JP2011208756A - 渦巻きばねとその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ばね線材間の摺動性の低下を長期間に亘って防止することができる渦巻きばねを提供する。
【解決手段】 本願の渦巻きばね2は、帯状のばね線材10を渦巻き状に成形した渦巻きばね2であって、帯状のばね線材10の少なくとも外側の面の全面に亘って打痕16が形成されている。そして、少なくともその打痕16が形成されている外側の面上に潤滑被膜18が形成されている。このため、ばね線材10と潤滑被膜18との密着性が向上し、潤滑被膜18がばね線材10から剥離することを防止でき、長期間に亘って摺動性を維持することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、帯状のばね線材が渦巻き状に成形された渦巻きばねに関する。
従来から、自動車用シートのリクライナやウィンドウレギュレータ、時計の駆動部など多方面で渦巻きばねが使用されている。かかる渦巻きばねは、通常、帯状のばね線材を渦巻き状に成形し、その内周端と外周端にフックを形成している。渦巻きばねは、一方のフックが固定され、他方のフックに円周方向の負荷が加えられる。渦巻きばねの一方のフックに円周方向の負荷が加えられると、帯状のばね線材に曲げ応力が作用し、ばね線材間の間隔が変化し、元の形状に戻ろうとする力が生じる。この作用によって、渦巻きばねには弾性エネルギーが貯えられる。
渦巻きばねに作用する負荷が大きい場合、ばね線材同士が接触して、異音や、ヒステリシスの増大、折損等の原因となる。これらを防止するため、従来の渦巻きばねでは、ばね線材の表面に潤滑被膜を形成し、ばね線材同士の接触による摩擦力を低減する方法が採られている(例えば、非特許文献1)。
「ばね」,ニッパツ・日本発条株式会社編,1995年,p171−180
近年、渦巻きばねの外径を小さくすることが求められている。渦巻きばねの外径を小さくすると、ばね線材同士が接触し易くなり、ばね線材同士の接触面に作用する面圧も高くなる。その結果、ばね線材の表面に作用する摩擦力が大きくなる。このため、従来の渦巻きばねをそのまま小型化すると、渦巻きばねの使用回数の増加に伴って、ばね線材の表面から潤滑被膜が剥がれてゆく。その結果、時間の経過に伴ってばね線材同士の摺動性が大きく低下し、線材間の接触による異音の発生や折損を防ぐことができない。
本願は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、渦巻きばねの外径を小さくしたとしても、長期間に亘ってばね線材間の摺動性の低下を防止することができる渦巻きばねを提供することを目的とする。
本願の渦巻きばねは、帯状のばね線材を渦巻き状に成形した渦巻きばねであって、帯状のばね線材の少なくとも外側の面の全面に亘って打痕が形成されており、少なくともその打痕が形成されている外側の面上に潤滑被膜が形成されている。この渦巻きばねでは、帯状のばね線材の外側の面の全面に亘って打痕が形成されることで、ばね線材と潤滑被膜との密着性を向上することができる。このため、潤滑被膜がばね線材から剥離することを防止でき、長期間に亘って摺動性を維持することができる。
上記の渦巻きばねは、打痕が形成されたばね線材の外側の面の表面粗さRzが10μm以上80μm以下の範囲とすることができる。このような表面粗さとすることで、潤滑被膜との密着性を良好に維持することができ、摺動性を好適に維持することができる。ここで、表面粗さRzとは、表面粗さを表すパラメータであり、測定対象となる表面の高さ方向(すなわち、表面に対して垂直となる方向)の最大高さと最小高さとの差をいう。
また、上述した渦巻きばねは、下記の製造方法によって好適に製造することができる。すなわち、この製造方法は、帯状のばね線材の少なくとも一方の面の全面に亘って打痕を形成する工程を備える。さらに、打痕形成工程後に、ばね線材を打痕が形成されたた面が外側となるように渦巻き状に成形する工程と、少なくともばね線材の打痕が形成された面上に潤滑被膜を形成する工程を備える。なお、成形工程と潤滑被膜形成工程とは、いずれを先に行うようにしてもよい。すなわち、渦巻き状に成形した後に潤滑被膜を形成してもよいし、潤滑被膜を形成した後に渦巻き状に成形してもよい。潤滑被膜形成後に渦巻き状に成形すると、潤滑被膜の形成時には渦巻き状に成形されていないため、ばね線材に均一に潤滑被膜を形成することができる。
