JP2011207335A - 車両用シート - Google Patents

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亨志 上杉
Kenichi Niitsuma
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Abstract

【課題】簡素且つコンパクトに構成で、装置の小型化・軽量化が可能なアクティブヘッドレスト機構を備えた車両用シートを提供する。
【解決手段】車両用シートは、ピラー32を高さ位置調節可能に支持するヘッドレストガイド34と、ヘッドレストガイド34を揺動可能に保持するガイドステイ36と、ヘッドレストガイド34を弾性的に付勢する付勢手段38とを備える。ピラー32の下部に作用する後方への荷重が所定未満であるとき、付勢手段38の弾性付勢力により、ヘッドレストが後方位置(通常位置)を維持し、ピラー32の下部に所定以上の後方への荷重が作用すると、ヘッドレストガイド34が回動してヘッドレストが前方位置に移動する。
【選択図】図2

Description

本発明は、後面衝突時にヘッドレストを前方へ移動させる機構を有した車両用シートに関する。
近年、車両用シートには、後面衝突の際に機能するアクティブヘッドレスト機構が設けられているものもある。このようなアクティブヘッドレスト機構として、従来、後面衝突時に乗員(着座者)からの荷重を受圧部材で受け、シートバックフレームに設けられたリンク機構により、ヘッドレストを前方に移動させる構成は公知である(下記特許文献1参照)。また、シートバックフレームに回動可能に取り付けられ、通常は回動調節手段(コイルバネ)により後方へ付勢されており、後方よりヘッドレストに荷重がかかるときに、ヘッドレストが前方へ回動する構造は公知である(下記特許文献2参照)。
特開2007−320506号公報 特開2005−254962号公報
しかしながら、従来のアクティブヘッドレスト機構では、リンク機構等、ヘッドレストを前方に移動させるための機構が複雑であるために、装置が大型化・重量化してしまい、また、組付作業性も悪くなる。従って、簡素且つコンパクトな構成で、装置の小型化・軽量化が可能な構造が望まれていた。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、簡素且つコンパクトに構成で、装置の小型化・軽量化が可能なアクティブヘッドレスト機構を備えた車両用シートを提供することを目的とする。
本発明は、後面衝突時にヘッドレストを前方へ移動させる機構を有した車両用シートに関するものであり、シートバック内に設けられ、前記ヘッドレストを構成するヘッドレスト本体から延出したピラーを高さ位置調節可能に支持するヘッドレストガイドと、シートバックフレームに取り付けられ、ヘッドレストが前後に移動可能であるように前記ヘッドレストガイドを揺動可能に保持するガイドステイと、前記ヘッドレストが後方位置に保持されるように前記ヘッドレストガイドを弾性的に付勢する付勢手段と、を備え、前記ピラーの下部に作用する後方への荷重が所定未満であるとき、前記付勢手段の弾性付勢力により、前記ヘッドレストが後方位置を維持し、前記ピラーの下部に所定以上の後方への荷重が作用すると、前記ヘッドレストガイドが回動して前記ヘッドレストが前方位置に移動する、ことを特徴とする(請求項1)。
前記ガイドステイの上部には、前方に膨出する第1膨出部が設けられ、前記ガイドステイの下部には、後方に膨出する第2膨出部が設けられ、前記ピラーの下部に所定以上の後方への荷重が作用すると、前記ヘッドレストガイドが、前記第1及び第2膨出部へ移動するように回動することで、前記ヘッドレストが前方位置に移動することが好ましい(請求項2)。
前記付勢手段は、前記第1膨出部の内側と、前記第2膨出部の内側にそれぞれ設けられることが好ましい(請求項3)。
前記付勢手段は板バネであり、前記板バネの、前記ヘッドレストガイドとの接触部の形状は、前記ヘッドレストガイドの外周面の形状に沿っていることが好ましい(請求項4)。
