JP6762805B2 - 建物開口部の上部排水構造 - Google Patents

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Description

本発明は、窓サッシが配置される建物開口部の上部排水構造に関する。
窓サッシが配置される建物開口部において、窓サッシの上方に設けられる外壁パネルの裏面側に浸入した雨水を、窓サッシの上枠上面に流し、外壁パネルと上枠上面との間に配置した水抜き部材を介して屋外側に排水する構造が知られている(例えば特許文献1参照)。
特開平10−325185号公報
ところで、窓サッシの上枠に雨水を流した場合には、上枠と縦枠との接合部や防水テープの重ね代のピンホール部分から屋内側に雨水が浸入するおそれがある。
本発明の目的は、建物開口部の上方に配置された外壁の裏面側に浸入した雨水が、屋内側に浸入することを防止できる建物開口部の上部排水構造を提供することにある。
本発明の建物開口部の上部排水構造は、建物の外壁に形成されて窓枠が配置される建物開口部の上部排水構造であって、前記窓枠は、上枠、下枠および左右の縦枠を枠組みして構成され、前記外壁は、外装材と、前記外装材の屋内面側に設けられた防水層とを備え、前記防水層には、前記上枠の長手方向の寸法よりも長い寸法を有する排水用部材が取り付けられ、前記排水用部材は、前記防水層の表面に取り付けられて水を堰き止める屋内壁部と、前記外装材の下方に配置され、見込み方向において前記外装材の裏面よりも屋外側に位置して水を堰き止める屋外壁部と、前記屋内壁部および前記屋外壁部間を連結する底面部と、を有し、前記縦枠および前記外装材の間に充填されたシーリング材の屋内側には、前記縦枠の外周面に沿って排水通路が形成され、前記排水用部材は、前記上枠から突出されて前記排水通路の上方に配置された端部に、前記底面部に流れ込んだ水を前記排水通路に流す排水口を有することを特徴とする。
本発明によれば、上枠の上方において、上枠の長手方向の寸法よりも長い寸法を有する排水用部材を防水層の表面に取り付けているので、外装材の裏面側に浸入した雨水は、防水層の屋外面を伝わって流れ落ちた際に、防水層の屋外面から排水用部材の屋内壁部を介して排水用部材内に流れ込む。また、排水用部材の屋外壁部は、見込み方向において外装材の裏面よりも屋外側の位置で、外装材の下方に配置されているので、外装材の裏面を伝わって流れ落ちた雨水は、外装材から落ちて排水用部材の底面部で受けられる。
したがって、外装材の裏面側に浸入した雨水が、上枠の上面に落下することを防止でき、上枠と縦枠との接合部や防水テープの重ね代のピンホール部分から屋内側に雨水が浸入することも防止できる。
本発明によれば、排水用部材に流れ込んだ雨水を、排水口から縦枠の外周面に沿って形成される排水通路に流すことができる。したがって、外装材の裏面側に浸入し、排水部材に流れ込んだ雨水を、排水口から排水通路を介して排水することができる。
また、排水用部材を上枠の長手方向の寸法よりも長くしているので、排水口を上枠の外側に形成された排水通路の上方に配置することができ、排水口から排水通路に確実に水を流すことができる。なお、排水口としては、排水用部材の端面を開口しておくことで形成してもよいし、底面部に穴を空けて形成してもよい。
本発明の建物開口部の上部排水構造において、前記防水層は、防水シートで構成され、前記防水シートの端縁は、前記窓枠に貼り付けられていることが好ましい。
本発明によれば、防水層を防水シートで構成したので、排水用部材を防水シートの屋外面に両面テープなどで容易に貼り付けることができる。
また、防水シートを建物の躯体等の屋外面から窓枠まで連続して設けることができるので、外装材と窓枠との間を充填するシーリング材を一次シールとし、防水シートを二次シールとすることで、外装材と防水シート間を外気と等圧な空間にでき、圧力差による雨水の浸入を防止できる。
本発明の建物開口部の上部排水構造において、前記底面部は、屋外側に向かうに従って低くなるように傾斜されていることが好ましい。
本発明によれば、排水用部材の底面部は、屋外側が低くなるように傾斜されているので、排水用部材に流れ込んだ雨水を、底面部の屋外壁部側に流すことができる。したがって、雨水は屋外壁部に沿って排水用部材の左右の端面側に流れ、排水口において屋外側の位置から排水される。このため、窓枠の縦枠に沿って設けられる排水通路においても、屋外側の位置で雨水が流れるため、排水通路の屋内面に雨水が付着することも少なくなり、屋内側への浸入をより防止できる。
本発明の建物開口部の上部排水構造において、前記防水層と前記屋内壁部とに跨がって貼られ、前記屋内壁部の上端と前記防水層との隙間を塞ぐ防水テープを備えることが好ましい。
本発明によれば、防水シートなどで構成される防水層の屋外面に、排水用部材の屋内壁部を取り付けた際に、屋内壁部の上端と前記防水層との隙間を塞ぐ防水テープを、防水層および屋内壁部に跨がって貼っているので、防水層の表面を伝わって落下する雨水が、防水層および屋内壁部間に浸入してしまうことを防止できる。
本発明の建物開口部の上部排水構造によれば、建物開口部の上方に配置された外壁の屋内面側に浸入した雨水が、窓枠の上枠から屋内側に浸入することを防止できる。
本発明の第1実施形態の建物開口部の上部排水構造を示す縦断面図。 第1実施形態の建物開口部の上部排水構造を示す横断面図。 第1実施形態の要部を示す斜視図。 本発明の第2実施形態の建物開口部の上部排水構造の要部を示す縦断面図。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態は、図1〜3に示すように、建物の既設外壁1および既設枠2を残し、新設外壁3、新設枠4、新設障子5を新たに取り付けて改装した場合の建物開口部の上部排水構造である。
