JP2011192913A - 半導体レーザ構造 - Google Patents

半導体レーザ構造 Download PDF

Info

Publication number
JP2011192913A
JP2011192913A JP2010059493A JP2010059493A JP2011192913A JP 2011192913 A JP2011192913 A JP 2011192913A JP 2010059493 A JP2010059493 A JP 2010059493A JP 2010059493 A JP2010059493 A JP 2010059493A JP 2011192913 A JP2011192913 A JP 2011192913A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
type
tunnel junction
band gap
gap energy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2010059493A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5666815B2 (ja
Inventor
Noriyuki Matsushita
規由起 松下
Hitoshi Yamada
仁 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp filed Critical Denso Corp
Priority to JP2010059493A priority Critical patent/JP5666815B2/ja
Publication of JP2011192913A publication Critical patent/JP2011192913A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5666815B2 publication Critical patent/JP5666815B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Semiconductor Lasers (AREA)

Abstract

【課題】トンネル接合層のトンネル効率が高く、トンネル接合層における光の閉じ込めや吸収が生じにくい半導体レーザ構造を提供すること。
【解決手段】(a)n型クラッド層2、8、(b)発光層3、4、5、9、10、11、及び(c)p型クラッド層5、12を積層して成るレーザ構造単位101、103を複数備えるとともに、前記レーザ構造単位101、103の間に、p型導電型層7a及びn型導電型層7bから成るトンネル接合層7を備え、前記p型導電型層7aと前記n型導電型層7bの少なくとも一方の層内のバンドギャップエネルギーが一様でなく、前記p型導電型層7aと前記n型導電型層7bとの界面におけるバンドギャップエネルギーが、前記トンネル接合層7におけるバンドギャップエネルギーの平均値よりも小さいことを特徴とする半導体レーザ構造。
【選択図】図1