前記付勢手段は板バネであり、前記ヘッドレストガイドの、前記板バネとの接触部の形状は、前記板バネの形状に沿っていることが好ましい(請求項5)。
前記ピラーの下端部は、前記シートバック内で、乗員の腰部を支持する部材と接触していることが好ましい(請求項6)。
前記ヘッドレストガイドの側面には、被ガイド部が設けられ、前記ガイドステイの、前記被ガイド部に対応する箇所には、前記ヘッドレストガイドが所定軌道に沿って回動するように前記被ガイド部を案内するガイド部が設けられることが好ましい(請求項7)。
請求項1に係る発明によれば、ヘッドレストガイドを揺動自在に保持するガイドステイと、ガイドステイを弾性的に付勢する付勢手段により、後面衝突時にヘッドレストを前方移動させるアクティブヘッドレスト機構が構成される。すなわち、従来のヘッドレスト支持機構に対して、ヘッドレストガイドを揺動自在に保持するように構成変更するとともに、付勢手段を設けるだけの構造で、後面衝突時にヘッドレストを前方移動させる構成が実現されるので、装置の小型化・軽量化が可能となる。また、ヘッドレスト支持機構内にアクティブヘッドレスト機構が構成されるため、シートバックの他の部分のレイアウト自由度が向上する。さらに、リンク機構のような回転軸を必要とする構成ではないため、回転軸による摺動抵抗が無く、作動効率が高い。
請求項2に係る発明によれば、第1及び第2膨出部を設けるだけで、ヘッドレストガイドを揺動可能に保持する構成を容易に実現できる。
請求項3に係る発明によれば、第1膨出部と第2膨出部の内部空間を利用して付勢手段を効率的に配置することで、装置の一層の小型化が可能となる。
請求項4に係る発明によれば、板バネとヘッドレストガイドとの接触面積が増加するので、ヘッドレストガイドの動作の安定性が向上する。
請求項5に係る発明によれば、板バネとヘッドレストガイドとの接触面積が増加するので、ヘッドレストガイドの動作の安定性が向上する。
請求項6に係る発明によれば、後面衝突時、ピラーの下端部が、乗員の腰部を支持する部材から荷重を受けるので、動作の安定性が一層向上する。
請求項7に係る発明によれば、被ガイド部及びガイド部により、ヘッドレストガイドが好適にガイドされて回動するため、その可動範囲においてより安定した動作が可能となる。
本発明の第1実施形態に係る車両用シートの全体斜視図である。 図1に示した車両用シートにおけるヘッドレスト支持機構及びその周辺部の一部省略断面図である。 ガイドステイの斜視図である。 図4Aは、図2におけるIVA−IVA線での断面図であり、図4Bは、変形例に係るガイドステイ及び板バネの断面図である。 図5Aは、ピラーの下部に後方への荷重が作用していない状態のヘッドレスト支持機構及びその周辺部の概略断面図であり、図5Bは、ピラーの下部に後方への荷重が作用した状態のヘッドレスト支持機構及びその周辺部の概略断面図である。 図6Aは、ヘッドレストを比較的高い位置に調節した状態を示す概略断面図であり、図6Bは、ヘッドレストを比較的低い位置に調節した状態を示す概略断面図である。 第1変形例に係るヘッドレスト支持機構の側面図である。 第2変形例に係るヘッドレスト支持機構の断面図である。 図8に示した第2変形例に係るヘッドレスト支持機構を構成するガイドステイの斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る車両用シートの全体斜視図である。
以下、本発明に係る車両用シート10について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両用シート10の全体斜視図である。なお、以下の説明において、車両用シート10に関し、「左右方向」、「左右」又は「シート幅方向」とは、図1に示す矢印Wの方向を意味するものとする。また、車両用シート10の前方を矢印Frで示し、後方を矢印Rrで示す。
