JP2011206991A - インクジェット描画装置及びその設計方法並びに描画品質改善方法 - Google Patents

インクジェット描画装置及びその設計方法並びに描画品質改善方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2011206991A
JP2011206991A JP2010075748A JP2010075748A JP2011206991A JP 2011206991 A JP2011206991 A JP 2011206991A JP 2010075748 A JP2010075748 A JP 2010075748A JP 2010075748 A JP2010075748 A JP 2010075748A JP 2011206991 A JP2011206991 A JP 2011206991A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nozzle
motor
head
osy
medium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2010075748A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011206991A5 (ja
JP5393561B2 (ja
Inventor
Katsuto Sumi
克人 角
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2010075748A priority Critical patent/JP5393561B2/ja
Priority to US13/073,728 priority patent/US8622503B2/en
Publication of JP2011206991A publication Critical patent/JP2011206991A/ja
Publication of JP2011206991A5 publication Critical patent/JP2011206991A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5393561B2 publication Critical patent/JP5393561B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J13/00Devices or arrangements of selective printing mechanisms, e.g. ink-jet printers or thermal printers, specially adapted for supporting or handling copy material in short lengths, e.g. sheets
    • B41J13/10Sheet holders, retainers, movable guides, or stationary guides
    • B41J13/22Clamps or grippers
    • B41J13/223Clamps or grippers on rotatable drums
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/145Arrangement thereof
    • B41J2/155Arrangement thereof for line printing

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Facsimile Heads (AREA)

Abstract

【課題】二次元配列ノズルを備えるヘッドと被描画媒体と間の相対振動に起因する濃度ムラ(振動ムラ)を低減する。
【解決手段】複数のノズルが二次元配列された吐出面を有する液体吐出ヘッドと、被描画媒体とを第1方向に相対移動させる走査手段と、走査手段を駆動する動力源としてのモータと、該モータの動力を走査手段に伝達する動力伝達機構と、を備え、モータの回転に伴い1回転にNm回(ただし、Nmは自然数)の回転ムラが発生し得るときに、当該モータの1/Nm回転に対応する被描画媒体上における第1方向の相対移動の移動量を表す空間的周期をPv、二次元配列された複数のノズルのうち、被描画媒体上で第1方向と直交する第2方向に隣接するドットを形成するノズル対の第1方向のオフセット距離をOSyとするとき、OSy≒k×Pv(ただし、kは自然数)の関係を満たすように構成する。
【選択図】図3

