JP2011211176A - 無線電力伝送用磁気素子及び電力供給装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】無線電力伝送用磁気素子1は、磁気結合方向に一致する断面において、導体部2と、導体部2に隣接された磁性体部3とが、磁気結合方向に対して直交方向に並列配置されており、導体部2及び磁性体部3の何れか一方が他方よりも磁気結合方向に突出された突出領域61を有している。
【選択図】図1
Description
前記磁気結合方向に一致する断面において、交流電流が同一方向に流通する複数の導体部と、これら導体部間の1以上の隙間に設けられた磁性体部とが、前記磁気結合方向に対して直交方向に並列配置されており、前記導体部及び前記磁性体部の何れか一方が他方よりも前記磁気結合方向に突出された突出領域を有する。
以下、本発明の好適な第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。(無線電力伝送用磁気素子1) 図1に示すように、無線電力伝送用磁気素子1は、磁気結合により誘導起電力を引き起こすように構成されており、給電用及び受電用の何れにも用いることができる。給電用としては、送電電力が0.1W〜500W程度で送電距離が1mm〜10cmの電力供給装置10を例示することができる。例えば、無線電力伝送用磁気素子1は、壁掛け用薄型テレビ等の壁掛け型の機器に用いられる電力供給装置10、パーソナルコンピュータやマウス等の載置型の機器に用いられる電力供給装置10、体内に埋め込まれるペースメーカ等の小型医療機器に用いられる電力供給装置10に適用可能である。尚、無線電力伝送用磁気素子1は、上記の送電電力及び送電距離を超えた電力供給装置10、例えば、ロボットや電気自動車等の電力供給装置10に適用することも可能である。
磁性体部3は、高透磁率の材料により形成されている。即ち、磁性体部3は、軟磁性材料により形成されていてもよい。軟磁性材料は、金属系磁性材料であってもよい。金属系磁性材料は、アモルファス磁性材であってもよい。具体的には、磁性体部3は、フェライト、センダスト、アモルファス(非晶質)、微細結晶を有する磁性材料等の磁性粉末を樹脂で固めたものを用いて形成されたり、或いは、急冷凝固法等によって得られた薄帯、絶縁フィルム上にスパッタや蒸着等の気相成長またはメッキにより成膜した磁性膜を用いて形成されている。また、アモルファスは、Co系アモルファス、Fe系アモルファスが挙げられ、微細結晶を有する磁性材料は、300オングストローム(0.03μm)以下の微細結晶を有するFe系磁性材料が挙げられる。また、気相成長またはメッキによる磁性膜としては、CoZrNb系、CoZrNbTa系、FeBN系、CoFeB−SiO系、CoFeAlO系、CoAlPdO系、CoFeMn系、CoFeN系、FeNi系等の軟磁性膜が挙げられる。
導体部2は、長手方向の一端部と他端部とが図示しない一対の端子にそれぞれ接続されている。各端子は、無線電力伝送用磁気素子1が電力供給装置10等の給電装置に適用される場合、電源装置8に接続される。電源装置8は、任意の周波数で交流電力を導体部2に供給可能にしている。一方、無線電力伝送用磁気素子1が受電装置に適用される場合には、各端子が整流装置に接続される。整流装置は、電磁誘導により形成された交流電力を直流電力に平滑化してバッテリを充電したり、駆動機器の作動に用いられる。
無線電力伝送用磁気素子1は、磁性体部3の幅方向端部と導体部2の幅方向端部との何れか一方が他方よりも突出された突出領域61を有している。突出領域61は、導体集合部6の表面6aの全部に設定されている。尚、突出領域61は、導体集合部6の表面6a及び裏面6bの何れか一方に設定されていてもよいし、表面6a及び裏面6bの一部に設定されていてもよい。換言すれば、突出領域61は、導体集合部6の表面6a及び裏面6bの少なくとも一方における少なくとも一部に設定されていればよい。
上記のように構成された無線電力伝送用磁気素子1が給電用に適用された場合を説明する。無線電力伝送用磁気素子1は、図1に示すように、電力供給装置10に備えられている。電力供給装置10は、携帯電話やパーソナルコンピュータ等のコードレスの給電により作動する1以上の機器9を載置可能にシート状に形成されている。電力供給装置10の全面には、多数の無線電力伝送用磁気素子1が配置されている。尚、無線電力伝送用磁気素子1は、エッチング処理や液状の材料を噴射する印刷処理により形成されている。