図1に示すように、車両用シート10は、乗員の臀部及び大腿部を支持するシートクッション12と、このシートクッション12の後端部に傾倒自在に支持されて乗員の背面を支持するシートバック14と、シートバック14の上端部に上下調節可能に設けられて乗員の頭部を支持するヘッドレスト16と、シートバック14内に設けられたヘッドレスト支持機構18とを備えている。
シートバック14は、骨格となるシートバックフレーム20(以下、フレーム20という。)を、弾性変形可能な素材(例えば、軟質ポリウレタンフォーム)からなりシートバック形状を作り出す図示しないバックパッドで覆い、さらにバックパッドを表皮材で覆ってなるものであって、シート幅方向の中央部を構成するセンター部22と、このセンター部22の左右両側に設けられたサイドサポート24とを有する。左右のサイドサポート24は、乗員の側部を支持するために、高さ方向にわたって、センター部22の前面よりも前方側に突出している。
フレーム20は、シートクッション12の骨格となる図示しない下部フレームの後端部に前後方向に傾動自在に連結されており、左右のサイドフレーム部26と、左右のサイドフレーム部26の上部同士を連結するトップフレーム部28とを含む。なお、フレーム20の構成材料としては、荷重を受けたときに大きく変形しないように十分な剛性をもつ材料、例えば、鋼材やアルミニウム合金等の金属材料が挙げられる。
ヘッドレスト16は、車両用シート10に着座した乗員の頭部をサポートするものであり、左右方向に延在するヘッドレスト本体30と、ヘッドレスト本体30から延出する複数(図示例では2本)のピラー32とを有する。ピラー32は、ヘッドレスト16の左右方向に互いに間隔を置いて、ヘッドレスト16の下端から平行に下方に延出している。
図1に示すように、ヘッドレスト支持機構18は、各ピラー32に対応して、左右方向に互いに間隔を置いた位置に複数(図示例では、2つ)設けられるとともに、ピラー32が挿入されるヘッドレストガイド34を有する。ヘッドレストガイド34の上端部は、シートバック14の上端部で外部に露出しており、ヘッドレストガイド34にピラー32が挿入されることにより、ヘッドレスト16がシートバック14に装着されている。
図2は、図1におけるII−II線での一部省略断面図である。図2に示すように、ヘッドレスト支持機構18は、ピラー32が挿入される上記ヘッドレストガイド34と、ヘッドレストガイド34を保持するガイドステイ36と、ガイドステイ36を弾性的に付勢する付勢手段38とを有する。
ヘッドレストガイド34は、例えば、樹脂部材からなり、ヘッドレスト本体30(図1参照)から延出したピラー32を支持するものであり、中空円筒状に形成されている。ピラー32は、ヘッドレストガイド34の中空部に挿入され、高さ位置調節可能に支持される。ピラー32の長さは、通常使用する範囲(高さ位置調節可能な範囲)で、下端部がヘッドレストガイド34の下端から突出し、且つ、ピラー32の下端部が、車両用シート10に着座する乗員の背中部に対応する高さに位置するように設定されている。
ガイドステイ36は、例えば、溶接等により固着されることでフレーム20のトップフレーム部28に溶接あるいは締結具等の適宜の固定手段により固定されており、ヘッドレスト16が前後に移動可能であるようにヘッドレストガイド34を揺動可能に保持する。ガイドステイ36は、全体として中空筒状に形成されており、その中空部にヘッドレストガイド34が挿通され、中空部内でヘッドレストガイド34が揺動可能に保持されている。
ガイドステイ36の後部を構成する壁である後部壁40の上部側内壁面は、ヘッドレストガイド34の後面に当接して支持する上部支持面42として機能する。ガイドステイ36の前部を構成する壁である前部壁44の下部側内壁面は、ヘッドレストガイド34の前面に当接して支持する下部支持面46として機能する。ガイドステイ36の軸線方向に関して、上部支持面42の下端位置と、下部支持面46の上端位置は、略同じである。
