JP2011183550A - インクジェット噴射装置及びインクジェット噴射方法並びにインクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の波形要素の中から所望のドットサイズに応じて波形要素を選択するインクジェットヘッドの駆動において、あらゆるドットサイズについて安定した噴射動作を実現する。
【解決手段】記録媒体へ液滴を噴射するノズルと、前記ノズルと連通する液室と、圧電アクチュエータと、を備えたインクジェットヘッドと、少なくとも2種類のサイズのドットを選択的に形成するように前記ヘッドを駆動する駆動手段と、前記ノズルから液滴を噴射させるための複数の噴射波形102と、液滴を噴射させずにメニスカスの振動を抑制するための非噴射波形104と、を1噴射周期内に含む基準駆動波形の生成手段と、前記記録媒体に形成すべきドットのサイズデータに応じた波形を選択する波形選択手段と、前記選択された波形が含まれる駆動信号を生成する駆動信号生成手段とを備え、前記複数の噴射波形のうち、少なくとも1つは非噴射波形としても用いられる兼用波形である。
【選択図】図3
【解決手段】記録媒体へ液滴を噴射するノズルと、前記ノズルと連通する液室と、圧電アクチュエータと、を備えたインクジェットヘッドと、少なくとも2種類のサイズのドットを選択的に形成するように前記ヘッドを駆動する駆動手段と、前記ノズルから液滴を噴射させるための複数の噴射波形102と、液滴を噴射させずにメニスカスの振動を抑制するための非噴射波形104と、を1噴射周期内に含む基準駆動波形の生成手段と、前記記録媒体に形成すべきドットのサイズデータに応じた波形を選択する波形選択手段と、前記選択された波形が含まれる駆動信号を生成する駆動信号生成手段とを備え、前記複数の噴射波形のうち、少なくとも1つは非噴射波形としても用いられる兼用波形である。
【選択図】図3
Description
本発明はインクジェット噴射装置及びインクジェット噴射方法並びにインクジェット記録装置に係り、特に複数のサイズのドットを形成する際のインクジェット噴射技術に関する。
インクジェット方式を用いて記録媒体上に所望の画像を形成するインクジェット記録装置において、複数のサイズのドットを形成する際に、複数の駆動波形を有する共通駆動波形の中から所望のドットサイズに応じた1つ以上の駆動波形を選択して、圧電素子などの駆動素子を動作させる駆動方式が知られている。
特許文献1は、噴射動作を1回行なわせるための噴射パルスを所定の時間間隔で最大回数分連ねるとともに、最大回数分の最後の噴射パルスからインク室内の圧力波振動を略相殺させることのできる間隔の後に、アクチュエータを駆動してインク室内の圧力波振動を相殺する非噴射パルスを有する基準信号を作り出す生成手段と、1ドットの印字データに対して指示された噴射回数に従って基準信号の不要部分を取り除いてアクチュエータに印加するための印加駆動信号を作り出す修正手段と、を備え、基準信号を構成する噴射パルスを先頭側から順に所定数取り除いて印加駆動信号を作り出すインクジェット噴射装置を開示している。
ドットサイズに応じて噴射パルスの数を制御する噴射を行う場合、1パルス印加時のメニスカスの隆起と、3パルス連射時のメニスカスの隆起とは相違することから、最後の噴射パルスの後に挿入すべき非噴射パルス(メニスカス静定パルス)の最適な形状が異なってくる。
すなわち、1パルス等の比較的少ないパルス数での噴射においては、噴射後のメニスカスの揺れが小さいため、メニスカス静定パルスの電圧も小さくてよい。一方、3パルス連射等の比較的多いパルス数での連続噴射においては、噴射後のメニスカスの揺れが大きいため、メニスカス静定パルスの最適電圧は、1パルスでの噴射と比較して大きくなる。このように、噴射パルスの数に応じて噴射後の静定波形を変えることが望まれる。
しかしながら、特許文献1に開示された噴射技術は、あらゆる噴射パルス数について同一の非噴射パルスが適用される。したがって、少数パルスでの噴射時と多数パルスでの噴射時とでメニスカスの静定具合が異なってしまい、少数パルス噴射時もしくは多数パルス噴射時に、適切な噴射が行えなくなり、吐出曲がり、ノズル抜け等の現象を引き起こす可能性がある。
また、基準信号内にあらゆる噴射パルス数に対応するための多数の非噴射パルスを予め用意しておくことは、基準信号の周期が長くなり、高周波の噴射が行えなくなるという問題点がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、複数の波形要素の中から所望のドットサイズに応じて選択された波形要素を有する駆動信号を用いるインクジェットヘッドの駆動方式において、あらゆるドットサイズについて安定した噴射動作が実現されるインクジェット噴射装置及びインクジェット噴射方法並びにインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載のインクジェット噴射装置は、記録媒体へ液滴を噴射するノズルと、前記ノズルと連通する液室と、所定の駆動信号が供給されると前記液室内の液体を加圧する圧電アクチュエータと、を備えたインクジェットヘッドと、所定の駆動信号を供給して前記インクジェットヘッドを駆動する駆動手段であって、少なくとも2種類のサイズのドットを選択的に形成するように前記インクジェットヘッドを駆動する駆動手段と、前記ノズルから液滴を噴射させるための複数の噴射波形と、前記ノズルから液滴を噴射させずに噴射波形による噴射後のメニスカスの振動を抑制するための非噴射波形と、を1噴射周期内に含む基準駆動波形を生成する波形生成手段と、前記記録媒体に形成すべきドットのサイズデータを取得するデータ取得手段と、前記基準駆動波形から、前記サイズデータに応じた波形を選択する波形選択手段と、前記選択された波形が含まれる駆動信号を生成する駆動信号生成手段とを備え、前記複数の噴射波形のうち、少なくとも1つは非噴射波形としても用いられる兼用波形であることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、ノズルから液滴を噴射させるための複数の噴射波形と、ノズルから液滴を噴射させずに噴射波形による噴射後のメニスカスの振動を抑制するための非噴射波形とを1噴射周期内に含む基準駆動波形において、複数の噴射波形のうち少なくとも1つを非噴射波形としても用いられる兼用波形とし、基準駆動波形からドットのサイズに応じた波形を選択するようにしたので、基準駆動波形の周期を短くすることができるとともに、ドットのサイズに応じた非噴射波形によってメニスカスを静定させることができる。
請求項2に示すように請求項1に記載のインクジェット噴射装置において、前記基準駆動波形は、前記兼用波形の所定の時間間隔の前に第1の噴射波形を有し、前記選択手段により、前記兼用波形とともに前記第1の噴射波形が選択された場合には、前記兼用波形は、前記第1の噴射波形による噴射後のメニスカスの振動を抑制する非噴射波形として動作することを特徴とする。
これにより、兼用波形を非噴射波形としても用いることができる。
請求項3に示すように請求項2に記載のインクジェット噴射装置において、前記第1の噴射波形の始端から前記兼用波形の始端までの時間間隔は、前記インクジェットヘッドの構造から求められるヘルムホルツ周期をTC、nを正の整数としたときに、{TC×(2×n−1)}/2と略同一であることを特徴とする。
これにより、兼用波形を非噴射波形として用いた場合に、第1の噴射波形によるメニスカスの振動を適切に静定することができる。
請求項4に示すように請求項2又は3に記載のインクジェット噴射装置において、前記兼用波形の振幅は、前記第1の噴射波形の振幅の0.1倍〜0.8倍であることを特徴とする。
これにより、兼用波形を非噴射波形として用いた場合に、第1の噴射波形によるメニスカスの振動を適切に静定することができる。
請求項5に示すように請求項1から4のいずれかに記載のインクジェット噴射装置において、前記兼用波形は、前記ノズルから液滴を噴射させない場合には、メニスカスを振動させるための波形として用いられることを特徴とする。
これにより、兼用波形をメニスカス揺らし用波形としても用いることができる。
請求項6に示すように請求項2から5のいずれかに記載のインクジェット噴射装置において、前記基準駆動波形は、前記第1の噴射波形により形成されるドットよりも大きいサイズのドットを形成可能な第2の噴射波形を有し、前記非噴射波形は、前記第2の噴射波形による噴射後のメニスカスの振動を抑制する波形であることを特徴とする。
これにより、少なくとも2種類のサイズのドットを選択的に形成することができ、ドットのサイズに応じた非噴射波形を用いることができる。
請求項7に示すように請求項6に記載のインクジェット噴射装置において、前記非噴射波形の振幅は、前記兼用波形の振幅よりも大きいことを特徴とする。
これにより、メニスカスの振動をその大きさに応じて適切に静定することができる。
請求項8に示すように請求項6又は7に記載のインクジェット噴射装置において、前記第2の噴射波形は、前記兼用波形の所定の時間間隔の後に設けられており、前記波形選択手段により前記兼用波形と前記第2の噴射波形とがともに選択されると、前記第2の噴射波形のみにより形成されるドットよりも大きいサイズのドットを形成可能なことを特徴とする。
これにより、さらにサイズの異なるドットを形成することができる。
請求項9に示すように請求項2から5のいずれかに記載のインクジェット噴射装置において、前記基準駆動波形は、前記兼用波形の所定の時間間隔の後に、前記兼用波形によって吐出される液滴を分断することにより前記ノズルから液滴を噴射させるための分断波形を有し、前記波形選択手段により前記兼用波形とともに前記分断波形が選択された場合に形成されるドットのサイズは、前記第1の噴射波形により形成されるドットよりも小さいことを特徴とする。
これにより、少なくとも2種類のサイズのドットを選択的に形成することができる。
請求項10に示すように請求項9に記載のインクジェット噴射装置において、前記非噴射波形は、前記兼用波形及び前記分断波形による噴射後のメニスカスの振動を抑制する波形であり、前記分断波形の始端から前記非噴射波形の始端までの時間間隔は、前記インクジェットヘッドの構造から求められるヘルムホルツ周期をTC、nを正の整数としたときに、{TC×(2×n−1)}/2と略同一であることを特徴とする。
