JP2011202361A - 開口部装置及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構造で断熱性能を向上させることができるとともに、外観にも優れる開口部装置を提供する。
【解決手段】少なくとも縦枠は、障子より見込み方向室内側に設けられ、見付方向内側に突出して配置されたカバー部を有し、障子は、2枚以上の板ガラス42、43及び板ガラス間の外周端部に充填されるシール材45を備える複層ガラスパネル41と、複層ガラスパネルの端面を覆う帯状の外周テープと、複層ガラスパネルの端面を覆う部位から外周テープを貫通してシール材に挿入された突出部64を備えるグレージングチャンネル60と、グレージングチャンネル及び複層ガラスパネルの端部を覆うように設けられる框と、を有し、戸先框は、見付方向の大きさが36mm以下であり、閉鎖の姿勢における室内側正面視で、戸先框の略全部がカバー部に隠蔽されるものとする。
【選択図】図2

Description

本発明は住宅や公共施設等の建物開口部に好適に用いられる開口部装置及びその製造方法に関し、詳しくは断熱性能を向上させることができるとともに、外観にも優れる開口部装置及びその製造方法に関する。
建物開口部に備えられるいわゆるサッシ窓は、その開閉により室外との連通・遮断が自在であり、人や物の出入りや換気等をすることができる。また、開閉する障子はガラスパネル等の透光性を有するパネルを有している。これにより、その閉鎖の姿勢においても室内に光を取り入れることができ、室内を明るくし、暖をとる等、室内環境の向上が図られる。
しかし一方で、サッシ窓では、ガラスパネル以外の多くの部分に金属が用いられること等から、通常の壁等に比べて断熱性が低下する傾向にある。断熱性は、建物に求められる重要な性能の1つであり、特に寒冷地ではその重要度も高くなる。
これに対して、断熱性を向上させたサッシが特許文献1に開示されている。この開口部装置では、枠、及び障子の框のそれぞれを室内側の部材、室外側の部材に分け、これを樹脂材により連結して形成している。これによれば、室内外の熱の移動が樹脂材により遮断され、開口部装置の断熱性を向上させることができる。
また、特許文献2には、グレージングチャンネルの内側底面に突起部を設けて、これを複層ガラスパネルのパネル間に充填されたシール材に埋め込むようにして取り付ける構造が開示されている。
特許第3248053号公報 特開平10‐299351号公報
特許文献1に記載等の手段により、開口部装置の断熱性は向上する。しかしながら、一方で部材の複雑化が生じたり、枠、框の見込み、見付方向の寸法が大きくなってしまう傾向にあった。また、さらなる断熱性の向上を必要とする環境に開口部装置の提供をしたい場面もある。
また、特許文献2に記載のグレージングチャンネルは、複層ガラスパネルにおけるシール性向上やグレージングチャンネルの取り付け性を良くすることを目的とし、開口部装置全体として断熱性の向上や外観を考慮した技術的な思想はなかった。
また、特許文献2に記載のグレージングチャンネルでは、実際に流動性のあるシール材にグレージングチャンネルを取り付けるので、汚損等の問題を有していた。
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、簡易な構造で断熱性能を向上させることができるとともに、外観にも優れる開口部装置を提供することを課題とする。そして当該開口部装置を製造するに際しても汚損が防止され、生産性の高い開口部装置の製造方法を提供することも課題とする。
以下、本発明について説明する。ここでは、わかり易さのために図面に付した符号を合わせて記載するが、本発明がこれに限定されるものではない。
請求項1に記載の発明は、縦枠(15、20)と横枠(25、30)とを枠組みして形成し、建物開口部の縁に沿って配置される枠体(10)と、該枠体の内側に配置され、引き戸式に開閉可能な障子(40、70)とを備える開口部装置(1)であって、枠体のうち少なくとも縦枠は、障子より見込み方向室内側に設けられ、見付方向内側に突出して配置されたカバー部(17、18、22)を有し、障子は、所定の間隔を有して対向する2枚以上の板ガラス(42、43)、及び間隔のうち板ガラスの外周端部に充填されるシール材(45)を備える複層ガラスパネル(41)と、複層ガラスパネルの端面のうち少なくとも2つの角部を含むように端面を覆う帯状の外周テープ(48)と、複層ガラスパネルの端部を覆うように設けられ、端面を覆う部位からは、外周テープを貫通し、シール材に挿入された突出部(64)を備えるグレージングチャンネル(60)と、グレージングチャンネルが具備された複層ガラスパネルの外周に沿って複層ガラスパネルの端部を覆うように設けられる框(50、51、52、53、80、81、82、83)と、を有し、框のうち戸先框は、見付方向の大きさが36mm以下であるとともに、障子の閉鎖の姿勢における室内側正面視で、戸先框の略全部がカバー部に隠蔽される開口部装置である。
ここで、「見付方向」とは全体として平板状である開口部装置又は障子の該平板状の平面に沿った方向を意味し、開口部装置が建物に取り付けられた姿勢では、建物開口部の開口面に沿った方向を意味する。また、「見付方向内側」とは、見付方向のうち開口部装置の(障子の場合には障子の)中央方向を意味する。従って「見付方向外側」は見付方向のうち開口部から離れる方向を意味する。さらに、「見込み方向」とは全体として平板状である開口部装置又は障子の該平板状の厚さの方向を意味し、開口部装置が建物に取り付けられた姿勢では、建物の室内外方向を示す。
また、「ガラスパネルの端部」とは、端面を含み、さらにガラスパネルの室内側面、及び室内側面の外周端部を含む概念である。
