JP5285742B2 - 液体吐出装置及びその吐出制御方法並びにインクジェット装置 - Google Patents

液体吐出装置及びその吐出制御方法並びにインクジェット装置 Download PDF

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Description

本発明は液体吐出装置及びその吐出制御方法並びにインクジェット装置に係り、特に、回路制御素子の故障等により制御不良となったイジェクタ(液滴吐出機構)からの常時吐出を防止するために好適な技術に関する。
インクジェットプリントヘッドに代表される液滴吐出ヘッドは、液滴を吐出する複数のイジェクタを備える。各イジェクタは吐出口となるノズルと、ノズルに連通する圧力室と、圧力室内に充填された液体に吐出力(圧力)を付与する圧力発生素子と、を含んで構成される。各イジェクタに対応して設けられた複数の圧力発生素子は、回路制御素子と電気配線で接続される。回路制御素子内には、外部からの信号によりON/OFFを切り替えることができる複数のスイッチを有する。各圧力発生素子はそれぞれスイッチを介して駆動回路に接続される。圧力発生素子に繋がるスイッチのON/OFFを制御することで、圧力発生素子への駆動電圧の印加を制御し、ノズルからの液滴の吐出を制御している。
このような構成において、何らかの理由で回路制御素子の一部が故障し、複数のイジェクタの一部が制御不能になる場合がある。例えば、圧力発生素子に繋がるスイッチをOFF状態とする制御信号を外部から与えているにもかかわらず、そのスイッチが常時ON状態になるという故障が起こりうる。この場合、その故障したスイッチに繋がるイジェクタから不必要な吐出が行われてしまい、出力画像の品質が損なわれる。
このような問題に対処するため、特許文献1には、吐出異常があるイジェクタに繋がる配線を切断することで不吐出化する方法が記載されている。その具体的な手段として、ヘッドのノズル面側からレーザを用い、その配線を切断するという方法が示されている。
特開2006−142504号公報
しかし、特許文献1に記載の方法では、吐出異常があるイジェクタに繋がる配線がノズルプレート近くにある場合にしか適用できない。また、プリントヘッドを搭載したインクジェット装置上で吐出異常が発生した場合、装置からプリントヘッドを取り外さないと適用できない。仮に、インクジェット装置にレーザ発生装置を付加する構成を採用するとその分コストアップになる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、回路制御素子(ASIC)の故障など制御不良が発生した場合でも常時吐出を防止し、ヘッドを交換修理することなく、ヘッドの使用を継続することができる液体吐出装置及びその吐出制御方法並びにインクジェット装置を提供することを目的とする。
本発明は前記目的を達成するために、液滴を吐出する吐出口となる複数のノズルと、前記複数の前記ノズルから液滴を吐出させる吐出エネルギーを発生させる手段として各ノズルのそれぞれに対応して設けられている圧力発生素子と、前記各ノズルに対応する複数の前記圧力発生素子のそれぞれに接続される複数のスイッチを含んだ回路制御素子と、前記各圧力発生素子に繋がる前記複数のスイッチの一端に供給する電圧波形を出力する電圧波形生成手段と、前記複数のスイッチの開閉を制御する制御信号を出力するスイッチ制御手段と、を備え、前記電圧波形生成手段で生成される前記電圧波形は、前記制御信号に基づく前記スイッチの開閉制御によって当該電圧波形の一部が前記圧力発生素子に印加された場合に、当該一部の波形部分が印加された圧力発生素子に対応するノズルから液体が吐出される一方、前記電圧波形の全体が前記圧力発生素子に印加された場合に、当該電圧波形全体が印加された圧力発生素子に対応するノズルから液体が吐出されない波形であることを特徴とする液体吐出装置を提供する。
本発明の他の態様については、本明細書及び図面の記載により明らかにする。
本発明によれば、圧力発生素子に繋がるスイッチの故障等により、スイッチの開閉を制御できない状態に陥り、当該スイッチが常時オンの状態になった場合であっても、ノズルから液滴が吐出しない。したがって、制御不能イジェクタの常時吐出を防止することができる。
インクジェットヘッドの内部構造を示す断面図 液体吐出装置の要部構成を模式的に示した平面図 本実施形態に係る液体吐出装置の簡易回路図 回路制御素子が故障した場合の説明図 第1実施例に係る駆動波形の波形図 図5の駆動波形を用いた場合における副波形、主波形の選択パターンと吐出状態(吐出する/しない)の関係をまとめた図表 第2実施例に係る駆動波形の波形図 第3実施例に係る駆動波形の波形図 図8の駆動波形を用いた場合における副波形、主波形の選択パターンと吐出状態(吐出する/しない)の関係をまとめた図表 第4実施例に係る駆動波形の波形図 第5実施例に係る駆動波形の波形図 第6実施例に係る駆動波形の波形図 第7実施例に係る駆動波形の波形図 第8実施例に係る駆動波形の波形図 図14の駆動波形を用いた場合における副波形、主波形の選択パターンと吐出状態(吐出する/しない)の関係をまとめた図表 本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の構成例を示すブロック図 インクジェット記録装置の全体構成図 インクジェット記録装置の要部構成を示すブロック図
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について詳細に説明する。
〔液滴吐出装置の構成例〕
ここでは、圧力発生素子として圧電素子を用いるインクジェットヘッド及びこれを搭載したインクジェット装置について説明する。図1は実施形態に係るインクジェットヘッド10(「液体吐出ヘッド」に相当)の内部構造を示す断面図である。同図では1つのイジェクタ20のみを図示するが、インクジェットヘッド10は複数のイジェクタ20を有する。イジェクタ20は、液滴の吐出口としてのノズル22と、ノズル22に連通する圧力室24と、圧力室24内の液体(本例の場合、インク)に吐出エネルギーを与えるための圧力変化を発生させる圧力発生素子30と、を含んで構成される。
本例の圧力室24は、その平面形状が概略六角形となっており(図2参照)、対角線上の両隅部の一方にはノズル22に繋がるノズル流路23が設けられ、他方の隅部に当該圧力室24へのインク流入口となる供給口25が設けられている。圧力室24の形状は、本例の構成に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
各圧力室24は供給口25を介して共通流路28に接続されている。共通流路28は図示せぬ流路を介してインクタンク(不図示のインク供給源)と接続されている。インクタンクから供給されるインクは共通流路28を介して各圧力室24に供給される。
本例の圧力発生素子30は、下部電極(共通電極)32、圧電体33、上部電極(個別電極)34が順に積層された構造を有する圧電素子である。圧力室24の一部の面(図1において天面)を構成する振動板36は、圧力発生素子30の下部電極32に相当する共通電極として機能する金属層(導電層)付きのシリコン(Si)から成る。振動板36の材質はシリコンに限らず、樹脂などの非導電性材料によって形成する態様も可能であり、この場合は、振動板部材の表面に金属などの導電材料による共通電極層が形成される。また、ステンレス鋼(SUS)など、金属(導電性材料)によって共通電極を兼ねる振動板を構成してもよい。
振動板36に圧力発生素子30が積層された構造により、圧電ユニモルフアクチュエータが構成される。圧力発生素子30の電極(32,34)間に電圧を印加することによって圧電体33を変形させ、振動板36を撓ませることで圧力室24の容積を変化させる。この容積変化に伴う圧力変化により、ノズル22からインクが吐出される。インク吐出後に圧力発生素子30が元の状態に戻る際に、共通流路28から供給口25を通って新しいインクが圧力室24に充填(リフィル)される。本例では圧電体のd31モードの歪み変形を利用して振動板36を撓ませる構成を例示しているが、d33モードを利用する形態やシェアモード(せん断変形)を利用して吐出を行う形態も可能である。
図1のような構成のインクジェットヘッド10は、ノズル22が形成されたノズルプレート40と、各ノズル22に対応する圧力室24や共通流路28等の流路が形成された流路板42等を積層接合することにより作製することができる。ノズルプレート40に複数のノズル22が二次元配列により形成され、インク吐出面(ノズル面)40Aには撥液性を有する撥液膜44が形成されている。
流路板42は、圧力室24の側壁部を構成するとともに、共通流路28から圧力室24にインクを導く個別供給路の絞り部(最狭窄部)としての供給口25を形成する流路形成部材である。図1では簡略的に図示しているが、流路板42は一枚又は複数の基板を積層した構造である。ノズルプレート40及び流路板42は、シリコンを材料として半導体製造プロセスによって所要の形状に加工することが可能である。
図2は本実施形態による液体吐出装置の要部構成を模式的に示した平面図である。図2に示すように、複数の圧力発生素子30は、ヘッド内におけるイジェクタ(図1の符号20)の配列形態に対応して配置されている。各圧力発生素子30は、それぞれ電気配線50によって回路制御素子60と接続されている。
図3は本実施形態に係る液体吐出装置の簡易回路図である。図3では図示の便宜上、圧力発生素子30の個数を減らして示した。図3に示すように、回路制御素子60内には複数のスイッチ62が含まれる。各スイッチ62はそれぞれ圧力発生素子30と接続されている。これらスイッチ62は、外部から与えられる制御信号(スイッチ選択信号)に応じて開閉制御される。回路制御素子60は、入力されるスイッチ選択信号にしたがい、対応するスイッチ62の開閉を行う制御回路が組み込まれている。このような回路制御素子60はASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成される。
インクジェットヘッド制御回路基板64は、ヘッド内の各圧力発生素子30を駆動して吐出を実行するための駆動制御手段(ヘッド駆動装置)として機能する。インクジェットヘッド制御回路基板64は、スイッチ62の開閉を制御するスイッチ選択信号の出力回路(図示せず)を含んでいる。スイッチ選択信号は、回路制御素子60内のスイッチ62のON/OFFを制御するための信号である。スイッチ選択信号にしたがって、スイッチ62の状態(ON/OFF)が切り替わる。
また、インクジェットヘッド制御回路基板64は、圧力発生素子30に印加する電圧波形(駆動波形)のデータを記憶する波形メモリと、波形データに対応した駆動波形の信号(駆動信号)を出力する駆動電圧出力回路(図示せず)を含んでいる。詳細は後述するが、波形メモリには、記録解像度から規定される1画素(1打滴点)の記録を担う1印字周期の駆動波形のデータが格納される(図5、図7、図8、図10〜図14参照)。
図3のように、インクジェットヘッド制御回路基板64から出力される駆動波形(電圧波形)は、各圧力発生素子30に繋がる複数のスイッチ62の一端に対して並列に供給される。回路制御素子60は、インクジェットヘッド制御回路基板64から供給されるスイッチ選択信号を使って、各圧力発生素子30に繋がるスイッチ62のON(閉)/OFF(開)を切り替える。スイッチ62のON/OFFによって、圧力発生素子30への駆動電圧の印加/非印加が制御される。
