JP2011183578A - グリーンシートの製造装置及び製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ドクターブレードで泥漿液の厚みを調整する際にキャリアフィルムが反ることを防止し、泥漿液の厚みを均一にすることができるグリーンシートの製造装置及び方法を提供する。
【解決手段】泥漿液4aを貯留する液溜め2と、一方向に走行すると共に自身の上面に液溜めから泥漿液が連続的に塗工される帯状のキャリアフィルム6と、キャリアフィルムの上面から一定の隙間Gを設けて配置され、隙間Gに基づいてキャリアフィルム上に連続的に塗工された泥漿液の厚みを調整するドクターブレード7と、ドクターブレードで厚みを調整された泥漿液を加熱乾燥する乾燥炉8と、泥漿液が塗工されないキャリアフィルムの両端部6eであって、且つ走行方向Lにおいて少なくともドクターブレードと重なる位置に配置され、両端部の上面に接して両端部が上向きに反るのを防止する反り押さえ部材10と、を備えたグリーンシートの製造装置101である。
【選択図】図1

Description

本発明は、ヒータ素子やセンサ素子、セラミックコンデンサ、セラミックパッケージ用の基板等に用いるグリーンシートの製造装置及び製造方法に関する。
従来から、ドクターブレードを用いたセラミックシートの製造方法が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。この方法は以下のようにして行う。まず、原料粉末、溶剤およびバインダー材を混合、分散してなる泥漿液(スラリー)を、走行するキャリアフィルム上に連続的に塗工する。そして、キャリアフィルムの上面から一定の隙間を設けて配置されたドクターブレードで、スラリーを削ぎ落とすようにしてスラリーの厚みを調整する。厚みを調整したスラリーをキャリアフィルム上で搬送して乾燥炉に導入し、スラリーを加熱乾燥してグリーンシートを製造する。
特開平7-187803号公報 特開2009-208395号公報
しかしながら、キャリアフィルムを繰り返し使用すると、キャリアフィルムの両端部がスラリーを塗工する側(上側)に向かって反るという問題がある。これは、乾燥炉でスラリー中の溶剤が揮発、除去され、グリーンシートへ変化する際にスラリーが収縮し、これに伴ってキャリアフィルムがスラリーの塗工されているフィルムの上側へと引っ張られるためである。特に、フィルムの両端側は中央に比べて反りが生じやすい。そして、反りが生じたキャリアフィルム上に再度スラリーを塗工すると、フィルムの反った部分とドクターブレードとのギャップがフィルムが反る前よりも狭くなる。そのため、反りの生じる前後においてスラリーの厚みが不均一となるほか、反りの生じた後はフィルムの中央とフィルムの両端側との間でもスラリーの厚みが不均一になる。
一方、少しでも反りが生じる毎にキャリアフィルムを交換すると、グリーンシートの生産性が著しく低下する。
又、特許文献1記載の技術においては、乾燥炉内でグリーンシートを圧延することで乾燥後の膜厚の均一化を図っている。しかし、スラリーがドクターブレードを通過する際にキャリアフィルムの両端が反っていると、スラリーの厚みがキャリアフィルム両端で薄くなるので、乾燥炉内で圧延しても両端の厚みを回復させることが難しい場合がある。さらに、乾燥炉内で乾燥する前のスラリーは粘性があり圧延ロールに付着するため、乾燥前のスラリーを圧延して厚みを均一にすることは困難である。