また、「戸先框の略全部がカバー部に隠蔽」とは、完全に隠蔽される場合のみでなく、若干隠蔽されない部分がある場合をも含むことを意味する。具体的には戸先框の見付方向大きさのうち、90%以上が隠蔽されていることが好ましい。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の開口部装置(1)において、グレージングチャンネル(60)の突出部(64)と、該グレージングチャンネルのうちの複層ガラスパネル(41)の端面を覆う部位と、が一体に形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の開口部装置(1)において、グレージングチャンネル(60)の突出部(64)と、該グレージングチャンネルのうちの複層ガラスパネル(41)の端面を覆う部位と、が別体に形成されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の開口部装置(1)において、全体の熱貫流抵抗値が0.287mK/W以上であることを特徴とする。
開口部装置の熱貫流抵抗値は、JIS A 4710の試験方法に基づいて得られた熱貫流抵抗値とする。また、熱貫流抵抗値が0.287mK/W以上であることは、JIS A 4706、JIS A 4702に規定された等級H−3を満たすことを意味する。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の開口部装置(1)において、戸先框(50)は、障子(40)の室外側見付面を形成する室外側片(50b)と、障子の室内側見付面を形成する室内側片(50c)と、一端が室外側片に、他端が室内側片に連結した見込み片(50a)と、を備え、見込み片が1つであることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の開口部装置において、グレージングチャンネルには排水ための孔が設けられていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の開口部装置を製造する方法であって、所定の間隔を有して対向する2枚以上の板ガラスの間隔のうち板ガラスの外周端部にシール材を充填させる工程と、シール材が固まる前にシール材及び板ガラスの端面を覆うように、貫通手段が施された帯状の外周テープを取り付ける工程と、シール材が固まる前に前記突出部を、外周テープの貫通手段を貫通させて、シール材に差し込むようにして、2枚以上の板ガラスの端部を覆うようにグレージングチャンネルを取り付ける工程と、を含む開口部装置の製造方法である。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の開口部装置を製造する方法であって、所定の間隔を有して対向する2枚以上の板ガラスの前記間隔のうち板ガラスの外周端部にシール材を充填させる工程と、シール材が固まる前に前記シール材及び前記板ガラスの端面を覆うように、帯状の外周テープを取り付ける工程と、取り付けられた外周テープに貫通手段を施す工程と、シール材が固まる前に突出部を、外周テープの貫通手段を貫通させて、シール材に差し込むようにして、2枚以上の板ガラスの端部を覆うようにグレージングチャンネルを取り付ける工程と、を含む開口部装置の製造方法である。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の開口部装置を製造する方法であって、所定の間隔を有して対向する2枚以上の板ガラスの間隔のうち板ガラスの外周端部にシール材を充填させる工程と、シール材が固まる前にシール材及び板ガラスの端面を覆うように帯状の外周テープを取り付ける工程と、シール材が固まる前に突出部を、該突出部の押圧力により外周テープを破って貫通させて、シール材に差し込むようにして、2枚以上の板ガラスの端部を覆うようにグレージングチャンネルを取り付ける工程と、を含む開口部装置の製造方法である。
本発明によれば、簡易な構造で断熱性能を向上させることができるとともに、外観にも優れる開口部装置を提供することができる。そして上記開口部装置の製造方法によれば、このような開口部装置を製造するに際しても汚損が防止され、生産性の高いものとすることが可能である。
1つの実施形態に係る開口部装置の室内視正面図で、図1(a)が閉鎖の姿勢、図1(b)は開放の姿勢である。 図1のII−II断面図である。 図1のIII−III断面図である。 図2のうち縦枠15の部分に注目した図である。 図2のうち障子50の戸先框50の部分に注目した図である。 グレージングチャンネルの他の例を示した図である。 参考の形態に係る開口部装置のうち図2に相当する図である。
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし、本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
図1は、1つの実施形態に係る開口部装置1が建物の開口部に取り付けられた姿勢における該開口部装置1の室内視正面図である。図1(a)は障子が閉鎖された姿勢、図1(b)は障子が少し開かれた姿勢をそれぞれ示している。
図2は、図1(a)にII−IIで示した線(水平方向)に沿った断面図、図3は図1(b)にIII−IIIで示した線(垂直方向)に沿った断面図である。図2では、紙面上が室外側、紙面下が室内側を示している。また、図3では紙面左が室外側、紙面右が室内側を表している。
本実施形態において開口部装置1は、いわゆる引戸式のサッシ窓である。
開口部装置1は、建物開口部の4辺の縁に沿って配置される枠体10、及び該枠体10の内側に具備されて引戸式に開閉する室外側障子である外障子40、室内側障子である内障子70を備えている。また、施錠装置78が設けられ、外障子40及び内障子70の施錠開錠を可能としている。図1〜図3及び適宜示す図を参照しつつ開口部装置1について説明する。
