JP6369516B2 - 機械攪拌式溶銑脱硫方法 - Google Patents

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Description

本開示は、機械攪拌式溶銑脱硫方法に関する。
溶銑の脱硫方法の一つである、機械攪拌式溶銑脱硫方法では、主に攪拌羽根を溶銑中に挿入し、回転させることにより、添加した石灰系の脱硫剤と溶銑とが攪拌・混合され、脱硫反応が進行する。この際、用いられる脱硫剤の石灰成分が高融点であるため、脱硫剤は、溶銑温度では溶解せずに固体の状態で溶銑と接触することとなる。このため、機械攪拌式溶銑脱硫方法で用いられる脱硫剤には、生石灰の溶融による脱硫反応の促進を目的に、ホタル石やソーダ灰などの生石灰の溶融を促進させる媒溶剤が含まれる。このような脱硫剤を用いた機械攪拌式溶銑脱硫方法では、溶銑の脱硫処理により生じるスラグ(「脱硫スラグ」ともいう。)は、精錬剤の主成分である生石灰(CaO)及び溶銑中から除去された硫黄(S)に加え、上記媒溶剤の成分であるフッ素(F)やナトリウム(Na)などを含む成分組成となる。しかし、脱硫スラグを再利用するためには、溶出規制元素であるFやNaを含まない脱硫スラグである必要があるため、溶出規制元素を含まない媒溶剤を使用することや生石灰そのものの脱硫能を向上させることが肝要となる。
例えば、特許文献1〜3には、溶出規制元素を含まないアルミナ(Al)を媒溶剤に用いる方法、及びこの媒溶剤を含む脱硫剤を、キャリアガスを用いて溶銑に噴射する方法(「投射法」ともいう。)が開示されている。
また、特許文献4〜6には、精錬剤として、特に脱硫剤としての石灰性状に関して、密度、比表面積および細孔径容量などが制御された、石灰製造方法、及び脱硫方法が開示されている。
また、溶銑の脱硫反応は還元反応であるため、反応領域における酸素分圧を低下させることが反応促進に有効な手段となる。反応領域における酸素分圧を低下させる方法として、例えば、特許文献7,8には、機械攪拌式溶銑脱硫方法において炭化水素ガスを用いる方法が開示されている。
特許第5045031号公報 特許第5195737号公報 特開第2011−117015号公報 特許第5101988号公報 特許第5165213号公報 特開昭62−56509号公報 特許第3861655号公報 特開2003−166009号公報
ところで、特許文献1,2に記載の投射法による脱硫方法では、石灰性状については何ら考慮されていないため、石灰性状の観点から投射法において生石灰の脱硫効率をさらに向上させる技術が求められている。
また、特許文献3〜5では、脱硫剤を溶銑に添加する方法として、機械攪拌式脱硫方法において浴面に対して脱硫剤を上添加する方法(「上添加法」ともいう。)、又は溶銑中へ粉状の脱硫剤を吹き込む方法(「インジェクション法」ともいう。)が前提となっており、投射法に最適な石灰性状とはなっていなかった。さらに、特許文献2では、対象となる脱硫剤の粒径が、200μm以下と小さいものである。このような微細な脱硫剤を用いる場合には、反応界面積を確保することが容易となるが、機械攪拌式脱硫法においては、添加歩留確保の観点から、粒径の大きな脱硫剤を用いることが重要であり、そのような粒径の大きな脱硫剤を用いて反応界面積を確保する方法についてはなんら述べられていない。
さらに、特許文献7,8に記載の機械攪拌式溶銑脱硫における炭化水素ガス上吹き技術は、脱硫剤の上添加が前提であるため、投射法に最適な条件とはなっていなかった。