そこで、本発明は、ドクターブレードで泥漿液の厚みを調整する際にキャリアフィルムが上反りすることを防止し、泥漿液の厚みを均一にすることができるグリーンシートの製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のグリーンシートの製造装置は、原料粉末、溶剤およびバインダー材を混合、分散してなる泥漿液を貯留する液溜めと、一方向に走行すると共に、自身の上面に前記液溜めから前記泥漿液が連続的に塗工される帯状のキャリアフィルムと、前記キャリアフィルムの上面から一定の隙間を設けて配置され、当該隙間に基づいて、前記キャリアフィルム上に連続的に塗工された前記泥漿液の厚みを調整するドクターブレードと、前記ドクターブレードで厚みを調整された前記泥漿液を加熱乾燥し、前記ドクターブレードよりも前記キャリアフィルムの走行方向の下流側に配置された乾燥炉と、を有するグリーンシートの製造装置において、前記泥漿液が塗工されない前記キャリアフィルムの両端部であって、且つ前記走行方向において少なくとも前記ドクターブレードと重なる位置に配置され、前記キャリアフィルムの上面に接して前記両端部が上向きに反るのを防止する反り押さえ部材を備えている。
このようにすると、ドクターブレードで泥漿液の厚みを調整するその位置で、反り押さえ部材がキャリアフィルムの両端部が上反りすることを防止するので、キャリアフィルムとドクターブレードとのギャップをキャリアフィルムの中央部と両端部とで一定に保ち、泥漿液の厚みを均一にすることができる。又、既に反りが生じたキャリアフィルムであっても、泥漿液の厚みがキャリアフィルムの中央部と両端部とで均一になるよう泥漿液を塗工することが出来るので、キャリアフィルムの交換時期が長くなり、生産性が向上する。
前記反り押さえ部材は、前記走行方向における前記ドクターブレードと前記乾燥炉の入口との間の中間領域の少なくとも一部で、前記両端部の上面に接しているとよい。
このようにすると、中間領域で両端部が反って泥漿液の厚みが変化することを防止できるので好ましい。
特に、乾燥炉で加熱乾燥される前の泥漿液は保形性が低く、ドクターブレードで厚み調整後にキャリアフィルムが反ると、キャリアフィルムの両端部に近い位置に塗工された泥漿液がキャリアフィルムの中央部に流動して厚みが不均一になる可能性があるが、本製造装置によれば、泥漿液が乾燥する前に流動することを防止できる。
前記反り押さえ部材は、前記走行方向に沿って前記ドクターブレードと前記乾燥炉の入口との間の中間領域の複数箇所又は全部で、前記両端部の上面に接していてもよい。
このようにすると、中間領域でのキャリアフィルムの両端部の上反りをより有効に防止することができる。
前記反り押さえ部材は、前記ドクターブレードと前記乾燥炉の入口との間の中間領域であって、前記キャリアフィルムの前記走行方向と直角な幅方向において、前記両端の上面に面接触又は点接触していてもよい。
このようにすると、面接触であれば反り押さえ部材で両端部を確実に押さえることができ、反りの防止をより確実に出来る。点接触であれば反り押さえ部材とキャリアフィルムとの間の摩擦力を低減することができ、キャリアフィルムの走行を円滑に行うことが出来る。
前記反り押さえ部材のうち前記両端部との接触部分に潤滑材が存在しているとよい。
このようにすると、反り押さえ部材とキャリアフィルムとの間の摩擦力を低減することができ、キャリアフィルムの走行を円滑に行うことができる。
前記反り押さえ部材は、前記乾燥炉の内部においても、前記両端部の上面に接していてもよい。
このようにすると、高温のため泥漿液中の溶剤が揮発しやすい状態にある乾燥炉の内部においてキャリアフィルムの反りを防止することが出来る。
また、泥漿液は乾燥した後はほとんど収縮しないため、泥漿液が乾燥して形を保つまで反り押さえ部材が設けられていると、反り押さえ部材を通過した後にキャリアフィルムが上反りすることが、ほぼ解消される。従って、本製造装置を用いることで、キャリアフィルムの使用回数をより増やすことが可能となる。
なお、前記反り押さえ部材は、乾燥炉の内部において全体に配置されていても、一部に配置されていても良いが、泥漿液の乾燥が生じやすい乾燥炉の内部であって且つ乾燥炉の入口の近傍にあると好ましい。より好ましくは、乾燥炉の内部の全体に渡って、反り押さえ部材が配置されているとよい。