Description

本発明はインクジェット描画装置に係り、特に、二次元配列ノズルを有するインクジェットヘッドを搭載したシングルパス方式のインクジェット描画装置における描画品質(画質)を改善する技術に関する。
インクジェット描画の分野では、高い描画解像度と高生産性を実現するために、多数のノズルを二次元状に配列したヘッドモジュールを形成し、これをサブヘッドとして当該サブヘッドを用紙幅方向(以下「x方向」とする。)に複数個並べて用紙全幅の描画領域をカバーする長尺のヘッド(ページワイドヘッド、或いはフルライン型ヘッドと呼ばれる)を構成し、かかる長尺ヘッドと用紙とをx方向に直交する方向(以下「y方向」とする。)に1回だけ相対走査を行うことにより、当該用紙上に画像を形成するインクジェット描画方式(シングルパス方式)が知られている。
このようなシングルパス方式の構成は、ヘッドと用紙(用紙を保持搬送する用紙搬送系)が相対移動することから、ヘッドと用紙は一体(固定の位置関係)ではなく、そのため前記描画時における相対走査方向(y方向)以外の方向についても相対的な変位・振動が生じ得る。その相対変位・振動の要因としては、描画装置の内外で発生する種々のメカニカルな衝撃や用紙搬送系を含む種々の可動部を駆動するための駆動系に起因した変位などであり、これらがヘッドと用紙との相対的な振動となって現れる。ヘッドと用紙との相対振動の中でも特にx方向の振動は、二次元配列ノズルとの関係で画質上問題となるムラを発生させる。
ヘッドと用紙との相対的な振動に関連して、特許文献1では、一次元配列ノズルのラインヘッドを用いたシングルパス方式のインクジェット装置において、ヘッドを用紙搬送方向(y方向)に直交する方向(x方向)に振動、または、移動させることで、吐出の異常なドットにより生じる画像異常(y方向に伸びる筋状の「縦縞」)を軽減する技術を開示している。
特開平10−235854号公報
特許文献1に記載の装置構成は、一次元配列のノズルであるために、ヘッドと用紙(記録紙)のx方向に関する相対振動・相対移動は画質上問題にならず、同方向の振動を積極的に利用して欠陥ドットの記録を他のノズルで補い、ムラ低減を実現している。しかしながら、二次元配列ノズルの場合には、以下に述べるように、二次元配列特有の大きな問題が生じることになる。
(技術課題の説明)
二次元配列ノズルを持つヘッドでは、用紙上でx方向に隣接するドット(またはドットがy方向に連続して繋がって描かれるラスター)を形成するノズル対において、ヘッドのノズルレイアウト上、y方向に距離を隔てたノズル位置関係となるノズル対(以下、「yオフセット隣接ノズル対」と呼ぶ。)が存在する。
このとき、ヘッドと用紙の間に、x方向の相対振動があると、yオフセット隣接ノズル対で記録されるラスター間の間隔が相対振動に依存して変動することになる。その結果、yオフセット隣接ノズル対で記録されるドット間(x方向に隣接するドット間)に「重なり」或いは「隙間」ができ、この「重なり」と「隙間」の程度がy方向に変化し、これがムラとなって画像品質を悪化させる。このように、二次元配列ノズルを備えたヘッドと用紙間のx方向の相対振動または変位に起因して生じる濃度ムラを、本願明細書では「振動ムラ」と呼ぶ。
このような現象を図20〜図25の例で解説する。図20は、二次元配列ノズルの一例である。図中の黒丸「●」がノズルの位置を示す。横軸はx方向の位置、縦軸はy方向の位置を表しており、記録解像度で決まる画素(pix)単位の座標でノズル位置を示したものである。
図示のとおり、この二次元ノズルレイアウトは、y方向に隔てた2行のノズル行を持ち、同じ1行の中では1pixおきにノズルが並び(1行内のx方向ノズル間隔は2pix)、異なる行に属するノズルの位置がx方向に1pixずれた位置関係(いわゆる千鳥状の配列)となっている。その結果、用紙上には1行目のノズル行に属するノズル群によって1pixおきのラスター(走査線)が形成され、当該1行目のノズルで形成されるラスターの間を2行目のノズル群で形成するラスターが埋めていくという描画形態となる。1行目と2行目のy方向の間隔を「yオフセット隣接ノズル対」のオフセット量(y方向オフセット量)と呼ぶ。ここでは、y方向オフセット量=500pixの例を示した。なお、描画の解像度を1200dpiとすると、500pixは10.6mmとなる。
この様な二次元配列ノズルのヘッド(図20)に対して、ヘッドと用紙間にx方向の相対振動があった場合の各ノズルで描かれるラスターの一例を図21に示した。図21は、全てのノズルから一斉に吐出を開始し、用紙を一定速度でy方向に搬送しつつ、所定の打滴周波数で連続吐出を行った場合に得られるラスター群である。また、このとき実際に用紙上に描画される画像(ベタ画像;打滴率100%)の例を図22に示した。なお、図21、図22は、x方向の相対振動の片振幅を5μm、当該相対振動の周期を用紙上におけるy方向の空間距離換算で1000pix=21.2mmとした場合の例である。
図21において、符号1Aで示したラスターは図20の下行(1行目)に属するノズルで描かれるものである。図21において、符号2Bで示したラスターは図20の上行(2行目)に属するノズルで描かれるものである。ラスター1Aとラスター2Bはy方向について500pix分ずれている。これは図20における下行ノズルと上行ノズルとのy方向オフセット量に対応している。
仮に、ヘッドと用紙間にx方向について相対振動が無ければ、yオフセット隣接ノズル対の走査線(ラスター)はy方向に沿って真っ直ぐな直線ラインとなり、ラスター間隔は解像度から決まる一定値(例えば、1200dpiならば、約21.2μm)となる。
これに対して、ヘッドと用紙間にx方向の相対振動があると、1行目のノズルのラスター(符号1A)と、2行目のノズルのラスター(符号2B)とがそれぞれ揺らぐ(図21参照)。このような各ラスターの揺れにより、隣接するラスター(1A,2B)間のx方向間隔が用紙送り方向(y方向)の位置によって空間周期的に変動する。
その結果、図22に示すように、描画結果の画像に周期的なムラができる。すなわち、x方向に隣接するラスター間のx方向間隔が周期的に変動することで、これら隣接ラスター同士の「重なり」(ラスター同士の接近)と「隙間」(ラスター同士の離間)がy方向に繰り返され、それが用紙上の描画結果における濃度ムラとなって現れている。
図22において、y方向に沿った白筋がx方向に対して概ね等間隔で並ぶ白筋領域4と、y方向について白筋が途切れて黒く(濃く)見える黒領域5とが、y方向について振動の周期の1/2(ここでは500pix)で繰り返される。
白筋領域4をx方向に見渡すと、白の隙間(白筋)がある部分と、白筋が無い部分(黒の部分)とが交互に繰り返されている。白筋の部分を更に詳細に見ると、白筋の隙間(白筋の太さ)はy方向について一定ではなく、中央部分が広くなっている。このような白筋領域4はマクロ的に見ると黒領域5に対して濃度が低くなっているため、画像全体で見ると、y方向に濃度が変動する(濃淡が周期的に繰り返される)濃度ムラが視認され、画像品質が低下する。
以上の説明では、2行(y方向)×N列(x方向)(ただし、N≧2の整数)の二次元配列ノズルの例を示したが、本課題は、このノズル配列に限らず、他の二次元ノズル配列(例えば、M行×N列(ただし、M≧2の整数)の2次元配列ノズルなど)においても同様の課題が生じる。
図23に6行×N列のノズルレイアウトの場合を示す。図20と同様に、相対振動の片振幅を5μm、相対振動の周期を用紙上のy方向距離で1000pix=21.2mmとした。図24は、図23のノズル配列を持つヘッドに対して、ヘッドと用紙間にx方向の相対振動があった場合のラスターの一例を示したものであり、図25は、このとき描画される画像(ベタ画像)の例である。
図23に示したノズル配列の場合、yオフセット隣接ノズル対を構成するノズルが属するノズル行の組み合わせとして、1行目と2行目、2行目と3行目、3行目と4行目、4行目と5行目、5行目と6行目、6行目と1行目の合計6通りの組み合わせがある。これら各ノズル対に対応するラスター間の間隔変動によって濃度ムラが生じるが(図25参照)、このうちy方向に最も大きく離れるノズル対(6行目のノズルと1行目のノズル)によるラスター間隔の変動による白筋が最も目立ち、当該最大オフセット量のノズル対が画質劣化に最も影響を及ぼしている。
この場合、図25に示されるように、白筋領域6と黒領域7はy方向について振動の周期(ここでは1000pix)で繰り返される。なお、図22と図252で、振動ムラ(白筋領域と黒領域)の周期が異なるのは、次の理由による。
図22に対するノズル配列は、図20に示される2行の並びのものである。この場合、「yオフセット隣接ノズル対」としては、「1行目ノズル−2行目ノズル」の組(以下、これを「A組」と呼ぶ。)と、「2行目ノズル−1行目ノズル」の組(以下、これを「B組」と呼ぶ。)の2組存在する。A組のノズル対で振動周期(1000pix)の振動ムラが生じ、また、B組のノズル対でも同様に振動周期(1000pix)の振動ムラが生じる。そして、2組のノズル対でできた振動ムラは位相が180度ずれているために、合成された振動ムラとしては、振動周期の1/2の周期(500pix)となる(図21参照)。
これに対して、図25の場合には、図23で示されるノズル配列(6行の並びのもの)が対応するが、この場合には、「yオフセット隣接ノズル対」としては「6行目ノズル−1行目ノズル」の1組だけとなり、現れる振動ムラの周期は振動周期(1000pix)だけとなる(図24参照)。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、二次元配列ノズルを備えるヘッドと被描画媒体(記録紙など)と間の相対振動に起因する濃度ムラ(振動ムラ)による画質劣化を低減することができるインクジェット描画装置及びその設計方法並びに描画品質改善方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために以下の発明態様を提供する。
(発明1):発明1に係るインクジェット描画装置は、複数のノズルが二次元配列された吐出面を有する液体吐出ヘッドと、前記ノズルから吐出させた液を付着させる被描画媒体及び前記液体吐出ヘッドのうち少なくとも一方を搬送することにより前記被描画媒体と前記液体吐出ヘッドを第1方向に相対移動させる走査手段と、前記走査手段を駆動する動力源としてのモータと、前記モータの動力を前記走査手段に伝達する動力伝達機構と、を備え、前記モータの回転に伴い1回転にNm回(ただし、Nmは自然数)の回転ムラが発生し得るときに、当該モータの1/Nm回転に対応する前記被描画媒体上における前記第1方向の前記相対移動の移動量を表す空間的周期をPv、前記二次元配列された前記複数のノズルのうち、前記被描画媒体上で前記第1方向と直交する第2方向に隣接するドットを形成するノズル対の前記第1方向のオフセット距離をOSyとするとき、OSy≒k×Pv(ただし、kは自然数)の関係を満たすことを特徴とする。
液体吐出ヘッドと被描画媒体とを相対走査して描画を行うインクジェット描画装置においては、走査手段の動力源であるモータの回転ムラに起因して、液体吐出ヘッドと被描画媒体の間にモータ回転に同期した周期的な相対振動が発生し得る。モータの1回転ごとにNm回(ただし、Nmは自然数)の回転ムラが発生するとき、被描画媒体上にはモータの1/Nm回転に対応した周期(Pv)で振動が現れる。一方、液体吐出ヘッドの二次元配列ノズルにおいて、被描画媒体上の第2方向に隣接するドットを形成するノズル対の第1方向に沿ったノズル間の距離をオフセット距離と呼び、これを「OSy」としている。なお、このようなノズル対を「第1方向オフセット隣接ノズル対」という。
本発明によれば、第1方向オフセット隣接ノズル対のオフセット距離OSyが、モータの回転ムラの周期で生じる被描画媒体上の振動周期(Pv)の概ね自然数倍となっているため、当該ノズル対で被描画媒体上に記録されるドット列(ラスター)の第2方向変位の振動位相が概ね一致する。これらドット列(ラスター)間の第2方向の間隔変動が抑制され、小さくなる。すなわち、当該ノズル対で記録されるドット間の第2方向の間隔変動が抑制され、振動ムラが低減される。
OSy=k×Pvとなる場合には、最も良好に振動ムラを抑制することができるが、OSy/Pvがk(kは自然数)から僅かにずれても相応の効果が得られる。OSy/Pvが自然数に近い値であるほど振動ムラの抑制効果が高く、OSy/Pvと自然数kとの差が大きくなるほど振動ムラの抑制効果は弱くなる。
走査手段は、停止している液体吐出ヘッドに対して被描画媒体を搬送する態様、停止している被描画媒体に対して液体吐出ヘッドを移動させる態様、液体吐出ヘッドと被描画媒体の双方を移動させる態様のいずれの態様を採用してもよい。
二次元配列ノズルの配列形態によっては、第1方向オフセット隣接ノズル対のオフセット距離が異なるノズル対が存在するが、本発明はこれらノズル対の全てについて上記関係の成立を要求するものではなく、振動ムラへの影響度が高い一部のノズル対について、上記関係を満たせば、相応のムラ低減効果が得られる。
(発明2):発明2に係るインクジェット描画装置は、発明1において、|sin(π・OSy/Pv)|≦1/4の関係を満たすことを特徴とする。
既述のとおり、OSy/Pvの値によって振動ムラの抑制効果に差が生じる。発明2に示す関係を満たすことにより、被描画媒体上における第2方向隣接ドット列(ラスター)間隔の間隔変動の片振幅を、噛み合い歯のピッチの周期で発生する相対振動の第2方向の片振幅Avの1/2以下に抑えることができ、振動ムラの低減効果が大きい。
(発明3):発明3に係るインクジェット描画装置は、発明1又は2において、前記二次元配列のノズル群は、前記オフセット距離が異なる前記ノズル対を含んでおり、これら異なるオフセット距離のうちの最大値を前記OSyとして前記関係を満たすことを特徴とする。
オフセット距離が大きいものほど振動ムラに大きく影響するため、少なくともオフセッット距離の最大値をOSyとしたときに、OSy≒k×Pvの関係、或いは、|sin(π・OSy/Pv)|≦1/4の関係を満たすことが好ましい。
(発明4):発明4に係るインクジェット描画装置は、発明1乃至3のいずれか1項において、前記液体吐出ヘッドは、複数のノズルが二次元配列された吐出面を有するヘッドモジュールが複数個繋ぎ合わされて構成されており、異なるヘッドモジュール間にまたがる前記ノズル対の前記オフセット距離をOSy_Bとするとき、OSy_Bを前記OSyとして前記関係を満たすことを特徴とする。