なお、以下の説明において、既設枠2および新設枠4を屋内側から見た際に、上下(垂直)となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向、屋内外方向を見込み方向として説明する。また、既設枠2および新設枠4は矩形状に枠組みされており、枠の内周側に面した面を内周面、外周側に面した面を外周面として説明する。
また、既設枠2、新設枠4、新設障子5の枠材や框材、ガラス等の断面図では、図面を見やすくするためにハッチングを省略している。
建物は、既設外壁1や既設枠2を支持する躯体10を備える。躯体10は、例えば、適宜間隔で配置された柱や間柱と、柱や間柱間に掛け渡されて窓開口を区画する窓台、まぐさ等を備える。
[既設外壁および既設枠]
躯体10には、既設外壁1と、既設枠2とが固定されている。
既設枠2は、既設上枠21と、既設下枠22と、左右の既設縦枠23、24とを枠組みして構成されている。各枠21,22,23,24の断面形状は、既設窓の種類によって異なり、本実施形態の既設枠2は、引違い窓用である。
これらの各枠21,22,23,24は、躯体の屋外面に当接する釘ヒレ21A,22A,23A,24Aを備えており、この釘ヒレ21A,22A,23A,24Aから躯体に釘を打ち込むことで、既設枠2は躯体10に取り付けられている。
既設枠2の屋内側には、既設額縁26が窓開口の内周面に沿って取り付けられている。既設額縁26は、躯体10の屋内側を覆う内装材27の端面が当接されている。
既設枠2の外周面には、既設外壁1が配置され、既設外壁1の端面と既設枠2とは、シーリング材28で塞がれて防水処理されている。
[新設外壁]
既設外壁1の屋外側には、新設外壁3が改装によって設けられている。新設外壁3は、既設外壁1の屋外側に配置された新設断熱材31と、新設断熱材31の屋外側に配置された胴縁(本実施形態では縦胴縁)32と、胴縁32の屋外側に配置された新設外装材30とを備えている。
新設断熱材31は、ポリスチレン樹脂やフェノール樹脂等を発泡させた断熱材など、外張り断熱工法で用いられる一般的な断熱材である。
新設外装材30は、窯業系、コンクリート系、ALC(軽量気泡コンクリート)系、金属系などの様々な材質で構成される外装材である。
[新設窓]
既設枠2の開口内周面には新設窓が取り付けられている。本実施形態の新設窓は、FIX窓と、縦すべり出し窓との連窓である。新設窓は、新設枠4および新設障子5を備える。
新設枠4は、新設上枠41、新設下枠42、新設縦枠43、44、縦骨(中骨)45を備えている。
FIX窓は、新設上枠41と、新設下枠42と、新設縦枠44と、縦骨45とを枠組みして構成される窓枠内に、トリプルガラス47からなる面材を組み込むことで構成される。トリプルガラス47は、各枠41、42、44、縦骨45と、これらに取り付けられた押縁46とで保持されている。
縦すべり出し窓は、新設上枠41と、新設下枠42と、新設縦枠43と、縦骨45とを枠組みして構成される窓枠内に、新設障子5を開閉可能に取り付けることで構成される。
新設障子5は、樹脂製の上框51、下框52、左右の縦框53、54とを枠組みして構成される新設框と、この新設框内に組み込まれたトリプルガラス57からなる面材とで構成されている。トリプルガラス57は、各框51,52,53,54と、これらに取り付けられた押縁56とで保持されている。
新設窓は、新設枠4や、新設障子5の框51,52,53,54が樹脂製(合成樹脂製)であり、面材はトリプルガラス47,57で構成されているので、断熱性能の高い窓とされている。なお、本実施形態の各框51,52,53,54は、同一断面の樹脂製の押出形材で構成され、複数の中空部を備えて断熱性能を向上させている。
[新設枠]
新設上枠41、新設下枠42、新設縦枠43、44は、樹脂製の押出形材で構成されている。したがって、本実施形態では、新設枠4全体が断熱部材(樹脂部材)で構成されている。本実施形態では、各枠41,42,43,44は、同一断面形状の押出形材であるが、各枠の形状は窓の種類に応じて設定され、必ずしも同一断面形状のものに限らない。
また、各枠41,42,43,44は、見込み方向に沿って屋外側から屋内側に並んだ第1〜4中空部を備えており、枠自体の断熱性および剛性を向上させている。
第1中空部の屋外端面は、新設外装材30の屋外面とほぼ同一平面上に配置されている。第2中空部は、第1中空部よりも見付け寸法が大きくされ、第1中空部よりも内周側に突出している。第2中空部の内周面には押縁46が装着可能な係合溝が形成されている。
第3中空部は、第2中空部と同程度の見付け寸法であり、見込み寸法は既設枠2と同程度の寸法とされている。新設上枠41、新設下枠42の第3中空部には、新設障子5を開閉するためのすべり出しアームの固定用の金属プレートが配置されている。
第4中空部は、第3中空部と同程度の見付け寸法である。第4中空部の内周側には、FIX窓のトリプルガラス47の保持片や、新設障子5の戸当り部となる突出部41A,42A,43A,44Aが設けられている。
なお、縦骨45は、各枠41,42,43,44の第2中空部から第4中空部に対応する3つの中空部(第2〜4中空部)を備えている。縦骨45の第2中空部には押縁46の係合溝が形成され、第3中空部には錠受け等の部品が取り付けられる金属プレート(チャンネル材)が配置され、第4中空部には左右方向に突出した2つの突出部45Aが形成されている。
