JP5935528B2 - 銅製錬スラグからの銅の回収方法 - Google Patents

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Description

本発明は、銅製錬スラグからの銅の回収方法に関し、より詳しくは、自熔炉を用いた銅製錬プロセスにおいて、銅精鉱を反応させることにより発生したスラグ内に懸濁している銅マットを効果的に沈降分離させて回収する銅製錬スラグからの銅の回収方法に関する。
自熔炉を用いた銅製錬プロセスにおいては、一般的に、産出されるスラグに銅が概ね1%程度含まれている。
スラグ中での銅の存在形態は、熔錬工程における操業条件にも依存するが、例えばFeO−SiOスラグを用いた代表的な自熔炉プロセスにおいては、銅品位が60〜70%程度のマットを産出する場合、概ね3〜4割が酸化物としてスラグ中に化学的に溶解し、残る6〜7割は硫化物の形態の別相(以下、「銅マット」という。)として、スラグ中に懸濁している。
従来、このスラグを電気炉(「錬かん炉」とも呼ばれる。)に装入し、電気炉内で加熱しながら一定時間スラグを滞留させる間に、スラグ中に懸濁している銅マットを自然沈降させることで、スラグから銅を分離して回収する方法が用いられている。
ところで、自熔炉を用いた銅製錬プロセスでは、シャフトと呼ばれる反応空間の上方から銅精鉱を投入するとともに反応用空気を下方に向けて吹き込み、気相中で瞬時に反応させるという方法を用いる。この方法では、必然的に銅精鉱の反応の不均一さが生じ、その結果、銅精鉱中に含まれる鉄の一部が過剰に酸化されてFe(マグネタイト)が生成される。
マグネタイトは比重が5前後、単体では融点が1600℃以上の難熔融性の固体である。このマグネタイトは、FeO−SiO系のスラグや、マットに含まれるFeS等と接触すると容易に反応して熔解することが知られている。ただし、その熔解速度は、マグネタイトが熔解したときに生成する2価や3価の鉄イオンの拡散速度によって律速されることも知られている。
自熔炉を用いた銅製錬プロセスにおいて、保持炉(セトラー)では、スラグとマットの比重差を利用して、スラグ中に懸濁している銅マットを沈降させてマット層を形成させた後に銅を回収する。しかしながら、スラグ中にマグネタイトが含まれる場合、マグネタイトもスラグ中を沈降するが、マグネタイトと銅マットの比重はほぼ同程度であるため、マットとスラグとの界面でマグネタイトがスラグ側に存在して留まる性質がある。
そして、スラグ中のマグネタイト量が多い場合や、炉内の温度が低い等のマグネタイトの熔解速度よりも供給速度の方が多い操業状態となった場合では、マットとスラグとの界面に留まるマグネタイトの量が増加し、いわゆるネタリと呼ばれる高粘性の半溶融層を形成するようになる。
ネタリが形成された場合、スラグ中を沈降してきた銅マットの粒子はネタリ層で捕捉され、マット層への回収が妨害される。さらに、ネタリはスラグと共に排出されるので、ネタリ層に捕捉された銅は回収不能なロスになる等、好ましくない。
したがって、このように銅の回収ロスを防ぐためには、ネタリ層を解消して銅マットの粒子が捕捉されることを抑制する必要がある。そのため、ネタリを解消させるために、従来さまざまな方法が試みられてきた。
例えば、フラックスと呼ばれる溶剤の添加量を増やし、マグネタイトが熔解しやすいスラグを形成させて、マグネタイトの熔解を促進させる方法等がよく知られている。しかしながら、フラックスの添加量を調整する方法では、ネタリ解消までに数日間という長時間に及び、迅速にネタリ層を制御することは難しかった。また、フラックスに要する資材コストが上昇する等のデメリットもあった。
そこで、例えば特許文献1に示す方法がある。この方法は、錬かん炉からみ中に含まれるマグネタイトを極力還元し、錬かん炉かわを十分に生成させることができる銅製錬方法を提供するもので、具体的には粉状炭等の炭素系固体還元剤がその表面に散布された状態のからみを自熔炉で生成させた後、そのからみを錬かん炉に装入する方法である。
