JP2011208171A - 溶融鉄の脱銅・脱錫処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 鉄スクラップを鉄源として利用して溶融鉄を溶製する際に、鉄スクラップによって溶融鉄に持ち込まれる銅及び/または錫を短時間で効率的に除去することのできる、溶融鉄の脱銅・脱錫処理方法を提供する。
【解決手段】 本発明の溶融鉄の脱銅・脱錫処理方法は、RH真空脱ガス装置1の環流用ガスの全部または一部に溶融鉄3に溶解するガスを使用して取鍋内の溶融鉄をRH真空脱ガス装置の真空槽5と取鍋2との間で環流させ、溶融鉄中に含まれる銅及び/または錫を真空槽内で蒸発除去する。この場合に、溶融鉄に溶解するガスとしては、窒素ガス、水素ガス、プロパンガス、アンモニアガスのうちの1種または2種以上を使用することが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、溶融鉄から銅及び/または錫を除去する方法に関し、詳しくは、鉄源として鉄スクラップを使用して溶銑または溶鋼を溶製する際に、鉄スクラップによって溶銑または溶鋼に持ち込まれる銅及び/または錫を除去する方法に関する。
銑鋼一貫製鉄所の製鋼過程で使用する鉄源は、鉄鉱石を高炉で還元して得られる溶銑が主体であるが、鉄鋼材料の加工工程で発生する鉄スクラップや、建築物、機械製品及び電気製品などの老朽化に伴って発生する鉄スクラップも、かなりの量が使用されている。鉄鋼製品の製造にあたり、高炉での溶銑の製造では、鉄鉱石を還元し且つ溶融するための多大なエネルギーを要するのに対し、鉄スクラップは溶解熱のみを必要としており、製鋼過程で鉄スクラップを利用した場合には、鉄鉱石の還元熱分のエネルギー使用量を少なくすることができるという利点がある。従って、大量に発生する鉄スクラップを有効活用するのみならず、省エネルギー及びCO2削減による地球温暖化防止の観点からも、鉄スクラップ利用の促進が望まれている。
ところで、鉄スクラップを再生利用する際に、これら鉄スクラップに随伴する銅及び錫に代表されるトランプエレメントが、鉄スクラップの溶解過程で不可避的に溶融鉄中に混入する。銅や錫は溶融鉄中においては、酸素との親和力が小さいことや蒸気圧が鉄に比べてさほど大きくないことから、通常の製鋼精錬工程では銅や錫を溶融鉄から除去することは困難であり、しかも、トランプエレメントは鋼の性質を損なう成分であり、一定の濃度以下に保つ必要がある。このため、従来、高級鋼を製造するための鉄源として、銅や錫を含む恐れのある低級の鉄スクラップを使用することは困難であった。
しかしながら、近年の鉄スクラップ発生量の増加及びCO2発生削減のための鉄スクラップ増使用の要請を勘案すると、低級の鉄スクラップであっても再生利用を進める必要がある。
そこで、溶融鉄から銅及び/または錫を除去する手段が検討され、幾つか提案されている。例えば、特許文献1には、10torr以下の高い真空度下におかれた溶融鉄中に、酸素、二酸化炭素、水蒸気、酸化鉄、酸化マンガン及び酸化クロムのうちの1種以上の酸化剤を投入添加して溶融鉄を脱炭することにより、溶融鉄中に含まれている銅及び/または錫を蒸発除去する方法が提案されている。この方法は、溶融鉄と溶融鉄中の銅及び錫との蒸気圧の差を利用して銅及び錫を蒸発除去するという方法である。
また、特許文献2には、0.05質量%以上の銅及び錫を含む溶鋼の酸素量を0.010質量%以上に調整した後、前記溶鋼を2torr以下の真空雰囲気に維持して、溶鋼中の銅及び錫を除去する方法が提案されている。この方法は、金属状態よりも蒸発速度の大きいCu2OやSnOなどの酸化物を溶鋼表面で生成させ、この酸化物を高真空雰囲気下で蒸発させて溶融鉄中の銅及び錫を除去するという方法である。