本発明のグリーンシートの製造方法は、走行するキャリアフィルムの上面に一定の隙間を設けたドクターブレードを配し、該隙間より原料粉末、溶剤およびバインダー材を混合、分散した泥漿液を連続的に前記キャリアフィルム上に塗工しつつ、塗工された前記泥漿液の厚みを調整する塗工調整工程と、前記ドクターブレードにより厚みを調整された前記泥漿液を乾燥炉で加熱乾燥してグリーンシートを形成する加熱乾燥工程と、を有し、前記キャリアフィルムがドクターブレードを通過する際に、前記泥漿液が塗工されない前記キャリアフィルムの両端部の上面であって、且つ前記キャリアフィルムの走行方向において前記ドクターブレードと重なる位置を押さえ、前記両端部が上向きに反るのを防止する。
このようにすると、泥漿液の厚みを調整するドクターブレードの位置で、キャリアフィルムの両端部が上反りすることを防止するので、キャリアフィルムとドクターブレードとのギャップをキャリアフィルムの中央部と両端部とで一定に保ち、泥漿液の厚みを均一にすることができる。又、既に反りが生じたキャリアフィルムであっても、泥漿液の厚みがキャリアフィルムの中央部と両端部とで均一になるよう泥漿液を塗工することが出来るので、既に反りが生じたキャリアフィルムの使用が可能である。
本発明のグリーンシートの製造方法において、さらに、前記キャリアフィルムが前記ドクターブレードを通過してから前記乾燥炉の入口に導入される間、前記両端部の上面を押さえ、当該両端部が上向きに反るのを防止するとよい。
このようにすると、ドクターブレードと乾燥炉の入口との間である中間領域で両端部が反って泥漿液の厚みが変化することを防止できるので好ましい。特に、乾燥炉で加熱乾燥される前の泥漿液は保形性が低く、ドクターブレードで厚み調整後にキャリアフィルムが反ると、キャリアフィルムの両端部に近い位置に塗工された泥漿液がキャリアフィルムの中央部に流動して厚みが不均一になる可能性があるが、本製造方法では、泥漿液が乾燥する前に流動することを防止できる。
本発明のグリーンシートの製造方法において、さらに、前記乾燥炉の内部に導入された前記両端部の上面を押さえ、当該両端部が上向きに反るのを防止するとよい。
このようにすると、高温のため泥漿液中の溶剤が揮発しやすい状態にある乾燥炉の内部においてキャリアフィルムの反りを防止することが出来る。
また、泥漿液は乾燥した後はほとんど収縮しないため、泥漿液が乾燥して形を保つまで両端部が上向きに反るのを防止していることで、キャリアフィルムが上反りすることが、ほぼなくなる。従って、本製造装置を用いることで、キャリアフィルムの使用回数をより増やすことが可能となる。
なお、乾燥炉の内部において反りを防止する際に、乾燥炉の内を通過する間ずっと反りを防止していてもよく、乾燥炉内の一部の反りを防止していても良いが、泥漿液の乾燥が生じやすい乾燥炉の内部であって且つ乾燥炉の入口の近傍において上向きに反るのを防止すると好ましい。より好ましくは、乾燥炉の内部の全体に渡って、上向きに反るのを防止するとよい。
この発明によれば、ドクターブレードで泥漿液の厚みを調整する際、又はキャリアフィルム上に塗工された泥漿液が乾燥するまでの間にキャリアフィルムの両端部が上向きに反ることを防止できる。そして、キャリアフィルム上に塗工される泥漿液の厚みを均一にすることができる。
本発明の第1の実施形態に係るグリーンシートの製造装置の概略構成を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係るグリーンシートの製造装置の側面図である。 図1のA−A線に沿う断面図である。 本発明の第2の実施形態に係るグリーンシートの製造装置の概略構成を示す斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係るグリーンシートの製造装置の側面図である。 図4のB−B線に沿う断面図である。 本発明の第3の実施形態に係るグリーンシートの製造装置の概略構成を示す斜視図である。 図7のC−C線に沿う断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るグリーンシートの製造装置101の概略構成を示す斜視図、図2は本発明の第1の実施形態に係るグリーンシートの製造装置101の側面図、図3は図1のA−A線に沿う断面図である。