図3は、ガイドステイ36の斜視図である。図2及び図3に示すように、ガイドステイ36の前部壁44の上部には、前方に膨出する第1膨出部48が設けられ、ガイドステイ36の後部壁40の下部には、後方に膨出する第2膨出部50が設けられている。
一構成例に係る第1膨出部48は、上述した下部支持面46の上端から延出し上方に向かうにつれて前方に寄るように傾斜する傾斜部52と、傾斜部の上端から上部支持面42と略平行に上方に延出する平行部54とを有する。一構成例に係る第2膨出部50は、上述した上部支持面42の下端から延出し下方に向かうにつれて後方に寄るように傾斜する傾斜部56と、傾斜部56の下端から下部支持面46と略平行に下方に延出する平行部58とを有する。
付勢手段38は、第1膨出部48とヘッドレストガイド34との間、及び第2膨出部50とヘッドレストガイド34との間にそれぞれ配設されている。これらの付勢手段38は、ヘッドレスト16が後方位置に保持されるようにヘッドレストガイド34を弾性的に付勢するものであり、それぞれ第1膨出部48と第2膨出部50に係合して取り付けられている。図示例の付勢手段38は、板バネ38Aとして構成されている。
具体的には、板バネ38Aは、略U字状に形成された固定部60と、ヘッドレストガイド34を弾性的に押圧するバネ部62とを有する。固定部60は、平行部54(58)を挟むように平行部54(58)に取り付けられる。固定部60の一端部には、内側に屈曲した爪部64が設けられており、この爪部64が、平行部54(58)に形成された係合孔部66に引っ掛かることで、板バネ38Aが平行部54(58)に固定されるようになっている。バネ部62は、固定部60の他端部で反り返るように屈曲してヘッドレストガイド34の側に向かって斜めに延在し、その先端部近傍にはヘッドレストガイド34に当接して押圧する押圧部68が設けられている。
板バネ38Aは、上記のように構成されているため、ガイドステイ36の第1膨出部48及び第2膨出部50の内側に容易に取り付けることが可能である。ヘッドレストガイド34は、上側の板バネ38Aからは後方に向かって押圧され、下側の板バネ38Aからは前方に向かって押圧されるの。このため、図2に示すように、ピラー32の下部に後方への荷重が作用しない状態では、ヘッドレストガイド34の後面はガイドステイ36の上部支持面42に当接し、ヘッドレストガイド34の前面は、ガイドステイ36の下部支持面46に当接する。この状態では、ヘッドレスト16は、その可動範囲の後方位置にある。
なお、付勢手段38の構成としては、板バネ38Aに限られず、弾発性を有する他の部材、例えば、コイルスプリングであってもよい。また、付勢手段38は、ガイドステイ36に固定される代わりに、ヘッドレストガイド34に固定されてもよい。
図4Aは、図2におけるIVA−IVA線での断面図である。図4Aに示すように、ヘッドレストガイド34の外周面は円筒面であり、板バネ38Aの、ヘッドレストガイド34との接触部(押圧部68)の形状は、ヘッドレストガイド34の外周面の形状に沿っている。すなわち、板バネ38Aの、ヘッドレストガイド34との接触部(押圧部68)は、円弧状に形成されている。このように板バネ38Aが構成されることにより、板バネ38Aとヘッドレストガイド34とが面で接触するため、両者の接触面積を広くすることができ、ヘッドレストガイド34を板バネ38Aにより安定して押圧することができる。
図4Bは、変形例に係る板バネ38B及び変形例に係るヘッドレストガイド34Aの断面図である。図4Bに示すように、板バネ38Bの、ヘッドレストガイド34Aとの接触部の形状を直線的に形成する一方、ヘッドレストガイド34Aの、板バネ38Bとの接触部35の形状を、板バネ38Aの形状に沿った形状(平面)にしてもよい。このように構成した場合でも、板バネ38Aとヘッドレストガイド34Aとが線又は面で接触するため、両者の接触面積を広くすることができ、ヘッドレストガイド34Bを板バネ38Aにより安定して押圧することができる。なお、ヘッドレストガイド34Aは、接触部35以外の部分については、図2等に示したヘッドレストガイド34と同様の機能及び構成を有する。