Description

本発明は半導体レーザ構造に関する。
半導体レーザ構造を、例えばレーザレーダ等、パルス大電流による高出力が必要な装置に適用する場合、レーザ構造単位(n型クラッド層、発光層、及びp型クラッド層から成る単位)を、基板の成長面に対して垂直方向に複数積層する構造が用いられる。この構造は、隣接するレーザ構造単位の発光層を数μm内に近接できるため、光密度を大きくすることができる。
この構造では駆動時にレーザ構造単位間に逆バイアスがかかり、高抵抗となるため、各レーザ構造単位の界面にトンネル接合層を設け、トンネル効果による低抵抗化を図る必要がある(図6、特許文献1参照) 。トンネル接合層は、厚さがそれぞれ数nm〜数十nmであるp型導電型層及びn型導電型層から構成される。
特開2008−85339号公報
トンネル接合層のトンネル効果による低抵抗化をより顕著にするためは、その層を構成する結晶として、バンドギャップエネルギーの小さい材料を用い、トンネル効率を向上させる必要がある。
しかしながら、トンネル接合層のバンドギャップエネルギーが、発光層で生じるレーザのエネルギー(波長)よりも小さくなると、トンネル接合層で光が閉じ込められ、さらに吸収されてしまう割合が増加するため、発光層の数に比例した光出力を得ることが困難となる。
トンネル接合層による光閉じ込め及び光吸収を小さくするために、発光層とトンネル接合層間の距離を大きくする、またはトンネル接合層を薄くすることが考えられる。しかし、発光層とトンネル接合層間の距離を大きくしてしまうと、各発光層間の距離が大きくなってしまい、光を絞ることが困難になる。また、トンネル接合層の厚さを薄くしていくと、トンネル接合層からのドーパント拡散、またトンネル接合層の量子効果等の影響でキャリアのトンネル効率が低下し、却って光出力が低下してしまう。
本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、トンネル接合層のトンネル効率が高く、トンネル接合層における光の閉じ込めや吸収が生じにくい半導体レーザ構造を提供することを目的とする。
本発明の半導体レーザ構造は、(a)n型クラッド層、(b)発光層、及び(c)p型クラッド層を積層して成るレーザ構造単位を複数備えるとともに、レーザ構造単位の間に、p型導電型層及びn型導電型層から成るトンネル接合層を備え、p型導電型層とn型導電型層の少なくとも一方の層内のバンドギャップエネルギーが一様でなく、p型導電型層とn型導電型層との界面におけるバンドギャップエネルギーが、トンネル接合層におけるバンドギャップエネルギーの平均値よりも小さいことを特徴とする。
本発明によれば、p型導電型層とn型導電型層との界面におけるバンドギャップエネルギーは低くし、且つトンネル接合層におけるバンドギャップエネルギーの平均値は大きくすることができる。トンネル接合層におけるトンネル効果は、p型導電型層とn型導電型層との界面でのバンドギャップエネルギーが小さいほど高いので、本発明によれば、トンネル接合層におけるトンネル効果が高い。
また、トンネル接合層におけるバンドギャップエネルギーの平均値が大きいため、トンネル接合層全体としての実効的な屈折率が小さくなるので、トンネル接合層における光の閉じ込め及び吸収が生じにくい。
「層内のバンドギャップエネルギーが一様でなく」とは、層の一方の界面から、反対側の界面まで、バンドギャップエネルギーがどこでも一様(同じ値)であるものを除外することを意味する。
本発明の半導体レーザ構造では、トンネル接合層におけるバンドギャップエネルギーの最大値が、発光層から生じるレーザの波長に対応するエネルギーよりも大きいことが好ましい。この場合、トンネル接合層における光の閉じ込め及び吸収が一層生じにくい。
本発明の半導体レーザ構造では、トンネル接合層におけるバンドギャップエネルギーの平均値が、発光層から生じるレーザの波長に対応するエネルギーよりも大きいことが好ましい。この場合、トンネル接合層における光の閉じ込め及び吸収が一層生じにくい。
本発明の半導体レーザ構造では、トンネル接合層のうち、発光層から生じるレーザの波長に対応するエネルギーよりもバンドギャップエネルギーが小さい部分の厚さが35nm以下であることが好ましい。この場合、半導体レーザ構造の全体としての光出力が高い。
本発明の半導体レーザ構造において、トンネル接合層のバンドギャップエネルギーは、p型導電型層とn型導電型層との界面からの距離に比例して大きくなることが好ましい。この場合、界面においてバンドギャップエネルギーを小さくするとともに、トンネル接合層全体としての実効的なバンドギャップエネルギーを大きくすることができる。
また、本発明の半導体レーザ構造において、トンネル接合層のバンドギャップエネルギーは、p型導電型層とn型導電型層との界面からの距離が大きくなるほど増大し、その増大の割合は、その界面に近いほど高いことが好ましい。この場合、トンネル接合層のうち、バンドギャップエネルギーが小さい部分の割合が小さくなるので、トンネル接合層における光の閉じ込め及び吸収が一層生じにくい。