枠体10は、上下のそれぞれに水平に配置される長尺部材である上横枠25、下横枠30、及び該上横枠25、下横枠30の端部を渡して設けられる長尺部材である縦枠15、20を備え、これらが枠状に組み合わされている。
縦枠15は、枠体10の2つの縦枠のうち一方を構成する枠材で、開口部装置1が閉鎖されている姿勢で、外障子40の戸先框50が配置される側の縦枠である。図4(a)には、図2のうち縦枠15の部位に注目した図を示し、図4(b)には、縦枠15の分解断面図を表した。
縦枠15は、縦枠本体16とカバー部としてのカバー部材17、18とを備え、固定手段19によりカバー部材18が縦枠本体16に固定されている。
縦枠本体16は、図2、図4に表わされる断面において、見込み方向に延在する片16aを有している。片16aの室内側端部、及び室外側端部のそれぞれには、見付方向に延びる片16b、16eが設けられている。また、片16aの見付方向内側面には、片16c、片16dが立設されている(図4参照)。ここで、片16cの先端は、見込み方向外側に向けて折り曲げられるように形成されている。また、片16dは外障子40の閉鎖の姿勢でその戸先框50の内側に差し込まれる位置に設けられている。
さらに、片16aの見付方向外側面には片16fが立設されている。当該片16fが建物躯体に固定されることにより、縦枠15が建物に取り付けられる。
縦枠本体16の材質は特に限定されることはないが、強度及び生産性の観点から金属が好ましく、通常のサッシに用いられるアルミニウムであることが最も好ましい。
また、本実施形態では縦枠本体16は、一体に形成されているが、これに限定されることはなく、いくつかの金属部材が組み合わされて一体とされていてもよい。また、縦枠本体を室外側部材と室内側部材とに分け、これを断熱性の部材で連結する、いわゆるブリッジ構造としてもよい。これによりさらに断熱性を向上させることができる。
カバー部材17は、縦枠本体16の長手方向に沿って配置される長尺の部材である。カバー部材17は図2、図4に表わされる断面において略矩形中空である矩形部17aを有している(図4参照)。矩形部17aのうちの1つの角部である見込み方向室外側で見付方向外側の角部は切り欠かれており、ここにコ字状部17bが形成されている。コ字状部17bは、見付方向外側に開口している。そして、開口部分には、開口面を狭めるように若干位置をずらされて対向する突起17c、17dが設けられている。
また、矩形部17aの角部のうち上記コ字状部17bに対して対角の位置の角からは、見込み方向室内側に向けて片17eが延在する。また片17eの先端からは、見付方向外側に向けて片17fが具備されている。
カバー部材18も、縦枠本体16の長手方向(図2、図4の紙面奥/手前方向)に沿って配置される長尺の部材である。カバー部材18は、図2、図4に表わされる断面において、見付方向に延びる片18a、及びその両端のそれぞれから見込み方向に延在する片18b、18cによりクランク状が形成されている。
ここで、本実施形態では、カバー部材17とカバー部材18とは片17fと片18aとにより係合されている。カバー部材は、必ずしも2つの部材を係合させることにより一体とする必要はなく、1つの部材により形成されていてもよい。本実施形態では、カバー部材18をもう一方の縦枠である縦枠20にもそのままの形状で用いることができるため、部品種類の抑制の観点からこのような構成とした。
カバー部材17、18の材質は、熱伝導率の低い材料により形成されていることが好ましい。これにより断熱性を高めることができる。熱伝導率が低いほど断熱性を高めることができるが、熱伝導率が10W/m・K以下であることが好ましい。そのため、具体的には樹脂材料を用いてカバー部材を形成することが好ましい。熱伝導率が低いことに加えて、成型性にも優れるからである。これには例えばPVCを用いることができ、その熱伝導率は0.17W/m・K程度である。
このような縦枠本体16、カバー部材17、18は次のように組み合わせられる。
縦枠本体16の見込み方向室内側において、片16aにカバー部材18の片18bが重ねられるとともに、片16bにカバー部材18の片18aが重ねられるように配置する。そして固定部材19により片18bと片16aとが固定される。本実施形態では、片16bの先端が片18aに係合することによりさらに確実に固定される。
カバー部材17は、そのコ字状部17bの内側に縦枠本体16の片16cを差し込むように配置する。上記したように片16cはL字状に形成されており、一方、コ字状部17bの開口部にはその開口を狭めるように突起17c、17dが設けられている。これにより、カバー部材17が縦枠本体16から抜け難いとともに、ここを中心にカバー部材17を回動させることもできる。そして当該回動をさせて、カバー部材17の片17fとカバー部材18の片18aとを係合させる。
これにより、カバー部材17、18は、縦枠本体16の見付方向内側面のうち見込方向室内側の一部を覆うことができる。
カバー部材17、18の図4(b)にEで示した大きさは、後で説明する他の部材との関係により決めることができる。従って、これらについては、他の部材を説明した後にまとめて詳しく説明する。
ここでは一つの好ましい実施形態として、上記態様を説明したが、カバー部が形成されるものであればこれに限定されるものではない。例えば、縦枠、及びカバー部を金属、又は樹脂で一体に形成してもよいし、室外側の半分を金属の枠とし、室内側の半分を樹脂で枠とカバー部とを一体に形成し、これらを室内外方向に並列させて連結してもよい。
引き続き、枠体10について説明する。縦枠20は枠体10の2つの縦枠のうち一方を構成する枠材で、開口部装置1が閉鎖されている姿勢で、内障子70の戸先框80が配置される側の縦枠である。図2を参照しつつ説明する。
縦枠20は、縦枠本体21とカバー部としてのカバー部材22とを備え、固定手段23によりカバー部材22が縦枠本体21に固定されている。
