JP2011195712A - 硬化性組成物、ダイシング−ダイボンディングテープ、接続構造体及び粘接着剤層付き半導体チップの製造方法 - Google Patents

硬化性組成物、ダイシング−ダイボンディングテープ、接続構造体及び粘接着剤層付き半導体チップの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】硬化後の硬化物の接着性に優れている硬化性組成物、並びに該硬化性組成物を用いたダイシング−ダイボンディングテープを提供する。
【解決手段】本発明に係る硬化性組成物は、極性基を有するエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂用硬化剤と、エポキシ基含有アクリル樹脂とを含む。上記エポキシ基含有アクリル樹脂の重量平均分子量は1万〜40万であり、かつ上記エポキシ基含有アクリル樹脂のガラス転移温度は60℃以上である。ダイシング−ダイボンディングテープ1は、硬化性組成物により形成された粘接着剤層3と、粘接着剤層3の片面3aに積層された基材層4とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂用硬化剤と、エポキシ基含有アクリル樹脂とを含む硬化性組成物に関し、より詳細には、例えば、半導体チップの片面に、該半導体チップを接着させるための粘接着剤層を形成する用途などに用いることができる硬化性組成物、並びに該硬化性組成物を用いたダイシング−ダイボンディングテープ、接続構造体及び粘接着剤層付き半導体チップの製造方法に関する。
半導体装置などの電子機器の小型化及び高性能化が進行している。これに対応して、電子機器用接着剤として、様々な硬化性組成物が開発されている。この硬化性組成物の材料として、エポキシ樹脂が広く用いられている。
エポキシ樹脂を含む硬化性組成物の一例として、下記の特許文献1には、エポキシ樹脂と、アクリルゴムと、潜在性硬化剤とを含む硬化性組成物が開示されている。
また、上記硬化性組成物は、具体的には、例えば、半導体チップを基板又は他の半導体チップに接着するために用いられている。この接着作業を容易にするために、先ダイシング法と呼ばれているダイシング法により半導体ウェーハを個々の半導体チップに分割した後、硬化性組成物を用いて接着剤層付き半導体チップを得る方法が知られている。
上記先ダイシング法では、先ず、半導体ウェーハの表面に、該半導体ウェーハを分割しないように切り込みを形成する。次に、切り込みが形成された半導体ウェーハの表面に、保護シートを貼り付ける。その後、半導体ウェーハの裏面を切り込み部分まで研削して、半導体ウェーハの厚みを薄くし、個々の半導体チップに分割する。個々の半導体チップに分割された分割後半導体ウェーハの表面には、一般的に保護シートが貼り付けられている。
先ダイシング法により得られた分割後半導体ウェーハを用いて、接着剤層付き半導体チップを得るために、ダイシング−ダイボンディングテープが用いられている。例えば、下記の特許文献2,3には、接着シートと基材(ダイシングテープ)とが積層されたダイシング−ダイボンディングテープが開示されている。このダイシング−ダイボンディングテープにおける接着シートは、ダイボンディング層であり、半導体チップに接着剤層を積層して、接着剤層付き半導体チップを得るためのシートである。
特許第3342703号公報 特開2005−260204号公報 特開2006−080142号公報
特許文献2,3に記載のダイシング−ダイボンディングテープを用いて接着剤層付き半導体チップを得る際には、ダイシング−ダイボンディングテープを接着シート側から、分割後半導体ウェーハに貼り付ける。次に、レーザー光を照射したり、加熱又は冷却等したりして、接着シートを改質させる。次に、改質された接着シートを引き延ばして、該接着シートを分割後半導体ウェーハの切断部分に沿って切断し、かつ個々の半導体チップを離間して、半導体チップの下面に切断された接着剤層を形成する。その後、接着剤層付き半導体チップを基材から剥離して、取り出す。取り出された接着剤層付き半導体チップは、接着剤層側から基板上に実装される。
特許文献2に記載のダイシング−ダイボンディングテープでは、接着シートを切断する前に、加熱又は冷却により、接着シートを改質させる必要がある。特許文献3に記載のダイシング−ダイボンディングテープでは、接着シートを切断する前に、電磁波などのレーザー光を照射等して、接着シートを改質させる必要がある。従って、特許文献2,3に記載のダイシング−ダイボンディングテープでは、接着シートを改質させるための工程を必要とする。このため、接着剤層付き半導体チップを効率よく得ることができない。
さらに、特許文献2,3に記載のダイシング−ダイボンディングテープでは、接着シートを引き延ばしたときに、該接着シートが所望の位置で適切に切断されないことがある。例えば、半導体チップの下方に、接着剤層が確実に配置されないことある。このため、接着剤層付き半導体チップを接着対象部材に接着した場合に、半導体チップが傾いたり、半導体チップが十分に接着されなかったりする。
さらに、特許文献2,3に記載のダイシング−ダイボンディングテープを用いて得られた接着剤層付き半導体チップを、接着対象部材に接着した場合には、接着性が低いことがある。
本発明の目的は、硬化後の硬化物の接着性に優れている硬化性組成物を提供することである。
本発明の限定的な目的は、粘接着剤層付き半導体チップを得る場合に、分割後半導体ウェーハの片面に、硬化性組成物により形成された粘接着剤層を積層した後、該粘接着剤層を引き延ばしたときに、粘接着剤層を精度良く切断できる硬化性組成物、並びに該硬化性組成物を用いたダイシング−ダイボンディングテープ、接続構造体及び粘接着剤層付き半導体チップの製造方法を提供することである。
本発明の広い局面によれば、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂用硬化剤と、エポキシ基含有アクリル樹脂とを含み、上記エポキシ樹脂が極性基を有し、上記エポキシ基含有アクリル樹脂の重量平均分子量が1万〜40万であり、かつ上記エポキシ基含有アクリル樹脂のガラス転移温度が60℃以上である、硬化性組成物が提供される。
本発明に係る硬化性組成物のある特定の局面では、硬化性組成物をシート状に成形して、シートを得たときに、硬化前の該シートの23℃での破断応力が6MPa以下であり、かつ硬化前の上記シートの23℃での破断伸度が200%以下である。
本発明に係る硬化性組成物の他の特定の局面では、上記エポキシ樹脂100重量部に対して、上記エポキシ基含有アクリル樹脂の含有量が25〜200重量部である。
本発明に係る硬化性組成物のさらに他の特定の局面では、硬化後の硬化物の180℃における貯蔵弾性率が40MPa以上である。
本発明に係る硬化性組成物の別の特定の局面では、硬化性組成物は、シート状に成形されている。
本発明に係る硬化性組成物のさらに別の特定の局面では、硬化性組成物は、半導体チップを接着対象部材に接着するための粘接着剤である。
本発明に係るダイシング−ダイボンディングテープは、本発明に従って構成された硬化性組成物により形成された粘接着剤層と、該粘接着剤層の片面に積層された基材層とを備える。
本発明に係る接続構造体は、半導体チップと、接着対象部材と、該半導体チップと該接着対象部材との間に配置された硬化物層とを備えており、上記硬化物層が本発明に従って構成された硬化性組成物を硬化させることにより形成されている。
本発明に係る粘接着剤層付き半導体チップの製造方法は、本発明に従って構成された硬化性組成物により形成された粘接着剤層と、個々の半導体チップに分割されている分割後半導体ウェーハとを用いて、上記分割後半導体ウェーハの片面に、上記粘接着剤層を積層する工程と、上記粘接着剤層を引き延ばすことにより、上記粘接着剤層を上記分割後半導体ウェーハの切断部分に沿って切断し、かつ上記分割後半導体ウェーハにおける個々の半導体チップを離間させる工程と、上記粘接着剤層が積層された状態で、上記粘接着剤層付き半導体チップを取り出す工程とを備える。