この発明4によれば、複数のヘッドモジュールを繋ぎ合わせて一つの液体吐出ヘッド(ヘッドバー)を構成する態様において、異なるモジュール間にまたがる第1方向オフセット隣接ノズル対について振動ムラの低減を図ることができる。この発明は特に、ヘッドモジュールを二次元配列させる構成において有効である。
(発明5):発明5に係るインクジェット描画装置は、発明4において、前記液体吐出ヘッドは、前記複数個のヘッドモジュールが千鳥配列で配置されていることを特徴とする。
(発明6):発明6に係るインクジェット描画装置は、発明1乃至5のいずれか1項において、前記走査手段として、前記被描画媒体を搬送する媒体搬送手段を備え、前記媒体搬送手段は、ドラムの円柱表面に前記被描画媒体を保持して当該ドラムを回転させるドラム回転方式の構成であることを特徴とする。
(発明7):発明7に係るインクジェット描画装置は、発明6において、前記ドラムの直径をDdr、前記動力伝達機構の減速比をRとするとき、前記モータの回転に伴って前記被描画媒体上に現れる振動の周期を示す前記Pvは、Pv=π・Ddr・R/Nmと表されることを特徴とする。
(発明8):発明8に係るインクジェット描画装置は、発明1乃至7のいずれか1項において、前記走査手段によって前記被描画媒体と前記液体吐出ヘッドとを前記1方向へ1回だけ相対移動させて前記被描画媒体上に画像を形成するシングルパス方式の描画が行われるものであることを特徴とする。
振動ムラはシングルパス方式で特に問題となるため、本発明の適用が効果的である。本発明によれば、高い描画品質と高生産性を両立することができる。
(発明9):発明9に係るインクジェット描画装置の設計方法は、複数のノズルが二次元配列された吐出面を有する液体吐出ヘッドと、前記ノズルから吐出させた液を付着させる被描画媒体及び前記液体吐出ヘッドのうち少なくとも一方を搬送することにより前記被描画媒体と前記液体吐出ヘッドを第1方向に相対移動させる走査手段と、前記走査手段を駆動する動力源としてのモータと、前記モータの動力を前記走査手段に伝達する動力伝達機構と、を備えるインクジェット描画装置を設計する方法であって、前記モータの回転に伴い1回転にNm回(ただし、Nmは自然数)の回転ムラが発生し得るときに、当該モータの1/Nm回転に対応する前記被描画媒体上における前記第1方向の前記相対移動の移動量を表す空間的周期をPv、前記二次元配列された前記複数のノズルのうち、前記被描画媒体上で前記第1方向と直交する第2方向に隣接するドットを形成するノズル対の前記第1方向のオフセット距離をOSyとするとき、OSy≒k×Pv(ただし、kは自然数)の関係を満たすように、前記液体吐出ヘッドのノズル配列及び前記動力伝達機構の減速比を決定することを特徴とする。
発明9によれば、インクジェット描画装置の設計に際し、液体吐出ヘッドのノズル配列(特に第1方向オフセット隣接ノズル対のオフセット距離)と動力伝達機構の減速比との関係に注目し、OSy≒k×Pv(ただし、kは自然数)の関係を満たすように寸法の調整や部材の選択などを行う。これにより、振動ムラを低減したインクジェット描画装置を製造することが可能となる。
例えば、ある定まったノズル配列に対して、減速系の減速比を最適化する設計を行うことができる。逆に、ある定まった減速比の動力伝達機構の構成に対して、ノズル配列を最適化する設計を行ってもよい。
(発明10):発明10に係るインクジェット描画装置の描画品質改善方法は、複数のノズルが二次元配列された吐出面を有する液体吐出ヘッドと、前記ノズルから吐出させた液を付着させる被描画媒体及び前記液体吐出ヘッドのうち少なくとも一方を搬送することにより前記被描画媒体と前記液体吐出ヘッドを第1方向に相対移動させる走査手段と、前記走査手段を駆動する動力源としてのモータと、前記モータの動力を前記走査手段に伝達する動力伝達機構と、を備えるインクジェット描画装置の描画品質を改善する方法であって、前記モータの回転に伴い1回転にNm回(ただし、Nmは自然数)の回転ムラが発生し得るときに、当該モータの1/Nm回転に対応する前記被描画媒体上における前記第1方向の前記相対移動の移動量を表す空間的周期の情報を得る第1ステップと、前記二次元配列された前記複数のノズルのうち、前記被描画媒体上で前記第1方向と直交する第2方向に隣接するドットを形成するノズル対の前記第1方向のオフセット距離を示す情報を取得する第2ステップと、前記第1ステップで得た前記空間的周期をPv、前記第2ステップで得た前記オフセット距離をOSyとするとき、OSy≒k×Pv(ただし、kは自然数)の関係を満たすように、前記動力伝達機構の減速比を変更する第3ステップと、を含むことを特徴とする。
一般に、ノズル配列の設計に関して変更の自由度は低く、動力伝達系の部品の変更や設計変更の方が容易である場合が多い。また、液体吐出ヘッドは、歯車その他の動力伝達系の部品に比べて高額である。したがって、発明10によれば、比較的簡単にかつ低コストで振動ムラの影響を改善でき、良好な描画品質を実現するインクジェット描画装置を得ることが可能である。なお、第1ステップと第2ステップの工程順は問わず、どちらのステップを先に行ってもよい。
本発明によれば、液体吐出ヘッドと被描画媒体とを相対走査させる際のモータの回転ムラと二次元配列ノズルとに起因して被描画媒体上に現れるムラ(振動ムラ)を良好に低減することができる。これにより、高い描画品質と高い生産性を実現することができる。
モータ−ドラム間の動力伝達機構の例を示した説明図 yオフセット隣接ノズル対で記録される用紙搬送方向のラスターを模式的に示した説明図 yオフセット隣接ノズル対のラスター間隔D(y)が変動する様子を例示したグラフ ノズル対のオフセット量(OSy)と相対振動周期(Pv)の条件とラスター間の間隔変動との関係を例示した説明図 2行×N列の二次元配列ノズルのヘッドに対して本発明の適用によって得られるラスターの例を示した図 図5の条件で描画された画像(ベタ画像)の例を示した図 6行×N列の二次元配列ノズルのヘッドに対して本発明の適用によって得られるラスターの例を示した図 図7の条件で描画された画像(ベタ画像)の例を示した図 本発明の実施形態に係るインクジェット描画装置の全体構成図 図9のインクジェット描画装置におけるドラム回転機構の構成図 本例のインクジェット描画装置に採用されているドラム回転用歯車部分の拡大斜視図 図10に示したドラム回転機構における減速系の部分を拡大した構成図 モータの回転ムラの次数Nmと振動周期Pvの関係を模式的に示した説明図 噛み合い伝動機構の他の例として歯付きベルト(タイミングベルト)を用いる形態を示した図 インクジェットヘッドの構成例を示す平面透視図 複数のヘッドモジュールを繋ぎ合わせて構成されるヘッドバーの例を示す図 図15中のA−A線に沿う断面図 インクジェット描画装置の制御系の構成を示すブロック図 異なるヘッドモジュール間にまたがるyオフセット隣接ノズル対のオフセット量の説明図 2行×N列の二次元配列ノズルの例を示すノズルレイアウト図 図20のノズル配列を用いた従来のインクジェット描画装置で得られるラスターを示した図 図21の条件で描画された画像(ベタ画像)の例を示した図 6行×N列の二次元配列ノズルの例を示すノズルレイアウト図 図23のノズル配列を用いた従来のインクジェット描画装置で得られるラスターを示した図 図24の条件で描画された画像(ベタ画像)の例を示した図
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について詳細に説明する。
<振動ムラを抑制する本発明の原理>
ます、振動ムラの発生原因とこれに対応した本発明の原理について説明する。なお、以下の説明では用紙搬送方向(y方向)が「第1方向」、これに直交するx方向が「第2方向」に対応している。
(1)振動ムラの発生原因について
振動ムラの原因は、主に以下の2つである。
(1-a)x方向相対振動の原因(主要因)
インクジェット描画装置では、ヘッドと用紙を相対移動させる手段の動力源としてモータが用いられる。例えば、ドラム搬送方式のインクジェット描画装置の場合、モータの回転は、ベルト、プーリ、各種歯車などの動力伝達系を介してドラムに伝達され、当該ドラム回転させる構成となっている。モータとドラムの回転数の比率は、モータ−ドラム間の動力伝達系の減速比で決まる。
一般に、モータは1回転に同期する回転ムラを持つ。ここでいう「回転ムラ」は、モータのメカ系に起因した1回転に1回発生するムラ(例えば、モータの出力軸が回転中心に対して偏芯している場合)、或いは、1回転に2回発生するムラ(例えば、モータの出力軸の断面が楕円になっている場合)、または、モータの構造(例えば、三相モータ)に起因した1回転に3回発生するムラ、などの高調波と言えるムラである。この次数(モータ1回転あたりに発生するムラの回数)をNm(自然数)とする。これらの回転ムラは、動力伝達系を介してドラムに伝わり、その結果、用紙上で一定の周期となる振動(x方向振動、y方向振動)として現れる。特に、歯車にはすば歯車を使用した場合には、ドラムのx方向の振動は大きくなる。
用紙上に現れる振動の周期Pvは、減速比Rとドラム直径Ddrで決まり、以下の式で表される。
[数1] Pv=π・Ddr・R/Nm (Nm:自然数) …(式1)
なお、式中の「・」は乗算の演算子(×)を表す。
(式1)の導出について、図1を例に簡単に説明する。図1に例示した回転伝動機構は、モータ12の軸14に固設されたプーリ16と、ドラム20に直結されたプーリ24との間に無端状の歯付きベルト28が巻き掛けられた構造を有する。この伝動機構における減速比R(例えば、R=1/10)とすると、モータ1回転でドラム20はR回転する。ドラム20の周長は「π×Ddr」であるから、モータ1回転当りのドラム周面上の移動量(周方向)は、「π×Ddr×R」である。モータ1回転でNm回の回転ムラ(相対振動)が発生しているため、ドラム周面上における振動周期Pv(ドラム周方向の空間的な周期)は、「π×Ddr×R」をNmで除算した値「π×Ddr×R/Nm」となる。
(1-b)x方向振動周期とノズル配列との関係(副要因)
ヘッドのノズル配列に起因した「yオフセット隣接ノズル対」のy方向のオフセット量(「オフセット距離」に相当)OSyと、用紙上におけるx方向相対振動の周期Pv(モータの回転ムラの周期を用紙上でのy方向の空間的周期に換算したもの)の関係により、「yオフセット隣接ノズル対」で記録される2本の走査線(ラスター)間のx方向間隔変動ΔD(y)の程度が変わる。
図2はyオフセット隣接ノズル対で記録される用紙搬送方向のラスター(走査線)を模式的に拡大した図である。なお、図2は説明の便宜上、ラスターの揺らぎ量を強調するために、縦横の寸法比率を歪ませて(デフォルメして)描いてある。
図2における横方向は長尺のインクジェットヘッド(バー)の長手方向(「x方向」という。)であり、縦方向が用紙搬送方向(ヘッドと用紙の相対移動方向、「y方向」という。)である。図2の左側に示した波形のラインR_Aがyオフセット隣接ノズル対の一方のノズル(ここでは「ノズルA」と呼ぶ。)によるラスターを示し、右側に示した波形のラインR_Bが他方のノズル(ここでは「ノズルB」と呼ぶ。)によるラスターを示す。各ノズルA,Bから一定のサイクル(吐出周波数)で連続的に打滴を行いつつ、用紙をy方向に一定速度で搬送することによって用紙上に液滴を着弾させ、各液滴が作るドットが連続的に連なったドット列によってラスターが記録される。なお、吐出周波数と用紙搬送速度はy方向の描画解像度から規定され、ノズルA,B間のx方向距離はx方向の描画解像度から規定される。
図2からも明らかなように、y方向オフセット隣接ノズル対のラスター間隔D(y)はヘッドと用紙の相対振動に伴って変化する。この間隔D(y)の変化量(変動)ΔD(y)は、y方向オフセット量OSyと、相対振動周期Pvにより、相対振動のx方向の(片)振幅をAvとして、以下の様に表せる。
[数2]
ΔD(y)=Av ・ [ sin{θ(y)}−sin{θ(y)+2π・OSy/Pv} ]
=2・Av・sin{−π・OSy/Pv} ・ cos{θ(y)+π・OSy/Pv} …(式2)
また、(式1)からラスター間隔変動の最大値ΔDmaxは、次のように表される。
[数3]
ΔDmax=max|ΔD(y)|=2・Av・|sin{π・OSy/Pv}| …(式3)
ここで、ΔDmax はラスター間隔変動の振幅となるが、Av、及び、OSy、Pvの関係で決まる値である。つまり、ΔDmax はyに対して定数成分(yに依存しない値)となる。一方、(式2)におけるcos{θ(y)+π・OSy/Pv}の要素は、yにより変化する変動成分となる。
<式2の導出について>
用紙とヘッドとの間に相対的な振動があると、当該ヘッドのyオフセット隣接ノズル対で用紙上に描かれるラスターは、その相対振動の周期で揺らぐ(波打つ)。その結果、図2に示すように、ラスター間のx方向間隔D(y)は用紙送り方向の位置yに応じて変化する(yの関数となる)。
注目するyオフセット隣接ノズル対の一方のノズルAによって記録されるラスターの位置(x方向位置)は、理想的な位置(基準位置x)を中心として片振幅Avで変動するため、その振動を三角関数で表し、振動の位相成分をθ(y)とすると、ノズルAによるラスターの位置X の変動量ΔXは、yの関数として以下のように表せる。
[数4] ΔX=X(y)−x1=Av sin{θ(y)} …(式4)
同様に、注目するyオフセット隣接ノズル対の他方のノズルBによって記録されるラスターの位置(x方向位置)は、理想的な位置(基準位置x)を中心として片振幅Avで変動し、更に、ノズルAとノズルBとの間にはy方向のオフセット量OSyに相当する初期位相差(2π・OSy/Pv)があるため、ノズルBによるラスター位置X の変動量ΔXはyの関数として以下のように表せる。
[数5] ΔX=X(y)−x=sin{θ(y)+2π・OSy/Pv} …(式5)
したがって、ノズルAとノズルBからなる「yオフセット隣接ノズル対」によるラスター間のx方向間隔の変動量ΔD(y)はノズルAのラスター変動(ΔX)とノズルBのラスター変動(ΔX)と差で表すことができ、[数2]のように表される。なお、式の変形に際して、加法定理から派生する積和の公式を用いた。また、yオフセット隣接ノズル対について、どちらのノズルをノズルA或いはノズルBと定めるかについては、本質的な問題ではなく、両者の関係を入れ替えても同様の議論が成立する。