これにより、兼用波形及び分断波形によるメニスカスの振動を適切に静定することができる。
請求項11に示すように請求項9又は10に記載のインクジェット噴射装置において、前記基準駆動波形は、前記第1の噴射波形の所定の時間間隔の前に第3の噴射波形を有し、前記波形選択手段により前記第1の噴射波形と前記第3の噴射波形とがともに選択されると、前記第1の噴射波形のみにより形成されるドットよりも大きいサイズのドットを形成可能なことを特徴とする。
これにより、さらにサイズの異なるドットを形成することができる。
請求項12に示すように請求項11に記載のインクジェット噴射装置において、前記兼用波形の振幅は、前記非噴射波形の振幅よりも大きいことを特徴とする。
これにより、ドットのサイズに応じた非噴射波形を用いることができる。
前記目的を達成するために請求項13に記載のインクジェット記録装置は、請求項1から12のいずれかに記載のインクジェット噴射装置と、前記記録媒体と前記インクジェットヘッドとを相対的に移動させる移動手段とを備えたことを特徴とする。
前記目的を達成するために請求項14に記載のインクジェット噴射方法は、記録媒体へ液滴を噴射するノズルと、前記ノズルと連通する液室と、所定の駆動信号が供給されると前記液室内の液体を加圧する圧電アクチュエータと、を備えたインクジェットヘッドの噴射方法であって、前記ノズルから液滴を噴射させるための複数の噴射波形と、前記ノズルから液滴を噴射させずに噴射波形による噴射後のメニスカスの振動を抑制するための非噴射波形と、を1噴射周期内に含む基準駆動波形であって、前記複数の噴射波形のうち、少なくとも1つは非噴射波形としても用いられる兼用波形である基準波形を生成し、前記記録媒体に形成すべきドットのサイズデータを取得し、前記基準駆動波形から、前記サイズデータに応じた波形を選択し、前記選択された波形が含まれる駆動信号を生成し、前記生成された駆動信号を前記インクジェットヘッドへ供給して液滴を噴射させることを特徴とする。
本発明によれば、ドットサイズに応じて噴射パルスの数を制御する噴射を行う場合であっても、噴射後のメニスカスの揺れに応じた静定波形を用いて静定させることができる。
また、基準駆動波形に含まれる波形要素の中から液滴噴射に必要な波形要素を抽出する駆動方式が適用され、さらに1つの波形を2つの用途に使い分け可能に構成したので、基準駆動波形に含まれる波形要素の数を減らすことができ、高周波の噴射が可能となる。
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
〔インクジェット噴射装置の説明〕
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット噴射装置のブロック図である。本例に示すインクジェット噴射装置10は、インクジェット方式により滴状の液体(液滴)を噴射させるインクジェットヘッド12と、インクジェットヘッド12に所定の駆動信号を供給して、インクジェットヘッド12を動作させる駆動装置14と、を含んで構成されている。
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット噴射装置のブロック図である。本例に示すインクジェット噴射装置10は、インクジェット方式により滴状の液体(液滴)を噴射させるインクジェットヘッド12と、インクジェットヘッド12に所定の駆動信号を供給して、インクジェットヘッド12を動作させる駆動装置14と、を含んで構成されている。
インクジェットヘッド12は、液滴を噴射させる際の加圧源となる圧電アクチュエータ16が設けられており、駆動装置14から供給される駆動信号に応じて圧電アクチュエータ16が動作して液滴が噴射される圧電方式が適用される。詳細は後述するが(図2参照)、インクジェットヘッド12は、液滴の噴射口となるノズルと、該ノズルと連通し、圧電アクチュエータ16により加圧される圧力室と、該圧力室と連通する液流路等の構成が具備されている。
駆動装置14は、複数の波形要素が含まれる基準駆動波形が生成される波形生成部18と、基準駆動波形からドットサイズに応じた波形要素を選択するための波形選択信号を生成する波形選択部20と、噴射データに基づいて液滴が噴射されるノズルを選択するためのノズル選択信号が生成されるノズル選択部22と、波形選択部20により選択された波形要素から成る駆動波形に基づいて駆動信号が生成され、ノズル選択部22により選択されたノズルに対応する圧電アクチュエータ16へ該駆動信号を供給するヘッド駆動部24と、を含んで構成されている。
本実施形態に示すインクジェット噴射装置10は、大サイズ、中サイズ、小サイズから成る3種類のドットサイズの打ち分けが可能に構成されている。すなわち、大サイズの1ドットを形成する場合は大サイズに対応した大液滴用の駆動波形が選択され、中サイズの1ドットを形成する場合は中サイズに対応した中液滴用の駆動波形が選択され、小サイズのドットを形成する場合は小サイズに対応した小液滴用の駆動波形が選択される。
また、本例に示すインクジェット噴射装置10は、複数のノズルのそれぞれに設けられる圧電アクチュエータ16に共通の駆動信号が供給され、ノズル選択部22から送出されるノズル選択信号によって噴射が行なわれるノズルが選択され、ノズル選択信号により選択されたノズルに対応する圧電アクチュエータ16のみに駆動信号が印加される方式が適用される。
なお、インクジェットヘッド12と駆動装置14とを別々の構成として、フレキシブル基板などの配線部材を用いて接続してもよいし、インクジェットヘッド12と駆動装置14とを一体構成としてもよい。
〔インクジェットヘッドの構成〕
次に、図1に図示したインクジェットヘッド12の構造例について説明する。
次に、図1に図示したインクジェットヘッド12の構造例について説明する。
図2は、インクジェットヘッド12の立体構造の一例を示す断面図であり、記録素子単位となる1チャンネル分の液滴噴射素子が図示されている。同図に示すインクジェットヘッド12は、圧力室26の天井面に設けられた圧電素子27を動作させて圧力室26内の液体を加圧して、圧力室26と連通するノズル28から液滴を噴射させるように構成されている。ノズル28から液滴が噴射されると、圧力室26と連通される供給口30を介して、液体の供給源たるタンク(不図示)から共通流路32を経由して圧力室26へ液体が充填される。
図2に示すインクジェットヘッド12は、ノズル面34にノズル28が形成されたノズルプレート36と、圧力室26、供給口30、共通流路32等の流路が形成された流路板38等を積層接合した構造から成る。ノズルプレート36は、インクジェットヘッド12のノズル面34を構成し、各圧力室26にそれぞれ連通する複数のノズル28が所定の配置パターンで配置されている。
流路板38は、圧力室26の側壁部を構成するとともに、共通流路32から圧力室26に液体を導く個別供給路の絞り部(最狭窄部)としての供給口30が形成される流路形成部材である。なお、説明の便宜上、図2では簡略的に図示しているが、流路板38は一枚又は複数の基板を積層した構造である。ノズルプレート36及び流路板38は、シリコンを材料として半導体製造プロセスによって所要の形状に加工することが可能である。
圧力室26の一部の面(図2において天井面)を構成する振動板40には、上部電極(個別電極)42及び下部電極44を備え、上部電極42と下部電極44との間に圧電体46がはさまれた構造を有する圧電素子(ピエゾ素子)27が接合されている。振動板40を金属薄膜や金属酸化膜により構成すると、圧電素子27の下部電極44に相当する共通電極として機能する。なお、樹脂などの非導電性材料によって振動板を形成する態様では、振動板部材の表面に金属などの導電材料による下部電極層が形成される。
上部電極42に駆動電圧を印加することによって圧電素子27が変形するとともに振動板40が変形して圧力室26の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル28から液滴が噴射される。なお、図1に示した圧電アクチュエータ16は、図2の圧電素子27及び振動板40が含まれる構成であり、駆動信号に応じて液体の噴射圧力を発生させる圧力発生源となっている。図1に示した圧電アクチュエータ16は、図2に図示した振動板40が省略された態様(例えば、2枚の圧電素子を積層させたバイモルフ構造)も可能である。
〔駆動信号の説明:第1実施形態〕
次に、本発明の第1実施形態に係る駆動信号について説明する。図3(a)は、1噴射周期分の基準駆動波形100を模式的に示した図であり、横系列は時間、縦系列は電圧を表している。なお、本例に示す駆動波形の立ち上がり部は、メニスカスをノズル内に引き込むように圧電素子を動作させ(引き動作)、立下り部はメニスカスをノズル外部に押し出すように圧電素子を動作させる(押し動作)。
次に、本発明の第1実施形態に係る駆動信号について説明する。図3(a)は、1噴射周期分の基準駆動波形100を模式的に示した図であり、横系列は時間、縦系列は電圧を表している。なお、本例に示す駆動波形の立ち上がり部は、メニスカスをノズル内に引き込むように圧電素子を動作させ(引き動作)、立下り部はメニスカスをノズル外部に押し出すように圧電素子を動作させる(押し動作)。
同図に示す基準駆動波形100は、1ドットに対する最大噴射回数(本例では3回)と同数の噴射波形102と、非噴射波形104と、噴射兼非噴射波形106とを有しており、第1の噴射波形102−1、噴射兼非噴射波形106、第2の噴射波形102−2、第3の噴射波形102−3、非噴射波形104の順にそれぞれ所定の時間間隔をおいて設けられている。
ここで、「噴射波形」とは、圧電素子27(図2参照)を動作させて、正常な状態のノズルから所定量の液滴を噴射させることができる波形であり、「非噴射波形」とは、圧電素子27を動作させて、正常な状態のノズルから液滴を噴射させずに、ノズル28(図2参照)内のメニスカスに圧力を作用させる波形である。また、「噴射兼非噴射波形」とは、「噴射波形」と「非噴射波形」とを兼用する波形であり、噴射波形として用いることができるとともに、非噴射波形としても用いることができ、場合に応じて使い分けが可能となっている。