また、駆動波形の全体(以下、一記録周期の駆動波形の単位を「1駆動波形」と言う。)のうち、必要な部分だけを圧力発生素子30に印加するように、1駆動波形内でスイッチ62のON/OFFを切り換えることが可能である。1駆動波形内でスイッチをON/OFFする制御信号のことを「ラッチ信号」と呼ぶ。ラッチ信号はスイッチ選択信号に含まれている。
(技術課題の整理)
図4は回路制御素子60が故障した場合の説明図である。図4のように、回路制御素子60内に故障したスイッチ62Bがあると、このスイッチ62Bに繋がる圧力発生素子30Bは、吐出を望まない場合でも動作し続けてしまう。
このように、インクジェットヘッド制御回路基板64から与えられるスイッチ選択信号によらず、ある特定のスイッチ62Bが閉じたままになってしまう場合がある。そうなると、そのスイッチ62Bに繋がる圧力発生素子30Bに対して駆動波形の全体が常に印加されてしまうので、用紙上に望ましくない画像ができてしまう。
かかる課題を次の手段により解決する。
<第1実施例l;波形例1>
図5は第1実施例に係る駆動波形の例である。この駆動波形は、記録媒体上における1画素のドット記録を担う一記録周期の波形である。なお、「一記録周期」という用語は、当該分野において「一印字周期」、「一印刷周期」と呼ばれる場合がある。
図5に示すような駆動波形の波形データをインクジェットヘッド制御回路基板64上の波形メモリに記憶させる。図5において横軸は時間(単位[μs])、縦軸は電圧(単位[V])を示す。同図に示す駆動波形は、符号Aで示した波形部(時間0.0〜2.0[μs]の範囲、「波形部A」という。)と、これに続く符号Bで示した波形部(時間2.0〜10.0[μs]の範囲、「波形部B」という。)の2領域を含んで構成されている。波形部Aを「副波形」と呼び、波形部Bを「主波形」と呼ぶ。明細書中、「副波形A」、「主波形B」と表記する場合がある。主波形は吐出駆動用の波形部に相当する。副波形は主波形と組み合わされることで吐出を抑制する吐出抑制用の波形部に相当する。
図5の波形部Aは、基準電位Vref(=15V)から電位Va(=2V)まで電位を下げる立ち下がりの波形要素a1と、波形要素a1に続いて電位Va(=2V)から基準電位Vref(=15V)まで電位を上昇させる立ち上がりの波形要素a2とを含んで構成される。
波形部Bは、波形要素a2に続いて基準電位Vref(=15V)から電位Vb(=4V)まで電位を下げる立ち下がりの波形要素b1と、波形要素b1に続いて電位Vb(=4V)を保持する波形要素b2と、波形要素b2に続いて電位Vbから基準電位Vref(=15V)まで電位を上昇させる立ち上がりの波形要素b3と、波形要素b3に続いて基準電位Vref=15Vを保持する波形要素b4とを含んで構成される。
波形要素b1、b2、b3からなるパルスは、いわゆる引き-押し(pull-push)型の波形である。すなわち、波形要素b1は、圧力室の体積(容積)を拡張させる方向に圧電素子(図1の圧力発生素子30)を変形させる「引き(pull)」動作の駆動を行う。波形要素b2は、波形要素b1の引き動作で圧力室を拡張させた状態を維持(保持)する。波形要素b3は、圧力室を収縮させる方向に圧電素子を変形させる「押し(push)」動作の駆動を行う。
図5における副波形の波形要素a1は「引き」動作、波形要素a2は「押し」動作に対応している。なお、本例の場合、インクジェットヘッド10の圧力系の固有周期(共振周期)Tcは4μsであり、各波形要素(a1、a2、b1、b2、b3、b4)の境界(始点、終点)に対応する時間([μs]を単位とする時間軸の値)は「0.0」、「0.5」、「2.0」、「2.5」、「4.0」、「4.5」、「32.1」である。
図中の黒三角印「▼」は、ラッチタイミングを表している。このラッチタイミングでスイッチ(図3の符号62)の開閉を制御し、圧力発生素子(図3の符号30)に対して電圧を印加するか、しないかを選択する。図5に示した2つの「▼」が示すラッチタイミングのうち、先行する波形部Aの手前のラッチタイミングを「ラッチ1」、後続に係る波形部Bの手前のラッチタイミングを「ラッチ2」と呼ぶ。
副波形(波形部A)を圧力発生素子に印加するか否かは、副波形(波形部A)の前のラッチ1により、スイッチを開閉して選択する。主波形(波形部B)を圧力発生素子に印加するか否かは、主波形(波形部B)の前のラッチ2により、スイッチを開閉して選択する。
印刷すべき画像ファイル(PDF、TIFFなど)にRIP(Raster Image Processor)などの画像処理をかけることで、インクジェットヘッド10に複数個存在するノズルのうち、どのノズルからどのタイミングで液滴を吐出するかが決定される。
吐出させたいノズルの場合、ラッチ1で副波形をOFFにし、ラッチ2で主波形をONにする。吐出させたくないノズルの場合、ラッチ1で副波形をOFFにし、ラッチ2で主波形をOFFにする。回路制御素子60に故障がなければ、上記の制御によって正常に吐出の制御が行われる。
何らかの原因で回路制御素子60内の一部のスイッチ62Bが故障している場合(図4参照)、ラッチ1、ラッチ2によるスイッチ62Bの開閉を制御できず、この制御不能なスイッチ62Bに繋がる圧力発生素子30Bに副波形も主波形もともに印加される。
しかしながら、図5に示した駆動波形は、副波形と主波形が連続して圧力発生素子に印加されると液滴が吐出しないものとなっている。
これは、副波形によって作られる圧力波が、主波形が作る圧力波の少なくとも一部をキャンセルするように、副波形を設計しているからである。図5の波形で具体的に説明すると、副波形の立ち下げ部分(波形要素a1)によって作られる圧力波が、主波形の立ち下げ部分(波形要素b1)による圧力波をキャンセルする。この効果により、副波形と主波形が連続して圧力発生素子に印加されると液滴は吐出しない。
このように圧力波をキャンセルさせるためには、圧力室系の固有周期(「ヘッド共振周期」と呼ばれる場合もある。)を考慮して駆動波形を設計することが効果的である。圧力室系の固有周期(ヘルムホルツ固有振動周期)Tcは、インク流路系、インク(音響要素)、圧電素子の寸法、材料、物性値等から定まる振動系全体の固有周期である。固有周期Tcは、ヘッドの設計値(使用するインクの物性値を含む)から音響回路を計算することによって求めることができる。また、ヘッド設計値から推定する方法に限らず、実験によってTcを測定する方法もある。
例えば、単純な矩形波をつかって液滴の吐出状況を調べる実験を行う。矩形波のパルス幅を徐々に変化させて滴速と滴量を調べると、パルス幅の変化に対して、滴速度、滴量はともに、山なりに変化し、それぞれ増加から減少に転じるピークが現れる。滴速度がピーク(極大値)となるパルス幅と、滴量がピークとなるパルス幅とは必ずしも一致せず、両者に若干のずれが生じうるが、これらの測定結果からピーク位置の約2倍がTcとして計算される。
本実施例のインクジェットヘッド10における圧力室系の固有周期Tcは4μsとしている。この場合、半固有周期(Tc/2)は2μsである。図5に示す駆動波形は、主波形に先行する副波形を印加することによって、主波形印加時の吐出効率を低下させる観点から、副波形の立ち下げ部分(波形要素a1)と、主波形の立ち下げ部分(波形要素b1)とを約2μs(半固有周期)だけ離して波形が設計されている。
これにより、波形要素a1で発生する圧力波と波形要素b1で発生する圧力波とが打ち消し合い、圧力波を効果的にキャンセルさせることができる。
<主波形の好ましい条件について>
ピエゾジェット方式のインクジェットヘッドの場合、1ノズルの吐出機構(イジェクタ20)は、ノズル孔(吐出口)に連通する圧力室に圧電素子が設けられ、この圧電素子を駆動して圧力室内の液に圧力変動を与え、ノズル孔から液滴の吐出を行う仕組みとなっている。図5に示す主波形は、基準電位から電圧を下げると、圧力室が膨張するため、圧力は低下し、ノズル内のメニスカスは圧力室の方向(吐出方向と反対向きの方向)に引き込まれる。この「引き」波形要素b1の印加によりメニスカスの引き込み動作が開始された後、引き電圧を一定に維持すると(波形要素b2)、振動系の固有振動周期でメニスカスが振動する。このメニスカス振動によって丁度吐出方向の速度が最大となるときに、圧力室を収縮させれば(波形要素b3)、最も加速されるところで、液滴を吐出することができる。このようなメニスカスの動きと、駆動波形による引き押しのサイクルを合わせることで効率的な吐出が可能である。
メニスカス振動の1周期が1共振周期Tcになるため、その約半分(Tc/2)でパルス幅を区切ると最も効率がよい。図5に例示した駆動波形10は、パルス幅をTc/2とほぼ一致させた例となっている。
図5で説明したように、主波形の前に副波形を入れている場合、副波形部分で吐出しないように波形が設計される。図5で示した波形要素a1、a2から成る三角波形の場合、これだけが圧力発生素子30に印加されても、ノズルからインクが吐出されることはない。図5の副波形は、圧力室系の固有振動(共振)に適合したパルス幅となっておらず、吐出に必要な圧力波が効率的に発生しないためである。
主波形に先行する副波形は、当該副波形部分が圧力発生素子30に印加されても吐出が行われず、かつ、これに続く主波形の印加による吐出を抑制する(圧力波を打ち消す)ことが求められる。実験によれば、副波形(図5では三角波形)の最低電圧(Va)は、主波形(図5では矩形波)部分の最低電圧以下であることが好まく、副波形の最低電圧(Va)は、主波形の最低電圧よりも低い方がより好ましい。
図5では、副波形の最低電圧(電位Va=2V)が、主波形の最低電圧(電位Vb=4V)よりも低く設定されている。本願の発明者らが実験やシミュレーションを実施したところ、Va≦Vbとなる条件を満たす構成の方が圧力波をキャンセルする(吐出効率を抑制する)効果が高いことが明らかになったためである。
副波形の最低電圧(電位Va)の条件を変えて吐出状態を調べた結果、副波形の最低電圧(電位Va)を、主波形の電圧振幅(基準電位Vrefと、最低電位Vbとの電位差、図5の例において11V)から0%〜30%低めに設定することが望ましい。図5の例では、主波形の電圧振幅(11V)に対して18%低めの「2V」を副波形の最低電圧とした。
本例では、電圧の立ち下げによって圧力室を膨張させ、電圧の立ち上げによって圧力室を収縮させる構成としたため、上記の関係となっているが、逆に、電圧の立ち上げによって圧力室を膨張させ、電圧の立ち下げによって圧力室を収縮させるような駆動方式を採用することも可能である。この場合、基準電位に対するパルス(波形部)の電位差を電圧振幅とすると、副波形の電圧振幅を主波形の電圧振幅以上とする構成が好ましい。
なお、図5のように、ラッチを入れてスイッチ62を開閉するには、通常、0.1〜1μs等の時間が必要である。この時間の長さは、駆動回路やASIC性能に依存する。スイッチ62の開閉動作を安定的に行う場合には、ラッチ(▼)の部分に平坦電圧部分を設けることが望ましい。図5に示した第1実施例では、スイッチ62の安定動作を確保する時間長さの平坦電圧部分を省略して記載している。このような平坦電圧部分は、動作の安定性を向上させる点で有益な構成であるが、発明の実施に際して不可欠な要素ではない。
<圧力発生素子への印加波形と吐出状態の関係>
