JP2011202454A - コンクリートの養生シートと、養生装置、及びその装置を用いた養生方法 - Google Patents

コンクリートの養生シートと、養生装置、及びその装置を用いた養生方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
コンクリートの養生のため、保水性や保温性を向上してひび割れなどのコンクリートの耐久性を向上し、コンクリート表面の凹凸むらやカルシウムの析出による美観の損傷を抑制した養生シート、養生装置、及びその装置を用いた養生方法を提供すること。
【解決手段】
養生するコンクリート面にメッシュの浸水物を添付した不透水シートを、前記浸水物側を前記養生コンクリート面に添付するようにした養生シートと、前記メッシュの浸水物に給水して養生コンクリート表面に間欠的に湿潤するようにした養生装置とその装置を用いた方法。
【選択図】 図2

Description

本発明はコンクリートの養生シートと、そのシートの養生装置、及び養生装置を用いた養生方法に関する。
本出願人の出願である下記の特許出願は、養生するコンクリート表面に多数の凹部を形成した養生シートを添着し、このコンクリート表面と養生シート間に散水手段を配置したものである。
特願2009−12268
しかしながら、上記従来技術には、以下のような問題点があった。
(1)緩衝シートの凸部周囲の凹部に形成される空隙が大きく、そのため養生水の滞水能力が小さいことから、給水の中断による養生水の下方移動を防止するためには、連続的な給水が必要となる。
(2)緩衝シートの凹凸による色むらの跡がコンクリート表面に形成される。特に、コンクリートから溶出するカルシウムが炭酸化して表面に析出し、外観を損ねる。
(3)緩衝シートの凹部は水で満たされており、養生シートに保温効果を期待できない。
などの問題があった。
そこで、本発明の目的は、養生水の保水性や保温性を向上し、コンクリート表面の凹凸むらやカルシウムの析出による美観損傷を抑制するコンクリートの養生シート、養生装置、及び養生方法を提供することとした。
本発明は、上記課題を解決せんとするものであり、その養生シートの要旨は、養生コンクリート表面に不透水シートを被覆し、前記コンクリート表面と不透水シート間の空隙に給水するコンクリートの養生シートの構造であって、該養生シートの前記コンクリート表面を被覆する側に、薄地の織布、編物、不織布、ネット地、又はスポンジマットなどのメッシュの浸水物を添付したことを特徴とするコンクリートの養生シートにある。
上記メッシュの浸水物を添付した不透水シート、すなわち養生シートを、養生するコンクリート表面側に被覆することにより、コンクリート表面の仕上がりを良好にするだけでなく、養生時の保水性と保温性を増進させることができる。
なお、ここで不透水シートとしては、単に一枚のポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂などの単独又は二種以上混合したものの不透水シートの合成樹脂シートか、いわゆるプチプチ(登録商標)シートとして片面に空気又は中実の緩衝シートを用いることができる。
本発明装置の他の要旨は、上記養生シートを用い、その一端部に給水タンクに連通した有孔パイプを配置し、他端部には前記有孔パイプからの散水をメッシュの浸水物で浸してから吸引するバキューム装置としての吸引手段を用いているので、簡単な装置で簡易な方法により、コンクリートの給水養生を行うことができる。
なお、これらの装置は養生シートを、接合テープと接着テープで縦横に隣接状態にして打設したコンクリート表面に接合し、前記有孔パイプからの散水と吸引手段により、養生シートの保水性と保温性を向上し、耐久性と美麗といった良質なコンクリート表面を、養生シートの貼り替えによって、次々と給水養生していくことを可能にした。
さらに、本発明の養生シートを多数隣接・拡張して用いる養生方法を使用することにより、広範囲のコンクリート面の養生を、前記養生シートの付け替えによって連続的に施工することができる。
本発明は、不透水シートの片面に、従来の凹凸シートの凹凸面を直接コンクリートに添付するものではなく、浸水作用を有するメッシュの浸水物を用いることで、保水性を向上してひび割れが生じ難い耐久性を有する良質のコンクリートを得ることができる。また、本発明の養生により、美麗な仕上がりのコンクリート表面ができる。特に、その具体的効果を以下に列挙する。
1)メッシュの浸水物をコンクリート表面と不透水シートの間に介在させているため、セメントの水和反応を良好に維持できることから、コンクリートの強度、水密性・緻密性を向上させることができる。
2)給水養生を行うことによりコンクリートが吸水膨張するため、乾燥収縮ひび割れ、温度応力ひび割れを低減できる。
3)繊維等の保水性に優れるメッシュの浸水物をコンクリート面にあてがうことによって、炭酸カルシウムの局所的な析出が避けられ、外観が見苦しくなることを抑制できる。
