JP2011188818A - 乗用田植機 - Google Patents

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Abstract

【課題】所望の箇所で正確に苗植付装置を下降可能な乗用田植機を提供する。
【解決手段】制御部50が、旋回時前期にて、植付クラッチ51、サイドクラッチ55をこの順に切り、旋回時後期にて、サイドクラッチ55、植付クラッチ51をこの順に入れる。そして、エンジン12から後輪17へ駆動力の伝達するための出力軸EOをサイドクラッチ55の上流側に備え、後輪17の回転数を検出する回転センサ54を出力軸EOに設け、旋回時後期にて、植付クラッチ51を入れるタイミングを、旋回時における植付クラッチ51を切ってからサイドクラッチ55を切るまでの間の回転センサ54の回転数と既定の回転数との和に基づいて制御部50が決定する。
【選択図】図4

Description

本発明は、駆動源と、苗を載置するとともに農地に植え付ける苗植付装置と、駆動源から苗植付装置への駆動力の伝達を入り切りする植付クラッチと、駆動源から駆動輪への駆動力の伝達を入り切りするサイドクラッチと、植付クラッチとサイドクラッチの入り切りのタイミングを制御する制御部とを備え、その制御部が、旋回時前期にて、植付クラッチ、サイドクラッチをこの順に切り、旋回時後期にて、サイドクラッチ、植付クラッチをこの順に入れる乗用田植機に関する。
従来、乗用田植機はその後部に苗植付装置を備え、直線的に水田の一端まで走行しながら苗の植え付けを行う。そして、水田の一端まで到達したら、180度旋回して折り返し、水田の他端を目指して直線的に苗の植え付けを行う。なお、180度旋回する際には、乗用田植機は植付幅分だけ横方向に移動することになる。
乗用田植機が旋回する際には、植付クラッチを切って植え付けを一時停止させるとともに、苗植付装置を上昇させる。そして、ステアリングハンドルを回転させると旋回の内側に位置する後輪のサイドクラッチが切れ、連れ回り状態にあるこの後輪の(サイドクラッチの下流側に位置する)ドライブシャフトの回転数を計測する。そして、乗用田植機が一定角度旋回したところで植付クラッチがONとなり、苗植付装置が下降を始める。そして、(植付クラッチがONとなってからのドライブシャフトの回転数)=(植付クラッチを切ってからステアリングハンドルを回転させるまでの間のドライブシャフトの回転数)+(規定の値)となったときに苗植付装置の植付クラッチが再びONとなる。なお、後輪のドライブシャフトの回転数は、サイドクラッチの下流側に備える回転センサによって計測している。
特許第4088780号公報 特開2008−72976号公報
乗用田植機の旋回は、水田のぬかるみで回転半径をできるだけ小さくするように行われるため、旋回内側の後輪はスリップする可能性がある。したがって、連れ回り状態にある後輪の回転数からは乗用田植機の旋回角度を正確に算定できない恐れがある。このため、植付装置が所望の位置に下降できず、旋回直前に植えつけた列の苗と、旋回直後に植えつけ始める列の苗の植付面が横一線に揃わず、生育、収穫の際の管理の効率化に支障をきたすという問題があった。そこで、この発明の目的は、所望の箇所で正確に苗植付装置を下降可能な乗用田植機を提供することにある。
このため請求項1に記載の発明は、駆動源と、
苗を載置するとともに農地に植え付ける苗植付装置と、
前記駆動源から前記苗植付装置への駆動力の伝達を入り切りする植付クラッチと、
前記駆動源から駆動輪への駆動力の伝達を入り切りするサイドクラッチと、
前記植付クラッチと前記サイドクラッチの入り切りのタイミングを制御する制御部とを備え、
該制御部が、旋回時前期にて、前記植付クラッチ、前記サイドクラッチをこの順に切り、
旋回時後期にて、前記サイドクラッチ、前記植付クラッチをこの順に入れる乗用田植機において、
前記駆動源から前記駆動輪へ駆動力の伝達するための出力軸を前記サイドクラッチの上流側に備え、