第1実施形態に係る車両用シート10は、基本的には以上のように構成されるものであり、以下、その作用及び効果について説明する。
図5Aは、ピラー32の下部に後方への荷重が作用していないときのヘッドレスト支持機構18及びその周辺部を示す一部省略側面図であり、図5Bは、ピラー32の下部に後方への荷重が作用したときのヘッドレスト支持機構18及びその周辺部を示す一部省略側面図である。
車両後方からの衝撃が無い場合、ピラー32の下部に後方への荷重が作用していないか、ヘッドレストガイド34の下部に作用する後方への荷重は小さい。このため、図5Aに示すように、付勢手段38である板バネ38Aの弾性付勢力により、ヘッドレストガイド34は上部支持面42と下部支持面46に当接する姿勢でガイドステイ36に保持される。従って、この状態では、ヘッドレスト16は後方位置(通常位置)に保持される。
一方、後面衝突時には、乗員からの荷重Pが、シートバック14のバックパッドを介して、ピラー32の下部に作用する。すなわち、バックパッドの一部(図5A中、符号15で示す部位)が、ピラー32の下部を後方に押圧する。なお、ピラー32の下部に後方への荷重が作用する際、ヘッドレストガイド34の下端部に対しても後方への荷重が作用する場合もある。
ピラー32の下部に後方への荷重Pが作用すると、ヘッドレストガイド34は、ガイドステイ36の内部で、板バネ38Aの弾性付勢力に抗して、図5Aで反時計回りにO点を中心として回動(揺動)する。このとき、ヘッドレストガイド34に挿入されたピラー32を含むヘッドレスト16が、ヘッドレストガイド34と一体となって回動し、結局、ヘッドレスト16は、図5Bに示す前方位置に移動する。
このように、車両用シート10によれば、ヘッドレストガイド34を揺動自在に保持するガイドステイ36と、ガイドステイ36を弾性的に付勢する付勢手段38により、後面衝突時にヘッドレスト16を前方移動させるアクティブヘッドレスト機構が構成される。すなわち、従来のヘッドレスト支持機構に対して、ヘッドレストガイド34を揺動自在に保持するように構成変更するとともに、付勢手段38を設けるだけの構造で、後面衝突時にヘッドレスト16を前方移動させる構成が実現されるので、装置の小型化・軽量化が可能となる。
また、車両用シート10によれば、ヘッドレスト支持機構18内にアクティブヘッドレスト機構が構成されるため、シートバック14の他の部分のレイアウト自由度が向上する。さらに、リンク機構のような回転軸を必要とする構成ではないため、回転軸による摺動抵抗が無く、作動効率が高い。
またさらに、車両用シート10によれば、第1膨出部48及び第2膨出部50を設けるだけで、ヘッドレストガイド34を揺動可能に保持する構成を容易に実現できる。
また、付勢手段38(板バネ38A)は、第1膨出部48の内側と、第2膨出部50の内側にそれぞれ設けられているので、第1膨出部48と第2膨出部50の内部空間を利用して付勢手段38である板バネ38Aを効率的に配置することができる。このため、装置の一層の小型化が可能となる。
さらにまた、板バネ38Aの、ヘッドレストガイド34との接触部の形状は、ヘッドレストガイド34の外周面の形状に沿っている(図4A参照)。これにより、板バネ38Aとヘッドレストガイド34との接触面積を拡大でき、結果として、ヘッドレストガイド34の動作の安定性が向上できる。図4Bに示すように、ヘッドレストガイド34Aの、板バネ38Bとの接触部の形状を、板バネ38Bの形状に沿って形成した場合も、ヘッドレストガイド34Aの動作の安定性を向上できる。
ところで、小柄な体格の乗員の場合、体重が軽い分、従来のアクティブヘッドレスト機構では、ヘッドレスト16の動きが少なくなってしまう。これに対し、本発明に係る車両用シート10では、ヘッドレスト16のピラー32の下部への入力荷重を利用しているため、乗員の体格差に対応することが可能である。この点について、図6A及び図6Bを参照して説明する。
