JP2011186442A - トナーの製造方法並びにトナー及びこれを用いた画像形成方法及びプロセスカートリッジ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも結着樹脂を含むトナー粒子を含むトナーの製造方法であって、該トナー粒子を水系媒体(I)中で分散し水分散体とした後、前記水分散体を加熱処理する工程を含み、該加熱処理工程後の前記水分散体の電気伝導度が、加熱処理前の前記水分散体に比べ50μS/cm以下の範囲で上昇することを特徴とするトナーの製造方法。
【選択図】なし
Description
(1)「少なくとも結着樹脂を含むトナー粒子を含むトナーの製造方法であって、該トナー粒子を水系媒体(I)中で分散し水分散体とした後、前記水分散体を加熱処理する工程を含み、該加熱処理工程後の前記水分散体の電気伝導度が、加熱処理前の前記水分散体に比べ50μS/cm以下の範囲で上昇することを特徴とするトナーの製造方法」、
(2)「少なくとも結着樹脂を含むトナーの製造方法であって、トナー粒子を水系媒体(I)中で分散し水分散体とする工程Aと、前記水分散体の電気伝導度を30μS/cm以下まで下げる工程Bと、攪拌下で前記水分散体を加熱処理する工程Cを含み、前記工程Bから工程C間における水分散体の電気伝導度の上昇幅が50μS/cm以下であることを特徴とするトナーの製造方法」、
(3)「前記工程Bにおいて、前記水分散体をトナーのTg±10℃の範囲内で加熱することを特徴とする前記第(2)項に記載のトナーの製造方法」、
(4)「前記工程Bにおいて、前記水分散体を攪拌下で1〜180分加熱処理することを特徴とする前記第(2)項または第(3)項のいずれか一項に記載のトナーの製造方法」、
(5)「前記工程Cにおいて、水分散体に含まれるイオン性物質の濃度の上昇幅が40ppm以下であることを特徴とする前記第(2)項乃至第(4)項のいずれか一項に記載のトナーの製造方法」、
(6)「前記トナー粒子は、少なくとも結着樹脂又は結着樹脂前駆体及び着色剤を含むトナー材料を有機溶媒に溶解又は分散してなるトナー材料の有機溶媒液を、水系媒体(I0)中に添加して乳化乃至分散させて乳化乃至分散液を作成し、前記乳化乃至分散液から有機溶媒を除去して形成したものであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項のいずれか一項に記載のトナーの製造方法」、
(7)「前記水系媒体(I0)は平均粒子径が5〜50nmのアニオン性の樹脂微粒子とアニオン性界面活性剤とを含むものであることを特徴とする前記第(6)項に記載のトナーの製造方法」、
(8)「前記第(1)項乃至第(7)項のいずれかに記載の製造方法により製造されたトナー」、
(9)「BET比表面積が0.5〜4.0m2/gであることを特徴とする前記第(8)項に記載のトナー」、
(10)「電子写真感光体を帯電手段により帯電させる帯電工程と、前記帯電された電子写真感光体上に露光手段により静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像を形成された電子写真感光体上にトナーを含む現像手段によりトナー像を形成する現像工程と、前記電子写真感光体上に形成されたトナー像を一次転写手段により中間転写体上に転写する一次転写工程と、前記中間転写体上に転写されたトナー像を二次転写手段により記録材上に転写する二次転写工程と、前記記録材上に転写されたトナー像を熱及び圧力定着部材を含む定着手段により記録材上に定着させる定着工程と、前記一次転写手段によりトナー像を中間転写体上に転写した電子写真感光体の表面に付着している転写残トナーをクリーニング手段によりクリーニングするクリーニング工程とを備え、前記現像工程におけるトナーが前記第(8)項または第(9)項に記載のトナーであることを特徴とするフルカラー画像形成方法」、
(11)「前記二次転写工程において、トナー像の記録材への転写の線速度は100〜1000mm/secであり、二次転写手段のニップ部での転写時間は0.5〜60msecであることを特徴とする前記第(10)項に記載のフルカラー画像形成方法」、
(12)「タンデム方式の電子写真画像形成プロセスを採用したことを特徴とする前記第(10)項又は第(11)項に記載のフルカラー画像形成方法」、
(13)「電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、前記帯電された電子写真感光体上に静電潜像を形成する露光手段と、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーによりトナー像とする現像手段と、前記電子写真感光体上に形成されたトナー像を中間転写体を介して又は介さずに記録材上に転写する転写手段と、前記記録材上に転写されたトナー像を熱及び圧力定着部材により記録材上に定着させる定着手段定着工程と、前記転写手段によりトナー像を中間転写体又は記録材上に転写した後の電子写真感光体表面に付着している転写残トナーをクリーニングするクリーニング手段とを備えた画像形成装置における各手段のうち、少なくとも前記電子写真感光体、及び前記第(8)項又は第(9)項に記載のトナーを備えた現像手段を、一体に支持して画像形成装置本体に着脱自在としたことを特徴とするプロセスカートリッジ」、
(14)「前記帯電手段、前記転写手段及び前記クリーニング手段から選ばれる少なくとも一つの手段をさらに含むことを特徴とする前記第(13)項に記載のプロセスカートリッジ」。
上記のようにして得られたトナーは、着色剤及び結着樹脂を中心としたトナー材料を核としたトナー粒子本体の表面に、樹脂微粒子が付着している。なお、トナーの平均粒子径は、乳化工程におけるトナー材料含有有機溶媒−水系媒体(I0)からなるO/W型懸濁液の攪拌等の乳化乃至分散条件により調整される。
<帯電量>
トナーの帯電量は、Vブローオフ装置(リコー創造開発株式会社製)を用いて測定した。トナーとキャリアを、トナー濃度7wt%の現像剤として、所定の環境(温度、湿度)に2時間放置した後、上記現像剤を金属ゲージに入れ、回転数280rpmの攪拌装置で600秒攪拌混合した6gの初期剤から、1gの現像剤を計量し、Vブローオフ装置(リコー創造開発株式会社製)シングルモード法によるトナーの帯電量分布を測定する。ブロー時、目開き635メッシュを用いる。ここでのシングルモード法とは、上記記載のVブローオフ装置(リコー創造開発株式会社製)で、装置マニュアルに従い、シングルモードを選び、測定条件は高さ5mm、吸い込み100、2回ブローである。
トナーの重量平均粒径(Dw)、体積平均粒径(Dv)、及び個数平均粒径(Dn)は、粒度測定器(「マルチサイザーIII」、ベックマンコールター社製)を用い、アパーチャー径100μmで測定し、解析ソフト(Beckman Coulter Multisizer 3 Version3.51)にて解析を行なった。具体的にはガラス製100mlビーカーに10wt%界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩ネオゲンSC−A;第一工業製薬性)を0.5ml添加し、各トナー0.5g添加しミクロスパーテルでかき混ぜ、次いでイオン交換水80mlを添加した。得られた分散液を超音波分散器(W−113MK−II本多電子社製)で10分間分散処理した。前記分散液を前記マルチサイザーIIIを用いて、測定用溶液としてアイソトンIII(ベックマンコールター製)を用いて測定を行なった。測定は装置が示す濃度が8±2%に成るように前記トナーサンプル分散液を滴下した。本測定法は粒径の測定再現性の点から前記濃度を8±2%にすることが重要である。この濃度範囲であれば粒径に誤差は生じない。