本発明に係る粘接着剤層付き半導体チップの製造方法の他の特定の局面では、上記粘接着剤層と、該粘接着剤層の片面に積層された基材層とを備えるダイシング−ダイボンディングテープが用いられる。
本発明に係る粘接着剤層付き半導体チップの製造方法のある特定の局面では、上記粘接着剤層を引き延ばす前又は間に、上記粘接着剤層を改質しない。
本発明に係る粘接着剤層付き半導体チップの製造方法の他の特定の局面では、上記粘接着剤層を引き延ばす前又は間に、上記粘接着剤層を改質するために、上記粘接着剤層を加熱及び冷却せず、かつレーザー光を照射しない。
本発明に係る硬化性組成物は、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂用硬化剤と、エポキシ基含有アクリル樹脂とを含み、上記エポキシ樹脂が極性基を有し、上記エポキシ基含有アクリル樹脂の重量平均分子量が1万〜40万であり、かつ上記エポキシ基含有アクリル樹脂のガラス転移温度が60℃以上であるので、硬化後の硬化物の接着性に優れている。従って、例えば、本発明に係る硬化性組成物を用いて、半導体チップを接着対象部材に接着したときに、半導体チップと接着対象部材との接合信頼性を高めることができる。
さらに、本発明に係る硬化性組成物を用いて、粘接着剤層付き半導体チップを得る場合には、分割後半導体ウェーハの片面に、上記硬化性組成物により形成された粘接着剤層を積層した後、該粘接着剤層を引き延ばしたときに、分割後半導体ウェーハの切断部分に沿って粘接着剤層を精度良く切断できる。
図1(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係るダイシング−ダイボンディングテープを示す部分切欠平面図及び部分切欠正面断面図である。 図2(a)及び(b)は、本発明の第2の実施形態に係るダイシング−ダイボンディングテープを示す部分切欠平面図及び部分切欠正面断面図である。 図3(a)〜(d)は、粘接着剤層付き半導体チップを製造する際に用いられる積層体を得る各工程の一例を説明するための部分切欠正面断面図である。 図4(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係るダイシング−ダイボンディングテープを用いて、粘接着剤層付き半導体チップを製造する方法の一例を説明するための部分切欠正面断面図である。 図5(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係るダイシング−ダイボンディングテープを用いて、粘接着剤層付き半導体チップを製造する方法の一例を説明するための部分切欠正面断面図である。 図6は、本発明の一実施形態に係る硬化性組成物を用いた接続構造体を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の詳細を説明する。
(硬化性組成物)
本発明に係る硬化性組成物は、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂用硬化剤と、エポキシ基含有アクリル樹脂とを含む。上記エポキシ樹脂は極性基を有する。上記エポキシ基含有アクリル樹脂の重量平均分子量が1万〜40万であり、かつ上記エポキシ基含有アクリル樹脂のガラス転移温度が60℃以上である。このような組成を有するので、本発明に係る硬化性組成物の硬化後の硬化物の接着性は高い。さらに、分割後半導体ウェーハの片面に、上記硬化性組成物により形成された粘接着剤層を積層した後、該粘接着剤層を引き延ばしたときに、粘接着剤層を精度良く切断することが可能になる。
〔エポキシ樹脂〕
本発明に係る硬化性組成物に含まれているエポキシ樹脂は、極性基を有すれば特に限定されない。上記エポキシ樹脂は、環状炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂であることが好ましい。環状炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂の使用により、硬化性組成物の硬化後の硬化物が剛直になり、硬化物中で分子の運動が阻害される。従って、ガラス転移温度が高く、かつ高温での弾性率が高い硬化物を得ることができる。さらに、硬化物では、優れた機械的強度及び耐熱性を発現し、かつ吸水性も低くなるために優れた耐湿性も発現する。
上記エポキシ樹脂としては、特に限定されず、例えば、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、テトラヒドロキシフェニルエタン型エポキシ樹脂、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、及び3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボネート等が挙げられる。上記エポキシ樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂としては、ジシクロペンタジエンジオキシド及びジシクロペンタジエン骨格を有するフェノールノボラックエポキシ樹脂等が挙げられる。上記ナフタレン型エポキシ樹脂としては、1−グリシジルナフタレン、2−グリシジルナフタレン、1,2−ジグリジジルナフタレン、1,5−ジグリシジルナフタレン、1,6−ジグリシジルナフタレン、1,7−ジグリシジルナフタレン、2,7−ジグリシジルナフタレン、トリグリシジルナフタレン及び1,2,5,6−テトラグリシジルナフタレン等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂は、極性基を有し、かつ環状の炭化水素骨格を有するエポキシ樹脂であることが好ましい。
上記エポキシ樹脂は、極性基を有する。該極性基としては、ヒドロキシル基、アミノ基、イミノ基、アミド基、ニトリル基、カルボキシル基及びカルボニル基等が挙げられる。粘接着剤層の半導体チップ及び接着対象部材との接着力をより一層高める観点からは、上記極性基は、ヒドロキシル基、イミノ基又はニトリル基であることが好ましい。ヒドロキシル基、イミノ基及びニトリル基を有するエポキシ樹脂の使用により、粘接着層の使用前の保管時に、硬化反応性が低くなり、保管後に極性基が維持されやすい。
上記エポキシ樹脂は、フリーな極性基を有することが好ましい。上記「フリー」とは、極性基が、主鎖中の結合骨格の一部として存在するのではなく、側鎖又は末端に存在することを意味する。
〔エポキシ基含有アクリル樹脂〕
本発明に係る硬化性組成物に含まれているエポキシ基含有アクリル樹脂は、重量平均分子量が1万〜40万であり、かつガラス転移温度が60℃以上であれば特に限定されない。上記エポキシ基含有アクリル樹脂の使用により、硬化前の製膜性が高くなり、また硬化物の機械的強度、耐熱性及び可撓性が高くなる。
上記エポキシ基含有アクリル樹脂は、エポキシ基を末端に有していてもよく、側鎖(ペンダント位)に有していてもよい。上記エポキシ基含有アクリル樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記エポキシ基含有アクリル樹脂は、例えば、エポキシ基を有するアクリルモノマーと、エポキシ基を有さないアクリル化合物との共重合により得られる。
上記エポキシ基を有するアクリルモノマーとしては、グリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレート等が挙げられる。
上記エポキシ基を有さないアクリル化合物としては、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、ヒドロキエチルアクリレート及びイソボロニルアクリレート等が挙げられる。
