JP2008074236A - 作業車両 - Google Patents

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政志 伊藤
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Abstract

【課題】作業車両の操向操作性の向上。
【解決手段】走行車両の車速を変速する変速装置と、変速装置の変速位置を選択して設定する変速操作具と、変速操作具による所定の変速操作位置を保持する変速保持手段と、走行車両を操向させるための操向操作手段と、操向操作手段の操向作動に連動して変速保持手段による車速の保持を解除する速度保持解除手段(220)とにより構成する。
走行車両は直進走行作用時には所定変速速度を保持しながら走行し、方向変更時には変速保持手段による車速の保持が解除されて、走行車両の転倒を防止し、操向操作性を向上させる。
【選択図】図7

Description

本発明は、乗用田植機や乗用トラクタ等の作業車両に関する。
走行装置の後方に苗の植え付けなどの農作業を行なう農作業部を備えた作業車両が知られている。この作業車両はエンジンの動力を静油圧式無段変速装置(HST)で、苗植付等の作業速、路上走行の移動速等の変速操作位置に手動用の変速レバーを操作することで、変速制御して走行装置の駆動輪に出力する構成を備えている。
例えば、特開2004−262417号公報の作業車両では、車速を一定に保ちながら走行する速度保持手段(オートクルーズ手段)を備えており、この速度保持手段を用いて苗の植付作業を一定速度で走行しながら能率的に行なうことができる。
特開2004−262417号公報
前記特許文献1記載の作業車両は、オートクルーズを解除するにはオートクルーズレバーを含む複数の操作具の操作により行なう構成である。この構成では作業車両が走行中でもオートクルーズレバーなどの操作具を操作すると、オートクルーズ手段は解除される構成である。
そこで、本発明の課題は、機体の直進走行中にはオートクルーズ手段が解除されないようにしながら、機体の操向変更に関連してオートクルーズ機能を解除するように構成し、機体の操向変更時の操作の軽減を図ろうとするものである。
本発明の前記課題は次ぎの解決手段により解決される。
即ち、走行車両(1)の車速を変速する変速装置(5)と、該変速装置(5)の変速位置を選択して設定する変速操作具(110)と、該変速操作具(110)による所定の変速操作位置を保持する変速保持手段(S)と、前記走行車両(1)を操向させるための操向操作手段(16)と、該操向操作手段(16)の操向作動に連動して前記変速保持手段(S)による車速の保持を解除する速度保持解除手段(220)とからなる作業車両とする。
前記構成によると、走行車両(1)を変速操作具(110)の所定の変速操作位置を変速保持手段(S)により保持し直進走行しながら作業をし、操向操作手段(16)により走行車両(1)を所定値以上操向し方向変更させると、この操向操作手段(16)の操向作動に連動して速度保持解除手段(220)が作動し、変速保持手段(S)による車速の保持が解除される。
本発明は、走行車両(1)を変速操作具(110)の所定の変速操作位置を変速保持手段(S)により保持しながらの直進走行作業中に、操向操作手段(16)の操向作動に連動して速度保持解除手段(220)により変速保持手段(S)による車速の保持が解除されるので、走行車両(1)の転倒を防止し、操向操作性を向上させることができる。
この発明の一実施形態である8条植え乗用田植機について図面に基づき詳細に説明する。図1の側面図及び図2の平面図に示すように、乗用田植機は走行車両1には昇降用リンク装置2により作業装置の一種である苗植付装置3及び施肥装置4を装着して設け、全体で乗用施肥田植機として機能するように構成されている。走行車両1は、駆動輪である左右一対の前輪6,6及び後輪7,7を有する四輪駆動車両である。
機体10の上にミッションケース11とエンジン12が前後に配設されており、このミッションケース11の後部上面に油圧ポンプ13が一体に組み付けられていて、また、ミッションケース11の前側部からステアリングポスト14が上方に向けて突設されている。
そして、ステアリングポスト14の上端部にステアリングハンドル16と操作パネル17が設けられている。機体の上部には操縦用のフロアとなるステップ19が取り付けられ、エンジン12の上方部位に操縦席20が配設されている。左右前輪6,6は、ミッションケース11の左右両側に向き変更可能に設けた前輪支持ケース22,22に軸支されている。また、左右後輪7,7は、ローリング杆23の左右両側部に一体に取り付けた後輪支持ケース24,24に軸支されている。ローリング杆23は機体10の後端部に突設したローリング軸25で進行方向に垂直な面内で回動自在に支持されている。
