JP2011183861A - 鉄道車両の車体傾斜装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】コンプレッサの消費電力を低減でき、コンプレッサの小型化を図る。
【解決手段】台車5に対して車体2を支持する進行方向に対して左右に対をなす1対の空気バネ6,7と、これら空気バネ6,7に供給する加圧エアを貯留するメインタンク8と、このメインタンク8に加圧エアを供給するコンプレッサ9とを有する鉄道車両1の車体傾斜装置において、左右の空気バネ6,7から夫々延びる1対の排気通路23,24と、1対の排気通路23,24に夫々介装された1対の排気弁25,26と、1対の排気通路23,24に接続され且つ空気バネ6,7から排気された排気加圧エアを貯留する排気エアタンク15と、排気エアタンク15からコンプレッサ9の吸入口9aへ排気加圧エアを還流させる還流通路30を設けている。これにより、メインタンク8とコンプレッサ9の小型化、コンプレッサ9の消費エネルギー及び排気騒音を低減できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、台車と車体との間に進行方向に対して左右1対の空気バネを配置し、これら空気バネの高さを空気バネ内への加圧エアの給排気により制御して車体を傾斜可能とする鉄道車両の車体傾斜装置に関し、特に空気バネ内から排気される圧縮空気を空気バネの給気側へ還流する鉄道車両の車体傾斜装置に関する。
従来より、鉄道車両の旋回走行時における乗客の乗り心地を改善するため、曲線区間において旋回外側のレール高さを旋回内側のレール高さよりも高くするようにレールに高低差(カント)が設けられている。これにより、旋回走行時の車両は、旋回内側に傾斜した姿勢となり、車両に加わる遠心力の車体床面に平行な成分を低減することができると共に車両に加わる車体床面に垂直な成分を増大して走行安定性を増して、乗客の乗り心地を改善している。
カントを大きくした場合、速度が低い車両や停止車両が横転し易くなるため、カントの上限は法規によって定められている。それ故、高速車両が曲線区間を走行するとき、乗客にかかる遠心力を十分に抑制することができない。そこで、旋回走行時に台車に対して車体の姿勢を傾斜可能な車体傾斜装置が提案されている。鉄道車両の車体傾斜方式としては、曲線区間を走行するときに車体に発生する遠心力を利用した振り子式車体傾斜方式、油圧等によるアクチュエータにより車体を強制的に傾斜させる強制車体傾斜方式等があり、強制車体傾斜方式には台車と車体間の枕バネとして用いられる空気バネを利用した空気バネ式車体傾斜方式が存在している。
一般に、車体傾斜装置の空気バネは、車両のブレーキや車両ドア等の駆動動力源として設けられた鉄道車両に搭載されたコンプレッサによって供給される圧縮空気(以下、「加圧エア」と言う。)を貯留可能なMR(Main Reservoir)タンク(以下、「メインタンク」と言う。)に接続され、旋回走行時は、旋回外側の空気バネとメインタンクとを連通して加圧エアを導入し、旋回走行終了時は、旋回外側の空気バネとメインタンクとの間を遮断すると共に旋回外側の空気バネ内の圧縮空気を大気中へ放出している(以下、空気バネ内から排気される圧縮空気を「排気加圧エア」と言う。)。それ故、旋回走行を頻繁に行う曲線区間の場合、左右の空気バネに対する給排気が頻繁に行われ、その結果、メインタンク内の加圧エアの圧力が減少し、車体傾斜装置の作動応答性が低下する。また、メインタンク内の加圧エアの圧力が減少した場合、ブレーキや車両ドア等の作動に支障を生じるため、車体傾斜装置の作動制限が必要になる虞もある。そこで、空気バネによる加圧エアの消費量やコンプレッサの消費電力量を削減する車体傾斜装置も種々提案されている。
特許文献1には、台車の進行方向に対して左右両側に配置され車体を支持する左右1対の空気バネと、左右1対の空気バネを接続するパイプと、このパイプの間に可逆可変速回転可能な空気ポンプを備え、進行する車両がカント不足になる曲線区間を走行するとき、空気ポンプにより旋回内側の空気バネ内の加圧エアを旋回外側の空気バネ内へ送り込み、旋回外側の空気バネ高さを高くする車体傾斜装置が開示されている。
特許文献2は、曲線検出器と、コンプレッサにより加圧された外気を貯留可能な空気溜と、空気溜と接続した左右1対の空気バネと、夫々の空気バネにオリフィスを介して連通した第1補助空気室と、切換弁を介して第1補助空気室に連通した第2補助空気室等を備え、旋回走行時、旋回外側の切換弁を閉じて補助空気室を第1補助空気室のみに縮小した上で旋回外側の空気バネに加圧エアを給気し、旋回終了時、切換弁を開き補助空気室を拡大して旋回外側の空気バネ内から加圧エアを大気中へ排出する車体傾斜装置が開示されている。
特許文献3は、車体と台車との間に配設された1対の空気バネと、空気バネに給気可能な制御用空気圧回路と、空気バネの伸縮量を計測する伸縮量計測器と、曲線区間判定手段と、超過遠心加速度算出手段と、カント量過不足算出手段と、制御量算出手段等を備え、車両が曲線区間に到達したと判定されたとき、超過遠心加速度に基づきカント量の過不足を算出し、そのカント量の過不足を解消するように空気バネ内の加圧エアを給排制御して空気バネの伸縮量を調整している。