トナーの平均円形度は、平均円形度SR=(粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長/粒子投影像の周囲長)×100%で定義される。フロー式粒子像分析装置(「FPIA−2100」;シスメックス社製)を用いて計測し、解析ソフト(FPIA-2100 Data Processing Program for FPIA version00-10)を用いて解析を行なった。具体的には、ガラス製100mlビーカーに10wt%界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩ネオゲンSC−A;第一工業製薬性)を0.1〜0.5ml添加し、各トナー0.1〜0.5g添加しミクロスパーテルでかき混ぜ、次いでイオン交換水80mlを添加した。得られた分散液を超音波分散器(本多電子社製)で3分間分散処理した。前記分散液を前記FPIA−2100を用いて濃度を5000〜15000個/μlが得られるまでトナーの形状及び分布を測定した。本測定法は平均円形度の測定再現性の点から前記分散液濃度が5000〜15000個/μlにすることが重要である。前記分散液濃度を得るために前記分散液の条件、すなわち添加する界面活性剤量、トナー量を変更する必要がある。界面活性剤量は前述したトナー粒径の測定と同様にトナーの疎水性により必要量が異なり、多く添加すると泡によるノイズが発生し、少ないとトナーを十分にぬらすことができないため、分散が不十分となる。またトナー添加量は粒径のより異なり、小粒径の場合は少なく、また大粒径の場合は多くする必要があり、トナー粒径が3〜7μmの場合、トナー量を0.1〜0.5g添加することにより分散液濃度を5000〜15000個/μlにあわせることが可能となる。
トナーのBET比表面積は、自動比表面積/細孔分布測定装置TriStar3000(島津製作所製)を用いて測定した。トナー1gを専用セルに入れ、TriStar用脱ガス専用ユニット、バキュプレップ061(島津製作所製)を用いて、前記専用セルないの脱気処理を行った。脱気処理は室温下で行い、少なくとも100mtorr以下の減圧条件下で20時間行った。脱気処理を行った専用セルは、TriStar3000を用いて自動でBET比表面積を得ることが出来る。なお、吸着ガスとしてはチッソガスを用いて行った。
ナノインデンテーション法でのトナー1粒子表面の硬さは、Hysitron Inc.製のTribo Indenterを使用して測定する。詳細条件は、以下に示す通りである。
使用圧子:Berkovich(三角錐形)
最大押込み深さ:20nm
上記条件にて、トナー1粒子の表面から圧子を押込み、最大圧入時の圧痕の大きさから硬さH[GPa]を測定する。なお、実際の測定では、製品形態のトナー100粒子(1粒子については、測定箇所を変えてN=10にて測定し、平均値化。)について測定し、その平均値をナノインデンテーション法でのトナー1粒子の硬さとした。
マイクロインデンテーション法でのトナー1粒子表面の硬さは、(株)フィッシャー・インストルメンツのフィッシャースコープ H100(微小硬さ試験システム)を使用して測定する。詳細条件は、以下に示す通りである。
使用圧子:ビッカース圧子
最大押込み深さ:2μm
最大押込み荷重:9.8mN
クリープ時間:5sec
負荷(除荷)時間:30sec
上記条件にて、トナー1粒子の表面からビッカース圧子を押込み、マルテンス硬度[N/mm2]を測定する。なお、実際の測定では、製品形態のトナー100粒子について測定し、その平均値をマイクロインデンテーション法でのトナー1粒子表面の硬さとした。
<重量平均粒径>
キャリアの重量平均粒径Dwは、個数基準で測定された粒子の粒径分布(個数頻度と粒径との関係)に基づいて算出されたものである。この場合の重量平均粒径Dwは、式(1)で表わされる。
Dw={1/Σ(nD3)}×{Σ(nD4)} … (1)
式(1)中、Dは、各チャネルに存在する粒子の代表粒径(μm)を示し、nは、各チャネルに存在する粒子の総数を示す。なお、チャネルとは、粒径分布図における粒径範囲を等分に分割するための長さを示すもので、本発明においては、2μmを採用した。また、各チャネルに存在する粒子の代表粒径としては、各チャネルに保存する粒子の粒径の下限値を採用した。
Dp=(1/ΣN)×(ΣnD) … (2)
式(2)中、Nは、計測した全粒子数を示し、nは、各チャネルに存在する粒子の総数を示し、Dは、各チャネル(2μm)に保存する粒子の粒径の下限値を示す。
[1]粒径範囲:8〜100μm
[2]チャネル長さ(チャネル幅):2μm
[3]チャネル数:46
[4]屈折率:2.42
(樹脂微粒子)
本発明で用いられる樹脂微粒子用の樹脂としては、水系媒体(I0)中で水性分散液を形成しうる樹脂であれば特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができる。樹脂微粒子用の樹脂としては、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂でもよく、例えば、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂、などを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、微細な球状の樹脂微粒子の水性分散液が得られ易い点で、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂から選択される少なくとも1種で形成されるのが好ましい。なお、ビニル樹脂は、ビニルモノマーを単独重合又は共重合したポリマーであり、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、などが挙げられる。
(1)ビニル樹脂の場合、ビニルモノマーを出発原料として、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法及び分散重合法から選択されるいずれかの重合反応により、直接、樹脂微粒子Aの水性分散液を製造する方法
(2)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加ないし縮合系樹脂の場合、前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶剤溶液を適当な分散剤の存在下、水性媒体中に分散させた後、加熱、又は硬化剤を添加して硬化させて、樹脂微粒子Aの水性分散液を製造する方法
(4)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を機械回転式又はジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで、分級することによって樹脂微粒子を得た後、適当な分散剤の存在下、水中に分散させる方法
(6)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液に貧溶剤を添加するか、又は予め溶剤に加熱溶解した樹脂溶液を冷却することにより樹脂微粒子を析出させ、次に溶剤を除去して樹脂微粒子を得た後、樹脂微粒子を適当な分散剤存在下、水中に分散させる方法
(8)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法
本発明のトナーの製造で用いられるアニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等が挙げられ、フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤が好適に挙げられる。フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、例えば、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(炭素数6〜11)オキシ]−1−アルキル(炭素数3〜4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(炭素数6〜8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(炭素数11〜20)カルボン酸又はその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(炭素数7〜13)又はその金属塩、パーフルオロアルキル(炭素数4〜12)スルホン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(炭素数6〜16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。