大柄な乗員の場合、図6Aに示すように、ヘッドレスト16は比較的高い位置に高さが調節されて保持される。この場合のヘッドレストガイド34の下端からピラー32の下端までの距離をL1とする。一方、小柄な乗員の場合、図6Bに示すように、ヘッドレスト16は比較的低い位置に高さ調整されて保持される。この場合のヘッドレストガイド34の下端からピラー32の下端までの距離をL2とする。
小柄な乗員の場合のピラー32下部への入力荷重は、体重が軽い分、大柄な乗員の場合のそれと比べて少なくなるが、ヘッドレストガイド34の下端からピラー32の下端までの距離L2は、大柄な乗員の場合についての距離L1よりも長くなる分、支点でのモーメントが増えることから、少ない入力荷重でもヘッドレストガイド34が容易に回動する。従って、小柄な乗員の場合でも、ヘッドレスト16を前方位置に容易に移動させることが可能である。
図7は、第1変形例に係るヘッドレスト支持機構18aの側面図である。第1変形例に係るヘッドレスト支持機構18aは、上述した基本形に係るヘッドレスト支持機構18に対して、ガイド機構70を付加したものに相当する。ガイド機構70は、ヘッドレストガイド34aの側面に設けられた被ガイド部71と、ガイドステイ36aの、被ガイド部71に対応する箇所に設けられたガイド部72とにより構成されている。ガイド部72は、ヘッドレストガイド34が所定軌道に沿って回動するように被ガイド部71を案内する。
ヘッドレストガイド34aの、被ガイド部71以外の部分の構成は、図2等に示したヘッドレストガイド34と同じである。ガイドステイ36aの、ガイド部72以外の部分の構成は、図2等に示したガイドステイ36と同じである。
図示例では、被ガイド部71は、突起部71Aとして構成され、ガイド部72は、ガイド孔72Aとして構成されている。被ガイド部71及びガイド部72は、それぞれ、ヘッドレストガイド34及びガイドステイ36の左右両側に設けられるのがよい。ガイド孔72Aは、ヘッドレストガイド34の回動中心Oを中心とする周方向に沿って延在する長孔である。
このように、ヘッドレスト支持機構18には、被ガイド部71及びガイド部72が設けられているため、ヘッドレストガイド34が好適にガイドされて回動する。従って、その可動範囲においてより安定した動作が可能となる。
なお、ガイド部72は、ガイド孔72Aに限られず、例えば、突起部71Aをガイド可能なビード(隆起部)として構成されてもよい。また、図7に示した構成例では、ガイド機構70は、ヘッドレストガイド34の回動中心Oよりも上方に設けられているが、回動中心Oよりも下方に設けられてもよい。
図8は、第2変形例に係るヘッドレスト支持機構18bの側面図であり、図9は、ヘッドレスト支持機構18bを構成するガイドステイ36bの斜視図である。第2変形例に係るヘッドレスト支持機構18bは、基本形に係るヘッドレスト支持機構18(図2等参照)のガイドステイ36を、これとは別構成のガイドステイ36bに置き換えたものである。
ガイドステイ36bは、上部支持面73、下部支持面74及び膨出部75を有するステイ本体76と、ステイ本体76の下部に固定された付勢手段保持部材77とを有する。ステイ本体76の上部支持面73、下部支持面74及び膨出部75は、図2及び図3に示したガイドステイ36の上部支持面42、下部支持面46及び第1膨出部48と同様に構成されている。
ガイドステイ36の背面下部には、開口部78が形成されている。ガイドステイ36bの軸線方向に関し、開口部78の上端位置は、下部支持面74の上端位置と略同じであり、開口部78は、ステイ本体76の下端まで達している。すなわち、開口部78は、ガイドステイ36bの背面の略下半分が切り欠かれて形成されている。
付勢手段保持部材77は、開口部78に臨む位置に付勢手段38(板バネ38A)を保持するように構成されている。具体的には、付勢手段保持部材77は、ステイ本体76の両側壁に固定され当該側壁にから後方に延びる側壁部79と、開口部78より後方で左右方向に延在し、側壁部79の後端部同士を連結する連結部80とを有する。連結部80には、付勢手段38が固定されている。側壁部79は、例えば、接着や溶接等の接合手段によりステイ本体76に固着される。板バネ38Aは、連結部80に形成された係合孔部81に引っ掛かることで、連結部80に固定されるようになっている。