また、上記の打痕を形成する工程は、ショットピーニング、ホーニング、ブラストの中の少なくとも1つの処理によって行うことができる。
本実施形態に係る渦巻きばねの斜視図。 図1の渦巻きばねを構成するばね線材の断面図を示す図。 本実施形態の渦巻きばねを製造する装置の概略構成を示す図。 本実施形態の渦巻きばねの製造手順を説明するためのフローチャート。 本実施形態の渦巻きばねと比較例の渦巻きばねの効果の比較を示す図。 全面に潤滑被膜を形成したばね線材の断面図の一例を示す図。 外側の面のみに潤滑被膜を形成したばね線材の断面図の別の一例を示す図。
本発明を具現化した一実施形態にかかる渦巻きばね2を図面に基づいて説明する。渦巻きばね2は、自動車用シートのリクライナのリターンスプリングとして用いられる。図1に示すように、渦巻きばね2は、渦巻き状に成形されたばね素線11により構成されており、ばね素線11間には所定の間隔が設けられている。ばね素線11の一端(渦巻き状に成形された内周端)には係止部22が形成され、その他端(渦巻き状に成形された外周端)には係止部20が形成されている。
図2に示すように、ばね素線11は、ばね線材10と潤滑被膜18から構成されている。ばね線材10は、帯状の鋼材(例えば、硬鋼線材等)によって形成されている。ばね線材10の表面のうち渦巻き状に成形したときに外側となる面(以下、外側の面という)には、全面に亘って打痕16が形成されている。ばね線材10の表面のうち渦巻き状に成形したときに内側となる面(以下、内側の面という)には、打痕が形成されていない。ばね線材10の外側の面の表面粗さRzは、10μm以上80μm以下の範囲とされている。表面粗さRzを10μm以上とすることで、ばね線材10と潤滑被膜18aとの密着性を十分に高めることができ、また、表面粗さRzを80μm以下とすることで、ばね線材10の過度の表面荒れを防止する。ここで、表面粗さRzとは、測定対象となる表面の高さ方向(すなわち、表面に対して垂直となる方向)の最大高さと最小高さとの差をいう。したがって、図2に示す場合では、図内に示したRzが表面粗さRzとなる。潤滑被膜18は、ばね線材10の全面(すなわち、外側の面,内側の面、両側面)に形成されている。潤滑被膜18aは、ばね線材10の打痕16が形成された面上に形成されており、潤滑被膜18aの表面がばね素線11の外側の面12となっている。潤滑被膜18cは、ばね線材10の内側の面上に形成されており、潤滑被膜18cの表面がばね素線11の内側の面14となっている。潤滑被膜18は、反応型潤滑剤処理、被膜型潤滑剤処理又は塗膜型潤滑剤処理等によって形成される反応生成物、被膜生成物又は塗膜生成物によって形成することができる。潤滑被膜18には、例えば、金属石鹸を用いることができる。
上記の渦巻きばね2が自動車用シートに装着されると、例えば、内周端の係止部22が固定され、外周端の係止部20に円周方向の負荷(外力)が作用するようになっている。渦巻きばね2の係止部20に外力が作用すると、ばね素線11間の間隔が変化する。具体的には、渦巻きばね2に巻き方向の負荷が作用すると、ばね素線11が弾性変形し、内側に位置するばね素線11の外側の面12と、外側に位置するばね素線11の内側の面14との間隔が小さくなる。また、ばね素線11が変形することで、渦巻きばね2に弾性エネルギーが貯えられ、渦巻きばね2には、元の形状に復元しようとする復元力が生じる。このため、渦巻きばね2に作用する巻き方向の負荷を解除すると、渦巻きばね2は元の形状に戻り、内側に位置するばね素線11の外側の面12と、外側に位置するばね素線11の内側の面14との間隔が大きくなる。