一般に、アクリル樹脂(アクリル系ポリマー)は、溶剤を媒体とする溶液重合法で製造されることが多い。溶液重合法では、高分子量のアクリル樹脂が生成する際に、溶液の粘度が極端に上昇したり、場合によってはゲル化したりするおそれがある。このため、高分子量のアクリル樹脂を得ることは難しい。また、溶液重合法では、未反応のモノマーが残留しやすいため、残留モノマーを溶剤とともに除去する必要が生じ、製造工程が煩雑になる。
例えば、エポキシ基を有するアクリル系モノマーとしてグリシジルメタクリレート(GMA)を用い、他のアクリルモノマー中にGMAを多量に添加して溶液重合を行うと、エポキシ基自体の凝集力によって、比較的低分子量(10000未満)のエポキシ基含有アクリル樹脂のみしか得られない。高分子量のエポキシ基含有アクリル樹脂を得ようとすると、上記のような極度の粘度上昇又はゲル化が起こりやすくなる。
一方で、上記GMA等を用いて、エポキシ基含有アクリル樹脂の製造を水又は非溶剤を媒体とする懸濁重合法で行うと、エポキシ基を多く含み、分子量分布が狭く、かつ高分子量であるエポキシ基含有アクリル樹脂を得ることができる。このエポキシ基含有アクリル樹脂は、モノマーが殆ど残留しないクリーンな樹脂である。さらに、このような方法では、重合系からの分離操作も容易であり、製造工程が簡略になる。
従って、上記エポキシ基含有アクリル樹脂は、懸濁重合法で得られたエポキシ基含有アクリル樹脂であることが好ましい。懸濁重合法で得られたエポキシ基含有アクリル樹脂の使用により、硬化物の機械的強度、耐熱性及び可撓性をより一層高くすることができる。
上記エポキシ基含有アクリル樹脂の重量平均分子量は、1万〜40万である。エポキシ基含有アクリル樹脂の重量平均分子量が1万未満であると、製膜性が悪くなり、硬化性組成物により形成されたシート又は粘接着剤層をシート状のまま取り扱うことが困難である。上記エポキシ基含有アクリル樹脂の重量平均分子量が40万を超えると、硬化前のシート又は粘接着剤層が硬くなりすぎる。このため、粘接着剤層の割裂性が悪化する。また、硬化物が硬くなり過ぎて、硬化物にクラックが生じやすくなる。上記エポキシ基含有アクリル樹脂の重量平均分子量の好ましい下限は3万、好ましい上限は20万である。
上記エポキシ基含有アクリル樹脂のガラス転移温度は、60℃以上である。上記エポキシ基含有アクリル樹脂のガラス転移温度が60℃未満であると、硬化性組成物により形成されたシート又は粘接着剤層の引張伸び特性が低下する。具体的には、破断応力が高くなりすぎたり、破断伸度が高くなりすぎたりする。上記エポキシ基含有アクリル樹脂のガラス転移温度の好ましい下限は70℃である。一方で、上記エポキシ基含有アクリル樹脂のガラス転移温度は100℃以下であることが好ましい。上記エポキシ基含有アクリル樹脂のガラス転移温度が上記上限を満たすと、上記シート又は粘接着剤層を適度に引き延ばして、上記シート又は粘接着剤層を切断できる。例えば、粘接着剤層付き半導体チップを得る場合に、分割後半導体ウェーハの片面に積層された粘接着剤層を引き延ばしたときに、粘接着剤層を精度良く切断できる。なお、上記分割後半導体ウェーハの片面に積層された粘接着剤層を引き延ばしたときに、該粘接着剤層が切断される性質を割裂性と呼ぶことがある。
上記エポキシ基含有アクリル樹脂のエポキシ当量は、200〜1000であることが好ましい。上記エポキシ基含有アクリル樹脂のエポキシ当量が200を超えると、硬化物の可撓性が充分に高くなる。上記エポキシ基含有アクリル樹脂のエポキシ当量が1000以下であると、硬化物の耐熱性及び可撓性がより一層高くなる。
上記エポキシ樹脂100重量部に対して、上記エポキシ基含有アクリル樹脂の含有量は25〜200重量部であることが好ましい。上記エポキシ樹脂100重量部に対して、上記エポキシ基含有アクリル樹脂の含有量のより好ましい下限は50重量部、より好ましい上限は100重量部である。上記エポキシ基含有アクリル樹脂の含有量が上記下限及び上限を満たすと、硬化前におけるシート製膜性、シートとしての取扱い性、及び硬化物の接着性をより一層高くすることができる。さらに、上記シート又は粘接着剤層を適度に引き延ばして、上記シート又は粘接着剤層を精度良く切断できる。
(エポキシ樹脂用硬化剤)
上記エポキシ樹脂用硬化剤としては、例えば、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸等の加熱硬化型酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤及びジシアンジアミド等の潜在性硬化剤、並びにカチオン系触媒型硬化剤等が挙げられる。上記硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記常温で液状の加熱硬化型酸無水物系硬化剤の具体例としては、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物及びトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸等の酸無水物系硬化剤が挙げられる。なかでも、疎水化されているので、メチルナジック酸無水物及びトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸が好適に用いられる。
硬化速度又は硬化物の物性等を調整するために、上記硬化剤と硬化促進剤とを併用してもよい。
上記硬化促進剤は特に限定されない。上記硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール系硬化促進剤及び3級アミン系硬化促進剤等が挙げられる。なかでも、イミダゾール系硬化促進剤が好適に用いられる。イミダゾール系硬化促進剤を用いた場合には、硬化速度及び硬化物の物性等を容易に調整できる。上記硬化促進剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記イミダゾール系硬化促進剤は特に限定されない。上記イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、イミダゾールの1位をシアノエチル基で保護した1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、及びイソシアヌル酸で塩基性を保護した商品名「2MAOK−PW」(四国化成工業社製)等が挙げられる。上記イミダゾール系硬化促進剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化剤は、エポキシ樹脂及び硬化剤の種類、及びエポキシ当量等に応じて適宜の含有量で用いられる。硬化剤の添加量は、また酸無水物系硬化剤と例えばイミダゾール系硬化促進剤等の硬化促進剤とを併用する場合の酸無水物系硬化剤の添加量は、好ましくはエポキシ基に対して理論的に必要な当量の60〜100%、さらに好ましくは70〜90%である。酸無水物系硬化剤の添加量が必要以上に過剰であると、硬化物から水分により塩素イオンが溶出しやすくなるおそれがある。上記硬化剤の含有量を適切な範囲にすることにより、硬化性組成物を効率的に硬化させることができ、かつ硬化物に硬化剤に由来する残渣を生じ難くすることができる。
上記硬化剤100重量部に対して、硬化促進剤の含有量は0.5〜20重量部であることが好ましい。硬化促進剤の含有量が上記下限以上であると、硬化性組成物を効率的に硬化させることができる。硬化促進剤の含有量が上記上限以下であると、硬化促進剤が残存し難くなり、硬化物の接合信頼性を高めることができる。
〔他の成分〕
本発明に係る硬化性組成物は、必要に応じて、ゴム粒子、熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂以外の熱硬化性樹脂、密着性向上剤、pH調整剤、イオン捕捉剤、粘度調整剤、揺変性付与剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、脱水剤、難燃剤、帯電防止剤、防黴剤、防腐剤及び溶剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
〔硬化性組成物の詳細〕