前記駆動輪の回転数を検出する回転センサを前記出力軸に設け、
前記旋回時後期にて、前記植付クラッチを入れるタイミングを、
前記旋回時前期における前記植付クラッチを切ってから前記サイドクラッチを切るまでの間の前記回転センサの回転数と既定の回転数との和に基づいて前記制御部が決定することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の乗用田植機において、前記サイドクラッチの入り切りを検知する近接スイッチを前記サイドクラッチに隣接して備え、前記制御部が、前記近接スイッチのON・OFFを検出することで、前記サイドクラッチの入り切りを認知することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、駆動源と、苗を載置するとともに農地に植え付ける苗植付装置と、駆動源から苗植付装置への駆動力の伝達を入り切りする植付クラッチと、駆動源から駆動輪への駆動力の伝達を入り切りするサイドクラッチと、植付クラッチとサイドクラッチの入り切りのタイミングを制御する制御部とを備え、その制御部が、旋回時前期にて、植付クラッチ、サイドクラッチをこの順に切り、旋回時後期にて、サイドクラッチ、植付クラッチをこの順に入れる。そして、駆動源から駆動輪へ駆動力の伝達するための出力軸をサイドクラッチの上流側に備え、駆動輪の回転数を検出する回転センサを出力軸に設け、旋回時後期にて、植付クラッチを入れるタイミングを、旋回時における植付クラッチを切ってからサイドクラッチを切るまでの間の回転センサの回転数と既定の回転数との和に基づいて制御部が決定する。したがって、旋回時に、スリップすることが懸念される旋回内側の駆動輪の回転数から乗用田植機の旋回角度を算定する従来の方法に代えて、出力軸より回転数を検出してこれに基づいて植付クラッチを入れるタイミングを制御部が決定することができ、植付装置を所望の位置に正確に下降させることができる。これにより、旋回直前に植えつけた列の苗と、旋回直後に植えつけ始める列の苗の植付面を横一線に揃わせることができる。このように、この発明は、所望の箇所で正確に苗植付装置を下降可能な乗用田植機を提供することができる。また、サイドクラッチ上流側に備える1本の出力軸に回転センサを1つだけ取り付けるので、左右のサイドクラッチの下流側にそれぞれ回転センサを設けていたのに比べて、部品点数を低減するとともに、製造コストを低減することができる。
請求項2に記載の発明によれば、サイドクラッチの入り切りを検知する近接スイッチをサイドクラッチに隣接して備え、制御部が、近接スイッチのON・OFFを検出することで、サイドクラッチの入り切りを認知する。したがって、田植機の運転操作のハンドルの回転角度に基づいてサイドクラッチの入り切りを間接的に検知する従来の方法に比べて、サイドクラッチの動作を直接検出することで、正確にサイドクラッチの入り切りを検知することができる。また、ハンドルにポテンショメータを備えて、ハンドルの回転角度を検出し、これに基づいて、サイドクラッチの入り切りのタイミングを決定していた従来の方法に比べて、製造コストを低減することができる。
この発明の乗用田植機の一例の側面図である。 その、平面図である。 この発明の一例の乗用田植機に備える、リヤアクスルケースの斜視図である。 乗用田植機の植付部の昇降の制御ブロック図である。 乗用田植機が旋回する状態を説明するための図である。