縦枠本体21は、図2に表わされる断面において、見込み方向に延在する片21aを有している。片21aの室内側端部、及び室外側端部のそれぞれには、見付方向に延びる片21b、21eが設けられている。また、片21aの見付け方向内側面には、片21dが立設されている。ここで、片21dは、室内側障子70の閉鎖の姿勢でその戸先框80の内側に差し込まれる位置に設けられている。
さらに、片21aの見付方向外側面には片21fが立設されている。当該片21fが建物躯体に固定されることにより、縦枠20が建物に取り付けられる。
縦枠本体21の材質は特に限定されることはないが、強度及び生産性の観点から金属が好ましく、通常のサッシに用いられるアルミニウムであることが最も好ましい。
また、本実施形態では縦枠本体21は、一体に形成されているが、これに限定されることはなく、いくつかの金属部材が組み合わされて一体とされていてもよい。また、縦枠本体を室外側部材と室内側部材とに分け、これを断熱性の部材で連結する、いわゆるブリッジ構造としてもよい。これによりさらに断熱性を向上させることができる。
カバー部材22はカバー部材18と同様の形状を有している。すなわち、カバー部材22は、縦枠本体21の長手方向に沿って配置される長尺の部材である。そして、カバー部材22は、図2に表わされる断面において、見付方向に延びる片22a、及びその両端のそれぞれから見込み方向に延在する片22b、22cによりクランク状が形成されている。
カバー部材22の材質は、熱伝導率の低い材料により形成されていることが好ましい。これにより断熱性を高めることができる。熱伝導率が低いほど断熱性を高めることができるが、熱伝導率が10W/m・K以下であることが好ましい。そのためには具体的には樹脂材料を用いてカバー部材を形成することが好ましい。熱伝導率が低いことに加えて、成型性にも優れるからである。これには例えばPVCを用いることができ、その熱伝導率は0.17W/m・K程度である。
このような縦枠本体21、カバー部材22は次のように組み合わせられる。
縦枠本体21の見込み方向室内側において、片21aにカバー部材22の片22bが重ねられるように配置される。そして固定部材23により片22bと片21aとが固定される。本実施形態では、片21bの先端が片22aに係合することによりさらに確実に固定される。
これにより、カバー部材22は、縦枠本体21の見付方向内側面のうち見込方向室内側の一部を覆うことができる。
ここでは一つの好ましい実施形態として、上記態様を説明したが、カバー部が形成されるものであればこれに限定されるものではない。例えば、縦枠、及びカバー部を金属、又は樹脂で一体に形成してもよいし、室外側の半分を金属の枠とし、室内側の半分を樹脂で枠とカバー部とを一体に形成し、これらを室内外に並列させて連結してもよい。
図3を参照しつつ、上横枠25について説明する。上横枠25は、枠体10のうち、上側横枠を構成する枠材であり、上横枠本体26と被覆材27とを備えている。
上横枠本体26は、図3に表わされる断面において、見込み方向に延在する片26aを有している。片26aの見付方向内側面には、片26b、26c、26d、26eが立設されている。片26bは網戸5の上レールとなる片、片26cは外障子40の上レールとなる片、及び片26dは内障子70の上レールとなる片である。また、片26aの見付方向外側面には、片26fが立設されている。当該片26fを建物躯体に取り付けることにより上横枠25が建物躯体に固定される。
上横枠本体26の材質は特に限定されることはないが、強度及び生産性の観点から金属が好ましく、通常のサッシに用いられるアルミニウムであることが最も好ましい。
また、本実施形態では上横枠本体26は、一体に形成されているが、これに限定されることはなく、いくつかの金属部材が組み合わされて一体とされていてもよい。
被覆材27は、上横枠本体26の片26d、片26a、片26eで囲まれるコ字状の内側に沿って配置される略コ字状の部材である。当該被覆材の材質は、熱伝導率の低い材料により形成されていることが好ましい。これにより断熱性を高めることができる。熱伝導率が低いほど断熱性を高めることができるが、熱伝導率が10W/m・K以下であることがよい。そのためには具体的には樹脂材料を用いて形成することが好ましい。熱伝導率が低いことに加えて、成型性にも優れるからである。これには例えばPVCを用いることができ、その熱伝導率は0.17W/m・K程度である。
下横枠30は、枠体10の下側横枠を構成する枠材である。下横枠30は、下横枠本体31、被覆材32、及び排水弁33を備えている。
下横枠本体31は、図3に表わされる断面において、矩形中空に形成された中空部31aが設けられ、該矩形部31aの見込み方向室内側からは、室内側に延びる片31bが配置されている。
矩形部31a、及び片31bの見付方向内側面には、片31c、31d、31e、31fが立設されている。片31cは網戸5の下レールとなる片であり、該網戸5の戸車が載置される。片31dは外障子40の下レールとなる片、及び片31eは内障子70の上レールとなる片であり、それぞれの障子の戸車が載置される。また、中空部31aの見付方向外側面には、片31gが立設されている。当該片31gを建物躯体に取り付けることにより下横枠31が建物躯体に固定される。
下横枠本体31の材質は特に限定されることはないが、強度及び生産性の観点から金属が好ましく、通常のサッシに用いられるアルミニウムであることが最も好ましい。
また、本実施形態では下横枠本体31は、一体に形成されているが、これに限定されることはなく、いくつかの金属部材が組み合わされて一体とされていてもよい。