図3はyオフセット隣接ノズル対のラスター間隔D(y)が変動する様子を例示したグラフである。横軸は用紙上におけるy方向の位置(y座標)、縦軸はラスター間隔D(y)を示している。ヘッドと用紙との間にx方向の相対振動が無ければ、理想的なラスター間隔は描画解像度から定まる規定値Dとなる。例えば、1200dpiの場合、D=1pix=21.2μmである。しかし、ヘッドと用紙との間にx方向の相対振動(振動周期Pv)があると、図3に示すように、ラスター間隔D(y)は、振幅ΔDmax、相対振動周期Pvで変動する。
(式2)で示したように、ΔDmaxは、OSyとPvの関係によって定まる値であり、OSyとPvの比(OSy/Pv)に応じて、ΔDmaxは0≦ΔDmax≦2Avの範囲の値をとり得る。
表1は、yオフセット隣接のズル対のオフセット量OSyと、x方向の相対振動の周期Pvとの間に特別な条件が成立する場合について、ラスター間隔変動振幅ΔDmax及び振動ムラの関係を示したものである。なお、表1において、kは非負の整数とする。
表1の条件[1]は、本発明の実施例に相当しており、yオフセット隣接ノズル対のオフセット量OSyがx方向相対振動の振動周期Pvの整数倍となっている(x方向に隣接する2本のラスターの変動の位相が合っている)ために、相対振動の影響が最小になる最良の条件である(図4(a)参照)。
これに対し、表1の下段に示した条件[2]は比較例に該当し、yオフセット隣接ノズル対のオフセット量OSyがx方向相対振動の振動周期Pvの(k+1/2)倍となっているため、x方向に隣接するラスター同士で変動の位相角が丁度πだけずれている。このため、相対振動の振幅(片振幅)Avに対して、ラスター間隔変動の振幅ΔDmax(片振幅)はAvの2倍となる(図4(b)参照)。この場合、相対振動の影響が最も大きく強調され、用紙上で振動ムラが目立つ最悪な条件である。
なお、図21,図22で説明した例は、表1の条件[2]に該当するものである。図20で説明した2行×N列のノズル配列に対して、相対振動周期Pvとオフセット量OSyの関係が表1の条件[1]となる場合の描画結果の例を図5、図6に示す。
また、図23で説明した6行×N列のノズル配列に関して、表1の条件[1]に相当する場合の描画結果を図7、図8に示す。(なお、図24,図25は表1の条件[2]に該当するものである)
良好な条件[1]に該当する図6、図8では、図21、図25に見られた振動ムラが低減していることが分かる。なお、比較のために、ここでは相対振動の片振幅は同じく5μmであり、相対振動の周期を500pix=10.6mmとした。
(2)振動ムラを解消する手段
振動ムラの主要因である振動発生源の振動量を低減することは、モータの方式・構造から限界がある。そこで、副要因である振動周期とノズル配列との関係を最適化することで、振動ムラの低減を行う。具体的には、モータの回転ムラの周期に対応した用紙上における振動周期Pv(例えば、[式1]のPv=π・Ddr・R/Nm)と、ノズル配列で決まる「yオフセット隣接ノズル対」のオフセット量Osyとの関係を、表1の条件[1]又はこれに近い条件となるように装置を構成する。
すなわち、以下に示す(関係式1)の関係を満たすように構成する。
OSy≒k×Pv(ただし、kは自然数)…(関係式1)
なお、振動周期Pvは、モータの1/Nm回転(Nmは自然数)に対応する用紙面上の周期、と表現することもできる。
(式3)からΔDmaxは、0〜2Avの値をとり得る。ΔDmaxの値によってムラ低減の効果の程度が異なり、ΔDmaxの値が小さいほど、ムラによる画質劣化が抑制される。モータの1/Nm回転に対応する周期で生じる相対振動のx方向振幅がAvであることを考慮すると、実効性ある望ましいレベルで振動ムラの低減効果を得る観点から、ΔDmaxがAv/2以下であることが好ましく、より好ましくは、Av/4以下であることが好ましい。
つまり、(式3)から、以下に示す(関係式2)を満たすことが好ましい。
|sin{π・OSy/Pv}|≦1/4…(関係式2)
より好ましくは、以下に示す(関係式3)を満たすことが好ましい。
|sin{π・OSy/Pv}|≦1/8…(関係式3)
図20で説明した2行×N列のノズル配列の場合、yオフセット隣接ノズル対のオフセット量OSyは一定の値であるが、図23で示した6行×N列のノズル配列のように、yオフセット隣接ノズル対のオフセット量が異なる値をもつ場合がある。つまり、1行目(最下行)のノズルと2行目のノズルのオフセット量は100pix、2行目と3行目、3行目と4行目、4行目と5行目もそれぞれオフセット量は100pixであるが、6行目と1行目のオフセット量は500pixである。
このようにオフセット量が異なるyオフセット隣接ノズル対が含まれる場合、すべての異なるオフセット量について、関係式1、関係式2、又は関係式3を満たすように構成することは必ずしも要求されない。オフセット量が大きいノズル対ほど振動ムラに大きく影響するため、少なくともオフセット量の最大値について、関係式1,2,又は3を満たすように構成すれば、相応の効果が得られる。実際に、図23のノズル配列の場合、1行目(最下行)のノズルと6行目(最上行)のノズルでx方向の隣接ドットを形成するノズル対のオフセット量(=500pix)をOSyとして、関係式1,2,又は3を満たせば十分に画質改善の効果が認められる。
<インクジェット描画装置の構成例>
図9は、本発明の実施形態に係るインクジェット描画装置の構成例を示す全体構成図である。図10は図9と反対側の側面部に設けられたドラム回転駆動機構の構成図である。これらの図面に示したとおり、本例のインクジェット描画装置100は、主として、給紙部112、処理液付与部(プレコート部)114、描画部116、乾燥部118、定着部120、及び排紙部122から構成されている。インクジェット描画装置100は、描画部116の圧胴(描画ドラム170)に保持された記録媒体124(以下、便宜上「用紙」と呼ぶ場合がある。)にインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yから複数色のインクを打滴して所望のカラー画像を形成するシングルパス方式の
インクジェット記録装置であり、インクの打滴前に記録媒体124上に処理液(ここでは凝集処理液)を付与し、処理液とインク液を反応させて記録媒体124上に画像形成を行う2液反応(凝集)方式が適用されたオンデマンドタイプの画像形成装置である。
(給紙部)
給紙部112には、枚葉紙である記録媒体124(「被描画媒体」に相当)が積層されており、給紙部112の給紙トレイ150から記録媒体124が一枚ずつ処理液付与部114に給紙される。記録媒体124として、紙種や大きさ(用紙サイズ)の異なる複数種類の記録媒体124を使用することができる。給紙部112において各種の記録媒体をそれぞれ区別して集積する複数の用紙トレイ(不図示)を備え、これら複数の用紙トレイの中から給紙トレイ150に送る用紙を自動で切り換える態様も可能であるし、必要に応じてオペレータが用紙トレイを選択し、若しくは交換する態様も可能である。なお、本例では、記録媒体124として、枚葉紙(カット紙)を用いるが、連続用紙(ロール紙)から必要なサイズに切断して給紙する構成も可能である。
(処理液付与部)
処理液付与部114は、記録媒体124の記録面に処理液を付与する機構である。処理液は、描画部116で付与されるインク中の色材(本例では顔料)を凝集させる色材凝集剤を含んでおり、この処理液とインクとが接触することによって、インクは色材と溶媒との分離が促進される。
処理液付与部114は、給紙胴152、処理液ドラム(「プレコート胴」とも言う)154、及び処理液塗布装置156を備えている。処理液ドラム154は、記録媒体124を保持し、回転搬送させるドラムである。処理液ドラム154は、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)155を備え、この保持手段155の爪と処理液ドラム154の周面の間に記録媒体124を挟み込むことによって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。処理液ドラム154は、その外周面に吸引孔を設けるとともに、吸引孔から吸引を行う吸引手段を接続してもよい。これにより記録媒体124を処理液ドラム154の周面に密着保持することができる。
処理液ドラム154の外側には、その周面に対向して処理液塗布装置156が設けられる。処理液塗布装置156は、処理液が貯留された処理液容器と、この処理液容器の処理液に一部が浸漬されたアニックスローラと、アニックスローラと処理液ドラム154上の記録媒体124に圧接されて計量後の処理液を記録媒体124に転移するゴムローラとで構成される。この処理液塗布装置156によれば、処理液を計量しながら記録媒体124に塗布することができる。
本実施形態では、ローラによる塗布方式を適用した構成を例示したが、これに限定されず、例えば、スプレー方式、インクジェット方式などの各種方式を適用することも可能である。
処理液付与部114で処理液が付与された記録媒体124は、処理液ドラム154から中間搬送部126を介して描画部116の描画ドラム170へ受け渡される。
(描画部)
描画部116は、描画ドラム(「描画胴」或いは「ジェッティング胴」とも言う)170、用紙抑えローラ174、及びインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yを備えている。描画ドラム170は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)171を備える。描画ドラム170に固定された記録媒体124は、記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面にインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yからインクが付与される。
インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yはそれぞれ、記録媒体124における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有するフルライン型のインクジェット方式の記録ヘッド(インクジェットヘッド)であり、そのインク吐出面には、画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルが複数配列されたノズル列(2次元配列ノズル)が形成されている。各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yは、記録媒体124の搬送方向(描画ドラム170の回転方向)と直交する方向に延在するように設置される。
描画ドラム170上に密着保持された記録媒体124の記録面に向かって各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yから、対応する色インクの液滴が吐出されることにより、処理液付与部114で予め記録面に付与された処理液にインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料)が凝集され、色材凝集体が形成される。これにより、記録媒体124上での色材流れなどが防止され、記録媒体124の記録面に画像が形成される。
なお、本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組合せについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
描画部116で画像が形成された記録媒体124は、描画ドラム170から中間搬送部128を介して乾燥部118の乾燥ドラム176へ受け渡される。
(乾燥部)
乾燥部118は、色材凝集作用により分離された溶媒に含まれる水分を乾燥させる機構であり、図9に示すように、乾燥ドラム(「乾燥胴」とも言う)176、及び溶媒乾燥装置178を備えている。乾燥ドラム176は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)177を備え、この保持手段177によって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。
溶媒乾燥装置178は、乾燥ドラム176の外周面に対向する位置に配置され、複数のハロゲンヒータ180と、各ハロゲンヒータ180の間にそれぞれ配置された温風噴出しノズル182とで構成される。
各温風噴出しノズル182から記録媒体124に向けて吹き付けられる温風の温度と風量、各ハロゲンヒータ180の温度を適宜調節することにより、様々な乾燥条件を実現することができる。
また、乾燥ドラム176の表面温度は50℃以上に設定されている。記録媒体124の裏面から加熱を行うことによって乾燥が促進され、定着時における画像破壊を防止することができる。なお、乾燥ドラム176の表面温度の上限については、特に限定されるものではないが、乾燥ドラム176の表面に付着したインクをクリーニングするなどのメンテナンス作業の安全性(高温による火傷防止)の観点から75度以下(より好ましくは60℃以下)に設定されることが好ましい。
乾燥ドラム176の外周面に、記録媒体124の記録面が外側を向くように(即ち、記録媒体124の記録面が凸側となるように湾曲させた状態で)記録媒体124を保持し、回転搬送しながら乾燥することで、記録媒体124のシワや浮きの発生を防止でき、これらに起因する乾燥ムラを確実に防止することができる。
乾燥部118で乾燥処理が行われた記録媒体124は、乾燥ドラム176から中間搬送部130を介して定着部120の定着ドラム184へ受け渡される。
(定着部)
定着部120は、定着ドラム(「定着胴」とも言う)184、ハロゲンヒータ186、定着ローラ188、及びインラインセンサ190で構成される。定着ドラム184は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)185を備え、この保持手段185によって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。
定着ドラム184の回転により、記録媒体124は記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して、ハロゲンヒータ186による予備加熱と、定着ローラ188による定着処理と、インラインセンサ190による検査が行われる。
