JP2013181199A - 溶銑の脱錫方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 鉄源として鉄スクラップを使用して鋼製品を製造するにあたり、鉄スクラップを加炭溶解して溶製した溶銑、或いは、鉄スクラップを溶解させた溶銑から錫を効率良く除去することのできる、溶銑の脱錫方法を提供する。
【解決手段】 本発明に係る溶銑の脱錫方法は、大気圧よりも減圧下の雰囲気中で、0.04質量%以上の硫黄を含有する溶銑を攪拌しながら該溶銑にアンモニアガスを供給して溶銑に含有される錫を除去する。この場合に、溶銑の炭素含有量が2.0質量%以上であること、及び、溶銑に付与される攪拌動力密度が溶銑トンあたり60W以上であることが好ましい。
【選択図】 図2

Description

本発明は、溶銑から錫を除去する方法に関し、詳しくは、鉄源として鉄スクラップを使用して鋼製品を製造する際に、鉄スクラップによって鋼製品に持ち込まれる錫を除去するべく、鉄スクラップを加炭溶解して溶製した溶銑、或いは、鉄スクラップを溶解させた溶銑から錫を除去する方法に関する。
現在、資源のリサイクル問題は、二酸化炭素排出量の削減が望まれる中で益々重要な課題となっている。鉄スクラップは、従来から鉄源として再利用されているが、特に老廃屑は銅、錫などの不純物元素を多く含んでいる。鉄スクラップに起因する銅、錫などの不純物元素が溶鋼に持ち込まれると、表面割れなどにより鋼製品の歩留が低下する。錫の場合には、銅と共存することで鋼製品の表面割れを助長するといわれている。そのため、鉄スクラップの溶解、精錬によって製造された溶鋼は、そのままでは自動車外装用薄鋼板のような高級用途の鉄鋼製品の製造用原料としては利用することができない。
鉄スクラップから銅や錫を物理的に除去する方法には、特許文献1に開示されるように、鉄スクラップから非鉄金属を分別回収する方法や、特許文献2に開示されるように、錫メッキの表面層を鋼板から機械的に剥離する方法がある。また、物理化学的な除去方法としては、特許文献3に開示されるように、金属カルシウムまたはカルシウム合金を添加し、カルシウムと反応させて錫、燐などを除去する方法や、銅及び錫と鉄との蒸気圧の差を利用して銅及び錫を蒸発分離する方法などがある。
これらのなかでも、蒸発分離は、設備及び処理の簡便さにおいて有利なことから、最も有望視されている。但し、銅及び/または錫を含む溶融鉄を真空雰囲気に曝した場合、銅や錫は金属の状態のまま蒸発するが、溶融鉄中の銅や錫は蒸気圧が小さく、分離速度は遅い。そこで、蒸発分離を促進させるべく、特許文献4には、弱酸化剤を溶融鉄に吹き付けて脱炭反応によりCO気泡を発生させて、蒸発界面積を大きくする技術が開示され、また、特許文献5には、溶融鉄中の酸素濃度を高めて比較的蒸気圧の高い酸化錫(SnO)として蒸発させる技術が開示されている。
更に、これらの方法以外に、特許文献6には、真空または減圧溶解し、もしくは真空または減圧で脱ガスした溶鋼内にアンモニアガス単独またはアンモニアガスと窒素ガスとの混合物を吹き込んで、溶鋼中の銅を除去する方法が開示されている。特許文献6によれば、銅以外の不純物元素、例えば、炭素、錫、燐、硫黄なども除去できるとしている。
特開平10−16841号公報 特開平9−141239号公報 特開昭56−127723号公報 特開昭61−149414号公報 特開平7−216435号公報 特開平7−150224号公報
しかしながら、上記従来技術には以下の問題点がある。