図1において、グリーンシートの製造装置101は、ループ状であって、且つ帯状のキャリアフィルム6を張力を掛けつつ支持及び走行させる複数のローラ70と、キャリアフィルム6上に載置されて泥漿液(スラリー)4aを貯留する略箱型の液溜め2と、液溜め2の右側板に取り付けられたドクターブレード7と、乾燥炉8と、1対の反り押さえ部材10とを備えている。
液溜め2の右側板(キャリアフィルム6の走行方向Lの下流側の側板)2pの底部には、長手方向に長さWの細長い開口部2sが設けられ、液溜め2の下方に位置するキャリアフィルム6の上面にスラリー4aを連続的に幅Wで塗工するようになっている。一方、キャリアフィルム6の幅はWより広く、キャリアフィルム6の両端部6eにはスラリー4aが塗工されずにフィルムが表出するようになっている。なお、スラリー4aは、原料粉末、溶剤およびバインダー材を混合、分散したものであり、原料粉末は例えばアルミナ粉である。
ドクターブレード7は、液溜め2の開口部2sの上端に取り付けられ、キャリアフィルム6の上面とドクターブレード7の下端面とが一定の隙間Gを形成している。この隙間Gが最も小さくなる点(キャリアフィルム6とドクターブレード7との距離が最も小さくなる点)において、ドクターブレード7はキャリアフィルム上の余分なスラリー4aを削ぎ落としつつスラリー4aの厚みを調整する。ドクターブレード7で厚みを調整されたスラリー4aは、キャリアフィルム6と共に乾燥炉8に導入され、スラリー4aが加熱乾燥された後、グリーンシート4となって乾燥炉8から取り出される。
各反り押さえ部材10は走行方向Lに細長い板状をなし、その板面がキャリアフィルム6の両端である両端部6eの上にそれぞれ面で接し、両端部6eの上向きの反りを防止するようになっている。又、反り押さえ部材10の長辺の一端は走行方向Lに延びる支持板12の上に取り付けられ、反り押さえ部材10と支持板12とがL字状の断面をなしている。支持板12は、上下方向に立設する複数の支柱14に支持され、支持板12と支柱14との取り付け位置を微調整し、反り押さえ部材10とキャリアフィルム6との間隔を調整可能になっている。
詳しくは、走行方向Lにおいて、反り押さえ部材10は少なくともドクターブレードと重なる位置に配置され、この部分で両端部6eの上面に接している。
ここで、本実施形態では、走行方向Lにおいてドクターブレード7下面が幅(厚み)を有し(ドクターブレード7下面が三角形の底面をなしている)、この下面がキャリアフィルム6の上面と平行になっている。この場合、「重なる位置」とは、ドクターブレード7とキャリアフィルム6上面との隙間が最も小さく、かつキャリアフィルム6の上面と平行をなしている部分すべてをいう。さらに、各反り押さえ部材10は、キャリアフィルム6の走行方向Lにおけるドクターブレード7と乾燥炉8の入口8i(乾燥炉8の外縁のうち走行方向Lの最上流側の部分)との間の中間領域M(図2参照)にも延び、さらに中間領域Mを超えて乾燥炉8の内部及び液溜め2の右側板2pまで延びている。
なお、図2に示すように、走行方向Lに沿って、液溜め2と乾燥炉8との間には、キャリアフィルム6を載置する平らな基台80が配置されており、キャリアフィルム6の平面形状を保っている。
又、反り押さえ部材10の下面10aが両端部6eの上面とほぼ面一になるよう、反り押さえ部材10の取り付け位置が調整されており、キャリアフィルム6は基台80上面と反り押さえ部材10の下面10aとの隙間を走行しつつ、反り押さえ部材10の下面10aで押圧され、両端部6eが上反りすることを防止するようになっている。
図3に示すように、キャリアフィルム6を挟むようにして1対の支持板12及び支柱14が配置され、各支持板12からキャリアフィルム6に向かって各反り押さえ部材10が延び、反り押さえ部材10の下面10aが両端6e上面に面接触している。