以下、図面を参照しつつ、この発明を実施するための最良の形態について詳述する。図1及び2は、田植機(乗用田植機)1の右側面図及び平面図である。田植機1の概要は次の通りである。田植機1は、駆動源を備える走行部10とその後部に連結された植付部(苗植付装置)30とで構成される。走行部10は、車両本体である鉄製のシャーシ11を備え、シャーシ11の前端部には駆動源であるエンジン12を載置する。また、シャーシ11の前部下方には、車幅方向に沿ってフロントアクスルケース14を取り付け、フロントアクスルケース14の両端には前輪15を備える。シャーシ11の後部下方にはミッションケース13を取り付ける。ミッションケース13の後方にはリヤアクスルケース16を連結し、リヤアクスルケース16の両側端には車軸(図3における符号16A,16B)を介して後輪(駆動輪)17を備える。エンジン12からの駆動力は、不図示の駆動軸によってミッションケース13内に伝達され、回転速度、回転方向が適宜変更された後、ミッションケース13からリヤアクスルケース16に向けて出力される。なお、リヤアクスルケース16内には、左右一対のサイドクラッチ(図3における符号55A,55B)を備え、左右の後輪17はこのサイドクラッチを介して取り付けられている。前輪15、後輪17はともに、ぬかるんだ水田を走行する際、スリップしないように顕著な凹凸を有する細いゴム製のタイヤで構成されている。
一方、シャーシ11の上方には、これを覆うように車体カバー20を備える。車体カバー20の前部で、かつ、エンジン12を覆うようにドーム状のボンネット18を備える。車体カバー20およびボンネット18は、強化プラスチックで形成される。車体カバー20の後部には、運転席21を備える。車体カバー20には、運転者が運転席21に座ったときに足を載置することのできるステップが一体に形成されている。
運転席21の前方には、ハンドル22を備える。ハンドル22の下方には、ハンドルコラムとそれを覆うハンドルコラムカバーを備える。ハンドルコラムカバーは、ボンネット18の後方に隣接して設けられる。なお、符号19は、運転者が運転席21に乗降するためのステップであり、シャーシ11の(走行部10の)進行方向左側、かつ、中央部にボルトなどで固設される。
走行部10の後部には、トップリンク33及びロワーリンク34を含む3点昇降リンク機構によって植付部30を連結する。植付部30は、走行部10の後部に備える油圧シリンダ(走行部10とロワーリンク34との間に介設された)によって昇降自在に取り付けられるとともに、不図示のPTO軸を介して、エンジン12の回転駆動力を受け取ることができるように構成されている。植付部30は、支持フレーム、支持フレームに固設された上部ガイドレール36と下部ガイドレール35、上部ガイドレール36と下部ガイドレール35上にスライド自在に載置された苗載台31、支持フレーム下端に固設された4つの植付伝動ケース37、それぞれの植付伝動ケース37の両側に回転自在に備える回転ケース40、回転ケース40の外側に回転自在に備える一対の苗植付装置、苗植付装置に設けられた植付爪32などを備える。
上部ガイドレール36と下部ガイドレール35は、走行方向の両側に延出するように取り付けられ、両者は平行に、かつ、前者が後者に対して上方に位置するように設けられる。苗載台31は、これら上部ガイドレール36と下部ガイドレール35にガイドされて、走行方向に対して左右に平行移動可能である。
苗載台31は、植えつける前の苗を多数載置するためのものであり、強化プラスチック製で、後方に向けて傾斜して設けられる。苗載台31は、苗を8条分に仕切って載置し、植付爪32が下端より、順次、苗を取ると、上部にある苗が下方に向けて順次移動するようになっている。苗の下方への移動を補助するために、苗載台31の底部には不図示のガイドベルトが設けられている。
植付伝動ケース37は、PTO軸より分岐した駆動力を受け取るものであり、支持フレーム下端で、かつ、植付部30の幅方向に均等間隔で4つ設けられる。PTO軸と植付伝動ケース37との間には、後述する植付クラッチ(図4において符号51)を備える。
回転ケース40は、植付伝動ケース37の出力軸に軸支されている。詳しくは、出力軸の先端にギアを取り付ける。このギアは、回転ケース40内に配置される。このギアの両側には2つのギアを噛合させる。これらの2つのギアは、それぞれ別のギアを介して、2つの苗植付アーム用の出力軸を回転させる。