本発明のトナーの製造方法に用いるトナー材料に含まれる結着樹脂としては、特に制限はなく、ポリエステル系樹脂、シリコーン樹脂、スチレン・アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ジエン系樹脂、フェノール樹脂、テルペン樹脂、クマリン樹脂、アミドイミド樹脂、ブチラール樹脂、ウレタン樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂等、公知の結着樹脂を用いることができる。
本発明で用いるポリエステル系樹脂とは、下記一般式(1)で表される1種若しくは2種以上のポリオールと、
A−(OH)m ・・・ (1)
[式中、Aは炭素数1〜20のアルキル基、アルキレン基、置換基を有していてもよい芳香族基若しくはヘテロ環芳香族基を表す。mは2〜4の整数を表す。]
下記一般式(2)で表される1種若しくは2種以上のポリカルボン酸とをポリエステル化したものである。
B−(COOH)n ・・・(2)
[式中、Bは炭素数1〜20のアルキル基、アルキレン基、置換基を有していてもよい芳香族基若しくはヘテロ環芳香族基を表す。nは2〜4の整数を表す。]
本発明の実施例では結着樹脂成分としては未変性の結着樹脂、結着樹脂前駆体(プレポリマー)を用いており、最終的には結着樹脂前駆体が反応したものと未変性の結着樹脂との混合物が結着樹脂となるが、樹脂粒子Bが非相溶であるのは未変性の結着樹脂に対してである。
本発明のトナー材料中に活性水素基含有化合物及び該化合物と反応可能な変性ポリエステル樹脂が含まれることにより、得られるトナーの機械的強度が高まり、樹脂微粒子Bや外添剤の埋没を抑制することが出来る。活性水素基含有化合物がカチオン性の極性を有す場合には、樹脂微粒子Bを静電的に引き寄せることもできる。また、トナーの加熱定着時の流動性を調節でき定着温度幅を広げることも出来る。なお、活性水素基含有化合物及び該化合物と反応可能な変性ポリエステル樹脂は、結着樹脂前駆体であるとも言える。
活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(以下「プレポリマー」)としては、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を少なくとも有しているものであれば特に制限はなく、公知の樹脂等の中から適宜選択することができ、例えば、ポリオール樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、これらの誘導体樹脂、等を用いることができる。これらの中でも、溶融時の高流動性、透明性の点で、ポリエステル樹脂が特に好ましい。なお、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アルキレングリコールとしては、炭素数2〜12のものが好ましく、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。アルキレンエーテルグリコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。また、脂環式ジオールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。また、脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、脂環式ジオールに対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物としたもの等が挙げられる。また、ビスフェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等が挙げられる。また、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、ビスフェノール類に対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物としたもの等が挙げられる。これらの中でも、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物等が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物と炭素数2〜12のアルキレングリコールとの混合物が特に好ましい。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。また、脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。また、芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレン−4,4'−ジイソシアネート、4,4'−ジイソシアナト−3,3'−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4'−ジイソシアネート等が挙げられる。また、芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。また、イソシアヌレート類としては、例えば、トリス−イソシアナトアルキル−イソシアヌレート、トリイソシアナトシクロアルキル−イソシアヌレート等が挙げられる。これらは、1種単独でも使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、着色剤、離型剤、帯電制御剤、無機微粒子、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料、金属石鹸、等が挙げられる。
本発明に使用するトナー用の着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、融点が50〜120℃の低融点の離型剤が好ましい。低融点の離型剤は、前記樹脂と分散されることにより、離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これによりオイルレス(定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布しない)でもホットオフセット性が良好である。
帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
無機微粒子は、トナー粒子に流動性、現像性、帯電性等を付与するための外添剤として使用する。この無機微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
流動性向上剤とは、表面処理を行って疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止する剤のことであり、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、等が挙げられる。シリカ、酸化チタンは、このような流動性向上剤により表面処理行い、疎水性シリカ、疎水性酸化チタンとして使用するのが特に好ましい。