機械攪拌式溶銑脱硫方法では、添加される粉状の脱硫剤が溶銑中に巻き込まれ、溶銑中の硫黄と反応する過程において、脱硫剤の凝集が進行する。その結果、処理後の脱硫スラグは、数mm〜数10mmの凝集粒となる。機械攪拌式溶銑脱硫方法における投射法では、上添加法に対して脱硫剤の溶銑中への侵入が促進されるため、溶銑に巻き込まれる際の脱硫剤の凝集が抑制され(凝集粒が小さくなり)、実質的な反応界面積を大きくする効果がある。しかし、このような投射法においても、投射された脱硫剤の凝集は依然として進行するため、脱硫剤そのものの反応界面積を十分に活用できていなかった。つまり、機械攪拌式溶銑脱硫における投射法においては、粉状の脱硫剤そのものの溶銑中への浸入促進が課題であった。
そこで、本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、投射法において、脱硫剤の溶鉄中の侵入を促進させることができる、機械攪拌式溶銑脱硫方法を提供することを目的としている。
本発明の一態様によれば、細孔径が0.5μm以上10μm以下となる細孔の容積の和である全細孔容積が0.1mL/g以上の生石灰を含む脱硫剤を、機械攪拌式脱硫装置に設けられたランスを用いて、炭化水素ガスまたは炭化水素ガスと不活性ガスとの混合ガスからなるキャリアガスと共に溶銑上に吹き付けることで、上記溶銑に上記脱硫剤を添加することを特徴とする機械攪拌式溶銑脱硫方法が提供される。
本発明の一態様によれば、投射法において、脱硫剤の溶鉄中の侵入を促進させることができる。
本発明の一実施形態に係る機械攪拌式溶銑脱硫装置を示す模式図である。 試験における、細孔径が0.5μm以上10μm以下の全細孔容積と脱硫率との関係を示すグラフである。 試験における、生石灰の平均粒径と脱硫率との関係を示すグラフである。 試験における、キャリアガス中の炭化水素ガスの体積比と脱硫率との関係を示すグラフである。
以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の細部について記載される。しかしながら、かかる特定の細部がなくても1つ以上の実施態様が実施できることは明らかであろう。他にも、図面を簡潔にするために、周知の構造及び装置が略図で示されている。
はじめに、本発明者らが本発明に至った経緯について説明する。本発明者らは、機械攪拌式脱硫方法において、脱硫剤の特性(主に石灰性状)の観点から、脱硫剤の溶銑中への侵入を促進させるための各特性の影響についての試験を鋭意行った。図1に、試験に用いた機械攪拌式脱硫装置1、表1に試験を実施した装置および試験方法の条件をそれぞれ示す。
Figure 0006369516
図1に示すように、機械攪拌式脱硫装置1は、溶銑鍋2に収容された溶銑3を脱硫処理する精錬装置である。溶銑鍋2は、台車4に載せられた状態で、処理位置に配される。試験では、溶銑鍋2の鍋径を4mとし、溶銑3の重量を300t/chとし、溶銑3の温度を1280℃以上1330℃以下とし、脱硫処理前の溶銑3のS濃度([S])を0.025wt%以上0.035wt%以下とした。なお、ch(チャージ)は、機械攪拌式脱硫装置1によって溶銑鍋2毎に行われる脱硫処理の回数を示す単位であり、300t/chとは一度の脱硫処理において処理される溶銑3の重量(溶銑鍋2に収容される溶銑3の重量)が300tであることを示す。
機械攪拌式脱硫装置1は、攪拌羽根(インペラ)5と、投射手段6と、上添加手段7とを備える。攪拌羽根5は、耐火物製の攪拌子であり、鉛直方向(図1の紙面に対する上下方向)の上端が軸に接続され、この軸の軸心から垂直な方向に突出する4枚の羽根を有する。また、軸の上端側は、不図示の回転装置や昇降装置に接続される。攪拌羽根5は、軸が回転装置からの回転駆動を受けることで、軸を中心として回転する。また、攪拌羽根5は、昇降装置の昇降動作によって鉛直方向に昇降可能に構成される。試験では、攪拌羽根5の直径を1.45mとし、攪拌羽根5を130rpmの回転数で回転させて脱硫処理を行った。投射手段6は、ホッパー8と、ロータリーフィーダ9と、ランス10とを有する。