新設上枠41、新設下枠42、新設縦枠43、44の外周面は、フラットな平面形状とされ、既設枠2の釘ヒレ21A,22A,23A,24Aに相当するヒレ部は設けられていない。
各枠41,42,43,44の屋内側端部には、屋内側に突出された取付片411、421、431、441が形成され、取付片411,421,431,441は、ネジ15によって躯体10に取り付けられている。したがって、ネジ15は、新設枠4の見込み方向に対して直交する方向(各枠41,42,43,44の見付け方向)にねじ込まれている。
このように新設枠4は、釘ヒレが無く、ネジ15を見付け方向にねじ込むことで躯体10に取り付けられるため、屋内外方向(見込み方向)の位置を調整可能に躯体10に取り付けることができる。本実施形態では、新設枠4の屋外面(第1中空部の端面)が、新設外装材30の屋外面に略揃うように、新設枠4の位置が調整されている。
さらに、新設外装材30の屋外面から既設枠2の屋内側端縁までの見込み方法の長さ寸法は、新設外装材30の屋外面から新設枠4の屋内側端縁までの見込み方法の長さ寸法よりも小さくなるように設定されている。このため、新設枠4は、既設枠2の内周面を覆っている。
なお、本実施形態では、新設外装材30の屋外面は、新設枠4の屋外面と、同じ見込み方向の位置であるため、新設枠4(新設上枠41、新設下枠42、新設縦枠43、44)の見込み方向の長さ寸法も同じ寸法である。
新設枠4の見込み方向の寸法は、各取付片411,421,431,441が既設枠2よりも屋内側に位置するように設定されている。このため、取付片411,421,431,441からねじ込まれるネジ15は、既設枠2よりも屋内側の位置で、既設額縁26等を介して躯体10にねじ込まれている。
新設枠4の室内側には、図1,2に示すように、木製の新設額縁36が既設額縁26に沿って配置されている。新設額縁36と内装材27との間には、新設カバー材38が掛け渡されている。新設カバー材38は、既設額縁26が屋内側に露出しないようにカバーしている。
[新設枠の固定構造]
本実施形態では、新設枠4の高さ寸法を、既設枠2の開口高さ寸法よりも小さく設計し、新設枠4を既設枠2内に容易に配置できるようにしている。このため、新設枠4を既設下枠22上に設置した際に、新設上枠41と既設枠2との間には所定の隙間が生じる。そこで、図1に示すように、新設上枠41と、既設枠2との間には、前記隙間寸法に応じた厚さ寸法の調整部材(飼い木)415が配置されている。また、既設上枠21の下面と、既設額縁26の下面との間には段差があるため、調整部材415と既設額縁26との間にも隙間が生じ、この隙間部分には調整部材416が配置されている。
新設下枠42は、図1に示すように、既設下枠22と新設断熱材31との上面に当接するように配置されている。本実施形態の既設下枠22は、引違い窓用であり、内レールに比べて外レールの位置が低い。このため、既設下枠22には、新設下枠42の下面に当接する支持ブラケット221が取り付けられている。支持ブラケット221は、高さ調整可能なように2つの部品で構成されている。この支持ブラケット221は、既設下枠22の長手方向(既設枠2の左右方向)の全長と同程度の長さ寸法に形成して配置してもよいが、本実施形態では短尺のピース状に形成されて既設下枠22の複数箇所に取り付けられている。この支持ブラケット221が設けられているので、新設下枠42の荷重を支持でき、新設下枠42の垂れ下がりも防止できる。
また、既設額縁26上には、既設下枠22の上面との段差を無くすための調整部材426が配置されている。
新設下枠42の屋外端部は新設外装材30の位置まで延設されており、新設下枠42と新設外装材30との間には、バックアップ材66および湿式シーリング材67が充填されている。
新設縦枠43、44は、図2に示すように、既設縦枠23、24の内周側に配置されている。新設縦枠43、44と、既設額縁26との間にも、板状の調整部材435、445が配置されている。これにより、新設枠4の左右方向の幅寸法を、既設縦枠23、24間の寸法よりも小さくして、調整部材435、445で調整することで、新設枠4は、幅方向においても既設枠2内に容易に配置できる。
新設縦枠43、44の外周面(側面)は、前記調整部材435、445と、新設断熱材31とに当接されている。一方、新設外装材30、胴縁32は、新設縦枠43、44の外周面から離れて配置されている。新設縦枠43、44と新設外装材30との間には、バックアップ材66および湿式シーリング材67が充填されている。
[防水構造]
次に、本実施形態における防水構造について、図1〜3に基づいて説明する。本実施形態では、外壁用の気密防水シート73と、既設枠2および新設枠4間を空気が流通しないように封鎖する気密防水シート72とを設けている。
なお、防水シートとしては、水は通過させないが水蒸気などの湿気は通過させる透湿防水シートと、水・水蒸気・空気を通過させない気密防水シート(防湿気密シートや気密シートともいう)とがあり、前記防水シートに求められる機能によって種類が選択される。本実施形態では、気密防水シート73に加えて、気密防水シート72を設けて気密性を確保できるため、新設断熱材31の屋外側に設ける防水シート73を透湿防水シートで構成してもよい。防水シート73を透湿防水シートで構成した場合は、新設外装材30と、新設断熱材31との間に、胴縁32を設けて通気層を形成しており、既設外壁1や新設断熱材31の湿気(水蒸気)を、防水シート73から通気層を介して外部に逃がすことができる。
なお、図1,2では、各防水シート同士を区別しやすいように、気密防水シート73を破線で示し、気密防水シート72および防水テープ96を太い実線で示している。