クリーニング性向上剤は、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためにトナーに添加される剤のことであり、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子、などが挙げられる。ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好適である。
磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライト、等を用いることができる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
本発明のトナーの製造方法においては、結着樹脂又は結着樹脂前駆体及び着色剤を含むトナー材料を有機溶媒に溶解又は分散して形成した溶解物又は分散物を、平均粒子径が5〜50nmのアニオン性の樹脂微粒子と好ましくはアニオン性界面活性剤とを含む水系媒体(I0)中に添加して乳化乃至分散させて乳化乃至分散液を調整し、前記乳化乃至分散液から有機溶媒を除去することで得られた水分散体の電気伝導度を30μS/cm以下まで下げ、この水分散体を加熱処理することで得られるトナーであり、前記電気伝導度30μS/cm以下の水分散体を加熱処理する工程において、加熱処理による水分散体の電気伝導度の上昇幅が100μS/cm以下に制御することにより所望のトナーを製造する。
トナー材料の溶解ないし分散液は、トナー材料を溶媒に溶解ないし分散させて調製する。トナー材料としては、トナーを形成可能である限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結着樹脂もしくは活性水素基含有化合物、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(プレポリマー)と着色剤を含み、さらに必要に応じて、離型剤、帯電制御剤等の上記その他の成分を含んでいてもよい。トナー材料の溶解ないし分散液は、トナー材料を有機溶媒に溶解ないし分散させて調製することが好ましい。なお、有機溶媒は、トナーの造粒時ないし造粒後に除去することが好ましい。
トナー材料を溶解ないし分散する有機溶媒としては、トナー材料を溶解ないし分散可能な溶媒であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナーの造粒時ないし造粒後の除去の容易性の点で沸点が150℃未満のものが好ましく、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等を用いることができる。また、エステル系溶剤が好ましく、酢酸エチルが特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。有機溶媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー材料100質量部に対し40〜300質量部が好ましく、60〜140質量部がより好ましく、80〜120質量部がさらに好ましい。なお、トナー材料の溶解ないし分散液の調製は、有機溶媒中に、活性水素基含有化合物、活性水素基含有化合物と反応可能な重合体、未変性ポリエステル樹脂、離型剤、着色剤、帯電制御剤、等のトナー材料を、溶解ないし分散させることにより行うことができる。また、トナー材料の中で、活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(プレポリマー)以外の成分は、後述する水系媒体(I0)の調製において、水系媒体(I0)中に添加混合してもよいし、あるいは、トナー材料の溶解ないし分散液を水系媒体(I0)に添加する際に、溶解ないし分散液と共に水系媒体(I0)に添加してもよい。
水系媒体(I0)としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、水、水と混和可能な溶剤、これらの混合物、などを用いることができるが、これらの中でも、水が特に好ましい。水と混和可能な溶剤としては、水と混和可能であれば特に制限はなく、例えば、アルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類、低級ケトン類、などを用いることができる。アルコールとしては、例えば、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等が挙げられる。また、低級ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
トナー材料の溶解ないし分散液の水系媒体(I0)中への乳化ないし分散は、トナー材料の溶解ないし分散液を水系媒体(I0)中で攪拌しながら分散させることが好ましい。分散の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の分散機などを用いて行うことができる。分散機としては、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機などが挙げられる。このトナーの製造方法においては、乳化ないし分散の際、活性水素基含有化合物と、活性水素基含有化合物と反応可能な重合体と、を伸長反応ないし架橋反応させると、接着性基材が生成する。
接着性基材は、紙等の記録材に対し接着性を示し、活性水素基含有化合物と、活性水素基含有化合物と反応可能な重合体と、を水系媒体(I0)中で反応させてなる接着性ポリマーを含むことが好ましい。接着性基材の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3,000以上が好ましく、5,000〜1,000,000がより好ましく、7,000〜500,000が特に好ましい。何故なら、重量平均分子量が、3,000未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがあるからである。
測定条件
サンプル容器:アルミニウム製サンプルパン(フタあり)
サンプル量:5mg
リファレンス:アルミニウム製サンプルパン(アルミナ10mg)
雰囲気:窒素(流量50ml/min)
温度条件
開始温度:20℃
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
保持時間:なし
降温温度:10℃/min
終了温度:20℃
保持時間:なし
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
(1)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物
(2)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物
(4)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物
(6)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物
(8)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をジフェニルメタンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物
(10)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をトルエンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物
水系媒体(I0)には先に説明したアニオン性界面活性剤、樹脂微粒子Aの他に以下の無機化合物分散剤や高分子系保護コロイドを併用することができる。難水溶性の無機化合物分散剤としては、例えば、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト、等が挙げられる。
