JP2011200608A - 電子血圧計 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電子血圧計1は、阻血用空気袋14内を昇圧する際に圧力センサ64から得られる空気の圧力変動の第1信号から第1低周波成分信号ZS(ZS1)を抽出し、阻血用空気袋内に空気を供給して昇圧をする際にK音センサ600から得られるK音検出用空気袋500内の空気の圧力変動の第2信号から第2低周波成分信号ZT(ZT1)を抽出し、第1低周波成分信号から第1ピークポイント値を得て第2低周波成分信号から第2ピークポイント値を得て、第1ピークポイント値と第2ピークポイント値の相関が低い場合には上腕Tが腕帯部2に対して逆挿入されたと判定する。
【選択図】図10
Description
このタイプの血圧計で測定上問題となるのが、腕帯部の腕への装着の仕方である。腕帯部内の阻血用空気袋の位置が上腕に対して適当でない場合や、上腕に対して巻き付け強さが適当でない場合に、腕帯部の阻血用空気袋の圧迫が上腕に正しく行われず、血圧が高く測定される場合がある。近年、これを解決するために、筒状の腕帯部に腕を挿入するだけで、自動的に腕帯部の阻血用空気袋を腕の正しい位置に配置し、正しい巻き付け強さにて血圧測定を行うことができるようにした血圧計本体と腕帯部を一体とした電子血圧計が開発されている(特許文献1を参照)。
そこで、このような擬似高血圧症の発生という不都合に対応するために、血圧計本体から腕帯部が分離できて、血圧計本体の設置場所が測定者から離れていても、測定者が座位にて背を伸ばした状態で腹圧の掛からない測定をすることが可能なタイプの電子血圧計が開発されている。
腕帯部は内蔵の阻血用空気袋の内圧に相当する応力で腕を圧迫する必要がある。そのためには、阻血用空気袋が膨らみきらない状態にて、腕のラジアル方向の腕周囲の80%以上、スラスト方向は腕周囲長の40%以上の面積に接する必要がある。
腕に腕帯部を装着するだけで、測定前に腕帯部の長さを操作して、腕の太さにあわせて密着させることをせずに測定可能な血圧計の場合、腕サイズ(20〜33cm)のばらつきへの自動的な対応が必要となる。
現在、これらに対応するために、阻血用空気袋の外側に巻きつけたワイヤ−を締めることにより腕に対して自動的に阻血用空気袋を密着させる方法、または、阻血用空気袋の外側に密着用の空気袋を設置し、密着用空気袋を膨らませ阻血用空気袋を腕に密着させる方法、または、大き目の空気袋を大きく膨らませにて空気袋の密着と阻血を1つの空気袋で実現する方法がある。
上記の方法の内、1つの空気袋を大きく膨らませる方法は、構造が簡単である利点を有しているが、反面、空気袋の空気量が他の方法に較べて大きいという問題点を有している。
この問題点により、阻血用空気袋の検出する脈波が小さく、この脈波の変化を利用するオシロメトリック法が採用できず、K音信号を腕帯の下流側で検出するリバロッチ・コロトコフ法、または、血管容積変化を赤外光の吸収減衰で検出する光電容積脈波法、または、血流による血管壁の変化を超音波で検出する超音波法を採用する必要がある。
阻血用空気袋の一端部には、計測用のマイクロフォンが設けられており、このマイクロフォンが、直接K音信号を検出するようになっている。このK音信号は、阻血用空気袋により血管が圧閉された後に阻血用空気袋内を減圧することで、血管内の最高血圧より阻血用空気袋の内圧が小さくなると血管が開放されて発生し、音色を変化させながら、血管の圧閉がなくなるまで、すなわち、最高血圧時から最低血圧時まで血管に血液が流れる際に生じる音信号である。
ここで、上述したように、阻血用空気袋の一端部にK音センサが設けられている構造を採用しているので、測定者が上腕を腕帯部に対して正常な方向に挿入し、K音センサが阻血用空気袋の一端部(手指側の端部)に配置できれば、減圧中においては最高血圧でK音が聞こえ始め、最低血圧においてK音が消失するといった聴診により聞こえる音(血管音)をK音信号として捉えることが可能となり、正常な血圧測定が行える。
ところが、測定者が上腕を腕帯部に対して正常な方向とは逆方向に誤って挿入し、K音センサが阻血用空気袋の一端部(肩側の端部)に配置されると、K音信号を正確に捉えることが不可能となり、正しく血圧測定を行うことができない。
