JP2011207956A - セルロース複合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、水分散体において、低濃度で、懸濁安定性に優れ、高い増粘効果を有し、高塩濃度の飲食品に添加した際に、離水、分離、凝集を生じにくいセルロース複合体を提供することを課題とする。
【解決手段】セルロースと、タマリンドシードガムと、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含むセルロース複合体であって、セルロースを50〜99質量%、タマリンドシードガムとカルボキシメチルセルロースナトリウムを合計1〜50質量%含み、タマリンドシードガムとカルボキシメチルセルロースナトリウムとの質量比が30/70〜99/1であり、該セルロース複合体を1質量%含む水分散体において貯蔵弾性率(G’)が0.5Pa以上であることを特徴とするセルロース複合体。
【選択図】なし

Description

本発明は、水中に分散したときに、低濃度で、懸濁安定性に優れ、高い増粘効果を有し、高塩濃度の飲食品に添加した際に、離水、分離、凝集を生じにくいセルロース複合体に関する。
従来、セルロースと水溶性ガムとの複合体が、水系媒体中においてセルロースコロイドを形成し、良好な懸濁安定性を示すことが知られており、食品、医薬品、化粧品、塗料、セラミックス、樹脂、触媒、その他工業用品等の分野において、懸濁安定剤、乳化安定剤、増粘安定剤等の安定剤、組織付与剤、クラウディー剤、白度向上、流動性改良、研磨剤、食物繊維、油脂代替等の目的で、広く用いられている。
セルロース複合体がもつ懸濁安定性、増粘性を向上させるために、様々な検討がなされている。
特許文献1には、特定の粒子径分布を示す微粒化セルロース系素材を2〜25質量%と、粘性指数100以上の親水性高分子を0.16質量%含有する微粒化セルロースが開示されている。
特許文献2には、微細セルロース100質量部に対して、置換度が0.6〜2.0であって、1質量%濃度における粘度が500mPa・s以下であるカルボキシメチルセルロースナトリウムを10〜200質量部含有する乾燥組成物が開示されている。
特許文献3には、微細セルロースとキトサンを含有する乾燥組成物が開示されている。
特開平5−255538号公報 特開平9−3243号公報 特開平9−206000号公報
特許文献1に記載の微粒化セルロースは、実施例によると、確かに、食塩濃度が1質量%程度から、一般的なドレッシング、マヨネーズの食塩濃度6質量%以下において、長期保存後の離水を防止でき、塩類との併用時の安定性を達成できる。
特許文献2に記載の微細セルロースを含有する水分散性組成物は、実施例によると、酸性領域での安定性に優れるものであり、塩濃度3質量%程度(食塩換算)においては、安定して分散している。
特許文献3に記載の微細セルロースを含有する水分散性組成物も、酸性領域での安定性を向上させることを目的されたものであり、塩濃度0.5質量%程度(食塩換算)の酸性飲料においては、安定に分散している。
しかしながら、上記の特許文献1〜3のセルロース組成物は、液体調味料の如く、非常に高い濃度の塩存在下では、凝集、分離を生じる問題があった。
また、従来の、セルロース複合体は、増粘効果が不十分であり、水系媒体に分散した際に、分散液の粘度を高めるには、高濃度の複合体を添加する必要があった。
本発明は、水分散体において、低濃度で、懸濁安定性に優れ、高い増粘効果を有し、高塩濃度の飲食品に添加した際に、離水、分離、凝集を生じにくいセルロース複合体を提供することを課題とする。
本発明者らは、セルロースとタマリンドシードガムとカルボキシメチルセルロースナトリウムを特定の比率で、高度に複合化させ、貯蔵弾性率(G’)を高めたセルロース複合体は、水系媒体に分散した際に、低濃度で、懸濁安定性に優れ、高塩濃度の飲食品に添加した際に、離水、分離、凝集を生じにくいことを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、下記の通りである。
(1)セルロースを50〜99質量%、タマリンドシードガムとカルボキシメチルセルロースナトリウムを合計1〜50質量%含むセルロース複合体であり、セルロース複合体を1質量%含む水分散体において貯蔵弾性率(G’)が0.5Pa以上であることを特徴とするセルロース複合体。
(2)タマリンドシードガムとカルボキシメチルセルロースナトリウムとの質量比が30/70〜99/1である上記(1)に記載のセルロース複合体。
(3)上記(1)又は(2)に記載のセルロース複合体を含む飲食品。
(4)塩濃度が6.5質量%以上である上記(3)に記載の飲食品。
本発明は、低濃度で、懸濁安定性に優れ、高い増粘効果を有し、高塩濃度の飲食品に添加した際に、離水、分離、凝集を生じにくいセルロース複合体を提供できる。また、このセルロース複合体を配合することで、安定性が改良された高塩濃度の飲食品を提供できる。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明のセルロース複合体は、セルロースと、タマリンドシードガム(以下「TSG」という。)、及びカルボキシメチルセルロースナトリウム(以下「CMC−Na」という。)を含むセルロース複合体である。