しかしながら、この粉状炭等の炭素系固体還元剤をスラグ表面に投入する方法を用いた場合、反応は迅速に進行して高効率であるものの、粉状炭とスラグの比重差から、粉状炭がスラグ表面に浮遊しやすく、マグネタイトを直接還元することは容易ではないという課題がある。
さらに、粉状炭投入(インジェクション)による方法では、粉状炭のスラグへの侵入深さの制御が難しく、深く侵入させすぎた場合には、炉底の耐火物に損傷を及ぼす可能性が増し、高度な操業制御が必要になる等の課題がある。
また、特許文献2には、セットラ部のマット上に存在するスラグ層に滞留するコークスを所定量に維持しながら自溶炉の操業温度を目標値に調節する技術が提案されている。具体的には、シャフトの頂部から精鉱バーナを用いて銅精鉱、コークス、フラックスその他の装入物を空気及び酸素と共に吹き込む銅製錬自溶炉の操業方法において、産出する溶融マット及び/又はスラグの温度を測定し、この測定値に基づき、炉内に供給される空気と酸素を包含する混合気体の窒素量を変更するか、または混合気体を予熱した熱風温度を加減することにより、自溶炉の操業温度を目標操業温度に調整する方法が開示されている。
しかしながら、この特許文献2に記載の方法は、マットやスラグの温度測定と、その測定値に基づく窒素量の変更や熱風温度の加減制御等といった非常に複雑かつ手間を要する操作が必要となり効率的ではなく、炉内の還元度を正確に制御することは難しい。
また、特許文献3には、還元剤として金属鉄を添加する方法等が提案されている。具体的には、メタリック鉄を80%以上含有するものであって、真比重3〜8、かつ粒径0.3〜15mmである鉄含有物を、Fe3+を含有する銅製錬スラグ及び中間層に含有するFeに対して添加してFeをFeOに還元する方法である。特許文献3には、このような方法によって、銅製錬炉の保持容器内部でスラグ層中のFe及びスラグ層とマット層の間に生成する中間層中のFeを還元してそれらの粘度を低下させ、分離性を高めることで有価金属回収率の向上並びに中間層に起因するトラブルを解消することが開示されている。
しかしながら、金属鉄を還元剤とする特許文献3に記載の方法では、コストが非常に高くなるという課題がある。
このように、ネタリ層の発生を効率的にかつ効果的に防止することができる工業的な方法は見出されておらず、銅のロスの増加をもたらす結果となっている。
特開平11−021635号公報 特開2000−129368号公報 特開2001−247922号公報
そこで、本発明は、自熔炉を用いた銅製錬において、熔錬スラグからスラグ中に懸濁している銅マットを沈降分離させるにあって、スラグ中の銅粒子の沈降が阻害されることを抑制して、銅の回収ロスを低減させることができる銅製錬スラグからの銅の回収方法を提供するものである。
本発明者らは、上述した目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、保持炉内のスラグとマットの界面近傍における流体が、所定の流速の流れ場を形成していることが分かり、保持炉内に設けた攪拌装置によりスラグを攪拌することによって、スラグ中の銅マットを効果的に沈降させることができることを見出した。
すなわち、本発明に係る銅製錬スラグからの銅の回収方法は、銅製錬により発生したスラグを保持した保持炉内において、該保持炉内に設けた攪拌装置により該スラグを攪拌するに際しては、該攪拌装置の先端部を該スラグとマットの界面付近に位置させて攪拌し、該スラグ中の銅粒子を沈降させることを特徴とする。
ここで、1cm/sより大きな流速の旋回流を生じさせるように攪拌することが好ましい。