特開昭64−47672号公報 特開平5−238387号公報 特開平7−81558号公報
特許文献1の車体傾斜装置は、一方の空気バネから他方の空気バネへ加圧エアを給気する専用の可逆可変速回転可能な空気ポンプが必要となるため、設備が大掛かりとなり製作コストの面で問題がある。また、一方の空気バネ(台車に対する車体の旋回外側の高さ)を上昇する場合、一方の空気バネに他方の空気バネの排気加圧エアを供給する必要があり、車体傾斜装置の制御が複雑になる虞がある。
特許文献2の車体傾斜装置は、左右1対の空気バネがメインタンク(空気溜)から供給された加圧エアによって夫々独立して作動可能且つ空気バネの補助空気室が縮小・拡大可能に構成されている。しかし、旋回走行時、旋回内側の空気バネ内から大気中へ放出する排気加圧エア量と、コンプレッサにより外気を圧縮した加圧エアを貯留するメインタンクから旋回外側の空気バネ内へ供給される加圧エア量との合計に相当する加圧エアが消費される。
それ故、大気圧の外気をコンプレッサにより大量に圧縮してメインタンク内へ補充するため、コンプレッサの負荷が大きく、コンプレッサの消費電力量が増加し、コンプレッサが大型化するうえ、メインタンクへ加圧エアを充填する頻度も多くなるため、大型のメインタンクが必要となる。空気バネ内から排気加圧エアを大気中へ放出する際には、排気騒音が発生し、コンプレッサの負荷増加により騒音や振動が増する。
特許文献3の車体傾斜装置は、車体重量を殆ど増加することなく、カント量の過不足を解消するように空気バネ内の加圧エアを給排制御して超過遠心加速度を抑制している。しかし、曲線区間走行の度に、曲線区間の入口において旋回外側の空気バネ全高を上昇させるために供給された加圧エアが、曲線区間の出口において同じ旋回外側の空気バネ全高を上昇した状態から元の通常の高さまで下降させるために大気へ排気(消費)されるため、排気騒音と外気を圧縮するコンプレッサの電力量の増加等の面で特許文献2の車体傾斜装置と同様の課題が残る。
本発明の目的は、コンプレッサの消費電力量を低減する車体傾斜装置、メインタンク内の加圧エアの消費を抑制可能な車体傾斜装置、空気バネによる車体傾斜装置の作動応答性の低下を防止可能な車体傾斜装置、エア排気時の排気加圧エアによる排気騒音を低減可能な車体傾斜装置等を提供することである。
請求項1の鉄道車両の車体傾斜装置は、台車に対して車体を支持する進行方向に対して左右に対をなす少なくとも1対の空気バネと、これら空気バネに供給する加圧エアを貯留するメインタンクと、このメインタンクに加圧エアを供給するコンプレッサとを有する鉄道車両の車体傾斜装置において、左右の空気バネから夫々延びる1対の排気通路と、前記1対の排気通路に夫々介装された1対の排気弁手段と、前記1対の排気通路に接続され且つ前記空気バネから排気された排気加圧エアを貯留する排気エアタンクと、前記排気エアタンクからコンプレッサの吸入口へ排気加圧エアを還流させる還流通路とを設けたことを特徴としている。
この車体傾斜装置においては、空気バネから排気された排気加圧エアを貯留する排気エアタンクと排気エアタンクからコンプレッサの吸入口へ排気加圧エアを還流させる還流通路とを備えたため、空気バネ内の加圧エアを大気中に放出することなく、空気バネから排気された排気加圧エアをコンプレッサを介してメインタンクに還流することができる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記メインタンクから延びるエア供給通路を介して左右の空気バネに接続された1対の給気通路と、これら給気通路に夫々介装された1対のエア供給用調整弁とを備えたことを特徴としている。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記排気エアタンクから延びるタンク排気通路と、前記タンク排気通路に介装されたエア放出用排気弁と、前記排気エアタンクに外気を吸入可能な逆止弁付きの外気吸入路とを備えたことを特徴としている。
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記1対の空気バネ内の加圧エアの圧力を検出する1対の第1圧力検出手段と、前記排気エアタンク内の排気加圧エアの圧力を検出する第2圧力検出手段と、前記1対の第1圧力検出手段の検出信号と第2圧力検出手段の検出信号とを受ける制御手段であって、前記1対のエア供給用調整弁と1対の排気弁手段とエア放出用排気弁とを制御する制御手段とを備えたことを特徴としている。
請求項5の発明は、請求項1〜4の何れか1つの発明において、前記排気弁手段は、通路面積を連続的に変更可能に構成されたことを特徴としている。
請求項6の発明は、請求項1〜4の何れか1つの発明において、前記排気弁手段は、並列接続された複数の開閉弁を有し、通路面積を不連続的に変更可能に構成されたことを特徴としている。
請求項7の発明は、請求項1〜6の何れか1つの発明において、前記還流通路には、コンプレッサへ外気を吸入させる位置と排気加圧エアを吸入させる位置とに切換え可能な三方切換弁を設けたことを特徴としている。