本発明でいう複合化とは、セルロースの表面が、水素結合等の化学結合により、TSGとCMC−Naで被覆されることをいう。
<セルロース>
本発明において、「セルロース」とは、セルロースを含有する天然由来の水不溶性繊維質物質である。原料としては、木材、竹、麦藁、稲藁、コットン、ラミー、バガス、ケナフ、ビート、ホヤ、バクテリアセルロース等が挙げられる。原料として、これらのうち1種の天然セルロース系物質を使用しても、2種以上を混合したものを使用することも可能である。
本発明に用いるセルロースの平均重合度は、500以下が好ましい。平均重合度は、「第14改正日本薬局方」(廣川書店発行)の結晶セルロース確認試験(3)に規定される銅エチレンジアミン溶液による還元比粘度法により測定できる。平均重合度が500以下ならば、TSG及びCMC−Naとの複合化の工程において、セルロース系物質が攪拌、粉砕、摩砕等の物理処理を受けやすくなり、複合化が促進されやすくなるため好ましい。より好ましくは、平均重合度は300以下、さらに好ましくは、250以下である。平均重合度は、小さいほど複合化の制御が容易になるため、下限は特に制限されないが、好ましい範囲としては10以上である。
平均重合度を制御する方法としては、加水分解処理等が挙げられる。加水分解処理によって、セルロース繊維質内部の不純物(非晶質セルロース、ヘミセルロース、リグニン等)が取り除かれ、繊維質内部が多孔質化する。それにより、セルロースが機械処理を受けやすくなり、複合化の制御が容易になる。
加水分解の方法は、特に制限されないが、酸加水分解、熱水分解、スチームエクスプロージョン、マイクロ波分解等が挙げられる。これらの方法は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。酸加水分解の方法では、セルロース系物質を水系媒体に分散させた状態で、プロトン酸、カルボン酸、ルイス酸、ヘテロポリ酸等を適量加え、攪拌させながら、加温することにより、容易に平均重合度を制御できる。この際の温度、圧力、時間等の反応条件は、セルロース種、セルロース濃度、酸種、酸濃度により異なるが、目的とする平均重合度が達成されるよう適宜調整されるものである。例えば、2質量%以下の鉱酸水溶液を使用し、100℃以上、加圧下で、10分以上セルロースを処理するという条件が挙げられる。この条件のとき、酸等の触媒成分がセルロース繊維内部まで浸透し、加水分解が促進され、使用する触媒成分量が少なくなり、その後の精製も容易になる。
<タマリンドシードガム>
タマリンドシードガム(TSG)とは、マメ科タマリンド属の常緑高木の種子を原料とし、分離精製して得られる多糖類(水溶性ガム類)のことである。TSGの化学構造は、β−1,4結合したグルカンを主鎖として、キシロース、ガラクトースを側鎖に持つキシログルカンと呼ばれるものであり、以下の化学構造を有する。高分子量のタマリンドシードガムは、以下の構造単位を繰り返すことで形成されている。
(ここで、Gluはグルコースであり、Xyはキシロースであり、Galはガラクトースである。結合様式は、Glu−Gluは、β−1,4結合であり、Xy−Gluはα−1,6結合であり、Gal−Xyは、α−1,2結合である。)この化学構造を含むものは、分子量に関わらず、本発明で用いるTSGに該当する。
本発明で用いるTSGは、1質量%の純水溶液で測定した粘度が200mPa・s以下であることが好ましい。ここで、粘度とは、純水中に1質量%に調整した水溶液を200mlビーカーに充填し、25℃に温調した後、粘度計(東機産業(株)製、TVB−10形粘度計)を用いて、ローターを60rpmで30秒間回転させた直後の測定値を指す(但し、ローターは、粘度によって適宜変更できる。粘度と使用するロータの一例は以下の通り。1〜20mPa・s:BL型、21〜100mPa・s:No1、101〜300mPa・s:No2、301mPa・s:No3)。粘度が低いほど、セルロースとの複合化が促進されるため好ましい。また、飲料に使用した際、もっちりとしたボディ感を飲料に付与できるため好ましい。より好ましくは50mPa・s以下であり、さらに好ましくは20mPa・s以下である。その下限値は、特に設定されるものではないが、好ましい範囲としては、1mPa・s以上である。
<カルボキシメチルセルロースナトリウム>
カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)とは、セルロースの水酸基がモノクロロ酢酸で置換されたもので、D−グルコースがβ−1,4結合した直鎖状の化学構造を持つものである。CMC−Naは、パルプ(セルロース)を水酸化ナトリウム溶液で溶かし、モノクロロ酸(あるいはそのナトリウム塩)でエーテル化して得られる。