第1の噴射波形102―1、第2の噴射波形102―2、及び第3の噴射波形102―3は、振幅(電圧)、パルス幅(噴射波形102の立ち上がり部の中央から立ち下がり部の中央まで時間)が同一の台形形状を有している。
1つの噴射波形102(102−1〜102−3のそれぞれ)は、最小噴射量(小液滴の噴射量)に相当しており、この最小噴射量の液滴により、最小サイズのドット(小サイズドット)が形成される。また、2つ以上の連続する噴射波形により液滴が噴射されると、それぞれにより噴射された液滴は合一して1つの液滴となり1つのドットを形成する。ここでは、第2の噴射波形102−2と第3の噴射波形102−3とにより連続して噴射された液滴は、合一して中サイズドットを形成する。
このように、第2の噴射波形102−2による液滴と第3の噴射波形102−3による液滴とを合一するために、第2の噴射波形102−2の始端から第3の噴射波形102−3の始端までの時間間隔は、ヘルムホルツ周期TCの整数倍(図3では1倍)となっている。すなわち、噴射後のメニスカスの振動に対して同位相となる噴射波形102を印加することで、当該メニスカス振動が増幅され、液滴を合一することができる。
なお、この時間間隔は、ヘルムホルツ周期TCの整数倍に対して、±10%の範囲に収めることが好ましい。
また、各噴射波形102の形状は同一形状に限定されず、最小噴射量に対応する面積を有していれば、振幅、パルス幅、傾き(立ち上がり時間、立ち下がり時間)などのパラメータを適宜変更してもよい。
非噴射波形104は、中サイズドット又は大サイズドットを形成する際に、噴射後のメニスカスの隆起(圧力波の過渡現象)を抑制するために付加される波形である。メニスカスの振動と非噴射波形104とが逆位相になるように、非噴射波形104の直前の波形である第3の噴射波形102−3の始端から非噴射波形104の始端までの時間間隔は、ヘルムホルツ周期TCの1/2の奇数倍(nを正の整数として、{(2n−1)/2}倍、図3では3/2倍)となっている。すなわち、噴射後のメニスカスの振動に対して逆位相(位相が1/2周期ずれた位相)となる非噴射波形104を印加することで、当該メニスカス振動が抑制される。
なお、この時間間隔についても、ヘルムホルツ周期TCの1/2の奇数倍に対して、±10%の範囲に収めることが好ましい。
噴射波形102と非噴射波形104の振幅は、ヘッド特性や液体特性に応じて適宜設定されるが、非噴射波形104の振幅は、噴射波形102の振幅の0.1〜0.8倍であることが好ましい。0.1倍未満であると、メニスカス静定効果が小さく、休止後の回復性も悪化する。また、0.8倍より大きいと、メニスカス静定には効果的であるが、逆位相のメニスカスの振動が発生してしまうという問題が生じる。
噴射兼非噴射波形106は、小サイズドットを形成する際には、噴射後のメニスカスの隆起を抑制するために付加され、大サイズドットを形成する際には、3回の連続した噴射による液滴のうちの1回の液滴を噴射するために付加される波形である。
小サイズドットは、第1の噴射波形102−1による液滴によって形成される。噴射兼非噴射波形106は、第1の噴射波形102−1によるメニスカスの振動と噴射兼非噴射波形106とが逆位相になるように、第1の噴射波形102−1の始端から噴射兼非噴射波形106の始端までの時間間隔が、ヘルムホルツ周期TCの1/2の奇数倍(図3では3/2倍)となるように設けられている。
また、噴射兼非噴射波形106、第2の噴射波形102−2、及び第3の噴射波形102−3による3回の連続した噴射による液滴が合一したときの液滴量が、大サイズドットに対応している。噴射兼非噴射波形106は、噴射兼非噴射波形106による液滴とその直後の第2の噴射波形102−2による液滴が合一されるように、噴射兼非噴射波形106の始端から第2の噴射波形102−2の始端までの時間間隔が、ヘルムホルツ周期TCの整数倍(図3では1倍)となるように設けられている。
噴射兼非噴射波形106の振幅は、非噴射波形104の振幅と同様に、噴射波形102の振幅の0.1〜0.8倍であることが好ましい。また、噴射兼非噴射波形106は、小サイズドットを形成する際のメニスカスを静定する非噴射波形として動作するため、その振幅は、中サイズドット、大サイズドットを形成する際のメニスカスを静定するための非噴射波形104の振幅よりも小さいことが好ましい。
なお、ここでは噴射波形102、非噴射波形104、及び噴射兼非噴射波形106のパルス幅は特に限定されないが、例えばヘルムホルツ周期TCの1/2にする等、適宜決定すればよい。
図3(b)は、小サイズドットを形成する場合の波形選択信号110が図示されている。同図における横系列は時間、縦系列は電圧を表している。波形選択信号110はHレベル112が「非選択」、Lレベル114が「選択」を意味する負論理パルス信号である。図3(b)に図示した波形選択信号110と図3(a)に示した基準駆動波形100の論理和を取ると、第1の噴射波形102−1と噴射兼非噴射波形106とを含む一群が選択され、他の波形要素が除去される。
すなわち、小サイズドット用の駆動波形120は、図3(c)に実線で図示された噴射波形102−1と、噴射兼非噴射波形106とから成る。前述したように、小サイズドットは、第1の噴射波形102−1によって噴射された液滴によって形成され、噴射波形102−1によるメニスカス振動は噴射兼非噴射波形106によって静定される。
図4(a)は、図3(a)に図示された基準駆動波形と同じ基準駆動波形100を示しており、図4(b)は、中サイズドットを形成する場合の波形選択信号130を示している。波形選択信号130は、図3(b)に図示された波形選択信号110と同様に、Hレベル132及びLレベル134を有する負論理パルス信号である。図4(b)に図示した波形選択信号130と図4(a)に示した基準駆動波形100の論理和を取ると、第2の噴射波形102―2、第3の噴射波形102−3と、非噴射波形104を含む一群が選択され、他の波形要素が除去される。
すなわち、中サイズドット用の駆動波形122は、図4(c)に実線で図示された第2の噴射波形102−2、第3の噴射波形102−3、及び非噴射波形104から成る。前述したように、中サイズドットは、第2の噴射波形102−2、第3の噴射波形102−3によって噴射された2回分の液滴によって形成され、メニスカス振動は非噴射波形104によって静定される。
図5(a)は、図3(a)、図4(a)に図示された基準駆動波形と同じ基準駆動波形100を示しており、図5(b)は、大サイズドットを形成する場合の波形選択信号140を示している。波形選択信号140は、Hレベル142及びLレベル144を有する負論理パルス信号である。図5(b)に図示した波形選択信号140と図5(a)に示した基準駆動波形100の論理和を取ると、噴射兼非噴射波形106、第2の噴射波形102−2、第3の噴射波形102−3、及び非噴射波形104とを含む一群が選択され、他の波形要素が除去される。
すなわち、大サイズドット用の駆動波形は、図5(c)に実線で図示された噴射兼非噴射波形106、第2の噴射波形102−2、第3の噴射波形102−3、及び非噴射波形104から成る。前述したように、大サイズドットは、噴射兼非噴射波形106、第2の噴射波形102−2、及び第3の噴射波形102−3によって噴射された3回分の液滴によって形成され、メニスカス振動は非噴射波形104によって静定される。
ドットの形成を行わない場合、すなわち液滴の噴射を行わない場合は、波形選択信号をHレベルのままとすることにより基準駆動波形の全ての波形を選択せず、駆動信号をLレベルに維持しておけばよいが、ノズル28付近での液体の乾燥を防止する観点から、ノズル28から液体が噴射しない程度にメニスカスを揺らしてもよい。
図6(a)は、図3(a)〜図5(a)に図示された基準駆動波形と同じ基準駆動波形100を示しており、図6(b)は、液滴を噴射せずに上記のメニスカス揺らしを行う場合の波形選択信号140を示している。図6(b)に図示した波形選択信号140と図6(a)に示した基準駆動波形100の論理和を取ると、噴射兼非噴射波形106及び非噴射波形104とを含む一群が選択され、他の波形要素が除去される。
このように、液滴を噴射しない場合において、図6(c)に実線で図示された噴射兼非噴射波形106及び非噴射波形104から成る駆動波形を用いてもよい。これにより、非噴射時においてもメニスカスが揺らされることから、ノズル28近傍での液体の乾燥を防止することができ、休止後の液滴噴射をスムーズに行うことができる。
なお、非噴射時のメニスカス揺らしは、噴射兼非噴射波形106だけで行ってもよいし、非噴射波形104だけで行ってもよい。
上記の如く構成されたインクジェット噴射装置10によれば、小サイズドットを形成するための1パルス噴射時には、噴射兼非噴射波形106を用いて噴射後のメニスカスを静定し、中サイズ、大サイズドットを形成するための複数パルス噴射時には、噴射兼非噴射波形106よりも振幅の大きい非噴射波形104を用いて噴射後のメニスカスを静定するようにしたので、噴射後のメニスカスの揺れをその大きさに応じて適切に静定することができる。
また、これらのメニスカスを静定するための波形を、最終の噴射波形102の始端からヘルムホルツ周期Tcの1/2の奇数倍の時間間隔を開けて出力させることで、最後の主液滴噴射後のメニスカスの揺れと逆位相となり、メニスカスの揺れを素早く収束させることが可能となる。
また、1つの基準駆動波形100に含まれる複数の噴射波形102、非噴射波形104、噴射兼非噴射波形106の中から必要な波形を抽出することで、噴射液滴量(ドットサイズ)を変更することができ、かつ適切にメニスカスを静定することができるので、基準駆動波形100が生成される波形生成部18は、常に同じ基準駆動波形100を1つだけ発生させればよく、波形生成部18の構成をより簡素化することができ、波形生成部18を安価に製作することができる。
さらに、小サイズドットを形成するための1パルス噴射時には噴射後のメニスカスを静定する非噴射波形として動作し、中サイズ、大サイズドットを形成するための複数パルス噴射時には液滴を噴射させる噴射波形として動作する噴射兼非噴射波形106を備えたことにより、基準駆動波形100の周期を短くすることができ、高周波の噴射が可能となる。