ホッパー8には、脱硫剤が収容される。ロータリーフィーダ9は、ホッパー8に収容された脱硫剤を所定の切出し速度で切出し、ランス10へと供給する。ランス10は、65Aのランスであり、溶銑3の浴面上方に、鉛直方向に延在して配される。ランス10は、ロータリーフィーダ9から切出される脱硫剤を、不図示のキャリアガス供給装置から供給されるキャリアガスと共に噴射することで、溶銑3の浴面に脱硫剤を吹き付ける。キャリアガス供給装置は、キャリアガスとして、不活性ガスである窒素ガス、任意の比率で混合された窒素ガスと炭化水素ガス(プロパン(C)ガス)との混合ガス、または炭化水素ガスのいずれかを選択的に供給することができる。上添加手段7は、ホッパー11と、ロータリーフィーダ12と、投入シュート13とを有する。ホッパー11には、脱酸剤などの副原料が収容される。ロータリーフィーダ12は、ホッパー11に収容された副原料を所定の切出し速度で切出し、投入シュート13へと供給する。投入シュート13は、下端が溶銑3の浴面上方に配され、ロータリーフィーダ12から供給される副原料を先端から自由落下させることで溶銑3の浴面へ投入する。試験では、投射手段6を用いた投射法によって脱硫剤を溶銑3に添加し、脱硫処理を行った。なお、投射手段6の条件として、キャリアガスの流量を7Nm/minとした。
また、試験では、粉状の生石灰のみを脱硫剤とし、生石灰に不可避的に含有される成分以外の副原料などの添加剤は添加せずに脱硫処理を行った。脱硫剤の添加量は、5kg/t(溶銑1トン当たりに対する添加量)とした。さらに、生石灰の全細孔容積と脱硫率(処理前のS濃度に対する処理前後でのS濃度の変化量の割合)との関係、生石灰の粒径と脱硫率との関係、及び炭化水素ガスの体積比と脱硫率との関係を調査するため、生石灰の全細孔容積、生石灰の粒径及び炭化水素ガスの体積比をそれぞれ変化させた条件で脱硫処理を行った。ここで、粒径とは最大粒径であり、脱硫剤を篩に掛けることで所定の最大粒径以下の脱硫剤が得られる。また、生石灰の細孔径分布は、水銀ポロシメータを用いた以下の方法にて測定した。
まず、前処理として、生石灰を120℃で4時間、恒温乾燥した。次いで、Micromerities社製のオートポアIV9520を用いて、水銀圧入法により、乾燥させた生石灰の細孔直径が約0.0036μm〜200μmの細孔分布を求め、累積細孔容積曲線を算出した。さらに、算出された累積細孔容積曲線から、直径0.5μm〜10μmの細孔の全細孔容積を求めた。細孔径は、Washburnの式((1)式)を用いて算出した。なお、(1)式において、Pは圧力、Dは細孔直径、σは水銀の表面張力(=480dynes/cm)、θは水銀と試料との接触角(=140degrees)をそれぞれ示す。
P×D = −4×σ×cosθ ・・・(1)
さらに、粒径とは平均粒径であり、脱硫剤を篩い分けることで所定の平均粒径とした。脱硫剤の平均粒径の測定方法は、以下の通りである。まず、メーカー出荷時、もしくは、ホッパー8への積み込み時に、500gの脱硫剤を採取する。次いで、採取した脱硫剤を、45μm以下、45μm〜75μm、75μm〜100μm、100μm〜125μm、125μm〜150μm、150μm〜300μm、300μm〜500μm、500μm〜1000μm、1000μm以上、の9段階に篩い分けした。さらに、篩い分けした脱硫剤について、(2)式の重量比率で計算することで、平均粒径を算出した。なお、(2)式において、Dは平均粒径(mm)、dはそれぞれの粒径範囲における平均粒子径(篩目中央値)(mm)、wはそれぞれの篩上の脱硫剤の重量(kg)を示す。
Figure 0006369516