そこで、上記課題を解消するために、本発明は、測定者が腕帯部を上腕に対して逆方向に誤って通していることを判定でき、正しく血圧測定を行うことができるとともに、製造コストも抑制できる電子血圧計を提供することを目的とする。
上記構成によれば、測定者が腕帯部を上腕に対して逆方向に誤って通していることを判定でき、正しく血圧測定を行うことができるとともに、製造コストも抑制できる。すなわち、血圧測定に利用される圧力センサとK音センサから前記上腕の挿入方向が判定可能となり、逆挿入されていることを判定するために新たにセンサを設ける必要がないためコストダウンが図れる。
上記構成によれば、人体からの振動をK音検出用空気袋がK音センサに効率よく伝えるための工夫であり、これによりK音検出をより正確に行うことができる。
上記構成によれば、測定者が腕帯部を上腕に対して逆方向に誤って通していることを判定でき、正しく血圧測定を行うことができるとともに、K音計測用のK音検出用空気袋の信号から挿入方向を判定可能であることから、挿入方向を判定するための専用の計測環境を必要としないため、コスト抑制できる
さらに、加圧中において、前記圧力センサにより得られる圧力信号の最大振幅後における前記K音センサで検知されたK音信号の有無から、前記上腕の前記腕帯部に対する挿入方向を判定する制御部を有することを特徴とする。
(実施形態1)
図1は、本発明の電子血圧計の好ましい実施形態を前側から示す斜視図であり、図2は、この電子血圧計の腕帯部の分解斜視図である。図3は、電子血圧計の腕帯部の内部構造を示す断面図である。
図1に示す電子血圧計1は、自動電子血圧計ともいい、血圧計本体10から腕帯部2を分離でき、血圧計本体10の設置場所が測定者から離れていても、測定者は座位にて背を伸ばして腹圧の掛からない状態で測定が可能なタイプの電子血圧計である。この電子血圧計1は、血圧測定方式の一例としてリバロッチ・コロトコフ法が用いられ、コロトコフ音(K音)を検出して血圧測定を行う装置である。図1に示すように、電子血圧計1は、変形可能で柔らかな材質で作られソフトな筒体の腕帯部2と、血圧計本体10を備える。腕帯部2と血圧計本体10は別体である。
図1に示すように、血圧計本体10は、ケーシング30と表示部31を有している。ケーシング30は、例えばプラスチック製の薄型の内部空間を有する部材であり、傾斜した上面部32と、前端面部33と後端面部34と、側面部35,36と、底面部42を有している。
図1に示すように、ケーシング30の上面部32には、傾斜した表示部31が配置されており、測定者が表示部31の表示内容を容易に確認できるようになっている。ケーシング30には、測定開始操作部の一例としての開始/停止ボタン37と、メモリ呼び出し・時刻・アラーム設定ボタン38と、記憶しないボタン39が設けられている。測定者が開始/停止ボタン37を押すことで、血圧測定操作の開始あるいは停止をするためのボタンである。
図1に示すように、腕帯部2は、血圧測定時に測定者の上腕Tを開口部11RからD1方向に挿入して開口部11Pから出した状態で圧迫するために、上腕Tを差し込むことが可能な両端部が切れた略円筒状構造(筒体)を有している。これにより、この腕帯部2は、通常の腕帯部と異なり測定者の上腕Tに対して巻き付ける必要が無く、左右のいずれの上腕Tへの挿入が可能で、測定者は容易に血圧測定ができる。
ここで、内布17としては伸縮性に富んだ物を使用し、外布16は変形するが、内布17よりの伸縮性が低く、好ましくは殆ど伸縮しない物を用いることが好ましい。外布16と内布17は、共に筒状の部材(筒体)である。これにより、腕帯部2は軽量で折り畳み可能である。つまり、人体の測定部位に当接する当接布部である内布17が伸縮性を備えているために、上腕の測定部位を挿入しやすい。外布16は、内布17よりも伸縮性は低いが、変形は許容する構成である。このため、折り畳むこともできることで、使いやすくコンパクトな腕帯部2を有する電子血圧計1を提供できる。