ハロゲンヒータ186は、所定の温度(例えば、180℃)に制御される。これにより、記録媒体124の予備加熱が行われる。
定着ローラ188は、乾燥させたインクを加熱加圧することによってインク中の自己分散性ポリマー微粒子を溶着し、インクを被膜化させるためのローラ部材であり、記録媒体124を加熱加圧するように構成される。具体的には、定着ローラ188は、定着ドラム184に対して圧接するように配置されており、定着ドラム184との間でニップローラを構成するようになっている。これにより、記録媒体124は、定着ローラ188と定着ドラム184との間に挟まれ、所定のニップ圧(例えば、0.15MPa)でニップされ、定着処理が行われる。
また、定着ローラ188は、熱伝導性の良いアルミなどの金属パイプ内にハロゲンランプを組み込んだ加熱ローラによって構成され、所定の温度(例えば60〜80℃)に制御される。この加熱ローラで記録媒体124を加熱することによって、インクに含まれるラテックスのTg温度(ガラス転移点温度)以上の熱エネルギーが付与され、ラテックス粒子が溶融される。これにより、記録媒体124の凹凸に押し込み定着が行われるとともに、画像表面の凹凸がレベリングされ、光沢性が得られる。
なお、図9の実施形態では、定着ローラ188を1つだけ設けた構成となっているが、画像層厚みやラテックス粒子のTg特性に応じて、複数段設けた構成でもよい。
一方、インラインセンサ190は、記録媒体124に記録された画像(テストパターンなども含む)について、吐出不良チェックパターンや画像の濃度、画像の欠陥などを計測するための計測手段であり、CCDラインセンサなどが適用される。
上記の如く構成された定着部120によれば、乾燥部118で形成された薄層の画像層内のラテックス粒子が定着ローラ188によって加熱加圧されて溶融されるので、記録媒体124に固定定着させることができる。また、定着ドラム184の表面温度は50℃以上に設定されている。定着ドラム184の外周面に保持された記録媒体124を裏面から加熱することによって乾燥が促進され、定着時における画像破壊を防止することができるとともに、画像温度の昇温効果によって画像強度を高めることができる。
なお、高沸点溶媒及びポリマー微粒子(熱可塑性樹脂粒子)を含んだインクに代えて、UV露光にて重合硬化可能なモノマー成分を含有していてもよい。この場合、インクジェット描画装置100は、ヒートローラによる熱圧定着部(定着ローラ188)の代わりに、記録媒体124上のインクにUV光を露光するUV露光部を備える。このように、UV硬化性樹脂などの活性光線硬化性樹脂を含んだインクを用いる場合には、加熱定着の定着ローラ188に代えて、UVランプや紫外線LD(レーザダイオード)アレイなど、活性光線を照射する手段が設けられる。
(排紙部)
図9に示すように、定着部120に続いて排紙部122が設けられている。排紙部122は、排出トレイ192を備えており、この排出トレイ192と定着部120の定着ドラム184との間に、これらに対接するように渡し胴194、搬送ベルト196、張架ローラ198が設けられている。記録媒体124は、渡し胴194により搬送ベルト196に送られ、排出トレイ192に排出される。搬送ベルト196による用紙搬送機構の詳細は図示しないが、印刷後の記録媒体124は無端状の搬送ベルト196間に渡されたバー(不図示)のグリッパーによって用紙先端部が保持され、搬送ベルト196の回転によって排出トレイ192の上方に運ばれてくる。
また、図9には示されていないが、本例のインクジェット描画装置100には、上記構成の他、各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yにインクを供給するインク貯蔵/装填部、処理液付与部114に対して処理液を供給する手段を備えるとともに、各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yのクリーニング(ノズル面のワイピング、パージ、ノズル吸引等)を行うヘッドメンテナンス部や、用紙搬送路上における記録媒体124の位置を検出する位置検出センサ、装置各部の温度を検出する温度センサなどを備えている。
<ドラム(胴)の回転駆動機構について>
図10に示したようにインクジェット描画装置100には、動力源としてのモータ(「動力発生手段」に相当、以下「ドラム回転用モータ」という。)202が設けられている。該ドラム回転用モータ202の動力はタイミングベルト(無端状の歯付きベルト)204を介してプーリ206に伝えられる。プーリ206には歯車208が同軸で一体に連結されおり、プーリ206と共に歯車208が回転する。この歯車208と噛合する歯車210が図10上で歯車208の左上に設けられており、該歯車210はプレコート部(処理液付与部114)における処理液ドラム154の端部に直結された歯車(ギア)214と噛合している。処理液ドラム154の歯車214は、中間搬送部126を構成する渡し胴の端部に設けられた歯車216と噛み合い、この歯車216は描画部116における描画ドラム170の端部に設けられた歯車220と噛み合っている。以下、歯車220は中間搬送部128を構成する渡し胴の歯車222と噛み合い、更に、乾燥ドラム176の歯車224、中間搬送部130の渡し胴の歯車226、定着ドラム184の歯車228の順に順次噛合している。
各歯車214〜228がドラム回転用歯車となっており、これらが連接された構造となっている。ドラム回転用モータ202の動力がタイミングベルト204、プーリ206、歯車208、210を介して各歯車214〜228に伝達され、これら歯車214〜228の連動によって全てのドラム(154,170,176,184)及び中間搬送部(126,128,130)の渡し胴を回転させる。本例の場合、各ドラム(154,170,176,184)及び渡し胴の直径と歯車214〜228の直径(ピッチ円の直径)は一致しており、処理液ドラム154が1回転すると、描画ドラム170、乾燥ドラム176、定着ドラム184も1回転する。
図11は、描画ドラム170を回転させるドラム回転用歯車部分の拡大図である。図示のように、動力伝達部材の歯車として、はすば歯車が用いられている。歯車としては、平歯車を用いることも可能であるが、滑らかな動力伝達を行うためには、はすば歯車(図参照)や、やまば歯車(図示せず)を採用することが好ましい。はすば歯車は、歯部が斜めに形成されており、滑らかな動力伝達を実現できる。やまば歯車は、はすば歯車と比較してスラスト方向の力を低減できる利点があるが、はすば歯車よりも高コストである。したがって、本例では、滑らかな動力伝達と低コストを両立させる観点からはすば歯車が採用されている。はすば歯車は、平歯車と比較してx方向の振動が発生し易いこともあり、x方向の相対振動に起因する振動ムラを抑制する技術としての本発明の適用が効果的である。
図9〜図11に示したドラム回転用モータ202及びその動力伝達機構と、インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yのノズル配列との関係について、関係式1、関係式2、又は関係式3を満たすように構成されている。
<モータ−ドラム間の動力伝達機構の減速比Rと用紙上の振動周期Pvについて>
本インクジェット描画装置100におけるドラム回転用モータ202からドラム(154,170,176,184)への減速比Rは、以下の様に算出される。
図12に示すように、ドラム回転用モータ202の軸端に固設されたプーリ203の直径をDm、タイミングベルト204で駆動されるプーリ206の直径をDp、プーリ206と同軸の一体で回転する歯車208の直径をDg1、歯車208と噛合する歯車210の直径は歯車208の直径(Dg1)と等しく、ドラム154に直結した歯車214の直径をDg2、ドラム154の直径をDdrとすると、減速比Rは、次式(式6)である。
[数6] R=(Dm/Dp)・(Dg1/Dg2)…(式6)
そして、(式6)と(式1)で決まる用紙上の振動周期Pvは次式の通りである。
[数7]Pv=π・Ddr・(Dm/Dp)・(Dg1/Dg2)/Nm…(式7)
この(式7)で表された振動周期Pvが(関係式1)OSy≒k・Pv (k:自然数)の関係を満たす様に、減速比Rとノズルレイアウトが設定される。すなわち、減速比を含めたモータ回転数とyオフセット隣接ノズル対のオフセット量の関係を関係式1,2又は3にしたがって定める。
<モータの回転ムラの次数Nmについて>
図13はモータの回転ムラの次数Nmと振動周期Pvの関係を模式的に示した説明図である。モータ1回転で1回発生する基本周期(次数Nm=1)の回転ムラに対応する用紙上での周期をPv1とすると、次数Nm=2の回転ムラに対応する用紙上の周期Pv2はPv1の1/2であり(Pv2=Pv1/2)、次数Nm=3の回転ムラに対応する用紙上の周期Pv3はPv1の1/3である(Pv3=Pv1/3)。
既述した関係式1によれば、モータ1回転で1回発生する基本周期(次数Nm=1)の回転ムラの用紙上での周期Pv1をyオフセット隣接ノズル対のオフセット量OSyの自然数k倍となるように設定すると(ここではk=1を図示)、yオフセット隣接ノズル対のラスター間隔変動が抑制され振動ムラを低減できる。
このとき、次数Nm=2や次数Nm=3などの高次の回転ムラについても、図示のように、OSyが振動周期Pv2=(Pv1)/2、Pv3=(Pv1)/3のそれぞれ自然数倍となる。このため、高周波の回転ムラについても振動ムラが低減される。
すなわち、モータで発生する回転ムラの高調波の次数については、Nm=1で(関係式1)を満足すれば、Nm=2,3,・・・でも満足するので望ましい。しかし、例えば、Nm=1の回転ムラについては無視できる程度に小さく、Nm=2の回転ムラが比較的大きく、描画品質上問題になる場合には、Nm=2で、(関係式1)を満足させる様にしてもよい。
<噛み合い伝動機構の変形例>
図9〜図10で説明した歯車伝動機構に代えて、図14のように歯付きベルト(タイミングベルト)230を用いてドラムを回転させる構成も可能である。図14では、中間搬送部126の渡し胴236と描画ドラム170について例示するが、他のドラムについても同様に適用できる。図14のように、渡し胴236の軸に直結された歯車(プーリ)237と描画ドラム170の軸に直結された歯車(プーリ)240の間に、無端状の歯付きベルト230が巻き掛けられた構成によって、動力を伝達してもよい。
<インクジェットヘッドの構成例>
次に、インクジェットヘッドの構造について説明する。各色に対応するインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号250によってヘッドを示すものとする。
図15(a) はヘッド250の構造例を示す平面透視図であり、図15(b) はその一部の拡大図である。また、図16はヘッド250の他の構造例を示す平面透視図、図17は記録素子単位となる1チャンネル分の液滴吐出素子(1つのノズル251に対応したインク室ユニット)の立体的構成を示す断面図(図15中のA−A線に沿う断面図)である。
図15に示したように、本例のヘッド250は、インク吐出口であるノズル251と、各ノズル251に対応する圧力室252等からなる複数のインク室ユニット(液滴吐出素子)253をマトリクス状に2次元配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影(正射影)される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
記録媒体124の送り方向(矢印S方向;「第1方向」に相当)と略直交する方向(矢印M方向;「第2方向」に相当)に記録媒体124の描画領域の全幅Wmに対応する長さ以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図15(a) の構成に代えて、図16(a)に示すように、複数のノズル251が2次元に配列された短尺のヘッドモジュール250’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録媒体124の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成する態様や、図16(b)に示すように、ヘッドモジュール250”を一列に並べて繋ぎ合わせる態様もある。
なお、記録媒体124の全面を描画範囲とする場合に限らず、記録媒体124の面上の一部が描画領域となっている場合(例えば、用紙の周囲に非描画領域(余白部)を設ける場合など)には、所定の描画領域内の描画に必要なノズル列が形成されていればよい。
各ノズル251に対応して設けられている圧力室252は、その平面形状が概略正方形となっており(図15(a)、(b) 参照)、対角線上の両隅部の一方にノズル251への流出口が設けられ、他方に供給インクの流入口(供給口)254が設けられている。なお、圧力室252の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
図17に示すように、ヘッド250は、ノズル251が形成されたノズルプレート251Aと圧力室252や共通流路255等の流路が形成された流路板252P等を積層接合した構造から成る。ノズルプレート251Aは、ヘッド250のノズル面(インク吐出面)250Aを構成し、各圧力室252にそれぞれ連通する複数のノズル251が2次元的に形成されている。
流路板252Pは、圧力室252の側壁部を構成するとともに、共通流路255から圧力室252にインクを導く個別供給路の絞り部(最狭窄部)としての供給口254を形成する流路形成部材である。なお、説明の便宜上、図17では簡略的に図示しているが、流路板252Pは一枚又は複数の基板を積層した構造である。
ノズルプレート251A及び流路板252Pは、シリコンを材料として半導体製造プロセスによって所要の形状に加工することが可能である。
共通流路255はインク供給源たるインクタンク(不図示)と連通しており、インクタンクから供給されるインクは共通流路255を介して各圧力室252に供給される。