本例では、最小サイズのドットが形成される場合に、噴射波形が1つだけ選択される態様を例示したが、最小サイズのドットが形成される場合に複数の噴射波形が選択される態様も可能である。また、本例では3種類のサイズを有するドットが形成される態様を例示したが、ドットサイズは2種類でもよいし4種類以上でもよい。
さらに、本例では同一の噴射波形が複数含まれる基準駆動波形の中から、ドットサイズに応じて噴射波形の数が選択される態様を例示したが、ドットサイズに応じた異なる噴射波形が含まれる基準駆動波形を適用することも可能である。
また、本例では、基準駆動波形100の中に非噴射波形104及び噴射兼非噴射波形106がそれぞれ1つずつ設けられる態様を例示したが、非噴射波形104及び噴射兼非噴射波形106は複数の波形を含む波形群とし、該波形群が全体としてメニスカスを静定させる作用を発揮すればよい。さらに、噴射波形102、非噴射波形104、噴射兼非噴射波形106は台形形状に限定されず、矩形波、三角波などを適用することも可能である。
〔第2実施形態〕
次に、図7〜図9を用いて第2実施形態に係る基準駆動波形について説明する。
次に、図7〜図9を用いて第2実施形態に係る基準駆動波形について説明する。
図7(a)は、本発明の第2実施形態に係る、1噴射周期分の基準駆動波形200を模式的に図示した図であり、横系列は時間、縦系列は電圧を表している。なお、以下の説明で参照する図8(a)及び図9(a)に示す基準駆動波形200は、図7(a)に図示した基準駆動波形200のものと同一である。
図7(a)に示す基準駆動波形200は、2つの噴射波形202と、2つの非噴射波形204と、噴射兼非噴射波形206とを有しており、第1の噴射波形202−1、第2の噴射波形202−2、噴射兼非噴射波形206、第1の非噴射波形204−1、第2の非噴射波形204−2の順にそれぞれ所定の時間間隔をおいて設けられている。
図7(b)に示す波形選択信号210は、図7(a)に図示された基準駆動波形200から小サイズドット用の駆動波形が抽出される際に適用される。基準駆動波形200と波形選択信号210との論理和を取ると、図7(c)に示す小サイズドット用の駆動波形220が生成される。
すなわち、小サイズドット用の駆動波形220は、図7(c)に実線で図示された噴射兼非噴射波形206と、第1の非噴射波形204−1と、第2の非噴射波形204−2とから成る。このうち、小サイズドットは、噴射兼非噴射波形206と第1の非噴射波形204−1とによって噴射する液滴によって形成される。第1の非噴射波形204−1は、噴射兼非噴射波形206による液滴吐出時に、吐出された液滴を分断するための波形であり、その始端が、直前の波形である噴射兼非噴射波形206の立ち下がり終了時からヘルムホルツ周期Tcの1/2未満となる位置に設けられている。
噴射兼非噴射波形206によって液滴を吐出させた後、上記のタイミングで第1の非噴射波形204−1を出力することで、噴射兼非噴射波形206によって吐出された柱状の液滴を引き戻して分断し、小サイズの液滴を形成することが可能となる。
第1の非噴射波形204−1を出力するタイミングが、直前の波形である噴射兼非噴射波形206の立ち下がり開始時からヘルムホルツ周期Tcの1/2以上になると、液滴を引き戻すことができずに第1の非噴射波形204−1においても液滴が噴射されることになる。したがって、前述のようにTcの1/2未満とする必要がある。
噴射兼非噴射波形206及び第1の非噴射波形204−1により発生したメニスカスは、第1の非噴射波形204−1の始端からヘルムホルツ周期Tcの1/2の奇数倍の時間間隔(図8では3/2倍)を開けて出力される第2の非噴射波形204−2により静定される。
図8(b)は、中サイズドット用の駆動波形を生成するための波形選択信号230であり、基準駆動波形200と波形選択信号230との論理和を取ると、図8(c)に示す中サイズドット用の駆動波形222が生成される。
すなわち、中サイズドット用の駆動波形222は、図8(c)に実線で図示された第2の噴射波形202−2、及び噴射兼非噴射波形206から成る。このうち、中サイズドットは、第2の噴射波形202−2によって噴射された液滴によって形成され、そのメニスカス振動は、噴射兼非噴射波形206によって静定される。したがって、第2の噴射波形202−2の始端から噴射兼非噴射波形206の始端までの時間間隔は、ヘルムホルツ周期TCの1/2の奇数倍(図8では3/2倍)となっている。
図9(b)は、大サイズドット用の駆動波形を生成するための波形選択信号240であり、基準駆動波形200と波形選択信号240との論理和を取ると、図9(c)に示す大サイズドット用の駆動波形224が生成される。
すなわち、大サイズドット用の駆動波形は、図9(c)に実線で図示された第1の噴射波形202−1、第2の噴射波形202−2、及び噴射兼非噴射波形206から成る。このうち、大サイズドットは、第1の噴射波形202−1と第2の噴射波形202−2によって連続して噴射され、合一した液滴によって形成される。そのメニスカス振動は、噴射兼非噴射波形206によって静定される。したがって、第1の噴射波形202−1の始端から第2の噴射波形202−2の始端までの時間間隔は、ヘルムホルツ周期TCの整数倍(図8では1倍)となっている。
図10(b)は、非噴射時のメニスカス揺らし用の駆動波形を生成するための波形選択信号240であり、基準駆動波形200と波形選択信号240との論理和を取ると、図10(c)に示すメニスカス揺らし用の駆動波形226が生成される。
すなわち、メニスカス揺らし用の駆動波形は、図10(c)に実線で図示された噴射兼非噴射波形206及び第2の非噴射波形204−2から成る。これにより、非噴射時においてもメニスカスを揺らすことができる。非噴射時のメニスカス揺らしは、第1実施形態と同様に、噴射兼非噴射波形206だけで行ってもよいし、第2の非噴射波形204−2だけで行ってもよい。
また、上記の動作を行うために、各波形の振幅は、第1の噴射波形202−1の振幅に対して、第1の非噴射波形204−1の振幅は0.5〜1.0倍、第2の非噴射波形204−2の振幅は0.1〜0.5倍、噴射兼非噴射波形206の振幅は0.1〜0.8倍であることが好ましい。
また、第2の非噴射波形204−2は、小サイズドットを形成する際のメニスカスを静定する非噴射波形として動作するため、その振幅は、中サイズドット、大サイズドットを形成する際のメニスカスを静定するための噴射兼非噴射波形206の振幅よりも小さいことが好ましい。
上記の如く構成されたインクジェット噴射装置10によれば、小サイズドットを形成するための1パルス噴射時には、第2の非噴射波形204−2を用いて噴射後のメニスカスを静定し、中サイズ、大サイズドットを形成するための複数パルス噴射時には、第2の非噴射波形204−2よりも振幅の大きい噴射兼非噴射波形206を用いて噴射後のメニスカスを静定するようにしたので、噴射後のメニスカスの揺れをその大きさに応じて適切に静定することができる。
また、本実施形態においては、噴射兼非噴射波形205は、小サイズドット形成時には最小噴射量を噴射する噴射波形として動作し、中サイズ、大サイズドット形成時には噴射後のメニスカスを静定する非噴射波形として動作する。このような噴射兼非噴射波形206を備えたことにより、基準駆動波形100の周期を短くすることができ、高周波の噴射が可能となる。
なお、図7〜図9に図示された基準駆動波形200における各波形のパルス幅についても、先に説明した第1実施形態と同様に、適宜決定すればよい。
〔インクジェットシステムへの適用例〕
次に、上述したインクジェット噴射装置がオンデマンド形式のインクジェット記録装置(オンデマンド形式のインクジェットシステム)へ適用された場合について説明する。
次に、上述したインクジェット噴射装置がオンデマンド形式のインクジェット記録装置(オンデマンド形式のインクジェットシステム)へ適用された場合について説明する。
(インクジェット記録装置の全体構成の説明)
図11は、本実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成を示した構成図である。同図に示すインクジェット記録装置310は、色材を含有するインクと該インクを凝集させる機能を有する凝集処理液を用いて、所定の画像データに基づいて記録媒体314の記録面に画像を形成する2液凝集方式の記録装置である。
図11は、本実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成を示した構成図である。同図に示すインクジェット記録装置310は、色材を含有するインクと該インクを凝集させる機能を有する凝集処理液を用いて、所定の画像データに基づいて記録媒体314の記録面に画像を形成する2液凝集方式の記録装置である。
インクジェット記録装置310は、主として、給紙部320、処理液塗布部330、描画部340、乾燥処理部350、定着処理部360、及び排出部370を備えて構成される。処理液塗布部330、描画部340、乾燥処理部350、定着処理部360の前段に搬送される記録媒体314の受け渡しを行う手段として渡し胴332,342,352,362が設けられるとともに、処理液塗布部330、描画部340、乾燥処理部350、定着処理部360のそれぞれに記録媒体314を保持しながら搬送する手段として、ドラム形状を有する圧胴334,344,354,364が設けられている。
渡し胴332,342,352,362及び圧胴334,344,354,364は、外周面の所定位置に記録媒体314の先端部(又は後端部)を挟んで保持するグリッパー380A,380Bが設けられている。グリッパー380Aとグリッパー380Bにおける記録媒体314の先端部を挟んで保持する構造、及び他の圧胴又は渡し胴に備えられるグリッパーとの間で記録媒体314の受け渡しを行う構造を同一であり、かつ、グリッパー380Aとグリッパー380Bは、圧胴334の外周面の圧胴334の回転方向について180°移動させた対称位置に配置されている。
グリッパー380A,380Bにより記録媒体314の先端部を狭持した状態で渡し胴332,342,352,362及び圧胴334,344,354,364を所定の方向に回転させると、渡し胴332,342,352,362及び圧胴334,344,354,364の外周面に沿って記録媒体314が回転搬送される。