外布16、阻血用空気袋14を収容するように当接布部である内布17の外側に接合され、外布16は、変形可能であるが伸縮性が非常に低いかほとんど無い布部材である例えば伸びにくい生地(201BE)を採用でき、引張強度は、JIS L1096−A法で測定した値として、タテが1445N/inで、ヨコが827N/inである。外布16としては、例えば、ポリエステル100%の生地を用いることができる。
また、図3に示すように、外側部材である外布16の上腕を通す方向D1に沿った幅Sから、阻血用空気袋14の上腕を通す方向D1に沿った幅Wを引いた値は、好ましくは4cm以下である。このように、(幅S−幅W)の値を4cm以下に設定するのは、阻血用空気袋14は、外布16に対して止めておらず、外布16の寸法に余裕を持たせて、阻血用空気袋14の膨張と収縮に対応できるようにするためである。もしも、(幅S−幅W)の値が4cmを超えると、阻血用空気袋の外側への膨らみが規制されず、細い腕の場合に十分な阻血が行えず好ましくはない。
図4は、外布16の内側に配置された骨部材150の形状例を示し、図5は、骨部材150を有する腕帯部2を示す側面図である。
図4に示すように外布16の内面16Nには、骨部材150が例えば接着剤により固定されている。この骨部材150は、金属製品あるいはプラスチック成型品であり、外布16の長手方向16Sに沿って配置されており、骨部材150は、複数本の骨150Hを有している。各骨150Hは、外布16の短手方向16Tに平行になるように同じ間隔をおいて配列されている。各骨150Hは、断面円形状あるいは断面矩形形状であるが、断面形状や本数は特に限定されない。
図8は、阻血用空気袋14を形成するためのシート例を示している。
まず、阻血用空気袋14の構造を説明すると、図8に示すシートSWは、ほぼ長方形状の例えば透明のプラスチックシートであり、一例としてポリウレタンシートにより形成されている。このシートSWは、フィルタ付き接続管220、コードフック221、4つの折れ線部分(折り曲げ部分の一例)222、接合部分223,224を有している。
図2に示すように、阻血用空気袋14は空気をいれて膨張させたときに均等に4つの部分に分かれて膨らむように、折れ線部分222(阻血用空気袋を高周波融着電極で挟んで肉厚の薄い部分を作る)を有し、クッション材240とK音検出用空気袋500は、複数の折れ線部分222の間に配置されている。
図9に示すように、K音検出用空気袋500の材質は、例えば阻血用空気袋14と同じ材質のものを使用でき、K音検出用空気袋500は長方形状を有している。K音検出用空気袋500の4つの辺部分501,502,503,504は、例えば融着により密閉されており、空気収容部509を有する。辺部分501には、チューブ4Pの一端部506が挿入して固定されている。チューブ4Pの他端部507は、K音センサ600に接続されている。チューブ4Pは、チューブ4Rとメカニカルフィルタ700と配管路63を介して、ポンプ44,45に接続されている。
このように、阻血用空気袋14とポンプ44,45は、チューブ4により接続されているが、2つのK音検出用空気袋500とK音センサ600とポンプ44,45は、チューブ4とは別のチューブ4Pにより接続されている。また、阻血用空気袋14とK音検出用空気袋500の間にはバッキングが付けられている。これは、人体からの振動をK音検出用空気袋500がK音センサ600に効率よく伝えるための工夫であり、これによりK音検出をより正確に行うことができる。
図10に示すように、コロトコフ音(K音)検出システム50は、腕帯部2の2つのK音検出用空気袋500と、1つのK音センサ600と、メカニカルフィルタ700を有している。2つのK音検出用空気袋500は、チューブ4Pを介して1つのK音センサ600に接続されており、K音検出用空気袋500内の空気の圧力変動は、K音検出用空気袋500からチューブ4Pを通じてK音センサ600に伝わるようになっている。K音センサ600は、チューブ4Rを介してメカニカルフィルタ700に接続されている。このメカニカルフィルタ700は、圧力センサ64と、ポンプ44,45と、排気バルブ46、制御バルブ47に対して、配管部63を介して接続されている。