4)コンクリート面と不透水シート間のメッシュの浸水物には保温性が期待できる。
5)軽量で薄い養生シートを用いることができる。
6)給水養生に要する水量は、メッシュ浸水物を浸すだけの極めて少量で十分であり、給水タンクからの有孔パイプと吸気手段としての設備も簡便な設備でよい。
7)養生シートは吸気による負圧によってコンクリートに押し付けられるので、自重や風の作用で脱落することはない。
(1)〜(4)は、本発明であるコンクリートの養生シートの縦断面図である。 本発明である養生装置の立面からの説明図である。 図2のA−A’断面図である。 本発明の養生装置をトンネルの覆工に利用した場合の縦断面図である。 図4のB−B’断面図である。 図5におけるトンネル軸方向に配置した養生シートを仮止めする説明図である。
以下に本発明の実施例を説明するが、いうまでもなく、本発明はその趣旨を外れない限り、これらの例に限定されるものではない。
図1では、ボックスカルバートの内壁面である養生するコンクリート1の表面に、メッシュの浸水物3〜3’”を介して不透水シートとして片面に凹凸を形成した緩衝シート2を添着した状態を示す養生シートの断面図である。これらのうち、図1のメッシュの浸水物3には、(1)が織布であり、それ以外には(2)から(4)のそれぞれに不織布3’、ネット類3”、スポンジ状のマット3’”を示すものである。
図2と図3は、図1の養生シートを用いた養生装置の立面からの概念図である。
この図は、本発明の養生するコンクリートがボックスカルバートの側面への説明である。
養生するコンクリート1面には、メッシュの浸水物として細かく織り上げられた織物3等を添着した不透水シートとしての緩衝シート2を7枚の養生シートとして、上端に仮止め用の接着テープ5で仮止めして前記コンクリート面に横に並べて添わせ、各隣接する養生シート間を気密にする接合テープ4を張り合わせ、これらの養生シート全体の四周には前記コンクリートの養生面とシールテープ又は薄肉フィルム11によりシールしている。
この養生するコンクリート1と養生シートとの間の上端部に、養生シート外にある給水タンク6と連結した多数の有孔パイプ7を被覆し、下端部には養生シート外に位置するバキューム装置を備えた吸引機8に連結した吸引パイプ10から連結した吸引口9が織物3の位置まで挿通して存在する。
つぎに、本発明であるコンクリートの養生装置の取り付け方法を、図1乃至図3により、順に説明する。
まず、養生コンクリート1の上方にあるに給水タンク6から連設した有孔パイプ7を養生するコンクリート上端に沿って接着テープ等(図示せず)で取り付けておく。つぎに、前記有孔パイプ7を覆うようにメッシュの浸水物である織布3を付着した不透水シートとしての緩衝シート2からなる養生シートの上端部を接着テープ5で部分的に仮止めし、隣接する養生シート2間の上から、接合テープ4により養生シート2間を機密に添着していく。さらに、養生シートの下端部の所要箇所に吸引口9を穿孔しておき、その吸引口9からは養生シート外の吸引パイプ10を介して吸引機8へ連結しておく。
このようにして、仕上げたコンクリート養生装置を使用するには、吸引機8を稼働すると共に、給水タンク6の図外にあるバルブを開き、有孔パイプ7から散水された水は、織布3より養生コンクリート表面へと水を拡散して行き、前記吸引機8から水を吸引しながら、養生シートのコンクリート面への押し付けを目視して確認し、これを所定時間毎の間欠運転により、5〜15日間稼働させて養生していく。
上記実施例のボックスカルバートとは別の実施例として、覆工コンクリートの養生面における前記接合テープ4の剥離により養生シートがトンネル内に落下しないようにした装置について、図4乃至図6により、以下に説明する。
図4は覆工トンネルの縦断面図、図5は覆工トンネルの両下端に取り付けたジャッキ12により、トンネル軸方向に所要間隔をおいて、周方向に存在するコンクリート打ち継目の溝13に沿って塩化ビニールパイプからなるフレーム14を添着した部分説明図、図6は塩化ビニールパイプ14間をトンネル周方向に所要間隔で配置したターンバックル15によりトンネル軸方向に張設したピアノ線あるいはナイロン(登録商標)製糸等の線状材16に設けたポリウレタン製のクッション材17を、所要の間隔で配置することにより、複数の養生シートの隣接間に配置している接合テープ4及び養生シート本体を押さえて保持するようにしている。
このクッション材17により、前記した接合テープ4が、前記吸引機8からの吸引不足により、剥離することで、養生シートを覆工コンクリート表面から落下することを防止している。
本発明の実施例は、ボックスカルバートと覆工トンネルのコンクリート養生を例にして説明したが、その他にも鉄筋や鉄骨の天井、床、梁などのコンクリート躯体の養生について広く実施することができる。
1 養生するコンクリート
2 不透水シート(緩衝シート)
3 メッシュの浸水物(織物)
4 接合テープ
5 接着テープ
6 給水タンク
7 有孔パイプ
8 吸引手段(吸引機)
9 吸引口
10 吸引パイプ
17 クッション