図3に示すように、エンジン12の回転動力は、ベルト伝動装置31により油圧ポンプ13の駆動軸であるカウンタ軸32に伝えられ、更に、このカウンタ軸32からベルト伝動装置33を介して静油圧式無段変速装置(HST)5の入力軸35に伝えられ、HST5の出力軸36からベルト伝動装置とメインクラッチ43を介してミッション入力軸34に伝達される。
HST5は操縦席20の右側に設けられている変速レバー110(図2に示す)によって変速操作される。この変速レバー110を中立位置に操作すると、走行停止状態になり、変速レバー110を前側へ操作すると前進高速状態になり、中立位置からの前後の傾斜角度に応じて前後進速度を増減速することができる。
なお、メインクラッチ43は周知の多板クラッチであり、図4に示すように、メインクラッチ軸側の摩擦板44とミッション入力軸側の摩擦板45、両摩擦板44,45を押し付けるスプリング46、切替操作用の固定部材47、摺動部材48なごから構成されている。
また、図4に示すように、ミッションケース11のケーシング40の前側部には、ミッション入力軸34、カウンタ軸50、走行一次軸51、走行二次軸52、植付一次軸53、植付二次軸54がそれぞれ平行に支承されている。ミッション入力軸34のギヤG1とカウンタ軸50のギヤG2、及び、ギヤG2と走行一次軸51のギヤG3がそれぞれ互いに噛み合って、ミッション入力軸34の回転が走行一次軸51に順方向に伝えられる。
主変速装置Kには、走行一次軸51に前記ギヤG3とギヤG4がそれぞれ定位置に嵌合装着されていて、走行二次軸52に互いに一体回転するギヤG5,G6が軸方向に摺動自在に嵌合している。シフタ56でギヤG6,G6を移動させ、ギヤG4とギヤG5が噛み合うと、低速の作業速度となり、ギヤG3とギヤG6が噛み合うと、高速の路上走行速度となる。
また、植付一次軸53にはギヤG4に常時噛み合うギヤG7とバックギヤG8が嵌合装着されており、ギヤG4に常時噛み合うギヤG7とバックギヤG8が嵌合装着されていて、ギヤG6がバックギヤG8に噛み合うと後進速となる。ギヤG5、ギヤG6がいずれのギヤとも噛み合いしない位置がニュートラルになる。この主変速装置Kの操作をするチェンジレバー90(図1に示す)は、操作パネル17に設けられている。
また、株間変速装置Cとして、植付一次軸53に互いに一体形成されているギヤG9、ギヤG10が軸方向に摺動自在に嵌合すると共に、植付二次軸54にギヤG11、ギヤG12Gがそれぞれ取り付けられている。シフタ57でギヤG9,ギヤG10を適宜移動させることにより、ギヤG9とギヤG11、ギヤG10とギヤG11、及び、ギヤG10とギヤG12の3通の組み合わせが得られ、3段階の株間切り替えができる。植付二次軸54からベベルギヤG13,ベベルギヤG14を介して植付部伝動軸58に伝達される。
ケーシング40の後方には、左右リヤアクスル60,60と左右フロントアクスル61,61が支承されていて、前記走行二次軸52から左右リヤアクスル60,60に伝動されると共に、リヤデフ装置Dからフロントデフ装置Eを介して左右フロントアクスル61,61に伝動される。そして、左右フロントアクスル61,61により各々左右前輪6,6が駆動される構成である。
リヤデフ装置Dは、走行二次軸52のギヤG15に噛み合うギヤG16が外周部に形成された容器63を備え、この容器63内の縦軸64に取り付けた一次ベベルギヤG17と左右リヤアクスル60,60に各別に取り付けた二次ベベルギヤG18,18とが互いに噛み合う状態で収納されており、各リヤアクスル60,60に伝動される動力が適宜変速される構成である。
フロントデフ装置Eもリヤデフ装置Dと同様の構成で、容器65、縦軸66、リヤデフ装置側のギヤG19、フロントデフ装置側のギヤG20、縦軸66に取り付けたベベルギヤG21、フロントアクスル61に取り付けたベベルギヤG22を備えている。前記リヤデフ装置D及びフロントデフ装置Eにはデフ機能を停止し、左右アクスルに動力が均等に伝動されるようにするデフロック装置F,Hが設けられている。
このデフロック装置F(H)は、容器63(65)に形成されている爪69(70)とアクスルの角棒部に嵌合するデフロック部材71(72)の爪73(74)とアクスル60(61)を互いに固定するように構成している。後輪10,10のデフロック装置Fを操作するデフロックレバー91(図1に示す)は操作パネル17に設けられている。
なお、前輪6,6のデフロック装置Hは、ステップ19に設けたデフロックぺダル91’(図1に示す)を踏み込むと、デフ機能が停止される構成となっている。このデフロックレバー91及びデフロックぺダル91’(図2に示す)は、共に機体の前側部に配置されており、例えば圃場の畦を乗り越えて走行車両1を圃場から出す時等に、操縦者は機体からおりて機体の前方に立って(自分の身体をウエイト代わりにするために機体の前側端部に乗って)、機体を前進あるいは後進させて畦越えを安全に行なうことができる。