生石灰の性状としては、比表面積や活性度等の様々な特性があるが、試験の結果、脱硫剤の溶銑中への侵入促進には、生石灰の細孔径分布の影響が大きいことが確認された。試験の結果として、細孔径が0.5μm以上10μm以下の全細孔容積を変化させた場合における、生石灰の全細孔容積と脱硫率との関係を図2に示す。なお、図2に示す条件では、脱硫剤の平均粒径は1mm以下とし、キャリアガスには窒素ガスのみを用いた。図2に示すように、細孔径が0.5μm以上10μm以下の全細孔容積が0.1mL/g以上となることで、著しく脱硫率が増加し、80%以上の高い脱硫率が得られることが確認された。
次に、脱硫剤の平均粒径を変化させた場合における、平均粒径と脱硫率との関係を図3に示す。なお、図3に示す条件では、生石灰の細孔径が0.5μm以上10μm以下の全細孔容積は0.2mL/gとし、キャリアガスには窒素ガスのみを用いた。図3に示すように、脱硫剤の平均粒径が210μm以上500μm以下となることで脱硫能が80%以上の高い脱硫率が得られることが確認された。さらに、脱硫剤の平均粒径を230μm以上500μm以下とすることで、より確実に脱硫率を向上させることができ、全細孔容積の適正化による脱硫率の向上効果を確実に得られることが確認された。
これらの結果から、本発明者らは、脱硫率を向上させるための脱硫剤中の生石灰の条件としては、生石灰の細孔径が0.5μm以上10μm以下の全細孔容積を0.1mL/g以上とし、生石灰の平均粒径を好ましくは210μm以上500μm以下とし、より好ましく230μm以上500μm以下とすることが適当であることを知見した。これらの試験の結果から、以下の現象が考察される。溶銑脱硫が行われる温度では生石灰は固体であり、溶銑3の浴面に添加された生石灰が上記細孔径サイズを有する場合には、生石灰表面の細孔に溶銑3が浸入することで、物理的に溶銑3と生石灰との濡れ性が改善される。これにより、生石灰の溶銑3中への侵入が促進され、脱硫効率が向上すると考えられる。
ここで、機械攪拌式脱硫法における脱硫剤の添加方法には、上添加法及び投射法の少なくとも一方が一般的に用いられる。このような添加方法の場合、添加した脱硫剤が溶銑中へすべて侵入するインジェクション脱硫法とは異なり、小径の脱硫剤を溶銑中へ歩留り良く添加することが困難となる。このため、機械攪拌式脱硫法では、歩留り向上のためには、添加する脱硫剤の粒径が重要となる。一般的に粒径の小さい脱硫剤を用い、この脱硫剤が溶銑中へ侵入することが出来た場合には、溶銑との反応界面積を確保することが可能となることから、脱硫反応効率向上のためには有利となる。しかし、粒径の小さな脱硫剤は、小径になるほど溶銑中への侵入が困難となることから、添加されても反応に寄与しない可能性が高くなる。一方、添加する脱硫剤の粒径を大きくした場合、溶銑中への侵入には有利となり歩留りが向上するが、反応界面積は低下するため、脱硫反応の観点からは不利になる。このため、溶銑への歩留りを確保しつつ、反応を促進するためには、脱硫剤の適切な粒径を確保することと、反応効率を高めることとを両立させることが重要である。
これに対して、本発明者らは、試験結果から、脱硫剤として生石灰を用いた機械攪拌式脱硫法における脱硫効率向上のためには、細孔径が0.5μm以上10μm以下の細孔の存在が重要であり、それら細孔の全細孔容積が0.1mL/g以上である脱硫剤を用いることが重要であることを知見した。さらに、この脱硫剤としては、平均粒径が好ましくは210μm以上500μm以下、より好ましくは230μm以上500μm以下のものを用いることで、溶鉄へ添加する際の歩留り向上のための適切な粒径を確保できることを知見した。このように、細孔に加えて平均粒径を制御することで、脱硫効率をより向上させることができる。なお、引用文献3〜5にも類似した生石灰の性状・特性が示されている。しかし、引用文献3〜5の場合、上記試験のように機械攪拌式脱硫において、キャリアガスと共にランス10から溶銑3の浴面へ脱硫剤を吹き付ける投射法とは、脱硫剤の添加方法が異なるため、上記の現象と全く異なる原理となる。