本発明の半導体レーザ構造としては、基板を備えるとともに、トンネル接合層が、その基板に対して圧縮歪みを有する第1の層と、基板に対して引張歪みを有する第2の層とを備えるものが挙げられる。この場合、トンネル接合層全体として、圧縮歪みと引張歪みとが相殺される。そのため、トンネル接合層内における格子不整合による結晶欠陥の発生を抑制できる。また、3元素系の材料のように、格子定数を基板に対して合わせることが困難な材料でも、トンネル接合層の形成に使用できる。
本発明の半導体レーザ構造としては、レーザ構造単位を3以上備えるものが挙げられる。この場合、光密度を大きくすることができる。
半導体レーザ構造の構成を表す断面図である。 半導体レーザ素子の構成を表す斜視図である。 トンネル接合層7におけるバンドギャップエネルギーの態様を示す概念図である。 トンネル接合層7におけるバンドギャップエネルギーの態様を示す概念図である。 トンネル接合層7におけるバンドギャップエネルギーの態様を示す概念図である。 従来の半導体レーザ構造の構成を表す断面図である。
本発明の実施形態を説明する。
1.半導体レーザ構造の製造
半導体レーザ構造の製造方法を図1に基づいて説明する。n型GaAs基板1上に、MOCVD法により、第1のn型クラッド層2、第1のn型光ガイド層(発光層)3、第1の多重量子井戸活性層(発光層)4(波長850nm)、第1のp型光ガイド層(発光層)5、第1のp型クラッド層6、p型導電型層7a、n型導電型層7b、第2のn型クラッド層8、第2のn型光ガイド層(発光層)9、第2の多重量子井戸活性層(発光層)10(波長850nm)、第2のp型光ガイド層(発光層)11、第2のp型クラッド層12、及びp型コンタクト層13を順次積層した。成長時の基板温度は550〜800℃とした。
ここで、第1のn型クラッド層2、第1のn型光ガイド層3、第1の多重量子井戸活性層4、第1のp型光ガイド層5、及び第1のp型クラッド層6は、第1のレーザ構造単位101を構成する。また、第2のn型クラッド層8、第2のn型光ガイド層9、第2の多重量子井戸活性層10、第2のp型光ガイド層11、及び第2のp型クラッド層12は、第2のレーザ構造単位103を構成する。また、p型導電型層7a、及びn型導電型層7bは、トンネル接合層7を構成する。
各層のキャリア濃度、厚さ、組成は、表1に示すとおりである。なお、全てのn型層のドーパントはSeであり、全てのp型層のドーパントはZnである。
Figure 2011192913
p型導電型層7a、及びn型導電型層7bの組成におけるxは、0〜0.2の範囲の値である。xの値は、p型導電型層7aとn型導電型層7bとの界面でx=0であり、界面からの距離に比例して大きくなる。界面からの距離が30nmのときx=0.2となる。MOCVD法によりp型導電型層7a、及びn型導電型層7bを形成するとき、供給する原料の割合を時間ともに変化させることにより、xの値を上記のように変化させることができる。
なお、結晶を構成する各元素の原料は、以下のようにした。Gaの原料は、トリメチルガリウム、又はトリエチルガリウムとした。Alの原料は、トリメチルアルミニウム、又はトリエチルアルミニウムとした。Znの原料は、ジメチルジンク、又はジエチルジンクとした。Asの原料は、AsH3(アルシン)とした。Seの原料は、H2Se(セレン化水素)とした。
2.半導体レーザ素子の製造
上記のように製造した半導体レーザ構造を用いて、図2に示す半導体レーザ素子を製造した。
p型コンタクト層13上に、所定のパターンからなるSiO2酸化膜105を形成し、さらにその上にCr/Pt/Auから成る電極107を形成した。次に、n型GaAs基板1の膜厚が120μm程度となるように、n型GaAs基板1を研削し、研削面にAu-Ge/Ni/Auから成る電極109を形成した。さらに、電極109と半導体レーザ構造とのコンタクトを安定化させるために360℃で30秒間の熱処理を実施した。
次に、共振器を形成するために壁開により幅500μmで短冊化し、Al2O3、a-Si等の材料を用い、一方の端面にレーザ光の波長に対して低反射率の低反射率膜111を形成し、もう一方の端面に高反射率な反射層113を形成し、所定の大きさに素子化することで半導体レーザ素子を製造した。
3.半導体レーザ構造が奏する効果
(1)p型導電型層7aとn型導電型層7bとの界面におけるバンドギャップエネルギーは、1.42eVという低い値である。トンネル接合層によるトンネル効果は、界面でのバンドギャップエネルギーが小さいほど高いので、本実施例では、トンネル接合層によるトンネル効果が高い。
一方、トンネル接合層7の全体(1つのトンネル接合層7における厚み方向の全体)におけるバンドギャップエネルギーの平均値は1.54eVであり、界面におけるバンドギャップエネルギーよりも高い。そのため、トンネル接合層7全体としての実効的な屈折率が小さくなるので、トンネル接合層7における光の閉じ込め及び吸収が生じにくい。