乳化ないし分散により得られた乳化スラリーから、有機溶媒を除去する。有機溶媒の除去は、(1)反応系全体を徐々に昇温させて、油滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法、(2)乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、油滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、併せて水系分散剤を蒸発除去する方法、等が挙げられる。有機溶媒の除去が行われるとトナー粒子が形成される。
有機溶媒を除去しトナー粒子を形成した後、形成されたトナー粒子に対し、水系媒体(I)で洗浄を行い、30μS/cm以下の電気伝導度を有する水分散体を作成する。水系媒体(I)は、前記水系媒体(I0)とは違い(これは、トナー母体粒子作製のため、トナー材料の有機溶媒液を液滴状に乳化乃至分散させるもの)、形成済みのトナー粒子洗浄及び改質(形状制御を含む)のためのものである。純水、イオン交換水、蒸留水等、イオン性特に陽イオン性物質を含まないものであることが好ましい。
前記水分散液を加熱処理する。加熱処理は攪拌下で実施し、加熱処理が行われると表面が平滑なトナー粒子が形成される。また、加熱処理はトナー粒子がイオン交換水で分散されている場合は、洗浄前に実施しても洗浄後に実施しても良い。
形成されたトナー粒子に対し乾燥等を行い、さらにその後、所望により分級等を行う。該分級は、例えば、液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことにより行う。なお、乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行ってもよい。
本発明のフルカラー画像形成方法は、電子写真感光体を帯電手段により帯電させる帯電工程と、前記帯電された電子写真感光体上に露光手段により静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像を形成された電子写真感光体上にトナーを含む現像手段によりトナー像を形成する現像工程と、前記電子写真感光体上に形成されたトナー像を一次転写手段により中間転写体上に転写する一次転写工程と、前記中間転写体上に転写されたトナー像を二次転写手段により記録材上に転写する二次転写工程と、前記記録材上に転写されたトナー像を熱及び圧力定着部材を含む定着手段により記録材上に定着させる定着工程と、前記一次転写手段によりトナー像を中間転写体上に転写した電子写真感光体の表面に付着している転写残トナーをクリーニング手段によりクリーニングするクリーニング工程とを備えている。そして、現像工程において使用するトナーが、上述の本発明のトナーである。本発明のフルカラー画像形成方法は、二次転写工程において、トナー像の記録材への転写の線速度は100〜1000mm/secであり、二次転写手段のニップ部での転写時間は0.5〜60msecとすることが好ましい。また、本発明のフルカラー画像形成方法は、タンデム方式の電子写真画像形成プロセスを採用することが好ましい。
本発明の画像形成方法において使用される帯電装置としては、例えば図2及び図3に示した接触式の帯電装置を用いることができる。
図2に接触式帯電装置の一種であるローラ式帯電装置(500)の一例の概略構成を示した。被帯電体である像担持体としての感光体(505)は矢印の方向に所定の速度(プロセススピード)で回転駆動される。この感光体(505)に接触させた帯電部材である帯電ローラ(501)は芯金(502)とこの芯金(502)の外周に同心一体にローラ上に形成した導電ゴム層(503)を基本構成とし、芯金の両端を不図示の軸受け部材などで回転自由に保持させるとともに、不図示の加圧手段によって感光ドラムに所定の加圧力で押圧させており、本図の場合はこの帯電ローラ(501)は感光体(505)の回転駆動に従動して回転する。帯電ローラ(501)は、直径9mmの芯金上に100,000Ω・cm程度の中抵抗の導電ゴム層(503)を被膜して直径16mmに形成されている。帯電ローラ(501)の芯金(502)と図示の電源(504)とは電気的に接続されており、電源(504)により帯電ローラ(501)に対して所定のバイアスが印加される。これにより感光体(505)の周面が所定の極性、電位に一様に帯電処理される。
本発明で使われる帯電装置の形状としてはローラ式帯電装置の他にも、磁気ブラシ式帯電装置、ファーブラシ式帯電装置など、どのような形態をとってもよく、電子写真装置の仕様や形態にあわせて選択可能である。磁気ブラシ式帯電装置を用いる場合、磁気ブラシは例えばZn−Cuフェライト等、各種フェライト粒子を帯電部材として用い、これを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールによって構成される。また、ファーブラシ式帯電装置を用いる場合、例えばファーブラシの材質としては、カーボン、硫化銅、金属、および金属酸化物により導電処理されたファーを用い、これを金属や他の導電処理された芯金に巻き付けたり張り付けたりすることで帯電装置とする。
本例では該ファーブラシローラ(511)による感光体(515)の接触帯電は直接注入帯電が支配的となって行なわれ、回転感光体表面はファーブラシローラ(511)に対する印加帯電電圧とほぼ等しい電位に帯電される。
本発明で使われる帯電部材の形状としてはファーブラシローラ(511)の他にも、帯電ローラ、ファーブラシなど、どのような形態をとってもよく、電子写真装置の仕様や形態にあわせて選択可能である。帯電ローラを用いる場合、芯金上に100000Ω・cm程度の中抵抗ゴム層を被膜して用いるのが一般的である。磁気ブラシを用いる場合、磁気ブラシは例えばZn−Cuフェライト等、各種フェライト粒子を帯電部材として用い、これを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールによって構成される。
本発明において感光体の潜像を現像するに際しては、交互電界を印加することが好ましい。図4に示した現像器(600)において、現像時、現像スリーブ(601)には、電源(602)により現像バイアスとして、直流電圧に交流電圧を重畳した振動バイアス電圧が印加される。背景部電位と画像部電位は、上記振動バイアス電位の最大値と最小値の間に位置している。これによって現像部(603)に向きが交互に変化する交互電界が形成される。この交互電界中で現像剤のトナーとキャリアが激しく振動し、トナー(605)が現像スリーブ(601)およびキャリアへの静電的拘束力を振り切って感光体(604)に飛翔し、感光体の潜像に対応して付着する。なお、トナー(605)は、上述の本発明の製造方法で製造されたトナーである。
本発明の画像形成方法において使用される定着装置としては、例えば図5に示した定着装置を用いることができる。図5に示す定着装置は、誘導加熱手段(760)の電磁誘導により加熱される加熱ローラ(710)と、加熱ローラ(710)と平行に配置された定着ローラ(720)(対向回転体)と、加熱ローラ(710)と定着ローラ(720)とに張り渡され、加熱ローラ(710)により加熱されるとともに少なくともこれらの何れかのローラの回転により矢印A方向に回転する無端帯状の定着ベルト(耐熱性ベルト、トナー加熱媒体)(730)と、定着ベルト(730)を介して定着ローラ(720)に圧接されるとともに定着ベルト(730)に対して順方向に回転する加圧ローラ(740)(加圧回転体)とから構成されている。