Claims (6)

  1. 養生コンクリート表面に不透水シートを被覆し、前記コンクリート表面と不透水シート間の空隙に給水するコンクリートの養生シートの構造であって、該養生シートの前記コンクリート表面を被覆する側に薄地の織布、編物、不織布、ネット地、又はスポンジマットなどのメッシュの浸水物を添付したことを特徴とするコンクリートの養生シート。
  2. 前記請求項1の養生シートは、前記養生コンクリート表面に対して被着物として複数枚を面状に連設したものであり、連設した養生シートの外周部にシールテープ又は薄肉フィルムを配置し、しかもその連設した養生シートと養生コンクリート間の一端部の前記空隙間に給水タンクに連通した多数の有孔パイプを配置すると共に、他端部には前記有孔パイプからの給水を前記メッシュの浸水物を通して吸引する吸引手段を設置したことを特徴とするコンクリートの養生装置。
  3. 前記請求項2における養生シートの前記養生するコンクリート表面への付着が、接着テープによるものであることを特徴とするコンクリートの養生装置。
  4. 前記請求項2又は3の養生シートの連設が、隣接する各養生シート間を隙間なく繋合した接合テープによるものであることを特徴とするコンクリートの養生装置。
  5. 前記請求項4の養生コンクリートがトンネル覆工面であり、当該覆工面のトンネル周方向に間隔を置いてフレームを添着し、該フレーム間のトンネル軸方向に張設した線状材には、前記接合テープの所要間隔毎にクッション材を配置したことを特徴とするコンクリートの養生装置。
  6. 前記請求項4又は5に記載した養生装置を用い、前記吸引手段により前記不透水シートを前記コンクリート表面に押し付けると共に、前記メッシュの浸水物を前記有孔パイプからの給水と吸引手段による吸引で前記コンクリートの表面を間欠的に湿潤するようにしたことを特徴とするコンクリートの養生方法。
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