上記の構成において、無線電力伝送用磁気素子1が組み込まれた電力供給装置10に対して電源装置8が接続され、高周波の交流電流(交流電力)が供給されると、各無線電力伝送用磁気素子1が交番磁場を生成する。この際、図2に示すように、各無線電力伝送用磁気素子1は、磁気結合方向に一致する断面において、交流電流が同一方向に流通する複数の導体部2間の1以上の隙間に磁性体部3が設けられ、導体部2及び磁性体部3の何れか一方が他方よりも磁気結合方向に突出された突出領域61を有している。従って、図3に示すように、各無線電力伝送用磁気素子1は、突出領域61が設けられていない場合と比較して、導体部2周辺における磁気結合にとって無効な磁界を減少させると共に、全体的な磁界の広がりを抑制することが可能になる。この結果、各無線電力伝送用磁気素子1は、電力供給装置10に載置された機器9に向かう磁束密度を高めることが可能になる。これにより、多数の無線電力伝送用磁気素子1を備えた電力供給装置10は、機器9に対して高い伝送効率で電力を給電することができる。
以上のように、本実施形態の無線電力伝送用磁気素子1は、図1及び図3に示すように、突出領域61が導体集合部6の表面6aに配置された構成について説明しているが、これに限定されるものではない。即ち、無線電力伝送用磁気素子1は、図5に示すように、突出領域61が表面6aと裏面6bとに配置されていてもよい。この場合には、図6に示すように、無線電力伝送用磁気素子1は、磁気結合方向における磁束密度を高めることが可能になる。
以下、本発明の好適な第2の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。尚、第1の実施形態と同一の部材には同一の符号を付記して、その説明を省略する。
図9に示すように、本実施形態に係る無線電力伝送用磁気素子201は、交流電流が流通する導体層202と、導体層202の長手方向に平行に配置された磁性体層203とを有した積層体204の巻回体206を備えていると共に、磁性体層203の幅方向端部が導体層202の幅方向端部よりも突出された突出領域261を有している。尚、突出領域261は、磁性体層203の幅方向端部及び導体層202の幅方向端部の何れか一方が他方よりも突出されていればよい。
導体層202は、第1の実施形態における導体部2と同様の材料により形成されている。導体層202は、Cu、Al等の金属材料で形成されていることが好ましい。導体層202の形態は、薄帯状(リボン状)の他、気相成長やメッキ等の薄膜であってもよい。
無線電力伝送用磁気素子201は、突出領域261を有している。突出領域261は、巻回体206の両端面206b・206bの全部に設定されている。尚、突出領域261は、巻回体206の何れか一方の端面206b・206bに設定されていてもよいし、端面206bの一部に設定されていてもよい。換言すれば、突出領域261は、巻回体206の少なくとも一方の端面206b・206bの少なくとも一部に設定されていればよい。
上記のように構成された無線電力伝送用磁気素子201は、図9に示すように、電力供給装置210に備えられている。電力供給装置210は、携帯電話やパーソナルコンピュータ等のコードレスの給電により作動する1以上の機器9を載置可能にシート状や平板状に形成されている。電力供給装置210の全面には、多数の無線電力伝送用磁気素子201が埋め込まれている。無線電力伝送用磁気素子201は、磁気的な放出面(磁気開放面)となる一方の端面206bが上面となるように設定されている。
具体的には、図10に示すように、50μmのポリエチレンテレフタラートからなる保護シート411・412間に、鉄を主成分としたアモルファス磁性合金製からなる18μmの磁性体層203が介装された磁性シート41を準備した。また、25μmのポリイミド製の基材431に、35μmの銅箔からなる導体層202が形成された導体シート43を準備した。
実施例1と同一の2個の巻回体206・206を準備し、これらの巻回体206・206における一端を揃えた部分同士が向い合うように、巻回体206・206を左右対称に配置した。即ち、突出領域261同士が対向しないように巻回体206・206を配置した。この際、導体層202同士が対向する間隔は、5mmの距離とした。そして、実施例1と同一の条件で、300kHz、500kHz、及び1000kHzの測定周波数でSパラメータの挿入損失(S21)を測定した。
