかに低下し始めることになる。
そして、時刻t6においてエンジン回転数Neが所定の閾値(下記ステップS22の説明参照、例えば目標範囲の下限値)を下回ったとすると、この時刻t6をトリガーとして、図10(a)に示すように、摩擦クラッチ2を微継合させる。これにより、エンジン1が被駆動状態になるので、入力軸回転数Niが低下しながら、エンジン回転数Neが上昇するようになる。
これに伴い、時刻t7において、入力軸回転数Niが目標範囲の上限値を下回ると、図10(a)に示すように、ギヤ入れ処理(摩擦クラッチ2を再切断して、ニュートラルポジションNから要求ギヤ段である例えば2速に変更する処理)を実行する。そして、時刻t8において、摩擦クラッチ2を徐々に継合させる継合処理を行う。仮に、摩擦クラッチ2の継合が時刻t9で完了したとすると、例えば図10(a)の仮想線で示す比較例のように入力軸回転数Niを自然低下させる場合に比べると、ダウンシフトを完了するまでに要する時間を短縮できることになる。
このように、補正処理を行うと、ブリッピング処理の後でギヤ入れ処理へ速やかに移行できるようになって、しかも、当該ギヤ入れ処理でのシンクロメッシュ機構34A〜34Cによる回転差吸収量を低減できるようになる。その結果、前記比較例のようにシンクロメッシュ機構34A〜34Cが早期に摩耗したり、ダウンシフトのレスポンスが低下したりすることを抑制または防止することが可能になる。
次に、図11および図12のフローチャートを参照して、前記したダブルクラッチ処理が必要なダウンシフトに関する処理手順について説明する。図11および図12に示すフローチャートは、AMT_ECU200による処理を主体としており、エンジン1の始動後、一定周期(数msec)毎にスタートされる。
まず、ステップS1において、ダブルクラッチ処理が必要なダウンシフトが要求されたか否かを調べる。仮に、自動変速モードが選択されている場合には、エンジン1の被駆動状態(パワーオフ)であること、適宜のダウンシフト変速線を跨いだこと、シンクロメッシュ機構34A〜34Cによる回転差吸収量が所定値以上であることといった条件が成立したか否か、つまりパワーオフダウンシフトが要求されたか否かを調べる。
一方、手動変速モードが選択されている場合には、ダウンシフトスイッチ522、ダウンシフト用パドルスイッチ9bからのオン信号が入力されていること、シンクロメッシュ機構34A〜34Cによる回転差吸収量が所定値以上であることといった条件が成立したか否かを調べる。
ここで、ダブルクラッチ処理が必要なダウンシフトが要求されていない場合には前記ステップS1で否定判定して、このフローチャートを終了するが、ダブルクラッチ処理が必要なダウンシフトが要求された場合には、前記ステップS1で肯定判定して、ステップS2,S3においてギヤ抜き処理を行う。つまり、ステップS2において、摩擦クラッチ2を切断する処理を行い、ステップS3において、現在のギヤ段(例えば3速)を抜いてニュートラルポジションNにする。
この後、ステップS4からS6において、ブリッピング処理を行うことにより、入力軸回転数Niを目標回転数(要求ギヤ段の同期回転数)以上に上昇させる。具体的に、まず、ステップS4において、前記ステップS2で切断した摩擦クラッチ2を微継合させる状態にしておき、ステップS5において、AMT_ECU200がENG_ECU100にエンジントルクを一時的に上昇させる処理を実行させることにより、エンジン1のトルクで変速機3の入力軸回転数Niを上昇させる。この後、ステップS6において、入力軸回転数Niが目標回転数(要求ギヤ段の同期回転数)以上になったか否かを調べる。
このステップS6で否定判定した場合には前記ステップS5に戻ってスロットル開度を維持させる。このように前記ステップS5,S6を繰り返すことにより、入力軸回転数Niを目標回転数(要求ギヤ段の同期回転数)以上にさせる。
前記ステップS6で肯定判定した場合には、ステップS7〜S11においてギヤ入れ処理を行う。まず、ステップS7,S8を繰り返すことにより、摩擦クラッチ2を完全に切断させてエンジン1と変速機3とを切り離す。つまり、ステップS7において摩擦クラッチ2を切断側に作動させて、ステップS8においてクラッチストロークセンサ510からの出力に基づいて実ストロークがタッチ点(トルク伝達開始点)より切断側に変位したか否かを調べる。
ここで、前記ステップS8で肯定判定した場合、つまり摩擦クラッチ2が完全に切断された場合には、ステップS9,S10により入力軸回転数Niが目標範囲に収まったか否かを調べる。この目標範囲は、シンクロメッシュ機構34A〜34Cで吸収可能な回転数の幅であり、要求ギヤ段の同期回転数に基づいて適宜のマージンを加味することにより予め設定される。つまり、ステップS9では、入力軸回転数Niが目標範囲の上限値を上回ったか否かを調べており、ステップS10では、入力軸回転数Niが目標範囲の下限値を下回ったか否かを調べている。