また、各気密防水シート72,73は、一般的な防水シートと同様に、可撓性を有しており、既設枠2等に沿って折り曲げることができるように構成されている。
[外壁用の防水シート]
外壁部分において、既設外壁1の裏面側には既設の防水シートなどが設けられている。ただし、この既設の防水シートは劣化している可能性もある。このため、改装時には、新設の気密防水シート73を装着して建物の外壁における防水構造を構成している。すなわち、新設断熱材31の屋外面には、気密防水シート73が接着されている。この気密防水シート73によって、新設外装材30の裏面側に設けられる防水層が構成される。
図1、2に示すように、気密防水シート73の建物開口部側の端部は、新設枠4まで延長され、さらに新設枠4に沿って屋外側に折り曲げられ、新設枠4に両面テープなどで貼られている。
[密閉用の防水シート]
既設枠2と、新設枠4との間には、気密防水シート72が設けられている。気密防水シート72は、貫通孔等から浸入しようとする水を高分子吸収体が水を吸って膨潤し、貫通孔をふさぐ機能を備えており、例えば、スリーエムジャパン株式会社製の止水機能付き外壁防水シート2407等が利用できる。
既設枠2および新設枠4間をつなぐ気密防水シート72は、既設枠2の四周内周面に沿って配置され、既設枠2および新設枠4間において屋内外方向に空気が流通しないように密閉している。
すなわち、気密防水シート72は、図1に示すように、既設上枠21および新設上枠41間では、既設上枠21の屋外面に両面テープなどで貼り付けられ、既設上枠21および調整部材416の内周面(下面)に沿って屋内側に折り込まれている。気密防水シート72の屋内側端部は、調整部材415、416および取付片411の屋内面に沿って折り曲げられ、さらに取付片411の内周面に沿って屋外側に折り返され、取付片411に両面テープなどで貼り付けられている。
気密防水シート72は、図1に示すように、既設下枠22および新設下枠42間では、既設下枠22の屋外面に両面テープなどで貼り付けられ、支持ブラケット221、既設下枠22および調整部材426の上面に沿って配置されている。気密防水シート72の屋内側端部は、取付片421の屋外面に沿って折り曲げられ、さらに取付片421の内周面に沿って屋外側に折り返され、取付片421に両面テープなどで貼り付けられている。
気密防水シート72は、図2に示すように、既設縦枠23、24および新設縦枠43、44間では、既設縦枠23、24の屋外面に両面テープなどで貼り付けられ、既設縦枠23、24および既設額縁26の内面に沿って配置されている。気密防水シート72の屋内側端部は、調整部材435、445の屋外面に沿って折り曲げられ、さらに取付片431、441の内周面まで折り返され、取付片431、441に両面テープなどで貼り付けられている。
気密防水シート72の屋内側端縁は、新設枠4の取付片411,421,431,441の内周面に沿って配置される新設額縁36により、屋内側に露出しないように隠されている。
[排水用部材]
図1,3に示すように、新設断熱材31の屋外面には設けられた気密防水シート73の屋外面(表面)には、排水用部材90が取り付けられている。排水用部材90は、金属材や合成樹脂材で構成され、図3に示すように、屋内壁部91と、屋外壁部92と、屋内壁部91および屋外壁部92間を連結する底面部93とを備える。排水用部材90は、新設上枠41の長手方向(新設枠4の左右方向)の寸法よりも長い寸法を有する。
屋内壁部91は、気密防水シート73の表面に両面テープなどを用いて貼られている。なお、後述する防水テープ96によって屋内壁部91を気密防水シート73に貼り付けてもよい。
屋外壁部92は、新設外装材30の下方に配置され、見込み方向において新設外装材30の裏面よりも屋外側に位置している。この際、新設外装材30を設置する前に、排水用部材90が取り付けられるため、排水用部材90の屋外壁部92を、新設外装材30を設置する際の位置決め部材とし、屋外壁部92の上端縁に対して新設外装材30の下面を平行に配置することで新設外装材30を位置決めすることができる。
底面部93は、図1に示すように、屋内壁部91側の端部よりも屋外壁部92側の端部が低くなるように傾斜されている。すなわち、底面部93は、屋外側に向かうにしたがって下る勾配が設定されている。
排水用部材90は、屋内壁部91、屋外壁部92、底面部93によって、上面側が開口された樋状に構成される。また、底面部93が傾斜しているため、屋内壁部91および屋外壁部92間に流れ込んだ水は、底面部93の屋外側(屋外壁部92側)から溜まっていくようにされている。
排水用部材90の屋内壁部91と気密防水シート73とに跨がって防水テープ96が貼られている。この防水テープ96により、屋内壁部91の上端と気密防水シート73との隙間が塞がれている。このため、防水テープ96の表面を流れ落ちる水は、防水テープ96を介して排水用部材90に流れ、屋内壁部91と気密防水シート73との隙間から新設上枠41の上面に流れることは防止されている。
また、屋外壁部92が新設外装材30の屋内面よりも屋外側に位置することから、新設外装材30の屋内面に沿って流れ落ちる水は、底面部93で受けられる。
排水用部材90の長手方向(左右方向)の端面は開口されており、底面部93で受けられた水は、両端面の開口から排出される。したがって、排水用部材90で受けられた水を排水する排水口94は、排水用部材90の左右両端面の開口で構成される。