本発明によれば、自熔炉による銅製錬プロセスにおいて保持炉内で分離したスラグとマットの界面に形成されるマグネタイトの濃縮層を短時間で消失させることができ、そのマグネタイト濃縮層によってスラグ中を沈降する銅粒子が捕捉されることを防止して、銅粒子のマット内への沈降を促進させることができる。これにより、スラグ中の銅品位が低減し、銅の回収ロスを効果的に減少させることができる。
以下、本発明に係る銅製錬スラグからの銅の回収方法の具体的な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない限りにおいて適宜変更することができる。
本実施の形態に係る銅製錬スラグからの銅の回収方法(以下、単に「銅の回収方法」ともいう。)は、自熔炉を用いた銅製錬プロセスにおいて、銅精鉱を反応させて得られたスラグを保持炉(セトラー)内に保持して、そのスラグから比重差によって銅マットを沈降分離させて銅を回収する方法である。
自熔炉による銅製錬プロセスでは、銅精鉱と反応用空気との反応において必然的に不均一さが生じ、銅精鉱中の鉄の一部が過剰に酸化されてFe(マグネタイト)が発生する。銅製錬スラグが保持炉に保持されると発生したマグネタイトも沈降するが、マグネタイトと銅マットの比重が同程度であるため、マグネタイトはスラグとマットの界面(スラグ側の界面)に留るようになる。このマグネタイトは、スラグやマットに含まれるFeS等との接触によって容易に熔解するものの、操業条件によって発生量が熔解量よりも多くなるとマグネタイトの量が徐々に増加していき、その結果、いわゆるネタリと呼ばれる高粘性の半溶融層(マグネタイト濃縮層)を形成する。この状態になると、保持炉内においてスラグ中を沈降してくる銅マットの粒子(銅粒子)が、形成されたマグネタイト濃縮層によって捕捉され、銅粒子のマット内への沈降が進まなくなり、捕捉された銅は回収ロスとなる。
そこで、本実施の形態に係る銅の回収方法は、銅製錬により発生したスラグを保持した保持炉内において、その保持炉内に設けた攪拌装置によりスラグを攪拌する。
本実施の形態においては、このようにスラグを攪拌装置によって攪拌することによって、スラグとマットの界面に形成されたマグネタイト濃縮層を効果的に短時間で溶解、消失させることができる。そして、これにより、スラグ中の銅粒子が捕捉されることを防止でき、銅粒子のマット内への沈降をスムーズに進行させて、スラグ中の銅品位が低減して銅の回収ロスを減少させることができる。具体的には、スラグ中の銅品位を0.6%以下程度にまで効果的に低減させることができる。
また、この方法によれば、従来のようにフラックスや還元剤等をスラグ内に添加する必要がなく、またスラグの性状管理等を行う手間を要することなく、経済的にも非常に効率的な操業を行うことができる。
ここで、本発明者らは、スラグとマットの界面付近、すなわちマグネタイト濃縮層が形成されている付近における流体が、流速1cm/s程度の流れ場を形成していることを見出した。このことから、スラグを攪拌するに際しては、1cm/sよりも大きな流速の旋回流を生じさせるように攪拌することが好ましい。これにより、短時間で効果的にマグネタイト濃縮層を消失させることができ、銅粒子の沈降をよりスムーズに進行させることができる。
なお、攪拌により生じさせる旋回流の流速の上限値としては、特に限定されないが、エネルギーコスト等の観点から、例えば10cm/s以下とすることが好ましい。
また、上述のように、マグネタイト濃縮層はスラグとマットの界面付近に存在していることから、攪拌に際しては、攪拌装置の先端部をその界面付近に位置させて攪拌する。これにより、保持炉内において沈降分離したマットを保持しつつ、短時間で効果的にマグネタイト濃縮層を消失させて、スラグ中の銅粒子のマット内への沈降を進行させることができる。なお、スラグとマットの界面付近におけるスラグ側にマグネタイト濃縮層は存在し、またマットを攪拌すると沈降した銅粒子をスラグ中に舞い上げてしまうことから、攪拌装置の先端部をスラグとマットの界面よりもやや上方に位置させて、スラグのみを攪拌することが好ましい。具体的には、例えば、攪拌装置の先端部をスラグとマットの界面から2〜5mm程度上方に位置するように浸漬させて攪拌する。