即ち、特許文献1や特許文献2のように物理的に除去する方法では作業負荷が高く、安価な低級鉄スクラップがこれらの工程を経ることで高額になり、鉄スクラップの利用が妨げられるという問題がある。また、鉄スクラップのなかには、銅や錫を合金成分として含有するものがあり、この形態で混合した銅や錫は物理的には除去することができない。また更に、錫除去処理の効率が悪く、鉄鋼の大量生産には適していない。
物理化学的な除去方法では、合金成分として含有する銅や錫の除去が可能であるが、「2Ca+Sn→Ca2Sn」のカルシウムとの反応を利用した特許文献3に提案される方法では、カルシウムは活性であり、酸化させずにカルシウムを保管するには湿度の管理などが必要であり、また、副産物として発生するスラグの処理など、取り扱いに難点があり、且つ、反応効率が低く、コスト高となる。また、溶融鉄中の炭素濃度が高いと、「Ca+2C→CaC2」の反応が優先的に進行し、反応効率が著しく低下することから、脱炭処理以降の炭素濃度が低い溶鋼段階での処理に限定されてしまう。これは溶融鉄中の炭素濃度が高いほど活量が増大して除去しやすくなるという特性を有する錫の除去には不利となる。
特許文献4及び特許文献5に提案される蒸発除去の場合、錫を酸化物や硫化物といった錫化合物とすることで、錫単体の場合と比較すれば効率良く溶銑中や溶鋼中から優先的に蒸発させることができるが、何れの場合も蒸発速度が不足しており、鉄鋼の大量生産には適用できない。
特許文献6に開示されるアンモニアガスの吹き込みによる溶鋼中からの錫の除去方法では、十分な錫の蒸発速度が得られず、実用プロセス規模での錫の除去を想定すると、蒸発速度が不足し、鉄鋼の大量生産には適用できない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、鉄源として鉄スクラップを使用して鋼製品を製造するにあたり、鉄スクラップを加炭溶解して溶製した溶銑、或いは、鉄スクラップを溶解させた溶銑から錫を効率良く除去することができ、安価鉄スクラップを高級用途の鉄鋼製品用の鉄源として鉄鋼の大量生産工程にも適用することのできる、溶銑の脱錫方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]大気圧よりも減圧下の雰囲気中で、0.04質量%以上の硫黄を含有する溶銑を攪拌しながら該溶銑にアンモニアガスを供給して溶銑に含有される錫を除去することを特徴とする、溶銑の脱錫方法。
[2]前記溶銑の炭素含有量が2.0質量%以上であることを特徴とする、上記[1]に記載の溶銑の脱錫方法。
[3]前記溶銑に付与される攪拌動力密度が溶銑トンあたり60W以上であることを特徴とする、上記[1]または上記[2]に記載の溶銑の脱錫方法。
本発明によれば、炭素含有量が多く、錫が除去されやすい溶銑段階において減圧下の溶銑を強制的に攪拌しながら該溶銑にアンモニアガスを供給するので、供給されたアンモニアガスは熱分解して活性な原子状の水素、窒素となって溶銑中に溶解し、溶解した水素、窒素がガス化して溶銑中から離脱する際に、溶銑と気相との界面において微細な気泡を発生させ、錫或いは錫化合物の蒸発反応界面積を増大させる。これにより、溶銑に含有される錫の蒸発除去が促進される。また、溶銑は硫黄を0.04質量%以上含有しているので、溶銑中の錫は硫黄と反応してガス化しやすい硫化錫(SnS)となり、アンモニアガス供給による錫及び錫化合物の蒸発反応界面積の増大効果も相まって、溶銑からの錫の除去がより一層促進される。また更に、アンモニアガスの供給時に溶銑を攪拌するので、溶銑中の錫及び硫黄の物質移動が助長され、気液界面での硫化錫(SnS)生成が促進される。かくして、溶銑中の錫を短時間で低減することが実現される。