この時に、左右前輪6,6の何れか又は左右後輪7,7の何れかが空回りした場合に、操縦者は即座に機体前側部にあるデフロックレバー91及びデフロックぺダル91’を楽な姿勢で操作でき、デフロック状態にして安全に畦越えをすることができる。
リヤアクスル60,60はベベルギヤG23,24,…によってサイドクラッチ軸方向76,76に伝動連結され、更に、サイドクラッチ軸76,76からリヤ出力軸77,77にサイドクラッチI,Iを介して伝動される。このサイドクラッチIは多板クラッチであり、サイドクラッチ軸76側の摩擦板80、リヤ出力軸77側の摩擦板81を備えている。リヤ出力軸77に摺動自在に嵌合する作動筒82は、板バネ83により両摩擦板81,82を押し付ける方向に付勢されており、常時はサイドクラッチIが入りの状態となっている。シフタ85Iで作動筒82を付勢方向と逆向きに移動させると、サイドクラッチIが切り状態となる。
更に、リヤ出力軸77,77には後輪ブレーキ装置J,Jが設けられている。この後輪ブレーキ装置Jは、リヤ出力軸77に取り付けたディスク87,…にプレッシャープレート88,…を押し付けて制動するものであり、このプレッシャープレート88,…の作動はシフタ85Jで行なう。即ち、常時はサイドクラッチIが入りで、後輪ブレーキ装置Jが掛かっていない状態であり、シフタ85Iを操作して作動筒82を付勢方向と逆向きに移動させると、サイドクラッチIが切り状態となり、シフタ85Jを操作すると、後輪ブレーキ装置Jが掛かる。これらサイドクラッチI及び後輪ブレーキ装置Jの操作(左右シフタ85I,85Jの操作)は、後述のステップ19上に設けたブレーキベベル140で行なう。なお、左右シフタ85Iには、左右クラッチ操作アクスル86I(図示省略)の基部が固着されており、左右シフタ85Jには、左右ブレーキ操作アーム86J(図示省略)の基部が固着されている。
リヤ出力軸77,77の後端部はケーシング40の外に突出し、この突出端部に前記後輪支持ケース24,24に伝動する左右後輪伝動軸89,89が接続されている。そして、この左右後輪伝動軸89,89により、左右後輪7,7がそれぞれ駆動される構成である。
なお、ミッションケース11の左右サイドクラッチI,Iと左右後輪ブレーキ装置J,Jとは、機体側面視で前輪6と重複する位置になっており、ピットマンアーム176(図1に示す)から非常に近い距離となっている。
また、そのミッションケース11に左右後輪7,7の左右後輪ブレーキ装置J,Jを設けているので、ブレーキぺダル140からの距離が短く、ブレーキぺダル140と左右後輪ブレーキ装置J,Jとの連系機構がコンパクトなものとなり、各部材の製造誤差等が少なくなり性能のよい機構を得ることができる。
また、ステアリングハンドル16の所定角度以上の操作により、旋回内側の後輪7のサイドクラッチIを切るように構成してもよいし、また、ステアリングハンドル16の所定角度以上の操作により、旋回内側の後輪7のサイドクラッチIを切り、且つ、旋回瓜の後輪7のブレーキ装置Jを制動するように構成してもよい。また、左右後輪7,7がデフ装置を介して駆動されていない場合には、ステアリングハンドル16の所定角度以上の操作により、旋回内側の後輪ブレーキ装置Jを制動するように構成してもよい。
苗植付装置3は、走行車両1に昇降用リンク装置2により昇降自在に連結されている。以下、その昇降させる構成と苗植付装置3の構成について説明する。
まず、走行車両1にその基部が回動自在に取り付けた一般的な油圧シリンダ160(図1に示す)のピストンの上端部を昇降用リンク装置2に連結し、走行車両1に設けた油圧ポンプ13により電磁油圧バルブ(図示省略)を介して油圧シリンダ160に圧油を供給・排出して、油圧シリンダ160のピストンを伸縮させて昇降用リンク装置2に連結した苗植付装置3が上下動するように構成されている。
苗植付装置3は、昇降用リンク装置2の後部にローリング軸を介してローリング自在に装着されたフレームを兼ねる植付伝動ケース162と、この植付伝動ケース162に設けられた支持部材に支持されて左右方向に往復移動する苗載せ台163と、植付伝動ケース162の後側端部に装着され前記苗載せ台163の下端より1株ずつの苗を分割して圃場に植え付ける苗植え付け具164,…と、植付伝動ケース162の下部にその後部が枢支されてその前側部が上下揺動する整地体であるセンサフロート165、サイドフロート166,166等で構成されている。センサフロート165、サイドフロート166,…は、圃場を整地すると共に、苗植え付け具164,…により苗の植え付けられる圃場の前方を整地するようにしている。