本発明に係る硬化性組成物は、粘接着剤であることが好ましい。上記エポキシ樹脂と、上記エポキシ樹脂用硬化剤と、上記エポキシ基含有アクリル樹脂とを含む硬化性組成物は、硬化前に粘着性を有し、かつ硬化後に接着性を発現する粘接着剤であることが好ましい。
取扱い性に優れているので、本発明に係る硬化性組成物は、シート状に成形されていることが好ましく、シート状の粘接着剤(粘接着剤層)であることが好ましい。
本発明に係る硬化性組成物をシート状に成形して、シートを得たときに、硬化前の該シートの23℃での破断応力は、6MPa以下であることが好ましい。該破断応力のより好ましい上限は4MPaである。一方で、上記破断応力は1MPa以上であることが好ましい。上記破断応力が上記上限を満たすと、シート又は粘接着剤層の割裂性をより一層高めることができる。上記破断応力が上記下限を満たすと、シート又は粘接着剤層の製膜効率を高めることができ、更にシート又は粘接着剤層の取扱い性をより一層高めることができる。
本発明に係る硬化性組成物をシート状に成形して、シートを得たときに、硬化前の該シートの23℃での破断伸度は、200%以下であることが好ましい。該破断伸度のより好ましい上限は100%、更に好ましい上限は50%である。一方で、上記破断伸度は1%以上であることが好ましい。上記破断伸度が上記上限を満たすと、シート又は粘接着剤層の割裂性をより一層高めることができる。上記破断伸度が上記下限を満たすと、シート又は粘接着剤層の製膜効率を高めることができ、更にシート又は粘接着剤層の取扱い性をより一層高めることができる。
本発明に係る硬化性組成物の硬化後の硬化物の180℃における貯蔵弾性率は40MPa以上であることが好ましい。該貯蔵弾性率のより好ましい下限は100MPaである。一方で、上記貯蔵弾性率は1000MPa以下であることが好ましい。上記貯蔵弾性率が上記上限を満たすと、硬化物が硬くなりすぎず、可撓性と接合信頼性とをより一層高めることができる。上記貯蔵弾性率が上記下限を満たすと、硬化物の高弾性化により粘接着剤層の硬化物と半導体チップとの積層体の剛性を高めることができ、ワイヤボンディング工程における超音波接合を効率よく行うことができる。
本発明に係る硬化性組成物は、様々な接着対象部材を接着する用途に用いられる。本発明に係る硬化性組成物は、半導体チップを接着対象部材に接着する用途に好適に用いられる。
上記接着対象部材としては、基板、半導体チップ及びリードフレーム等が挙げられる。上記接着対象部材は、基板又は半導体チップであることが好ましい。上記基板としては、セラミック基板、樹脂基板、シリコン基板、半導体基板及びガラス基板等が挙げられる。
(接続構造体)
上記のように、本発明に係る硬化性組成物は、半導体チップを接着対象部材に接着する用途に好適に用いられる。
図6に、本発明の一実施形態に係る硬化性組成物を用いた接続構造体を模式的に断面図で示す。
図6に示す接続構造体51は、半導体チップ52と、接着対象部材53と、半導体チップ52と接着対象部材53との間に配置された硬化物層54とを備える。硬化物層54は、上記硬化性組成物を硬化させることにより形成されている。硬化物層54に半導体チップ52と接着対象部材53とが接着している。接続構造体51を得る際に、上記硬化性組成物は、シート状に成形されてシートとして用いられてもよく、液状又はシート状の粘接着剤として用いられてもよい。
接続構造体51では、硬化物層54が上記記硬化性組成物を硬化させることにより形成されており、硬化物層54の接着性が高いため、接続信頼性に優れている。
(ダイシング−ダイボンディングテープ)
本発明に係るダイシング−ダイボンディングテープは、上記硬化性組成物により形成された粘接着剤層と、該粘接着剤層の片面に積層されたダイシング層とを備える。
図1(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係るダイシング−ダイボンディングテープを模式的に示す図である。図1(a)は部分切欠平面図であり、図1(b)は図1(a)中のI−I線に沿う部分切欠正面断面図である。
図1(a)及び(b)に示すダイシング−ダイボンディングテープ1は、長尺状の離型層2を有する。離型層2の上面2aに、粘接着剤層3と、基材層4と、ダイシング層5とがこの順に積層されている。粘接着剤層3の片面である第1の表面3aに、基材層4が積層されている。基材層4の第1の表面4aが粘接着剤層3に貼り付けられており、基材層4の第1の表面4aとは反対側の第2の表面4bがダイシング層5に貼り付けられている。粘接着剤層3の第1の表面3aとは反対側の第2の表面3bは、半導体ウェーハが貼り付けられる面である。
長尺状の離型層2の上面2aに、粘接着剤層3、基材層4及びダイシング層5を有する複数の積層物が等間隔に配置されている。該積層物の側方において、離型層2の上面2aに保護シートが設けられていてもよい。
粘接着剤層3、基材層4及びダイシング層5の平面形状は円形である。平面視において、粘接着剤層3は、離型層2、基材層4及びダイシング層5よりも小さい。平面視において、基材層4は、離型層2及びダイシング層5よりも小さい。平面視において、ダイシング層5は、離型層2よりも小さい。離型層2は、粘接着剤層3、基材層4及びダイシング層5の外周側面よりも側方に張り出している領域を有する。
本実施形態では、基材層4は、非粘着性を有する。このため、UV照射して粘着力を低下させるなどの粘接着剤層を改質させる工程を必要とせずに、粘接着剤層3付き半導体チップを基材層4から容易に剥離できる。
上記「非粘着性」には、表面が粘着性を有さないだけでなく、表面を指で触ったときにくっつかない程度の粘着性を有する場合も含まれることとする。具体的には、「非粘着」とは、基材層の非粘着を有する部分をステンレス板に貼り付けて、基材層を300mm/分の剥離速度で剥離したときに、粘着力が0.05N/25mm幅以下であることを意味する。
ダイシング層5は、基材5Aと、基材5Aの片面に積層された粘着剤層5Bとを有する。ダイシング層5は、粘接着剤層3及び基材層4の外周側面よりも側方に張り出している領域を有する。ダイシング層5は粘着剤層5B側から、張り出している領域において離型層2の上面2aに貼り付けられており、かつ中央の領域において基材層4の第2の表面4bに貼り付けられている。ダイシング時に、ダイシング層5の粘着剤層5Bにダイシングリングが貼り付けられる。
図2は、本発明の第2の実施形態に係るダイシング−ダイボンディングテープを模式的に示す図である。図2(a)は部分切欠平面図であり、図2(b)は図2(a)中のI−I線に沿う部分切欠正面断面図である。
図2(a)及び(b)に示すダイシング−ダイボンディングテープ11は、基材層及びダイシング層が異なること以外は、ダイシング−ダイボンディングテープ1と同様に構成されている。
ダイシング−ダイボンディングテープ11は、基材層12と、ダイシング層13とを備える。離型層2の上面2aに、粘接着剤層3と、基材層12と、ダイシング層13とがこの順に積層されている。粘接着剤層3の片面である第1の表面3aに、基材層12が積層されている。基材層12の第1の表面12aが粘接着剤層3に貼り付けられており、基材層12の第1の表面12aとは反対側の第2の表面12bがダイシング層13に貼り付けられている。
基材層12及びダイシング層13の平面形状は円形である。平面視において、粘接着剤層3は、離型層2、基材層12及びダイシング層13よりも小さい。平面視において、基材層12の大きさは、ダイシング層13の大きさとほぼ等しい。平面視において、基材層12及びダイシング層13は、離型層2よりも小さい。離型層2は、粘接着剤層3、基材層12及びダイシング層13の外周側面よりも側方に張り出している領域を有する。