図6は、図5に例示した駆動波形を用いた場合における副波形、主波形の選択パターンと吐出状態(吐出する/しない)の関係をパターン分けして表にまとめたものである。図6に示すように、印刷すべき画像内容において、ノズルに対応する画像情報がない場合には、ラッチ1、2で副波形及び主波形をともにオフにする。これにより、当該ノズルから液滴が吐出しない状態となる。
ノズルに対応する画像情報がある場合には、ラッチ1で副波形をオフ、ラッチ2で主波形をオンにする。回路制御素子60のスイッチ62が正常に機能している場合には、ラッチ1、2による制御が有効に働き、圧力発生素子30には主波形のみが印加される。副波形がオフされ、主波形のみが独立して印加されることにより、当該ノズルから液滴が吐出される。
上記のような吐出制御方法を採用した場合、回路制御素子(ASIC)60の故障等によって、常時オンとなったスイッチに繋がる圧力発生素子に対しては、ラッチ1、2によるスイッチの開閉制御が不能となる。このため、副波形及び主波形がともにオンとなって、駆動波形の全体が当該圧力発生素子に印加される。このとき、ノズルから液滴は吐出しない。
<「不吐出」、「吐出しない」という用語の概念について>
本明細書内で使用する「不吐出」、「吐出しない」という用語は、装置の用途に応じて
次の3つのいずれかの状態を意味するものとして解釈する必要がある。
(1)液滴がノズルから離れない。
(2)液滴はノズルから離れるが、用紙などの記録媒体(ベース)には着弾しない。
例えば、滴量が非常に小さく、ベースまで到達できずに、どこかへ飛んでいってしまう場合、或いは、ファンなどによって回収されてしまうような場合がこれに該当する。
(3)液滴がベースに着弾はするが、記録ドットとして機能しない。例えば、次のような例を挙げることができる。
<例1>:ベースに着弾しても、人間の目には判別できないレベルの小さい滴である。吐出効率が悪く、着弾滴が「ドット」として視認できないほど小さい。
<例2>:マテリアルデポジションに拡張した場合、例えば、銅配線のパターンを作ろうとしている場合に、液滴が小さすぎて、着弾液滴が繋がらずに配線として機能しない。
上記のように、液滴吐出装置の用途によって「不吐出」或いは「吐出しない」という用語の意味(許容範囲)が若干異なる。
高精細画像をプリントするインクジェット印刷機の場合には、ベース(記録媒体)に液滴が着弾しないことが望まれるので、(1)か(2)の概念で解釈し、銅配線を形成する配線描画装置の場合で、導通/非導通が重視されるような場合には(3)を含む概念に拡げることができる。
<第2実施例;波形例2>
第1実施例の技術思想をより一般的に記述すると、同じ方向の電圧変化を(2n+1)×(Tc/2)だけ離せば、圧力波はキャンセルする(ただし、nは0以上の整数)。図5は、副波形の波形要素a1と、主波形の波形要素b1は、同じ形の電圧変化であり、n=0の場合に該当する。
図7は、第2実施例に係る駆動波形の例である。図7に示す駆動波形は、n=1の場合に相当する。図7中、図5の例と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。図7の駆動波形は、副波形の立ち上げ(波形要素a2)の後に、基準電位を保持する波形要素a3がある。この波形要素a3に続いて主波形の立ち下げ(波形要素b1)が入る。
各波形要素(a1、a2、a3、b1、b2、b3、b4)の境界(始点、終点)に対応する時間([μs]を単位とする時間軸の値)は「0.0」、「0.5」、「2.0」、「6.0」、「6.5」、「8.0」、「8.5」、「32.1」である。
図7において、副波形の立ち下げ(波形要素a1)と主波形の立ち下げ(波形要素b1)の間の時間間隔が6μs、すなわち、3×(Tc/2)だけ離れている。これにより、副波形(波形部A)の立ち下げ(波形要素a1)で発生する圧力波と主波形(波形部B)の立ち下げ(波形要素b1)で発生する圧力波とが打ち消し合う。
図7に示す駆動波形における副波形、主波形の選択パターンと吐出状態(吐出する/しない)の関係のパターン分けは、図6と同様であるため、記載を省略する。
<第3実施例;波形例3>
第1実施例(図5)及び第2実施例(図7)では、主波形が1パルスのみの構成であったが、本発明はマルチパルスにも適用することができる。図8にその例を示す。図8は、第3実施例に係る駆動波形の例である。図8の例において、図5の例と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。また、圧力室系の固有周期Tcは、4μsであるとする。
図8に示す駆動波形は、符号A、C、Eで示した各波形部がそれぞれ副波形に相当し、符号B、D、Fで示した各波形部がそれぞれ主波形に相当する。
副波形Aと主波形Bの関係は図5で説明した例と同様である。また、図8における副波形Cと主波形Dの関係、副波形Eと主波形Fの関係も、副波形Aと主波形Bの関係と同様である。すなわち、副波形Cの波形要素C1で発生する圧力波と主波形Dの波形要素d1で発生する圧力波が打ち消し合う。副波形Eの波形要素e1で発生する圧力波と主波形Fの波形要素f1で発生する圧力波が打ち消し合う。
波形要素C1、C2からなる副波形Cのパルスの手前にラッチのタイミング(「ラッチ3」という。)がある。波形要素d1、d2、d3、d4からなる主波形のパルスの手前にラッチのタイミング(「ラッチ4」という。)がある。波形要素e1、e2からなる副波形Eのパルスの手前にラッチのタイミング(「ラッチ5」という。)がある。波形要素f1、f2、f3、f4からなる主波形のパルスの手前にラッチのタイミング(「ラッチ6」という。)がある。このように、各パルスの前にラッチ1〜6があり、スイッチ62の開閉を制御する。
各波形要素(a1、a2、b1、b2、b3、b4、c1、c2、d1、d2、d3、d4、e1、e2、f1、f2、f3、f4)の境界(始点、終点)に対応する時間([μs]を単位とする時間軸の値)は「0.0」、「0.5」、「2.0」、「2.5」、「4.0」、「4.5」、「5.0」、「5.5」、「7.0」、「7.5」「9.0」、「9.5」、「10.0」、「10.5」、「12.0」、「12.5」、「14.0」、「14.5」「32.1」である。
図8のようなマルチパルスを利用するメリットは、印加する主波形の組み合わせによって、吐出液滴の体積を変化させることができることである。例えば、主波形Bのみを印加すると小滴、主波形Bと主波形Dを印加すると中滴、主波形Bと主波形D及び主波形Fを印加すると大滴、という具合に滴サイズを変更することができる。
図8の駆動波形を用いた場合における副波形、主波形の選択パターンと吐出状態(吐出する/しない)の関係をパターン分けして図9の表にまとめた。記録を行わない場合には、全てのラッチ1〜6でオフを指令し、副波形A、C、E、主波形B、D、Fを全てオフにする。これにより、ノズルから液滴は吐出されない。
小滴を吐出させるノズルに対しては、副波形A、C、Eをオフ、主波形Bをオン、他の主波形D、Fをオフにする。
中滴を吐出させるノズルに対しては、副波形A、C、Eをオフ、主波形B、Dをオン、他の主波形Fをオフにする。これにより、当該ノズルの圧力発生素子には、主波形B、Dが連続的に印加され、2発の連射によって中滴のドットが記録される。
大滴を吐出させるノズルに対しては、副波形A、C、Eをオフ、主波形B、Dをオン、他の主波形Fをオンにする。これにより、当該ノズルの圧力発生素子には、主波形B、D、Fが連続的に印加され、3発の連射によって大滴のドットが記録される。
回路制御素子60内のスイッチが故障して常時オンの状態になると、ラッチ1〜6による制御が不能となり、駆動波形の全体(副波形A、C、E、主波形B、D、F)が圧力発生素子に印加される。この場合、図6で説明した例と同様に、ノズルから液は吐出されない。
なお、図9では、駆動波形の前側から主波形を選択して、主波形Bのみで小滴、主波形B+Dで中滴、主波形B+D+Fで大滴としたが、滴サイズの変更に際して、パルスの選択方法はこれに限定されない。例えば、駆動波形の後ろ側から主波形を選択して、主波形Fのみで小滴、主波形D+Fで中滴、主波形B+D+Fで大滴とする構成も可能である。
<第4実施例;波形例4>
第1実施例〜第3実施例で例示したように、主波形の前に副波形を入れている場合、副波形部分で吐出しないように構成する。図5、図7、図8で示した三角波形による副波形の場合、副波形単独で圧力発生素子30に印加されても、吐出することはない。これは、三角波のパルス幅と圧力室系の共振の周期との関係から、圧力波が効率的に発生しないためである。圧力波が効率的に発生しない波形として、三角波形以外の手段も可能である。
図10は第4実施例に係る駆動波形の波形図である。図10の駆動波形は、副波形Aの立ち上げ部分で、電圧を段階的に(ステップ状に)上昇させる構成となっている。すなわち、図10の副波形Aは、立ち下げの波形要素a1、電圧保持の波形要素a12、立ち上げの波形要素a21、電圧保持の波形要素a22、立ち上げの波形要素a23、電圧保持の波形要素a24、立ち上げの波形要素a25、電圧保持の波形要素a3から構成されている。主波形Bの構成は図5の例と同様である。各波形要素(a1、a12、a21、a22、a23、a24、a25、a3、b1、b2、b3、b4)の境界(始点、終点)に対応する時間([μs]を単位とする時間軸の値)は「0.0」、「0.5」、「0.7」、「0.9」、「1.1」、「1.3」、「1.7」、「2.0」、「2.5」、「4.0」、「4.5」、「32.1」である。
電圧の立ち上げ部分(波形要素a21〜a25)において、段階的に電圧を上げていく波形を採用することにより、吐出効率は低下する。このため、副波形Aが単独で印加されても吐出しない。
また、副波形Aの立ち下げ部分(波形要素a1)と主波形Bの立ち下げ部分(波形要素b1)との間の時間間隔を半固有周期(Tc/2)の奇数倍とする構成により、副波形Aと主波形Bを組み合わせて印加した場合に圧力波をキャンセルする効果が得られる。図10の例では、圧力室系の固有周期Tc=4μsのヘッドに対して、波形要素a1と波形要素b1が2μsだけ離れている。よって、図10の駆動波形全体が圧力発生素子に印加された場合、液滴は吐出しない。
図10に示す駆動波形における副波形、主波形の選択パターンと吐出状態(吐出する/しない)の関係のパターン分けは、図6と同様であるため、記載を省略する。
<第5実施例;波形例5>
図11は第5実施例に係る駆動波形の波形図である。図11において、図10の構成例と同一の要素には同一の符号を付した。図11の駆動波形は、副波形Aの立ち上げ部分がS字カーブに沿う構成となっている。このような構成を採用しても、圧力波の発生効率を下げることができる。
このため、副波形Aが単独で印加されても吐出しない。また、副波形Aの立ち下げ部分(波形要素a1)と主波形Bの立ち下げ部分(波形要素b1)との間の時間間隔を半固有周期(Tc/2)の奇数倍とする構成により、副波形Aと主波形Bを組み合わせて印加した場合に圧力波をキャンセルする効果が得られる。図11の例では、圧力室系の固有周期Tc=4μsのヘッドに対して、波形要素a1と波形要素b1が2μsだけ離れている。よって、図11の駆動波形全体が圧力発生素子に印加された場合、液滴は吐出しない。
<第6実施例;波形例6>
図12は第6実施例に係る駆動波形の波形図である。図12の例では、副波形Aの電圧立ち上げ部分(波形要素a2)で、主波形Bの電圧立ち上げ部分(波形要素b3)の圧力波をキャンセルするように波形が設計されている。なお、ヘッドの圧力室系の固有周期Tcは4μsとしている。