渦巻きばね2に作用する巻き方向の負荷が大きくなると、ばね素線11同士が接触し、この状態からさらに巻き方向の負荷が大きくなると、ばね素線11同士が摺動する。上記の渦巻きばね2は、ばね線材10の外側の面に全面に亘って打痕が形成され、その上に潤滑被膜18aが形成されている。これにより、ばね線材10と潤滑被膜18aとの接触面積が大きくなり、潤滑被膜18aのばね線材10への密着性を向上することができる。さらに、ばね線材10に形成されている打痕は、表面粗さRzが10μm以上80μm以下の範囲となるように設定されている。後述するように、ばね線材10の表面粗さRzを上記の範囲とすることで、潤滑被膜の密着性を向上すると共に摩擦係数を小さくすることができる。これにより、ばね線材10の表面からの潤滑被膜18aの剥がれが防がれ、渦巻きばね2は、長期間に渡ってばね素線11間の摩擦係数を低い値で維持することができる。
なお、図2に示す例では、ばね線材10の外側の面にのみ打痕16が形成され、ばね線材10の全面に潤滑被膜18が形成されていたが、本発明はこのような例に限られない。例えば、図6に示すように、ばね線材10の内側の面と外側の面に打痕16a,16bが形成されていてもよい。さらには、図7に示すように、ばね線材10の内側の面に潤滑被膜18が形成されていなくてもよい。すなわち、ばね線材10の内側の面が表面に露出していてもよい。ばね線材10の打痕16が形成された外側の面にのみ潤滑被膜18が形成されていることで、潤滑被膜18の形成にかかる材料を削減することができる。
次に、本実施形態に係る渦巻きばね2の製造方法を説明する。まず、渦巻きばね2を製造するために用いられる製造装置の一例について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、図2に示すようにばね線材10の全面に潤滑被膜が形成された渦巻きばねを製造する場合について説明する。
(渦巻きばねを製造するための製造装置)
図3に示すように、渦巻きばね2の製造装置4は、リールスタンド30と、投射装置32と、高周波加熱装置36と、切断部40と、成形装置50と、低温焼鈍装置60と、表面処理装置70と、制御装置80を備える。なお、図3に示すばね線材10は、渦巻きばね2の素形材である。ばね線材10は、長尺の帯状素材がリールスタンド30に巻かれている。
リールスタンド30は、ばね線材10を供給可能に構成されている。リールスタンド30は、図示しない駆動装置を備えている。リールスタンド30の駆動装置は、制御装置80によって制御され、駆動装置の駆動によってばね線材10が送り出されるようになっている。
投射装置32は、ばね線材10の表面に投射材34を投射可能に構成されている。投射装置32からばね線材10の表面に投射材34を投射することによって、ばね線材10の表面に打痕が形成可能となっている。投射装置32には、ホーニング加工やブラスト加工、又はショットピーニング加工を実行可能な公知の装置を用いることができる。
高周波加熱装置36は、ばね線材10を加熱可能に構成されている。高周波加熱装置36は、制御装置80によって制御され、ばね線材10のうち係止部20,22を形成する部位に焼鈍処理を行う。これにより、ばね線材10に、係止部20,22に対応するフック形状を形成するための展延性を持たせることができる。
切断部40は、センサー42と上型切断刃44と下型46を備えている。センサー42は、ばね線材10の長さを検出するように構成されている。センサー42によって検出されたばね線材10の長さ情報は制御装置80に出力される。さらに、上型切断刃44は、制御装置80によって制御され、ばね線材10を切断可能に構成されている。上型切断刃44によってばね線材10を切断する際には、上型切断刃44と下型46によってばね線材10の端部が押圧され、ばね線材10の端部に係止部20に対応するフック形状が形成されるようになっている。
成形装置50は、マンドレル52と、動力装置56を備えている。マンドレル52は、円柱形状を有しており、その外周面に係止溝54が形成されている。係止溝54は、マンドレル52の外周面からマンドレル52の回転軸に向かって所定の深さで形成されている。係止溝54は、ばね線材10の先端を係止するようになっている。動力装置56は、制御装置80によって制御され、マンドレル52を回転駆動する。係止溝54にばね線材10の一端を係止した状態で動力装置56がマンドレル52を回転駆動することによって、ばね線材10がマンドレル52の外周面に巻き付けられる。これによって、ばね線材10の一端に係止部22(フック形状)が形成されると共に、ばね線材10が渦巻き形状に成形される。