本実施形態では、基材層12は、非粘着性を有する非粘着部12Aを有する。非粘着部12Aは、基材層12の中央の領域に設けられている。非粘着部12Aは、粘接着剤層3の半導体ウェーハが貼り付けられる位置に対応する部分に設けられている。非粘着部12Aの平面形状は、円形である。平面視において、非粘着部12Aは粘接着剤層3よりも大きい。従って、非粘着部12Aは、粘接着剤層3の外周側面よりも側方に張り出している領域を有する。このため、分割後半導体ウェーハの片面に粘接着剤層3を貼り付ける際に、粘接着剤層3の非粘着部12Aが貼り付けられている部分に、分割後半導体ウェーハを正確に位置合わせすることができる。貼り付けの後には、分割後半導体ウェーハに貼り付けられた粘接着剤層3の第2の表面3bに非粘着部12Aを確実に配置できる。このため、粘接着剤層3の切断の後に、粘接着剤層3付き半導体チップを、UV照射して粘着力を低下させるなどの粘接着剤層を改質させる工程を必要とせずに、基材層12の非粘着部12Aから容易に剥離できる。このため、生産ロスを低減でき、歩止まりを向上できる。
基材層12は、非粘着部12Aの外側部分の領域に、粘着性を有する粘着部12Bを有する。粘着部12Bは環状である。基材層12は粘接着剤層3を被覆している。基材層12の非粘着部12Aが粘接着剤層3の第1の表面3aに貼り付けられており、基材層12の粘着部12Bが離型層2の上面2aに貼り付けられている。粘接着剤層3の表面の全体に、基材層12の非粘着部12Aが積層されている。粘接着剤層3の表面に粘着部12Bは積層されていない。ダイシング時に、基材層12の粘着部12Bにダイシングリングが貼り付けられる。
基材層12の非粘着部12Aと粘着部12Bとは一体的に形成されている。非粘着部12Aと粘着部12Bとは、同じ材料により形成されており、異なる材料により形成されてはいない。
ダイシング層13は、基材のみで構成されており、粘着剤層を有さない。ダイシング層13にかえて、ダイシング層5を用いてもよい。
離型層2は、例えば、離型フィルムである。離型層2は、粘接着剤層3の半導体ウェーハが貼り付けられる第2の表面3bを保護するために用いられる。なお、離型層2は、必ずしも用いられていなくてもよい。
離型層2を構成する材料としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、及びポリイミド樹脂などのプラスチック樹脂等が挙げられる。
離型層2の表面は離型処理されていてもよい。離型層は単層であってもよく、複数層であってもよい。離型層が複数層である場合には、各層は異なる樹脂により形成されていてもよい。
離型層2の取扱い性又は剥離性をより一層高める観点からは、離型層2の厚みは、10〜100μmの範囲内であることが好ましく、25〜50μmの範囲内であることがより好ましい。
粘接着剤層3は、半導体チップのダイボンディングに用いられる層である。粘接着剤層3は、半導体チップを基板又は他の半導体チップ等に接着するために用いられる。
粘接着剤層3は、上記硬化性組成物により形成されている。ダイシング−ダイボンディングテープ1,11は、粘接着剤層3付き半導体チップを得るために用いられる。粘接着剤層3付き半導体チップを得た後に、得られた粘接着剤層3付き半導体チップを粘接着剤層3側から基板等の接着対象部材に積層する。その後、熱又は光のエネルギーを与えて、粘接着剤層3を硬化させることにより、粘接着剤層3を介して、接着対象部材に半導体チップを強固に接合させることができる。
粘接着剤層3の厚みは特に限定されない。粘接着剤層3の厚みは、1〜100μmの範囲内であることが好ましい。粘接着剤層3の厚みのより好ましい下限は3μm、より好ましい上限は60μmである。粘接着剤層3の厚みが上記範囲内にあると、半導体チップの貼り付けが容易であり、更に半導体装置の薄型化に対応できる。
基材層4,12は、例えば、活性エネルギー線硬化型又は熱硬化型の粘着性を有する組成物を用いて形成できる。活性エネルギー線硬化型の組成物の場合には、組成物に対する活性エネルギー線の照射量を部分的に調整することにより、基材層4,12の粘着性を部分的に異ならせることができる。基材層が非粘着性を有するようにするためには、活性エネルギー線の照射量を多くすればよい。基材層が粘着性を有するようにするためには、活性エネルギー線を照射しなかったり、活性エネルギー線の照射量を少なくしたりすればよい。
基材層4,12は、アクリル系ポリマーを含む組成物により形成されていることが好ましい。基材層4,12は、アクリル系ポリマーを含む組成物を架橋させた架橋体により形成されていることが好ましい。この場合には、粘接着剤層の割裂性をより一層高くすることができる。また、基材層4,12の極性、貯蔵弾性率又は破断伸度を容易に制御及び設計できる。
上記アクリル系ポリマーは特に限定されない。上記アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーであることが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーとして、炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーが好適に用いられる。炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーの使用により、基材層4,12の極性を充分に低くすることができ、基材層4,12の表面エネルギーを低くすることができ、かつ粘接着剤層3の基材層4,12からの剥離性を高くすることができる。
上記組成物は、活性エネルギー線反応開始剤及び熱反応開始剤の内の少なくとも一方を含むことが好ましく、活性エネルギー線反応開始剤を含むことがより好ましい。活性エネルギー線反応開始剤は、光反応開始剤であることが好ましい。
上記活性エネルギー線には、紫外線、電子線、α線、β線、γ線、X線、赤外線及び可視光線が含まれる。これらの活性エネルギー線のなかでも、硬化性に優れ、かつ硬化物が劣化し難いため、紫外線又は電子線が好ましい。
上記光反応開始剤として、例えば、光ラジカル発生剤又は光カチオン発生剤等を使用できる。上記熱反応開始剤としては、熱ラジカル発生剤等が挙げられる。上記組成物には、粘着力を制御するためにイソシアネート系架橋剤を添加してもよい。
基材層4,12の厚みは特に限定されない。基材層4,12の厚みは、1〜100μmの範囲内であることが好ましい。基材層4,12の厚みのより好ましい下限は5μm、より好ましい上限は60μmである。基材層4,12の厚みが上記好ましい下限を満たすと、ダイシングの際の割裂性、及びエクスパンド性をより一層高めることができる。基材層4,12の厚みが上記好ましい上限を満たすと、厚みがより一層均一になり、ダイシングの精度をよく一層高めることができる。
ダイシング層5,13は、例えば、ダイシングフィルムである。ダイシング層5の基材5A及びダイシング層13の材料としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、及びポリイミド樹脂などのプラスチック樹脂等が挙げられる。なかでも、エクスパンド性に優れており、環境負荷が小さいため、ポリオレフィン系樹脂が好適に用いられる。
ダイシング層5の粘着剤層5Bの材料としては、アクリル系粘着剤、特殊合成ゴム系粘着剤、合成樹脂系粘着剤又はゴム系粘着剤等が挙げられる。なかでも、アクリル系粘着剤又はゴム系粘着剤が好ましく、アクリル系粘着剤がより好ましく、感圧タイプのアクリル系粘着剤がさらに好ましい。アクリル系粘着剤を用いた場合には、粘着剤層5Bの基材層4への貼着力、及び粘着剤層5Bのダイシングリングへの貼付け性及びダイシングリングからの再剥離性を高めることができる。さらに、粘着剤層5Bの製造コストを低くすることができる。
ダイシング層5,13の厚みは特に限定されない。ダイシング層5,13の厚みは、10〜200μmの範囲内であることが好ましい。ダイシング層5,13の厚みのより好ましい下限は60μm、より好ましい上限は150μmである。ダイシング層5,13の厚みが上記範囲内であると、離型層2からの剥離性及びダイシング層5,13のエクスパンド性をより一層高くすることができる。なお、ダイシング層5の厚みは、基材5Aと粘着剤層5Bとの合計の厚みを示す。