図12の副波形Aは、波形要素a1と波形要素a2からなる三角波形で構成され、これに続く主波形Bは、波形要素b1、b2、b3、b4の矩形波形(台形波形)で構成される。図12において各波形要素(a1、a2、b1、b2、b3、b4)の境界(始点、終点)に対応する時間([μs]を単位とする時間軸の値)は「0.0」、「1.5」、「2.0」、「2.5」、「3.5」、「4.0」、「32.1」である。
また、副波形Aの立ち上げ部分(波形要素a2)と主波形Bの立ち上げ部分(波形要素b3)との間の時間間隔を半固有周期(Tc/2)の奇数倍とする構成により、副波形Aと主波形Bを組み合わせて印加した場合に圧力波をキャンセルする効果が得られる。図12の例では、圧力室系の固有周期Tc=4μsのヘッドに対して、波形要素a2と波形要素b3が2μsだけ離れている。よって、図12の駆動波形全体が圧力発生素子に印加された場合、液滴は吐出しない。
図12に示す駆動波形における副波形、主波形の選択パターンと吐出状態(吐出する/しない)の関係のパターン分けは、図6と同様であるため、記載を省略する。
<第7実施例;波形例7>
図13は第7実施例に係る駆動波形の波形図である。図13に示す駆動波形は、副波形Aのパルスを主波形Bのパルスと反対方向の電圧変化とし、主波形Bに対して副波形Aを固有周期Tc分手前に置く構成となっている。なお、固有周期Tc=4μsとしている。
図13における副波形Aは、基準電位Vref(=15V)から電位Va(=28V)まで電位を上昇させる立ち上げの波形要素a5と、波形要素a5に続いて電位Va(=28V)を保持する波形要素a6と、波形要素a6に続いて電位Va(=28V)から基準電位Vref(=15V)まで電位を下げる立ち下げの波形要素a7と、波形要素a7に続いて基準電位Vref(=15V)を保持する波形要素a8とを含んで構成される。
主波形Bは、波形要素aに続いて基準電位Vref(=15V)から電位Vb(=2V)まで電位を下げる立ち下がりの波形要素b1と、波形要素b1に続いて電位Vb(=2V)を保持する波形要素b2と、波形要素b2に続いて電位Vbから基準電位Vref(=15V)まで電位を上昇させる立ち上がりの波形要素b3と、波形要素b3に続いて基準電位Vre(f=15V)を保持する波形要素b4とを含んで構成される。図13の各波形要素(a5、a6、a7、a8、b1、b2、b3、b4)の境界(始点、終点)に対応する時間([μs]を単位とする時間軸の値)は「0.0」、「0.5」、「2.0」、「2.5」、「4.0」、「4.5」、「6.0」、「6.5」、「32.1」である。
このような駆動波形によれば、主波形Bが作る圧力波を副波形Aが作る圧力波でキャンセルさせることができる。
副波形Aの立ち上げ部分(波形要素a5)と主波形Bの立ち下げ部分(波形要素b1)の間の時間間隔は、固有周期Tcだけ離れている。また、副波形Aの立ち下げ部分(波形要素a7)と主波形の立ち上げ部分(波形要素b3)の間の時間間隔は固有周期Tcだけ離れている。このように副波形Aの立ち上げ/立ち下げの波形要素と、主波形Bの立ち下げ/立ち上げの波形要素が印加される時間がTcだけ離れていることから、副波形Aが作る圧力波が、主波形Bの作る圧力波を打ち消す。これにより、副波形Aと主波形Bが連続して圧力発生素子に印加されると(図13の駆動波形の全体が印加されると)、ノズルから液は吐出しない。
また、図示の副波形Aのように、押し波形(波形要素a5)だけで吐出させようとすると、非効率であるため、この副波形Aを印加しただけでは吐出しない。
第7実施例の技術思想を一般化すると、副波形の電圧立ち上げ部分と主波形の電圧立ち下げ部分、或いは、副波形の電圧立ち下げ部分と主波形の電圧立ち上げ部分、のように、互いに反対方向の電圧変化の波形要素をTcの整数倍だけ、時間を離す。つまり、逆方向の電圧変化をもたらす波形要素が(n+1)×Tcだけ時間的に離れて印加される波形とする(ただし、nは0以上の整数)。このような構成を採用することにより、これら波形要素の印加によって生じる圧力波をキャンセルする効果が得られる。
図13の例では、副波形Aの電圧振幅(|Va−Vref|=13V)と、主波形Bの電圧振幅(|Vref−Vb|=13V)が等しい場合を例示しているが、副波形Aの電圧振幅と主波形Bの電圧振幅は異なる値であってもよい。
図5で説明したように、主波形に先行する副波形は、当該副波形部分が圧力発生素子30に印加されても吐出が行われず、かつ、これに続く主波形の印加による吐出を効果的に抑制する(圧力波を打ち消す)ことが求められる。具体的な波形は種々の設計が可能であるが、副波形Aの電圧振幅を主波形Bの電圧振幅以上とする構成が好ましい。
<第8実施例;波形例8>
図14は第8実施例に係る駆動波形の波形図である。図14に示す駆動波形は、主波形Bが印加される前に、副波形Aが存在する。この副波形Aは、基準電位Vref(=15V)から電位Va1(=28V)に電圧を上昇させる立ち上げの波形要素a5と、波形要素a5に続いて電位Va(=28V)を保持する波形要素a6と、波形要素a6に続いて電位Va1から電位Va2(=4V)まで電圧を下げる立ち下げの波形要素a7と、波形要素a7に続いて電位Va2から基準電位Vrefまで電圧を上昇させる波形要素a8と、基準電位Vref(=15V)を保持する波形要素a9とを含んで構成される。
主波形Bは、波形要素aに続いて基準電位Vref(=15V)から電位Vb(=2V)まで電位を下げる立ち下がりの波形要素b1と、波形要素b1に続いて電位Vb(=2V)を保持する波形要素b2と、波形要素b2に続いて電位Vbから基準電位Vref(=15V)まで電位を上昇させる立ち上がりの波形要素b3と、波形要素b3に続いて基準電位Vref=15Vを保持する波形要素b4とを含んで構成される。図14の各波形要素(a5、a6、a7、a8、a9、b1、b2、b3、b4)の境界(始点、終点)に対応する時間([μs]を単位とする時間軸の値)は「0.0」、「0.5」、「1.5」、「2.0」、「2.5」、「4.0」、「4.5」、「6.0」、「6.5」、「32.1」である。
このような駆動波形を圧力発生素子に印加すると、副波形Aの引き部分(28Vから4Vへ電圧を急激に低下させる波形要素a7によって圧力室が拡張される駆動部分)によって、メニスカスがノズル内部に一気に引き込まれ、メニスカスが破壊される。その結果、ノズル内に気泡が巻き込まれる。このため、副波形Aに続いて主波形Bが印加されても、ノズルから液滴を吐出することができない。
図15は、図14に示す駆動波形における副波形、主波形の選択パターンと吐出状態(吐出する/しない)の関係をパターン分けして表にまとめたものである。図15に示すように、記録を行わない場合(画像なしの場合)には、ラッチ1、2でオフを指令し、副波形A、主波形Bをともにオフにする。これにより、ノズルから液滴は吐出されない状態となる。
記録を行うノズルに対しては、ラッチ1で副波形Aをオフし、ラッチ2で主波形Bをオンにする。これにより、主波形Bのみが印加され、ノズルから液滴が吐出される。
回路制御素子60内のスイッチが故障して常時オンの状態になると、ラッチ1、2による制御が不能となり、駆動波形の全体(副波形A、主波形B)が圧力発生素子に印加される。この場合、先行する副波形Aの印加によりノズル内部に気泡が巻き込まれた後に、後続の主波形Bが印加されるため、ノズルから液滴は吐出されない。
<実施例の組み合わせについて>
第1実施例〜第8実施例で説明した技術思想を必要に応じて適宜組み合わせる構成も可能である。例えば、図7、図8、図12で説明した駆動波形の副波形の電圧立ち上がり部分に図10や図11のような構成を適用することができる。また、図12〜図14で説明した副波形と主波形の組み合わせを、図8のように複数組み繋ぎ合わせる構成も可能である。
<インクジェット記録装置の構成例>
図16は、本発明の実施形態に係る液体吐出ヘッドの駆動装置が適用されたインクジェット記録装置の構成例を示すブロック図である。インクジェットヘッド10は、複数個のヘッドモジュール12a、12bを組み合わせて構成される。ここでは、説明を簡単にするために、2つのヘッドモジュール12a、12bを図示したが、1つのプリントヘッドを構成するヘッドモジュールの数は特に限定されない。
ヘッドモジュール12a、12bのインク吐出面には、複数のノズル(図1の符号22参照)が高密度で二次元配置されている。また、ヘッドモジュール12a、12bには、各ノズルに対応した圧力発生素子(図1の符号30)が設けられている。図2で説明した回路制御素子60はヘッドモジュール12a、12bに搭載されている。
被描画媒体としての用紙(図示せず)の幅方向に対して、複数個のヘッドモジュール12a、12bを繋ぎ合わせることにより、紙幅方向の全記録可能範囲(描画可能幅の全域)について所定の記録解像度(例えば、1200dpi)で描画可能なノズル列を有する長尺のラインヘッド(シングルパス印字が可能なページワイドヘッド)が構成される。
インクジェットヘッド10に接続されているヘッド制御部70(「液体吐出ヘッドの駆動装置」に相当)は、ヘッドモジュール12a、12bの各ノズルに対応する圧電素子の駆動を制御し、ノズルからのインク吐出動作(吐出の有無、液滴吐出量)を制御するための制御手段として機能する。
ヘッド制御部70は、画像データメモリ72、画像データ転送制御回路74、吐出タイミング制御部75、波形メモリ76、駆動電圧制御回路78、D/A変換器79a、79bを含んで構成される。なお、本例では、画像データ転送制御回路74が「ラッチ信号送信回路」を含んでおり、画像データ転送制御回路74から各ヘッドモジュール12a、12bに適宜のタイミングでデータラッチ信号が出力される。
画像データメモリ72には、印刷用イメージデータ(ドットデータ)に展開された画像データが記憶される。波形メモリ76には、圧電素子を作動させるための駆動信号の電圧波形(駆動波形)を示すデジタルデータが記憶される。例えば、図5、図7、図8、図10〜図14で説明した駆動波形のデータ及びパルスの区切りを示すデータなどが波形メモリ76に格納される。画像データメモリ72に入力される画像データや、波形メモリ76に入力される波形データは、上位データ制御部80(「上位制御装置」に相当)にて管理される。上位データ制御部80は、例えば、パソコンやホストコンピュータで構成することができる。ヘッド制御部70は、上位データ制御部80からデータを受け取るためのデータ通信手段として、USB(Universal SerialBus)その他の通信インターフェースを備えている。
図16では、説明を簡単にするために、1つのインクジェットヘッド10(1色分)のみを示しているが、複数色のインクの各色に対応した複数本の(色別の)プリントヘッドを備えるインクジェット記録装置の場合、各色のインクジェットヘッド10について個別に(ヘッド単位で)ヘッド制御部70が設けられる。例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の4色に対応した色別のプリントヘッドを備える構成では、CMYK各色のプリントヘッドにそれぞれヘッド制御部70が設けられ、これら各色のヘッド制御部を1つの上位データ制御部80が管理する構成が採用される。