低温焼鈍装置60は、ばね線材10を加熱可能に構成されている。低温焼鈍装置60は、制御装置80によって制御され、ばね線材10を渦巻き形状に成形した後に低温焼鈍を実施する。これにより、ばね線材に、所望の硬度、靭性を持たせることができる。なお、低温焼鈍装置60には、公知の熱処理装置を用いることができ、制御装置80とは別の制御装置によって独立して制御するようにしてもよい。
表面処理装置70は、化成処理槽72と金属石鹸槽76を備えている。化成処理槽72には化成液74が貯留可能となっており、金属石鹸槽76には金属石鹸液78が貯留可能に構成されている。化成処理槽72の化成液74内にばね線材10を浸漬することで、ばね線材10の全面に化成被膜が生成される。化成被膜が生成されたばね線材10を金属石鹸槽76の金属石鹸液78内に浸漬することで、ばね線材10の表面に生成された化成被膜と金属石鹸液78が反応する。これによって、ばね線材10の全面に潤滑被膜が形成される。表面処理装置70には、上述した化成処理槽72及び金属石鹸槽76以外にも、スプレー装置、滴下装置等の公知の表面処理装置を用いることができる。
制御装置80は、リールスタンド30、投射装置32、高周波加熱装置36、センサー42、上型切断刃44、動力装置56、及び、低温焼鈍装置60に接続されており、製造装置4の各部30,32,36,44,56,60を制御している。すなわち、制御装置80は、リールスタンド30を駆動することでばね線材10を供給する。さらに制御装置80は、投射装置32を駆動することでばね線材10の表面に投射材34を投射する。また、制御装置80は、高周波加熱装置36を駆動することで、ばね線材10に焼鈍を実施する。さらに、センサー42からの長さ情報に基づいてばね線材10の長さを算出し、ばね線材10が所定の長さとなったときに、上型切断刃44を駆動してばね線材10の一端に係止部20(フック形状)を形成すると共に、ばね線材10を切断する。さらに、動力装置56を駆動することでばね線材10を渦巻き状に成形する。また、制御装置80は、低温焼鈍装置60を駆動して、渦巻き状に形成された線材10に低温焼鈍を実施する。
以上、本実施形態の渦巻きばねの製造装置4の構成について説明した。次に、上記の製造装置4を好適に用いた、渦巻きばねの製造方法を説明する。
(渦巻きばねの製造方法)
図4に示すように、動力装置56とリールスタンド30を駆動して、ばね線材10が送られる(ステップS2)。制御装置80は、ばね線材10が送られたことを検知し、次いで、投射装置32を駆動し、ばね線材10の一方の面に投射材34を投射する(ステップS4)。これによって、ばね線材10の一方の面の全面に亘って、表面粗さRzが10μm以上80μm以下の範囲となるような打痕が形成される。
次いで、高周波加熱装置36により、渦巻き状に成形した後に係止部20,22となる部位を焼鈍する(ステップS6)。次いで、マンドレル52の係止溝54に、ばね線材10の一端を係止し、動力装置56を駆動して、打痕を形成した面が外側となるように、ばね線材10をマンドレル52に巻きつける(ステップS8)。マンドレル52に所定の長さだけばね線材10を巻き付けると、上型切断刃44を駆動して、ばね線材10の他端を曲げ成形してフック形状を形成すると同時に切断を行う(ステップS10)。これにより、ばね線材10は、渦巻き状で、かつ係止部20,22が形成された状態となる。次いで、低温焼鈍装置60によって、渦巻き状に巻かれたばね線材10に低温焼鈍を行う(ステップS12)。最後に、表面処理装置70によって渦巻き状に巻かれたばね線材10を、化成液74と金属石鹸液78に順に浸漬して、ばね線材10の全面に潤滑被膜を形成する(ステップS14)。これにより、帯状のばね線材10から渦巻きばね2が得られる。