(2)半導体レーザ構造で発生するレーザの波長は0.85μmであり、それに対応するエネルギーは1.46eVである。それに対し、トンネル接合層7の全体におけるバンドギャップエネルギーの平均値は、上述したように、1.54eVである。また、トンネル接合層7におけるバンドギャップエネルギーの最大値は、x=0.2の位置での値であり、1.65eVである。
上記のように、レーザの波長に対応するエネルギーは、トンネル接合層7におけるバンドギャップエネルギーの平均値、及び最大値よりも小さいから、トンネル接合層7における光の閉じ込め及び吸収が生じにくい。
(3)トンネル接合層7におけるバンドギャップエネルギーは、図3に示すように、p型導電型層7aとn型導電型層7bとの界面からの距離に比例して大きくなる。そのため、界面におけるバンドギャップエネルギーを小さくしつつ、トンネル接合層7におけるバンドギャップエネルギーの平均値、及び最大値を大きくすることができる。その結果、トンネル接合層7によるトンネル効果と、光の閉じ込め及び吸収を防止する効果とを両立できる。
(4)トンネル接合層7のうち、バンドギャップエネルギーがレーザの波長に対応するエネルギー(1.46eV)より低い部分の厚みは10nmである。そのため、トンネル接合層7による光の閉じ込め及び吸収による影響は小さく、半導体レーザ構造の全体としての光出力が高い。
1.半導体レーザ構造の製造
半導体レーザ構造の製造方法を図1に基づいて説明する。n型InP基板1上に、MOCVD法により、第1のn型クラッド層2、第1のn型光ガイド層(発光層)3、第1の多重量子井戸活性層(発光層)4(波長1550nm)、第1のp型光ガイド層(発光層)5、第1のp型クラッド層6、p型導電型層7a、n型導電型層7b、第2のn型クラッド層8、第2のn型光ガイド層(発光層)9、第2の多重量子井戸活性層(発光層)10(波長1550nm)、第2のp型光ガイド層(発光層)11、第2のp型クラッド層12、及びp型コンタクト層13を順次積層した。成長時の基板温度は550〜800℃とした。
ここで、第1のn型クラッド層2、第1のn型光ガイド層3、第1の多重量子井戸活性層4、第1のp型光ガイド層5、及び第1のp型クラッド層6は、第1のレーザ構造単位101を構成する。また、第2のn型クラッド層8、第2のn型光ガイド層9、第2の多重量子井戸活性層10、第2のp型光ガイド層11、及び第2のp型クラッド層12は、第2のレーザ構造単位103を構成する。また、p型導電型層7a、及びn型導電型層7bは、トンネル接合層7を構成する。
各層のキャリア濃度、厚さ、組成は、表2に示すとおりである。なお、全てのn型層のドーパントはSeであり、全てのp型層のドーパントはZnである。
Figure 2011192913
p型導電型層7a、及びn型導電型層7bの組成におけるx及びx‘は、それぞれ、0〜0.12の範囲の値である。x、x‘は、p型導電型層7aとn型導電型層7bとの界面で0であり、界面からの距離に比例して大きくなる。界面からの距離が25nmのとき、x、x’は0.12となる。
また、y、y’は、それぞれ、0.35〜0.47の範囲の値である。y、y‘は、p型導電型層7aとn型導電型層7bとの界面で0.47であり、界面からの距離に比例して小さくなる。界面からの距離が25nmのとき、y、y’は0.35となる。また、x、x‘、y、y’は、界面からの距離によらず、x+y=0.47、x‘+y’=0.47の関係にある。
x、x‘、y、y’が上記のように変化するとき、p型導電型層7a、及びn型導電型層7bの格子定数は、n型InP基板1に格子整合する値となる。
MOCVD法によりp型導電型層7a、及びn型導電型層7bを形成するとき、供給する原料の割合を時間ともに変化させることにより、x、x‘、y、y’の値を上記のように変化させることができる。
なお、結晶を構成する各元素の原料は、以下のようにした。Gaの原料は、トリメチルガリウム、又はトリエチルガリウムとした。Alの原料は、トリメチルアルミニウム、又はトリエチルアルミニウムとした。Inの原料は、トリメチルインジウム、又はトリエチルインジウムとした。Znの原料は、ジメチルジンク、又はジエチルジンクとした。Asの原料は、AsH3(アルシン)とした。Seの原料は、H2Se(セレン化水素)とした。
2.半導体レーザ素子の製造
前記実施例1と同様にして、図2に示す半導体レーザ素子を製造した。
3.半導体レーザ構造が奏する効果
(1)p型導電型層7aとn型導電型層7bとの界面におけるバンドギャップエネルギーは、0.74eVという低い値である。トンネル接合層によるトンネル効果は、界面でのバンドギャップエネルギーが小さいほど高いので、本実施例では、トンネル接合層によるトンネル効果が高い。
一方、トンネル接合層7の全体(1つのトンネル接合層7における厚み方向の全体)におけるバンドギャップエネルギーの平均値は0.85eVであり、界面におけるバンドギャップエネルギーよりも高い。そのため、トンネル接合層7全体としての実効的な屈折率が小さくなるので、トンネル接合層7における光の閉じ込め及び吸収が生じにくい。