苗植付アームは、回転ケース40に突設された出力軸に軸支される。苗植付アームには、植付爪32を固設するとともに、苗押出手段を出没自在に設ける。苗押出手段は、回転ケース40からの駆動力によって、植付爪32に沿って摺動し、植付爪32を挟持した苗を水田に向けて押し出して植えつけるためのものである。
植付伝動ケース37の下方には、中央及び左右の植付用均平フロート38,39が、植付深さ調節部材を介して支持されている。植付部30を降下させて、このフロート38,39を着地させることにより、苗載台31の上の苗マットから取り出す苗の植付深さを設定するようになっている。
図3には、リヤアクスルケース16の詳細を示す。エンジン12から延出する1本の出力軸EOの下流側には、回転センサ54が1つ設けられている。回転センサ54は、リヤアクスルケース16内に設けられる。回転センサ54の下流側にはギアを設け、このギアと噛合する別のギアをリヤアクスル軸に固設する。リヤアクスル軸の両端には、左右の後輪17,17への駆動力の伝達をON・OFFするサイドクラッチ55A,55Bを設ける。サイドクラッチ55A,55Bの外側には、それぞれ車軸16A,16Bを延設する。車軸16A,16Bは、いずれもリヤアクスルケース16から突出して設けられる。なお、出力軸EOに回転センサ54を設ける以外のリヤアクスルケース16内の構成は、従来ものと同様であり、たとえば、特開2007−50796号公報の図5などに開示されているものを用いる。
サイドクラッチ55A,55Bは、それぞれサイドクラッチ操作アーム56A,56Bの回動によって入り切りされる。サイドクラッチ操作アーム56A,56Bは、楕円形板で形成されており、一端に、アーム軸56AX,56BXを鉛直方向に固設する。アーム軸56AX,56BXは、サイドクラッチ55A,55Bと連動しており、アーム軸56AX,56BXが回動することでサイドクラッチ55A,55Bが入り切りされる。なお、アーム軸56AXは図3(a)中にて時計回りに、アーム軸56BXは反時計回りに不図示のバネによって付勢され、サイドクラッチ操作アーム56Aの先端56AEとサイドクラッチ操作アーム56Bの先端56BEとが向き合う位置が標準位置となる。
アーム軸56AX,56BXの中央部(リヤアクスルケース16内)には、それぞれ楕円形のアーム61の一端を固定して備え、近接スイッチ(リミットスイッチ)62をアーム61の近傍に備える。近接スイッチ62は、アーム61が回動すると当接するように設けられている。なお、符号16Cは、リヤアクスルケース16のケース本体である。
リヤアクスルケース16の外側面には、回動アーム57を回動軸58を介して回動自在に取り付ける。回動アーム57が回動すると、その端部57Eがサイドクラッチ操作アーム56A,56Bのいずれかの端部56AE,56BEに接触し、アーム軸56AX,56BXを中心としてサイドクラッチ操作アーム56A,56Bを回動させる。
回動軸58の下端には、別の回動アーム59の一端を固設する。回動アーム59の他端はロッド60の一端と接続されている。このロッド60は、ハンドル22の回転する方向に応じて(田植機1の進行方向に対して)前後方向に動くように構成されている。詳しくは、ハンドル22が時計回りに回動(すなわち、右旋回)すると、ロッド60が前方向に移動し、回動アーム57が時計回り(矢印a方向)に回動して、サイドクラッチ操作アーム56Aに当接してこれを回動させる。一方、ハンドル22が反時計回りに回動(すなわち、左旋回)すると、ロッド60が後方向に移動し、回動アーム57が反時計回り(矢印b方向)に回動して、サイドクラッチ操作アーム56Bに当接してこれを回動させる。
図4には、この例の田植機1の植付部30を昇降させるための制御ブロック図を、図5には、この例の田植機1が右側に旋回する際の様子を示す。制御部50は、回転センサ54で検知したエンジン12の出力軸EOの回転数を監視している。一方、制御部50は、植付クラッチ51の入り切りをスイッチ51Aによって、また、サイドクラッチ55の入り切りを近接スイッチ62によって監視している。さらに、制御部50は、植付装置30の下げを指令するように構成されている。