なお、図11中、圧胴334に備えられるグリッパー380A,380Bのみ符号を付し、他の圧胴及び渡し胴のグリッパーの符号は省略する。
給紙部320に収容されている記録媒体(枚葉紙)314が処理液塗布部330に給紙されると、圧胴334の外周面に保持された記録媒体314の記録面に、凝集処理液(以下、単に「処理液」と記載することがある。)が付与される。なお、「記録媒体314の記録面」とは、圧胴334,344,354,364の保持された状態における外側面であり、圧胴334,344,354,364に保持される面と反対面である。
その後、凝集処理液が付与された記録媒体314は描画部340に送出され、描画部340において記録面の凝集処理液が付与された領域に色インクが付与され、所望の画像が形成される。
さらに、該色インクによる画像が形成された記録媒体314は乾燥処理部350に送られ、乾燥処理部350において乾燥処理が施されるとともに、乾燥処理後に定着処理部360に送られ、定着処理が施される。乾燥処理及び定着処理が施されることで、記録媒体314上に形成された画像が堅牢化される。このようにして、記録媒体314の記録面に所望の画像が形成され、該画像が記録媒体314の記録面に定着した後に、排出部370から装置外部に搬送される。
以下、インクジェット記録装置310の各部(給紙部320、処理液塗布部330、描画部340、乾燥処理部350、定着処理部360、排出部370)について詳細に説明する。
(給紙部)
給紙部320は、給紙トレイ322と不図示の送り出し機構が設けられ、記録媒体314は給紙トレイ322から一枚ずつ送り出されるように構成されている。給紙トレイ322から送り出された記録媒体314は、渡し胴(給紙胴)332のグリッパー(不図示)の位置に先端部が位置するように不図示のガイド部材によって位置決めされて一旦停止する。
給紙部320は、給紙トレイ322と不図示の送り出し機構が設けられ、記録媒体314は給紙トレイ322から一枚ずつ送り出されるように構成されている。給紙トレイ322から送り出された記録媒体314は、渡し胴(給紙胴)332のグリッパー(不図示)の位置に先端部が位置するように不図示のガイド部材によって位置決めされて一旦停止する。
(処理液塗布部)
処理液塗布部330は、給紙胴332から受け渡された記録媒体314を外周面に保持して記録媒体314を所定の搬送方向へ搬送する圧胴(処理液ドラム)334と、処理液ドラム334の外周面に保持された記録媒体314の記録面に処理液を付与する処理液塗布装置336と、含んで構成されている。処理液ドラム334を図11における反時計回りに回転させると、記録媒体314は処理液ドラム334の外周面に沿って反時計回り方向に回転搬送される。
処理液塗布部330は、給紙胴332から受け渡された記録媒体314を外周面に保持して記録媒体314を所定の搬送方向へ搬送する圧胴(処理液ドラム)334と、処理液ドラム334の外周面に保持された記録媒体314の記録面に処理液を付与する処理液塗布装置336と、含んで構成されている。処理液ドラム334を図11における反時計回りに回転させると、記録媒体314は処理液ドラム334の外周面に沿って反時計回り方向に回転搬送される。
図11に示す処理液塗布装置336は、処理液ドラム334の外周面(記録媒体保持面)と対向する位置に設けられている。処理液塗布装置336の構成例として、処理液が貯留される処理液容器と、処理液容器の処理液に一部が浸漬され、処理液容器内の処理液を汲み上げる汲み上げローラと、汲み上げローラにより汲み上げられた処理液を記録媒体314上に移動させる塗布ローラ(ゴムローラ)と、を含んで構成される態様が挙げられる。
なお、該塗布ローラを上下方向(処理液ドラム334の外周面の法線方向)に移動させる塗布ローラ移動機構を備え、該塗布ローラとグリッパー380A,380Bとの衝突を回避可能に構成する態様が好ましい。
処理液塗布部330により記録媒体314に付与される処理液は、描画部340で付与されるインク中の色材(顔料)を凝集させる色材凝集剤を含有し、記録媒体314上で処理液とインクとが接触すると、インク中の色材と溶媒との分離が促進される。
処理液塗布装置336は、記録媒体314に塗布される処理液量を計量しながら塗布することが好ましく、記録媒体314上の処理液の膜厚は、描画部340から打滴されるインク液滴の直径より十分に小さくすることが好ましい。
(描画部)
描画部340は、記録媒体314を保持して搬送する圧胴(描画ドラム)344と、記録媒体314を描画ドラム344に密着させるための用紙抑えローラ346と、記録媒体314にインクを付与するインクジェットヘッド348M,348K,348C,348Yを備えている。なお、描画ドラム344の基本構造は、先に説明した処理液ドラム334と共通しているので、ここでの説明は省略する。
描画部340は、記録媒体314を保持して搬送する圧胴(描画ドラム)344と、記録媒体314を描画ドラム344に密着させるための用紙抑えローラ346と、記録媒体314にインクを付与するインクジェットヘッド348M,348K,348C,348Yを備えている。なお、描画ドラム344の基本構造は、先に説明した処理液ドラム334と共通しているので、ここでの説明は省略する。
用紙抑えローラ346は、描画ドラム344の外周面に記録媒体314を密着させるためのガイド部材であり、描画ドラム344の外周面に対向し、渡し胴342と描画ドラム344との記録媒体314の受渡位置よりも記録媒体314の搬送方向下流側であり、且つ、インクジェットヘッド348M,348K,348C,348Yよりも記録媒体314の搬送方向上流側に配置される。
渡し胴342から描画ドラム344に受け渡された記録媒体314は、グリッパー(符号省略)によって先端が保持された状態で回転搬送される際に、用紙抑えローラ346によって押圧され、描画ドラム344の外周面に密着する。このようにして、記録媒体314を描画ドラム344の外周面に密着させた後に、描画ドラム344の外周面から浮き上がりのない状態で、インクジェットヘッド348M,348K,348C,348Yの直下の印字領域に送られる。
インクジェットヘッド348M,348K,348C,348Yはそれぞれ、マゼンダ(M)、黒(K)、シアン(C)、イエロー(Y)の4色のインクに対応しており、描画ドラム344の回転方向(図11における反時計回り方向)に上流側から順に配置されるとともに、インクジェットヘッド348M,348K,348C,348Yのインク吐出面(ノズル面、図5に符号114Aを付して図示する。)が描画ドラム344に保持された記録媒体314の記録面と対向するように配置される。なお、「インク吐出面(ノズル面)」とは、記録媒体314の記録面と対向するインクジェットヘッド348M,348K,348C,348Yの面であり、後述するインクが吐出されるノズル(図4に符号108を付して図示する。)が形成される面である。
また、図11に示すインクジェットヘッド348M,348K,348C,348Yは、描画ドラム344の外周面に保持された記録媒体314の記録面とインクジェットヘッド348M,348K,348C,348Yのノズル面が略平行となるように、水平面に対して傾けられて配置されている。
インクジェットヘッド348M,348K,348C,348Yは、記録媒体314における画像形成領域の最大幅(記録媒体314の搬送方向と直交する方向の長さ)に対応する長さを有するフルライン型のヘッドであり、記録媒体314の搬送方向と直交する方向に延在するように固定設置される。
インクジェットヘッド348M,348K,348C,348Yのノズル面には、記録媒体314の画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルがマトリクス配置されて形成されている。
記録媒体314がインクジェットヘッド348M,348K,348C,348Yの直下の印字領域に搬送されると、インクジェットヘッド348M,348K,348C,348Yから記録媒体314の凝集処理液が付与された領域に画像データに基づいて各色のインクが吐出(打滴)される。
インクジェットヘッド348M,348K,348C,348Yから、対応する色インクの液滴が、描画ドラム344の外周面に保持された記録媒体314の記録面に向かって吐出されると、記録媒体314上で処理液とインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料系色材)又は不溶化する色材(染料系色材)の凝集反応が発現し、色材凝集体が形成される。これにより、記録媒体314上に形成された画像における色材の移動(ドットの位置ズレ、ドットの色ムラ)が防止される。
また、描画部340の描画ドラム344は、処理液塗布部330の処理液ドラム334に対して構造上分離しているので、インクジェットヘッド348M,348K,348C,348Yに処理液が付着することがなく、インクの吐出異常の要因を低減することができる。
なお、本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
図1〜図15を用いて説明したインクジェット噴射装置10は、図11に図示されたインクジェット記録装置における描画部340に適用される。
(乾燥処理部)
乾燥処理部350は、画像形成後の記録媒体314を保持して搬送する圧胴(乾燥ドラム)354と、該記録媒体314上の水分(液体成分)を蒸発させる乾燥処理を施す溶媒乾燥装置356を備えている。なお、乾燥ドラム354の基本構造は、先に説明した処理液ドラム334及び描画ドラム344と共通しているので、ここでの説明は省略する。
乾燥処理部350は、画像形成後の記録媒体314を保持して搬送する圧胴(乾燥ドラム)354と、該記録媒体314上の水分(液体成分)を蒸発させる乾燥処理を施す溶媒乾燥装置356を備えている。なお、乾燥ドラム354の基本構造は、先に説明した処理液ドラム334及び描画ドラム344と共通しているので、ここでの説明は省略する。