圧力室252の一部の面(図17において天面)を構成する振動板256には、個別電極257を備えたピエゾアクチュエータ258が接合されている。本例の振動板256は、ピエゾアクチュエータ258の下部電極に相当する共通電極259として機能するニッケル(Ni)導電層付きのシリコン(Si)から成り、各圧力室252に対応して配置されるピエゾアクチュエータ258の共通電極を兼ねる。なお、樹脂などの非導電性材料によって振動板を形成する態様も可能であり、この場合は、振動板部材の表面に金属などの導電材料による共通電極層が形成される。また、ステンレス鋼(SUS)など、金属(導電性材料)によって共通電極を兼ねる振動板を構成してもよい。
個別電極257に駆動電圧を印加することによってピエゾアクチュエータ258が変形して圧力室252の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル251からインクが吐出される。インク吐出後、ピエゾアクチュエータ258が元の状態に戻る際、共通流路255から供給口254を通って新しいインクが圧力室252に再充填される。
かかる構造を有するインク室ユニット253を図15(b)に示す如く、主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向に沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。かかるマトリクス配列において、副走査方向の隣接ノズル間隔をLsとするとき、主走査方向については実質的に各ノズル251が一定のピッチP=Ls/tanθで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。
また、本発明の実施に際してヘッド250におけるノズル251の配列形態は図示の例に限定されず、様々なノズル配置構造を適用できる。例えば、図15で説明したマトリクス配列に代えて、V字状のノズル配列、V字状配列を繰り返し単位とするジグザク状(W字状など)のような折れ線状のノズル配列なども可能である。
なお、インクジェットヘッドにおける各ノズルから液滴を吐出させるための吐出用の圧力(吐出エネルギー)を発生させる手段は、ピエゾアクチュエータ(圧電素子)に限らず、サーマル方式(ヒータの加熱による膜沸騰の圧力を利用してインクを吐出させる方式)におけるヒータ(加熱素子)や他の方式による各種アクチュエータなど様々な圧力発生素子(エネルギー発生素子)を適用し得る。ヘッドの吐出方式に応じて、相応のエネルギー発生素子が流路構造体に設けられる。
<制御系の説明>
図18は、インクジェット描画装置100のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット描画装置100は、通信インターフェース270、システムコントローラ272、メモリ274、モータドライバ276、ヒータドライバ278、プリント制御部280、画像バッファメモリ282、ヘッドドライバ284等を備えている。
通信インターフェース270は、ホストコンピュータ286から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース270にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ286から送出された画像データは通信インターフェース270を介してインクジェット描画装置100に取り込まれ、一旦メモリ274に記憶される。
メモリ274は、通信インターフェース270を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ272を通じてデータの読み書きが行われる。メモリ274は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ272は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット描画装置100の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システムコントローラ272は、通信インターフェース270、メモリ274、モータドライバ276、ヒータドライバ278等の各部を制御し、ホストコンピュータ286との間の通信制御、メモリ274の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ288(図10で説明したドラム回転用モータ202を含む)やヒータ289を制御する制御信号を生成する。
ROM290には各種制御プログラムや各種のパラメータ等が格納されており、システムコントローラ272の指令に応じて、制御プログラムが読み出され、実行される。
メモリ274は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
モータドライバ276は、システムコントローラ272からの指示にしたがってモータ288を駆動するドライバである。図18では、装置内の各部に配置される様々なモータを代表して符号288で図示している。
ヒータドライバ278は、システムコントローラ272からの指示にしたがって、ヒータ289を駆動するドライバである。図18では、装置内の各部に配置される様々なヒータを代表して符号289で図示している。
プリント制御部280は、システムコントローラ272の制御に従い、メモリ274内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドット画像データ)をヘッドドライバ284に供給する制御部である。
ドット画像データは、一般に多階調の画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行って生成される。色変換処理は、sRGBなどで表現された画像データ(たとえば、RGB各色について8ビットの画像データ)をインクジェット描画装置100で使用するインクの各色の色データ(本例では、KCMYの色データ)に変換する処理である。
ハーフトーン処理は、色変換処理により生成された各色の色データに対して誤差拡散法や閾値マトリクス等の処理で各色のドットデータ(本例では、KCMYのドットデータ)に変換する処理である。
プリント制御部280において所要の信号処理が施され、得られたドットデータに基づいて、ヘッドドライバ284を介してヘッド250のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
プリント制御部280には画像バッファメモリ282が備えられており、プリント制御部280における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ282に一時的に格納される。また、プリント制御部280とシステムコントローラ272とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
ヘッドドライバ284には、ヘッド250の駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
本例に示すインクジェット描画装置100は、ヘッド250の各ピエゾアクチュエータ258に対して、共通の駆動電力波形信号を印加し、各ピエゾアクチュエータ258の吐出タイミングに応じて各ピエゾアクチュエータ258の個別電極に接続されたスイッチ素子(不図示)のオンオフを切り換えることで、各ピエゾアクチュエータ258に対応するノズル251からインクを吐出させる駆動方式が採用されている。
<複数のヘッドモジュールを繋ぎ合わせたヘッドバーの形態について>
図16(a)に例示したように、二次元配列ノズルを有する複数のヘッドモジュールを千鳥配列で並べて一つの長尺ヘッドを構成した場合、同一のヘッドモジュール内におけるyオフセット隣接ノズル対のみならず、異なるヘッドモジュール間にまたがるyオフセッット隣接ノズル対についても同様に振動ムラの課題があり、同様の手段で解決できる。
図19に千鳥配列ヘッドの模式図を示す。図19では、3つのヘッドモジュール351、352、353を千鳥配列で並べた例を示した。各ヘッドモジュール351、352、353内においてyオフセット隣接ノズル対のオフセット量の最大値をOSy1とする。ここでは、モジュール内の1行目(最下行)のノズル361_i(ただし、i=1,2,3)と、4行目(最上行)のノズル364_iのy方向オフセット隣接ノズル対のオフセット量がOSy1となる。
また、y方向に離れて配置された異なるヘッドモジュール351,352にまたがるyオフセット隣接ノズル対(ノズル364_1とノズル361_2)のオフセット量をOSy2とし、ヘッドモジュール352,353にまたがるyオフセット隣接ノズル対(ノズル364_2とノズル361_3)のオフセット量をOSy3とした。
OSy1について、関係式1、関係式2又は関係式3を満たすように設計され、OSy2、OSy3については、それぞれOSy1の整数倍となるように設計される。このような構成により、OSy1、OSy2、OSy3のすべてについても関係式1、関係式2又は関係式3を満たすことになる。図19では、OSy2=3×OSy1、OSy3=OSy1の例を示したが、本発明の実施に際して、倍率の数値は特に限定されない。なお、OSy2とOSy3が「OSy_B」に相当する。
このような構成により、ヘッドモジュール間にまたがるyオフセット隣接ノズル対の振動ムラも抑制することができる。なお、ヘッドモジュールの配列形態は、千鳥配列に限定されず、y方向に位置を異ならせてモジュールを配置する形態について上記同様の手段を適用することができる。
図19の例では、OSy1、OSy2、OSy3のすべてについて、関係式1、関係式2又は関係式3を満たす例を述べたが、ヘッドモジュール内のyオフセット隣接ノズル対のオフセット量(OSy1)が小さい場合には、ヘッドモジュール間のオフセット量(OSy2、OSy3)のみについて、関係式1、関係式2、又は関係式3を満たせばよい。
<設計方法としての発明態様>
上述の知見から、インクジェット描画装置を製作するにあたり、関係式1,関係式2又は関係式3を満たすように、ノズル配列と噛み合い伝動機構を設計することが有益である。例えば、ノズル配列におけるyオフセット隣接ノズル対のオフセット量の寸法を設計するに際して、モータの回転ムラ特性(次数Nm)と動力伝達機構の減速比から適切なオフセット量を決定する。或いは、逆に、ノズル配列がすでに設計済みの場合に、当該ノズル配列との関係で適切なモータ及び動力伝達機構の組み合わせを決定する。このように、ノズル配列とモータ動力伝動系との関係を考慮した設計を行うことにより、振動ムラを低減したインクジェット描画装置を製造することが可能である。
<インクジェット描画装置の描画品質を改善する方法としての発明態様>
また、上述した関係式1,関係式2又は関係式3を満たすことで振動ムラを抑制するという技術によれば、既に設計済みのインクジェットヘッド、或いは製造済みのインクジェットヘッドについて設計変更等をせずに、動力伝達系の設計変更や部品の変更によって、描画品質を良化することができる。
これは、関係式1,関係式2又は関係式3を考慮せずに製作されたインクジェット描画装置に対して、かかる関係を考慮した動力伝達機構(減速系を含む)に変更することで、描画性能を飛躍的に向上させることができるという修理・改良技術として活用できる。
具体的には、モータの回転ムラに対応した用紙上の振動周期Pvの情報を取得する第1ステップと、二次元配列ノズルにおけるyオフセット隣接ノズル対のオフセット量OSyの情報を取得する第2ステップと、これらステップで得られたPv、OSyの情報から、OSy≒k×Pv(ただし、kは自然数)の関係を満たすように、動力伝達機構の減速比を変更する第3ステップと、を経て、減速比を含めたモータ回転数の最適化を図り、描画品質を改善する。
<変形例1>
本発明の実施に際して、モータの動力を伝達する機構は、図10〜図12で説明した部品構成(タイミングベルト204、プーリ203,206、歯車208,210,214等)に限らず、様々な形態が可能である。
<変形例2>
上述の実施形態ではドラム回転方式を例に説明したが、用紙とヘッドを相対走査させる構成はこれに限定されない。例えば、平板状のステージに用紙を固定し、ステージをy方向に搬送する形態も可能である。この場合、ステージを移動させる手段として、例えば、ステージに直線状のギヤ歯(ラック)が設けられ、これに噛合する歯車(ピニオン)を回転させて、ステージを駆動する態様を採用できる。また、このようなラックアンドピニオン方式に代えて、ボールねじを利用し、ボールねじを回転させてステージをボールねじの軸方向に移動させる構成を採用してもよい。このような搬送方式についても、同様の課題があり、同様の手段で解決できる。
<変形例3>
上述の実施形態では、停止したヘッドに対して記録媒体を搬送する構成を例示したが、本発明の実施に際しては、停止した記録媒体(被描画媒体)に対してヘッドを移動させる構成も可能である。また、ヘッド及び記録媒体(被描画媒体)の両者を移動させることにより描画する方式を採用すること可能である。これらいずれの構成であっても、同様の課題があり、同様の手段で解決できる。
<被描画媒体について>
本発明の実施に際して、被描画媒体の材質や形状等は、特に限定されず、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フイルム、布、配線パターン等が形成されるプリント基板、ゴムシート、その他材質や形状を問わず、様々な媒体に適用できる。
<本発明の応用例について>
上記の実施形態では、グラフィック印刷用のインクジェッット記録装置への適用を例に説明したが、本発明の適用範囲はこの例に限定されない。例えば、電子回路の配線パターンを描画する配線描画装置、各種デバイスの製造装置、吐出用の機能性液体として樹脂液を用いるレジスト印刷装置、カラーフィルター製造装置、マテリアルデポジション用の材料を用いて微細構造物を形成する微細構造物形成装置など、液状機能性材料を用いて様々な形状やパターンを得るインクジェットシステムにも広く適用できる。
100…インクジェット描画装置、124…記録媒体、170…描画ドラム、172M,172K,172C,172Y…インクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)、202…ドラム回転用モータ、204…タイミングベルト(歯付きベルト)、206…プーリ、208,210…歯車、214,216,220,22,224,226,228…歯車、250…インクジェットヘッド、250’,250”…ヘッドモジュール、251…ノズル、351,352,353…ヘッドモジュール