記憶部60は、回転センサ54で計測された回転数を所定時間分累積して記憶したり、予め、所定値N2、補正値N0などを記憶させておくためのものであり、制御部50に指示によってこれらの動作を行う。
次に田植機1が右に旋回する際の動作を説明する。田植機1を直進させながら、田植えを行い、水田の端まで到達すると(図5にて実線の位置)、運転者は、ハンドル22まわりに備える植付レバーを上昇側に倒す。すると、植付クラッチ51が切れてPTO軸から植付伝動ケース37への駆動力の伝達が断たれる。また、植付クラッチ51が切れることで、植付クラッチ51に隣接して備えるスイッチ51AがOFFとなり、これを制御部50が認知(検知)する。これを受けて、制御部50は、前述の油圧シリンダを作動させて植付部30を上昇させる。
制御部50は、この時点から回転センサ54の回転の累積カウントを開始する。次に、運転者はハンドル22を右に(時計回りに)回転させる。これによって、ロッド60が(田植機1の)前方向に移動し、回動アーム57が時計回りに回動して、回動アーム端部57Eがサイドクラッチ操作アーム56Aの端部56AEに当接してこれを回動させる。すると、操作アーム56Aに連動した左側(旋回の内側の後輪)のサイドクラッチ55Aが切れ、エンジン22からの駆動力の車軸16Aへの伝達を断絶する(このとき、田植機1は、図5にて一点鎖線の位置となる)。操作アーム56Aが回動すると、近接スイッチ62に当接する。すると、近接スイッチ62はOFFとなり、これを制御部50が検知して、回転センサ54の回転のカウントを停止し、その累積した回転数N1を記憶部60に記憶する(以上、旋回時前期)。そして、この回転数N1と、記憶部60に予め格納されている所定値N2および補正値N0との合計(N1+N2+N0)を算出して、記憶部60にする(所定値N2と補正値N0とで、「規定の回転数」という)。
旋回時後期において、ハンドル22を所定量だけ左に(反時計回り)に戻すと、ロッド60が(田植機1の)後方向に移動し、回動アーム57が反時計回りに回動して、当接しているサイドクラッチ操作アーム56Aから離れる。すると、バネの付勢力によって操作アーム56Aが標準位置に戻り、操作アーム56Aに連動した左側(旋回の内側の後輪)のサイドクラッチ55Aが入りとなり、エンジン12からの駆動力の車軸16Aへの伝達を接続する(このとき、田植機1は、図5にて二点鎖線の位置となる)。操作アーム56Aが標準位置に戻ることで、サイドクラッチ55Aの近接スイッチ62がONとなり、これを検知した制御部50は、回転センサ54からの回転数の累積カウントN3を開始するとともに、植付部30の下降を開始させる。
そして、N3=(N1+N2+N0)となったとき、制御部50は、植付クラッチ51を入りとし、苗の植え付けを再開する。なお、植付部30の下降はこの時点までに完了し、植え付けを再開することができる状態となっているものとする。また、所定値N2は、旋回直前に植えつけた列の苗の植付面G1と、旋回直後に植えつけ始める列の苗の植付面G2とが横一線なるように設定するものとする。さらに、補正値N0は、水田の土質(粘性の高い土か否かなど)によって設定する値である。この所定値N2および補正値N0はそれぞれ、ハンドル22回りに備える各ダイアルを回すことで適宜増減させることができるものとする。
次に、左側に旋回する方法について説明する。田植機1を直進させながら、田植えを行い、水田の端まで到達すると、運転者は、ハンドル22まわりに備える植付レバーを上昇側に倒す。すると、植付クラッチ51が切れてPTO軸から植付伝動ケース37への駆動力の伝達が断たれる。また、植付クラッチ51が切れることで、植付クラッチ51に隣接して備える近接スイッチ51AがOFFとなり、これを制御部50が検知する。これを受けて、制御部50は、前述の油圧シリンダを作動させて植付装置30を上昇させる。