システム起動時に、上位データ制御部80から各色のヘッド制御部70に対して波形データや画像データが転送される。なお、画像データについては、印刷実行時の用紙搬送と同期して、データ転送が行われる場合もある。そして、プリント動作時には、各色の吐出タイミング制御部75が用紙搬送部82からの吐出トリガー信号を受信し、画像データ転送制御回路74及び駆動電圧制御回路78へ、吐出動作開始のスタートトリガーを出力する。画像データ転送制御回路74及び駆動電圧制御回路78は、このスタートトリガーを受けて画像データ転送制御回路74及び駆動電圧制御回路78からヘッドモジュール12a、12bに解像度単位に波形データ及び画像データ転送を行うことで、画像データに応じた選択的な吐出動作(ドロップオンデマンドの吐出駆動制御)を行い、ページワイドの印刷を実現する。
外部から入力されるプリントタイミング信号(吐出トリガー信号)に合わせて駆動電圧制御回路78からD/A変換器79a、79bへ駆動電圧波形データが出力されることにより、D/A変換器79a、79bにて波形データからアナログ電圧波形へと変換される。D/A変換器79a、79bの出力波形(アナログ電圧波形)は図示せぬアンプ回路(電力増幅回路)によって圧電素子の駆動に適した所定の電流・電圧に増幅された後にヘッドモジュール12a、12bに供給される。
画像データ転送制御回路74は、CPU(central processing unit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)によって構成することができる。画像データ転送制御回路74は、画像データメモリ72に記憶したデータを基に、各ヘッドモジュール12a、12bのノズル制御データ(ここでは、記録解像度のドット配置に対応した画像データ)を各ヘッドモジュール12a、12bに転送する制御を行う。ノズル制御データは、ノズルのON(吐出駆動)/OFF(非駆動)を決定する画像データ(ドットデータ)である。画像データ転送制御回路74は、このノズル制御データを各ヘッドモジュール12a、12bに転送することで、ノズルごとの開閉(ON/OFF)を制御する。
画像データ転送制御回路74から出力されるノズル制御データを各ヘッドモジュール12a、12bに伝送する画像データ伝送路(符号92a、92b)は、複数の信号線(n本)で構成されている(n≧2)。画像データ伝送路(データバス)92a、92bの一端は画像データ転送制御回路74の出力端子(ICピン)に接続され、他端は各ヘッドモジュール12a、12bに対応したコネクタ94a、94bを介してヘッドモジュール12a、12bに接続される。
データバス92a、92bは、画像データ転送制御回路74や駆動電圧制御回路78等を実装した電気回路基板(図2のインクジェットヘッド制御回路基板64に相当)の銅線パターンによって構成してもよいし、ワイヤーハーネスで構成してもよく、或いは、これらの組み合わせであってもよい。
各ヘッドモジュール12a、12bに対応したデータラッチ信号の信号線96a、96bは、ヘッドモジュール12a、12b毎に設けられている。データラッチ信号は、データバス92a、92b経由で転送したデータ信号を各ヘッドモジュール12a、12bのノズルデータとして設定するために、画像データ転送制御回路74から各ヘッドモジュール12a、12bに対し、必要なタイミングで送信される。画像データ転送制御回路74から画像データバス92a、92bを介してヘッドモジュール12a、12bに一定量の画像データを送信した時点で、データラッチと呼ばれる信号(ラッチ信号)をヘッドモジュール12a、12bに送信する。このデータラッチ信号のタイミングで各モジュールにおける圧電素子の変位のオン(ON)/オフ(OFF)のデータが確定される。その後、ヘッドモジュール12a、12bにそれぞれ駆動電圧a、bを印加することで、ON設定に係る圧電素子を微小変位させ、インク滴を吐出させる。
こうして吐出したインク滴を用紙に付着(着弾)させることで、所望の解像度(例えば、1200dpi)の印刷が行われる。なお、OFF設定した圧電素子は駆動電圧を印加しても変位が起こらず、液滴が吐出されない。
波形メモリ76、駆動電圧制御回路78、D/A変換器79a、79bの組合せが「電圧波形生成手段」に相当する。
図17は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の構成例を示す全体構成図である。本例のインクジェット記録装置100は、主として、給紙部112、処理液付与部114、描画部116、乾燥部118、定着部120、及び排紙部122から構成されている。インクジェット記録装置100は、描画部116のドラム(描画ドラム170)に保持された記録媒体124(「被描画媒体」に相当、以下、便宜上「用紙」と呼ぶ場合がある。)にインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yから複数色のインクを打滴して所望のカラー画像を形成するシングルパス方式のインクジェット記録装置であり、インクの打滴前に記録媒体124上に処理液(ここでは凝集処理液)を付与し、処理液とインク液を反応させて記録媒体124上に画像形成を行う2液反応(凝集)方式が適用されたドロップオンデマンドタイプの画像形成装置である。
(給紙部)
給紙部112には、枚葉紙である記録媒体124が積層されており、給紙部112の給紙トレイ150から記録媒体124が一枚ずつ処理液付与部114に給紙される。本例では、記録媒体124として、枚葉紙(カット紙)を用いるが、連続用紙(ロール紙)から必要なサイズに切断して給紙する構成も可能である。
(処理液付与部)
処理液付与部114は、記録媒体124の記録面に処理液を付与する機構である。処理液は、描画部116で付与されるインク中の色材(本例では顔料)を凝集させる色材凝集剤を含んでおり、この処理液とインクとが接触することによって、インクは色材と溶媒との分離が促進される。
処理液付与部114は、給紙胴152、処理液ドラム(「プレコート胴」とも言う)154、及び処理液塗布装置156を備えている。処理液ドラム154は、記録媒体124を保持し、回転搬送させるドラムである。処理液ドラム154は、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)155を備え、この保持手段155の爪と処理液ドラム154の周面の間に記録媒体124を挟み込むことによって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。処理液ドラム154は、その外周面に吸引孔を設けるとともに、吸引孔から吸引を行う吸引手段を接続してもよい。これにより記録媒体124を処理液ドラム154の周面に密着保持することができる。
処理液塗布装置156は、処理液が貯留された処理液容器と、この処理液容器の処理液に一部が浸漬されたアニックスローラ(計量ローラ)と、該アニックスローラと処理液ドラム154上の記録媒体124に圧接されて計量後の処理液を記録媒体124に転移するゴムローラとで構成される。本実施形態では、ローラによる塗布方式を適用した構成を例示したが、これに限定されず、例えば、スプレー方式、インクジェット方式などの各種方式を適用することも可能である。
処理液付与部114で処理液が付与された記録媒体124は、処理液ドラム154から中間搬送部126を介して描画部116の描画ドラム170へ受け渡される。
(描画部)
描画部116は、描画ドラム(「描画胴」或いは「ジェッティング胴」とも言う)170、用紙抑えローラ174、及びインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yを備えている。各色のインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Y及びその制御装置として、図1で説明したインクジェットヘッド10の構成と図16で説明したヘッド制御部70の構成が採用されている。
描画ドラム170は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)171を備える。描画ドラム170の周面には、図示しない吸着穴が所定のパターンで多数形成されており、この吸着穴からエアが吸引されることにより、記録媒体124が描画ドラム170の周面に吸着保持される。なお、負圧吸引によって記録媒体124を吸引吸着する構成に限らず、例えば、静電吸着により、記録媒体124を吸着保持する構成とすることもできる。
インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yはそれぞれ、記録媒体124における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有するフルライン型のインクジェット方式の記録ヘッドであり、そのインク吐出面には、画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルが複数配列されたノズル列(2次元配列ノズル)が形成されている。各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yは、記録媒体124の搬送方向(描画ドラム170の回転方向)と直交する方向に延在するように設置される。
各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yには、対応する色インクのカセット(インクカートリッジ)が取り付けられる。インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yから、描画ドラム170の外周面に保持された記録媒体124の記録面に向かってインク滴が吐出される。
これにより、予め記録面に付与された処理液にインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料)が凝集され、色材凝集体が形成される。インクと処理液の反応の一例として、本実施形態では、処理液に酸を含有させPHダウンにより顔料分散を破壊し凝集するメカニズムを用い、色材滲み、各色インク間の混色、インク滴の着弾時の液合一による打滴干渉を回避する。こうして、記録媒体124上での色材流れなどが防止され、記録媒体124の記録面に画像が形成される。
各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yの打滴タイミングは、描画ドラム170に配置された回転速度を検出するエンコーダ(図17中不図示、図18の符号294)に同期させる。このエンコーダの検出信号に基づいて吐出トリガー信号(画素トリガー)が発せされる。これにより、高精度に着弾位置を決定することができる。また、予め描画ドラム170のフレなどによる速度変動を学習し、エンコーダで得られた打滴タイミングを補正して、描画ドラム170のフレ、回転軸の精度、描画ドラム170の外周面の速度に依存せずに打滴ムラを低減させることができる。更に、各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yのノズル面の清掃、増粘インク排出などのメンテナンス動作は、ヘッドユニットを描画ドラム170から退避させて実施するとよい。
本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