PTO伝動軸167は前後両端にユニバーサルジョイントを有し、施肥駆動ケース168の動力を苗植付装置3の植付伝動ケース162に伝達している。昇降リンクセンサ169は機体に立設した支柱15(図1に示す)と昇降リンク装置2の上下動する平行リンク部材2a,2bの間に設けられ、リンク169aの動きを検出するポテンショメータである。
そして、向い角センサ209によりセンサフロート165の前側部の上下位置検出に基づいて、コントローラ220(図7に示す)により電磁油圧バルブを制御して油圧シリンダ160により苗植付装置3を昇降制御するように構成している。
即ち、センサフロート165の前側部が圃場の凸部により適正範囲以上に持ち上げられると、油圧ポンプ13によりミッションケース11内から汲み出した圧油を油圧シリンダ160に送り込んでピストンを伸長させ、昇降用リンク装置2を上動させて苗植付装置3を所定位置まで上昇させる。また、センサフロート165の前側部が圃場の凹部により適正範囲以上下降すると、油圧シリンダ160内の圧油をミッションケース11に戻してピストンを短縮させ、昇降用リンク装置2を下動させて苗植付装置3を所定位置まで下降させる。そして、センサフロート165の前側部が適正範囲にあり、苗植付装置3が適正位置にあるときには、油圧シリンダ160内の圧油の給排を停止し、昇降用リンク装置2を停止し苗植付装置3を所定位置に保持している。
ステアリングハンドル16の下方にフィンガーレバー171(図2に示す)が配設され、このフィンガーレバー171を上下方向に操作すると、フィンガーレバースイッチ226(図7に示す)が作動されて、コントローラ220のPTOクラッチ作動手段によりPTOクラッチ作動ソレノイドを操作して、施肥駆動ケース168(図1に示す)内に設けられているPTOクラッチを操作し、施肥装置4及び苗植付装置3への動力を入切できるように構成すると共に、コントローラ220の苗植付装置昇降手段により、電磁油圧バルブを操作して手動により苗植付装置3を昇降できるように構成している。
即ち、フィンガーレバー171を「上」に操作すると、PTOクラッチが切れ、施肥装置4及び苗植付装置3の作動が停止し、且つ、電磁油圧バルブが強制的に苗植付装置3が上昇側に切り替えられる。
そして、フィンガーレバー171を「上」に操作した後に、フィンガーレバー171を「下」に1回操作すると、電磁油圧バルブがセンサフロート165の上下動により切り替えられる自動制御状態となり、苗植付装置3が上昇した状態であれば、センサフロート165が接地して植付適正位置になるまで苗植付装置3は下降する。更に、もう1回フィンガーレバー171を「下」に操作すると、電磁油圧バルブがセンサフロート165の上下動により切り替えられる自動制御状態のままで、PTOクラッチが入りになり施肥装置4及び苗植付装置3が駆動される。以後、フィンガーレバー171を「下」に操作する度に、電磁油圧バルブがフロートセンサ165の上下動により切り替えられる自動制御状態のままで、PTOクラッチが入りと切りに交互に切り替えられる。
図5は変速レバー110と作動変速モータ201との機械的連係機構の概略図を示す。変速レバー110の基部が軸113に固定されており、この軸113に扇形ギヤ114も固着されている。この扇形ギヤ114の扇形部分に設けられた長穴114aに摺動自在にロッド115の先端部が係止されている。このロッド115の他端部は回動支持軸117の一端に固定された板材118に回動自在に係止されている。
また、回動支持軸117の他端は作動変速モータ201の回転軸201aに設けられる駆動ギヤ202に噛み合う大径従動ギヤ203の中心軸穴203aに貫通して支持されている。回動支持軸117の中間部にはアーム119が固定されている。このアーム119の端部には回動自在のロッド120の一端が連結され、このロッド120の他端はHST5のトラニオン軸121に直結したトラニオンアーム122の端部に連結している。
大径従動ギヤ203の両側に設けられたブレーキパッド205,205の中心部に回動支持軸117が貫通し、また、大径従動ギヤ203を挾んで前記ブレーキパッド205の反対側にもブレーキパッド205が配置され、このブレーキパッド205の外側には順次ワッシャ206、巻きバネ207、ワッシャ206が配置され、これら部材205,206,207の中心穴部は回動支持軸117を貫通し支持されている。
従って、外側のワッシャ206の更に外側からボルト208で締め付けることで、大径従動ギヤ203は二つのブレーキパッド205,205にきつく挟み込まれて、作動変速モータ201の回転駆動は大径従動ギヤ203に伝達され、大径従動ギヤ203の回動は回動支持軸117とロッド120を介してトラニオンアーム122に伝達される。
なお、扇形ギヤ114とトラニオンアーム122の回動角度は、それぞれポテンショメータからなる操作位置センサ126,127で測定される。