ダイシング−ダイボンディングテープ1,11では、ダイシング層5,13が用いられている。ダイシング層5,13が省略されて、基材層4,12がダイシング層を兼ねていてもよい。特に、ダイシング−ダイボンディングテープ11では、基材層12の粘着部12Bにダイシングリングを貼り付けることができるため、ダイシング層13にダイシングリングを貼り付ける必要がない。ダイシング層13にダイシングリングを貼り付ける必要がないので、ダイシング層13は粘着力を有していなくてもよい。従って、ダイシング層13を構成する材料及び組成をより広い範囲から選択できる。
ダイシングの際に、半導体チップの飛び等をより一層効果的に防止できるので、またより一層均一なエクスパンド性が得られるので、基材層4,12の粘接着剤層3が貼り付けられた側とは反対側の表面にダイシング層5が貼り付けられていることが好ましい。
(粘接着剤層付き半導体チップの製造方法)
次に、図1(a),(b)に示すダイシング−ダイボンディングテープ1を用いた場合の粘接着剤層付き半導体チップの製造方法の一例を以下説明する。
先ず、ダイシング−ダイボンディングテープ1と、積層体21とを有する。
図3(d)に示すように、積層体21は、保護シート22と、保護シート22の片面22aに積層されている分割後半導体ウェーハ23とを有する。保護シート22は、分割後半導体ウェーハ23の片面である表面23aに積層されている。分割後半導体ウェーハ23は個々の半導体チップに分割されている。分割後半導体ウェーハ23の平面形状は円形である。
積層体21は、図3(a)〜(d)に示す各工程を経て、以下のようにして得ることができる。
先ず、図3(a)に示すように、半導体ウェーハ23Aを用意する。半導体ウェーハ23Aは分割前半導体ウェーハである。半導体ウェーハ23Aの平面形状は円形である。半導体ウェーハ23Aの表面23aには、マトリックス状にストリートによって区画された各領域に、個々の半導体チップを構成するための回路が形成されている。
図3(b)に示すように、用意した半導体ウェーハ23Aを表面23a側からダイシングする。ダイシングの後、半導体ウェーハ23Aは分断されていない。半導体ウェーハ23Aの表面23aには、個々の半導体チップに分割するための切り込み23cが形成されている。ダイシングは、例えば、高速回転するブレードを備えるダイシング装置等を用いて行われる。
次に、図3(c)に示すように、半導体ウェーハ23Aの表面23aに、保護シート22を貼り付ける。その後、半導体ウェーハ23Aの裏面23bを研削し、半導体ウェーハ23Aの厚みを薄くする。ここでは、半導体ウェーハ23Aの裏面23bは、切り込み23c部分まで研削している。このようにして、図3(d)に示す積層体21を得ることができる。
半導体ウェーハ23Aの裏面23bは、切り込み23c部分まで研削することが好ましい。研削は、例えば研削磁石等を備えるグラインダなどの研削機を用いて行われる。研削時には、半導体ウェーハ23Aの表面23aには保護シート22が貼り付けられているので、回路に研削屑が付着しない。また、研削後に半導体ウェーハ23Aが個々の半導体チップに分割されても、複数の半導体チップがばらばらにならずに保護シート22に貼り付けられたままである。
積層体21を得た後、図4(a)に示すように、積層体21を保護シート22側からステージ25上に載せる。ステージ25上には、分割後半導体ウェーハ23の外周側面から一定間隔を隔てられた位置に、円環状のダイシングリング26が設けられている。ダイシング−ダイボンディングテープ1の離型層2を剥離しながら、又は離型層2を剥離した後に、露出した粘接着剤層3の第2の表面3bを、分割後半導体ウェーハ23の裏面23bに貼り付ける。これにより、分割後半導体ウェーハ23の片面である裏面23bに、粘接着剤層3を積層する。また、露出したダイシング層5の粘着剤層5Bをダイシングリング26に貼り付ける。
次に、図4(b)に示すように、粘接着剤層3が貼り付けられた分割後半導体ウェーハ23をステージ25から取り出して、裏返す。このとき、ダイシングリング26を粘着剤層5Bに貼り付けた状態で取り出す。取り出した分割後半導体ウェーハ23を表面23aが上方になるように裏返して、別のステージ27上に載せる。
次に、図5(a)に示すように、分割後半導体ウェーハ23の表面23aから保護シート22を剥離する。分割後半導体ウェーハ23の裏面23bに粘接着剤層3を積層した後、かつ粘接着剤層3を引き延ばす前に、保護シート22は剥離される。保護シート22を剥離する際に、剥離を容易にするために、必要に応じて、保護シート22を加熱してもよい。ただし、保護シート22を加熱する際に、粘接着剤層3を改質しないほうが好ましい。
次に、図5(b)に示すように、粘接着剤層3を引き延ばして、切断する。このとき、分割後半導体ウェーハ23の切断部分23cに沿って切断し、かつ分割後半導体ウェーハ23における個々の半導体チップを離間させる。粘接着剤層3は、分割後半導体ウェーハ23の裏面23bに貼り付けられているため、分割後半導体ウェーハ23の切断部分23cに沿って、すなわちダイシングラインに沿って、粘接着剤層3を切断できる。粘接着剤層3の切断の後に、粘接着剤層3には切断部分3cが形成される。
なお、本明細書では、粘接着剤層3を引き延ばして切断することを、割裂するともいう。粘接着剤層3を引き延ばして切断する作業(割裂)には、ダイシングも含まれることとし、ダイシング−ダイボンディングテープ1は、粘接着剤層3を引き延ばして切断する(割裂する)ために用いることができる。ダイシング−ダイボンディングテープ1は、言い換えれば、割裂−ダイボンディングテープである。
粘接着剤層3を引き延ばす方法としては、例えば、粘接着剤層3の下方から突き上げて、粘接着剤層3、基材層4及びダイシング層5に、図5(b)に示す力Aを付与する方法が挙げられる。力Aの付与により、結果として粘接着剤層3、基材層4及びダイシング層5に外側に向かって引っ張られる力B1,B2が付与され、粘接着剤層3が引き延ばされる。
粘接着剤層3は上記硬化性組成物により形成されており、該硬化性組成物は、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂用硬化剤と、エポキシ基含有アクリル樹脂とを含み、上記エポキシ樹脂が極性基を有し、上記エポキシ基含有アクリル樹脂の重量平均分子量が1万〜40万であり、かつ上記エポキシ基含有アクリル樹脂のガラス転移温度が60℃以上である。従って、粘接着剤層3を引き延ばすことにより、分割後半導体ウェーハ23の切断部分23cに沿って、粘接着剤層3を精度良く切断できる。このため、半導体チップの下方において、粘接着剤層3の欠けが生じ難い。粘接着剤層3を精度良く切断できるため、粘接着剤層3付き半導体チップのピックアップ性を高めることができる。粘接着剤層3の欠けが生じ難いので、粘接着剤層付き半導体チップを接着対象部材に積層して接着させた場合に、半導体チップが傾くのを抑制でき、かつ半導体チップの接合信頼性を高めることができる。
ダイシング−ダイボンディングテープ1の使用により、粘接着剤層3を切断する際に、粘接着剤層3を改質しなくても、粘接着剤層3を精度良く切断できる。例えば、粘接着剤層3を改質するために、粘接着剤層3を加熱及び冷却せず、かつレーザー光を照射しなくても、粘接着剤層3を精度良く切断できる。粘接着剤層3を引き延ばす前又は間に、粘接着剤層3を改質しないことが好ましい。粘接着剤層3を引き延ばす前又は間に、粘接着剤層3を改質するために、粘接着剤層3を加熱及び冷却せず、かつレーザー光を照射しないことが好ましい。粘接着剤層3を引き延ばす前又は間に、粘接着剤層3を改質するために、粘接着剤層3を加熱(保護シート22を剥離するための加熱を除く)及び冷却せず、かつレーザー光を照射しないことが好ましい。ただし、粘接着剤層3を改質してもよい。粘接着剤層3を改質しない場合には、粘接着剤層3付き半導体チップの製造効率を高めることができる。