描画部116で画像が形成された記録媒体124は、描画ドラム170から中間搬送部128を介して乾燥部118の乾燥ドラム176へ受け渡される。
(乾燥部)
乾燥部118は、色材凝集作用により分離された溶媒に含まれる水分を乾燥させる機構であり、乾燥ドラム(「乾燥胴」とも言う)176、及び溶媒乾燥装置178を備えている。乾燥ドラム176は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)177を備え、この保持手段177によって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。
溶媒乾燥装置178は、乾燥ドラム176の外周面に対向する位置に配置され、複数のハロゲンヒータ180と、各ハロゲンヒータ180の間にそれぞれ配置された温風噴出しノズル182とで構成される。各温風噴出しノズル182から記録媒体124に向けて吹き付けられる温風の温度と風量、各ハロゲンヒータ180の温度を適宜調節することにより、様々な乾燥条件を実現することができる。乾燥部118で乾燥処理が行われた記録媒体124は、乾燥ドラム176から中間搬送部130を介して定着部120の定着ドラム184へ受け渡される。
(定着部)
定着部120は、定着ドラム(「定着胴」とも言う)184、ハロゲンヒータ186、定着ローラ188、及びインラインセンサ190で構成される。定着ドラム184は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)185を備え、この保持手段185によって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。
定着ドラム184の回転により、記録媒体124は記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して、ハロゲンヒータ186による予備加熱と、定着ローラ188による定着処理と、インラインセンサ190による検査が行われる。
定着ローラ188は、乾燥させたインクを加熱加圧することによってインク中の自己分散性ポリマー微粒子を溶着し、インクを被膜化させるためのローラ部材であり、記録媒体124を加熱加圧するように構成される。記録媒体124は、定着ローラ188と定着ドラム184との間に挟まれ、所定のニップ圧(例えば、0.15MPa)でニップされ、定着処理が行われる。
また、定着ローラ188は、熱伝導性の良いアルミなどの金属パイプ内にハロゲンランプを組み込んだ加熱ローラによって構成され、所定の温度(例えば60〜80℃)に制御される。この加熱ローラで記録媒体124を加熱することによって、インクに含まれるラテックスのTg温度(ガラス転移点温度)以上の熱エネルギーが付与され、ラテックス粒子が溶融される。これにより、記録媒体124の凹凸に押し込み定着が行われるとともに、画像表面の凹凸がレベリングされ、光沢性が得られる。
インラインセンサ190は、記録媒体124に記録された画像(テストパターンなども含む)について、吐出不良チェックパターンや画像の濃度、画像の欠陥などを計測するための読取手段であり、CCDラインセンサなどが適用される。
上記の如く構成された定着部120によれば、乾燥部118で形成された薄層の画像層内のラテックス粒子が定着ローラ188によって加熱加圧されて溶融されるので、記録媒体124に固定定着させることができる。
なお、高沸点溶媒及びポリマー微粒子(熱可塑性樹脂粒子)を含んだインクに代えて、紫外線(UV)露光にて重合硬化可能なモノマー成分を含有していてもよい。この場合、インクジェット記録装置100は、ヒートローラによる熱圧定着部(定着ローラ188)の代わりに、記録媒体124上のインクにUV光を露光するUV露光部を備える。このように、UV硬化性樹脂などの活性光線硬化性樹脂を含んだインクを用いる場合には、加熱定着の定着ローラ188に代えて、UVランプや紫外線LD(レーザダイオード)アレイなど、活性光線を照射する手段が設けられる。
(排紙部)
定着部120に続いて排紙部122が設けられている。排紙部122は、排出トレイ192を備えており、この排出トレイ192と定着部120の定着ドラム184との間に、これらに対接するように渡し胴194、搬送ベルト196、張架ローラ198が設けられている。記録媒体124は、渡し胴194により搬送ベルト196に送られ、排出トレイ192に排出される。搬送ベルト196による用紙搬送機構の詳細は図示しないが、印刷後の記録媒体124は無端状の搬送ベルト196間に渡されたバー(不図示)のグリッパーによって用紙先端部が保持され、搬送ベルト196の回転によって排出トレイ192の上方に運ばれてくる。
また、図17には示されていないが、本例のインクジェット記録装置100には、上記構成の他、各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yにインクを供給するインク貯蔵/装填部、処理液付与部114に対して処理液を供給する手段を備えるとともに、各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yのクリーニング(ノズル面のワイピング、パージ、ノズル吸引等)を行うヘッドメンテナンス部や、用紙搬送路上における記録媒体124の位置を検出する位置検出センサ、装置各部の温度を検出する温度センサなどを備えている。
<制御系の説明>
図18は、インクジェット記録装置100のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置100は、通信インターフェース270、システムコントローラ272、プリント制御部274、画像バッファメモリ276、ヘッドドライバ278、モータドライバ280、ヒータドライバ282、処理液付与制御部284、乾燥制御部286、定着制御部288、メモリ290、ROM292、エンコーダ294等を備えている。
通信インターフェース270は、ホストコンピュータ350から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース270にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ350から送出された画像データは通信インターフェース270を介してインクジェット記録装置100に取り込まれ、一旦メモリ290に記憶される。
メモリ290は、通信インターフェース270を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ272を通じてデータの読み書きが行われる。メモリ290は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ272は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置100の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システムコントローラ272は、通信インターフェース270、プリント制御部274、モータドライバ280、ヒータドライバ282、処理液付与制御部284等の各部を制御し、ホストコンピュータ350との間の通信制御、メモリ290の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ296やヒータ298を制御する制御信号を生成する。
ROM292にはシステムコントローラ272のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。ROM292は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。メモリ290は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
モータドライバ280は、システムコントローラ272からの指示に従ってモータ296を駆動するドライバである。図18では、装置内の各部に配置される様々なモータを代表して符号296で図示している。例えば、モータ296には、図17の給紙胴152、処理液ドラム154、描画ドラム170、乾燥ドラム176、定着ドラム184、渡し胴194などの回転を駆動するモータ、描画ドラム170の吸引孔から負圧吸引するためのポンプの駆動モータ、インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yのヘッドユニットを、描画ドラム170外のメンテナンスエリアに移動させる退避機構のモータ、などが含まれている。
ヒータドライバ282は、システムコントローラ272からの指示に従って、ヒータ298を駆動するドライバである。図18では、装置内の各部に配置される様々なヒータを代表して符号298で図示している。例えば、ヒータ298には、給紙部112において記録媒体124を予め適温に加熱しておくための不図示のプレヒータ、などが含まれている。
プリント制御部274は、システムコントローラ272の制御にしたがい、メモリ290内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ278に供給する制御部である。
ドットデータは、一般に多階調の画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行って生成される。色変換処理は、sRGBなどで表現された画像データ(例えば、RGB各色について8ビットの画像データ)をインクジェット記録装置100で使用するインクの各色の色データ(本例では、KCMYの色データ)に変換する処理である。
ハーフトーン処理は、色変換処理により生成された各色の色データに対して誤差拡散法や閾値マトリクス等の処理で各色のドットデータ(本例では、KCMYのドットデータ)に変換する処理である。
プリント制御部274において所要の信号処理が施され、得られたドットデータに基づいて、ヘッドドライバ278を介してヘッド250(各色のインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yを包括して符号250と記載)のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。ここで言うドットデータは、「ノズル制御データ」に相当している。
プリント制御部274には画像バッファメモリ(不図示)が備えられており、プリント制御部274における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリに一時的に格納される。また、プリント制御部274とシステムコントローラ272とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