特に、置換度と粘度が特定範囲に調整されたCMC−Naを用いることが、複合化の観点から好ましい。ここでいう置換度とは、セルロース中の水酸基にカルボキシメチル基がエーテル結合した度合いのことであり、0.6〜2.0が好ましい。置換度が0.6より小さいもの、又は2.0を超えるものは、CMC−Naの分散性が十分でなく、また製造が難しく実用的でないため好ましくない。より好ましくは、0.6〜1.3である。また粘度は、1質量%の純水溶液において、500mPa・s以下が好ましく、200mPa・s以下がより好ましく、50mPa・s以下がさらに好ましい。特に好ましくは、20mPa・s以下である。粘度が低いほど、セルロース、TSGとの複合化が促進されやすく、下限は特に設定されるものではないが、好ましい範囲としては1mPa・s以上である。
<セルロースとTSGとCMC−Naの配合比率>
本発明のセルロース複合体は、セルロースを50〜99質量%、TSGとCMC−Naを合計1〜50質量%含むセルロース複合体である。
TSGとCMC−Naがセルロース粒子の表面を被覆する形態で複合化することで、セルロース複合体がもつ分散安定性、懸濁安定性、増粘性が向上する。また、セルロースとTSG及びCMC−Naを上記の組成とすることで、前記した複合化が促進される。複合化が促進されると、セルロース複合体は、水中において粒子同士のより強いネットワークを形成し、高い貯蔵弾性率を示す。その結果、低濃度でも、セルロース複合体の分散液の粘度が高まる。さらに、耐塩性が向上し、高塩濃度の水系媒体中でも、離水、分離、凝集が生じにくくなる。
セルロースの配合率として、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上である。
<TSGとCMC−Na>
TSGとCMC−Naとの質量比は、30/70〜99/1であることが好ましい。TSGとCMC−Naが上述の範囲にあることで、セルロースとの複合化が促進され、その結果、セルロース複合体は、より高い貯蔵弾性率と懸濁安定性を示す。さらに、耐塩安定性が向上する。これらTSGとCMC−Naとの配合量比として、より好ましくは、40/60〜90/10であり、さらに好ましくは40/60〜80/20である。
<貯蔵弾性率>
次に、本発明のセルロース複合体の貯蔵弾性率(G’)について説明する。
本発明のセルロース複合体は、セルロース複合体を1質量%含む純水分散液の貯蔵弾性率(G’)が0.5Pa以上である。
貯蔵弾性率とは、水分散体のレオロジー的な弾性を表現するものであり、セルロースと、TSG及びCMC−Naとの複合化の程度を表すものである。貯蔵弾性率が高いほど、セルロースとTSG及びCMC−Naとの複合化が促進され、セルロース複合体の水分散体におけるネットワーク構造が、剛直であることを意味する。ネットワーク構造が剛直なほど、分散安定性、特に懸濁安定性に優れるため、低濃度でも分散液の粘度が高められる。また、一旦、分散され、形成されたネットワーク構造の耐塩性が向上する。
本発明において、貯蔵弾性率は、セルロース複合体を純水中に分散させた水分散体の動的粘弾性測定により得られる値とした。水分散体に歪みを与えた際の、セルロース複合体ネットワーク構造内部に蓄えられた応力を保持する弾性成分が貯蔵弾性率として表れる。
貯蔵弾性率の測定方法としては、まず、セルロース複合体を、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)を用いて純水中に分散させ、固形分1.0質量%の純水分散液を調整し、これを3日間室温で静置する。この分散液の応力のひずみ依存性を、粘弾性測定装置(Rheometric Scientific,Inc.製、ARES100FRTN1型)、ジオメトリー:Double Wall Couette型、ひずみを1→794%の範囲で掃引)により測定する。本発明における貯蔵弾性率は、上述の測定で得られた歪み−応力曲線上の、歪み20%の値のことである。この貯蔵弾性率の値が大きいほど、セルロース複合体が形成する水分散体の構造はより弾性的であり、セルロースとTSG及びCMC−Naが高度に複合化していることを表している。
本発明のセルロース複合体の貯蔵弾性率は、1.0Pa以上が好ましく、より好ましくは2.0Pa以上である。上限は、特に設定されるものではないが、飲食品とした場合の食感を勘案すると、6.0Pa以下である。
<粘度>
次に、本発明のセルロース複合体の粘度について説明する。
本発明のセルロース複合体は、セルロース複合体を1質量%含む純水分散液の粘度が100mPa・s以上であることが好ましい。