図11に示す電子血圧計1の回路ブロックを説明する。電子血圧計1の回路ブロックを示している。電子血圧計1の回路ブロックの破線で示すように、血圧計本体10は、図10に示すコロトコフ音(K音)検出システム50と、加圧システム51と、排気システム52と、圧力検出システム53と、電源システム54と、音声システム55と、制御システム56を有する。
図11の制御システム56は、K音センサ600から入力された空気圧力変動信号から、K音信号と、このK音信号の発生ポイントと、消滅ポイントを検出する。このように、電子血圧計1では、腕帯部2内をポンプ44,45で加圧した後、微速度で排気して減圧しつつ圧力センサ64を用いて腕帯部2の阻血用空気袋14内の圧力を検出すると同時に、K音センサ600を用いてK音信号を検出して、このK音信号の発生ポイントと消滅ポイントを検出することで、最高血圧値と最低血圧値を算出して、算出した最高血圧値と最低血圧値を表示部31に表示できる。制御部としての制御システム56は、加圧して血管内の血流を止めた後に減圧し、再び血流が流れる時の最初のK音信号が検出された時点の圧力を最高血圧値に設定し、更に減圧を続けて血管の管路断面積が十分に拡がり、さらに、阻血用空気袋の圧力が最低血圧以下になると血管の圧閉が消失するとK音信号が検出されなくなったら、最後のK音信号が検出された時点の圧力を最低血圧値に設定する。また、制御システム56は、最高血圧値と最低血圧値から得られる血管脈動またはK音信号の出現間隔から脈拍数を演算する。
図13(A)は、正常な挿入の場合における阻血用空気袋14からの低周波成分信号(0.5〜3Hz)ZSと、K音検出用空気袋500から得られる低周波成分信号(0.5〜3Hz)ZTの例を示す。図13(B)は、逆挿入の場合における阻血用空気袋14からの低周波成分信号(0.5〜3Hz)ZS1と、K音検出用空気袋500から得られる低周波成分信号(0.5〜3Hz)ZT1の例を示す。
図14は、阻血用空気袋14とK音検出用空気袋500に空気を供給して昇圧してから正常な挿入であるか逆挿入であるかを判定する処理を示すフロー図である。
図13(A)に示す正常な挿入の場合には、阻血用空気袋14昇圧中における阻血用空気袋14からの低周波成分信号ZSは、閾値Aを超える時点から閾値Aを下回る時点までに複数点ピークが計測され、各ピーク点を結んだ線は最高値V1を有する波形となる。このため、低周波成分信号ZSの形成の傾向としては、上昇線RX1と下降線RX2を描くことができ、上昇線RX1と下降線RX2は山形を形成している。また、図13(A)に示すように、K音検出用空気袋500から得られる低周波成分信号ZTは、閾値Bを超える時点から閾値Bを下回る時点までに複数点ピークが計測され、各ピーク点を結んだ線は最高値V2を有する波形となる。このため、低周波成分信号ZTの形成の傾向としては、上昇線RY1と下降線RY2を描くことができ、上昇線RY1と下降線RY2は山形を形成している。
そこで、図14を参照して、阻血用空気袋14とK音検出用空気袋500に空気を供給して昇圧してから、正常な挿入であるか逆挿入であるかを判定する処理を説明する。
図14のステップS0において、図10に示すように、ポンプ44,45が阻血用空気袋14内とK音検出用空気袋500内に対して空気を供給して阻血用空気袋14内とK音検出用空気袋500内の昇圧を開始する。
ステップS3では、図13(A)に示す阻血用空気袋14からの低周波成分信号ZSでは、閾値Aを超える時点から閾値Aを下回る時点までに複数点ピークが計測され、各ピーク点を結んだ線は最高値V1を有する波形(RX1とRX2)となる。同様にして、図13(B)に示す阻血用空気袋14からの低周波成分信号ZS1では、閾値Aを超える時点から閾値Aを下回る時点までに複数点ピークが計測され、各ピーク点を結んだ線は最高値V3を有する波形(RX3とRX4)となる。
ステップS6では、図13(A)に示すK音検出用空気袋500からの低周波成分信号ZTでは、閾値Bを超える時点から閾値Bを下回る時点までに複数点ピークが計測され、各ピーク点を結んだ線は最高値V2を有する波形(RY1とRY2)となる。しかし、図13(B)に示すK音検出用空気袋500からの低周波成分信号ZT1では、閾値Bを超える時点から閾値Bを下回る時点までに複数点ピークが計測され、各ピーク点を結んだ線は最高値を有しない右上がりの波形(RY3)となる。