新設外装材30と新設上枠41との間は、湿式シーリング材67が充填されている。この際、湿式シーリング材67が、新設外装材30、新設上枠41だけでなく、排水用部材90にも接着すると三面接着となり耐久性が低下する。このため、図1に示すように、屋外壁部92の屋外面には、湿式シーリング材67の接着を防止するボンドブレーカーテープ95が貼られている。
排水用部材90の左右両端の排水口94は、新設縦枠43、44の外周面に形成された排水通路98の上方に位置しており、排水口94から排出された水は、排水通路98を通って下方に流れ、屋外側に排出される。
排水通路98は、図2、3に示すように、新設縦枠43、44と、新設断熱材31の屋外面に貼られた気密防水シート73と、胴縁32と、バックアップ材66とで囲まれて形成されている。
[断熱構造]
次に、本実施形態における断熱構造について説明する。
既設外壁1と新設外装材30との間には、断熱層80が形成されている。断熱層80は、主に新設断熱材31で構成されている。すなわち、新設断熱材31は、新設上枠41、新設下枠42、新設縦枠43、44に当接されている。このため、外壁部分には、新設枠4に連続する断熱層80が、新設断熱材31によって構成されている。
断熱層80(新設断熱材31)は、既設枠2の屋外面を覆っており、既設枠2の屋外側に断熱ラインが構成されているので、新設外装材30から既設枠2に伝わる熱流量を低減でき、外気温が低い場合でも、アルミ押出形材からなる既設枠2の温度が低下して結露が生じることを抑制できる。
新設窓においては、樹脂製の新設枠4と、樹脂製の框51,52,53,54と、トリプルガラス47、57を用いることで断熱性能を確保している。特に、新設窓において、屋外の空気に触れる面積が最も大きい面材においては、トリプルガラス47,57を採用することで断熱性能を高めており、このトリプルガラス47、57に沿って屋内外の熱流量を低減させる断熱ラインが構成される。
また、新設枠4および各框51,52,53,54においても、樹脂製とし、さらに見付け方向に並んだ複数の中空部を備えることで、断熱性能を向上させている。
ここで、新設窓が配置される開口部分において、トリプルガラス47、57の少なくとも1枚のガラスは、新設断熱材31同士を結ぶ断熱ライン内に配置されている。
FIX窓のトリプルガラス47において、最も屋外側に配置されたガラスは、見込み方向において前記断熱層80と重なる位置に配置されている。
縦すべり出し窓の新設障子5のトリプルガラス57において、最も屋外側に配置されたガラスと、中間に配置されたガラスとは、見込み方向において前記断熱層80と重なる位置に配置されている。
したがって、新設窓に設けられた面材であるトリプルガラス47、57の少なくとも1枚のガラスは、前記断熱ラインに掛かる(重なる)位置、つまり見込み方向において前記断熱層80と重なる位置に配置されている。
このため、断熱層80と、新設枠4と、新設枠4内に配置された新設障子5(框51〜54とトリプルガラス57)およびトリプルガラス47とで、外壁面に沿って断熱ラインが形成されている。
新設枠4は、既設枠2の内周面を覆うように配置されている。このため、既設枠2の内周面は断熱性能の高い樹脂製(断熱部材製)の新設枠4で覆われる。したがって、既設枠2の屋外面および内周面は、断熱層80と、この断熱層80に連続して設けられた新設枠4とで覆われて外気に触れることがないため、新設枠4から既設枠2に伝わる熱流量も低減でき、外気温が低い場合でも、アルミ押出形材からなる既設枠2の温度が低下して結露が生じることを抑制できる。
[改装工法]
次に、本実施形態の外壁改装構造の施工方法について説明する。
まず、既設建具の障子(不図示)を既設枠2から取り外す。また、調整部材416、426を先付けし、既設上枠21、既設下枠22と、既設額縁26との段差を無くしておく。
そして、既設枠2の屋外面に気密防水シート72を貼り付けて、建物開口部の周囲において、気密防水シート(気密シート)72の屋外側端部の貼り付け工程を行う。
気密防水シート72は、帯状(テープ状)に形成されたものが利用でき、このテープ状の気密防水シート72の長手方向の2辺のうちの一辺(屋外側端部)を、各枠21,22,23,24の屋外面に沿って粘着テープなどで貼り付ける。例えば、既設上枠21の左右方向の中央部から気密防水シート72の貼り付けを開始し、既設上枠21から既設縦枠23、既設下枠22、既設縦枠24に順次気密防水シート72を貼り付け、既設上枠21の貼付開始位置に重なる位置まで気密防水シート72を貼り付ける。
なお、既設枠2のコーナー部で気密防水シート72の貼付方向を90度変化させる場合は、気密防水シート72の外周側に切り込みを入れて方向を変化させればよい。この気密防水シート72の切り込み部分は、別の防水テープを重ねて貼り付けて塞いでおく。
次に、気密防水シート72の他の一辺側を、各枠21,22,23,24の内周面に沿って屋内側に折り込み、気密防水シート(気密シート)72を建物開口部の内周面に沿って配置する工程を行う。
なお、気密防水シート72は、テープ状のものに限らず、既設枠2とほぼ同じ大きさの1枚のシートでも構成できる。この場合は、気密防水シート72の四周縁部を既設枠2の屋外面に貼り付けた後、気密防水シート72の既設枠2の開口部分に切り込みを入れ、既設枠2に沿って屋内側に折り込む。切り込みは、例えば、既設枠2の開口の四隅、つまり既設上枠21および既設下枠22と、既設縦枠23、24とが接合されたコーナー部分から、斜め45度の角度で切り込み、2つのコーナー部からの切り込み線が交差する点同士を結ぶ線で切り込むことで、2つの三角形と、2つの台形の折り込み部分が形成されるように設定すればよい。また、気密防水シート72の折り込み部分同士の間は、コーナー用のシート材を貼り付けて塞いでおく。