溶媒乾燥装置356は、乾燥ドラム354の外周面に対向する位置に配置され、記録媒体314に存在する水分を蒸発させる処理部である。描画部340により記録媒体314にインクが付与されると、処理液とインクとの凝集反応により分離したインクの液体成分(溶媒成分)及び処理液の液体成分(溶媒成分)が記録媒体314上に残留してしまうので、かかる液体成分を除去する必要がある。
溶媒乾燥装置356は、ヒータによる加熱、ファンによる送風、又はこれらを併用して記録媒体314上に存在する液体成分を蒸発させる乾燥処理を施し、記録媒体314上の液体成分を除去するための処理部である。記録媒体314に付与される加熱量及び送風量は、記録媒体314上に残留する水分量、記録媒体314の種類、及び記録媒体314の搬送速度(干渉処理時間)等のパラメータに応じて適宜設定される。
溶媒乾燥装置356による乾燥処理が行われる際に、乾燥処理部350の乾燥ドラム354は、描画部340の描画ドラム344に対して構造上分離しているので、インクジェットヘッド348M,348K,348C,348Yにおいて、熱又は送風によるヘッドメニスカス部の乾燥によるインクの吐出異常の要因を低減することができる。
記録媒体314のコックリングの矯正効果を発揮させるために、乾燥ドラム354の曲率を0.002(1/mm)以上とするとよい。また、乾燥処理後の記録媒体の湾曲(カール)を防止するために、乾燥ドラム354の曲率を0.0033(1/mm)以下とするとよい。
また、乾燥ドラム354の表面温度を調整する手段(例えば、内蔵ヒータ)を備え、該表面温度を50℃以上に調整するとよい。記録媒体314の裏面から加熱処理を施すことによって乾燥が促進され、次段の定着処理時における画像破壊が防止される。かかる態様において、乾燥ドラム354の外周面に記録媒体314を密着させる手段を具備するとさらに効果的である。記録媒体314を密着させる手段の一例として、真空吸着、静電吸着などが挙げられる。
なお、乾燥ドラム354の表面温度の上限については、特に限定されるものではないが、乾燥ドラム354の表面に付着したインクをクリーニングするなどのメンテナンス作業の安全性(高温による火傷防止)の観点から75℃以下(より好ましくは60℃以下)に設定されることが好ましい。
このように構成された乾燥ドラム354の外周面に、記録媒体314の記録面が外側を向くように(すなわち、記録媒体314の記録面が凸側となるように湾曲させた状態で)保持し、回転搬送しながら乾燥処理を施すことで、記録媒体314のシワや浮きに起因する乾燥ムラが確実に防止される。
(定着処理部)
定着処理部360は、記録媒体314を保持して搬送する圧胴(定着ドラム)364と、画像形成がされ、さらに、液体が除去された記録媒体314に加熱処理を施すヒータ366と、該記録媒体314を記録面側から押圧する定着ローラ368と、を備えて構成される。なお、定着ドラム364の基本構造は処理液ドラム334、描画ドラム344、及び乾燥ドラム354と共通しているので、ここでの説明は省略する。ヒータ366及び定着ローラ368は、定着ドラム364の外周面に対向する位置に配置され、定着ドラム364の回転方向(図11において反時計回り方向)の上流側から順に配置される。
定着処理部360は、記録媒体314を保持して搬送する圧胴(定着ドラム)364と、画像形成がされ、さらに、液体が除去された記録媒体314に加熱処理を施すヒータ366と、該記録媒体314を記録面側から押圧する定着ローラ368と、を備えて構成される。なお、定着ドラム364の基本構造は処理液ドラム334、描画ドラム344、及び乾燥ドラム354と共通しているので、ここでの説明は省略する。ヒータ366及び定着ローラ368は、定着ドラム364の外周面に対向する位置に配置され、定着ドラム364の回転方向(図11において反時計回り方向)の上流側から順に配置される。
定着処理部360では、記録媒体314の記録面に対してヒータ366による予備加熱処理が施されるとともに、定着ローラ368による定着処理が施される。ヒータ366の加熱温度は記録媒体の種類、インクの種類(インクに含有するポリマー微粒子の種類)などに応じて適宜設定される。例えば、インクに含有するポリマー微粒子のガラス転移点温度や最低造膜温度とする態様が考えられる。
定着ローラ368は、乾燥させたインクを加熱加圧することによってインク中の自己分散性ポリマー微粒子を溶着し、インクを被膜化させるためのローラ部材であり、記録媒体314を加熱加圧するように構成される。具体的には、定着ローラ368は、定着ドラム364に対して圧接するように配置されており、定着ドラム364との間でニップローラを構成するようになっている。これにより、記録媒体314は、定着ローラ368と定着ドラム364との間に挟まれ、所定のニップ圧でニップされ、定着処理が行われる。
定着ローラ368の構成例として、熱伝導性の良いアルミなどの金属パイプ内にハロゲンランプを組み込んだ加熱ローラによって構成する態様が挙げられる。かかる加熱ローラで記録媒体314を加熱することによって、インクに含まれるポリマー微粒子のガラス転移点温度以上の熱エネルギーが付与されると、該ポリマー微粒子が溶融して画像の表面に透明の被膜が形成される。
この状態で記録媒体314の記録面に加圧を施すと、記録媒体314の凹凸に溶融したポリマー微粒子が押し込み定着されるとともに、画像表面の凹凸がレベリングされ、好ましい光沢性を得ることができる。なお、画像層の厚みやポリマー微粒子のガラス転移点温度特性に応じて、定着ローラ368を複数段設けた構成も好ましい。
また、定着ローラ368の表面硬度は71°以下であることが好ましい。定着ローラ368の表面をより軟質化することで、コックリングにより生じた記録媒体314の凹凸に対して追随効果を期待でき、記録媒体314の凹凸に起因する定着ムラがより効果的に防止される。
図11に示すインクジェット記録装置310は、定着処理部360の処理領域の後段(記録媒体搬送方向の下流側)には、インラインセンサ382が設けられている。インラインセンサ382は、記録媒体314に形成された画像(又は記録媒体314の余白領域に形成されたチェックパターン)を読み取るためのセンサであり、CCDラインセンサが好適に用いられる。
本例に示すインクジェット記録装置310は、インラインセンサ382の読取結果に基づいてインクジェットヘッド348M,348K,348C,348Yの吐出異常の有無が判断される(詳細後述)。また、インラインセンサ382は、水分量、表面温度、光沢度などを計測するための計測手段を含む態様も可能である。かかる態様において、水分量、表面温度、光沢度の読取結果に基づいて、乾燥処理部350の処理温度や定着処理部360の加熱温度及び加圧圧力などのパラメータを適宜調整し、装置内部の温度変化や各部の温度変化に対応して、上記制御パラメータが適宜調整される。
(排出部)
図11に示すように、定着処理部360に続いて排出部370が設けられている。排出部370は、張架ローラ372A,372Bに巻きかけられた無端状の搬送ベルト374と、画像形成後の記録媒体314が収容される排出トレイ376と、を備えて構成されている。
図11に示すように、定着処理部360に続いて排出部370が設けられている。排出部370は、張架ローラ372A,372Bに巻きかけられた無端状の搬送ベルト374と、画像形成後の記録媒体314が収容される排出トレイ376と、を備えて構成されている。
定着処理部360から送り出された定着処理後の記録媒体314は、搬送ベルト374によって搬送され、排出トレイ376に排出される。
(インクジェットヘッドの構造の説明)
図12は、本発明に適用されるインクジェットヘッドの概略構成図であり、同図はインクジェットヘッドから記録媒体の記録面を見た図(ヘッドの平面透視図)となっている。なお、図11に図示したインクジェットヘッド348M,348K,348C,348Yは同一構造を有しているので、以下の説明ではインクジェットヘッド348M,348K,348C,348Yを区別する必要がない場合は、これらを総称して「インクジェットヘッド348」と記載する。
図12は、本発明に適用されるインクジェットヘッドの概略構成図であり、同図はインクジェットヘッドから記録媒体の記録面を見た図(ヘッドの平面透視図)となっている。なお、図11に図示したインクジェットヘッド348M,348K,348C,348Yは同一構造を有しているので、以下の説明ではインクジェットヘッド348M,348K,348C,348Yを区別する必要がない場合は、これらを総称して「インクジェットヘッド348」と記載する。
同図に示すインクジェットヘッド348は、n個のサブヘッド348‐i(iは1からnの整数)を一列につなぎ合わせてマルチヘッドを構成している。また、各サブヘッド348‐iは、インクジェットヘッド348の短手方向の両側からヘッドカバー349A,349Bによって支持されている。なお、サブヘッド348を千鳥状に配置してマルチヘッドを構成することも可能である。
複数のサブヘッドにより構成されるマルチヘッドの適用例として、記録媒体の全幅に対応したフルライン型ヘッドが挙げられる。フルライン型ヘッドは、記録媒体の移動方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に沿って、記録媒体の主走査方向における長さ(幅)に対応して、複数のノズル(図14に符号108を付して図示する。)が並べられた構造を有している。かかる構造を有するインクジェットヘッド348と記録媒体とを相対的に一回だけ走査させて画像記録を行う、いわゆるシングルパス画像記録方式により、記録媒体の全面にわたって画像を形成し得る。
図13は、インクジェットヘッド348の一部拡大図である。同図に示すように、サブヘッド348は、略平行四辺形の平面形状を有し、隣接するサブヘッド間にオーバーラップ部が設けられている。オーバーラップ部とは、サブヘッドのつなぎ部分であり、サブヘッド348‐iの並び方向(図12における左右方向、図13に図示する主走査方向X)に隣接するドットが異なるサブヘッドに属するノズルによって形成される。
図14は、サブヘッド348‐iのノズル配列を示す平面図である。同図に示すように、各サブヘッド348‐iは、ノズル328が二次元状に並べられた構造を有し、かかるサブヘッド348‐iを備えたヘッドは、いわゆるマトリクスヘッドと呼ばれるものである。