攪拌方法としては、特に限定されるものではないが、攪拌装置を用いてスラグに旋回流を生じさせるように攪拌することが好ましい。これにより、攪拌装置の軸を中心としてスラグを均一に攪拌することができ、スラグとマットの界面に形成されたマグネタイト濃縮層をより効率的に消失させることができる。
攪拌装置としては、特に限定されるものではなく、例えば、円柱のパイプや平板等の簡単な形状の回転子の付いた攪拌棒等の攪拌装置を用いて攪拌することができる。また、その攪拌棒には、攪拌羽根を特段設けない簡易なものでもよい。攪拌羽根を設けなくても、攪拌棒が回転する際の振動等によって偏芯して振れが発生して旋回流を生じさせることができ、また使用に伴って攪拌棒の周辺にスラグやネタリ層を形成するマグネタイトが固着して、あたかも攪拌羽根があるように作用して攪拌効果を高めることができる。
このように攪拌装置として簡易なものを用いることにより、メンテナンスも容易となり、銅製錬プロセスにおける効率的な銅の回収処理を行うことができる。また、その攪拌装置の材質としては、例えばアルミナ等の高温のスラグ内においても高い耐久性を有する材質からなる攪拌装置を用いることが好ましい。
より具体的に、攪拌に際しては、その攪拌棒等の攪拌装置を保持炉内のスラグに浸漬して攪拌し、保持炉内のスラグに旋回流を与えるようにする。このとき、上述のように、マグネタイト濃縮層はスラグとマットの界面に存在することから、攪拌装置の先端部がその界面付近に到達するまで、より好ましくはその界面よりもやや上方の位置に到達するまで浸漬させて攪拌する。これにより、マグネタイト濃縮層を消失させるための攪拌効果が高まるとともに、既に沈降した銅マットを乱すことなく、効率的にスラグ中の銅粒子のマット内への沈降を促すことができる。
攪拌装置による攪拌速度としては、特に限定されるものではないが、上述のように1cm/sよりも大きな流速の旋回流を生じさせるような攪拌速度とすることが好ましい。この攪拌速度については、銅製錬によって発生したスラグの性状や用いる攪拌装置の種類等に応じて、予備試験を行う等して適宜設定することができる。
また、攪拌時間としては、特に限定されるものではなく、スラグ内に発生しているマグネタイトの量や攪拌速度等に応じて適宜設定することができる。
処理対象となるスラグについても、銅製錬により発生するスラグであれば特に限定されるものではなく、何れのスラグに対しても当該銅の回収方法を好適に用いることができる。なお、スラグ中に懸濁している銅マットは、顕微鏡観察等によって液滴の形で存在していることが分かっている。銅マットの液滴の直径は一定の分布を有するが、70μm以上の径の銅マットを2割以上有するスラグに対して、特に好適に適用することができる。懸濁している銅マットの粒子が全て50μm以下の場合には、スラグ中における沈降速度が遅くなり、銅粒子がスラグとマットの界面に存在するマグネタイト濃縮層に到達するのに時間がかかり過ぎて、実用的な有効性がなくなる可能性がある。
なお、保持炉内において沈降分離したスラグとマットは、保持炉に設けられたスラグホールとマットホールからそれぞれ分離回収することができる。本実施の形態において、上述のように、スラグ中の銅マットの粒子も効果的にマット内に沈降させることができることから、スラグホールから回収されるスラグ中の銅品位を極めて低くすることができ、一方でマットホールを介して回収ロスを抑制しながら効果的に銅を回収することができる。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
[マグネタイト濃縮層について(参考実験)]
先ず、マグネタイト濃縮層の存在と銅粒子の沈降状態について以下のように調査した。