(2)半導体レーザ構造で発生するレーザの波長は1.55μmであり、それに対応するエネルギーは0.80eVである。それに対し、トンネル接合層7の全体におけるバンドギャップエネルギーの平均値は、上述したように、0.85eVである。また、トンネル接合層7におけるバンドギャップエネルギーの最大値は、x、x’=0.12、y、y’=0.35の位置での値であり、0.90eVである。
上記のように、レーザの波長に対応するエネルギーは、トンネル接合層7におけるバンドギャップエネルギーの平均値、及び最大値よりも小さいから、トンネル接合層7における光の閉じ込め及び吸収が生じにくい。
(3)トンネル接合層7におけるバンドギャップエネルギーは、図4に示すように、p型導電型層7aとn型導電型層7bとの界面からの距離が大きくなるほど増大し、その増大の割合は、界面に近いほど高い。すなわち、図4のグラフにおいて、バンドギャップエネルギーを表す曲線は上に凸となる。そのため、界面におけるバンドギャップエネルギーを小さくしつつ、トンネル接合層7におけるバンドギャップエネルギーの平均値、及び最大値を大きくすることができる。その結果、トンネル接合層7によるトンネル効果と、光の閉じ込め及び吸収を防止する効果とを両立できる。
(4)トンネル接合層7のうち、バンドギャップエネルギーがレーザの波長に対応するエネルギー(0.80eV)より低い部分の厚みは7nmである。そのため、トンネル接合層7による光の閉じ込め及び吸収による影響は小さく、半導体レーザ構造の全体としての光出力が高い。
1.半導体レーザ構造の製造
半導体レーザ構造の製造方法を図1に基づいて説明する。n型InP基板1上に、MOCVD法により、第1のn型クラッド層2、第1のn型光ガイド層(発光層)3、第1の多重量子井戸活性層(発光層)4(波長1550nm)、第1のp型光ガイド層(発光層)5、第1のp型クラッド層6、p型導電型層7a、n型導電型層7b、第2のn型クラッド層8、第2のn型光ガイド層(発光層)9、第2の多重量子井戸活性層(発光層)10(波長1550nm)、第2のp型光ガイド層(発光層)11、第2のp型クラッド層12、及びp型コンタクト層13を順次積層した。成長時の基板温度は550〜800℃とした。
ここで、第1のn型クラッド層2、第1のn型光ガイド層3、第1の多重量子井戸活性層4、第1のp型光ガイド層5、及び第1のp型クラッド層6は、第1のレーザ構造単位101を構成する。また、第2のn型クラッド層8、第2のn型光ガイド層9、第2の多重量子井戸活性層10、第2のp型光ガイド層11、及び第2のp型クラッド層12は、第2のレーザ構造単位103を構成する。また、p型導電型層7a、及びn型導電型層7bは、トンネル接合層7を構成する。
各層のキャリア濃度、厚さ、組成は、表3に示すとおりである。なお、全てのn型層のドーパントはSeであり、全てのp型層のドーパントはZnである。
Figure 2011192913
p型導電型層7a、及びn型導電型層7bの組成におけるxは、0.4〜0.65の範囲の値である。x、は、p型導電型層7aとn型導電型層7bとの界面で0.4であり、界面からの距離に比例して大きくなる。界面からの距離が18nmのとき、xは0.65となる。
図5は、トンネル接合層7におけるバンドギャップエネルギーの態様を示す。この図5において、L1は、p型導電型層7aとn型導電型層7bとの界面(x=0.4)を示し、L2は、X=0.47の位置を示し、L3は、p型導電型層7a及びn型導電型層7bの最も外側の位置(X=0.65)を示す。L1とL2との間では、p型導電型層7a及びn型導電型層7bの格子定数は、n型InP基板1の格子定数(5.87Å)よりも大きく、p型導電型層7a及びn型導電型層7bには、圧縮歪みが生じる。また、L2とL3との間では、p型導電型層7a及びn型導電型層7bの格子定数は、n型InP基板1の格子定数(5.87Å)よりも小さく、p型導電型層7a及びn型導電型層7bには、引張歪みが生じる。
MOCVD法によりp型導電型層7a、及びn型導電型層7bを形成するとき、供給する原料の割合を時間ともに変化させることにより、xの値を上記のように変化させることができる。
なお、結晶を構成する各元素の原料は、以下のようにした。Gaの原料は、トリメチルガリウム、又はトリエチルガリウムとした。Alの原料は、トリメチルアルミニウム、又はトリエチルアルミニウムとした。Inの原料は、トリメチルインジウム、又はトリエチルインジウムとした。Znの原料は、ジメチルジンク、又はジエチルジンクとした。Asの原料は、AsH3(アルシン)とした。Seの原料は、H2Se(セレン化水素)とした。
2.半導体レーザ素子の製造
前記実施例1と同様にして、図2に示す半導体レーザ素子を製造した。
3.半導体レーザ構造が奏する効果