請求項8の発明は、請求項4の発明において、前記制御手段は、台車に対する車体の傾斜角の指令信号に基づき、旋回走行における旋回外側の空気バネの全高が旋回内側の空気バネの全高よりも高くなるように1対のエア供給用調整弁と1対の排気弁手段とエア放出用排気弁とを制御することを特徴としている。
請求項1の発明によれば、旋回走行時には、旋回外側の空気バネに加圧エアを供給して台車に対する車体の傾斜角を調整しながら、旋回走行終了時に、排気加圧エアを大気中へ放出せずに、空気バネから排気エアタンクに排気し、その排気加圧エアを還流通路を介してメインタンクに還流するため、大気圧の外気を圧縮して加圧エアをメインタンクに供給する場合と比べてコンプレッサの負荷を低減しその消費電力を大幅に低減でき、コンプレッサの小型化を図ることができる。
しかも、コンプレッサからメインタンクへ加圧エアを充填する充填能力が増すため、メインタンク内の加圧エアの圧力低下を防止でき、メインタンクの小型化を図ることもできる。コンプレッサの負荷が低減するため、コンプレッサの作動に起因する騒音や振動等を抑えることもできるうえ、空気バネ内の加圧エアを大気中へ放出しないため、エア排気時の排気加圧エアによる排気騒音を低減することができる。
請求項2の発明によれば、1対のエア供給用調整弁を介してメインタンクから1対の空気バネに夫々加圧エアを供給でき、簡単な構成で夫々の空気バネを独立して制御できる。
請求項3の発明によれば、排気エアタンク内のエア圧を大気圧以上の所定の圧力範囲に保つことができ、圧力差を利用して排気加圧エアを空気バネから排気エアタンクへ排出し、排気エアタンクからコンプレッサの吸入口へ供給することができる。
請求項4の発明によれば、第1,第2圧力検出手段で検出したエア圧に基づいて、排気エアタンク内の圧力を空気バネ内の圧力より低く圧力制御できるため、空気バネから排気エアタンクへの排気加圧エアの排出を圧力差を利用して確実に制御することができ、空気バネを含む車体傾斜装置の作動応答性の低下を防止できる。
請求項5の発明によれば、排気弁手段は排気加圧エアが流れる通路面積を連続的に変更可能であるため、空気バネから排気エアタンクへ排気加圧エアを排気する際の排出速度を連続的に制御することができる。
請求項6の発明によれば、並列接続された複数の開閉弁を有し、排気加圧エアが流れる通路面積を不連続的に変更可能なため、簡単な構成で空気バネから排気エアタンクへ排気加圧エアを排気する際の排出速度を調節することができる。
請求項7の発明によれば、三方切換弁がコンプレッサへ外気を吸入させる位置と排気加圧エアを吸入させる位置とに切換え可能であるため、コンプレッサへ外気を吸入したり、排気加圧エアを吸入したりすることができる。
請求項8の発明によれば、車両の旋回走行状態のときメインタンクから旋回外側の空気バネへ加圧エアを供給して車体を傾斜させることで乗客の乗り心地の悪化を防止できる。
本発明の実施例1に係る鉄道車両の正面から見た概略縦断面図である。 鉄道車両の信号の流れを示す概略平面図である。 車体傾斜装置の制御ブロック図である。 旋回走行時の図1相当図である。 実施例2に係る排気弁を含む要部拡大図である。
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
尚、以下の実施例において、鉄道車両の進行方向に対して前後方向を前後方向とし、鉄道車両の進行方向に対して左右方向を左右方向として説明する。
以下、本発明の実施例1について図1〜図4に基づいて説明する。
ボルスタレス式鉄道車両1は、乗客が搭乗する車体2と、軌道3を走行する車輪4を有する台車5と、車体2と台車5との間に介設され台車5に対して車体2を支持すると共に進行方向に対して左右に対をなす空気バネ6,7等を備えている。鉄道車両1には、1つの車体2に対して前後1対の台車5を設け、1つの台車5に対して左右1対の空気バネ6,7を夫々設けている。
車体傾斜装置は、前後夫々に設けられた左右1対の空気バネ6,7に給気する加圧エアを貯留するメインタンク8と、メインタンク8に加圧エアを供給するコンプレッサ9と、左右1対の空気バネ6,7を有し車体2を左右に傾斜動作可能な前後1対の空気バネ機構10と、車体2を傾斜動作させるための制御量を演算し且つこの制御量に基づき空気バネ機構10を制御可能な制御部11(制御手段)等を有している。尚、前側の空気バネ機構10と後側の空気バネ機構10は、同様の構成であるため、以下、前側の空気バネ機構10について説明し、後側の空気バネ機構10の説明を省略する。
メインタンク8には、メインタンク8内の加圧エアのエア圧P1を検出する圧力センサ34が設けられ、前側の空気バネ機構10の空気バネ6,7と後側の空気バネ機構10の空気バネ6,7に加圧エアを供給する1対のエア供給通路12の一端部と、コンプレッサ9の吐出口とが接続されている。メインタンク8に貯留された加圧エアは、空気バネ6,7の他に、車両1の制動装置(図示略)やドア駆動装置(図示略)へ駆動源として供給される。それ故、メインタンク8内の加圧エアのエア圧P1は、所定圧力以上を維持するように制御される。
メインタンク8に加圧エアを供給するコンプレッサ9は、メインタンク8に貯留された加圧エアが所定圧力P1(例えば0.8〜0.9MPa)になるように駆動される。コンプレッサ9の吸入口9aには、後述する排気エアタンク15から排気加圧エアを還流するための還流通路30が三方切換弁33を介して接続されている。