被覆材32は、下横枠本体31の片31b、片31fの内側に沿って配置される部材である。当該被覆材32の材質は、熱伝導率の低い材料により形成されていることが好ましい。これにより断熱性を高めることができる。熱伝導率が低いほど断熱性を高めることができるが、熱伝導率が10W/m・K以下であることがよい。そのためには具体的には樹脂材料を用いて形成することが好ましい。熱伝導率が低いことに加えて、成型性にも優れるからである。これには例えばPVCを用いることができ、その熱伝導率は0.17W/m・K程度である。
排水弁33は、中空部31aを形成する片のうち、室外側に面する片に設けられた排水口に具備される。このとき、中空部31aを形成する片のうち見付方向内側を形成する片の所定の位置には不図示の貫通孔が設けられている。これにより、片31cと片31dとの間、又は片31dと片31eとの間に侵入した水を中空部31a内に導入して、排水弁33から排出することが可能となる。
外障子40は、戸先框50、外召し合わせ框51、横框52、53、複層ガラスパネル41、外周テープ48及びグレージングチャンネル60を備えている。
戸先框50は戸先側に配置される縦框材である。図5は、図2のうち障子40の戸先部分に注目した図である。ここで図5(a)は組み合わせた図、図5(b)は分解して示した図である。上記のうち外周テープ48は図5に表している。
戸先框50は、図2、図5に表わされる断面において、見込み方向に延在する見込み片としての片50aを有している。そして該片50aの見込み方向両端部のそれぞれには見付方向に延在する室外側片としての片50b、及び室内側片である片50cが設けられている。片50b、50cの見付方向両端部では、該片50b、50cで挟まれる部分が開口部を形成している。ここで、片50bの見付方向外側端部には片50c側にシール部材50dが配置され、縦枠15の片16dに接触して水密気密がとれるように構成されている(図4(a)参照)。
外召し合わせ框51は、外召し合わせ部に用いられる縦框材である。外召し合わせ框51は、図2に表わされる断面において、矩形中空状である中空部51aを有している。該中空部51aの見付方向内側面のうち、その見込み方向両端部のそれぞれからは見付方向内側に片51b、51cが延在する。
また、中空部51aの室内側からは、内召し合わせ框81に係合する係合片51hも設けられている。
横框52は上横框に相当する框材である。横框52は、図3に表わされる断面において、見込み方向に延在する片52aを有している。さらに該片52aの見込み方向両端部のそれぞれには見付方向に延在する片52b、52cが設けられている。片52b、52cの見付方向両端部では、該片52b、52cで挟まれる部分が開口部を形成している。ここで、片52bの見付方向外側端部には片52cに向けてシール部材が配置され、上横枠25の片26cに接触して水密気密がとれるように構成されている。
横框53は下横框に相当する框材である。横框53は、図3に表わされる断面において、見込み方向に延在する片53aを有している。さらに該片53aの見込み方向両端部のそれぞれには見付方向に延在する片53b、53cが設けられている。片53b、53cの見付方向両端部では、該片53b、53cで挟まれる部分が開口部を形成している。ここで、片53bの見付方向外側端部には片53cに向けてシール部材が配置され、下横枠30の片31dに接触して水密気密がとれるように構成されている。
ここで、片53b、53cの間のうち、片53aより障子見付方向外側には、戸車54が配置され、上記した片31dに載置される。
複層ガラスパネル41は、いわゆる複層ガラスパネルであり、矩形板状である2枚の板ガラス42、43が室内外方向に所定の間隔を有して並列されている。本実施形態では、2枚の板ガラスとしたが、これに限定されるものではなく、2枚より多くてもよい。
板ガラス42、43の間隙により形成される空間のうち、その外周端面のやや内側には、板ガラス42、43の辺の方向に沿ってスペーサ44、44、…が配置されている。そしてスペーサ44、44、…の外側にはシール材45、45、…が充填されている。
ここで、スペーサ44、44、…は板ガラス42と板ガラス43との間隙を所定の大きさとすることを主要な機能とするが、ここに乾燥剤を含ませることもできる。これによればこの空間内側を適切な湿度に保つことが可能となる。
一方、シール材45、45、…は、板ガラス42と板ガラス43との接着しつつ、水密性を保持することを主要な機能とする。また、後述するようにシール材45、45、…内にグレージングチャンネル60の突出部64が挿入されるので、シール材45、45、…は少なくとも充填時には流動性を有する材料であることを要する。かかる観点から、シリコン系、ポリサルフィド系の接着材であることが好ましい。
外周テープ48は、上記シール材45の上から複層ガラスパネル41の端面を覆うように該複層ガラスパネル41の外周の周方向に沿ってに巻かれた帯状のテープ材である。これにより、後述するように、流動性のあるシール材45にグレージングチャンネル60を取り付けるに際に、シール材45によるグレージングチャンネル60の汚損を防止することができる。
外周テープ48には後述するようにグレージングチャンネル60の突出部64が貫通するスリット48aを具備している。
外周テープ48の材質は、ポリエステル、ポリプロピレン、塩化ビニル、セロハンテープ又はアルミニウムを基材として片面に粘着剤が具備される粘着テープであることが好ましい。
本実施形態では、上記のように外周テープ48は必ずしも複層ガラスパネル41の端面全周にわたって配置されている必要はなく、周方向に存する4つの角部のうち少なくとも2つの角部を含むように配置されていればよい。これは、シール材によるグレージングチャンネルの汚損が最も生じ易いのが角部であることによる。本実施形態では、より確実に汚損を防止する観点から全周にわたって外周テープを配置することとした。