図14に示したサブヘッド348‐iは、副走査方向Yに対して角度αをなす列方向W、及び主走査方向Xに対して角度βをなす行方向Vに沿って多数のノズル328が並べられた構造を有し、主走査方向Xの実質的なノズル配置密度が高密度化されている。図14では、行方向Vに沿って並べられたノズル群(ノズル行)は符号328Vを付し、列方向Wに沿って並べられたノズル群(ノズル列)は符号328Wを付して図示されている。
かかるマトリクス配列において、副走査方向の隣接ノズル間隔をLsとするとき、主走査方向については実質的に各ノズル328が一定のピッチP=Ls/tanθで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。
図12〜図14に示す構造を有するインクジェットヘッド348は、図2に図示した液滴噴射素子(記録素子)を図14に示す如く、主走査方向Xと角度βをなす行方向V及び副走査方向Yに対して角度αをなす列方向Wに沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
(制御系の説明)
図15は、インクジェット記録装置310のシステム構成を示すブロック図である。図15に示すように、インクジェット記録装置310は、通信インターフェース440、システム制御部442を備え、システム制御部442により装置各部の統括的な制御が行われる。
図15は、インクジェット記録装置310のシステム構成を示すブロック図である。図15に示すように、インクジェット記録装置310は、通信インターフェース440、システム制御部442を備え、システム制御部442により装置各部の統括的な制御が行われる。
通信インターフェース440は、ホストコンピュータ454から送られてくる画像データを受信するインターフェース部(画像入力手段)である。通信インターフェース440にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
システム制御部442は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置310の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。また、搬送制御部444、画像処理部446、ヘッド駆動部448などを制御する制御信号を生成し、画像メモリ450、ROM452のメモリコントローラとしての機能を有している。
画像処理部446は、画像データに所定の処理を施す処理ブロックであり、画像処理機能を有するプロセッサが含まれる。ホストコンピュータ454から送出された画像データは通信インターフェース440を介してインクジェット記録装置310に取り込まれ、一旦画像メモリ450に記憶される。画像メモリ450は、通信インターフェース440を介して入力された画像を格納する記憶手段であり、システム制御部442を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ450は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
画像メモリ450には、システム制御部442のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データ(テストチャートを打滴するためのデータ、異常ノズル情報などを含む)が格納されている。画像メモリ450は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。
不図示の一時記憶部は、画像データや各種データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
画像処理部446は、システム制御部442の制御に従い、画像メモリ内の画像データ(多値の入力画像のデータ)から打滴制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理手段として機能する。画像処理部446により生成された打滴制御用の信号(インク吐出データ)はヘッド駆動部448へ供給される。
すなわち、画像処理部446は、濃度データ生成部、補正処理部、インク吐出データ生成部といった機能ブロックを含んで構成される。これら各機能ブロックは、ASICやソフトウエア又は適宜の組み合わせによって実現可能である。
濃度データ生成部は、入力画像のデータからインク色別の初期の濃度データを生成する信号処理手段であり、濃度変換処理(UCR処理や色変換を含む)及び必要な場合には画素数変換処理を行う。補正処理部は、濃度補正係数を用いて濃度補正の演算を行う処理手段であり、ムラ補正処理を行う。
インク吐出データ生成部は、補正処理部で生成された補正後の画像データ(濃度データ)から2値又は多値のドットデータに変換するハーフトーニング処理手段を含む信号処理手段であり、二値(多値)化処理を行う。ハーフトーン処理の手段としては、誤差拡散法、ディザ法、閾値マトリクス法、濃度パターン法など、各種公知の手段を適用できる。ハーフトーン処理は、一般に、M値(M≧3)の階調画像データをMよりも小さい二値又は多値の階調画像データに変換する。最も単純な例では、二値(ドットのオン/オフ)のドット画像データに変換するが、ハーフトーン処理において、ドットサイズの種類(例えば、大サイズドット、中サイズドット、小サイズドットなどの3種類)に対応した多値の量子化を行うことも可能である。
画像処理部446には不図示の画像バッファメモリが備えられており、画像処理部446における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリに一時的に格納される。なお、画像バッファメモリは画像処理部446に付随する態様でもよいし、画像メモリと兼用することも可能である。また、画像処理部446はシステム制御部442と統合されて、1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
画像処理部446(インク吐出データ生成部)で生成されたインク吐出データはヘッド駆動部448に与えられ、インクジェットヘッド348のインク吐出動作が制御される。
ヘッド駆動部448は、インクジェットヘッド348の吐出駆動を制御する手段として機能し、インクジェットヘッド348の各ノズル328に対応したアクチュエータ(図5に図示した圧電アクチュエータ16)を駆動するための駆動信号波形を生成する駆動波形生成部が含まれる。駆動波形生成部から出力される信号は、デジタル波形データであってもよいし、アナログ電圧信号であってもよい。かかる駆動波形生成部は図1の波形生成部18に対応している。
画像入力から印字出力までの処理の流れを概説すると、印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース440を介して外部から入力され、画像メモリに蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの多値の画像データが画像メモリに記憶される。
インクジェット記録装置310では、インク(色材)による微細なドットの打滴密度やドットサイズを変えることによって、人の目に疑似的な連続階調の画像を形成するため、入力されたデジタル画像の階調(画像の濃淡)をできるだけ忠実に再現するようなドットパターンに変換する必要がある。そのため、画像メモリに蓄えられた元画像(RGB)のデータは、システム制御部442を介して画像処理部446に送られ、濃度データ生成部、補正処理部、インク吐出データ生成部による処理を経てインク色ごとのドットデータに変換される。
すなわち、画像処理部446は、入力されたRGB画像データをM,K,C,Yの4色のドットデータに変換する処理を行う。こうして画像処理部446で生成されたドットデータは、画像バッファメモリに蓄えられる。この色別ドットデータは、インクジェットヘッド348のノズルからインクを吐出するためのMKCY打滴データに変換され、印字されるインク吐出データ(各ノズルの駆動タイミングと各ノズルにおける駆動タイミングごとのドットサイズ(吐出量))が確定する。
かかる画像処理部446における処理は、図1の波形選択部20の処理及びノズル選択部22の処理に対応している。すなわち、図1の図1の波形選択部20及びノズル選択部22は、図15の画像処理部446の一機能に対応している。
ヘッド駆動部448は、インク吐出データ及び駆動信号(駆動波形)に基づき、印字内容に応じてインクジェットヘッド348の各ノズル328に対応するアクチュエータ132を駆動するための駆動信号を出力する。ヘッド駆動部448にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。図15に図示されているヘッド駆動部448は、図1に図示したヘッド駆動部24に対応している。
こうして、ヘッド駆動部448から出力された駆動信号がインクジェットヘッド348に加えられることによって、該当するノズル328からインクが吐出される。記録媒体314の搬送速度に同期してインクジェットヘッド348からのインク吐出を制御することにより、記録媒体314上に画像が形成される。
上記のように、画像処理部446における所要の信号処理を経て生成されたインク吐出データ及び駆動信号波形に基づき、ヘッド駆動部448を介して各ノズルからのインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
図15に図示したインライン検出部470は、ノズル検知パターンの読み取り、読取データの処理、異常ノズルの判断の処理を経て、異常ノズルに関する情報をシステム制御部442へ提供する機能ブロックである。インライン検出部470は図11に図示したインラインセンサ382が含まれる。
システム制御部442は、インライン検出部470から得られる異常ノズルに関する情報や、その他の情報に基づいてインクジェットヘッド348に対する各種補正を行うとともに、必要に応じて予備吐出や吸引、ワイピング等のクリーニング動作(ノズル回復動作)を実施する制御を行う。
図示を省略するが、クリーニング動作を実行する手段として、インク受け、吸引キャップ、吸引ポンプ、ワイパーブレードなど、ヘッドメンテナンスに必要な部材を含んで構成されるメンテナンス処理部が備えられている。