空気バネ機構10は、左右1対の空気バネ6,7と、これら空気バネ6,7について夫々の加圧エアのエア圧P2L,P2Rを検出する1対の圧力センサ13,14(第1圧力検出手段)と、排気エアタンク15と、排気エアタンク15内の排気加圧エアのエア圧P3を検出する圧力センサ16(第2圧力検出手段)等を備えている。
図1に示すように、左右1対の空気バネ6,7は、バネ座と上面板との間に伸縮可能なダイヤフラム式ゴムベローズを有する公知のダイヤフラム式空気バネである。空気バネ6,7には、加圧エア(例えば、0.3〜0.4MPa)が充填されている。空気バネ6,7の加圧エアの圧力は、乗客の総重量に応じて車高が一定となるように調整される。
空気バネ6,7は、台車5に組込まれた左右1対の補助空気室17,18の上側に夫々直列2段構成になるよう一体的に配置され、1対の空気バネ6,7の内部と補助空気室17,18の内部とはオリフィス17a,18aにより夫々連通される。それ故、空気バネ6,7に所定の荷重がかかったとき、空気バネ6,7内に貯留された加圧エアによるクッション機能に加え、空気バネ6,7内の加圧エアがオリフィス17a,18aを介して補助空気室17,18の内部へ流量を絞られた状態で供給されるため、オリフィス部で加圧エアの流動に対して抵抗となるので、高いダンパ効果を得ることができる。
左右1対の空気バネ6,7には、メインタンク8から延びるエア供給通路12の他端部から分岐され加圧エアを供給可能な1対の給気通路19,20が夫々接続されている。給気通路19,20の途中部には、夫々、エア供給用調整弁21,22が設けられている。エア供給用調整弁21,22は、制御部11からの指令信号により夫々独立して開度調整され、給気通路19,20を流れる加圧エアの流量を調整する。
以上により、エア供給用調整弁21を開弁作動したとき、加圧エアがメインタンク8からエア供給通路12と給気通路19を介して左側の空気バネ6内へ給気され、空気バネ6の全高(車体左側)を高くし、エア供給用調整弁22を開作動したとき、加圧エアがメインタンク8からエア供給通路12と給気通路20を介して右側の空気バネ7内へ給気されて空気バネ7の全高(車体右側)を高くする。
左右1対の空気バネ6,7には、内部の加圧エアを排出可能な1対の排気通路23,24が夫々接続されている。排気通路23,24の途中部には、排気弁(排気弁手段)25,26が夫々設けられている。排気通路23,24の夫々の下流端は、排気エアタンク15に接続された排気集合通路27に夫々接続されている。排気弁25,26は、制御部11からの指令信号により夫々独立して排気加圧エアが流れる通路面積を連続的に変更可能であり、排気通路23,24を流れる排気加圧エアの流量を調整可能である。
以上により、排気弁25を開作動したとき、排気加圧エアが空気バネ6から排気通路23と排気集合通路27を介して排気エアタンク15内へ排出され、排気弁26を開作動したとき、排気加圧エアが空気バネ7から排気通路24と排気集合通路27を介して排気エアタンク15内へ排出される。これにより、空気バネ6,7の全高を夫々独立に低く調整可能である。
排気エアタンク15は、所定容量(例えば100L)の排気加圧エア(例えば、圧力が0.1〜0.2MPa)を貯留可能な貯留槽として構成され、排気エアタンク15には前記の排気集合通路27と、タンク排気通路28と、外気吸入路29と、還流通路30とが接続されている。タンク排気通路28は、下流端が大気中へ開口し、その途中部に流量調整可能なエア放出用排気弁31を有する。それ故、エア放出用排気弁31を開作動したとき、排気エアタンク15から排気加圧エアをタンク排気通路28を介して大気中へ放出し、排気エアタンク15内のエア圧P3が低下する。尚、エア放出用排気弁31は電圧印加時に開作動するノーマルオープン型の弁であるため、エア放出用排気弁31が断線等電気的に故障した場合、排気エアタンク15内の排気加圧エアを大気中へ放出するため排気エアタンク15内の過剰な圧力上昇を防止できる。
外気吸入路29は、上流端が大気中へ開口し、その途中部に外気を吸入可能な逆止弁32を備えている。逆止弁32は、排気エアタンク15内から大気中への排気加圧エアの放出を禁止し、大気中から排気エアタンク15への外気吸入を許容する。それ故、排気エアタンク15内の圧力P3が大気圧P0より低下したとき、排気エアタンク15内へ外気を吸入することにより排気エアタンク15内の圧力P3が大気圧P0以上になるよう圧力調整している。
還流通路30は、一端部が排気エアタンク15に接続され、他端部がコンプレッサ9の吸入口9aに三方切換弁33を介して接続されている。前側の還流通路30の他端部と後側の還流通路30の他端部とを合流し、その合流通路30aに三方切換弁33が設けられている。三方切換弁33は、制御部11からの指令信号によりコンプレッサ9が外気を吸入する第1位置と排気加圧エアを吸入する第2位置とに切換え可能に構成される。尚、三方切換弁33は、通常は排気加圧エアを吸入する第2位置に設定されている。