内径40mmのアルミナ製タンマン管に実施例1と同じスラグ200gを装填し、電気炉内に耐熱ボードで蓋をした状態の黒鉛るつぼ内に設置した。黒鉛るつぼ内をアルゴン雰囲気に保った状態で、実施例1と同様に1250℃まで昇温し、1250℃到達後に30分間温度を保持した。その後、タンマン管を炉外へ取り出し、スポットクーラーを用いて空気による強制冷却をおこなった。
冷却後のタンマン管を、高速切断機を用いて約10mmずつの厚さに輪切りに切断し、スラグ層内の高さ方向における化学組成分析、及び光学顕微鏡による組織観察を行った。
その結果、タンマン管中層(スラグ層の中間部)における銅品位は0.58%まで低下していたのに対し、タンマン管下層(底層)(スラグ層の底部)では固相マグネタイトの濃縮層が存在しており、このマグネタイト濃縮層に捕捉される形で銅マットが多数懸濁しており、銅品位は2%まで濃縮していた。
このように、スラグ層の下層部(底部)、すなわちマットが存在する場合にはスラグとマットの界面(スラグ側の界面)において、マグネタイト濃縮層が形成されるようになり、このマグネタイト濃縮層が存在する部分にスラグ中を沈降してきた銅粒子が捕捉されていることが確かめられた。
[実施例1]
内径17mmのアルミナ製タンマン管の底に銅製錬の実操業で発生したマット20gを装填し、その上に同じく実操業で発生したスラグ40gを載せた。次いで、タンマン管を黒鉛るつぼ内に立てた状態で入れ、この黒鉛坩堝に耐熱ボードで蓋をし、電気炉内に立てた状態で設置した。
次いで、黒鉛坩堝内をアルゴン雰囲気に保った状態で1200℃まで昇温し、1250℃に到達した後、外径8mmのアルミナ製パイプを、その先端がスラグとマットの界面から2〜5mm程度上方で停止する位置まで浸漬し、毎分240回転しながら30分間攪拌した。なお、耐熱ボードの蓋には、上述のアルミナ製パイプを通すことができるように、予め蓋の中に部分的な小蓋を設けておいた。
ここで、アルミナ製パイプの回転数は、タンマン管底部でスラグに2cm/secの流速を与えるように、予め計算や予備試験を行って定めた回転数とした。
アルミナ製パイプによる攪拌後、タンマン管を炉外へ取り出し、スポットクーラーを用いて空気を吹き付けて強制冷却した。
次に、室温まで冷却したタンマン管を、高速切断機を用いて約10mmずつの厚さに輪切りに切断し、さらにスラグとマットの界面が存在している切断片を縦割りにし、研磨してスラグとマットの界面を光学顕微鏡で観察した。
その結果、スラグとマットの界面に存在していたと考えられるマグネタイトの結晶はほとんど消失して観察できなかった。このことから、スラグ中の銅粒子は捕捉されることなくスムーズに沈降して、スラグ中の銅品位を効果的に低減できることが分かった。
[比較例1]
タンマン管に装填したスラグ40gとマット20gに対して攪拌処理を施さなかったこと以外は、実施例1と同じ方法で過熱し冷却した。冷却後のタンマン管を、実施例1と同じ方法で輪切りにし、スラグとマットの界面を光学顕微鏡で観察した。
その結果、スラグとマットの界面にはマグネタイトの結晶が多数見られた。このマグネタイトの結晶は、上述の参考実験において観察されたマグネタイト濃縮層であるため、このマグネタイト濃縮層がスラグ中の銅粒子の沈降を阻害し、銅の回収ロスを生じさせるものと考えられる。

Claims (2)

  1. 銅製錬により発生したスラグを保持した保持炉内において、該保持炉内に設けた攪拌装置により該スラグを攪拌するに際しては、該攪拌装置の先端部を該スラグとマットの界面付近に位置させて攪拌し、該スラグ中の銅粒子を沈降させることを特徴とする銅製錬スラグからの銅の回収方法。
  2. 1cm/sより大きな流速の旋回流を生じさせるように攪拌することを特徴とする請求項1記載の銅製錬スラグからの銅の回収方法。
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