以上、本実施形態の渦巻きばね2の製造方法について説明した。次に、本実施形態の渦巻きばね2と、比較例の渦巻きばね(打痕を形成することなく潤滑被膜を形成した渦巻きばね)とで、直線状のテストピースを用いて、使用回数に伴う摩擦係数の変化を検証した例を説明する。実験に用いたばね線材は、板厚3.2mm、板幅9.0mm、長さ300mmの炭素鋼を用いた。また、ばね線材に打痕を形成する条件として、直径0.1mmのスチールボールをエアーによって投射したもの(条件1;ショットピーニング)と、直径0.3mmのスチールボールをインペラー(風車)によって投射したもの(条件2;ショットピーニング)と、直径0.1mmのセラミックボールをエアーによって投射したもの(条件3;ホーニング)とを用いた。条件1のばね線材は、表面粗さRzは70.1μm、条件2のばね線材は、表面粗さRzは28.1μm、条件3のばね線材は、表面粗さRzは10.9μmであった。一方、打痕を形成していないばね線材の表面粗さRzは9.4μmであった。
それぞれのばね線材に化成処理を施した後、金属石鹸処理によってばね線材表面に潤滑被膜を形成した。次いで、それぞれの潤滑皮膜の耐久性を測定するために、これらのばね線材のそれぞれの動摩擦係数と静摩擦係数を繰り返し測定した。図5に、この結果を示す。図5に示すように、比較例では、摩擦係数の測定回数が増加するのに伴って、静摩擦係数と動摩擦係数は上昇した。一方で、本実施形態のばね線材(条件1〜3)では、動摩擦係数も静摩擦係数もほぼ一定に推移した。また、本実施形態のばね線材は、比較例のばね線材に比べて、動摩擦係数も静摩擦係数も低かった。
上述した結果から明らかなように、本実施形態の渦巻きばね2は、ばね線材10に打痕16を形成することで、ばね線材の表面粗さRzは10μm以上80μm以下の範囲とされる。このため、ばね線材の表面に打痕が形成されていない比較例の渦巻きばねと比較して、長期間に亘ってばね線材間の摩擦係数を低く維持することができる。これによって、渦巻きばねの耐久性を向上すると共に、異音の発生を低減することができる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、打痕を形成するための投射材には、スチールボールやセラミックボール以外にも、金属、有機物、ガラス等の公知の投射材を用いてもよい。また、投射材をばね線材に投射する方法としては、ショットピーニングやホーニング以外にも、ブラスト等の処理を用いることができる。ここでいうブラストには、インペラー式のショットブラスト、エアー式のエアーブラスト、水に投射材を混ぜたウェットブラストが含まれる。さらに、ばね線材の材料は炭素鋼に限定されない。例えば、ステンレス、銅等、公知の材料を用いることができる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2 渦巻きばね、4 製造装置、10 ばね線材、11 ばね素線、12 外側の面、14 内側の面、16,16a,16b 打痕、18,18a,18b,18c,18d 潤滑被膜、20,22 係止部、30 リールスタンド、32 投射装置、34 投射材、36 高周波加熱装置、40 切断部、42 センサー、44 上型切断刃、46 下型、50 成形装置、52 マンドレル、54 係止溝、56 動力装置、60 低温焼鈍装置、70 表面処理装置、72 化成処理槽、74 化成液、76 金属石鹸槽、78 金属石鹸液、80 制御装置

Claims (4)

  1. 帯状のばね線材を渦巻き状に成形した渦巻きばねであって、帯状のばね線材の少なくとも外側の面の全面に亘って打痕が形成されており、少なくともその打痕が形成されている外側の面上に潤滑被膜が形成されている、渦巻きばね。
  2. 前記ばね線材の外側の面の表面粗さRzが10μm以上80μm以下の範囲である、請求項1に記載の渦巻きばね。
  3. 帯状のばね線材を渦巻き状に成形した渦巻きばねの製造方法であって、
    ばね線材の少なくとも一方の面の全面に亘って打痕を形成する打痕形成工程と、
    前記打痕形成工程後に、前記ばね線材を打痕が形成された面が外側となるように渦巻き状に成形する工程と、
    前記打痕形成工程後に、少なくとも前記ばね線材の打痕が形成された面上に潤滑被膜を形成する工程と、
    を備える渦巻きばねの製造方法。
  4. 前記打痕形成工程は、ショットピーニング、ホーニング、ブラストの中の少なくとも1つの処理によって行われる、請求項3に記載の方法。
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