次に、キャリアガス中の炭化水素ガスの体積比を変化させた場合における、炭化水素ガスの体積比と脱硫率との関係を図4に示す。なお、図4に示す条件では、生石灰の細孔径が0.5μm以上10μm以下の全細孔容積は0.2mL/gとし、生石灰の平均粒径は210μm以上500μm以下とした。キャリアガスの流量は、7Nm/minの一定とした。また、キャリアガス中の炭化水素ガスの体積比を変化させた複数の条件で試験を行った。図4に、炭化水素ガスの体積比を変化させた場合における試験結果を示す。図4の横軸はキャリアガス中の炭化水素ガス(プロパンガス)の体積比を示し、縦軸は脱硫率を示す。図4に示すように、キャリアガス中の炭化水素ガスの体積比が0.1以上で脱硫率の向上効果が顕著となることが確認された。投射法においてキャリアガス中の炭化水素ガスの比率を増加させると、添加された粉状の脱硫剤が攪拌羽根5の回転で形成される渦部へ速やかに巻き込まれる様子が確認された。プロパンガスなどの炭化水素ガスは、数100℃程度の比較的低温で炭素と水素とに分解する。分解した炭素は、粉状で析出し、ガスジェットの運動量を増す効果がある。また、分解した水素は、溶銑3に溶解するため、溶銑表面でのスプラッシュが生じにくくなる。従って、キャリアガス中の炭化水素ガスは、搬送中は脱硫剤に運動量を与え、溶銑表面では炭素粉の析出及び水素ガスの溶解により脱硫剤の溶銑中への侵入を促進させる。
<機械攪拌式溶銑脱硫方法>
次に、上記知見に基づいた、本発明の一実施形態に係る機械攪拌式溶銑脱硫方法について説明する。本実施形態では、上記試験と同様に、図1に示す機械攪拌式脱硫装置1を用いて溶銑3の脱硫処理を行う。なお、機械攪拌式脱硫装置1は、溶銑鍋2の上部開口部を覆う蓋(不図示)や、この蓋に設けられ排気装置(不図示)に接続される排気ダクト(不図示)を有する。脱硫処理中に生じるガスやダストは、この排気ダクトを通じて排気装置へと排出される。
本実施形態に係る機械攪拌式溶銑脱硫方法では、まず、溶銑3が収容された溶銑鍋2が台車4に載せられ、溶銑鍋2に対して攪拌羽根5が所定の位置となるまで台車4が移動する。次いで、昇降装置によって攪拌羽根5が下降することで、攪拌羽根5が溶銑3に浸漬する。そして、溶銑3に浸漬すると同時に、攪拌羽根5は、回転装置によって回転し、所定の回転数となるまで回転数が上げられる。このとき、排気装置によって、発生するガスやダストが、排気ダクトから排出される。さらに、攪拌羽根5が定常回転数に達した後、投射手段6によって、溶銑3に脱硫剤が添加される。
脱硫剤は、0.5μm以上10μm以下の全細孔容積が0.1mL/g以上であり平均粒径が2mm以下の生石灰を含み、フッ素、ナトリウム及びカリウムのうち少なくとも1つの溶出元素を含まない。生石灰は、キルン炉やメルツ炉、ベッケンバッハ炉などの、どのような炉で焼成されたものでも良い。また、生石灰の平均粒径は、210μm以上500μm以下とすることが好ましく、230μm以上500μm以下とすることがより好ましい。さらに、生石灰の粒径の最小値は、投射時の飛散などを考慮すると、40μm以上とすることが好ましい。
さらに、脱硫剤は、ロータリーフィーダ9によってホッパー8から切出された後、キャリアガスとともにランス10から溶銑3の浴面へと吹き込まれることで、溶銑3に添加される。キャリアガスは、炭化水素ガスまたは炭化水素ガスと不活性ガスとの混合ガスからなる。また、キャリアガスとして混合ガスを用いる際には、混合ガス中の炭化水素ガスの比率が10体積%以上であることが好ましい。さらに、上添加手段7のロータリーフィーダ12によってホッパー11から切出された脱酸剤などの副原料が、投入シュート13を介して溶銑3に添加されてもよい。脱酸剤は、金属Alを含有するアルミドロスの粉末や金属Alなどである。