前記構成において、作動変速モータ201の正逆回転により、大径従動ギヤ203もギヤ202を介して回動し、この大径従動ギヤ203の回転により回動支持軸117も回転するので、板材118、ロッド115、扇形ギヤ114及び軸113を介して変速レバー110を揺動させる力が働き、また、回動支持軸117の回転でアーム119が回転してロッド120を介してトラニオンアーム122がトラニオン軸121を中心に回転して、HST5のトラニオン軸121を作動させる。
従って、作動変速モータ201の回動が変速レバー110の作動をサポートするため、変速レバー110の操作が軽くなる。また、作動変速モータ201が故障すると、前記大径従動ギヤ203は回転不能になるが、大径従動ギヤ203を挾んで両側にブレーキパッド205,206があるために、変速レバー110を操作すると、この動きに連動する回動支持軸117はブレーキパッド205,205を介して大径従動ギヤ203の中心軸穴203a内を回転する。その結果、変速レバー110を操作することで、HST5のトラニオン軸121を回転させることができる。
前記構成では、変速レバー110の操作位置センサ126の検出結果に基づいて作動変速モータ201が作動し、連動機構を経由してHST5のトラニオン軸121を作動させるが、作動変速モータ201が故障した場合には、前記連動機構を作動変速モータ201との連動系統を切らなくても、回動支持軸117と大径従動ギヤ203との間でブレーキパッド205,205が摺動するので、変速レバー110を操作することができる。
このようにパワーアシストHST5において、作動変速モータ201が故障しても、直ちに変速レバー110を手動操作が可能になった。
また、前記パワーアシストHST5において、手動で変速レバー110を操作する場合に、変速段数が路上走行位置にあるときには、作動変速モータ201のアシストなしでHST5を変速させる構成とする。
これは路上走行時に、作動変速モータ201のアシストでHST5が速すぎる動きをすると、オペレータが不意をつかれる怖れがあり、これを防止して車両の走行安全性を高めるためである。
図6に概略構成図で示すように、変速ぺダル212の踏み込みにより、ロッド123を介してHST5のトラニオン軸121を回動することで変速する構成において、ステアリングポスト14の右側に変速ぺダル212とブレーキぺダル140を設ける。そして、図6の変速ぺダル212とブレーキぺダル140とHST5などの連結機構図に示すように、変速ぺダル212を踏み込むと、自動的に変速ぺダル212のアーム212aの回動基部に設けられたラチェット機構214により、その動きが固定される変速保持手段S、即ち、オートクルーズ機能を備えた構成となっている。ラチェット機構214は、ラチェット歯214aと、この歯214aに食い込んでラチェット機構214を固定する先端に爪を有する爪部214bとからなり、また、この爪部214bと変速ぺダルアーム212aは、それぞれ機体10との間に設けたスプリング215,216により弾圧支持されており、変速ぺダル212がラチェット機構214で固定されると、その動きを規制する構成になっている。
また、変速ぺダル21の踏み込みの解除は、ブレーキぺダル140を軽く踏み込む(制動作用をしない)ことで、ブレーキぺダル140に連結するワイヤ218が爪部214bを中央部にある回動支点を中心に矢印A方向に回動させることで、爪部214bを付勢するスプリング215の助けを借りてラチェット歯214aに食い込んだ爪部214bが歯214aから外れることでなされる。
この実施形態では、農作業機が移動速で路上走行時には、移動速を選択するためにチェンジレバー90が操作されるので、チェンジレバー90が操作されると、ワイヤ218を介して必ずラチェット機構214を解除させるように働き、速度保持手段(オートクルーズ)Sが作動しないようにしている。
特許文献1記載の方法では、オートクルーズの解除は複数ある操作具の中のいずれかの操作具の操作で初めて可能であり、その操作を忘れると、オートクルーズが解除されない不具合があったが、この実施形態では農作業機が移動速状態にあるとき、チェンジレバー90の操作で、必ずオートクルーズの解除がなされるので、路上走行時の安全が確保できる。
また、速度保持(オートクルーズ)手段Sとして図6に示す機械的構成からなるもの以外に、コントローラ220の指令でHST5による速度保持をする手段であってもよい。コントローラ220の指令で速度保持を禁止する構成について以下説明する。なお、この電子制御機構によるオートクルーズ機構も、速度保持(オートクルーズ)手段Sという場合がある。
図7はコントローラ220の入出力ブロック図を示す。
例えば、農作業機が後進している間にはオートクルーズ手段Sが作動しないようにした。そのために、後輪回転数センサ221で後進を検出すると、コントローラ220の指令で作動変速モータ201によるHST5の速度保持を解除させる構成としてもよい。