粘度の測定方法としては、まず、セルロース複合体を高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)を用いて純水中に分散させ、固形分1.0質量%の純水分散液を調整し、200mlビーカーに充填し、これを3時間、25℃で静置する。次に、粘度計(東機産業(株)製、TVB−10形粘度計)を用いて、ローターを30rpmで30秒間回転させた直後の測定値を指す(但し、ローターは、粘度によって適宜変更できる。粘度と使用するロータの一例は以下の通り。1〜20mPa・s:BL型、21〜100mPa・s:No1、101〜300mPa・s:No2、301mPa・s:No3)。
この粘度が高いほど、また、低濃度で増粘性が高い効果が発現するため好ましい。より好ましくは、200mPa・s以上であり、さらに好ましくは、300mPa・s以上である。
<セルロース複合体の平均粒子径>
本発明のセルロース複合体の平均粒子径は、20μm以下であることが好ましい。ここで、平均粒子径の測定方法としては、セルロース複合体を1質量%濃度で純水懸濁液とし、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)で分散させ、レーザー回折法(堀場製作所(株)製、商品名「LA−910」、超音波処理1分、屈折率1.20)により得られた体積頻度粒度分布における積算50%粒子径のことである。
また、本発明のセルロース複合体は、粒子径が0.01〜200μmのセルロース複合体微粒子からなることが好ましい。乾燥粉末として製造されたものは、これらの微粒子が凝集し、見かけの平均粒子径が20〜250μmの二次凝集体を形成している。この二次凝集体は、水中で攪拌すると崩壊し、上述のセルロース複合体微粒子に分散する。
平均粒子径が20μm以下であると、セルロース複合体の分散安定性、懸濁安定性が向上する。また、セルロース複合体を含有する食品を食した際に、ザラツキのない、なめらかな舌触りのものを提供することができる。より好ましくは、平均粒子径は15μm以下であり、特に好ましくは10μm以下、さらに好ましくは8μm以下である。平均粒子径は小さいほど、分散安定性、懸濁安定性が向上するため、下限は特に制限されないが、好ましい範囲としては0.1μm以上である。
<TSG、CMC−Na以外の水溶性ガムの添加>
本発明のセルロース複合体に、TSG及びCMC−Na以外の水溶性ガムをさらに加えてもよい。水溶性ガムの具体例としては、ローカストビーンガム、グアーガム、カラヤガム、キトサン、アラビアガム、寒天、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、HMペクチン、LMペクチン、アゾトバクター・ビネランジーガム、キサンタンガム、カードラン、プルラン、デキストラン、ジェランガム、ゼラチン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体が挙げられる。これらの水溶性ガムは2種以上を組み合わせてもよい。
<TSG、CMC−Na以外の親水性物質の添加>
本発明のセルロース複合体に、水への分散性を高める目的で、水溶性ガム以外に、さらに親水性物質を加えてもよい。親水性物質とは、冷水への溶解性が高く粘性を殆どもたらさない有機物質であり、澱粉加水分解物、デキストリン類、難消化性デキストリン、ポリデキストロース等の親水性多糖類、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、乳糖、マルトース、ショ糖、α−、β−、γ−シクロデキストリン等のオリゴ糖類、ブドウ糖、果糖、ソルボース等の単糖類、マルチトール、ソルビット、エリスリトール等の糖アルコール類等が適している。これらの親水性物質は、2種類以上組み合わせてもよい。上述の中でも、澱粉加水分解物、デキストリン類、難消化性デキストリン、ポリデキストロース等の親水性多糖類が分散性の点で好ましい。
その他の添加剤等の成分の配合については、組成物の水中での分散および安定性を阻害しない程度に配合することは自由である。
<セルロース複合体の製造方法>
次に、本発明のセルロース複合体の製造方法を説明する。
本発明のセルロース複合体は、混練工程においてセルロースとTSG及びCMC−Naに機械的せん断力をあたえ、セルロースを微細化させるとともに、セルロース表面にTSG及びCMC−Naを複合化させることによって得られる。また、この際に上述の水溶性ガムや親水性物質、その他の添加剤などを添加しても良い。上述の処理を経たものは、必要に応じ、乾燥される。本発明のセルロース複合体には、上述の機械的せん断を経て、未乾燥のもの及びその後乾燥されたもの等、いずれの形態でもよい。
機械的せん断力を与えるには、混練機等を用いて混練する方法を適用することができる。混練機は、ニーダー、エクストルーダー、プラネタリーミキサー、ライカイ機等を用いることができ、連続式でもバッチ式でもよい。混練時の温度は成り行きでもよいが、混練の際の複合化反応、摩擦等により発熱する場合にはこれを除熱しながら混練してもよい。これらの機種を単独で使用することも可能であるが、二種以上の機種を組み合わせて用いることも可能である。これらの機種は、種々の用途における粘性要求等により適宜選択すればよい。