また、ステップS10において、図10の制御システム56が、阻血用空気袋14からの低周波成分信号ZS1とK音検出用空気袋500からの低周波成分信号ZT1の間の相関が高いと判断すると、ステップS11において、上腕Tが腕帯部2に正常に挿入されているとして、図10に示す制御システム56は、例えば好ましくは表示部31において「腕帯部が正常に挿入されています」といった表示するとともに、音声システム55を介してスピーカ43から音声で「腕帯部が正常に挿入されています」とガイダンスすることができる。そして、制御システム56は、図11に示すポンプ44,45と排気バルブ46と制御バルブ47を制御して、減圧過程に移る。
次に、図15と図16を参照して、本発明の実施形態2を説明する。
図10と図13と図14に示す本発明の実施形態1では、昇圧中の阻血用空気袋14からの低周波成分信号とK音検出用空気袋500からの低周波成分信号の変動の相関から、図10の制御システム56は上腕Tが腕帯部2に正常に挿入されているか上腕Tが腕帯部2に逆に挿入されているかを確実に判定することができる。
図16(A)は、上腕Tが腕帯部2に正常に挿入されている場合に、減圧中のK音検出用空気袋500から得られる高周波成分信号ZGを示し、図16(B)は、上腕Tが腕帯部2に逆に挿入されている場合に、減圧中のK音検出用空気袋500から得られる高周波成分信号ZHを示している。図17は、図15の制御システム56が、減圧開始から上腕Tが腕帯部2に正常に挿入されているか逆に挿入されているかを判定する処理を示すフロー図である。
図17のステップS20において、K音検出用空気袋500内の減圧を開始して、ステップS21では、図15の制御システム56は、K音検出用空気袋500からの信号計測を開始する。ステップS22では、K音検出用空気袋500内の空気の圧力変動は、K音検出用空気袋500からチューブ4Pを通じて、K音センサ600に伝わる。K音センサ600は、制御システム56に対して空気変動信号を供給し、この空気変動信号からは、デジタルフィルタにより、図16(A)に示すK音検出用空気袋500からの高周波成分信号ZG(40〜80Hz)あるいは図16(B)に示すK音検出用空気袋500からの高周波成分信号ZH(40〜80Hz)を抽出する。
図16のステップS25では、図15の制御システム56は、図16(B)に示すような閾値Cを越える信号KKが有ると判断すると、ステップS26では、上腕Tが腕帯部2に逆に挿入されていると判定する。また、ステップS27では、図15の制御システム56は、図16(A)に示すような閾値Cを越える信号KKが無いと判断すると、ステップS28では、上腕Tが腕帯部2に正常に挿入されていると判定し、制御システム56は、K音検出用空気袋500とK音センサ600とを用いてK音信号の検出を行う過程に進む。
次に、図18と図19を参照して、本発明の実施形態3を説明する。
図10と図13と図14に示す本発明の実施形態1では、昇圧中の阻血用空気袋14からの低周波成分信号とK音検出用空気袋500からの低周波成分信号の変動の相関から、図10の制御システム56は上腕Tが腕帯部2に正常に挿入されているか上腕Tが腕帯部2に逆に挿入されているかを確実に判定することができる。
これに対して、図18と図19に示す本発明の実施形態3では、昇圧中の阻血用空気袋14からの低周波成分信号と、K音検出用空気袋500からの高周波成分信号の変動の相関から、図10の制御システム56は、図18(A)に示すように上腕Tが腕帯部2に正常に挿入されているか、図18(B)に示すように、上腕Tが腕帯部2に逆に挿入されているかを確実に判定することができる。すなわち、実施形態3では、実施形態1のK音検出用空気袋500からの低周波成分信号の代わりにK音検出用空気袋500からの高周波成分信号を用いることで実現可能であり、基本的な処理の流れは図14と同様であり、図19に示している。また、最高血圧以上に加圧が行われた状態において、K音検出用空気袋500からの低周波成分信号(小カフ低周波成分信号)の閾値Dを越える信号が現れる場合は、逆挿入であるなど、簡易的に判断することも可能である。