定着ローラ(720)(対向回転体)は、例えばステンレススチール等の金属製の芯金(721)と、耐熱性を有するシリコーンゴムをソリッド状または発泡状にして芯金(721)を被覆した弾性部材(722)とからなる。そして、加圧ローラ(740)からの押圧力でこの加圧ローラ(740)と定着ローラ(720)との間に所定幅の接触部を形成するために外形を20〜40mm程度として加熱ローラ(710)より大きくしている。弾性部材(722)は、その肉厚を4〜6mm程度としている。この構成により、加熱ローラ(710)の熱容量は定着ローラ(720)の熱容量より小さくなるので、加熱ローラ(710)が急激に加熱されてウォームアップ時間が短縮される。
・基体(731):ポリイミド(PI)樹脂などの樹脂層
・発熱層(732):Ni,Ag,SUS等の導電材料層
・中間層(733):均一定着のための弾性層
・離型層(734):離型効果とオイルレス化のための弗素樹脂材料等の樹脂層
本発明のプロセスカートリッジは、電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、前記帯電された電子写真感光体上に静電潜像を形成する露光手段と、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーによりトナー像とする現像手段と、前記電子写真感光体上に形成されたトナー像を中間転写体を介して又は介さずに記録材上に転写する転写手段と、前記記録材上に転写されたトナー像を熱及び圧力定着部材により記録材上に定着させる定着手段と、前記転写手段によりトナー像を中間転写体又は記録材上に転写した後の電子写真感光体表面に付着している転写残トナーをクリーニングするクリーニング手段とを備えた画像形成装置における各手段のうち、少なくとも電子写真感光体、及び現像手段を含む上記手段を一体に支持して画像形成装置本体に着脱自在としたものである。そして、現像手段には、上述の本発明の製造方法によって製造したトナーを備えている。現像手段及び帯電手段としては、上述の現像装置及び帯電装置が好適に使用できる。
本発明のフルカラー画像形成方法において使用されるフルカラー画像形成装置としては、例えば図8、図9に示したタンデム方式の画像形成装置(100)を用いることができる。図8において、画像形成装置(100)は電子写真方式によるカラー画像形成を行なうための画像書込部(120Bk,120C,120M,120Y)、画像形成部(130Bk,130C,130M,130Y)、給紙部(140)から主に構成されている。画像信号を元に、画像処理部(図示せず)で画像処理を行ない、画像形成用の黒(Bk),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各色信号に変換し、画像書込部(120Bk,120C,120M,120Y)に送信する。画像書込部(120Bk,120C,120M,120Y)は、例えば、レーザ光源、回転多面鏡等の偏向器、走査結像光学系及びミラー群(いずれも図示せず)からなるレーザ走査光学系であり、上記の各色信号に対応した4つの書込光路を有し、画像形成部(130Bk,130C,130M,130Y)に各色信号に応じた画像書込を行なう。
まず、測定方法について述べる。
本発明においては、トナー材料液の分散質粒径、分散粒径分布の測定に「マイクロトラックUPA−150」(日機装社製)を用いて測定し、解析ソフト「マイクロトラック パーティクルサイズ アナライザ−Ver.10.1.2−016EE」(日機装社製)を用いて解析を行った。具体的にはガラス製30mlサンプル瓶にトナー材料液、次いでトナー材料液作製に用いた溶媒を添加し、10質量%の分散液を調製した。得られた分散液を「超音波分散器W−113MK−II」(本多電子社製)で2分間分散処理した。
測定するトナー材料液に用いた溶媒でバックグラウンドを測定した後、前記分散液を滴下し、測定器のサンプルローディングの値が1〜10の範囲となる条件で分散粒子径を測定した。本測定法は分散粒子径の測定再現性の点から測定器のサンプルローディングの値が1〜10の範囲となる条件で測定することが重要である。前記サンプルローディングの値を得るために前記分散液の滴下量を調節する必要がある。
測定・解析条件は以下のように設定した。
分布表示:体積、粒径区分選択:標準、チャンネル数:44、測定時間:60sec、測定回数:1回、粒子透過性:透過、粒子屈折率:1.5、粒子形状:非球形、密度:1g/cm^3
溶媒屈折率の値は日機装社発行の「測定時の入力条件に関するガイドライン」に記載されている値のうちトナー材料液に用いた溶媒の値を用いた。
トナーのBET比表面積は、自動比表面積/細孔分布測定装置TriStar3000(島津製作所製)を用いて測定した。トナー1gを専用セルに入れ、TriStar用脱ガス専用ユニット、バキュプレップ061(島津製作所製)を用いて、前記専用セルないの脱気処理を行った。脱気処理は室温下で行い、少なくとも100mtorr以下の減圧条件下で20時間行った。脱気処理を行った専用セルは、TriStar3000を用いて自動でBET比表面積を得ることが出来る。なお、吸着ガスとしてはチッソガスを用いて行った。
トナー粒子を含む水分散体の電気伝導度は、電気伝導率測定装置CT−57101B(東亜ディーケーケー社製)を用いて測定した。室温雰囲気下でトナー粒子を含む水分散体に専用セルを挿入することで、自動で水分散体の電気伝導度を得ることが出来る。
評価に用いたトナーの具体的な作成例について説明する。本発明で用いるトナーは、これらの例に限定されるものではない。
〜未変性ポリエステル(低分子量ポリエステル)の合成〜
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物67質量部、ビスフェノールAプロピオンオキサイド3モル付加物84質量部、テレフタル酸274質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を投入し、常圧下、230℃にて8時間反応させた。次いで、該反応液を10〜15mmHgの減圧下にて5時間反応させて、未変性ポリエステルを合成した。
得られた未変性ポリエステルは、数平均分子量(Mn)が2,100、重量平均分子量(Mw)が5,600、ガラス転移温度(Tg)が50℃であった。
水1000質量部、及びカーボンブラック(「Printex35」;デグサ社製、DBP吸油量=42ml/100g、pH=9.5)540質量部、及び前記未変性ポリエステル1200質量部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて混合した。該混合物を二本ロールで150℃にて30分混練した後、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン社製)で粉砕して、マスターバッチを調製した。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81質量部、テレフタル酸283質量部、無水トリメリット酸22質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を仕込み、常圧下で、230℃にて8時間反応させた。次いで、10〜15mHgの減圧下で、5時間反応させて、中間体ポリエステルを合成した。得られた中間体ポリエステルは、数平均分子量(Mn)が2,100、重量平均分子量(Mw)が9,600、ガラス転移温度(Tg)が55℃、酸価が0.5、水酸基価が49であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、前記中間体ポリエステル411質量部、イソホロンジイソシアネート89質量部、及び酢酸エチル500質量部を仕込み、100℃にて5時間反応させて、プレポリマー(前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体)を合成した。得られたプレポリマーの遊離イソシアネート含有量は、1.60質量%であり、プレポリマーの固形分濃度(150℃、45分間放置後)は50質量%であった。