ここで、前記ステップS9,S10で共に否定判定した場合、つまり入力軸回転数Niが目標範囲に収まった場合には、ステップS11において、ニュートラルポジションNから要求のギヤ段(例えば2速)に入れる処理を行ってから、ステップS12において摩擦クラッチ2を徐々に継合させる処理を行い、このフローチャートを終了する。
しかし、前記ステップS9で肯定判定した場合、つまり入力軸回転数Niが目標範囲の上限値を上回った場合には、下記するステップS21〜S27に示す補正処理(図12参照)に移行する。あるいは、前記ステップS10で肯定判定した場合、つまり入力軸回転数Niが目標範囲の下限値を下回った場合には、ブリッピング処理を失敗したと判断して、前記したステップS4に戻って、ブリッピング処理からやり直す。
次に、ステップS21〜S27に示す補正処理について、図12を参照して説明する。まず、AMT_ECU200は、ステップS21においてENG_ECU100に対してエンジン1のトルクダウン処理(フューエルカット処理あるいは点火時期の遅角処理)を実行させるように指示する。これにより、エンジン1がトルクダウンしてエンジン回転数Neが速やかに低下するようになる。
そこで、ステップS22において、エンジン回転数Neが所定の閾値を下回ったか否かを調べる。この閾値は、予めAMT_ECU200のROMなどに記憶されるマップを用いることにより設定される。このマップは、例えば入力軸回転数Niとエンジン1のイナーシャ(エンジンから摩擦クラッチ2の入力側部材までのイナーシャ)とをパラメータとして目標回転数に対する下限側の許容値を適宜のシミュレーションにより取得して適合した値(目標範囲の下限値)をマップ化したものである。
ここで、前記ステップS22で否定判定した場合、つまりエンジン回転数Neが前記閾値以上であると判定した場合には、前記ステップS21に戻る。
しかし、前記ステップS21,S22を繰り返すことにより、エンジン回転数Neが前記閾値未満になった場合には、前記ステップS22で肯定判定して、AMT_ECU200は、ステップS23において、ENG_ECU100に対して前記エンジン1のトルクダウン処理を中止させるように指示する。
この後、ステップS24において、前記ステップS7,S8で完全切断した摩擦クラッチ2を微継合させる状態にし、続くステップS25,S26により入力軸回転数Niが目標範囲に収まったか否かを調べる。つまり、ステップS25では、入力軸回転数Niが目標範囲の上限値を上回ったか否かを調べており、ステップS26では、入力軸回転数Niが目標範囲の下限値を下回ったか否かを調べている。
ここで、前記ステップS25,S26において共に否定判定した場合、つまり補正処理によって入力軸回転数Niが目標範囲に収まった場合には、補正処理が正常に行えたと判断して、ステップS27において摩擦クラッチ2を完全に切断させてから、前記したステップS11に移行する。
しかし、前記ステップS25で肯定判定した場合、つまり入力軸回転数Niが目標範囲の上限値を上回った場合には、前記ステップS24に戻って摩擦クラッチ2の微継合状態を継続させる。また、前記ステップS26で肯定判定した場合、つまり入力軸回転数Niが目標範囲の下限値を下回った場合には、補正処理を失敗したと判断して、前記したステップS4に戻って、ブリッピング処理からやり直す。
このような動作説明から明らかなように、本発明に係る車両駆動装置の制御装置は、ENG_ECU100とAMT_ECU200とを組み合わせたものに相当している。但し、上記実施形態で説明したように、ENG_ECU100とAMT_ECU200とを別々とせずに、単一のECUとしている場合には、この単一のECUが、本発明に係る車両駆動装置の制御装置に相当することになる。
以上説明したように、本発明の特徴を適用した実施形態では、ダブルクラッチ処理が必要なダウンシフトが要求されたときに行うブリッピング処理に伴い変速機3の入力軸回転数Niが上昇し過ぎた場合に、エンジン1をトルクダウンさせるとともに摩擦クラッチ2を微係合させる補正処理を行うことにより、入力軸回転数Niとエンジン回転数Neとを可及的速やかに目標範囲に収めるようにしている。
これにより、ブリッピング処理の後でギヤ入れ処理へ速やかに移行することが可能になって、しかも、当該ギヤ入れ処理でのシンクロメッシュ機構34A〜34Cによる回転差吸収量を低減することが可能になる。