制御部11は、CPUとROMとRAMとを含むコンピュータ等を有し、車体傾斜制御機能と、排気エアタンク内エア圧制御機能とを備えている。制御部11には、自車位置検出装置(図示略)により検出された外部情報(自車位置、走行速度、進行方向等)が入力される。更に、制御部11には、圧力センサ13,14,16,34から圧力検出信号が入力され、エア供給用調整弁21,22と排気弁25,26とエア放出用排気弁31と三方切換弁33とを制御する。
次に、上記の車体傾斜制御機能について説明する。
制御部11は、台車5に対する車体2の傾斜角の指令信号に基づき、旋回走行時における旋回外側の空気バネの全高が旋回内側の空気バネの全高よりも高くなるようにエア供給用調整弁21,22の一方を制御している。
制御部11は、自車位置検出装置で検出された外部情報を線路曲線データベース(図示略)に対照させて車両存在位置における軌道3の曲率、カント量Cを求め、その曲率、カント量Cに基づき必要な車体傾斜指令角を演算する。この車体傾斜指令角に基づき、旋回外側となる何れか一方の空気バネ6,7の全高を設定し、前記一方の空気バネ6,7に対する加圧エアの給気量を演算する。
制御部11は、加圧エアの給気量に対応して対応する何れか一方のエア供給用調整弁21,22の開弁量を演算し、その指令信号を出力する。
自車位置検出装置は、例えばロータリエンコーダにより得られた車輪回転数に車輪径を乗じて得た値を走行距離として積算し、軌道3の近傍に設置されたATS(自動列車停止装置)やATC(自動列車制御装置)の地上子位置からの積算走行距離によって自車位置を算出する。
以上により、図4に示すように、例えば左旋回走行のとき、エア供給用調整弁21と排気弁25,26を閉弁状態に保持し、エア供給用調整弁22を開作動し、旋回走行における旋回外側の空気バネ7の全高を旋回曲率とカント量Cと走行速度に応じて高くする。これにより、車体2を台車5に対して最終的に1〜2°傾斜させて、車両1に加わる遠心力の車体床面に平行な成分を低減させ、車両1に加わる車体床面に垂直な成分を増大させる。
制御部11は、入口緩和曲線区間での旋回走行開始時には、車体傾斜指令角に基づき、空気バネ7の全高を設定し、その設定値と、現在の実際の空気バネ7の全高との偏差を演算する。偏差の大きさに応じて、エア供給用調整弁22の開弁量を調整し、空気バネ7に対する加圧エアの単位時間当たりの給気量である流量を調整する。偏差が大きいときは流量を大きく調整し、偏差が小さいときは流量を小さく調整することで、空気バネ7の全高の設定値に、空気バネ7の実際の全高を追従させるように制御を行う。制御を正しく実施するためには、エア供給用調整弁22の開弁度と、流量の関係を把握しておくことが必要であるが、この関係は、エア供給用調整弁22の上流側と下流側のエア圧、即ちメインタンク8内のエア圧と、空気バネ7内のエア圧P2Rで決まるが、この2つのエア圧の変動は通常小さいため、この関係は略一定と考えて、エア供給用調整弁22の開弁度と、流量の関係を一度計測しておく等で、把握することができる。
次に、旋回走行終了時には、旋回走行開始の場合と逆に、全高を増大させた空気バネを通常時の全高に戻すように排気制御が実行される。この場合、空気バネ7の現時点における実際の全高と、通常時の全高との偏差を演算する。偏差の大きさに応じて、排気弁26の開弁量を調整し、空気バネ7から排気する加圧エアの単位時間当たりの流量を調整する。偏差が大きいときは流量を大きく調整し、偏差が小さいときは流量を小さく調整することで、空気バネ7の実際の全高を、通常時の全高に戻すよう制御を行う。制御を精度よく実行するには、排気弁26の開弁度と流量の関係を把握しておくことが必要であり、この関係は、排気弁26の上流側と下流側のエア圧、即ち空気バネ7内のエア圧P2Rと排気エアタンク15内のエア圧P3で決めることができる。P2Rにおける変動は小さいが、P3は、空気バネ7から圧力エアが排気されるに従い圧力が上昇するため、変動が大きくなる。そのため、排気弁26の開弁度をP2RとP3とに応じて調整し、必要な流量が空気バネ7から排気エアタンク15に流れるようにする。例えば左旋回走行を終了するとき、制御部11は、以下の式に基づき算出される排気弁26の有効断面積S(≒通路面積)になるように排気弁26を調整し、排気加圧エアの排気流量を、目標流量Qに略一定に維持する。
チョーク流れ(音速流れ)(P3≦0.5×P2R)の場合、
S=K1×1/(P2R) …(1)
尚、Q:目標流量[nl/min]、S:Qを流すために必要な排気弁26の有効断面積[mm]、P2R:空気バネ7内のエア圧力[MPa](絶対圧)、P3:排気エアタンク15内のエア圧力[MPa](絶対圧)、t:空気温度[℃]とし、
K=√(293/(273+t))≒1
K1=Q×(1/120)×(1/K)≒ Q×(1/120)
K2=Q×(1/240)×(1/K)≒ Q×(1/240)
と近似している。
式(1)において、K1は目標流量Qを決めれば決定される値で、P2Rは圧力センサ14から得られる値であるため、排気弁26の有効断面積を式(1)で決まるSになるように調整することで、排気弁26を通過する流量を目標流量Qにコントロールできる。尚、排気弁26を通過する流量は、空気バネ7から排気される流量であり、空気バネ7の全高が下降する速度とほぼ比例関係にあり、予め空気バネの特性を計測し比例関係を把握しておけば、空気バネ7の全高の下降速度の目標値から、目標流量Qを決定することができる。