次に、建物開口部内に新設枠4を配置する工程を行う。この際、新設枠4は釘ヒレが無いため、見込み方向の位置調整が可能である。このため、新設外装材30、胴縁32、新設断熱材31の見込み寸法(厚さ寸法)に応じて、新設枠4の見込み方向の取付位置を調整すればよい。例えば、新設枠4の屋外端面が、新設外装材30の屋外面にほぼ揃う位置に配置する。
次に、気密防水シート72の屋内側端部を、新設枠4の屋内側の部位である取付片411,421,431,441側に折返し、取付片411,421,431,441の内周面に防水性を有する両面テープなどを用いて貼り付ける工程を行う。なお、気密防水シート72の余った部分はカッターなどで切り取ればよい。
次に、新設枠4をネジ15で躯体10に取り付ける。ネジ15は、気密防水シート72に穴をあけるが、気密防水シート72は膨潤性を有するため、水が浸入した場合は、気密防水シート72が水を吸って膨らみ、ネジ15で形成された穴を塞ぐため、気密防水シート72から屋内側への水の浸入を防止できる。
次に、既設外壁1の屋外面に沿って新設断熱材31を配置し、新設断熱材31の屋外面に沿って気密防水シート73を設置し、この気密防水シート73の端縁を新設枠4に貼り付ける。また、気密防水シート73の表面に排水用部材90を取り付け、気密防水シート73および排水用部材90に跨がって防水テープ96を貼る。その後、胴縁32を介して新設外装材30を取り付ける。さらに、新設枠4と新設外装材30との間に、バックアップ材66および湿式シーリング材67を充填する。なお、新設上枠41と新設外装材30との間は、排水用部材90のボンドブレーカーテープ95が貼られた屋外壁部92をバックアップ材66の代わりとし、湿式シーリング材67のみを充填する。
以上によって、外壁および窓の改装作業が終了する。
なお、新設外装材30および新設枠4を設置して改装した後に、窓の種類を変更するため、あるいは、窓が破損、劣化したために新設窓を更に交換する場合は、新設外装材30、新設断熱材31等を残したまま、新設枠4および新設障子5を取り外して交換することができる。
この場合、新設カバー材38、新設額縁36を取り外し、新設枠4および気密防水シート72の屋内側を露出させる。そして、気密防水シート72の屋内露出部分をカッターなどで切断し、気密防水シート72の内周面や、調整部材416、426、既設額縁26等に沿って配置されている部分と、取付片411,421,431,441に貼られた部分とを分離する。
また、湿式シーリング材67、バックアップ材66も適宜除去しておく。さらに、気密防水シート73を新設断熱材31の端部に沿って切断し、新設枠4側に貼り付けられた部分と、新設断熱材31に貼り付けられた部分とに分離する。そして、新設枠4を躯体10に固定しているネジ15を外し、新設枠4を建物開口部から屋外側に取り外す。
その後、建物開口部に残っている気密防水シート72や気密防水シート73に新たな気密防水シートを連結し、新たな新設窓を屋外側から吊り込む。
そして、新設枠4の屋内側では、気密防水シート72に連結した気密防水シートを取付片411,421,431,441の内周面に折り返して貼り付け、新設枠4をネジ15で躯体10に取り付け、新設額縁36や新設カバー材38を新たに設けて仕上げる。また、新設枠4の屋外側では、気密防水シート73に連結した気密防水シートを、新設枠4に貼り付け、新設外装材30との隙間部分に適宜バックアップ材66を配置し、湿式シーリング材67を充填して仕上げる。
以上の作業によって、新設窓の交換作業を行うことができる。
[第1実施形態の作用効果]
このような第1実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)新設上枠41の上方において、新設上枠41の長手方向の寸法よりも長い寸法を有する排水用部材90を、気密防水シート73の屋外面に取り付けているので、新設外装材30の裏面側に浸入した雨水が、気密防水シート73の屋外面を伝わって流れ落ちた際に、気密防水シート73の屋外面から、防水テープ96、屋内壁部91を介して排水用部材90内に雨水を案内することができる。
また、排水用部材90の屋外壁部92を、新設外装材30の下方であり、かつ、見込み方向において新設外装材30の裏面よりも屋外側の位置に配置しているので、新設外装材30の裏面を伝わって流れ落ちた雨水を、排水用部材90で受けることができる。
そして、排水用部材90に流れ込んだ雨水は、排水口94から新設縦枠43、44の外周面に沿って形成される排水通路98に流され、土台水切り等から排出できる。
したがって、新設外装材30の裏面側に浸入した雨水が、新設上枠41の上面に落下することを防止でき、新設上枠41と新設縦枠43、44との接合部や防水テープの重ね代のピンホール部分から屋内側に雨水が浸入することも防止できる。
(2)排水用部材90を新設上枠41の長手方向の寸法よりも長い寸法としているので、新設上枠41の左右方向(長手方向)の全長に渡って排水用部材90を配置でき、新設外装材30および新設断熱材31間に浸入した雨水が新設上枠41上に落下してきた際に、排水用部材90で確実に受けることができる。
また、排水用部材90の端部を新設上枠41の左右両端部から突出させることができ、排水口94を、排水通路98の上方に容易に配置させることができる。したがって、排水用部材90で受けた水を、確実に排水通路98に流すことができる。