(1)p型導電型層7aとn型導電型層7bとの界面におけるバンドギャップエネルギーは、0.67eVという低い値である。トンネル接合層によるトンネル効果は、界面でのバンドギャップエネルギーが小さいほど高いので、本実施例では、トンネル接合層によるトンネル効果が高い。
一方、トンネル接合層7の全体(1つのトンネル接合層7における厚み方向の全体)におけるバンドギャップエネルギーの平均値は0.81eVであり、界面におけるバンドギャップエネルギーよりも高い。そのため、トンネル接合層7全体としての実効的な屈折率が小さくなるので、トンネル接合層7における光の閉じ込め及び吸収が生じにくい。
(2)半導体レーザ構造で発生するレーザの波長は1.55μmであり、それに対応するエネルギーは0.80eVである。それに対し、トンネル接合層7の全体におけるバンドギャップエネルギーの平均値は、上述したように、0.81eVである。また、トンネル接合層7におけるバンドギャップエネルギーの最大値は、x=0.65の位置での値であり、0.95eVである。
上記のように、レーザの波長に対応するエネルギーは、トンネル接合層7におけるバンドギャップエネルギーの平均値、及び最大値よりも小さいから、トンネル接合層7における光の閉じ込め及び吸収が生じにくい。
(3)トンネル接合層7におけるバンドギャップエネルギーは、図5に示すように、p型導電型層7aとn型導電型層7bとの界面からの距離に比例して大きくなる。そのため、界面におけるバンドギャップエネルギーを小さくしつつ、トンネル接合層7におけるバンドギャップエネルギーの平均値、及び最大値を大きくすることができる。その結果、トンネル接合層7によるトンネル効果と、光の閉じ込め及び吸収を防止する効果とを両立できる。
(4)トンネル接合層7のうち、バンドギャップエネルギーがレーザの波長に対応するエネルギー(0.80eV)より低い部分の厚みは17nmである。そのため、トンネル接合層7による光の閉じ込め及び吸収による影響は小さく、半導体レーザ構造の全体としての光出力が高い。
(5)p型導電型層7a及びn型導電型層7bには、上述したように、n型InP基板1に対して圧縮歪みを有する層(図5においてL1とL2との間の層)と、n型InP基板1に対して引張歪みを有する層(図5においてL2とL3との間の層)とを備える。そのため、トンネル接合層7全体として、圧縮歪みと引張歪みとが相殺される。その結果、トンネル接合層7内における格子不整合による結晶欠陥の発生を抑制できる。また、3元素系の材料のように、格子定数をn型InP基板1に対して合わせることが困難な材料でも、トンネル接合層7の形成に使用できる。
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
例えば、前記実施例1は、GaAs基板上にGaAs、AlGaAsを成長層とする構成であるが、これらに限るものではなく、基板にInPなどを用いたり、また成長層をInP、InGaAs、InGaP、InGaAsP、AlGaInAs、AlGaInPなど他の材料としてもよい。また、レーザ構造単位の数は2には限定されず、3以上であってもよい。その場合は、各レーザ構造単位の間にそれぞれトンネル接合層が設けられる。
また、前記実施例2は、InP基板上にInP、AlGaInAs、InGaAsを成長層とする構成であるが、これらに限るものではなく、基板にGaAsなどを用いたり、また成長層をGaAs、AlGaAs、InGaP、InGaAsP、AlGaInPなど他の材料としてもよい。また、レーザ構造単位の数は2には限定されず、3以上であってもよい。その場合は、各レーザ構造単位の間にそれぞれトンネル接合層が設けられる。
また、前記実施例3は、InP基板上にInP、AlGaInAs、InGaAsを成長層とする構成であるが、これらに限るものではなく、基板にGaAsなどを用いたり、また成長層をGaAs、AlGaAs、InGaP、InGaAsP、AlGaInPなど他の材料としてもよい。また、レーザ構造単位の数は2には限定されず、3以上であってもよい。その場合は、各レーザ構造単位の間にそれぞれトンネル接合層が設けられる。
また、バンドギャップエネルギーの変化の仕方は、前記実施例1〜3に示されたものに限定されず、p型導電型層7aとn型導電型層7bとの界面でのバンドギャップエネルギーが、トンネル接合層7全体の平均値に比べて小さいものであればよい。
1・・・基板、2・・・第1のn型クラッド層、3・・・第1のn型光ガイド層、
4・・・第1の多重量子井戸活性層、5・・・第1のp型光ガイド層、
6・・・第1のp型クラッド層、7・・・トンネル接合層、7a・・・p型導電型層、
7b・・・n型導電型層、8・・・第2のn型クラッド層、9・・・第2のn型光ガイド層、
10・・・第2の多重量子井戸活性層、11・・・第2のp型光ガイド層、
12・・・第2のp型クラッド層、13・・・p型コンタクト層、
101、103・・・レーザ構造単位、105・・・酸化膜、107、109・・・電極、
111・・・低反射率膜、113・・・反射層