画像入力から印字出力までの処理の流れを概説すると、印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース270を介して外部から入力され、メモリ290に蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの画像データがメモリ290に記憶される。インクジェット記録装置100では、インク(色材) による微細なドットの打滴密度やドットサイズを変えることによって、人の目に疑似的な連続階調の画像を形成するため、入力されたデジタル画像の階調(画像の濃淡)をできるだけ忠実に再現するようなドットパターンに変換する必要がある。そのため、メモリ290に蓄えられた元画像(RGB)のデータは、システムコントローラ272を介してプリント制御部274に送られ、該プリント制御部274において閾値マトリクスや誤差拡散法などを用いたハーフトーニング処理によってインク色ごとのドットデータに変換される。即ち、プリント制御部274は、入力されたRGB画像データをK,C,M,Yの4色のドットデータに変換する処理を行う。こうして、プリント制御部274で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ(不図示)に蓄えられる。
ヘッドドライバ278は、プリント制御部274から与えられる印字データ(即ち、画像バッファメモリ276に記憶されたドットデータ)に基づき、ヘッド250の各ノズルに対応する圧力発生素子30を駆動するための駆動信号を出力する。ヘッドドライバ278にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
ヘッドドライバ278から出力された駆動信号がヘッド250に加えられることによって、該当するノズルからインクが吐出される。記録媒体124を所定の速度で搬送しながらヘッド250からのインク吐出を制御することにより、記録媒体124上に画像が形成される。なお、本例に示すインクジェット記録装置100は、ヘッド250(ヘッドモジュール)に対して、モジュール単位で共通の駆動電力波形信号を印加し、各ノズル22の吐出タイミングに応じて各圧力発生素子30の個別電極に接続されたスイッチ(図2の符号62)のオンオフを切り換えることで、各圧力発生素子30に対応するノズル22からインクを吐出させる駆動方式が採用されている。
このヘッドドライバ278、プリント制御部274(画像バッファメモリ内蔵)の部分が図16で説明したヘッド制御部70に相当する。また、図18のシステムコントローラ272が図16で説明した上位データ制御部80に相当する。
処理液付与制御部284は、システムコントローラ272からの指示にしたがい、処理液塗布装置156(図16参照)の動作を制御する。乾燥制御部286は、システムコントローラ272からの指示にしたがい、溶媒乾燥装置178(図16参照)の動作を制御する。
定着制御部288は、システムコントローラ272からの指示にしたがい、定着部120のハロゲンヒータ186や定着ローラ188(図16参照)から成る定着加圧部299の動作を制御する。
インラインセンサ190は、図16で説明したように、イメージセンサを含むブロックであり、記録媒体124に印字された画像を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、打滴のばらつき、光学濃度など)を検出し、その検出結果をシステムコントローラ272及びプリント制御部274に提供する。
プリント制御部274は、インラインセンサ190から得られる情報に基づいてヘッド250に対する各種補正(不吐出補正や濃度補正など)を行うとともに、必要に応じて予備吐出や吸引、ワイピング等のクリーニング動作(ノズル回復動作)を実施する制御を行う。
<変形例1>
上記実施形態では、記録媒体124に直接インク滴を打滴して画像を形成する方式(直接記録方式)のインクジェット記録装置を説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、一旦、中間転写体上に画像(一次画像)を形成し、その画像を転写部において記録紙に対して転写することで最終的な画像形成を行う中間転写型の画像形成装置についても本発明を適用することができる。
また、上記実施形態では、記録媒体の全幅に対応する長さのノズル列を有するページワイドのフルライン型ヘッドを用いたインクジェット記録装置(1回の副走査によって画像を完成させるシングルパス方式の画像形成装置)を説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、シリアル型(シャトルスキャン型)ヘッドなど、短尺の記録ヘッドを移動させながら、複数回のヘッド走査により画像記録を行うインクジェット記録装置についても本発明を適用できる。
<ヘッドと用紙を相対移動させる手段について>
上述の実施形態では、停止したヘッドに対して記録媒体を搬送する構成を例示したが、本発明の実施に際しては、停止した記録媒体(被描画媒体)に対してヘッドを移動させる構成も可能である。
<記録媒体について>
「記録媒体」は、インクジェットヘッドから吐出された液滴によってドットが記録される媒体の総称であり、印字媒体、被記録媒体、被画像形成媒体、受像媒体、被吐出媒体など様々な用語で呼ばれるものが含まれる。本発明の実施に際して、記録媒体の材質や形状等は、特に限定されず、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フィルム、布、不織布、配線パターン等が形成されるプリント基板、ゴムシート、その他材質や形状を問わず、様々な媒体に適用できる。
<吐出方式について>
なお、インクジェットヘッドにおける各ノズルから液滴を吐出させるための吐出用の圧力(吐出エネルギー)を発生させる手段は、ピエゾアクチュエータ(圧電素子)に限らない。圧電素子の他、静電アクチュエータ、サーマル方式(ヒータの加熱による膜沸騰の圧力を利用してインクを吐出させる方式)におけるヒータ(加熱素子)や他の方式による各種アクチュエータなど様々な圧力発生素子(吐出エネルギー発生素子)を適用し得る。ヘッドの吐出方式に応じて、相応のエネルギー発生素子が流路構造体に設けられる。
<サーマル方式への適応例>
サーマル方式のイジェクタを備えた液体吐出ヘッドの場合、実際の吐出を行う駆動用の波形部(主波形)を印加する前に、吐出しない程度の副波形を与えることで、後続の主波形を印加しても吐出しない構成を実現できる。
これは次の原理による。すなわち、サーマ方式の吐出原理は、ヒータ(発熱素子)に電流を流し、表面に接するインク液が蒸発して(沸騰させて)、その勢いで滴が飛ぶ、というものである。この加熱沸騰による吐出効率を低下させるような、駆動制御(電流)処理を行うことにより、吐出を抑制することができる。
例えば、主波形に先行して、最初に微弱な電流を流したときに、インクはヒータの界面から離れているので、後続の主波形の印加で発生する熱はインク液に伝わりにくくなる。
このように、主波形の印加に先立ち、副波形の印加で液が吐出されない程度に、僅かにヒータの表面から液(インク)を離す(浮かす)ような、電流を与える。その後、主波形が印加される構成として、主波形印加による熱がインクに伝わりにくくする。
こうして、副波形Aと主波形が連続して印加されたときに、インクが吐出されない状態を実現できる。
<装置応用例>
上記の実施形態では、グラフィック印刷用のインクジェット記録装置への適用を例に説明したが、本発明の適用範囲はこの例に限定されない。例えば、電子回路の配線パターンを描画する配線描画装置、各種デバイスの製造装置、吐出用の機能性液体として樹脂液を用いるレジスト印刷装置、カラーフィルター製造装置、マテリアルデポジション用の材料を用いて微細構造物を形成する微細構造物形成装置など、液状機能性材料を用いて様々な形状やパターンを描画するインクジェット装置に広く適用できる。
なお、本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有するものにより、多くの変形が可能である。
<付記;開示する発明の態様について>
上記に詳述した発明の実施形態についての記載から把握されるとおり、本明細書は少なくとも以下に示す発明を含む多様な技術思想の開示を含んでいる。
(発明1):液滴を吐出する吐出口となる複数のノズルと、前記複数の前記ノズルから液滴を吐出させる吐出エネルギーを発生させる手段として各ノズルのそれぞれに対応して設けられている圧力発生素子と、前記各ノズルに対応する複数の前記圧力発生素子のそれぞれに接続される複数のスイッチを含んだ回路制御素子と、前記各圧力発生素子に繋がる前記複数のスイッチの一端に供給する電圧波形を出力する電圧波形生成手段と、前記複数のスイッチの開閉を制御する制御信号を出力するスイッチ制御手段と、を備え、前記電圧波形生成手段で生成される前記電圧波形は、前記制御信号に基づく前記スイッチの開閉制御によって当該電圧波形の一部が前記圧力発生素子に印加された場合に、当該一部の波形部分が印加された圧力発生素子に対応するノズルから液体が吐出される一方、前記電圧波形の全体が前記圧力発生素子に印加された場合に、当該電圧波形全体が印加された圧力発生素子に対応するノズルから液体が吐出されない波形であることを特徴とする液体吐出装置。
発明1によれば、圧力発生素子に繋がるスイッチの開閉を制御して、圧力発生素子に対して電圧波形の一部を印加するとノズルから液滴の吐出が行われる。スイッチが制御不能に陥り、常時オン(常時閉)となったような場合、このスイッチにつがなる圧力発生素子には電圧波形の全体が印加されることになる。このとき対応するノズルから液は吐出しない。
(発明2):発明1に記載の液体吐出装置において、前記電圧波形は、前記ノズルから液体を吐出させる吐出駆動用の主波形部と、前記主波形部との組み合わせによって吐出を抑制する吐出抑制用の副波形部と、を含むことを特徴とする。
主波形部と副波形部とが時分割で組み合わされた電圧波形を用いる構成を採用する態様である。この態様によれば、主波形部のみを圧力発生素子に印加すると吐出を行うことができる。また、主波形部と副波形部とをともに印加した場合には、吐出が行われない。
(発明3):発明2に記載の液体吐出装置において、前記副波形部は、前記主波形部に先行する波形部分であることを特徴とする。
主波形部による吐出を抑制するための副波形部は、主波形部の前、或いは、後ろ、若しくは、前後両方に配置する構成が考えられる。
発明3のように主波形部の手前に副波形部を付加した構成の電圧波形を採用する構成が好ましい。
(発明4):発明2又は3に記載の液体吐出装置において、前記副波形部の印加によって発生する圧力波が、前記主波形部の印加によって発生する圧力波の少なくとも一部を打ち消すように、前記副波形部と前記主波形部とが組み合わされて前記電圧波形が形成されていることを特徴とする。
かかる態様によれば、主波形部の印加による吐出効率を低下させることができ、主波形部と副波形部とがともに印加された場合に、吐出しない状態とすることができる。
(発明5):発明4に記載の液体吐出装置において、前記ノズルと、前記ノズルに連通する圧力室と、前記圧力室に対応して設けられた前記圧力発生素子と、を含んで構成されるイジェクタを複数備えた液体吐出ヘッドを有し、前記圧力室内に充填される液体を含んだ圧力室系の固有周期をTcとするとき、前記副波形部を構成する波形要素のうち電圧の立ち下げ、又は立ち上げのいずれかの電圧変化をもたらす第1波形要素と、前記主波形部を構成する波形要素のうち前記第1波形要素と同じ方向の電圧変化をもたらす第2波形要素とが、(2n+1)×(Tc/2)の時間間隔だけ離れていること(ただし、nは0以上の整数)を特徴とする。
副波形部と主波形部の立ち下げ部同士、或いは、立ち上げ部同士のように、同じ方向の電圧変化部分を半固有周期(Tc/2)の奇数倍だけ離した波形構成とする態様である。この態様により、圧力波を効果的にキャンセルすることができる。