(3)排水用部材90の底面部93を屋外側が低くなるように傾斜させているので、排水用部材90に流れ込んだ水を、屋外壁部92に溜めることができ、排水口94においても屋外壁部92側から排出することができる。このため、排水通路98内の屋外側の位置に排出することができ、排水通路98の屋内面に雨水が付着することも少なくでき、屋内側への水の浸入リスクをより低減できる。
(4)防水層を構成する気密防水シート73を、新設断熱材31の屋外面から新設枠4まで連続して設けることができるので、新設枠4と新設外装材30との間をシールする湿式シーリング材67を一次シールとし、気密防水シート73を二次シールとすることができる。これにより、新設外装材30と気密防水シート73間を外気と等圧な空間にでき、圧力差による雨水の浸入を防止できる。
また、気密防水シート73の表面に排水用部材90を両面テープなどで容易に貼り付けることができる。
さらに、排水用部材90の屋内壁部91と気密防水シート73とに跨がって、防水テープ96を貼っているので、屋内壁部91の上端と気密防水シート73との隙間を塞ぐことができ、気密防水シート73を伝わって落下する水が排水用部材90と気密防水シート73の間に浸入することを防止できる。
(5)既設外壁1の屋外側に新設外装材30を配置し、新設外装材30および既設外壁1間に新設断熱材31を設けたので、外壁部分の断熱性能を向上できる。また、既設枠2の開口内周側に配置された新設枠4を樹脂製としているので、新設枠4自体の断熱性能も向上できる。
さらに、既設枠2を、新設断熱材31で構成される断熱層80と、新設枠4とで被覆し、既設枠2が屋外に露出しないように覆っているので、既設枠2を介した熱流出を低減できる。
したがって、断熱層80による外壁部分の熱流量の低減と、新設窓による壁開口部分の熱流量の低減とに加えて、壁と窓との連結部分の熱流量も低減でき、外壁全体の断熱性能を向上できる。このため、既設枠2や躯体10側の温度低下を抑制でき、結露発生も防止できる。
(6)新設枠4内に配置される新設障子5と、嵌め殺し窓の面材を、トリプルガラス47、57で構成しているので、面材部分の断熱性能を向上できる。さらに、新設障子5では、各框51,52,53,54を樹脂製としているので、框自体の断熱性能も向上でき、既設枠2内に配置される新設窓全体の断熱性能を向上できる。
(7)トリプルガラス47,57のうち、少なくとも1枚のガラスを、見込み方向において断熱層80に重なる位置に配置したので、断熱層80で構成される断熱ラインの延長線上に、トリプルガラス47,57によって構成される面材の断熱ラインを配置できる。このため、新設断熱材31を有する断熱層80から新設枠4、新設障子5等に形成される断熱ラインを外壁面とほぼ平行に配置できる。
したがって、断熱ラインが外壁面に対して斜めに設定された場合に比べて、既設枠2を介した熱流量を低減でき、既設枠2の周囲の結露の発生も抑制できる。
(8)新設枠4の屋外側端部を、新設外装材30の屋外面よりも屋外側に位置しているので、新設枠4と新設外装材30とを対向させて配置でき、これらの間にバックアップ材66、湿式シーリング材67を充填してシールすることができる。このため、新設枠4を、新設外装材30の見切り材として利用でき、一般的な納まり構造にできる。
また、新設外装材30が設けられていない場合は、新設枠4と既設枠2とを繋ぐジョイント部材を設けて、新設枠4および既設枠2間の隙間を塞ぐ必要があるが、本実施形態では新設枠4および新設外装材30間で通常のシール処理を行うことができ、新設枠4および既設枠2間を繋ぐジョイント部材は不要なため、納まりを簡略化できる。
(9)新設外装材30の屋外面から既設枠2の屋内端部までの見込み寸法を、新設外装材30の屋外面から新設枠4の屋内端部までの見込み寸法よりも小さくしたので、既設枠2の内周面の全体を新設枠4で覆うことができ、断熱性能および意匠性を向上できる。
(10)新設枠4の外周面を見込み方向に沿った平面で形成したので、新設外装材30や新設断熱材31の厚さ寸法に応じて、新設枠4の屋内外方向の位置を自由に設定できる。したがって、新設外装材30等の厚さ寸法が異なる場合でも、同一種類の新設枠4を用いることができ、新設枠4の種類を少なくできる。
また、新設枠4の屋内側端部から屋内方向に向かって突出された取付片411,421,431,441から躯体10にネジ15をねじ込んで新設枠4を固定しているので、開口内周側から新設枠4の取付作業を行うことができ、改装作業を容易に行うことができる。
(11)既設枠2と新設枠4との間を塞ぐ気密防水シート72を、新設枠4の屋内側の取付片411、421、431、441に貼り付けているので、新設枠4の取り付け後に、新設枠4の交換が必要となった場合でも、気密防水シート72の屋内側に露出する部分を切断することで、気密防水シート72と新設枠4とを切り離して新設枠4を容易に取り外すことができる。また、建物開口部に残っている気密防水シート72に新たな気密防水シートを連結し、新たに設置した新設枠4の屋内側に貼り付けることで、交換後の新設枠4との防水処理も容易に行うことができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図4に基づいて説明する。なお、第2実施形態は、改装用ではなく新築用の建物開口部の上部排水構造であり、新設断熱材も設けられていない点が第1実施形態と相違するが、第1実施形態と対応する構成には同一符号を付し説明を省略する。
第2実施形態は、新築時の構造であるため、既設外壁1や既設枠2は設けられておらず、躯体10の屋外側には胴縁32、新設外装材30が配置されている。また、躯体10で囲まれた開口部には、新設枠4がネジ15で固定され、新設枠4内には新設障子5が開閉可能に設けられている。