亜音速流れ(P3>0.5×P2R)の場合、
S=K2×1/((√(P3))×(√(P2R−P3))) …(2)
式(2)において、K2は目標流量Qを決めれば決定される値で、P2Rは圧力センサ14から得られる値、P3は圧力センサ16から得られる値であるため、排気弁26の有効断面積を式(2)で決まるSになるように調整することで、排気弁26を通過する流量を目標流量Qにコントロールできる。なお、排気弁26を通過する流量は、空気バネ7から排気される流量であり、空気バネ7の全高が下降する速度とほぼ比例関係にあり、予め空気バネの特性を計測し比例関係を把握しておけば、空気バネ7の全高の下降速度の目標値から、目標流量Qを決定することができる。
以上により、空気バネ7内から排気エアタンク15内へ排気加圧エアを導入するため、排気エアタンク15内のエア圧P3が次第に上昇しても、空気バネ7内のエア圧P2Rと排気エアタンク15内のエア圧P3とに基づいて式(1)、あるいは式(2)により算出される値に排気弁26の有効断面積S(≒通路面積)を調整することにより、空気バネ7から排気される排気加圧エアの排気流量を、目標流量Qに略合うように調整することができる。尚、左旋回走行の場合の例を説明したが、右旋回走行のときは、前記操作と左右逆の制御を行う。
排気エアタンク内エア圧制御機能について説明する。
制御部11は、圧力センサ13,14,16の検出信号を受けて、排気エアタンク15内のエア圧P3が外気圧より大きく且つ所定圧力P4(但し、P0<P4<P2L、且つP0<P4<P2R)以下となるようにエア放出用排気弁31を制御している。制御部11は、P4<P3のとき、エア放出用排気弁31を開作動して、排気エアタンク15内から排気加圧エアを大気中へ放出する。これにより、排気エアタンク15内のエア圧P3を空気バネ6,7内のエア圧P2L及びP2Rより低く、例えば0.1〜0.2MPaの圧力範囲に制御することができ、排気弁25,26の開作動時、空気バネ6,7内から排気エアタンク15内へ確実に排気加圧エアを排出することができる。
制御装置11、エア供給用調整弁21,22、排気弁25,26、エア放出用排気弁31の何れかが故障した場合には、エア放出用排気弁31を大気開放に切換えると共に、三方切換弁33を排気加圧エアを吸入可能な第2位置から外気を吸入可能な第1位置へ強制的に切換える指令信号を出力する。それ故、フェイル発生時、例えば排気エアタンク15内のエア圧P3が極端な低圧力値になることはなく、三方切換弁33がコンプレッサ9内へ外気を供給する第1位置に制御されるため、メインタンク8内の加圧エアを確保でき、空気バネ6,7による空気バネ制御に異常が発生した場合であっても、車両1の空気系システムへの悪影響を防止することができる。
次に、本車体傾斜装置の作用・効果について説明する。
この車体傾斜装置1では、台車5に対して車体2を支持する進行方向に対して左右に対をなす少なくとも1対の空気バネ6,7と、これら空気バネ6,7に供給する加圧エアを貯留するメインタンク8と、このメインタンク8に加圧エアを供給するコンプレッサ9とを有する鉄道車両1の車体傾斜装置において、左右の空気バネ6,7から夫々延びる1対の排気通路23,24と、1対の排気通路23,24に夫々介装された1対の排気弁25,26と、1対の排気通路23,24に接続され且つ空気バネ6,7から排気された排気加圧エアを貯留する排気エアタンク15と、排気エアタンク15からコンプレッサ9の吸入口9aへ排気加圧エアを還流させる還流通路30とを設けている。
この車体傾斜装置1によれば、旋回走行終了時、空気バネ6,7から排気された排気加圧エアを還流通路30を介してメインタンク8に還流するため、排気加圧エアを大気中へ放出することなく、メインタンク8へ供給するため、エネルギーが残っている排気加圧エアを有効利用できる。つまり、所定の圧力(例えば0.1〜0.2MPa)を有する排気加圧エアをコンプレッサ9の吸入口に還流するため、新規に大気圧の外気を圧縮して加圧エアをメインタンク8に供給する場合と比べてコンプレッサ9の負荷を低減し消費電力を大幅に低減でき、コンプレッサの小型化を図ることができる。
しかも、コンプレッサ9からメインタンク8へ加圧エアを充填する充填能力が増すため、メインタンク8内の加圧エア内の圧力低下を防止でき、メインタンクの小型化を図ることもできる。曲線頻度の高い曲線区間が長く続く場合であっても、メインタンク8内の加圧エアを動力源とするブレーキ等の制動装置やドア駆動装置の作動を保証しつつ、空気バネ6,7を有する空気バネ機構10の作動応答性の低下を防止できる。また、コンプレッサ9の負荷が低減するため、コンプレッサ9の作動に起因する騒音や振動等を抑え、これに伴う乗り心地の悪化を防止できる。また、空気バネ6,7内の加圧エアを大気中へ放出しないため、加圧エアを大気中へ放出することによる排気騒音を低減することができる。