これは、後進作業は短時間であり、また、後進作業中にオートクルーズ手段Sが働くと、操舵性が前進走行時に比較して劣るので、それを防ぐためである。
また、苗植付装置3が上昇位置にあることを昇降リンクセンサ169が検出すると、コントローラ229の指令で作動変速モータ201によるHST5の速度保持を禁止する。これは、苗植付装置3が上昇位置にあるときは、農作業機は旋回中であるか、あるいは、移動中であるので、オートクルーズが働かない方が安全であるためである。
また、ステアリングハンドル16の左右回転角度を検出するハンドル回転角度センサ241を設け、ハンドル回転角度センサ214によりステアリングハンドル16の左右回転角度の所定角度以上の回動操作を検出すると、コントローラ220の指令により作動変速モータ201によるHST5の速度保持を解除させるように構成してもよい。畦際に沿って方向変更をしながらの植付作業や旋回走行時に、特別な操作をせずにオートクルーズ機能が停止することができ、オペレータの操作の軽減を図ることができる。
また、ハンドル回転角度センサ214によりステアリングハンドル16の左右回転角度が90度を超える回動操作を検出すると、HST5の速度保持を禁止させるようにしてもよい。
また、図6に示すように、変速ぺダル212とブレーキぺダル140とHST5などを連動連結した構成で、ラチェット機構214付きの変速保持手段Sを有するものにおいて、ハンドル回転角度センサ214によりステアリングハンドル16の左右回転角度の所定値以上を検出すると、コントローラ220の指令によりラチェット機構解除手段(図示省略)が作動し、オートクルーズ機能を解除するように構成してもよい。
また、旋回制御用の左右後輪回転数センサ221,221の回転差が所定値以上になると、コントローラ220の指令により作動変速モータ201によりHST5の速度保持を解除するように構成してもよい。このように構成すると、オペレータはハンドル16から手を離さずに、オートクルーズ入切スイッチ222を「切り」にしなくても、畦際での旋回走行時のオートクルーズ機能を停止することができ、操作の軽減を図ることができる。
また、左右後輪7,7用の左右サイドクラッチI,Iの入切を検出できる左右後輪サイドクラッチセンサ242,242を設け、前記ハンドル回転角センサ241及び左右後輪サイドクラッチセンサ242,242の検出情報から、旋回走行時における旋回内側の左右後輪サイドクラッチI,Iの切り検出により、コントローラ220の指令により作動変速モータ201が作動し、HST5の速度保持機能を停止するように構成してもよい。
また、左右後輪7,7用の左右ブレーキ装置J,Jの制動、非制動を検出できる左右後輪ブレーキセンサ243,243を設け、前記ハンドル回転角センサ241及び左右後輪ブレーキセンサ243,243の検出情報から、旋回走行時における旋回内側の左右後輪ブレーキ装置J,Jの制動検出により、コントローラ220の指令により作動変速モータ201が作動し、HST5の速度保持機能を解除するように構成してもよい。
また、左右傾斜角センサ228による苗植付装置3のローリング検出情報、及び、前記ハンドル回転角センサ241の旋回検出情報から、旋回走行検出及び左右傾斜角センサ228の中立復帰検出検出に基づき、コントローラ220の指令により作動変速モータ201が作動し、HST5の速度保持機能を解除するように構成してもよい。
このように構成すると、畦際での旋回走行時において苗植付装置3を上昇する際に苗植付装置3は一旦中立状態に復帰するため、旋回開始時はオートクルーズ機能が維持されるが旋回途中である旋回初期の段階でオートクルーズ機能を停止することができ、旋回行程に移行してからオートクルーズ機能を停止するまでにタイムラグができ、その間はオートクルーズ機能により高速で走行することができるから、旋回時間の短縮を図ることができる。
また、走行車両1の左右両側に周知の左右線引きマーカ(図示省略)を設け、コントローラ220には、走行車両1の旋回時に左右線引きマーカを交互に出し入れして次回苗植付作業の基準線を形成する線引きマーカ制御装置(図示省略)を設け、前記ハンドル回転角センサ241の旋回検出情報、及び、左右線引きマーカセンサ(図示省略)による線引きマーカの収納検出情報に基づき、コントローラ220の指令により作動変速モータ201が作動し、HST5の速度保持機能を解除するように構成してもよい。
また、苗植付装置3の植付作業時において、オートクルーズ手段Sの入り状態でのセンサフロート165の検出情報により植付基準値と設定し、センサフロート165の上下動検出情報が植付基準値から所定範囲を超えて上下動すると、コントローラ220の指令により作動変速モータ201が作動し、HST5の速度保持機能を解除するように構成してもよい。