制御部50は、この時点から回転センサ54の回転の累積カウントを開始する。次に、運転者はハンドル22を左に(反時計回りに)回転させる。これによって、ロッド60が後方向に移動し、回動アーム57が反時計回りに回動して、サイドクラッチ操作アーム56Bに当接してこれを回動させる。操作アーム56Bに連動した右側(旋回の内側の後輪)のサイドクラッチ55Bが切れ、エンジン22からの駆動力の車軸16Bへの伝達を断絶する。操作アーム56Bが回動すると、近接スイッチ62に当接する。すると、近接スイッチ62はOFFとなり、これを制御部50が検知して、回転センサ54の回転のカウントを停止し、その累積した回転数N1を記憶部60に記憶する(以上、旋回の前期)。そして、この回転数N1と、記憶部60に予め格納されている所定値N2および補正値N0との合計(N1+N2+N0)を算出して、記憶部60にする。
旋回の後期において、ハンドル22を所定量だけ右に(時計回り)に戻すと、ロッド60が前方向に移動し、回動アーム57が時計回りに回動して、当接しているサイドクラッチ操作アーム56Bから離れる。すると、バネの付勢力によって操作アーム56Bが標準位置に戻り、操作アーム56Bに連動した右側(旋回の内側の後輪)のサイドクラッチ55Bが入りとなり、エンジン22からの駆動力の車軸16Bへの伝達を接続する。操作アーム56Bが標準位置に戻ることで、サイドクラッチ55Bの近接スイッチ62がONとなり、これを検知した制御部50は、回転センサ54からの回転数の累積カウントN3を開始するとともに、植付部30の下降を開始させる。
そして、N3=(N1+N2+N0)となったとき、制御部50は、植付クラッチ51を入りとし、苗の植え付けを再開する。なお、植付部30の下降はこの時点までに完了し、植え付けを再開することができる状態となっているものとする。
なお、この例の乗用田植機の駆動源は、エンジン12としたが、この発明はこれに限定されるものではなく、バッテリー駆動のモータであってもよい。また、駆動輪は後輪17に限定されるものではなく、前輪15であってもよい。
この発明は、田植機に限定されず、あらゆる苗を植えるための苗植機に適用しうる。
1 田植機(乗用田植機)
10 走行部
12 エンジン(駆動源)
17 後輪(駆動輪)
30 植付部(苗植付装置)
51 植付クラッチ
54 回転センサ
55A,55B サイドクラッチ
62 近接スイッチ
EO 出力軸

Claims (2)

  1. 駆動源と、
    苗を載置するとともに農地に植え付ける苗植付装置と、
    前記駆動源から前記苗植付装置への駆動力の伝達を入り切りする植付クラッチと、
    前記駆動源から駆動輪への駆動力の伝達を入り切りするサイドクラッチと、
    前記植付クラッチと前記サイドクラッチの入り切りのタイミングを制御する制御部とを備え、
    該制御部が、旋回時前期にて、前記植付クラッチ、前記サイドクラッチをこの順に切り、
    旋回時後期にて、前記サイドクラッチ、前記植付クラッチをこの順に入れる乗用田植機において、
    前記駆動源から前記駆動輪へ駆動力の伝達するための出力軸を前記サイドクラッチの上流側に備え、
    前記駆動輪の回転数を検出する回転センサを前記出力軸に設け、
    前記旋回時後期にて、前記植付クラッチを入れるタイミングを、
    前記旋回時前期における前記植付クラッチを切ってから前記サイドクラッチを切るまでの間の前記回転センサの回転数と既定の回転数との和に基づいて前記制御部が決定することを特徴とする、乗用田植機。
  2. 前記サイドクラッチの入り切りを検知する近接スイッチを前記サイドクラッチに隣接して備え、前記制御部が、前記近接スイッチのON・OFFを検出することで、前記サイドクラッチの入り切りを認知することを特徴とする、請求項1に記載の乗用田植機。
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