しかしながら、上記方法は、何れも、大量の鉄スクラップを更に効率良く利用するという観点からは、溶融鉄からの銅及び/または錫の除去速度が充分ではなく、工業的規模の設備に適応することは難しいのが現状である。
特開昭61−149414号公報 特開平7−216435号公報
近年、鉄鋼製品の品質特性に対する要求が更に厳しくなり、鋼中の銅、錫などのトランプエレメントの濃度を低減する要求も高くなっている。しかしながら、逆に、鉄スクラップの市場では、国内での鉄スクラップ備蓄量の増加に伴って、所謂「老廃屑」と呼ばれる鉄スクラップのトランプエレメント濃度が高く推移しており、鉄鋼製品の品質を確保するのが非常に厳しい状況にある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、鉄スクラップを鉄源として利用して溶融鉄を溶製する際に、鉄スクラップによって溶融鉄に持ち込まれる銅及び/または錫を短時間で効率的に除去することのできる、溶融鉄の脱銅・脱錫処理方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る溶融鉄の脱銅・脱錫処理方法は、RH真空脱ガス装置の環流用ガスの全部または一部に溶融鉄に溶解するガスを使用して取鍋内の溶融鉄をRH真空脱ガス装置の真空槽と取鍋との間で環流させ、溶融鉄中に含まれる銅及び/または錫を真空槽内で蒸発除去することを特徴とする。
第2の発明に係る溶融鉄の脱銅・脱錫処理方法は、第1の発明において、前記の溶融鉄に溶解するガスとして、窒素ガス、水素ガス、プロパンガス、アンモニアガスのうちの1種または2種以上を使用することを特徴とする。
第3の発明に係る溶融鉄の脱銅・脱錫処理方法は、第1または第2の発明において、前記環流用ガスの流量を、処理対象の溶融鉄の質量に対して下記の(1)式の関係を満足する範囲内に調整することを特徴とする。
3≦G/W≦13……(1)
但し、(1)式において、Gは環流用ガスの流量(NL/min)、Wは処理対象の溶融鉄の質量(トン)である。
第4の発明に係る溶融鉄の脱銅・脱錫処理方法は、第1ないし第3の発明の何れかにおいて、前記真空槽に設置された上吹きランスから金属Alを含む粉体を搬送用ガスとともに真空槽内の溶融鉄に吹き付けることを特徴とする。
第5の発明に係る溶融鉄の脱銅・脱錫処理方法は、第1ないし第4の発明の何れかにおいて、前記環流用ガスを処理の途中で変更し、処理の前半は環流用ガスの全部または一部に溶融鉄に溶解するガスを使用し、処理の後半は環流用ガスとしてArガスのみを使用することを特徴とする。
本発明によれば、RH真空脱ガス装置の環流用ガスの全部または一部に溶融鉄に溶解するガスを使用して溶融鉄をRH真空脱ガス装置の真空槽と取鍋との間で環流させるので、溶融鉄に一旦溶解したガスが高真空度下の真空槽内で急激にガス化して気相と溶融鉄との界面積が増加し、これにより、溶融鉄に含有される銅及び/または錫の蒸発除去が促進され、溶融鉄からの効率的な銅及び/または錫の除去が実現される。その結果、鉄スクラップを、大量に利用できるばかりでなく更には高級鋼材用の鉄源として低コストでの使用が可能となり、その実用上の意義は極めて大きい。
本発明を実施する際に用いたRH真空脱ガス装置の概略縦断面図である。 溶鋼を脱銅・脱錫処理するときのG/Wと脱銅率及び鉄歩留りとの関係を示す図である。 溶銑を脱銅・脱錫処理するときのG/Wと脱銅率及び鉄歩留りとの関係を示す図である。