減圧下の雰囲気において過飽和水素、過飽和窒素が溶銑から離脱して微細な気泡が生成する様子を模式的に示す図である。 本発明を実施可能な真空誘導溶解炉の概略図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明では、老廃屑や廃自動車のシュレッダー屑などの安価な鉄スクラップを、高級用途の鉄鋼製品用の鉄源として利用するにあたり、鉄スクラップをアーク炉などで溶解して溶鋼を直接溶製する従来の方法を採用せず、先ず、鉄スクラップを加炭溶解し、更に加硫(硫黄添加)し、硫黄を0.04質量%以上含有する溶銑を溶製する。ここで、本発明における溶銑とは、炭素含有量が1.5質量%以上の溶融鉄である。次いで、この硫黄を0.04質量%以上含有する溶銑を大気圧よりも減圧下の雰囲気で強制的に攪拌しながら、この溶銑にアンモニアガスを供給して溶銑に含有される錫を除去する(「脱錫処理」と呼ぶ)。錫が除去された溶銑は、その後は通常工程に沿って溶鋼へと溶製される。具体的には、脱錫処理後、溶銑脱硫処理、必要に応じて溶銑脱燐処理(但し、鉄スクラップは燐含有量が少なく、溶銑脱燐処理は必須ではない)を経て、転炉で脱炭精錬され、更に必要に応じてRH真空脱ガス装置などの二次精錬が施され、所定の成分の溶鋼へと溶製される。これらの工程の途中で、高炉で製造された溶銑(「高炉溶銑」と呼ぶ)と混合し、鉄スクラップから製造された溶銑の化学成分を高炉溶銑で希釈してもよい。
鉄スクラップを加炭溶解して溶銑を製造する設備としては、キュポラのような低シャフト炉、アーク炉、誘導溶解炉などを用いることができる。コークスを熱源とする低シャフト炉では操業形態上から溶銑が製造されるが(生成する溶融鉄が熱源であるコークスによって自ずと加炭される)、電力を熱源とするアーク炉や誘導溶解炉ではコークスや黒鉛などの炭材を加え、鉄スクラップの溶解によって製造される溶融鉄を加炭して溶銑とする。アーク炉や誘導溶解炉では、溶解能率を高めるために、高炉溶銑を種湯として装入し、この高炉溶銑に鉄スクラップを溶解してもよい。高炉溶銑を種湯として使用する場合に、高炉溶銑の配合率が高いときは炭材を使用しなくても炭素含有量が1.5質量%以上の溶融鉄が製造されるが、この場合も鉄スクラップは高炉溶銑によって加炭されたと定義する。尚、誘導溶解炉のうち真空誘導溶解炉(VIM)では、鉄スクラップの加炭溶解後に、次工程の脱錫処理を続けて行うことができる。
このとき、溶製した溶銑の硫黄含有量が0.04質量%以上になるように、硫化鉄(FeS)を添加する、或いは、加炭剤として硫黄含有量の高い炭材を使用し、溶銑を加硫する。溶製される溶銑の硫黄濃度を0.04質量%以上に調整する理由は、以下のとおりである。即ち、次工程にて減圧下でのアンモニアガスの供給により脱錫処理を行うが、その際に、溶銑の硫黄濃度を0.04質量%以上に調整しておくと、溶銑中の錫と溶銑中の硫黄とが反応して硫化錫(SnS)が生成し、この硫化錫は気液界面ではガス状態となることから錫の蒸発除去が促進される。溶銑中の硫黄濃度が0.04質量%未満の場合には、硫化錫の生成量が少なくなり、錫の蒸発速度が低下し、工業的実用性が乏しくなる。
一方、溶銑中の硫黄濃度が0.3質量%を超えると、この溶銑を減圧下に曝すと、溶銑からの硫黄ガスの単独蒸発が盛んになり、硫黄濃度上昇による硫化錫の蒸発量増加の効果に対してスプラッシュによる鉄ロスが極端に大きくなってしまう。また、硫黄そのものは鉄鋼材料において有害元素であるので、その後の脱硫処理工程における負荷を考慮すると、必要以上に硫黄分を添加して硫黄を高濃度にすることは好ましくない。この観点から、溶銑の硫黄濃度は0.3質量%以下であることが好ましい。