Claims (8)

  1. (a)n型クラッド層、(b)発光層、及び(c)p型クラッド層を積層して成るレーザ構造単位を複数備えるとともに、
    前記レーザ構造単位の間に、p型導電型層及びn型導電型層から成るトンネル接合層を備え、
    前記p型導電型層と前記n型導電型層の少なくとも一方の層内のバンドギャップエネルギーが一様でなく、
    前記p型導電型層と前記n型導電型層との界面におけるバンドギャップエネルギーが、前記トンネル接合層におけるバンドギャップエネルギーの平均値よりも小さいことを特徴とする半導体レーザ構造。
  2. 前記トンネル接合層におけるバンドギャップエネルギーの最大値が、前記発光層から生じるレーザの波長に対応するエネルギーよりも大きいことを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ構造。
  3. 前記平均値が、前記発光層から生じるレーザの波長に対応するエネルギーよりも大きいことを特徴とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体レーザ構造。
  4. 前記トンネル接合層のうち、バンドギャップエネルギーが、前記発光層から生じるレーザの波長に対応するエネルギーよりも小さい部分の厚さが35nm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体レーザ構造。
  5. 前記トンネル接合層におけるバンドギャップエネルギーは、前記界面からの距離に比例して大きくなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体レーザ構造。
  6. 前記トンネル接合層におけるバンドギャップエネルギーは、前記界面からの距離が大きくなるほど増大し、
    その増大の割合は、前記界面に近いほど高いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体レーザ構造。
  7. 基板を備えるとともに、
    前記トンネル接合層は、前記基板に対して圧縮歪みを有する第1の層と、前記基板に対して引張歪みを有する第2の層とを備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体レーザ構造。
  8. 前記レーザ構造単位を3以上備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体レーザ構造。
JP2010059493A 2010-03-16 2010-03-16 半導体レーザ構造 Active JP5666815B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010059493A JP5666815B2 (ja) 2010-03-16 2010-03-16 半導体レーザ構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010059493A JP5666815B2 (ja) 2010-03-16 2010-03-16 半導体レーザ構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011192913A true JP2011192913A (ja) 2011-09-29
JP5666815B2 JP5666815B2 (ja) 2015-02-12