新設外装材30の屋内側に位置する躯体10や図示略の下地材の表面には、気密防水シート73が貼られている。気密防水シート73の開口側端縁は、躯体10の内周面に沿って屋内側に折り込まれ、調整部材415や取付片411の屋内面に沿って折り曲げられ、さらに取付片411の内周面に両面テープなどで貼り付けられている。
躯体10の屋外面に貼られた気密防水シート73には、第1実施形態と同じ排水用部材90が取り付けられている。第2実施形態の排水用部材90は、屋内壁部91からねじ込まれたネジ16により、気密防水シート73および躯体10に固定されている。また、気密防水シート73および屋内壁部91に跨がって防水テープ96が貼られている。
[第2実施形態の作用効果]
第2実施形態においても、新設外装材30の裏面側に浸入した雨水を受ける排水用部材90を設けたので、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
[変形例]
なお、本発明は以上の実施形態で説明した構成のものに限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形例は、本発明に含まれる。
例えば、防水テープ96は必ずしも設ける必要は無い。例えば、屋内壁部91と気密防水シート73とを接着する両面テープを、屋内壁部91の上端に沿って排水用部材90の長手方向の全長に渡って設けることで、屋内壁部91と気密防水シート73との隙間を両面テープで塞ぐように構成してもよい。
また、排水用部材90の構成は前記各実施形態に記載のものに限定されない。例えば、排水用部材90としては、底面部93が水平に配置されたものでもよいし、底面部93が断面円弧状に湾曲されたものでもよい。すなわち、排水用部材90は、新設外装材30および防水層である気密防水シート73間に浸入した水を受けて、排水口94から排出できるものであればよい。
排水用部材90の排水口94としては、排水用部材90の端面を開口したものに限らず、例えば、排水用部材90の端面を塞いで、底面部93に排水穴を形成して排水口94としてもよい。
本発明は、排水用部材90を設けることで、窓枠の上面を水切りとして利用する必要が無ければよく、窓枠や障子の種類は限定されない。すなわち、窓枠としては、樹脂枠に限らず、一般的なアルミ製の窓枠でもよいし、アルミと樹脂との複合枠や、木製枠など、様々な窓枠が利用できる。障子も同様に、樹脂框を用いたものに限定されず、アルミ框等の様々な框が利用できる。窓の面材も、トリプルガラス47、57に限定されず、複層ガラス(二重ガラス)でもよく、一般的な単板ガラスでもよく、これらは窓に求められる断熱性能によって選択すればよい。
新設窓としては、前述した縦すべり出し窓とFIX窓との連窓に限定されず、引違い窓、片上げ下げ窓、FIX窓、縦すべり出し窓、すべり出し窓等の単窓や、これらを組み合わせた連窓、段窓などでもよい。すなわち、新設窓は、新築用および改装用の様々な種類の窓に適用できる。
3…新設外壁、4…窓枠である新設枠、5…新設障子、10…躯体、30…新設外装材、31…新設断熱材、32…胴縁、41…新設上枠、42…新設下枠、43、44…新設縦枠、60…水切材、61…固定部、63…傾斜部、66…バックアップ材、67…湿式シーリング材、68…水抜き部品、72…気密防水シート、73…防水層である気密防水シート、90…排水用部材、91…屋内壁部、92…屋外壁部、93…底面部、94…排水口、96…防水テープ、98…排水通路。

Claims (4)

  1. 建物の外壁に形成されて窓枠が配置される建物開口部の上部排水構造であって、
    前記窓枠は、上枠、下枠および左右の縦枠を枠組みして構成され、
    前記外壁は、外装材と、前記外装材の屋内面側に設けられた防水層とを備え、
    前記防水層には、前記上枠の長手方向の寸法よりも長い寸法を有する排水用部材が取り付けられ、
    前記排水用部材は、
    前記防水層の表面に取り付けられて水を堰き止める屋内壁部と、
    前記外装材の下方に配置され、見込み方向において前記外装材の裏面よりも屋外側に位置して水を堰き止める屋外壁部と、
    前記屋内壁部および前記屋外壁部間を連結する底面部と、を有し、
    前記縦枠および前記外装材の間に充填されたシーリング材の屋内側には、前記縦枠の外周面に沿って排水通路が形成され、
    前記排水用部材は、前記上枠から突出されて前記排水通路の上方に配置された端部に、前記底面部に流れ込んだ水を前記排水通路に流す排水口を有する
    ことを特徴とする建物開口部の上部排水構造。
  2. 請求項1に記載の建物開口部の上部排水構造において、
    前記防水層は、防水シートで構成され、
    前記防水シートの端縁は、前記窓枠に貼り付けられている
    ことを特徴とする建物開口部の上部排水構造。
  3. 請求項1または請求項2に記載の建物開口部の上部排水構造において、
    前記底面部は、屋外側に向かうに従って低くなるように傾斜されている
    ことを特徴とする建物開口部の上部排水構造。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の建物開口部の上部排水構造において、
    前記防水層と前記屋内壁部とに跨がって貼られ、前記屋内壁部の上端と前記防水層との隙間を塞ぐ防水テープを備える
    ことを特徴とする建物開口部の上部排水構造。
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