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、イソホロンジアミン170質量部及びメチルエチルケトン75質量部を仕込み、50℃にて5時間反応を行い、ケチミン化合物(活性水素基含有化合物)を合成した。
得られたケチミン化合物(活性水素機含有化合物)のアミン価は418mgKOH/gであった。
ビーカー内に前記未変性ポリエステル100質量部、酢酸エチル130質量部を、攪拌し溶解させた。次いで、カルナウバワックス(分子量=1,800、酸価=2.5、針入度=1.5mm(40℃))10質量部、及び前記マスターバッチ10質量部を仕込み、ビーズミル(「ウルトラビスコミル」;アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/s、及び0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填した条件で3パスして原料溶解液を調製し、前記プレポリマーを40質量部添加し、攪拌した後、[トナー材料の溶解乃至分散液]を調製した。
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)16部、スチレン83部、メタクリル酸83部、アクリル酸ブチル110部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[樹脂微粒子分散液]を得た。[樹脂微粒子分散液]の体積平均粒径(堀場製作所製 LA−920で測定)は、42nmであった。
〜水系媒体(I0)相の調製〜
水660質量部、前記微粒子分散液A1 25質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%の水溶液(「エレミノールMON−7」;三洋化成工業製)25質量部、及び酢酸エチル60質量部を混合撹拌し、乳白色の液体(水相)を得た。
前記水系媒体(I0)相150質量部を容器に入れ、TK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用い、回転数12,000rpmで攪拌し、これに前記トナー材料の溶解乃至分散液100質量部及びケチミン化合物0.35質量部を添加し、10分間混合して乳化乃至分散液(乳化スラリー)を調製した。
脱気用配管、攪拌機及び温度計をセットしたフラスコに、前記乳化スラリー100質量部を仕込み、攪拌周速20m/分で攪拌しながら30℃にて12時間減圧下、脱溶剤し脱溶剤スラリーとした。
前記脱溶剤スラリー全量を減圧濾過した後、濾過ケーキに、水系媒体(I)としてのイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合、再分散(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過する操作を3回行い、再分散した水分散体の伝導度が10μS/cm以下になったところで洗浄スラリーとした。
攪拌機及び温度計をセットしたフラスコに、得られた洗浄スラリーを攪拌周速20m/分で攪拌しながら50℃で60分間攪拌下、加熱処理した後濾過した。
得られた濾過ケーキを順風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体粒子aを得た。
トナー母体粒子aを100質量部に対して、平均粒径100nmの疎水性シリカ0.6質量部と、平均粒径20nmの酸化チタン1.0質量部と、平均粒径15nmの疎水性シリカ微粉体を0.8部とをヘンシェルミキサーにて混合し、トナーaを得た。
加熱処理温度を55℃に変更した以外は実施例1と同様にトナーbを作成した。加熱処理後の水分散体の電気伝導度は40μS/cmであり、母体粒子の帯電量が3μC/g低下したが、帯電特性において課題を十分に達成出来るものであった。
加熱処理温度を45℃に変更した以外は実施例1と同様にトナーcを作成した。加熱処理後の水分散体の電気伝導度は15μS/cmであり、母体粒子の帯電量が1μC/g低下したが、帯電特性において課題を十分に達成出来るものであった。
加熱処理時間を180分に変更した以外は実施例1と同様にトナーdを作成した。加熱処理後の水分散体の電気伝導度は46μS/cmであり、母体粒子の帯電量が4μC/g低下したが、帯電特性において課題を十分に達成出来るものであった。
加熱処理時間を10分に変更した以外は実施例1と同様にトナーeを作成した。加熱処理後の水分散体の電気伝導度は13μS/cmであり、母体粒子の帯電量が1μC/g低下したが、帯電特性において課題を十分に達成出来るものであった。
〜トナーiの製造〜
加熱処理温度を65℃に変更した以外は実施例1と同様にトナーiを作成した。加熱処理後の水分散体の電気伝導度は72μS/cmであり、母体粒子の帯電量が8μC/g低下したが、母体粒子同士の凝集が著しく、造粒性の点で改善は見込めなかった。
〜トナーjの製造〜
加熱処理時間を600分に変更した以外は実施例1と同様にトナーjを作成した。加熱処理後の水分散体の電気伝導度は74μS/cmであり、母体粒子の帯電量が10μC/g低下した。帯電特性においては課題を達成するのが困難であった。
次に、トナーの実機評価に用いたキャリアの具体的な作製例について説明する。本発明で用いるキャリアは、これらの例に限定されるものではない。
〜キャリア〜
アクリル樹脂溶液(固形分50wt%) 21.0部
グアナミン溶液(固形分70wt%) 6.4部
アルミナ粒子[0.3μm、固有抵抗1014(Ω・cm)] 7.6部
シリコーン樹脂溶液 65.0部
[固形分23wt%(SR2410:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
アミノシラン 1.0部
[固形分100wt%(SH6020:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
トルエン 60部
ブチルセロソルブ 60部
上記キャリア原料をホモミキサーで10分間分散し、アルミナ粒子を含むアクリル樹脂及びシリコーン樹脂の被覆膜形成溶液を得た。芯材として焼成フェライト粉[(MgO)1.8(MnO)49.5(Fe2O3)48.0:平均粒径;25μm]に上記被覆膜形成溶液を芯材表面に膜厚0.15μmになるようにスピラコーター(岡田精工社製)により塗布し乾燥し被覆フェライト粉を得た。得られた被覆フェライト粉を電気炉中にて150℃で1時間放置して焼成した。冷却後フェライト粉バルクを目開き106μmの篩を用いて解砕し、キャリアを得た。結着樹脂膜厚測定は、透過型電子顕微鏡にてキャリア断面を観察することにより、キャリア表面を覆う被覆膜を観察することができるため、その膜厚の平均値をもって膜厚とした。こうして、重量平均粒径35μmのキャリアAを得た。
上記トナーa〜e、i、jと上記キャリアAを用い、キャリア100質量部に対しトナー7質量部を容器が転動して攪拌される型式のターブラミキサーを用いて均一混合し帯電させて2成分系現像剤a〜e、i、jを作製した。
(帯電低下率)
リコー創造開発株式会社製のVブローオフ装置を用いて、加熱処理前後でのトナーの帯電量を測定し、加熱処理前後でのトナー粒子の帯電量の下がり幅を評価した。なお、評価基準は下記の通り、加熱処理前後でのトナー帯電量の下がり幅で実施した。
○・・・4μC/g未満
△・・・4μC/g以上8μC/g未満
×・・・8μC/g以上
(体積平均粒径(Dv))
ベックマンコールター社製の粒度測定器「マルチサイザーIII」を用いて、トナーの体積平均粒径(Dv)を測定し、加熱処理によるトナー粒子の凝集を評価した。なお、評価基準は下記の通り、狙いの体積平均粒径(Dv)からのズレ幅で実施した。
○・・・0.3μm未満
△・・・0.3μm以上0.5μm未満
×・・・0.5μm以上
(BET比表面積)
島津製作所製の自動比表面積/細孔分布測定装置TriStar3000を用いてトナーのBET比表面積を測定し、加熱処理によるトナー粒子の表面性状を評価した。なお、評価基準は下記の通り、狙いのBET比表面積からのズレ幅で実施した。