Claims (10)

  1. 複数のノズルが二次元配列された吐出面を有する液体吐出ヘッドと、
    前記ノズルから吐出させた液を付着させる被描画媒体及び前記液体吐出ヘッドのうち少なくとも一方を搬送することにより前記被描画媒体と前記液体吐出ヘッドを第1方向に相対移動させる走査手段と、
    前記走査手段を駆動する動力源としてのモータと、
    前記モータの動力を前記走査手段に伝達する動力伝達機構と、を備え、
    前記モータの回転に伴い1回転にNm回(ただし、Nmは自然数)の回転ムラが発生し得るときに、当該モータの1/Nm回転に対応する前記被描画媒体上における前記第1方向の前記相対移動の移動量を表す空間的周期をPv、前記二次元配列された前記複数のノズルのうち、前記被描画媒体上で前記第1方向と直交する第2方向に隣接するドットを形成するノズル対の前記第1方向のオフセット距離をOSyとするとき、
    OSy≒k×Pv(ただし、kは自然数)の関係を満たすことを特徴とするインクジェット描画装置。
  2. 請求項1において、
    |sin(π・OSy/Pv)|≦1/4
    の関係を満たすことを特徴とするインクジェット描画装置。
  3. 請求項1又は2において、
    前記二次元配列のノズル群は、前記オフセット距離が異なる前記ノズル対を含んでおり、これら異なるオフセット距離のうちの最大値を前記OSyとして前記関係を満たすことを特徴とするインクジェット描画装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項において、
    前記液体吐出ヘッドは、複数のノズルが二次元配列された吐出面を有するヘッドモジュールが複数個繋ぎ合わされて構成されており、
    異なるヘッドモジュール間にまたがる前記ノズル対の前記オフセット距離をOSy_Bとするとき、
    OSy_Bを前記OSyとして前記関係を満たすことを特徴とするインクジェット描画装置。
  5. 請求項4において、
    前記液体吐出ヘッドは、前記複数個のヘッドモジュールが千鳥配列で配置されていることを特徴とするインクジェット描画装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項において、
    前記走査手段として、前記被描画媒体を搬送する媒体搬送手段を備え、
    前記媒体搬送手段は、ドラムの円柱表面に前記被描画媒体を保持して当該ドラムを回転させるドラム回転方式の構成であることを特徴とするインクジェット描画装置。
  7. 請求項6において、
    前記ドラムの直径をDdr、前記動力伝達機構の減速比をRとするとき、
    前記モータの回転に伴って前記被描画媒体上に現れる振動の周期を示す前記Pvは、
    Pv=π・Ddr・R/Nm
    と表されることを特徴とするインクジェット描画装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項において、
    前記走査手段によって前記被描画媒体と前記液体吐出ヘッドとを前記1方向へ1回だけ相対移動させて前記被描画媒体上に画像を形成するシングルパス方式の描画が行われることを特徴とするインクジェット描画装置。
  9. 複数のノズルが二次元配列された吐出面を有する液体吐出ヘッドと、前記ノズルから吐出させた液を付着させる被描画媒体及び前記液体吐出ヘッドのうち少なくとも一方を搬送することにより前記被描画媒体と前記液体吐出ヘッドを第1方向に相対移動させる走査手段と、前記走査手段を駆動する動力源としてのモータと、前記モータの動力を前記走査手段に伝達する動力伝達機構と、を備えるインクジェット描画装置を設計する方法であって、
    前記モータの回転に伴い1回転にNm(ただし、Nmは自然数)回の回転ムラが発生し得るときに、当該モータの1/Nm回転に対応する前記被描画媒体上における前記第1方向の前記相対移動の移動量を表す空間的周期をPv、前記二次元配列された前記複数のノズルのうち、前記被描画媒体上で前記第1方向と直交する第2方向に隣接するドットを形成するノズル対の前記第1方向のオフセット距離をOSyとするとき、
    OSy≒k×Pv(ただし、kは自然数)の関係を満たすように、前記液体吐出ヘッドのノズル配列及び前記動力伝達機構の減速比を決定することを特徴とするインクジェット描画装置の設計方法。
  10. 複数のノズルが二次元配列された吐出面を有する液体吐出ヘッドと、前記ノズルから吐出させた液を付着させる被描画媒体及び前記液体吐出ヘッドのうち少なくとも一方を搬送することにより前記被描画媒体と前記液体吐出ヘッドを第1方向に相対移動させる走査手段と、前記走査手段を駆動する動力源としてのモータと、前記モータの動力を前記走査手段に伝達する動力伝達機構と、を備えるインクジェット描画装置の描画品質を改善する方法であって、
    前記モータの回転に伴い1回転にNm(ただし、Nmは自然数)回の回転ムラが発生し得るときに、当該モータの1/Nm回転に対応する前記被描画媒体上における前記第1方向の前記相対移動の移動量を表す空間的周期の情報を得る第1ステップと、
    前記二次元配列された前記複数のノズルのうち、前記被描画媒体上で前記第1方向と直交する第2方向に隣接するドットを形成するノズル対の前記第1方向のオフセット距離を示す情報を取得する第2ステップと、
    前記第1ステップで得た前記空間的周期をPv、前記第2ステップで得た前記オフセット距離をOSyとするとき、
    OSy≒k×Pv(ただし、kは自然数)の関係を満たすように、前記動力伝達機構の減速比を変更する第3ステップと、
    を含むことを特徴とするインクジェット描画装置の描画品質改善方法。
JP2010075748A 2010-03-29 2010-03-29 インクジェット描画装置及びその設計方法並びに描画品質改善方法 Active JP5393561B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010075748A JP5393561B2 (ja) 2010-03-29 2010-03-29 インクジェット描画装置及びその設計方法並びに描画品質改善方法
US13/073,728 US8622503B2 (en) 2010-03-29 2011-03-28 Inkjet image forming apparatus, method of designing same and method of improving image formation quality