ステップS101では、制御システム56は、阻血用空気袋14による信号の計測を開始して、ステップS102では、図10に示す阻血用空気袋14内の空気の圧力変動は、圧力センサ64により計測される。この圧力変動信号に対してデジタルフィルタ処理を施し、図18(A)に示す阻血用空気袋14からの低周波成分信号ZSあるいは図18(B)に示す阻血用空気袋14からの低周波成分信号ZS1を抽出する。
ステップS103では、図18(A)に示す阻血用空気袋14からの低周波成分信号ZSでは、閾値Aを超える時点から閾値Aを下回る時点までに複数点ピークが計測され、各ピーク点を結んだ線は最高値V1を有する波形(RX1とRX2)となる。同様にして、図18(B)に示す阻血用空気袋14からの低周波成分信号ZS1では、閾値Aを超える時点から閾値Aを下回る時点までに複数点ピークが計測され、各ピーク点を結んだ線は最高値V3を有する波形(RX3とRX4)となる。
ステップS106では、図18(A)に示すK音検出用空気袋500からの高周波成分信号ZQでは、閾値Bを超える時点から閾値Dを下回る時点までに複数点ピークが計測され、各ピーク点を結んだ線は最高値V2を有する波形(RQ1とRQ2)となる。しかし、図18(B)に示すK音検出用空気袋500からの高周波成分信号ZQ1では、閾値Dを超える時点から閾値Dを下回る時点までに複数点ピークが計測され、各ピーク点を結んだ線は最高値を有しない右上がりの波形(RQ3)となる。
次に、図20を参照して、本発明の実施形態4を説明する。
図20(A)は、上流側での昇圧中におけるK音検出用空気袋500からの高周波成分信号ZQ1を示し、図20(B)は、下流側での昇圧中におけるK音検出用空気袋500からの高周波成分信号ZQを示している。
図20(C)に示すように、ステップS200で昇圧を開始して、ステップS201でK音検出用空気袋500による信号計測を開始する。ステップS202では、フィルタによる高周波成分信号の抽出をして、図10の制御システム56が、閾値Dを越える高周波成分信号の変動を計算する。
計算の結果、ステップS204において、図20(A)に示す高周波成分信号ZQ1のように変動が上昇のみであると、ステップS205では阻血用空気袋14が上流側に配置されていると、つまり逆挿入であると判断できる。ステップS206において、図20(B)に示すように高周波成分信号ZQのように山形の変動であると、ステップS205では阻血用空気袋14が下流側に配置されていると、つまり正常な挿入であると判断できる。
図12(A)に示すように、阻血用空気袋14の内面部分の下流側には、3つのK音検出用空気袋500を配置でき、図12(B)に示すように、阻血用空気袋14の内面部分の下流側には、4つのK音検出用空気袋500を配置することもできる。
本発明の実施形態の電子血圧計1では、腕帯部2は、従来必要であった上腕に対して巻き付け調整が不要であり、腕を通すだけで済み、しかも簡単に折り畳むことができる。測定者が腕帯部2内に上腕を通した時に、阻血用空気袋14の内側のK音検出用空気袋500は、上腕の動脈付近の適切な位置に配置することができる。
また、阻血用空気袋とK音検出用空気袋の間にはバッキングが付けられている。これは、人体からの振動をK音検出用空気袋がK音センサに効率よく伝えるための工夫であり、これによりK音検出をより正確に行うことができる。
阻血用空気袋は、膨張時に均等に4分割して膨らませるために、袋の膨張時のシワを発生させるために阻血用空気袋につけた肉を薄くする部分を複数設けてあり、この部分は折り畳むために複数の折り曲げ部分としても作用し、阻血用空気袋は、折り畳むために複数の折り曲げ部分を有し、K音検出用空気袋は、複数の折り曲げ部分の間に配置されているので、阻血用空気袋を含む腕帯部は、K音検出用空気袋の配置に影響を受けずに折り曲げ部分において確実に折り畳むことができ、コンパクトに収納できる。
外側部材の内側には、骨部材が設けられているので、阻血用空気袋に空気が供給された時に、腕帯部の外側部材が外側に膨れる現象を防止することができ、正確な血圧測定が行える。