混練時の固形分は、20質量%以上とすることが好ましい。混練物の粘性が高い半固形状態で混練することで、下記に述べる混練エネルギーが混練物に伝わりやすくなり、複合化が促進されるため好ましい。混練時の固形分は、より好ましくは30質量%以上であり、さらに好ましくは40質量%以上である。上限は特に限定されないが、混練物が水分量の少ない状態にならず、充分な混練効果と均一な混練状態が得られることを考慮して、現実的範囲は90質量%以下が好ましい。より好ましくは70質量%以下であり、さらに好ましくは60質量%以下である。また、固形分を上記範囲とするために、加水するタイミングとしては、混練工程の前に必要量を加水してもよいし、混練工程の途中で加水してもよいし、両方実施しても良い。
ここで、上記した混練エネルギーについて説明する。混練エネルギーとは混練物の単位質量当たりの電力量(Wh/kg)で定義するものである。混練エネルギーは、50Wh/kg以上とすることが好ましい。混練エネルギーが50Wh/kg以上であれば、混練物に与える磨砕性が高く、セルロースとTSGとCMC−Na等との複合化が促進され、セルロース複合体の分散安定性、懸濁安定性、増粘性が向上する。より好ましくは80Wh/kg以上であり、さらに好ましくは100Wh/kg以上である。
混練エネルギーは、高い方が複合化が促進されると考えられるが、混練エネルギーをあまり高くすると、工業的に過大な設備となること、設備に過大な負荷がかかることから、好ましくない。そのため、混練エネルギーの上限は1000Wh/kgである。
複合化の程度は、結晶セルロースとその他の成分の水素結合の割合と考えられる。複合化が進むと、水素結合の割合が高くなり本発明の効果が向上する。また、複合化が進むことで、結晶セルロース複合化物の貯蔵弾性率(G‘)が高くなる。
本発明のセルロース複合体を得るにあたって、前述の混練工程より得られた混練物を乾燥する場合は、棚段式乾燥、噴霧乾燥、ベルト乾燥、流動床乾燥、凍結乾燥、マイクロウェーブ乾燥等の公知の乾燥方法を用いることができる。混練物を乾燥工程に供する場合には、混練物に水を添加せず、混練工程の固形分濃度を維持して、乾燥工程に供することが好ましい。乾燥後の結晶セルロース複合化物の含水率は1〜20質量%が好ましい。含水率が高いと、べたつき、腐敗等の問題や運搬・輸送におけるコストの問題があるため、20%以下が好ましい。より好ましくは15%以下、特に好ましくは10%以下である。また、1%未満では、過剰乾燥のため分散性が悪化する傾向があるため好ましくない。より好ましくは1.5%以上である。
本発明のセルロース複合体を市場に流通させる場合、その形状は、粉体の方が取り扱い易いので、乾燥により得られた結晶セルロース複合体を粉砕処理して粉体状にすることが好ましい。但し、乾燥方法として噴霧乾燥を用いた場合は、乾燥と粉末化が同時にできるため、粉砕は必要ない。乾燥したセルロース複合体を粉砕する場合、カッターミル、ハンマーミル、ピンミル、ジェットミル等の公知の方法を用いることができる。粉砕する程度は、粉砕処理したものが目開き1mmの篩いを全通する程度に粉砕する。より好ましくは、目開き425μmの篩いを全通し、かつ、平均粒度としては10〜250μmとなるように粉砕することが好ましい。
乾燥したセルロース複合体を水中で攪拌した際、容易に分散し、セルロースが均一に分散した、なめらかな組織を持つザラツキの無い安定なコロイド分散体が形成される。セルロースが凝集や分離を起こさず、安定なコロイド分散体を形成するため、安定剤等として優れた機能を奏する。
<用途>
本発明のセルロース複合体は、分散安定性、懸濁安定性に優れ、低濃度で分散液の粘度を高められるため、食品、医薬品、一般工業用途における水系組成物の増粘安定剤として好適である。組成物とする際の添加量としては、セルロース複合体として0.01質量%以上が好ましい。
本発明のセルロース複合体は、コロイド分散性が著しく向上し、増粘効果が優れたものであり、上述の分野において、食品、医薬品、化粧品、塗料、セラミックス、樹脂、工業等における懸濁安定剤、乳化安定剤、増粘安定剤、クラウディー剤等均一な分散性及びその長期的な安定性が求められる分野において効果を発揮する。
その中でも、飲食品、特に、調味料のように、例えば、高濃度の塩分を含有するものにおいて、凝集や分離、離水、沈降を発生させることなく、安定な分散状態を保持することが可能である。
<高塩濃度の飲食品>
高塩濃度の飲食品の具体例としては、ゴマ、魚粉等の食品、機能性油の乳化物等(懸濁成分)を分散させた、ドレッシング類、スプレッド類、タレ類、スープ類、クリーム類等が該当する。さらに高塩濃度の飲食品の形態としては、懸濁成分を分散させためんつゆ、しょうゆ等の調味量が該当する。
また、飲食時に前記の形態をとるものであれば、中間製品として、凍結乾燥、噴霧乾燥等で粉末化されたもの(例えば粉末調味料、粉末スープ、お茶漬け等)も、高塩濃度飲食品に該当する。