脱硫剤が添加された後、所定の時間が経過するまで攪拌羽根5による溶銑3の攪拌が行われる。その後、回転装置によって攪拌羽根5の回転が停止するまで回転数が減少し、回転が停止した後に昇降装置にて攪拌羽根5が上昇する。次いで、脱硫処理によって生じたスラグが浮上して溶銑3の浴面を覆い、静止した状態となることで、脱硫処理が終了する。
<変形例>
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態の種々の変形例とともに本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲は、本発明の範囲及び要旨に含まれるこれらの変形例または実施形態も網羅すると解すべきである。
例えば、上記実施形態では、炭化水素ガスとしてプロパンガス、不活性ガスとして窒素ガスが用いられるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、プロパンガス以外の炭化水素ガスが用いられてもよい。また、不活性ガスとして、アルゴンガスなどの他のガスが用いられてもよい。
例えば、上記実施形態では、脱硫剤として0.5μm以上10μm以下の全細孔容積が0.1mL/g以上である生石灰のみを用いるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、脱硫剤は、0.5μm以上10μm以下の全細孔容積および平均粒径が上記範囲内となる生石灰と、0.5μm以上10μm以下の全細孔容積および平均粒径が上記範囲外となる生石灰とを混合したものであってよい。また、脱硫剤には、0.5μm以上10μm以下の全細孔容積および平均粒径が上記範囲内となる生石灰に加えて、アルミナ系などの媒溶剤が添加されてもよい。この場合、生石灰が上記範囲外となる生石灰に比べて、生石灰の脱硫能が向上しているため、媒溶剤の添加量が少ない場合でも同等以上の脱硫効率を得ることができる。
<実施形態の効果>
(1)本発明の一態様に係る機械攪拌式溶銑脱硫方法は、細孔径が0.5μm以上10μm以下となる細孔の容積の和である全細孔容積が0.1mL/g以上の生石灰を含む脱硫剤を、機械攪拌式脱硫装置1に設けられたランス10を用いて、炭化水素ガスまたは炭化水素ガスと不活性ガスとの混合ガスからなるキャリアガスと共に溶銑3上に吹き付けることで、溶銑3に脱硫剤を添加する。
上記(1)の構成によれば、石灰系の脱硫剤の性状を適正化することで、投射法によって脱硫剤を添加する際に、脱硫剤の溶銑3中への侵入を促進させることができる。また、キャリアガスに炭化水素ガスを用いることにより、搬送中の脱硫剤に運動量が与えられ、溶銑表面における炭素粉の析出及び水素ガスの溶解により脱硫剤の溶銑中への侵入を促進させることができる。これにより、脱硫剤と溶銑3との反応界面積を増加させることができる。その結果、従来よりも少ない脱硫剤の使用量での脱硫処理や、もしくは同じ脱硫剤の使用量でより低硫黄濃度までの脱硫処理を行うことが可能となる。
(2)上記(1)の構成において、生石灰を、平均粒径が210μm以上500μm以下の粉状とする。
(3)上記(2)の構成において、生石灰の平均粒径を、230μm以上とする。
上記(2)及び(3)の構成によれば、キャリアガスと共に生石灰を吹き付ける場合において、溶鉄へ添加する際の歩留り向上のための適切な粒径を確保できると同時に、細孔に加えて平均粒径を制御することで、脱硫効率をより向上させることができる。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかの構成において、キャリアガスとして混合ガスを用いる際に、混合ガス中の炭化水素ガスの比率を10体積%以上とする。