Family

ID=44797505

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010059493A Active JP5666815B2 (ja) 2010-03-16 2010-03-16 半導体レーザ構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5666815B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014229742A (ja) * 2013-05-22 2014-12-08 株式会社デンソー 半導体レーザ
JP2014229743A (ja) * 2013-05-22 2014-12-08 株式会社デンソー 半導体レーザ
JP2018201009A (ja) * 2017-05-25 2018-12-20 昭和電工株式会社 発光ダイオードおよびトンネル接合層の製造方法
JP2019102689A (ja) * 2017-12-05 2019-06-24 日機装株式会社 窒化物半導体発光素子
DE102021104343A1 (de) 2021-02-24 2022-08-25 OSRAM Opto Semiconductors Gesellschaft mit beschränkter Haftung Halbleiteremitter
JP7309920B2 (ja) 2020-02-19 2023-07-18 天津三安光電有限公司 多接合ledのトンネル接合、多接合led、及びその製作方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0690063A (ja) * 1992-07-20 1994-03-29 Toyota Motor Corp 半導体レーザー
JPH0974246A (ja) * 1995-09-07 1997-03-18 Mitsubishi Electric Corp 半導体レーザ
JP2004336039A (ja) * 2003-04-30 2004-11-25 Agilent Technol Inc トンネル接合構造を組み込んだGaAsベースの長波長レーザ

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0690063A (ja) * 1992-07-20 1994-03-29 Toyota Motor Corp 半導体レーザー
JPH0974246A (ja) * 1995-09-07 1997-03-18 Mitsubishi Electric Corp 半導体レーザ
JP2004336039A (ja) * 2003-04-30 2004-11-25 Agilent Technol Inc トンネル接合構造を組み込んだGaAsベースの長波長レーザ

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014229742A (ja) * 2013-05-22 2014-12-08 株式会社デンソー 半導体レーザ
JP2014229743A (ja) * 2013-05-22 2014-12-08 株式会社デンソー 半導体レーザ
JP2018201009A (ja) * 2017-05-25 2018-12-20 昭和電工株式会社 発光ダイオードおよびトンネル接合層の製造方法
JP7122119B2 (ja) 2017-05-25 2022-08-19 昭和電工光半導体株式会社 発光ダイオード
JP2019102689A (ja) * 2017-12-05 2019-06-24 日機装株式会社 窒化物半導体発光素子
JP7101470B2 (ja) 2017-12-05 2022-07-15 日機装株式会社 窒化物半導体発光素子
JP7309920B2 (ja) 2020-02-19 2023-07-18 天津三安光電有限公司 多接合ledのトンネル接合、多接合led、及びその製作方法
DE102021104343A1 (de) 2021-02-24 2022-08-25 OSRAM Opto Semiconductors Gesellschaft mit beschränkter Haftung Halbleiteremitter

Also Published As

Publication number Publication date
JP5666815B2 (ja) 2015-02-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5666815B2 (ja) 半導体レーザ構造
JP6159796B2 (ja) 窒化物半導体多層膜反射鏡とそれを用いた発光素子
JP2007201040A (ja) 半導体発光素子
JPWO2014061174A1 (ja) 半導体発光素子
Liang et al. Improved performance of GaN-based blue laser diodes using asymmetric multiple quantum wells without the first quantum barrier layer
JP5091177B2 (ja) 半導体レーザ構造
JP6135559B2 (ja) 半導体発光素子および半導体発光素子の製造方法ならびに半導体素子
JP2010278136A (ja) 半導体レーザ
JP2007095857A (ja) 半導体レーザ
JP2011134967A (ja) 半導体発光素子
JP2008103498A (ja) 発光素子
JP2016066670A (ja) 半導体レーザ
JP2005039045A (ja) 量子カスケードレーザ
JP2007150075A (ja) 窒化物半導体発光素子
JP2001148540A (ja) 半導体発光素子
JP2011040477A (ja) 半導体発光素子
JP6158590B2 (ja) 半導体レーザ
JP2009099586A (ja) 半導体光素子
JP2006253180A (ja) 半導体発光素子
JP6158591B2 (ja) 半導体レーザ
CN211456210U (zh) 一种vcsel芯片
JP6603507B2 (ja) 半導体レーザ素子
CN211063047U (zh) 一种具有非对称限制层的vcsel
JP2012238679A (ja) 半導体レーザ素子及びその製造方法
TWI667854B (zh) 量子級聯雷射

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120516

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130529

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130604

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130725

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20131112

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20141211

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5666815

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250