粘接着剤層3を切断した後、粘接着剤層3が積層された状態で、半導体チップを粘接着剤層3ごと基材層4から剥離して、取り出す。このようにして、粘接着剤層3付き半導体チップを得ることができる。ダイシング−ダイボンディングテープ1を用いた場合には、分割後半導体ウェーハ23が貼り付けられている粘接着剤層3部分の下方には、非粘着性を有する基材層4が位置しているので、粘接着剤層3付き半導体チップのピックアップ性を高めることができる。ダイシング−ダイボンディングテープ11を用いた場合にも、分割後半導体ウェーハ23が貼り付けられている粘接着剤層3部分の下方には、基材層12の非粘着部12Aが位置するので、粘接着剤層3付き半導体チップのピックアップ性を高めることができる。粘接着剤層3の切断の後、粘接着剤層3付き半導体チップを基材層4から剥離する前に、ダイシング層5を引き延ばして、個々の半導体チップ間の間隔をさらに拡張してもよい。
なお、ダイシング−ダイボンディングテープ1にかえて、上記硬化性組成物により形成された粘接着剤層を単体で用いる場合には、分割後半導体ウェーハ23の片面に、上記硬化性組成物により粘接着剤層を積層した後、粘接着剤層に基材層4,12を積層してもよい。必要に応じて、基材層4,12にさらにダイシング層5,13を積層してもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
硬化性組成物を形成するために、以下の材料を用意した。
(1)エポキシ樹脂
フェノキシ系固形エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製「1004F」、エポキシ当量925g/eq、フリーな極性基であるヒドロキシル基あり)
ジシクロペンタジエン系固形エポキシ樹脂(DIC社製「HP−7200HH」、エポキシ当量282g/eq、極性基なし)
ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(DIC社製「EXA−850CRP」、エポキシ当量172g/eq、極性基なし)
(2)エポキシ樹脂用硬化剤
酸無水物系硬化剤(ジャパンエポキシレジン社製「YH−309」)
(3)硬化促進剤
イミダゾール系硬化剤(四国化成社製「2MAOK−PW」)
(4)エポキシ基含有アクリル樹脂
エポキシ含有アクリル樹脂(日本油脂社製「マープルーフG−2050M」、エポキシ当量:340g/eq、重量平均分子量:20万、ガラス転移温度:74℃)
エポキシ含有アクリル樹脂(日本油脂社製「マープルーフG−1005SA」、エポキシ当量:3300g/eq、重量平均分子量:10万、ガラス転移温度:98℃)
エポキシ含有アクリル樹脂(日本油脂社製「マープルーフG−0150M」、エポキシ当量:310g/eq、重量平均分子量:1万、ガラス転移温度:71℃)
エポキシ含有アクリル樹脂(ナガセケムテックス社製「SG−80H」、エポキシ当量:14700g/eq、重量平均分子量:35万、ガラス転移温度:11℃)
(5)他の成分
アミノシランカップリング剤(チッソ社製「S320))
表面疎水化ヒュームドシリカ(トクヤマ社製「MT−10」)
(実施例1)
エポキシ樹脂としてフェノキシ系エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製「1004F」)30重量部、ジシクロペンタジエン系固形エポキシ樹脂(DIC社製「HP−7200HH」)35重量部及びビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(DIC社製「EXA−850CRP」)15重量部と、エポキシ樹脂用硬化剤として酸無水物系硬化剤(ジャパンエポキシレジン社製「YH−309」)35重量部と、エポキシ樹脂用硬化促進剤としてイミダゾール系硬化促進剤(四国化成社製「2MAOK−PW」)3重量部と、エポキシ基含有アクリル樹脂としてマープルーフG−2050M(日本油脂社製)20重量部と、アミノシランカップリング剤(チッソ社製「S320」)1重量部と、表面疎水化ヒュームドシリカ(トクヤマ社製「MT−10」)5重量部とを配合し、配合物を得た。得られた配合物をメチルエチルケトン(MEK)に固形分50重量%となるように添加し、攪拌し、粘接着剤である硬化性組成物を得た。
(実施例2〜4及び比較例1)
上記配合物を得る際に使用した材料の種類及び配合量を下記の表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、粘接着剤である硬化性組成物を得た。
(評価)
(1)破断応力及び破断伸度の評価
実施例及び比較例の硬化性組成物を、表面が離型処理された厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シートの離型処理面上に、乾燥後の厚みが10μmとなるようにバーコーターを用いて塗工した。その後、100℃で3分間乾燥して、硬化性組成物をシート状に成形し、シートを得た。このシートを熱ラミネートにより積層して、試験片(縦50mm×横10mm×厚み0.1mm)を作製した。
引張試験器(オリエンテック社製「テンシロンRTC−1310」)を用いて、23℃、標線間25mm及び引張速度300mm/minの条件で、得られた試験片の破断応力及び破断伸度を測定した。
(2)貯蔵弾性率の評価
実施例及び比較例の硬化性組成物を、表面が離型処理された厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シートの離型処理面上に、乾燥後の厚みが10μmとなるようにバーコーターを用いて塗工した。その後、100℃で3分間乾燥して、硬化性組成物をシート状に成形し、シートを得た。このシートを熱ラミネートにより積層して、試験片(縦50mm×横3mm×厚み0.5mm)を作製した。この試験片を170℃で60分加熱することにより硬化させ、硬化物を得た。動的粘弾性装置(アイティー計測制御社製「DVA−200」)を用いて、25〜300℃、5℃/min及び10Hzの条件で、得られた硬化物の180℃における引張貯蔵弾性率E’を測定した。
(3)ダイシング−ダイボンディングテープの作製
図1に示す形状のダイシング−ダイボンディングテープを作製した。
2−エチルヘキシルアクリレート95重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5重量部、光ラジカル発生剤としてのイルガキュア651(チバガイギー社製、50%酢酸エチル溶液)0.2重量部、及びラウリルメルカプタン0.01重量部を酢酸エチルに溶解させ、溶液を得た。この溶液に紫外線を照射して重合を行い、ポリマーの酢酸エチル溶液を得た。さらに、この溶液の固形分100重量部に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製、カレンズMOI)3.5重量部を反応させて(メタ)アクリル樹脂架橋体であるアクリル共重合体を得た。アクリル共重合体は、重量平均分子量が70万であり、酸価が0.86(mgKOH/g)であった。
得られたアクリル共重合体100重量部、U−324A(新中村化学工業社製、ウレタンアクリルオリゴマー)2重量部、光ラジカル発生剤としてのイルガキュア651(チバガイギー社製)1重量部を配合し、酢酸エチルに溶解し、組成物を得た。この組成物を離型PETフィルム上にアプリケーターを用いて塗工し、110℃で3分間加熱乾燥し、厚み50μmのフィルム状の組成物層を形成した。この組成物層上に離型PETフィルムを貼り付けた。その後、上記組成物層に高圧水銀灯下で365nmの紫外線を2000mJ/cmで照射し、離型PETフィルム上に非粘着性を有する基材層(厚み50μm)を形成した。
また、実施例及び比較例で得られた硬化性組成物をアプリケーターにて厚さ40μmになるようにリンテック社製PET38CS上に塗布し、110℃で3分間加熱乾燥して、粘接着剤層(厚み40μm)を得た。