溶融鉄中の炭素濃度が高くなるほど、溶融鉄中の錫の活量は大きくなる。このため、溶融鉄に同一濃度の錫が含まれている場合であっても、溶融鉄中の炭素濃度が高い方が錫の蒸発除去を効率良く行うことができる。この目的のために、本発明では、鉄スクラップを加炭溶解して溶銑とするが、溶融鉄中の錫の活量を増大させる観点から、溶製する溶銑の炭素含有量を2.0質量%以上確保することが好ましい。
本発明では、次いで、この溶銑を大気圧よりも低い減圧下で攪拌しながら、この溶銑にアンモニアガス単独またはアンモニアガスを含有するガスを供給して脱錫処理を実施する。溶銑にアンモニアガスを供給すると、アンモニアガスが熱分解して活性な原子状の水素及び窒素が発生する。この活性化した原子状水素及び原子状窒素は活性度が大きいために、単純な水素ガス吹き込みや窒素ガス吹き込みによる溶銑中への水素の飽和溶解度及び窒素の飽和溶解量を上回って溶解し、過飽和状態となる。この過飽和水素及び過飽和窒素は、減圧下の雰囲気において水素分子及び窒素分子として溶銑中から離脱する際に、溶銑と気相との界面において微細な気泡を発生させ、金属錫や錫化合物(硫化錫)の蒸発反応界面積を飛躍的に増大させ、溶銑からの錫の蒸発除去が進行する。
溶銑を攪拌する手段としては、Arガスなどの不活性ガスの溶銑中への吹き込みによるガス攪拌方式、或いは、インペラー(「回転羽根」或いは「回転翼」とも呼ぶ)またはスターラー(「攪拌体」とも呼ぶ)などの溶銑に浸漬された回転する攪拌子による機械攪拌方式、更には、溶銑に移動磁場を印加して電磁力によって攪拌する電磁攪拌方式などを採用することができる。
溶銑は0.04質量%以上の硫黄を含有しているので、過飽和水素及び過飽和窒素が微細なガスとして溶銑から離脱する際に、この微細気泡と溶銑との気液界面及び溶銑と雰囲気との気液界面において、下記の(1)式に示す反応で硫化錫が生成し、錫の溶銑からの蒸発除去が進行する。
Sn+S→SnS…(1)
図1に、減圧下の雰囲気において過飽和水素、過飽和窒素が溶銑から離脱して微細な気泡が生成する様子を模式的に示す。尚、図1において、符号1は溶銑保持用の坩堝、2は溶銑、3は気泡、4は飛散溶銑粒、5は気液界面である。このような微細な気泡3が発生すると、気液界面5が増大し、溶銑2から錫の蒸発除去が進行する蒸発反応界面積が飛躍的に増大する。
この脱錫処理では、錫の蒸発除去速度を高くするために、雰囲気の圧力を2000Pa(15torr)以下とすることが好ましい。雰囲気圧が2000Paを超える場合でも錫は除去されるが、工業的な規模で実用化するためには、雰囲気の圧力を2000Pa以下とすることが好ましい。
アンモニアガスまたはアンモニアガスを含有するガスを溶銑に供給する方法としては、上吹きランスから溶銑表面に吹き付ける方法、及び、インジェクションランスや溶銑浴面下に開口する羽口を介して溶銑中に吹き込む方法があり、どちらの方法を用いても構わない。但し、供給したアンモニアガスの分解効率は溶銑表面に吹き付けるよりも、直接溶銑中に吹き込んだ方が高く、これは、蒸発界面積の増大の差及び錫の蒸発除去速度の差となることから、脱錫効率はアンモニアガスを溶銑中に吹き込んだ方が高くなる。
更に、溶銑を攪拌しながら上記の脱錫処理を行うことで、溶銑中の錫及び硫黄の物質移動が助長され、脱錫速度を向上させることができる。溶銑1トンあたりに供給される攪拌動力を示す攪拌動力密度が60W(以下、「W/溶銑-t」と記す)以上であれば、例えば特許文献5に開示されている脱錫速度定数0.00532cm/secを上回る脱錫速度を得ることが可能となる。