なお、上述した本発明の実施形態では、図13と図18において成分信号のポークポイントで腕帯部が上腕に対して挿入される挿入方向を、正常な挿入であるか逆挿入であるかを判定しているが、成分信号のピークポイントに代えて成分信号の振幅情報も使用することができる。
表示部31は、例えば液晶表示装置の他に、有機EL装置、蛍光表示装置等、特に種類は限定されない。
図示した電子血圧計の例では、腕帯部は、変形可能で血圧測定をしない時には折り畳むことができる構造であるが、本発明の電子血圧計としては、折り畳むことができる外布に代えて、例えばプラスチック製のハードな筐体を用いて、この筐体内に阻血用空気袋を配置した構造を採用することもできる。
上述した本発明の実施形態では、測定しない時には、折り畳まれた腕帯部2は、測定をしない時には、血圧計本体10の上面に対して、固定手段を用いて着脱可能に固定するようにしても良い。腕帯部2の固定方式としては、例えば、腕帯部と血圧計本体とは、マグネットと金属板とを用いて磁気的な吸引力で着脱可能に固定したり、オス型部材を有するテープ部材と、このオス型部材に対して着脱可能に機械的に取り付けることができるメス型部材を有するテープ部材を貼り付けることで、着脱可能に固定することもできる。
また、K音センサの一例としてコンデンサマイクロフォンを挙げているが、K音が計測可能なセンサとして圧電マイクロフォン、ダイナミックマイクロフォン、バウンダリーマイクロフォンなどが利用できる。また、挿入方向を報知するのみであれば、K音が測定できるセンサに限定されず、ストレインゲージ、光センサなどが挙げられる。
さらに、加圧中において、前記圧力センサにより得られる圧力信号の最大振幅後における前記K音センサで検知されたK音信号の有無から、前記腕帯部の前記上腕に対する挿入方向を判定する制御部を有するようにしても良い。
Claims (4)
- 上腕に通して加圧可能な筒状の腕帯部と、該腕帯部と別体に形成された血圧計本体とを有し、
前記腕帯部は、
空気を供給することで前記上腕を加圧可能な阻血用空気袋と、
前記阻血用空気袋の内側であって前記阻血用空気袋の一端部側に配置され、前記阻血用空気袋の空気容量よりも小さい空気容量を有する複数のK音検出用空気袋と
を有し、
前記阻血用空気袋内に空気を供給して昇圧する際に前記阻血用空気袋内の空気の圧力変動を検知する圧力センサと、
前記阻血用空気袋が前記上腕を加圧して動脈の血管内の血流を止めた後に減圧し、再び血流が流れる時に生じる前記K音検出用空気袋内のK音信号を検知するK音センサと、
前記圧力センサと前記K音センサから得られる信号の相関が低い場合には、前記上腕が前記腕帯部に対して逆挿入されたと判定する制御部と、
を有することを特徴とする電子血圧計。 - 前記K音センサは、前記K音検出用空気袋に対して、チューブにより前記血圧計本体にあるコンデンサマイクロフォンに接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電子血圧計。
- 前記阻血用空気袋と前記K音検出用空気袋の間にはバッキングが付けられていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の電子血圧計。
- 上腕に通して加圧可能な筒状の腕帯部と、該腕帯部と別体に形成された血圧計本体とを有し、
前記腕帯部は、
空気を供給することで前記上腕を加圧可能な阻血用空気袋と、
前記阻血用空気袋の内側であって前記阻血用空気袋の一端部側に配置され、前記阻血用空気袋の空気容量よりも小さい空気容量を有する複数のK音検出用空気袋と
を有し、
前記阻血用空気袋が前記上腕を加圧して動脈の血管内の血流を止めた後に減圧し、再び血流が流れる時に生じる前記K音検出用空気袋内の空気の変動を検知するK音センサと、
前記阻血用空気袋内の空気を抜いて減圧を開始して、前記K音センサから得られる前記K音検出用空気袋内の空気の圧力変動の信号から高周波成分信号を抽出し、減圧開始直後に前記K音センサから得られるK音信号が予め設定した閾値を越える場合に前記上腕が前記腕帯部に対して逆挿入されたと判定する制御部と
を有することを特徴とする電子血圧計。
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