次に、実施例1と同一の磁性シート41を幅9mm×長さ300mmに切り出した。また、実施例1と同一の導体シート43を幅5mm×長さ300mmに切り出した。そして、磁性シート41と導体シート43との中心を揃え、磁性シート41の両端が銅箔から2mm出るように積層することにより積層体204を形成した。積層体204を径13mmφのコルクからなる巻芯部材207に、6.5回の巻回数で巻き付けることによって、両側に突出領域261が存在する巻回体206を形成した。
次に、突出領域261が存在しない無線電力伝送用磁気素子100を作成した。即ち、実施例1と同一の磁性シート41及び導体シート43を幅5mm×長さ300mmに切り出した。そして、磁性シート41と導体シート43との両端面が同一となるように積層することにより積層体204を形成した。積層体204を径13mmφのコルクからなる巻芯部材207に、6.5回の巻回数で巻き付けることにより巻回体206とした。2個の巻回体206・206における一端同士が向い合うように、巻回体206・206を左右対称に配置した。この際、導体層202同士が対向する間隔は、5mmの距離とした。そして、実施例1と同一の条件で、300kHz、500kHz、及び1000kHzの測定周波数でSパラメータの挿入損失(S21)を測定した。
次に、図11に示すように、磁性体層203が存在しない無線電力伝送用磁気素子100を作成した。即ち、実施例1の磁性シート41の代わりに、同一厚みの保護シート411を用いた積層体204を形成した。積層体204を径13mmφのコルクからなる巻芯部材207に、6.5回の巻回数で巻き付けることにより巻回体206とした。2個の巻回体206・206における一端同士が向い合うように、巻回体206・206を左右対称に配置した。この際、巻回体206・206の間隔は、5mmの距離とした。そして、実施例1と同一の条件で、300kHz、500kHz、及び1000kHzの測定周波数でSパラメータの挿入損失(S21)を測定した。
上記のようにしてSパラメータの挿入損失(S21)を測定した結果を表1に示すと共に図12に示す。
2 導体部
3 磁性体部
6 導体集合部
8 電源装置
9 機器
10 電力供給装置
61 突出領域
201 無線電力伝送用磁気素子
202 導体層
203 磁性体層
204 積層体
Claims (11)
- 磁気結合により誘導起電力を引き起こす無線電力伝送用磁気素子であって、
前記磁気結合方向に一致する断面において、交流電流が同一方向に流通する複数の導体部と、これら導体部間の1以上の隙間に設けられた磁性体部とが、前記磁気結合方向に対して直交方向に並列配置されており、
前記導体部及び前記磁性体部の何れか一方が他方よりも前記磁気結合方向に突出された突出領域を有することを特徴とする無線電力伝送用磁気素子。 - 前記突出領域は、前記磁気結合方向の両側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の無線電力伝送用磁気素子。
- 前記突出領域は、前記導体部の配列方向の全体に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の無線電力伝送用磁気素子。
- 前記磁性体部は、軟磁性材料により形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の無線電力伝送用磁気素子。
- 前記軟磁性材料は、金属系磁性材料であることを特徴とする請求項4に記載の無線電力伝送用磁気素子。
- 前記金属系磁性材料は、アモルファス磁性材であることを特徴とする請求項5に記載の無線電力伝送用磁気素子。
- 前記導体部と前記磁性体部とは、少なくとも一部が電気的絶縁状態で一体化するように接合されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の無線電力伝送用磁気素子。
- 前記導体部が電気的絶縁体からなる被膜を有し、該皮膜に前記磁性体部が接合されていることを特徴とする請求項7に記載の無線電力伝送用磁気素子。
- 長尺状の導体部と、
前記導体部の長手方向に沿うように並列配置された長尺状の磁性体部と、
前記導体部及び前記磁性体部の何れか一方の幅方向端部が他方の幅方向端部よりも突出された突出領域とを有することを特徴とする無線電力伝送用磁気素子。 - 前記導体部と前記磁性体部とは、少なくとも一部が電気的絶縁状態で一体化するように接合されていることを特徴とする請求項9に記載の無線電力伝送用磁気素子。
- 前記導体部が電気的絶縁体からなる被膜を有し、該皮膜に前記磁性体部が接合されていることを特徴とする請求項10に記載の無線電力伝送用磁気素子。
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