グレージングチャンネル60は、複層ガラスパネル41の端部を覆うように形成される長尺の部材で、長手方向に直交する断面は例えば図5(b)によく表れている。これからわかるように、グレージングチャンネル60は断面略コ字状であり、片61とこの片61の両端から対向するように立設される2つの片62、63とを備えている。従って、片62と片63との一端側の間隔には開口部が形成される。ここで、「ガラスパネルの端部」とは、端面を含み、さらにガラスパネルの室内側面、及び室内側面の外周端部を含む概念である。
また、片62、片63の当該一端側には、開口部を狭めるように対向して設けられるシール片62a、63aが配置されている。また、片62、片63の面のうち互いに対向する面には、ひれ状部62b、63bが形成されている。
さらに、グレージングチャンネル61の底部を形成する片61の面のうち、その幅方向(図5の紙面上下方向)略中央には、片62、63が立設する側と同じ側に立設する突出部64が配置されている。突出部64にはその先端には膨らむように抜け止め部64aが設けられている。
このような突出部64はグレージングチャンネル60の長手方向全長に亘って形成されていてもよいが、必ずしもこれに限定される必要はなく、一部でもよいし、断続的に形成されていてもよい。
グレージングチャンネル60の材質としては、例えば塩化ビニル系、シリコン系の材料を挙げることができる。また、これらについて硬質と軟質の材料を組み合わせたり、又は軟質のみにより構成することも可能である。
また、グレージングチャンネル60には排水用の孔が設けられてもよい。これによりグレージングチャンネル60内に侵入した水を排出することができる。孔を設ける部位は特に限定されることはなく、片61、片62、63のいずれか又はいずれにも設けられてもよい。
上記戸先框50、外召し合わせ框51、横框52、53、複層ガラスパネル41、外周テープ48及びグレージングチャンネル60、60、…は、次のような取り付け構造を有する。図5を参照しつつ説明する。ここでは戸先框50を例に説明する。他の框(51、52、53)との取り付け構造は、戸先框50の場合と概ね同じなので、説明を省略する。
複層ガラスパネル41の端面は、図5からわかるように、外周テープ48により覆われている。また複層ガラスパネル41の端部は、外周テープ48を含めてグレージングチャンネル60のコ字状の内側に挿入され、囲まれるように配置される。このとき、グレージングチャンネル60の突出部64は外周テープ48のスリット48aを貫通してシール材45の内側に包含されるように具備される。これにより複層ガラスパネル41とグレージングチャンネル60とが固定される。また、突出部64の先端に具備された抜け止め部64aによりその固定がより確実で強固なものとなる。
一方、片62、63に備えられたシール部62a、63a、及びひれ状部62b、63bは板ガラス42、43の面に接触して水密気密を確保する。
戸先框50の片50bと片50cとの間隙にグレージングチャンネル60及び複層ガラスパネル41の端部が含まれるように配置される。
このように、複層ガラスパネル41とグレージングチャンネル60とが固定された状態でこれを框(50、51、52、53)に嵌合する構造により、従来のよりも框を細く形成することが可能となる。グレージングチャンネルと複層ガラスパネルとが固定されていない状態で框を細くすると、框の強度が低いため開閉時や内外の圧力差により障子に力がかかったときに框が変形し、グレージングチャンネルと複層ガラスパネルとの水密気密に問題が生じることがあった。本実施形態の開口部装置ではこのような問題を解決することができるので、框をこれまでに比べて細く形成することができ、複層ガラスパネル部を大きくすることが可能となる。すなわち、採光性向上、及び外観に優れた開口部装置を提供することができる。また、複層ガラスパネル部は框に比べ断熱性に優れので、框が細くなること、及び複層ガラスパネル部が大きくなることによる断熱性向上も図ることが可能となる。具体的には、框の見付方向の大きさが36mm以下であることが好ましい。これにより外観の観点から印象を強く与えることができるとともに、断熱性の向上に効果が顕著である。
引き続き開口部装置10について説明を続ける。内障子70は、図1〜図3からわかるように、戸先框80、内召し合わせ框81、横框82、83、複層ガラスパネル71、グレージングチャンネル90を備えている。内障子70については、上記外障子40に対して、外障子と内障子とに起因する形状の相違はあるものの他の部位については上記した内障子40と共通するのでここでは説明を省略する。
以上説明した開口部装置1は、さらに次のような特徴を備えている。図2、図4を参照しつつ説明する。
開口部装置1の閉鎖の姿勢で図2、図4にBで示した位置と、Aで示した位置とを対比する。Bで示した位置は、障子40、70が閉鎖した姿勢において、戸先框50、80の見付方向内側端部が配置される位置である。一方、Aで示した位置は、縦枠15、20において、カバー部材18、22の見付方向内側端部が配置される位置である。
開口部装置1では、Bで示した位置が、Aで示した位置よりも見付方向外側に配置される。これにより、開口部装置1の閉鎖の姿勢で戸先框50、80が室内側正面視から隠蔽される。ここでは、Bの位置がAの位置よりも見付方向外側となるようにしたが、これが面一(同じ位置)、または、Bの位置は、若干であればAの位置よりも見付方向内側に配置されていてもよい。具体的には戸先框の見付方向大きさのうち、90%以上が隠蔽されていることが好ましい。
開口部装置1では、上記したように、框が細く形成されている。従って、框を通じての熱移動を抑制することができる。これに加えて、このように熱移動が抑制された框50、80がカバー部材により室内視から隠蔽されている。これにより框と室内との熱伝達を抑制することができ、断熱性能をさらに向上させることが可能となる。