そのため、前記のようなブリッピング処理での不具合が発生した場合でも、シンクロメッシュ機構34A〜34Cが早期に摩耗したり、ダウンシフトのレスポンスが低下したりすることを抑制または防止することが可能になる。言い換えれば、前記のようなブリッピング処理での不具合が発生した場合でも、シンクロメッシュ機構34A〜34Cの耐久性が低下することを抑制または防止しながら、可及的速やかなダウンシフトが可能になる。
なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲で包含されるすべての変形や応用が可能である。以下で例を挙げる。
(1)上記実施形態では、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)方式の車両駆動装置を例に挙げているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えばFF(フロントエンジン・フロントドライブ)方式の車両駆動装置や、ミッドシップ方式の車両駆動装置など、いろいろな方式の車両駆動装置に本発明を適用することが可能である。また、変速機3は、前進6段とする例を挙げているが、本発明はこれに限定されることなく、ギヤ段の数は任意である。
(2)上記実施形態では、クラッチアクチュエータ20についてコンセントリックスレーブシリンダを用いた例を挙げているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えばクラッチアクチュエータ20は、図示していないが、例えば直動式シリンダのプッシュロッドでレリーズフォークを傾動させてレリーズベアリング21を間接的にスライドさせる構成とすることも可能である。
(3)上記実施形態では、クラッチアクチュエータ20、セレクトアクチュエータ60ならびにシフトアクチュエータ70のすべてを油圧作動式とした例を挙げているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えばクラッチアクチュエータ20、セレクトアクチュエータ60ならびにシフトアクチュエータ70は、例えば電動モータや減速機構を用いる構成とすることが可能である。
1 エンジン
1a エンジンのクランクシャフト
2 摩擦クラッチ
3 変速機
3a 変速機の入力軸
331〜336 前進1〜6速のギヤ段
34A〜34C シンクロメッシュ機構
8 シフトレバー
20 クラッチアクチュエータ
40 油圧回路
50 変速操作ユニット
60 セレクトアクチュエータ
70 シフトアクチュエータ
100 ENG_ECU
200 AMT_ECU
501 エンジン回転数センサ
502 アクセル開度センサ
503 スロットル開度センサ
510 クラッチストロークセンサ
511 入力軸回転数センサ
512 出力軸回転数センサ
513 セレクトストロークセンサ
514 シフトストロークセンサ

Claims (3)

  1. シンクロメッシュ機構付きの常時噛み合い式変速機のギヤ段を変更するための変速用アクチュエータと、エンジンと前記変速機との間の摩擦クラッチを作動させるためのクラッチアクチュエータと、前記エンジンの動作やシフトチェンジ処理を制御するための制御装置とを備える車両駆動装置であって、
    前記制御装置は、ダウンシフト時に、前記摩擦クラッチを切断して前記変速機をニュートラルポジションにするギヤ抜き処理と、前記摩擦クラッチを半継合状態にしてブリッピングする処理と、前記摩擦クラッチを再切断して前記ニュートラルポジションから要求ギヤ段に変更するギヤ入れ処理と、前記摩擦クラッチを継合させるクラッチ継合処理とを連続的に行うとともに、
    前記ブリッピング処理によって前記変速機の入力軸回転数が目標範囲の上限値を上回った場合に、エンジンをトルクダウンさせることにより前記エンジン回転数を速やかに低下させてから、前記摩擦クラッチを微継合させることにより前記入力軸回転数を低下させながらエンジン回転数を上昇させて、それら両方を前記目標範囲に収める補正処理を実行する、ことを特徴とする車両駆動装置。
  2. 請求項1に記載の車両駆動装置において、
    前記エンジンをトルクダウンさせる処理は、フューエルカット処理あるいは点火時期の遅角処理とされる、ことを特徴とする車両駆動装置。
  3. 請求項1または2に記載の車両駆動装置において、
    前記制御装置は、車両走行状況に応じて前記変速機の最適なギヤ段を選択して変更する自動変速モードと、人的なシフトチェンジ操作に応答して要求ギヤ段を成立させる手動変速モードとを実行する、ことを特徴とする車両駆動装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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