以下、本発明を具体的に説明する。先ず、本発明に至った経緯について説明する。本発明者らは、鉄スクラップによって溶銑或いは溶鋼に持ち込まれた銅及び/または錫を短時間で効率的に除去する手段を検討・研究した。ここで、鉄スクラップを原料として溶製される鉄系溶融物は、キュポラのような縦型炉では溶銑であり、アーク炉のような電気炉の場合は溶鋼が主であり、しかも、溶銑からの銅及び錫の除去と、溶鋼からの銅及び錫の除去とは、同一の原理・原則で対処可能であるので、本発明においては、溶銑及び溶鋼をまとめて「溶融鉄」と定義する。つまり、本発明における溶融鉄とは、溶銑及び溶鋼のことであり、これらを区別する必要のある場合は、「溶銑」或いは「溶鋼」と表示する。
本発明者らは、溶融鉄中の銅及び錫を除去する手段として、特許文献1などと同様に、高真空下での蒸発除去手法を利用することとし、特に、近年の製鋼精錬工程では真空脱ガス設備としてRH真空脱ガス装置が一般的に使用されていることから、RH真空脱ガス装置を利用した蒸発除去手法を検討した。
検討を重ねた結果、真空脱ガス処理による蒸発除去手法で銅及び錫を除去する際には、RH真空脱ガス装置の真空槽内の反応界面積を増加させること、つまり、RH真空脱ガス装置の真空槽内において、銅及び錫が蒸発可能となる領域を増加させることが効果的であることが分かった。これを達成するべく更に検討した結果、溶融鉄にガスを一旦溶解させ、この溶融鉄を真空槽内の高真空下の雰囲気に曝すことによって溶解させたガスを急激にガス化(気泡化)させることで、真空槽内における溶融鉄の攪拌が極めて高くなり、銅及び錫の蒸発が促進されるとの知見を得た。即ち、溶融鉄中に予め溶解していたガスは、真空槽内での減圧下雰囲気に曝されると、ガス成分が過飽和な状態となり、溶融鉄浴でガス気泡となって浴外へ排出する。その際に、溶融鉄−気体の界面が増加し、脱銅及び脱錫が進行する。
溶銑及び溶鋼に多量に溶解するガス種は、窒素ガスと水素ガスである。例えば、窒素ガスの場合、溶鋼温度が1600℃、窒素ガス分圧が1気圧の場合には、溶鋼中へ0.045質量%溶解可能であり、仮に、真空槽内でガス化する窒素分を0.040質量%と見積もると、ガス化した窒素ガスの体積は体積比で溶鋼の約14倍となる。当然、溶鋼表面でガス化する分もあるが鋼浴中で気泡となってガス化する分もあり、RH真空脱ガス装置の真空槽内のように、急激に減圧される場合には、溶鋼がガス気泡により激しく持ち上がり、気相と溶鋼との界面積が飛躍的に増加する。
また、溶鋼段階での処理では、1600℃以上の高温となるため、銅、錫の蒸発係数が高くなるので、蒸発除去するのに有利な方向である。一方、溶銑段階での処理では、溶銑に含有される炭素が、銅及び錫の活量係数を増加させ、除去が有利な方向であることも分かった。即ち、溶銑であっても、また溶鋼であっても銅及び錫の蒸発除去が促進される。
特に、取鍋と真空槽との間を連続して環流するRH真空脱ガス装置では、環流用ガスとして通常使用しているArガスの替わりに、溶融鉄に可溶なガス(以下、単に「可溶性ガス」とも記す)を環流用ガスとして使用する、或いは、Arガスと可溶性ガスとの混合ガスを環流用ガスとして使用することで、可溶性ガスの溶融鉄へ溶解、並びに、溶解した可溶性ガス成分のガス化を連続して行うことが可能であることが分かった。
環流用ガスは、真空槽の下部に設置された2本の浸漬管のうちの上昇側浸漬管から、該浸漬管の円周方向に埋め込まれたノズルを介して浸漬管の中心方向に向けて吹き込まれるが、吹き込み位置から真空槽内の溶融鉄表面までの高さは約1mであり、吹き込まれた可溶性ガスの大半は、浸漬管を上昇中に溶融鉄中に吸収されることが分かった。吸収された可溶性ガスは、真空槽内で減圧下に曝されることでガス化して溶融鉄から除去され、可溶性ガス成分の除去された溶融鉄が下降側浸漬管を通って取鍋内へ戻る。
このように、RH真空脱ガス装置を用いて、環流用ガスの全部または一部に可溶性ガスを使用することにより、連続した可溶性ガスの溶融鉄への溶解と溶解した可溶性ガス成分のガス化とを効率的に行うことができ、溶融鉄に含有される銅及び錫の効率的な蒸発除去が実現されるとの知見を得た。