また、ユーザインターフェースとしての操作部を備え、該操作部はオペレータ(ユーザ)が各種入力を行うための入力装置468と表示部(ディスプレイ)466を含んで構成される。入力装置468には、キーボード、マウス、タッチパネル、ボタンなど各種形態を採用し得る。オペレータは、入力装置468を操作することにより、印刷条件の入力、画質モードの選択、付属情報の入力・編集、情報の検索などを行うことができ、入力内容や検索結果など等の各種情報は表示部466の表示を通じて確認することができる。この表示部466はエラメッセージなどの警告を表示する手段としても機能する。
本実施形態のインクジェット記録装置310は、複数の画質モードを有しており、ユーザの選択操作により、または、プログラムによる自動選択により、画質モードが設定される。この設定された画質モードで要求される出力画質レベルに応じて、異常ノズルを判断する基準が変更される。要求品質が高いほど、判定基準は厳しい方向に設定される。
各画質モードの印刷条件並びに異常ノズル判定基準に関する情報は画像メモリ450に格納されている。
なお、本例に説明したインクジェット記録装置310は、高画質モードでは小サイズドットを用いた画像記録が実行され、通常モードや高速記録モードでは中サイズドット及び大サイズドットが用いられた画像記録が実行されるように構成されている。つまり、高品質の画像形成は小サイズドットが高密度に配置されるので、サテライトの発生によるドット形状の変形が問題となり、噴射の後にサテライトの発生を抑制することでサテライトの発生によるドットの変形が回避され、高精細なドットが形成される。
一方、通常モードや高速モードでは、中サイズドットや大サイドットが用いられた短いサイクルの連続噴射が行われるので、噴射後のメニスカスの振動が問題となる。かかる高速(通常)モードでは、メニスカス静定波形の作用により噴射後のメニスカスの振動が素早く収束し、短いサイクルの連続噴射におけるノズル抜け等の不具合が防止される。
なお、本例の変形例として、中サイズドットに対応する噴射波形の後にサテライト抑制波形が印加されるように基準駆動波形を変形して、中サイズドットが形成される場合の噴射において、サテライトの発生を抑制するように構成する態様も可能である。
〔他の装置への応用例〕
上記の実施形態では、グラフィック印刷用のインクジェット記録装置への適用を例に説明したが、本発明の適用範囲はこの例に限定されない。例えば、電子回路の配線パターンを描画する配線描画装置、各種デバイスの製造装置、吐出用の機能性液体として樹脂液を用いるレジスト印刷装置、カラーフィルタ製造装置、マテリアルデポジション用の材料を用いて微細構造物を形成する微細構造物形成装置など、液状機能性材料を用いて様々な形状やパターンを得るインクジェットシステムにも広く適用できる。
上記の実施形態では、グラフィック印刷用のインクジェット記録装置への適用を例に説明したが、本発明の適用範囲はこの例に限定されない。例えば、電子回路の配線パターンを描画する配線描画装置、各種デバイスの製造装置、吐出用の機能性液体として樹脂液を用いるレジスト印刷装置、カラーフィルタ製造装置、マテリアルデポジション用の材料を用いて微細構造物を形成する微細構造物形成装置など、液状機能性材料を用いて様々な形状やパターンを得るインクジェットシステムにも広く適用できる。
10…インクジェット噴射装置、12,348,348M,348K、348C,348Y…インクジェットヘッド、14…駆動装置、16…圧電アクチュエータ、18…波形生成部、20…波形選択部、24,448…ヘッド駆動部、27…圧電素子、28…ノズル、100,200…基準駆動波形、102,202…噴射波形、104,204…非噴射波形、106,206…噴射兼非噴射波形、310…インクジェット記録装置、442…システム制御部
Claims (14)
- 記録媒体へ液滴を噴射するノズルと、前記ノズルと連通する液室と、所定の駆動信号が供給されると前記液室内の液体を加圧する圧電アクチュエータと、を備えたインクジェットヘッドと、
所定の駆動信号を供給して前記インクジェットヘッドを駆動する駆動手段であって、少なくとも2種類のサイズのドットを選択的に形成するように前記インクジェットヘッドを駆動する駆動手段と、
前記ノズルから液滴を噴射させるための複数の噴射波形と、前記ノズルから液滴を噴射させずに噴射波形による噴射後のメニスカスの振動を抑制するための非噴射波形と、を1噴射周期内に含む基準駆動波形を生成する波形生成手段と、
前記記録媒体に形成すべきドットのサイズデータを取得するデータ取得手段と、
前記基準駆動波形から、前記サイズデータに応じた波形を選択する波形選択手段と、
前記選択された波形が含まれる駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、
を備え、
前記複数の噴射波形のうち、少なくとも1つは非噴射波形としても用いられる兼用波形であることを特徴とするインクジェット噴射装置。 - 前記基準駆動波形は、前記兼用波形の所定の時間間隔の前に第1の噴射波形を有し、
前記選択手段により、前記兼用波形とともに前記第1の噴射波形が選択された場合には、前記兼用波形は、前記第1の噴射波形による噴射後のメニスカスの振動を抑制する非噴射波形として動作することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット噴射装置。 - 前記第1の噴射波形の始端から前記兼用波形の始端までの時間間隔は、前記インクジェットヘッドの構造から求められるヘルムホルツ周期をTC、nを正の整数としたときに、{TC×(2×n−1)}/2と略同一であることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット噴射装置。
- 前記兼用波形の振幅は、前記第1の噴射波形の振幅の0.1倍〜0.8倍であることを特徴とする請求項2又は3に記載のインクジェット噴射装置。
- 前記兼用波形は、前記ノズルから液滴を噴射させない場合には、メニスカスを振動させるための波形として用いられることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のインクジェット噴射装置。
- 前記基準駆動波形は、前記第1の噴射波形により形成されるドットよりも大きいサイズのドットを形成可能な第2の噴射波形を有し、
前記非噴射波形は、前記第2の噴射波形による噴射後のメニスカスの振動を抑制する波形であることを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載のインクジェット噴射装置。 - 前記非噴射波形の振幅は、前記兼用波形の振幅よりも大きいことを特徴とする請求項6に記載のインクジェット噴射装置。
- 前記第2の噴射波形は、前記兼用波形の所定の時間間隔の後に設けられており、
前記波形選択手段により前記兼用波形と前記第2の噴射波形とがともに選択されると、前記第2の噴射波形のみにより形成されるドットよりも大きいサイズのドットを形成可能なことを特徴とする請求項6又は7に記載のインクジェット噴射装置。 - 前記基準駆動波形は、前記兼用波形の所定の時間間隔の後に、前記兼用波形によって吐出される液滴を分断することにより前記ノズルから液滴を噴射させるための分断波形を有し、
前記波形選択手段により前記兼用波形とともに前記分断波形が選択された場合に形成されるドットのサイズは、前記第1の噴射波形により形成されるドットよりも小さいことを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載のインクジェット噴射装置。 - 前記非噴射波形は、前記兼用波形及び前記分断波形による噴射後のメニスカスの振動を抑制する波形であり、
前記分断波形の始端から前記非噴射波形の始端までの時間間隔は、前記インクジェットヘッドの構造から求められるヘルムホルツ周期をTC、nを正の整数としたときに、{TC×(2×n−1)}/2と略同一であることを特徴とする請求項9に記載のインクジェット噴射装置。 - 前記基準駆動波形は、前記第1の噴射波形の所定の時間間隔の前に第3の噴射波形を有し、
前記波形選択手段により前記第1の噴射波形と前記第3の噴射波形とがともに選択されると、前記第1の噴射波形のみにより形成されるドットよりも大きいサイズのドットを形成可能なことを特徴とする請求項9又は10に記載のインクジェット噴射装置。 - 前記兼用波形の振幅は、前記非噴射波形の振幅よりも大きいことを特徴とする請求項11に記載のインクジェット噴射装置。
- 請求項1から12のいずれかに記載のインクジェット噴射装置と、
前記記録媒体と前記インクジェットヘッドとを相対的に移動させる移動手段と、
を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。 - 記録媒体へ液滴を噴射するノズルと、前記ノズルと連通する液室と、所定の駆動信号が供給されると前記液室内の液体を加圧する圧電アクチュエータと、を備えたインクジェットヘッドの噴射方法であって、
前記ノズルから液滴を噴射させるための複数の噴射波形と、前記ノズルから液滴を噴射させずに噴射波形による噴射後のメニスカスの振動を抑制するための非噴射波形と、を1噴射周期内に含む基準駆動波形であって、前記複数の噴射波形のうち、少なくとも1つは非噴射波形としても用いられる兼用波形である基準波形を生成し、
前記記録媒体に形成すべきドットのサイズデータを取得し、
前記基準駆動波形から、前記サイズデータに応じた波形を選択し、
前記選択された波形が含まれる駆動信号を生成し、
前記生成された駆動信号を前記インクジェットヘッドへ供給して液滴を噴射させることを特徴とするインクジェット噴射方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010047680A JP2011183550A (ja) | 2010-03-04 | 2010-03-04 | インクジェット噴射装置及びインクジェット噴射方法並びにインクジェット記録装置 |
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