ここでいう塩濃度の定義は、種々の加工を施された上述の形態の飲食品を、流通段階において、保存する際、又は飲食に供する際の塩濃度のことを指す。塩濃度とは、上述の飲食品中の固形分を、遠心分離及び/又はろ過で除去した後、得られた水溶液中の塩分濃度のことであり、塩分計(ATAGO製 デジタル塩分計 ES−421)を用いて測定された値(質量%)のことである。
好ましい塩濃度は、6.5質量%以上であり、より好ましくは、8質量%以上であり、さらに好ましくは10質量%以上、特に好ましくは12質量%以上である。
<高塩濃度の飲食品へのセルロース複合体の添加量>
高塩濃度の飲食品に対するセルロース複合体の添加量としては、特に制限はないが、例えば、たれなどの調味料において、0.01質量%以上が好ましい。より好ましくは0.03質量%以上である。セルロース複合体の添加量が多いほど、分散、懸濁安定性が増し、乳化安定、離水防止の効果が優れるため好ましい。しかし、過剰に添加すると、凝集や分離を引き起こしてしまうこともある。また、食感(のど越し、舌のざらつき)を考慮すると5質量%以下が好ましい。
<セルロース複合体の添加方法>
酸性又は高塩濃度の飲食品に、本発明のセルロース複合体を添加する方法としては次の方法が挙げられる。主原料と同時に本発明のセルロース複合体を水に分散させることによって添加する方法、又は着色料、香料、酸味料、増粘剤等の主原料以外の成分と同時に本発明のセルロース複合体を水に分散させ、それを主原料に添加する方法が挙げられる。
また、セルロース複合体の乾燥粉末を高塩濃度の水系媒体に分散する場合には、セルロース複合体を一旦、水に分散した後、目的とする食品形態に添加する方が、セルロース複合体の分散安定性が向上するため好ましい。セルロース複合体が乾燥粉末の場合、水への分散方法は、食品等の製造工程で通常使用される各種の分散機・乳化機・磨砕機等の混練機を使用して分散することができる。混練機の具体例としては、プロペラ攪拌機、高速ミキサー、ホモミキサー、カッター等の各種ミキサー、ボールミル、コロイドミル、ビーズミル、ライカイ機等のミル類、高圧ホモジナイザー、ナノマイザー等の高圧ホモジナイザーに代表される分散機・乳化機、プラネタリーミキサー、ニーダー、エクルトルーダー、タービュライザー等に代表される混練機等が使用できる。2種以上の分散機を組み合わせて使用してもかまわない。また、加温しながら行ったほうが分散は容易である。
高塩濃度の飲食品が、水不溶性成分として、20μm以上の粒子を0.01質量%以上含有する際は、その製造工程において、高圧ホモジナイザー(例えばAPV製 マントンゴーリンホモジナイザー)で10MPa以上の圧力をかけ、均質化しておくことが、長期保存安定性の点から好ましい。
また、安定剤としての性能が著しく向上するとともに、その滑らかな舌ざわりとボディ感によりザラツキの問題が解消されるため、記載した以外の幅広い食品用途で使用することも可能である。
本発明を下記の実施例により説明する。ただし、これらは本発明の範囲を制限するものではない。
<セルロース複合体の平均粒子径>
(1)セルロース複合体を1.0質量%濃度で含む純水懸濁液とし、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)で分散させた。
(2)得られた分散液を用いて、レーザー回折法(堀場製作所(株)製、商品名「LA−910」、超音波処理1分、屈折率1.20)で粒度分布を測定した。ここで得られた体積頻度粒度分布における積算50%粒子径を平均粒子径とした。
<セルロース複合体の貯蔵弾性率の測定法>
(1)セルロース複合体を、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)を用いて純水中に分散させ、1.0質量%濃度の純水分散液を調製し、これを3日間室温で静置した。
(2)この分散液の応力のひずみ依存性を、粘弾性測定装置(Rheometric Scientific,Inc.製、ARES100FRTN1型)、ジオメトリー:Double Wall Couette型、ひずみを1→794%の範囲で掃引)により測定した。貯蔵弾性率(G’)は、上述の測定で得られた歪み−応力曲線上の、歪み20%の値を用いた。
<粘度>
セルロース複合体の水分散体及び各種飲食品(製造法は、以下の実施例、比較例を参照)を、製造後3時間25℃で保存し、B形粘度計(ローター回転数60rpm。セットして30秒静置後に、30秒間回転させて測定。但し、ローターは、粘度によって適宜変更できる。使用するロータは以下の通り。1〜20mPa・s:BL型、21〜100mPa・s:No1、101〜300mPa・s:No2、301mPa・s:No3)を用いて粘度を測定した。
<外観観察>
セルロース複合体の水分散体及び各種飲食品(製造法は、以下の実施例、比較例を参照)において、以下の4項目に関し、基準を定め、目視により判定した。
(離水)100mL容積のガラス製沈降管に、セルロース複合体の分散液を仕込み、上部の透明層の体積で評価した。
◎:透明層の体積が1ml以下、○:5ml以下、△:10ml以下、×:10mlを超える。