本発明は、上記知見に基づくものであり、RH真空脱ガス装置の環流用ガスの全部または一部に溶融鉄に溶解するガスを使用して取鍋内の溶融鉄をRH真空脱ガス装置の真空槽と取鍋との間で環流させ、溶融鉄中に含まれる銅及び/または錫を真空槽内で蒸発除去することを特徴とする。
次に、本発明の具体的な実施方法を図面に基づき説明する。図1に、本発明を実施する際に用いたRH真空脱ガス装置の概略縦断面図を示す。図1において、1はRH真空脱ガス装置、2は取鍋、3は溶融鉄、4はスラグ、5は真空槽、6は上部槽、7は下部槽、8は上昇側浸漬管、9は下降側浸漬管、10は環流用ガス吹き込み管、11はダクト、12は原料投入口、13は上吹きランスであり、真空槽5は上部槽6と下部槽7とから構成され、また、上吹きランス13は上下移動が可能となっており、この上吹きランス13から、Arガスなどを搬送用ガスとして金属Alを含む粉体を真空槽5の内部の溶融鉄3の湯面に吹き付けられるようになっている。
アーク炉、誘導炉、キュポラ、転炉などで、老廃屑などの鉄スクラップまたは鉄スクラップと溶銑とを鉄源として溶融鉄3を溶製し、溶製した溶融鉄3を取鍋2に出湯し、この取鍋2をRH真空脱ガス装置1に搬送する。溶融鉄3は、鉄スクラップから持ち込まれた銅及び/または錫をトランプエレメントとして含有する。
RH真空脱ガス装置1では、取鍋2を真空槽5の直下に配置し、取鍋2を昇降装置(図示せず)にて上昇させ、上昇側浸漬管8及び下降側浸漬管9を取鍋内の溶融鉄3に浸漬させる。そして、環流用ガス吹き込み管10から上昇側浸漬管8の内部に環流用ガスを吹き込むとともに、真空槽5の内部をダクト11に連結される排気装置(図示せず)にて排気して真空槽5の内部を減圧する。真空槽5の内部が減圧されると、取鍋内の溶融鉄3は、環流用ガス吹き込み管10から吹き込まれる環流用ガスによるガスリフト効果によって、環流用ガスとともに上昇側浸漬管8を上昇して真空槽5の内部に流入し、その後、下降側浸漬管9を経由して取鍋2に戻る流れ、所謂、「環流」を形成してRH真空脱ガス精錬が施される。
このとき、環流用ガスの全部または一部として、溶融鉄3に溶解するガスを使用する。この可溶性ガスとしては、前述した窒素ガス及び水素ガス以外に、溶融鉄3に接触した際に窒素ガスや水素ガスに分解する物質である、プロパンガスやメタンガスなどの炭化水素系ガス或いはアンモニアガスを使用可能である。これらの可溶性ガスを単独で環流用ガスとして使用してもよく、これらの可溶性ガスを混合して環流用ガスとして使用してもよく、また、これらの可溶性ガスをArガスと混合して環流用ガスとして使用することもできる。
環流用ガス吹き込み管10から環流用ガスとして吹き込まれた可溶性ガスの少なくとも一部は、上昇側浸漬管8を上昇する過程で溶融鉄3に溶解する。溶融鉄3に溶解した可溶性ガスは、溶融鉄3が真空槽5の内部に流入すると、ガス化して溶融鉄3の内部に微細な気泡が生成される。生成した気泡は溶融鉄3から離脱し、ダクト11を通って系外に排出される。溶解していた可溶性ガスがガス化すると、溶融鉄3と気相との界面積が増加し、溶融鉄3に含有される銅/及び錫の蒸発サイトが増大して、蒸発が促進される。蒸発した銅/及び錫もダクト11を通って系外に排出され、溶融鉄3に対して脱銅処理及び/または脱錫処理が施される。
この場合、環流用ガスの流量は或る特定の範囲に調整することが好ましい。具体的には、環流用ガスの流量を、処理対象の溶融鉄3の質量に対して下記の(1)式の関係を満足する範囲内に調整することが好ましい。
3≦G/W≦13……(1)
但し、(1)式において、Gは環流用ガスの流量(NL/min)、Wは処理対象の溶融鉄3の質量(トン)である。