この脱錫処理を実施するための設備としては、真空誘導溶解炉、VOD式真空精錬装置、RH真空脱ガス装置、真空タップ脱ガス装置、レードル脱ガス装置、RH−OB式真空精錬装置、真空鋳造装置及びVAD真空脱ガス装置などが使用できる。これらのなかでも、気液界面を大きくすることができることから、VOD式真空精錬装置及びVAD真空脱ガス装置を使用するのが好ましい。アンモニアガスの供給方法としては、VOD式真空精錬装置及びVAD真空脱ガス装置では、上吹きランスから溶銑表面に吹き付ける方法や攪拌用ガスとして吹き込む方法が採用できる。また、RH真空脱ガス装置では、上吹きランスから溶銑表面に吹き付ける方法や還流ガスとして吹き込む方法を用いることができる。
尚、低シャフト炉などを用いて老廃鉄スクラップを溶解して得られる溶鉄は、一般的に高炉溶銑よりも硫黄濃度及び錫濃度が高い。従って、この老廃鉄スクラップから溶製された溶銑を後工程で高炉溶銑と混合する場合には、本発明による脱錫処理を行う前に高炉溶銑と混合すると、硫黄濃度及び錫濃度の低下を招き、効率的な脱錫処理を行えなくなるので、脱錫処理を実施した後に高炉溶銑と混合することが好ましい。また、一般的に低シャフト炉などの鉄スクラップの溶解炉の溶解能力は高炉の溶製能力よりも小さく、一回の脱錫処理で精錬する溶銑量は、一般的な高炉溶銑の処理プロセスと比較して少なくなる。従って、高炉溶銑の処理プロセスと比較して単位溶銑体積あたりの蒸発反応界面積を大きくすることができるので、効率良く脱錫できるという利点もある。
以上説明したように、本発明によれば、炭素含有量が多く、錫が除去されやすい溶銑段階において減圧下の溶銑を攪拌しながら該溶銑にアンモニアガスを供給するので、供給されたアンモニアガスは熱分解して活性な原子状の水素、窒素となって溶銑中に溶解し、溶解した水素、窒素がガス化して溶銑中から離脱する際に、溶銑と気相との界面において微細な気泡を発生させ、錫或いは錫化合物の蒸発反応界面積を増大させる。これにより、溶銑に含有される錫の蒸発除去が促進される。また、溶銑は硫黄を0.04質量%以上含有しているので、溶銑中の錫は硫黄と反応してガス化しやすい硫化錫となり、アンモニアガス供給による錫及び錫化合物の蒸発反応界面積の増大効果も相まって、溶銑からの錫の除去がより一層促進される。更に、アンモニアガスの供給時に溶銑を攪拌するので、溶銑中の錫及び硫黄の物質移動が助長され、気液界面での硫化錫(SnS)生成が促進される。これらにより、溶銑中の錫を短時間で低減することが実現される。また、脱錫処理時に、溶銑の脱硫反応が起こり(硫化錫として溶銑中の硫黄が除去される)、後工程の脱硫負荷を低減することができる。
図2に、本実施例で使用した、1チャージの鉄溶解量が10kg容量の真空誘導溶解炉(炉内圧力約2000Pa)の模式図を示す。図2において、符号6は真空誘導溶解炉、7は真空槽、8は耐火物製坩堝、9は不定形耐火物、10は溶解炉体フレーム、11はコイル、12は溶銑、13はインペラー、14はインペラー回転用電動機、15はアンモニアガス上吹きランスである。
この真空誘導溶解炉6を用い、加炭剤としてコークスを使用し、加硫剤として硫化鉄を使用し、鉄スクラップを溶解して表1の試験No.1〜3に示す化学成分の溶銑12を溶製した。その後、この溶銑12を、溶銑12に浸漬され、回転するインペラー13によって攪拌しながら、アンモニアガス上吹きランス15から5NL/minの流量でアンモニアガスを吹き付け、溶銑12を脱錫処理する試験を行った。処理時間は20分間とし、溶銑12の温度は全ての試験で約1450℃に保持した。また、インペラー13を溶銑12に浸漬させず、その他の条件は上記と同様の試験(試験No.4)も実施した。
表1に、脱錫処理時の処理条件及び試験結果を示す。尚、表1の備考欄には、本発明の範囲内の試験には「本発明例」と表示し、それ以外の試験は「比較例」と表示した。