(凝集)上記の評価において、懸濁層の外観より、凝集の有無を観察し、以下の基準で評価した。
◎:凝集なし、○:僅かに一部凝集、△:部分的に凝集、×:全体的に凝集
(分離)水不溶性成分を含有する調味料において、懸濁層の外観より、分離の有無を観察し、以下の基準で評価した。ここでいう分離とは、懸濁層において色のことなる層が混在することである。
◎:分離なし、○:僅かに一部分離、△:部分的に分離、×:全体的に分離
以下では、セルロースをMCC、タマリンドシードガムをTSG、カルボキシメチルセルロースナトリウムをCMC−Naと略して記載する。
[実施例1]
<セルロース複合体の調製>
市販DPパルプを裁断後、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い、固形分が50質量%のウェットケーキ状のセルロースを作製した(平均重合度220であった)。
次に、ウェットケーキ状のMCC、TSG(大日本住友製薬(株)製、グリエイト、1質量%溶解液の粘度10.6mPa・s)、CMC−Na(第一工業製薬(株)、F−7A、1質量%溶解液の粘度11mPa・s)を用意し、プラネタリーミキサー((株)品川工業所製、5DM−03−R、撹拌羽根はフック型)にMCC/TSG/CMC−Naの質量比が90/5/5となるように投入し、固形分45質量%となるように加水した。
その後、126rpmで混練し、セルロース複合体Aを得た。混練エネルギーは、プラネタリーミキサーの混練時間により制御され、混練120分後の実測値は、399Wh/kgであった。
得られたセルロース複合体Aの貯蔵弾性率(G’)は4.8Paであった。また、セルロース複合体Aの平均粒子径は6.4μmであり、粘度は、309mPa・sであった。
これを用いて次のようにしてセルロース複合体の高塩濃度における保存安定性(離水、凝集、分離)を評価した。
<高塩濃度における保存安定性>
セルロース複合体Aを2.0質量%含む純水懸濁液として、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)を用いて純水中に分散させ、純水分散液を調整した。上記とは別に、塩化ナトリウム(和光純薬(株)製、特級グレード)の20質量%水溶液を調製した。上記のセルロース複合体Aの純水分散液を50質量部に対し、上記の塩化ナトリウム水溶液を50質量部添加し、全量100質量部として、セルロース複合体Aが1.0質量%であり、塩化ナトリウムが10質量%である水分散体を得た。これを、500mL容のステンレス製ビーカーに仕込み(仕込み全量200mL)、プロペラ攪拌機(HEIDON製 BL600型 4枚プロペラ翼)をセットし、300rpmで、5分間混合した。これらの分散液を、100mL容積の沈降管に仕込み、3日間、室温で保存し、保存後の外観を観察することで、保存安定性を評価した。結果を表1に示す。
〔実施例2〕
実施例1と同様の操作において、MCC/TSG/CMC−Naの質量比を、90/9.5/0.5となるように変更し、セルロース複合体Bを得た。混練300分後の混練エネルギーの実測値は、650Wh/kgであった。得られたセルロース複合体の貯蔵弾性率(G’)は1.0Paであり、平均粒子径は6.3μmであり、粘度は、105mPa・sであった。
実施例1と同様に、セルロース複合体の高塩濃度における保存安定性(離水、凝集、分離)を評価した。結果を表1に示した。
〔実施例3〕
実施例1と同様の操作において、MCC/TSG/CMC−Naの質量比を、90/3/7となるように変更し、セルロース複合体Cを得た。混練300分後の混練エネルギーの実測値は、640Wh/kgであった。得られたセルロース複合体の貯蔵弾性率(G’)は4.0Paであり、平均粒子径は6.3μmであり、粘度は、421mPa・sであった。
実施例1と同様に、セルロース複合体の高塩濃度における保存安定性(離水、凝集、分離)を評価した。結果を表1に示した。
〔実施例4〕
実施例1と同様の操作において、MCC/TSG/CMC−Naの質量比を、50/25/25となるように変更し、セルロース複合体Dを得た。混練300分後の混練エネルギーの実測値は、650Wh/kgであった。得られたセルロース複合体の貯蔵弾性率(G’)は2.4Paであり、平均粒子径は6.7μmであり、粘度は、180mPa・sであった。
実施例1と同様に、セルロース複合体の高塩濃度における保存安定性(離水、凝集、分離)を評価した。結果を表1に示した。
〔実施例5〕
実施例1と同様の操作において、MCC/TSG/CMC−Na/親水性物質(三和澱粉(株)製、デキストリン、サンデック30)の質量比を、70/5/5/20となるように変更し、セルロース複合体Eを得た。混練90分後の混練エネルギーの実測値は、302Wh/kgであった。得られたセルロース複合体の貯蔵弾性率(G’)は4.0Paであり、平均粒子径は6.4μmであり、粘度は、230mPa・sであった。