G/Wが3NL/(min・トン)未満の場合には、溶融鉄3に溶解した可溶性ガスが少なく、可溶性ガスのガス化に伴う真空槽内での攪拌が十分でないのみならず、溶融鉄3の環流量自体が少なくなって脱銅速度及び脱錫速度が余り大きくならない。一方、G/Wが13NL/(min・トン)を越える場合には、真空槽内での溶融鉄3のスプラッシュが激しくなり、真空槽内壁に付着する地金量が大きくなって歩留りが悪化するだけでなく、真空槽内壁への地金付着によって安定操業に支障を来たす恐れがある。
また、更なる検討の結果、真空槽内に設置された上吹きランス13から金属Alを含有する粉体を真空槽内の溶融鉄3に吹き付けることで、脱銅反応及び脱錫反応が更に進行することが分かった。これは、金属Alが溶融鉄中の酸素と反応してアルミナを生成し、生成される微細なアルミナが、可溶性ガスのガス化時の核発生サイトになるとともに、発熱反応であるため、局所的に溶融鉄の温度が上昇して、銅、錫の蒸気圧が高まり、蒸発が促進されるためと考えられる。この効果は、溶融鉄3が溶存酸素を含有する溶鋼の場合に特に顕著である。
溶融鉄3を環流させることにより、溶融鉄3の銅濃度及び/または錫濃度が目標とする値まで低下したならば、環流用ガスの吹き込みを停止するとともに真空槽5の内部を大気圧に戻し、脱銅処理及び/または脱錫処理を終了する。但し、可溶性ガスでの環流時間が長くなると、可溶性ガスが溶融鉄3に残留する場合もあり、残留した可溶性ガスが当該溶融鉄3から製造される鉄鋼製品の特性に悪影響を及ぼすこともあるので、これを未然に防止するために、環流用ガスを処理の途中でArガスのみに切り替えることが好ましい。
Arガスのみを環流用ガスとすることで、溶融鉄3に溶解した水素及び窒素は除去され、水素及び窒素の少ない溶融鉄3を得ることができる。特に、溶融鉄3が溶鋼の場合には、次工程は鋳造工程が主であり、溶鋼の成分を調整するために、脱銅処理及び/または脱錫処理に引き続き、環流用ガスをArガスに切り替え、Arガスを環流用ガスとする通常のRH脱ガス精錬を実施することが好ましい。
このように、本発明によれば、RH真空脱ガス装置1の環流用ガスの全部または一部に溶融鉄3に溶解するガスを使用して溶融鉄3をRH真空脱ガス装置1の真空槽5と取鍋2との間で環流させるので、溶融鉄3に一旦溶解したガスが高真空度下の真空槽内で急激にガス化して気相と溶融鉄3との界面積が増加し、これにより、溶融鉄3に含有される銅及び/または錫の蒸発除去が促進される。
鉄源として鉄スクラップ及び溶銑を転炉に装入し、転炉で酸素吹錬して溶鋼を溶製し、溶製した約350トンの溶鋼を取鍋に出鋼した。出鋼時の溶鋼成分は、C:0.19〜0.22質量%(以下、単に「%」と記す)、Si:0.1%以下、Mn:0.3%以下、P:0.02%以下、S:0.003%以下、Cu:0.09〜0.11%、Sn:0.007〜0.008%であり、出鋼時の溶鋼温度は1650〜1660℃であった。
出鋼後、図1に示す型式のRH真空脱ガス装置において、環流用ガスとして、窒素ガス、水素ガス、プロパンガス、アンモニアガスを用い、また、Arガスとの混合ガスも用い、更に、比較としてArガスのみを用いた場合も含め、溶鋼にRH真空脱ガス精錬を実施する試験を実施した。内径0.6mの浸漬管を用い、環流用ガス吹き込み管から吹き込む環流用ガスの流量を3000NL/min、真空槽内真空度を0.5〜3.0torr、環流時間を25分間とする一定の条件で真空脱ガス精錬を行った。
また、一部の試験では、真空槽内に設置された上吹きランスからAl灰(「Alドロス」ともいう)を真空槽内の溶鋼に吹き付ける試験も行った。Al灰は金属Al分が50%のものを使用し、50kg/minの速度で15分間吹き付け投射した。本発明例及び比較例での試験条件と試験結果の一覧を表1に示す。脱銅率は、真空脱ガス精錬前後の銅濃度の差分の真空脱ガス精錬前の銅濃度に対する百分率であり、脱錫率は、同様に、真空脱ガス精錬前後の錫濃度の差分の真空脱ガス精錬前の錫濃度に対する百分率である。