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010075748A JP5393561B2 (ja) 2010-03-29 2010-03-29 インクジェット描画装置及びその設計方法並びに描画品質改善方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2011206991A true JP2011206991A (ja) 2011-10-20
JP2011206991A5 JP2011206991A5 (ja) 2012-08-16
JP5393561B2 JP5393561B2 (ja) 2014-01-22

Family

ID=44655923

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010075748A Active JP5393561B2 (ja) 2010-03-29 2010-03-29 インクジェット描画装置及びその設計方法並びに描画品質改善方法

Country Status (2)

Country Link
US (1) US8622503B2 (ja)
JP (1) JP5393561B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109827536A (zh) * 2019-03-26 2019-05-31 南京达芬奇数字文化有限公司 一种三维扫描装置

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5393562B2 (ja) * 2010-03-29 2014-01-22 富士フイルム株式会社 インクジェット描画装置及びその設計方法並びに描画品質改善方法
JP2015074088A (ja) * 2013-10-04 2015-04-20 株式会社ミマキエンジニアリング インクジェットプリンタ

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005091942A (ja) * 2003-09-18 2005-04-07 Ricoh Co Ltd 転写ユニットおよび画像形成装置
JP2006069123A (ja) * 2004-09-03 2006-03-16 Fuji Photo Film Co Ltd インク吐出方法及びインク吐出装置並びにこれを備えた画像形成装置

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5573560A (en) * 1978-11-29 1980-06-03 Ricoh Co Ltd Multinozzle ink-jet recording device
US5587729A (en) * 1993-05-11 1996-12-24 Hewlett-Packard Company Rotatable service station for ink-jet printer
JPH10235854A (ja) 1997-02-21 1998-09-08 Konica Corp インクジェットプリンタ
JP2001034022A (ja) 1999-07-19 2001-02-09 Canon Inc 画像形成装置
US6755504B2 (en) * 2002-04-26 2004-06-29 Hewlett-Packard Development Company. Lp. Independent wiping of printhead
US7415907B2 (en) 2003-08-04 2008-08-26 Enplas Corporation Resin double helical gear and gear train using same
JP4518371B2 (ja) 2003-08-04 2010-08-04 株式会社エンプラス 一対の樹脂製やまば歯車、ギヤトレイン、及びインクジェットプリンタ
JP2007009969A (ja) 2005-06-29 2007-01-18 Kyocera Mita Corp 電磁クラッチ及びそれを備えた用紙搬送機構
US7530664B2 (en) * 2005-09-29 2009-05-12 Seiko Epson Corporation Maintenance device for liquid-ejecting apparatus and liquid-ejecting apparatus
JP5262550B2 (ja) * 2008-03-03 2013-08-14 セイコーエプソン株式会社 ベルト搬送装置、ベルト搬送制御方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005091942A (ja) * 2003-09-18 2005-04-07 Ricoh Co Ltd 転写ユニットおよび画像形成装置
JP2006069123A (ja) * 2004-09-03 2006-03-16 Fuji Photo Film Co Ltd インク吐出方法及びインク吐出装置並びにこれを備えた画像形成装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109827536A (zh) * 2019-03-26 2019-05-31 南京达芬奇数字文化有限公司 一种三维扫描装置

Also Published As

Publication number Publication date
US20110234697A1 (en) 2011-09-29
US8622503B2 (en) 2014-01-07
JP5393561B2 (ja) 2014-01-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5189664B2 (ja) 画像処理装置及び方法、並びに画像形成装置
JP5473704B2 (ja) テストパターン印刷方法及びインクジェット記録装置
JP5158992B2 (ja) 不良記録素子の検出装置及び方法、画像形成装置
US8613489B2 (en) Inkjet ejection apparatus, inkjet ejection method, and inkjet recording apparatus
JP7216185B2 (ja) 画像処理方法及び装置、プログラム並びに画像形成装置
JP5436382B2 (ja) 画像形成装置
JP2013169760A (ja) インクジェット記録装置及びその画像記録方法
JP5952704B2 (ja) ヘッド駆動方法、ヘッド駆動装置およびインクジェット記録装置
JP5393561B2 (ja) インクジェット描画装置及びその設計方法並びに描画品質改善方法
JP5393560B2 (ja) インクジェット描画装置及びその設計方法並びに描画品質改善方法
JP5354801B2 (ja) ヘッド制御装置及びインクジェット記録装置
JP2012035573A (ja) 液体吐出ヘッド、画像記録装置及び方法
JP6461839B2 (ja) 記録ヘッド調整方法及び画像形成装置
JP2011183550A (ja) インクジェット噴射装置及びインクジェット噴射方法並びにインクジェット記録装置
JP5393562B2 (ja) インクジェット描画装置及びその設計方法並びに描画品質改善方法
JP6878157B2 (ja) 液滴吐出ヘッドの製造方法、画像形成装置の製造方法、液滴吐出ヘッド及び画像形成装置
JP2011168023A (ja) 記録ヘッド調整方法及び画像記録装置
JP5714423B2 (ja) インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
JP5705586B2 (ja) 画像処理装置及び方法、ならびに画像形成装置
JP5313182B2 (ja) 画像形成装置及び方法
JP2012139987A (ja) 液体吐出ヘッド及び画像記録装置
JP2010234551A (ja) 画像形成装置
JP5714424B2 (ja) インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
JP5649460B2 (ja) 記録ヘッド、画像形成装置及び液体吐出装置
JP5263176B2 (ja) 制御装置及びコンピュータプログラム

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120628

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120628

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130604

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130621

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130815

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131010

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131015

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5393561

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250