Figure 2013181199
ここで、表1の脱錫速度定数は、下記の(2)式で定義される。
k=-(V/A)/t×ln([Sn]/[Sn]0)…(2)
但し、(2)式において、kは脱錫速度定数(cm/sec)、Vは溶融鉄の体積(cm3)、Aは溶融鉄の自由表面積(cm2)、tは処理時間(sec)、[Sn]は処理時間tにおける溶融鉄中錫濃度(質量%)、[Sn]0は溶融鉄中初期錫濃度である。ここで、自由表面積は、気泡と溶融鉄との界面積を含まないものとする。
また、表1の攪拌動力密度は、下記の(3)式で定義される。
ε=NP×ρ×n3×D5/M+X…(3)
但し、(3)式において、εは攪拌動力密度(W/溶銑-t)、ρは溶銑密度(=7000kg/m3)、nはインペラーの回転数(1/sec)、Dは溶銑浴直径(m)、Mは溶銑量(ton)、Xは誘導攪拌による攪拌動力密度(W/溶銑-t)であり、NPは下記の(4)式で示される。
NP=A/Re+B×[(1000+1.2Re0.66)/(1000+3.2Re0.66)]Q×(Z/D)(0.35+b/D)×(sinθ)1.2…(4)
上記(4)式中のA、B、Q、Reはそれぞれ下記の(5)式〜(8)式で表される。
A=14+(b/D)×[670×(D/Z-0.6)2+185]…(5)
logB=1.3-4×(b/D-0.5)2-1.14×(d2/D) …(6)
Q=1.1+4×(b/D)-2.5×(d2/D-0.5)2-7×(b/D)4…(7)
Re=ρ×n×d2 2/η…(8)
また、上記(5)式〜(7)式のbは下記の(9)式で表される。
b=b'×v/2…(9)
但し、(4)式〜(9)式において、b'はインペラー高さ(m)、d2はインペラー直径(m)、vはインペラーの羽根枚数(−)、Zは溶銑浴深さ(m)、θはインペラーの羽根傾角(deg.)、ηは溶銑の粘度(Pa・sec)である。
表1に示すように、インペラーによる撹拌を行った試験No.1〜3では撹拌動力密度に応じて脱錫速度定数が次第に大きくなり、撹拌動力密度が60W/t以上の条件で、例えば特許文献5で開示されている脱錫速度定数0.00532cm/secを上回る脱錫速度定数が得られることが確認できた。これに対してインペラーによる撹拌を行わなかった試験No.4では、脱錫速度定数は低く、効率的な脱錫処理はできなかった。尚、誘導攪拌による攪拌動力密度Xは、19.0W/溶銑-tであった。
このように、本発明を適用することにより、溶銑中の錫を迅速に除去できることが確認できた。
1 坩堝
2 溶銑
3 気泡
4 飛散溶銑粒
5 気液界面
6 真空誘導溶解炉
7 真空槽
8 耐火物製坩堝
9 不定形耐火物
10 溶解炉体フレーム
11 コイル
12 溶銑
13 インペラー
14 インペラー回転用電動機
15 アンモニアガス上吹きランス

Claims (3)

  1. 大気圧よりも減圧下の雰囲気中で、0.04質量%以上の硫黄を含有する溶銑を攪拌しながら該溶銑にアンモニアガスを供給して溶銑に含有される錫を除去することを特徴とする、溶銑の脱錫方法。
  2. 前記溶銑の炭素含有量が2.0質量%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の溶銑の脱錫方法。
  3. 前記溶銑に付与される攪拌動力密度が溶銑トンあたり60W以上であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の溶銑の脱錫方法。
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