実施例1と同様に、セルロース複合体の高塩濃度における保存安定性(離水、凝集、分離)を評価した。結果を表1に示した。
実施例1〜5は、本発明の範囲において、MCC、TSG、CMC−Naの質量比を調製し、貯蔵弾性率が0.5Pa以上のセルロース複合体である。セルロース複合体A〜Eのいずれに関しても、塩化ナトリウム10質量%において、離水が5mL以下に抑えられ、凝集・分離はほとんど発生しなかった。
〔比較例1〕
実施例1と同様の操作において、MCC/TSG/CMC−Na/親水性物質(三和澱粉(株)製 デキストリン サンデック30)の質量比を、70/10/0/20となるように変更し、セルロース複合体Fを得た。混練90分後の混練エネルギーの実測値は、270Wh/kgであった。得られたセルロース複合体の貯蔵弾性率(G’)は0.1Paであり、平均粒子径は6.4μmであり、粘度は、3.2mPa・sであった。
実施例1と同様に、セルロース複合体の高塩濃度における保存安定性(離水、凝集、分離)を評価した。結果を表1に示した。
比較例1は、実施例5と比較して、TSG単独を使用し、CMC−Naを併用しなかったものである。その結果、貯蔵弾性率が低く、耐塩性の評価においても、充分な分散安定性が得られず、離水・分離が発生し、沈降したため、凝集が評価できなかった。
〔比較例2〕
実施例1と同様の操作において、MCC/TSG/CMC−Naの質量比を、90/0/10となるように変更し、セルロース複合体Gを得た。混練120分後の混練エネルギーの実測値は、400Wh/kgであった。得られたセルロース複合体の貯蔵弾性率(G’)は3.5Paであり、平均粒子径は6.2μmであり、粘度は、470mPa・sであった。
実施例1と同様に、セルロース複合体の高塩濃度における保存安定性(離水、凝集、分離)を評価した。結果を表1に示した。
比較例2は、CMC−Na単独を使用し、TSGを併用しなかったものである。その結果、貯蔵弾性率は高いものとなり、離水は抑制されたが、凝集が強く発生し、分離も発生した。
〔比較例3〕
市販DPパルプを裁断後、10質量%塩酸中で105℃、20分間加水分解して得られた酸不溶性残渣をろ過、洗浄した後、固形分10%のセルロース分散液を調整した(平均重合度は200であった)。この加水分解セルロースの平均粒径は17μmであった。このセルロース分散液を媒体攪拌湿式粉砕装置(コトブキ技研工業株式会社製アペックスミル、AM−1型)で、媒体として直径1mmφのジルコニアビーズを用いて、攪拌翼回転数1800rpm、セルロース分散液の供給量0.4L/minの条件にて2回通過で粉砕処理を行い、微細セルロースのペースト状物を得た。ペースト状微細セルロース/TSG/CMC−Na(置換度0.90、粘度7mPa・s)との質量比が80/0/20、となるよう秤量し、総固形分濃度が11質量%となるよう純水で調整し、TKホモミキサー(特殊機化工業(株)製、MARKII)を用いて8,000rpmで20分間分散してペースト状分散液を調整した(アペックスミルと、TKホモジナイザーの消費電力と処理量から混練エネルギーを算出したところ、30Wh/kgであった。)。
この分散液を、ドラムドライヤー(楠木機械製作所(株)製、KDD−1型)で、水蒸気圧力2Kg/cm、回転数0.6rpmで乾燥し、スクレーパーで掻き取り出し、フラッシュミル(不二パウダル(株)製)で粗砕し、薄片状、鱗片状のセルロース複合体Kを得た。混練エネルギーは、30Wh/kgであり、セルロース複合体Hの貯蔵弾性率(G’)は0.03Pa、平均粒子径は3.4μmであり、粘度は11mPa・sであった。
実施例1と同様に、セルロース複合体の高塩濃度における保存安定性(離水、凝集、分離)を評価した。結果を表1に示した。
比較例3は、比較例2と同様に、CMC−Naのみを使用し、特許文献2の実施例1の方法を参考に製造したものである。その結果、平均粒子径は小さいものになったが、貯蔵弾性率が低く、本願の如く高塩濃度下においては、離水、凝集、分離を抑制できなかった。
本発明は、セルロース複合体を含有する液体調味料等の高塩濃度の飲食品において、離水、分離、凝集の発生を抑制し、懸濁安定させることで、商品価値を高めるのに有用である。特に、水不溶性成分を含有する飲食品において、優れた懸濁安定性を示すため、有用である。

Claims (4)

  1. セルロースを50〜99質量%、タマリンドシードガムとカルボキシメチルセルロースナトリウムを合計1〜50質量%含むセルロース複合体であり、セルロース複合体を1質量%含む水分散体において貯蔵弾性率(G’)が0.5Pa以上であることを特徴とするセルロース複合体。
  2. タマリンドシードガムとカルボキシメチルセルロースナトリウムとの質量比が30/70〜99/1である請求項1に記載のセルロース複合体。
  3. 請求項1又は2に記載のセルロース複合体を含む飲食品。
  4. 塩濃度が6.5質量%以上である請求項3に記載の飲食品。
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