上記(4)の構成によれば、キャリアガスとして混合ガスを用いる場合において、脱硫剤の溶銑中への侵入をさらに促進させることができる。また、キャリアガスとして混合ガスを用いる場合、キャリアガスとして炭化水素ガスのみを用いる場合に比べ、脱硫処理に掛かる精錬コストを低減させることができる。
次に、本発明者らが行った実施例について説明する。実施例では、図1に示す機械攪拌式脱硫装置1、及び上記実施形態に係る溶銑脱硫方法を用いて溶銑3の脱硫処理を行った。
実施例では、脱硫剤の条件として、生石灰の0.5μm以上10μm以下の全細孔容積を0.1mL/g〜0.3mL/g、生石灰の平均粒径を150μm〜510μmの範囲で変化させた。また、キャリアガス中の炭化水素ガス(プロパンガス)の体積比率の異なる条件で脱硫処理を行った。実施例の脱硫処理におけるその他の条件は、表1に示す条件と同じである。そして、脱硫処理前後での溶銑成分として脱硫処理前後での溶銑3のS濃度及び溶銑温度を測定し、脱硫処理前後の溶銑3のS濃度から脱硫率を算出した。
また、比較例として、脱硫剤の添加方法として上添加法を用いた条件、並びに生石灰の0.5μm以上10μm以下の全細孔容積が上記実施形態と異なる条件でも脱硫処理を行い、実施例同様に脱硫率を算出した。
表2に、実施例における脱硫処理の条件及び脱硫処理の結果を示す。なお、脱硫剤の添加方法として上添加法を用いた比較例1,2では、機械攪拌式脱硫装置1の投射手段は用いずに、上添加手段7から溶銑3に脱硫剤を添加した。また、実施例3におけるキャリアガス中の炭化水素ガスの体積比率100体積%は、キャリアガスとして炭化水素ガスのみを用いたことを示す。
Figure 0006369516
表2に示すように、実施例1〜11では、脱硫率が80%以上と高くなることが確認された。また、生石灰の平均粒径が230μm〜500μmである実施例3〜6では、脱硫率が90%以上とさらに高くなることが確認された。キャリアガスとして炭化水素ガスの体積比率が20%である実施例8〜10、及びキャリアガスとして炭化水素ガスのみを用いた実施例11では、処理後のS濃度が分析限界の0.0005%まで低下しており、脱硫率も98.99%と特に高くなることが確認された。
一方、上添加法を用いた比較例1,2では、生石灰の性状や媒溶剤の条件が適正範囲であっても、実施例1〜11に比べ低位となることが確認された。また、比較例3では、炭化水素ガスの体積比率が20%のキャリアガスを用いた投射法であっても、生石灰の0.5μm以上10μm以下の全細孔容積が上記実施形態の範囲外となることで、実施例1〜11に比べ脱硫率が低位となることが確認された。
1 機械攪拌式脱硫装置
2 溶銑鍋
3 溶銑
4 台車
5 攪拌羽根
6 投射手段
7 上添加手段
8 ホッパー
9 ロータリーフィーダ
10 ランス
11 ホッパー
12 ロータリーフィーダ
13 投入シュート

Claims (3)

  1. 細孔径が0.5μm以上10μm以下となる細孔の容積の和である全細孔容積が0.1mL/g以上の生石灰を含む脱硫剤を、機械攪拌式脱硫装置に設けられたランスを用いて、炭化水素ガスまたは炭化水素ガスと不活性ガスとの混合ガスからなるキャリアガスと共に溶銑上に吹き付けることで、前記溶銑に前記脱硫剤を添加し、
    前記生石灰を、平均粒径が150μm以上510μm以下の粉状とすることを特徴とする機械攪拌式溶銑脱硫方法。
  2. 前記生石灰の前記平均粒径を、230μm以上とすることを特徴とする請求項に記載の機械攪拌式溶銑脱硫方法。
  3. 前記キャリアガスとして前記混合ガスを用いる際に、前記混合ガス中の前記炭化水素ガスの比率を10体積%以上とすることを特徴とする請求項1または2に記載の機械攪拌式溶銑脱硫方法。
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