Figure 2011208171
表1に示すように、本発明を適用することにより、溶鋼中の銅濃度及び錫濃度を大幅に低減できることが分かった。特に、Al灰を吹き付けた場合は、高い脱銅率及び脱錫率を得られることが分かった。
実施例1と同様の条件で転炉にて溶製した溶鋼に対して、実施例1と同一のRH真空脱ガス装置を用い、環流用ガスとしてアンモニアガスを使用し、環流用ガスの流量(G)を400〜5500NL/minの範囲で変更してRH真空脱ガス精錬を施し、環流用ガス流量と脱銅率及び鉄歩留りとの関係を調査した。真空脱ガス精錬前の溶鋼中銅濃度は0.1%前後に調整した。溶鋼量(W)を340トン、360トンの2水準で行い、脱銅率及び鉄歩留りに及ぼす環流用ガス流量(G)の影響を、溶鋼トンあたりの環流用ガス流量、つまりG/W(NL/(min・トン))で整理した。
試験結果を図2に示す。図2に示すように、脱銅率は、G/Wが3NL/(min・トン)以上で高くなるが、13NL/(min・トン)を超える領域では減少傾向にあることが分かった。一方、G/Wが13NL/(min・トン)を超えると急激に鉄歩留りが悪化することが分かった。
これは、G/Wが3NL/(min・トン)未満では、環流用ガス流量が少ないことにより溶鋼の環流量が少なく、真空槽への溶鋼の供給が不充分なためである。また、G/Wが13NL/(min・トン)を超える場合には、真空槽内での鉄スプラッシュの生成が激しくなり、真空槽の内壁へ地金が付着し、鉄歩留りが悪化するためである。更に、地金が排ガス系まで吸引され、排気能力の低減や操業を継続できなくなるケースもあった。
このように、G/Wが3〜13NL/(min・トン)の範囲が溶鋼の脱銅・脱錫処理に好適であることが分かった。
実施例1と同様の条件で転炉にて溶製した溶鋼に対して、実施例1と同一のRH真空脱ガス装置を用い、全環流時間25分間のうち、前半を15分間、後半を10分間とし、前半は可溶性ガスを環流用ガスとし、後半はArガスを環流用ガスとして、前半と後半とで環流用ガスのガス種を変更する試験を実施した。また、一部の試験では、環流用ガスを切り替えることなく同一ガス種を環流用ガスとして使用した。環流用ガスを切り替えることによる溶鋼の成分変化を調査した。試験条件及び試験結果を表2に示す。
Figure 2011208171
表2に示すように、後半にArガスを環流させた試験では、溶鋼中の窒素濃度及び水素濃度が充分に低い値となっており、鉄鋼製品の規格を満足することができた。一方、ガス種を変更していない試験では、窒素濃度または水素濃度が高くなっており、鋼種によっては規格を満足しないものもあり、この脱銅・脱錫処理後に、別途、脱窒素及び/または脱水素を実施しなければならないことが分かった。
鉄源として鉄スクラップ及び溶銑を使用してアーク炉にて溶銑を溶製し、溶製した約160トンの溶銑を取鍋に出銑した。出銑時の溶銑成分は、C:3.5〜4.5%、Si:0.2%以下、Mn:0.3%以下、P:0.1%以下、S:0.04%以下、Cu:0.19〜0.21%、Sn:0.008〜0.011%であり、出銑時の溶銑温度は1400〜1450℃であった。
出銑後、図1に示す型式のRH真空脱ガス装置において、環流用ガスとして、窒素ガス、水素ガス、プロパンガス、アンモニアガスを用い、また、Arガスとの混合ガスも用い、更に、比較としてArガスのみを用いた場合も含め、溶銑にRH真空脱ガス精錬を実施する試験を実施した。内径0.6mの浸漬管を用い、環流用ガス吹き込み管から吹き込む環流用ガスの流量を2000NL/min、真空槽内真空度を0.5〜3torr、環流時間を30分間とする一定の条件で真空脱ガス精錬を行った。本発明例及び比較例での試験条件と試験結果の一覧を表3に示す。