メインタンク8から延びるエア給気通路12を介して左右の空気バネ6,7に接続された1対の給気通路19,20と、これら給気通路19,20に夫々介装された1対のエア供給用調整弁21,22とを備えているため、1対のエア供給用調整弁21,22の開弁動作によりメインタンク8から空気バネ6,7に加圧エアを供給でき、簡単な構成で夫々の空気バネ6,7を独立して制御できる。
排気エアタンク15から延びるタンク排気通路28と、タンク排気通路28に介装されたエア放出用排気弁31と、排気エアタンク15に外気を吸入可能な逆止弁32付きの外気吸入路29とを備えているため、排気エアタンク15内のエア圧を大気圧以上の所定の圧力範囲に保つことができ、圧力差を利用して排気加圧エアを空気バネ6,7から排気エアタンク15へ排出し、排気エアタンク15からコンプレッサ9の吸入口9aへ供給することができる。
メインタンク8内の加圧エアのエア圧P1を検出する圧力センサ34と、左右1対の空気バネ6,7内の加圧エアのエア圧P2L,P2Rを夫々検出する1対の圧力センサ13,14と、排気エアタンク15内の排気加圧エアのエア圧P3を検出する圧力センサ16と、圧力センサ13,14,16,34の検出信号を受ける制御部11であって、1対のエア供給用調整弁21,22と1対の排気弁25,26とエア放出用排気弁31とを制御する制御部11とを備えているため、圧力センサ13,14,16の検出圧力に基づいて、排気エアタンク15内のエア圧P3を空気バネ6,7内のエア圧P2L,P2Rより低く圧力制御できるため、空気バネ6,7から排気エアタンク15への排気加圧エアの排出を圧力差を利用して確実に制御することができ、空気バネ6,7を有する空気バネ機構10の作動応答性の低下を防止できる。
排気弁25,26は、排気通路23,24の通路面積を連続的に変更可能に構成されているため、空気バネ6,7内のエア圧P2L,P2Rや排気エアタンク15内のエア圧P3に拘わらずに空気バネ6,7内から排気エアタンク15への排気加圧エアの排出速度を略一定に制御することができる。
還流通路30には、コンプレッサ9へ外気を吸入させる第1位置と排気加圧エアを吸入させる第2位置とに切換え可能な三方切換弁33を設けているため、メインタンク8内に必要に応じて外気を加圧した加圧エアを補充でき、フェイル時であっても、メインタンク8内の加圧エアの圧力を確保でき、空気バネ6,7内へ加圧エアを供給することができる。
制御部11は、台車5に対する車体2の傾斜角の指令信号に基づき、旋回走行における旋回外側の空気バネの全高が旋回内側の空気バネの全高よりも高くなるように1対のエア供給用調整弁21,22を制御するため、車両1の旋回走行状態に応じてメインタンク8から空気バネ6,7内へ加圧エアを供給することができ、乗客の乗り心地の悪化を防止できる。
次に、実施例2の車体傾斜装置について図5に基づいて説明する。
この車両1の空気バネ機構10Aは、通路面積を連続的に変更可能な排気弁25,26の代わりに通路面積を不連続的に変更可能な排気弁25A,26Aを採用している。実施例1と同様の主要な構成要素には同じ参照符号を付けて図示し、それらについての説明は省略し、異なる構成要素についてのみ説明する。また、排気弁25Aと排気弁26Aは、同様の構成のため、排気弁25Aの構成のみ説明する。
排気通路23は、途中部分において3つの径路、第1〜第3排気通路23a〜23cに分岐し、その後集合するよう構成されている。各第1〜第3排気通路23a〜23cには、空気バネ6から排気エアタンク15への排気加圧エアを遮断可能な第1位置と空気バネ6からの排気加圧エアを排気集合通路27を介して排気エアタンク15に排出可能な第2位置とに電気的に切換え可能な第1〜第3電磁弁25a〜25cを並列状に設置している。各第1〜第3電磁弁25a〜25cは、オフ状態で第1位置となるようバネによって付勢している。
制御部11は、演算した排気量に基づき、空気バネ6から排出する排気加圧エア量が小さな第1エア量のとき、第1電磁弁25aのみを第2位置に制御し、排気加圧エア量が第1エア量よりも大きな第2エア量のとき、第1電磁弁25aと第2電磁弁25bを第2位置に制御し、排気加圧エア量が第2エア量よりも大きな第3エア量のとき、第1〜第3電磁弁25a〜25cを第2位置に制御する。これにより、排出する排気加圧エア量に応じて通路面積を変更でき、簡単な構成で排気加圧エアの排出速度を調節することができる。また、実施例1と同様に、排気弁25A,26Aの通路面積を空気バネ6,7内の圧力P2L,P2Rと排気エアタンク15内の圧力P3とに応じて制御することにより、排気加圧エアの排出速度を略一定に制御することも可能である。
次に、前記実施例を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施例においては、ボルスタレス式鉄道車両の例を説明したが、少なくとも左右1対の空気バネを備えた車両であればよく、ボルスタ式鉄道車両以外の型式の車両に適用可能である。また、車両前後の台車に各々1対の空気バネを備えた車両の例を説明したが、前後の台車に夫々2対の空気バネを設けた車両や1つの車両に1対の空気バネを設けた車両にも適用できる。
2〕前記実施例においては、排気エアタンクを車両前後の空気バネ機構に夫々設けた例を示したが、単一の排気エアタンクを設け、前後の車体傾斜機構が共用することも可能である。また、車両に対して単一のメインタンクを設けた例を示したが、前後の空気バネ機構に夫々専用のメインタンクを設けることもできる。