前記構成によると、凹凸の多い圃場ではオートクルーズ制御を解除し、オペレータが変速レバー110を操作し適正走行速度を選択しながら苗植付作業をすることができる。
また、左右予備苗載せ台200,200に畦等の障害物に当たったのを検出する左右予備苗載せ台センサ244,244を設け、左右予備苗載せ台センサ244,244により左右予備苗載せ台200,200が障害物に当たったことを検出すると、コントローラ220の指令により作動変速モータ201が作動し、HST5の速度保持機能を解除させ、且つ、HST5のトラニオン軸121を中立位置に復帰し走行を停止するように構成してもよい。前記構成によると、オペレータの運転操作の軽減を図りながら、機体の損傷を防止することができる。
また、左右予備苗載せ台200,200の左右内側部に苗取板収納部200aを設け、苗取板収納部200aには苗取板(図示省略)の収納の有無を検出する苗取板検出スイッチ247を設け、苗取板検出スイッチ247により苗取板収納部200aの苗取板有り検出中は、HST5の速度保持機能を維持し、苗取板収納部200aの苗取板無し検出により、コントローラ220の指令により作動変速モータ201が作動し、HST5の速度保持機能を解除するように構成してもよい。前記構成によると、左右予備苗載せ台200、200の苗補充時の畦際での走行停止操作を簡単化することができる。
また、ステアリングハンドル16の全周にハンドル握りセンサ249を埋め込み配設し、オペレータのすくなくとも一方の手がステアリングハンドル16を握った状態か、両手が離れた状態かを検出するように構成する。そして、オペレータの少なくとも片方の手がステアリングハンドル16を握っているのをハンドル握りセンサ249が検出しているときには、HST5の速度保持機能を維持し、ハンドル握りセンサ249がオペレータの両手がステアリングハンドル16から離れたのを検出すると、コントローラ220の指令により作動変速モータ201が作動し、HST5の速度保持機能を解除するように構成してもよい。前記構成によると、とっさの状態に走行停止を迅速に行なうことができ安全である。
また、図8のフローチャートに示すように、苗植付装置3の苗植え付け具164が圃場に苗を植え付ける状態になったとき、即ち、苗植付クラッチ(図示省略)が入り操作されると、オートクルーズ入切スイッチ222が「入り」であれば、次に、オートクルーズボタン223で「入り」操作すると、HST5で設定した車速(変速比)に変速し、また、この車速は任意の値に設定可能である。なお、オートクルーズ入切スイッチ222は、オートクルーズ機能事体を入切するスイッチであり、このスイッチ222を「切り」に操作すれば、他の操作手段にかかわらず、オートクルーズが作動しないように構成している。
この苗植付クラッチが入り操作されたときに、農作業機がオートクルーズ走行状態にあると、そのままオートクルーズでの走行を可能とし、改めて再度オートクルーズ状態に設定する手間を省くためである。
ただし、前記オートクルーズボタン223の「入り」操作を判断するステップで、オートクルーズボタン223が「入り」でないことが判ると、オートクルーズが解除される。
また、機体の進行方位を検出する方位センサ18の検出値が予め設定した方位となるように、パワーステアリング装置(図示省略)により自動的に前輪6,6を操舵させて直進制御するための自律直進入切スイッチ225を設け、図9のフローチャートに示すように、自律直進スイッチ225が「入り」の場合には、オートクルーズ入切スイッチ222が「入り」になると、オートクルーズ走行が可能になる機能を備えている。この場合には、自律直進機能に加えてオートクルーズ機能を追加できるので、オペレータの作業負担を軽減し、更に作業性の向上を図ることができる。
また、旋回制御用の後輪回転数センサ221により、前回の植付工程での苗植付クラッチの入りから切りまでの移動距離を算出しておき、次工程で前工程の苗植付クラッチの入りから切りまでの移動距離に達した場合、コントローラ220により自動的にオートクルーズを解除するようにしてもよい。
前記構成によると、オペレータはハンドル16から手を離さずに、オートクルーズ入切スイッチ222を「入り」にしなくても、苗植付作業時のみにオートクルーズ手段Sを作動することができ安全である。
また、農作業機が畦に接近したことを機体前側部に設けた畦センサ227が検出すると、オートクルーズ機能を解除するようにすると、オペレータの作業負担を軽減できる。
また、変速ぺダル212を踏み込んだことを変速ぺダルセンサ224が検出すると、コントローラ220がオートクルーズ手段Sを作動させているときには、前記オートクルーズ手段Sを制御するコントローラ220に異常、あるいは、作業機械の作業内容に異常があると判断される場合には、自動的にオートクルーズ機能を解除するようにしている。