上記基材層の両面に貼り付けられた離型PETフィルムの一方を剥がし、直径306.8mmの円形の基材層を得た。上記PET38CS上の粘接着剤層を直径305.8mmの円形に加工した。基材層と粘接着剤層とを、円の中心が合うように貼り合せた。基材層の片面に貼り付けられた離型PETフィルムを剥がし、ダイシング層(PEテープ#6318−B(積水化学工業社製粘着フィルム、厚み70μmのポリエチレン基材の片面に、厚み10μmのゴム系粘着剤層が形成されている粘着フィルム))を、粘着剤層側から基材層に貼り付けた。また、ダイシング層の粘接着剤層及び基材層の外周側面よりも側方に張り出している領域を、上記PET38CS上に貼り付けた。このようにして離型層と粘接着剤層と基材層とダイシング層とがこの順で積層されたダイシング−ダイボンディングテープを得た。
(4)割裂性、ピックアップ性及び接着性の評価
先ダイシングされた分割後半導体ウエーハを有する材料として、保護シートと、チップサイズ10mm角に先ダイシングされた半導体ウエーハ(シリコンミラーウエーハ、直径300mm、厚み40μm)との積層体を用いた。
上記(3)ダイシング−ダイボンディングテープの作製で得られたダイシング−ダイボンディングテープの離型PETフィルムを粘接着剤層及び基材層から剥離して、粘接着剤層と、基材層の外周部分とを露出した。積層体の分割後半導体ウェーハの裏面に、粘接着剤層を60℃の温度でラミネートし、ダイシング層の粘着剤層をダイシングリングに貼り付けた。
次に、粘接着剤層が貼り付けられた分割後半導体ウェーハをステージから取り出して、裏返し、別のステージ上に載せた。その後、分割後半導体ウェーハの表面から、60℃で保護シートを剥離した。このとき、粘接着剤層は改質しないようにした。
次に、ダイボンダー(キャノンマシーナリー社製「bestem D−02」)を用いて、23℃及びエクスパンド量5mmの条件で、粘接着剤層と基材層とダイシング層とを引き延ばして、分割後半導体ウェーハの切断部分に沿って粘接着剤層を切断し、かつ後半導体ウェーハにおける個々の半導体チップを離間させた。
次に、ゴムコレットサイズ9mm角、ピン突き上げ量0.3mm及びピン突き上げ速度4mm/秒の条件で、粘接着剤層付き半導体チップを連続的に20個ピックアップした後、厚み1mmのガラス板上に100℃、5Nの条件でダイボンディングした。
粘接着剤層の割裂性(切断状態)を、ダイボンディングされたチップの粘接着剤層をガラス板裏側より光学顕微鏡(倍率200倍)にて観察し、下記の判定基準で判定した。
[割裂性の判定基準]
○:半導体チップの下方において、粘接着剤層に欠けがない
×:半導体チップの下方において、粘接着剤層に欠けがある
またピックアップ性については、下記の判定基準で判定した。
[ピックアップ性の判定基準]
○:ピックアップできなかった粘接着剤層付き半導体チップなし
×:ピックアップできなかった粘接着剤層付き半導体チップあり
次に、ガラスエポキシ基板(大昌電子社製「TPWB−S02」)上に、上記の方法でピックアップされた27個の粘接着剤層付き半導体チップを粘接着剤層側から、100℃、5Nの条件でダイボンディグした。その後、170℃のオーブン内に60分入れて、粘接着剤層を硬化させ、硬化物層を形成し、接続構造体を得た。
得られた接続構造体を30℃及び70%の恒温恒湿槽に168時間放置した後、リフロー炉(アントム社製「UNI−5016F」)にて、プレヒート160℃、最高255℃の条件で、接続構造体の耐リフロー試験をおこなった。その後、接続構造体の粘接着剤層の剥離の有無を、超音波探傷装置SAT(日立建機ファインテック社製「mi−scope」)にて観察し、剥離が見られた個数を計測した。得られた接続構造体における接着性を下記の判定基準で判定した。
[接着性の判定基準]
○:剥離した粘接着剤層(硬化物層)付き半導体チップなし
×:剥離した粘接着剤層(硬化物層)付き半導体チップあり
結果を下記の表1に示す。
Figure 2011195712
1…ダイシング−ダイボンディングテープ
2…離型層
2a…上面
3…粘接着剤層
3a…第1の表面
3b…第2の表面
3c…切断部分
4…基材層
4a…第1の表面
4b…第2の表面
5…ダイシング層
5A…基材
5B…粘着剤層
11…ダイシング−ダイボンディングテープ
12…基材層
12A…非粘着部
12B…粘着部
12a…第1の表面
12b…第2の表面
13…ダイシング層
21…積層体
22…保護シート
22a…片面
23…分割後半導体ウェーハ
23A…半導体ウェーハ
23a…表面
23b…裏面
23c…切断部分
25…ステージ
26…ダイシングリング
27…ステージ
51…接続構造体
52…半導体チップ
53…接着対象部材
54…硬化物層

Claims (12)

  1. エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂用硬化剤と、エポキシ基含有アクリル樹脂とを含み、
    前記エポキシ樹脂が極性基を有し、
    前記エポキシ基含有アクリル樹脂の重量平均分子量が1万〜40万であり、かつ
    前記エポキシ基含有アクリル樹脂のガラス転移温度が60℃以上である、硬化性組成物。
  2. 硬化性組成物をシート状に成形して、シートを得たときに、
    硬化前の前記シートの23℃での破断応力が6MPa以下であり、かつ硬化前の前記シートの23℃での破断伸度が200%以下である、請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 前記エポキシ樹脂100重量部に対して、前記エポキシ基含有アクリル樹脂の含有量が25〜200重量部である、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. 硬化後の硬化物の180℃における貯蔵弾性率が40MPa以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  5. シート状に成形されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  6. 半導体チップを接着対象部材に接着するための粘接着剤である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性組成物により形成された粘接着剤層と、
    前記粘接着剤層の片面に積層された基材層とを備える、ダイシング−ダイボンディングテープ。
  8. 半導体チップと、接着対象部材と、該半導体チップと該接着対象部材との間に配置された硬化物層とを備え、
    前記硬化物層が請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化させることにより形成されている、接続構造体。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性組成物により形成された粘接着剤層と、個々の半導体チップに分割されている分割後半導体ウェーハとを用いて、
    前記分割後半導体ウェーハの片面に、前記粘接着剤層を積層する工程と、
    前記粘接着剤層を引き延ばすことにより、前記粘接着剤層を前記分割後半導体ウェーハの切断部分に沿って切断し、かつ前記分割後半導体ウェーハにおける個々の前記半導体チップを離間させる工程と、
    前記粘接着剤層が積層された状態で、前記粘接着剤層付き半導体チップを取り出す工程とを備える、粘接着剤層付き半導体チップの製造方法。
  10. 前記粘接着剤層と、該粘接着剤層の片面に積層された基材層とを備えるダイシング−ダイボンディングテープを用いる、請求項9に記載の粘接着剤層付き半導体チップの製造方法。
  11. 前記粘接着剤層を引き延ばす前又は間に、前記粘接着剤層を改質しない、請求項9又は10に記載の粘接着剤層付き半導体チップの製造方法。
  12. 前記粘接着剤層を引き延ばす前又は間に、前記粘接着剤層を改質するために、前記粘接着剤層を加熱及び冷却せず、かつレーザー光を照射しない、請求項9〜11のいずれか1項に記載の粘接着剤層付き半導体チップの製造方法。
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