3〕前記実施例においては、入口緩和曲線区間において、エア供給用調整弁の開度を連続的に調整する例を示したが、複数の開閉弁を並列接続して、数段階の開度に調整することも可能である。
4〕前記実施例においては、自車位置検出装置と線路曲線データベースにより曲線区間の曲率を求める例を示したが、加速度センサ又はジャイロセンサからの検出値と速度センサからの検出値から曲率等を演算してもよい。また、GPSにより自車位置や曲率等を検知することも可能である。
5〕前記実施例においては、空気バネを補助空気室の上側に直列2段構成になるよう配置し、両者を夫々オリフィスにより連通した例を示したが、空気バネと補助空気室との間を流量調整弁により接続し、ダンパ機能が必要なとき、連通面積を小さくし、それ以外のときには連通面積を大きくすることも可能である。
6〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
本発明は、台車と車体との間に進行方向に対して左右1対の空気バネを配置し、これら空気バネの高さを空気バネ内への加圧エアの給排気により制御して車体を傾斜可能とする鉄道車両の車体傾斜装置において、特に空気バネからの排気加圧エアを回収する排気エアタンクを設け、排気エアタンクからコンプレッサへ還流することにより、メインタンクとコンプレッサの小型化、コンプレッサの消費エネルギー及び排気騒音を低減できる。
1 鉄道車両
2 車体
5 台車
6 (左側)空気バネ
7 (右側)空気バネ
8 メインタンク
9 コンプレッサ
9a (コンプレッサ)吸入口
10,10A 空気バネ機構
11 制御部
13,14,16,34 圧力センサ
15 排気エアタンク
19,20 給気通路
21,22 エア給気用調整弁
23 排気通路
23a 第1排気通路
23b 第2排気通路
23c 第3排気通路
24 排気通路
25,25A 排気弁
25a 第1排気弁
25b 第2排気弁
25c 第3排気弁
26,26A 排気弁
28 タンク排気通路
29 外気吸入路
30 還流通路
31 エア放出排気弁
33 三方切換弁

Claims (8)

  1. 台車に対して車体を支持する進行方向に対して左右に対をなす少なくとも1対の空気バネと、これら空気バネに供給する加圧エアを貯留するメインタンクと、このメインタンクに加圧エアを供給するコンプレッサとを有する鉄道車両の車体傾斜装置において、
    左右の空気バネから夫々延びる1対の排気通路と、
    前記1対の排気通路に夫々介装された1対の排気弁手段と、
    前記1対の排気通路に接続され且つ前記空気バネから排気された排気加圧エアを貯留する排気エアタンクと、
    前記排気エアタンクからコンプレッサの吸入口へ排気加圧エアを還流させる還流通路とを設けたことを特徴とする鉄道車両の車体傾斜装置。
  2. 前記メインタンクから延びるエア供給通路を介して左右の空気バネに接続された1対の給気通路と、
    これら給気通路に夫々介装された1対のエア供給用調整弁とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両の車体傾斜装置。
  3. 前記排気エアタンクから延びるタンク排気通路と、
    前記タンク排気通路に介装されたエア放出用排気弁と、
    前記排気エアタンクに外気を吸入可能な逆止弁付きの外気吸入路とを備えたことを特徴とする請求項2に記載の鉄道車両の車体傾斜装置。
  4. 前記1対の空気バネ内の加圧エアの圧力を検出する1対の第1圧力検出手段と、
    前記排気エアタンク内の排気加圧エアの圧力を検出する第2圧力検出手段と、
    前記1対の第1圧力検出手段の検出信号と第2圧力検出手段の検出信号とを受ける制御手段であって、前記1対のエア供給用調整弁と1対の排気弁手段とエア放出用排気弁とを制御する制御手段とを備えたことを特徴とする請求項3に記載の鉄道車両の車体傾斜装置。
  5. 前記排気弁手段は、通路面積を連続的に変更可能に構成されたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載の鉄道車両の車体傾斜装置。
  6. 前記排気弁手段は、並列接続された複数の開閉弁を有し、通路面積を不連続的に変更可能に構成されたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載の鉄道車両の車体傾斜装置。
  7. 前記還流通路には、コンプレッサへ外気を吸入させる位置と排気加圧エアを吸入させる位置とに切換え可能な三方切換弁を設けたことを特徴とする請求項1〜6の何れか1つに記載の鉄道車両の車体傾斜装置。
  8. 前記制御手段は、台車に対する車体の傾斜角の指令信号を受けて、旋回走行における旋回外側の空気バネの全高が旋回内側の空気バネの全高よりも高くなるように1対のエア供給用調整弁と1対の排気弁手段とエア放出用排気弁とを制御することを特徴とする請求項4に記載の鉄道車両の車体傾斜装置。
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