○・・・0.4m2/g未満
△・・・0.4以上0.6m2/g未満
×・・・0.6m2/g以上
500 ローラ式帯電装置
501 帯電ローラ
502 芯金
503 導電ゴム層
504 電源
505 感光体
510 ブラシ式帯電装置
511 ファーブラシローラ
512 芯金
513 ブラシ部
514 電源
515 感光体
600 現像器
601 現像スリーブ
602 電源
603 現像部
604 感光体
605 トナー
700 定着装置
710 加熱ローラ
720 定着ローラ
721 芯金
722 弾性部材
730 無端帯状の定着ベルト
731 基体
732 発熱層
733 中間層
734 離型層
740 加圧ローラ
741 芯金
742 弾性部材
760 誘導加熱手段
761 励磁コイル
762 コイルガイド板
763 励磁コイルコア
764 励磁コイルコア支持部材
770 記録材
800 プロセスカートリッジ
801 感光体
802 帯電手段
803 現像手段
804 現像剤
805 現像手段
806 クリーニング手段
(図8について)
100 画像形成装置
120Bk,120C,120M,120Y 画像書込部
130Bk,130C,130M,130Y 画像形成部
140 給紙部
150 定着装置
160 レジストローラ対
170 2次転写ローラ
180 2次転写ベルト
200Bk,200C,200M,200Y 現像装置
210Bk,210C,210M,210Y 感光体
215Bk,215C,215M,215Y 帯電装置
220 中間転写ベルト
230Bk,230C,230M,230Y 1次転写装置
241,242,243 導電性ローラ
250Bk,250C,250M,250Y トナー移送管
260 中間転写ベルトクリーニング装置
261 導電性ファーブラシ
262 プレ転写チャージャ
300Bk,300C,300M,300Y クリーニング装置
500 転写ベルト
502 プレ転写チャージャ
600 2次転写ローラ
(図9について)
10感光体
14,15,16 支持ローラ
17 中間転写体クリーニング装置
18 画像形成手段
21 露光装置
22 2次転写装置
23 ローラ
24 2次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
49 レジストローラ
51 手差しトレイ
50 中間転写体
53 手差し給紙路
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排出トレイ
58 分離ローラ
62 転写帯電器
100 画像形成装置
110 複写装置本体
120 タンデム画像形成装置
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置
Claims (14)
- 少なくとも結着樹脂を含むトナー粒子を含むトナーの製造方法であって、該トナー粒子を水系媒体(I)中で分散し水分散体とした後、前記水分散体を加熱処理する工程を含み、該加熱処理工程後の前記水分散体の電気伝導度が、加熱処理前の前記水分散体に比べ50μS/cm以下の範囲で上昇することを特徴とするトナーの製造方法。
- 少なくとも結着樹脂を含むトナーの製造方法であって、トナー粒子を水系媒体(I)中で分散し水分散体とする工程Aと、前記水分散体の電気伝導度を30μS/cm以下まで下げる工程Bと、攪拌下で前記水分散体を加熱処理する工程Cを含み、前記工程Bから工程C間における水分散体の電気伝導度の上昇幅が50μS/cm以下であることを特徴とするトナーの製造方法。
- 前記工程Bにおいて、前記水分散体をトナーのTg±10℃の範囲内で加熱することを特徴とする請求項2に記載のトナーの製造方法。
- 前記工程Bにおいて、前記水分散体を攪拌下で1〜180分加熱処理することを特徴とする請求項2または3のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
- 前記工程Cにおいて、水分散体に含まれるイオン性物質の濃度の上昇幅が40ppm以下であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
- 前記トナー粒子は、少なくとも結着樹脂又は結着樹脂前駆体及び着色剤を含むトナー材料を有機溶媒に溶解又は分散してなるトナー材料の有機溶媒液を、水系媒体(I0)中に添加して乳化乃至分散させて乳化乃至分散液を作成し、前記乳化乃至分散液から有機溶媒を除去して形成したものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
- 前記水系媒体(I0)は平均粒子径が5〜50nmのアニオン性の樹脂微粒子とアニオン性界面活性剤とを含むものであることを特徴とする請求項6に記載のトナーの製造方法。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の製造方法により製造されたトナー。
- BET比表面積が0.5〜4.0m2/gであることを特徴とする請求項8に記載のトナー。
- 電子写真感光体を帯電手段により帯電させる帯電工程と、前記帯電された電子写真感光体上に露光手段により静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像を形成された電子写真感光体上にトナーを含む現像手段によりトナー像を形成する現像工程と、前記電子写真感光体上に形成されたトナー像を一次転写手段により中間転写体上に転写する一次転写工程と、前記中間転写体上に転写されたトナー像を二次転写手段により記録材上に転写する二次転写工程と、前記記録材上に転写されたトナー像を熱及び圧力定着部材を含む定着手段により記録材上に定着させる定着工程と、前記一次転写手段によりトナー像を中間転写体上に転写した電子写真感光体の表面に付着している転写残トナーをクリーニング手段によりクリーニングするクリーニング工程とを備え、前記現像工程におけるトナーが請求項8または9に記載のトナーであることを特徴とするフルカラー画像形成方法。
- 前記二次転写工程において、トナー像の記録材への転写の線速度は100〜1000mm/secであり、二次転写手段のニップ部での転写時間は0.5〜60msecであることを特徴とする請求項10に記載のフルカラー画像形成方法。
- タンデム方式の電子写真画像形成プロセスを採用したことを特徴とする請求項10又は11に記載のフルカラー画像形成方法。
- 電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、前記帯電された電子写真感光体上に静電潜像を形成する露光手段と、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーによりトナー像とする現像手段と、前記電子写真感光体上に形成されたトナー像を中間転写体を介して又は介さずに記録材上に転写する転写手段と、前記記録材上に転写されたトナー像を熱及び圧力定着部材により記録材上に定着させる定着手段定着工程と、前記転写手段によりトナー像を中間転写体又は記録材上に転写した後の電子写真感光体表面に付着している転写残トナーをクリーニングするクリーニング手段とを備えた画像形成装置における各手段のうち、少なくとも前記電子写真感光体、及び請求項8又は9に記載のトナーを備えた現像手段を、一体に支持して画像形成装置本体に着脱自在としたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 前記帯電手段、前記転写手段及び前記クリーニング手段から選ばれる少なくとも一つの手段をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載のプロセスカートリッジ。
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