上記のように構成されたガイドステイ36bによっても、図2及び図3に示したガイドステイ36と同様に、ヘッドレストガイド34を揺動可能に保持できる。従って、第2変形例に係るヘッドレスト支持機構18bは、図2等に示した基本形に係るヘッドレスト支持機構18のガイドステイ36と同様に、後面衝突時にヘッドレスト16を前方移動させるアクティブヘッドレスト機構として機能するので、簡素且つコンパクトな構成で、装置の小型化・軽量化が可能である等の効果が得られる。
なお、図8及び図9では、ガイドステイ36bの上部に膨出部75を設け、ガイドステイ36の下部に付勢手段保持部材77を設けた構成を示したが、ガイドステイ36bの上部おいて、膨出部75に代えて、付勢手段保持部材77と同様な構成の付勢手段保持部材を設けてもよい。すなわち、ガイドステイ36bの上部と下部の両方に付勢手段保持部材を設けてもよい。あるいは、ガイドステイ36bにおいて、膨出部75と付勢手段保持部材77の配置を相互に置き換えてもよく、すなわち、膨出部75を下部に、付勢手段保持部材77を上部に配置してもよい。この場合、ガイドステイ36bの上部に設ける付勢手段保持部材は、下部に設けた付勢手段保持部材77に対してヘッドレストガイド34の回動中心Oを基準に点対称となる位置及び向きでガイドステイ36の上部に配置されることは勿論である。
図10は、本発明の第2実施形態に係る車両用シート10aの全体斜視図である。なお、第2実施形態に係る車両用シート10aにおいて、上記第1実施形態に係る車両用シート10と同一又は同様な機能及び効果を奏する要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
第2実施形態に係る車両用シート10aは、第1実施形態の車両用シート10のピラー32を、これより長いピラー32aに置き換えたものである。第1実施形態では、ピラー32の長さは、ピラー32の下端部が、車両用シート10に着座する乗員の背中部に対応する高さに位置ように設定されている(図1参照)。これに対し、第2実施形態では、ヘッドレスト16aのピラー32aの長さは、ピラー32aの下端部が、車両用シート10aに着座する乗員の腰部に対応する高さに位置するように設定されている。
従って、ピラー32aの下端部は、シートバック14内で、乗員の腰部を支持する部材と接触している。例えば、シートバック14内にランバーサポートが設けられる場合には、乗員の腰部を支持する部材は、ランバーサポートであり、シートバック内にランバーサポートが設けられない場合には、乗員の腰部を支持する部材は、シートバック14を構成するバックパッドである。
第2実施形態に係る車両用シート10aのその他の部分の構成は、第1実施形態に係る車両用シート10と同じである。
上記のように構成された第2実施形態に係る車両用シート10aによれば、後面衝突時、ピラー32aの下端部が後方への入力荷重を受けることで、ヘッドレスト16aが前方に移動する。すなわち、ヘッドレスト支持機構18が、後面衝突時にヘッドレスト16aを前方移動させるアクティブヘッドレスト機構として機能するので、第2実施形態に係る車両用シート10と同様に、簡素且つコンパクトな構成で、装置の小型化・軽量化が可能である等の効果が得られる。
また、第2実施形態に係る車両用シート10aの場合、ヘッドレスト16aに設けられたピラー32aが長いため、支点におけるモーメントが大きく、しかも、後面衝突時には、ピラー32aの下部が乗員の腰部を支持する部材から荷重を受けるため、ピラー32aの下部に作用する入力荷重が大きい。このため、動作の安定性が高く、後面衝突時において、ヘッドレスト16aを迅速且つ滑らかに前方に移動させることができる。
なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と共通する各構成部分については、第1の実施形態における当該共通の各構成部分がもたらす作用及び効果と同一又は同様の作用及び効果が得られることは勿論である。
上記において、本発明について好適な実施の形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。
10、10a…車両用シート 14…シートバック
16、16a…ヘッドレスト 20…シートバックフレーム
30…ヘッドレスト本体 32…ピラー
34、34a、34A、34B…ヘッドレストガイド
36、36a、36b…ガイドステイ 38…付勢手段
38A、38B…板バネ 48…第1膨出部
50…第2膨出部 71…被ガイド部
72…ガイド部

Claims (7)

  1. 後面衝突時にヘッドレストを前方へ移動させる機構を有した車両用シートであって、
    シートバック内に設けられ、前記ヘッドレストを構成するヘッドレスト本体から延出したピラーを高さ位置調節可能に支持するヘッドレストガイドと、
    シートバックフレームに取り付けられ、ヘッドレストが前後に移動可能であるように前記ヘッドレストガイドを揺動可能に保持するガイドステイと、
    前記ヘッドレストが後方位置に保持されるように前記ヘッドレストガイドを弾性的に付勢する付勢手段と、を備え、
    前記ピラーの下部に作用する後方への荷重が所定未満であるとき、前記付勢手段の弾性付勢力により、前記ヘッドレストが後方位置を維持し、
    前記ピラーの下部に所定以上の後方への荷重が作用すると、前記ヘッドレストガイドが回動して前記ヘッドレストが前方位置に移動する、
    ことを特徴とする車両用シート。
  2. 請求項1記載の車両用シートにおいて、
    前記ガイドステイの上部には、前方に膨出する第1膨出部が設けられ、前記ガイドステイの下部には、後方に膨出する第2膨出部が設けられ、
    前記ピラーの下部に所定以上の後方への荷重が作用すると、前記ヘッドレストガイドが、前記第1及び第2膨出部へ移動するように回動することで、前記ヘッドレストが前方位置に移動する、
    ことを特徴とする車両用シート。
  3. 請求項2記載の車両用シートにおいて、
    前記付勢手段は、前記第1膨出部の内側と、前記第2膨出部の内側にそれぞれ設けられる、
    ことを特徴とする車両用シート。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用シートにおいて、
    前記付勢手段は板バネであり、
    前記板バネの、前記ヘッドレストガイドとの接触部の形状は、前記ヘッドレストガイドの外周面の形状に沿っている、
    ことを特徴とする車両用シート。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用シートにおいて、
    前記付勢手段は板バネであり、
    前記ヘッドレストガイドの、前記板バネとの接触部の形状は、前記板バネの形状に沿っている、
    ことを特徴とする車両用シート。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用シートにおいて、
    前記ピラーの下端部は、前記シートバック内で、乗員の腰部を支持する部材と接触している、
    ことを特徴とする車両用シート。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両用シートにおいて、
    前記ヘッドレストガイドの側面には、被ガイド部が設けられ、
    前記ガイドステイの、前記被ガイド部に対応する箇所には、前記ヘッドレストガイドが所定軌道に沿って回動するように前記被ガイド部を案内するガイド部が設けられる、
    ことを特徴とする車両用シート。
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