(発明6):発明2から5のいずれか1項に記載の液体吐出装置において、前記副波形部の電圧振幅は、前記主波形部の電圧振幅以上であることを特徴とする。
かかる態様によれば、主波形部の吐出効率を副波形部で効果的に低下させることができる。
(発明7):発明2から6のいずれか1項に記載の液体吐出装置において、前記副波形部の最低電圧は、前記主波形部の最低電圧以下であることを特徴とする。
かかる態様によれば、主波形部の吐出効率を副波形部で効果的に低下させることができる。
(発明8):発明4に記載の液体吐出装置において、前記ノズルと、前記ノズルに連通する圧力室と、前記圧力室に対応して設けられた前記圧力発生素子と、を含んで構成されるイジェクタを複数備えた液体吐出ヘッドを有し、前記圧力室内に充填される液体を含んだ圧力室系の固有周期をTcとするとき、前記副波形部を構成する波形要素のうち電圧の立ち下げ、又は立ち上げのいずれかの電圧変化をもたらす第1波形要素と、前記主波形部を構成する波形要素のうち前記第1波形要素と逆方向の電圧変化をもたらす第2波形要素とが、(n+1)×Tcの時間間隔だけ離れていること(ただし、nは0以上の整数)を特徴とする。
副波形部の立ち上げ部と主波形部の立ち下げ部、或いは、副波形部の立ち下げ部と主波形部の立ち上げ部のように、逆方向の電圧変化部を固有周期Tcの整数倍だけ離した波形構成とする態様である。
この態様により、圧力波を効果的にキャンセルすることができる。
(発明9):発明2から8のいずれか1項に記載の液体吐出装置において、前記電圧波形は、1記録周期内に複数の前記主波形部と、複数の前記副波形部と、を含んでいることを特徴とする。
副波形と主波形の組み合わせを複数組つなげ合わせた波形構成を採用することもできる。
これら複数の主波形のうち、圧力発生素子に印加する主波形の個数を変更することによって、吐出液滴量を変更することができる。
(発明10):発明2から9のいずれか1項に記載の液体吐出装置において、前記副波形部の電圧立ち上げ部分は、ステップ状に電圧を段階的に上昇させる波形要素で構成されていることを特徴とする。
かかる態様によれば、副波形部の吐出効率が下がり、副波形部印加時の吐出を効果的に抑止することができる。
(発明11):発明2から9のいずれか1項に記載の液体吐出装置において、前記副波形部の電圧立ち上げ部分は、S字カーブに沿うように電圧を変化させる波形要素で構成されていることを特徴とする。
かかる態様によれば、副波形部の吐出効率が下がり、副波形部印加時の吐出を効果的に抑止することができる。
(発明12):発明3に記載の液体吐出装置において、前記副波形部が前記圧力発生素子に印加されると、当該圧力発生素子に対応するノズル内部に気泡が巻き込まれ、当該気泡によって、後続の前記主波形部の印加による吐出を抑止することを特徴とする。
かかる態様によれば、主波形部と副波形部とがともに印加された場合に、吐出しない状態を実現することができる。
(発明13):発明1から12のいずれか1項に記載の液体吐出装置と、前記ノズルから吐出された液滴を付着させる媒体を搬送する媒体搬送手段と、備えたことを特徴とするインクジェット装置。
(発明14):液滴を吐出する吐出口となる複数のノズルと、前記複数の前記ノズルから液滴を吐出させる吐出エネルギーを発生させる手段として各ノズルのそれぞれに対応して設けられている圧力発生素子と、前記各ノズルに対応する複数の前記圧力発生素子のそれぞれに接続される複数のスイッチを含んだ回路制御素子と、前記回路制御素子に接続され、前記圧力発生素子に繋がる前記スイッチの一端に供給する電圧波形を出力する電圧波形生成手段と、前記複数のスイッチの開閉を制御する制御信号を出力するスイッチ制御手段と、を備えた液体吐出装置の吐出制御方法であって、前記電圧波形の全体が前記圧力発生素子に印加された場合に、前記ノズルから液体が吐出されないように構成された前記電圧波形を前記スイッチの一端に供給し、前記制御信号により前記スイッチの開閉制御を行うことによって前記電圧波形の一部を前記圧力発生素子に印加し、当該一部の波形部分が印加された圧力発生素子に対応するノズルから液体の吐出を行うことを特徴とする液体吐出装置の吐出制御方法。
発明14において、発明2から12の特徴を適宜組み合わせる態様も可能である。また、発明14のインクジェット記録方法を実施することによって、印刷物や回路基板、デバイス、微細構造物などを製造することができる。したがって、発明14の方法発明は、これら印刷物等の製造方法という観点で把握することも可能である。
10…インクジェットヘッド、12a、12b…ヘッドモジュール、20…イジェクタ、22…ノズル、24…圧力室、30…圧力発生素子、60…回路制御素子、62…スイッチ、64…インクジェットヘッド制御回路基板、70…ヘッド制御部、76…波形メモリ、78…駆動電圧制御回路、100…インクジェット記録装置、124…記録媒体、170…描画ドラム、172M,172K,172C,172Y…インクジェットヘッド、272…システムコントローラ、280…プリント制御部

Claims (14)

  1. 液滴を吐出する吐出口となる複数のノズルと、
    前記複数の前記ノズルから液滴を吐出させる吐出エネルギーを発生させる手段として各ノズルのそれぞれに対応して設けられている圧力発生素子と、
    前記各ノズルに対応する複数の前記圧力発生素子のそれぞれに接続される複数のスイッチを含んだ回路制御素子と、
    前記各圧力発生素子に繋がる前記複数のスイッチの一端に供給する電圧波形を出力する電圧波形生成手段と、
    前記複数のスイッチの開閉を制御する制御信号を出力するスイッチ制御手段と、
    を備え、
    前記電圧波形生成手段で生成される前記電圧波形は、前記制御信号に基づく前記スイッチの開閉制御によって当該電圧波形の一部が前記圧力発生素子に印加された場合に、当該一部の波形部分が印加された圧力発生素子に対応するノズルから液体が吐出される一方、前記電圧波形の全体が前記圧力発生素子に印加された場合に、当該電圧波形全体が印加された圧力発生素子に対応するノズルから液体が吐出されない波形であることを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記電圧波形は、前記ノズルから液体を吐出させる吐出駆動用の主波形部と、前記主波形部との組み合わせによって吐出を抑制する吐出抑制用の副波形部と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記副波形部は、前記主波形部に先行する波形部分であることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記副波形部の印加によって発生する圧力波が、前記主波形部の印加によって発生する圧力波の少なくとも一部を打ち消すように、前記副波形部と前記主波形部とが組み合わされて前記電圧波形が形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の液体吐出装置。
  5. 前記ノズルと、前記ノズルに連通する圧力室と、前記圧力室に対応して設けられた前記圧力発生素子と、を含んで構成されるイジェクタを複数備えた液体吐出ヘッドを有し、
    前記圧力室内に充填される液体を含んだ圧力室系の固有周期をTcとするとき、
    前記副波形部を構成する波形要素のうち電圧の立ち下げ、又は立ち上げのいずれかの電圧変化をもたらす第1波形要素と、前記主波形部を構成する波形要素のうち前記第1波形要素と同じ方向の電圧変化をもたらす第2波形要素とが、(2n+1)×(Tc/2)の時間間隔だけ離れていること(ただし、nは0以上の整数)を特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
  6. 前記副波形部の電圧振幅は、前記主波形部の電圧振幅以上であることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  7. 前記副波形部の最低電圧は、前記主波形部の最低電圧以下であることを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  8. 前記ノズルと、前記ノズルに連通する圧力室と、前記圧力室に対応して設けられた前記圧力発生素子と、を含んで構成されるイジェクタを複数備えた液体吐出ヘッドを有し、
    前記圧力室内に充填される液体を含んだ圧力室系の固有周期をTcとするとき、
    前記副波形部を構成する波形要素のうち電圧の立ち下げ、又は立ち上げのいずれかの電圧変化をもたらす第1波形要素と、前記主波形部を構成する波形要素のうち前記第1波形要素と逆方向の電圧変化をもたらす第2波形要素とが、(n+1)×Tcの時間間隔だけ離れていること(ただし、nは0以上の整数)を特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
  9. 前記電圧波形は、1記録周期内に複数の前記主波形部と、複数の前記副波形部と、を含んでいることを特徴とする請求項2から8のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  10. 前記副波形部の電圧立ち上げ部分は、ステップ状に電圧を段階的に上昇させる波形要素で構成されていることを特徴とする請求項2から9のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  11. 前記副波形部の電圧立ち上げ部分は、S字カーブに沿うように電圧を変化させる波形要素で構成されていることを特徴とする請求項2から9のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  12. 前記副波形部が前記圧力発生素子に印加されると、当該圧力発生素子に対応するノズル内部に気泡が巻き込まれ、当該気泡によって、後続の前記主波形部の印加による吐出を抑止することを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
  13. 請求項1から12のいずれか1項に記載の液体吐出装置と、
    前記ノズルから吐出された液滴を付着させる媒体を搬送する媒体搬送手段と、
    を備えたことを特徴とするインクジェット装置。
  14. 液滴を吐出する吐出口となる複数のノズルと、前記複数の前記ノズルから液滴を吐出させる吐出エネルギーを発生させる手段として各ノズルのそれぞれに対応して設けられている圧力発生素子と、前記各ノズルに対応する複数の前記圧力発生素子のそれぞれに接続される複数のスイッチを含んだ回路制御素子と、前記回路制御素子に接続され、前記圧力発生素子に繋がる前記スイッチの一端に供給する電圧波形を出力する電圧波形生成手段と、前記複数のスイッチの開閉を制御する制御信号を出力するスイッチ制御手段と、を備えた液体吐出装置の吐出制御方法であって、
    前記電圧波形の全体が前記圧力発生素子に印加された場合に、前記ノズルから液体が吐出されないように構成された前記電圧波形を前記スイッチの一端に供給し、
    前記制御信号により前記スイッチの開閉制御を行うことによって前記電圧波形の一部を前記圧力発生素子に印加し、当該一部の波形部分が印加された圧力発生素子に対応するノズルから液体の吐出を行うことを特徴とする液体吐出装置の吐出制御方法。
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