このような構成とすることにより、枠、及び框ともに、従来における断熱サッシのようなブリッジ材方式(枠や框を室内側部材と室外側部材とに分け、これを樹脂等により連結する方式)を用いなくても、断熱性能を向上させることが可能となる。すなわち、簡易な構成により断熱性能を向上させることができる。ただし、ブリッジ方式を適用することを妨げるものではなく、ブリッジ構造を用いてもよい。さらなる断熱性向上を期待できるからである。
このような構成により、ある大きさの開口部に従来の開口部装置を設置したときに、H−3等級(JIS A 4706、JIS A 4702、熱貫流抵抗0.287m・K/W以上)の断熱性能を得ることができなかった場合であっても、開口部装置1によれば、H−3等級の断熱性能を得ることが可能となる。
また、上記のように框が細く形成され、該框が室内視で隠蔽されるので、外観にも優れたものとなる。ここで、カバー材18、22も、細い框を隠蔽する程度に形成されれば良いので、図4(b)にEで示したカバー材17、18の寸法も小さく抑えることができる。
開口部装置1の障子40は例えば次のように製造することができる。すなわち、2枚の板ガラス42、43間に該板ガラス42、44の端面よりやや内側にスペーサ44を挟持するように配置する。そして、板ガラス42、43間でスペーサー44の外側の空間にシール材45となる材料を充填する。上記したように本実施形態では、2枚の板ガラスとしたが、これに限定されるものではなく、2枚より多くてもよい。
次に、充填したシール材が流動性を有しているうちに外周テープ48を複層ガラスパネル41の端面に沿って巻く。そして、充填したシール材が流動性を有しているうちにグレージングチャンネル60を複層ガラスパネル41の端部を覆うように配置する。このとき、グレージングチャンネル60の突出部64が外周テープ48を貫通してシール材45内に侵入する。
グレージングチャンネル60が取り付けられた複層ガラスパネル41の外周部を縦横の框(50、51、52、53)に差し込むように組み立てる。
本実施形態の開口部装置1では、シール材が流動性を有しているうちにグレージングチャンネルをとりける必要がある。従って、取り付け時にグレージングチャンネルがシール材により汚損する虞がある。しかしながら、本実施形態のように外周テープが配置されることにより当該汚損を防止することが可能となる。また、外周テープによりシール材が流出することを防ぐことができるので、シール材が固まることを待つことなく製造工程を進行させることが可能となる。
ここで、上記したように、グレージングチャンネル60の突出部64が、最終的に外周テープ48を貫通する必要がある。すなわち最終的に外周テープ48のスリット48aがいずれかの手段により形成される。そのための手段は特に限定されるものではないが、これには例えば、外周テープ48を複層ガラスパネル41の外周端面に沿って巻く前に外周テープ48に予めカッター等によりスリット状の切り込みを入れておくことや、ミシン目状の切れ目を設けておくこと等の貫通手段を施しておくことを挙げることができる。
または、外周テープ48を複層ガラスパネル41の外周端面に沿って巻いた後に、外周テープ48にカッター等によりスリット状の切り込みを入れたり、ミシン目状の切れ目を設ける等の貫通手段を施してもよい。
その他、外周テープにグレージングチャンネルの突出部を押し当てることにより、外周テープが破れる等して裂けて貫通するような材質のものを外周テープに適用してもよい。
次に、グレージングチャンネルの形態に関する変形例を説明する。他の部位については上記した開口部装置1と共通するので、説明を省略する。
図6(a)は、1つの変形例の開口部装置に用いられるグレージングチャンネル160の断面図を示す図である。グレージングチャンネル160では、突出部164が第一突出部164a、第二突出部164bの2本を有している点がグレージングチャンネル60と異なる。これによりさらにシール材とグレージングチャンネルとの固定が強固なものとなる。
図6(b)は、他の変形例の開口部装置に用いられるグレージングチャンネル260の断面図を示す図である。グレージングチャンネル260では、突出部264が別体に設けられていることが特徴である。グレージングチャンネル260のコ字状である底辺を形成する片161には、スリット161aが設けられここを貫通するように、突出部264をコ字状の内側に突出させることができる。これによれば、強度が必要な部分に、必要な分を過不足なく取り付けることができる。
図7は参考の形態にかかる開口部装置201を説明するための図で、図2に相当する図である。開口部装置201では、外障子240、及び内障子270の戸先框250、280の態様が開口部装置1と異なる。他の構成については開口部装置1の説明と同じなので、符号も共通として説明は省略する。
開口部装置201の戸先框250、280は、障子240、270の閉鎖の姿勢でも当該戸先框250、280が室内視で隠蔽されない。具体的には、図7にYで示した大きさだけ、戸先框250、280がカバー部材18、22により隠蔽されていない。
これは、例えば大型の開口部装置において框が長尺になるため、その強度(面外強度)確保の観点から框の太さを大きくせざるを得ない場合、また、操作性の観点から戸先框に引手(把手)を設ける必要がある場合等を挙げることができる。
このような場合であっても、複層ガラスパネルとグレージングチャンネルとは上記説明したと同様に固定されているので、従来に比べ、框を薄く形成することができる。これにより図7にYで示した部分がカバー材18、22により隠蔽されなくても従来に比べて断熱性を向上させることが可能である。
ただし、Yの大きさが大きすぎれば断熱性能を向上の程度が低下してしまうので、図7にXで示した框の厚さに対して、(X−Y)/X×100%が、60%以上であることが好ましい。
例えば、ある大きさの開口部に従来の開口部装置を設置したときに、H−3等級(JIS A 4706、JIS A 4702、熱貫流抵抗0.287m・K/W以上)の断熱性能を得ることができなかった場合であっても、開口部装置201によれば、H−3等級の断熱性能を得ることが可能となる場合もある。