Figure 2011208171
表3に示すように、本発明を適用することにより、溶銑中の銅濃度及び錫濃度を大幅に低減できることが分かった。
実施例4と同様の条件でアーク炉にて溶製した溶銑に対して、実施例4と同一のRH真空脱ガス装置を用い、環流用ガスとしてアンモニアガスを使用し、環流用ガスの流量(G)を200〜3000NL/minの範囲で変更してRH真空脱ガス精錬を施し、環流用ガス流量と脱銅率及び鉄歩留りとの関係を調査した。真空脱ガス精錬前の溶銑中銅濃度は0.2%前後に調整した。溶銑量(W)を160トン、180トンの2水準で行い、脱銅率及び鉄歩留りに及ぼす環流用ガス流量(G)の影響を、溶銑トンあたりの環流用ガス流量、つまりG/W(NL/(min・トン))で整理した。
試験結果を図3に示す。図3に示すように、脱銅率は、G/Wが3NL/(min・トン)以上で高くなるが、13NL/(min・トン)を超える領域では減少傾向にあることが分かった。一方、G/Wが13NL/(min・トン)を超えると急激に鉄歩留りが悪化することが分かった。
これは、G/Wが3NL/(min・トン)未満では、環流用ガス流量が少ないことにより溶銑の環流量が少なく、真空槽への溶銑の供給が不充分なためである。また、G/Wが13NL/(min・トン)を超える場合には、真空槽内での鉄スプラッシュの生成が激しくなり、真空槽の内壁へ地金が付着し、鉄歩留りが悪化するためである。更に、地金が排ガス系まで吸引され、排気能力の低減や操業を継続できなくなるケースもあった。
このように、溶銑の場合も溶鋼の場合と同様に、G/Wが3〜13NL/(min・トン)の範囲が脱銅・脱錫処理に好適であることが分かった。
1 RH真空脱ガス装置
2 取鍋
3 溶融鉄
4 スラグ
5 真空槽
6 上部槽
7 下部槽
8 上昇側浸漬管
9 下降側浸漬管
10 環流用ガス吹き込み管
11 ダクト
12 原料投入口
13 上吹きランス

Claims (5)

  1. RH真空脱ガス装置の環流用ガスの全部または一部に溶融鉄に溶解するガスを使用して取鍋内の溶融鉄をRH真空脱ガス装置の真空槽と取鍋との間で環流させ、溶融鉄中に含まれる銅及び/または錫を真空槽内で蒸発除去することを特徴とする、溶融鉄の脱銅・脱錫処理方法。
  2. 前記の溶融鉄に溶解するガスとして、窒素ガス、水素ガス、プロパンガス、アンモニアガスのうちの1種または2種以上を使用することを特徴とする、請求項1に記載の溶融鉄の脱銅・脱錫処理方法。
  3. 前記環流用ガスの流量を、処理対象の溶融鉄の質量に対して下記の(1)式の関係を満足する範囲内に調整することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の溶融鉄の脱銅・脱錫処理方法。
    3≦G/W≦13……(1)
    但し、(1)式において、Gは環流用ガスの流量(NL/min)、Wは処理対象の溶融鉄の質量(トン)である。
  4. 前記真空槽に設置された上吹きランスから金属Alを含む粉体を搬送用ガスとともに真空槽内の溶融鉄に吹き付けることを特徴とする、請求項1ないし請求項3の何れか1つに記載の溶融鉄の脱銅・脱錫処理方法。
  5. 前記環流用ガスを処理の途中で変更し、処理の前半は環流用ガスの全部または一部に溶融鉄に溶解するガスを使用し、処理の後半は環流用ガスとしてArガスのみを使用することを特徴とする、請求項1ないし請求項4の何れか1つに記載の溶融鉄の脱銅・脱錫処理方法。
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