前記コントローラ220の異常とは各種センサの断線があるとき、機体10の左右傾斜角センサ228あるいは左右傾斜角速度センサ229で機体のローリング作動時間が長すぎると判断したとき、また、オートローリング(苗植付部の自動ローリング制御機能)のセンサ値が設定量を超えた場合であり、農作業機の作業内容の異常とは、苗が苗植付装置3内に無いにも拘らず、植付クラッチが「入り」であると検出していたとき、または、苗植付装置3内で苗切れまたは施肥装置4のタンク内の肥料切れを検出するなどである。
なお、機体のローリングは圃場の耕盤により農作業機の本機が傾斜したままであると、苗の植え付けが不良となる怖れがあるので、機体の長時間のローリングは避けなければならない。
また、その他、農作業機の本機側からの警告状態(図示省略のマイコンチエッカが作動している状態等)があるとコントローラ220が判断すると、オートクルーズ機能を解除するようにすると、オペレータの操作負担が軽減され、より安全に農作業機の操作をすることができる。
次に、図10に基づきエンジン12の操作構成について説明する。
アクセルぺダル251を軸251aにより軸支し、アクセルぺダル251の中途部にアクセルワイヤ252の一端を連結し、他端をエンジン12側に連係し、アクセルぺダル251の軸251aに扇形ギヤ253を取り付けている。この扇形ギヤ253のギヤ部253a,…に対向するように、連係アーム254を設け、連係アーム254の254a基部を軸支すると共に、先端部に係合部254bを設け、連係アーム254が軸254a回りの回動により、連係アーム254側の係合部254bが扇形ギヤ253のギヤ部153a,…に係合離脱するように構成している。
また、ステアリングハンドル16の近傍には、アクセルぺダル戻しレバー255を設け、前記操縦席20の近傍に植付クラッチレバー256を設け、苗植付装置3の植付クラッチ(図示省略)を入切するように構成し、この植付クラッチレバー256の握り部にアクセルぺダル戻しボタン257を設けている。
そして、アクセルぺダル戻しレバー255と連係アーム254とを、第一アクセルぺダル連係ワイヤ258を介して連動連係し、また、植付クラッチレバー256と連係アーム254とを第二アクセルぺダル連係ワイヤ259を介して連動連係し、植付クラッチレバー256のアクセルぺダル戻しボタン257を押し込み操作すると、連係アーム254の係合部254bと扇形ギヤ253のギヤ部253aとの係合が離脱するように構成している。
前記構成によると、アクセルぺダル251を踏み込むと、アクセルぺダル251側の扇形ギヤ253のギヤ部253aと連係アーム254の係合部254bとが係合し、エンジンは高速回転に保持され、走行動力及び作業動力を出力する。また、植付作業中に、アクセルぺダル戻しレバー255を押し下げ操作すると、第一アクセルぺダル連係ワイヤ258を介して連係アーム254を作動し、連係アーム254と扇形ギヤ253との係合が離脱し、アクセルぺダル251はアイドリング位置に復帰する。
また、植付クラッチレバー256のアクセルぺダル戻しボタン257を押し込み操作すると、第二アクセルぺダル連係ワイヤ259を介して連係アーム254を作動し、連係アーム254と扇形ギヤ253の係合が離脱し、アクセルぺダル251はアイドリング位置に復帰する。
前記構成によると、作業中のエンジン12のアイドリング復帰をアクセルぺダル251だけでなく、アクセルぺダル戻しレバー255及び植付クラッチレバー256のアクセルぺダル戻しボタン257により行なうことができ、操作が容易となる。
本発明の一実施形態である乗用田植機の全体側面図 乗用田植機の全体平面図 乗用田植機の伝動構成を示す平面図 走行ミッションケースの展開図 変速レバーと電動モータとの機械的連係構成の斜視図 変速ぺダルを用いる機械的なオートクルーズ手段の概略構成図 乗用田植機の制御ブロック図 乗用田植機の電子制御によるオートクルーズ手段のフローチャート 乗用田植機の電子制御によるオートクルーズ手段のフローチャート アクセルぺダル、アクセルぺダル戻しレバー及び植付クラッチレバーの関連構成を示す図
符号の説明
1 走行車両
5 変速装置
110 変速操作具
S 変速保持手段
16 操向操作手段(ステアリングハンドル)
220 速度保持解除手段(コントローラ)

Claims (1)

  1. 走行車両(1)の車速を変速する変速装置(5)と、該変速装置(5)の変速位置を選択して設定する変速操作具(110)と、該変速操作具(110)による所定の変速操作位置を保持する変速保持手段(S)と、前記走行車両(1)を操向させるための操向操作手段(16)と、該操向操作手段(16)の操向作動に連動して前記変速保持手段(S)による車速の保持を解除する速度保持解除手段(220)とからなる作業車両。
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