以上、現時点において実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う開口部装置もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
1 開口部装置
10 枠体
15、20 縦横枠
17 カバー部材
18、22 カバー部材
25 上横枠
30 下横枠
40 外障子
41 複層ガラスパネル
45 シール材
48 外周テープ
50 戸先框
51 外召し合せ框
52 横框
53 横框
60 グレージングチャンネル
70 外障子
71 複層ガラスパネル
80 戸先框
81 内外召し合せ框
82 上横框
83 下横框
90 グレージングチャンネル

Claims (9)

  1. 縦枠と横枠とを枠組みして形成し、建物開口部の縁に沿って配置される枠体と、該枠体の内側に配置され、引き戸式に開閉可能な障子とを備える開口部装置であって、
    前記枠体のうち少なくとも前記縦枠は、前記障子より見込み方向室内側に設けられ、見付方向内側に突出して配置されたカバー部を有し、
    前記障子は、
    所定の間隔を有して対向する2枚以上の板ガラス、及び前記間隔のうち前記板ガラスの外周端部に充填されるシール材を備える複層ガラスパネルと、
    前記複層ガラスパネルの端面のうち少なくとも2つの角部を含むように端面を覆う帯状の外周テープと、
    前記複層ガラスパネルの端部を覆うように設けられ、前記端面を覆う部位からは、前記外周テープを貫通し、前記シール材に挿入された突出部を備えるグレージングチャンネルと、
    前記グレージングチャンネルが具備された前記複層ガラスパネルの外周に沿って前記複層ガラスパネルの端部を覆うように設けられる框と、を有し、
    前記框のうち戸先框は、見付方向の大きさが36mm以下であるとともに、前記障子の閉鎖の姿勢における室内側正面視で、前記戸先框の略全部が前記カバー部に隠蔽される開口部装置。
  2. 前記グレージングチャンネルの前記突出部と、該グレージングチャンネルのうちの前記複層ガラスパネルの端面を覆う部位と、が一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の開口部装置。
  3. 前記グレージングチャンネルの前記突出部と、該グレージングチャンネルのうちの前記複層ガラスパネルの端面を覆う部位と、が別体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の開口部装置。
  4. 全体の熱貫流抵抗値が0.287mK/W以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載の開口部装置。
  5. 前記戸先框は、
    前記障子の室外側見付面を形成する室外側片と、
    前記障子の室内側見付面を形成する室内側片と、
    一端が前記室外側片に、他端が前記室内側片に連結した見込み片と、を備え、
    前記見込み片が1つであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の開口部装置。
  6. 前記グレージングチャンネルには排水ための孔が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の開口部装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の開口部装置を製造する方法であって、
    所定の間隔を有して対向する2枚以上の板ガラスの前記間隔のうち前記板ガラスの外周端部にシール材を充填させる工程と、
    前記シール材が固まる前に前記シール材及び前記板ガラスの端面を覆うように、貫通手段が施された帯状の外周テープを取り付ける工程と、
    前記シール材が固まる前に前記突出部を、前記外周テープの前記貫通手段を貫通させて、前記シール材に差し込むようにして、前記2枚以上の板ガラスの端部を覆うように前記グレージングチャンネルを取り付ける工程と、を含む開口部装置の製造方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の開口部装置を製造する方法であって、
    所定の間隔を有して対向する2枚以上の板ガラスの前記間隔のうち前記板ガラスの外周端部にシール材を充填させる工程と、
    前記シール材が固まる前に前記シール材及び前記板ガラスの端面を覆うように、帯状の外周テープを取り付ける工程と、
    前記取り付けられた前記外周テープに貫通手段を施す工程と、
    前記シール材が固まる前に前記突出部を、前記外周テープの前記貫通手段を貫通させて、前記シール材に差し込むようにして、前記2枚以上の板ガラスの端部を覆うように前記グレージングチャンネルを取り付ける工程と、を含む開口部装置の製造方法。
  9. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の開口部装置を製造する方法であって、
    所定の間隔を有して対向する2枚以上の板ガラスの前記間隔のうち前記板ガラスの外周端部にシール材を充填させる工程と、
    前記シール材が固まる前に前記シール材及び前記板ガラスの端面を覆うように帯状の外周テープを取り付ける工程と、
    前記シール材が固まる前に前記突出部を、該突出部の押圧力により前記外周テープを破って貫通させて、前記シール材に差し込むようにして、前記2枚以上の板ガラスの端部を覆うように前記グレージングチャンネルを取り付ける工程と、を含む開口部装置の製造方法。
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