ここで、反り押さえ部材10の下面10aには、潤滑材であるシリコーンが塗布されており、キャリアフィルム6との間の摩擦力を低減しているため、キャリアフィルムの走行が円滑になる。
以上のように、走行方向Lにおいて、少なくともドクターブレード7と重なる位置で、反り押さえ部材10が両端部6eの上面に接している。このため、ドクターブレード7でスラリー4aの厚みを調整する丁度その位置で、両端部6eが上反りすることを防止するので、キャリアフィルム6とドクターブレード7とのギャップを一定に保ち、スラリーの厚みを均一にすることができる。又、既に反りが生じたキャリアフィルムであっても、スラリーの厚みがキャリアフィルムの中央部と両端部とで均一になるようスラリーを塗工することが出来るので、キャリアフィルムの交換時期が長くなり、生産性が向上する。
又、ドクターブレード7と同じ位置だけでなく、さらに中間領域Mの少なくとも一部で反り押さえ部材10が両端6eの上面に接していれば、中間領域Mで両端部6eが再び反ってスラリー4aの厚みが変化することを防止できるので好ましい。特に、乾燥炉8で加熱乾燥される前のスラリー4aは保形性が低く、ドクターブレード7で厚み調整後に再びキャリアフィルム6が反ると、スラリー4aがキャリアフィルム6の中央に流動して厚みが不均一になる可能性がある。
さらに、乾燥炉8の内部においても反り押さえ部材10が両端6eの上面に接していれば、スラリー4aが乾燥して形を保つまでキャリアフィルム6が反るのを防止できるのでより好ましい。
なお、第1の実施形態の場合、反り押さえ部材10は、走行方向Lに沿って中間領域Mの全部で両端部6eと面接触すると共に、走行方向Lに直角な平面においても、両端6eと面接触している。このため、反り押さえ部材10が確実に両端部6eを押さえ、キャリアフィルムが上反りすることを防止することができる。
次に、図4〜図6を参照して、本発明の第2の実施形態に係るグリーンシートの製造装置102の構成について説明する。グリーンシートの製造装置102は、反り押さえ部材20の構成が異なること以外は、第1の実施形態と同一であるので、第1の実施形態と同一の構成部分については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
又、図4は、グリーンシートの製造装置102の概略構成を示す斜視図、図5はグリーンシートの製造装置102の側面図、図6は図4のB−B線に沿う断面図である。
図4において、反り押さえ部材20は、走行方向Lに延びる1対の細長い支持板22の各内側面(キャリアフィルム6に対向する側面)にそれぞれ軸支される複数個(この例では3個)のホイールであり、各ホイール20は、走行方向Lに沿って等間隔で一列に並んでいる。又、支持板22の中央付近は、上下方向に立設する1本の支柱24に支持され、支持板22と支柱24との取り付け位置を微調整し、反り押さえ部材20とキャリアフィルム6との間隔を調整可能になっている。
そして、各支持板22の内側面に軸支された各ホイール20が両端部6eの上に接し、キャリアフィルム6の走行に伴って各ホイール20が回転しつつ両者が点接触するようになっている。
図5に示すように、走行方向Lの最上流側のホイール20(図5の左側のホイール20)と、両端部6eとの接点20aは、走行方向Lにおいてドクターブレード7と重なる位置にある。又、他の2個のホイール20と両端部6eとの接点20aは、中間領域Mの2箇所にある。
なお、接点20aが明確になるよう、図5において支持板22と支柱24を表示していない。
図6に示すように、キャリアフィルム6を挟むようにして1対の支持板22及び支柱24が配置され、各支持板22の内側面に軸支されたホイール20がキャリアフィルム6に向かって突出し、ホイール20が両端部6e上面に点接触している。
ここで、ホイール(反り押さえ部材)20のキャリアフィルムと接触する表面は、潤滑性を有するテフロン(登録商標)からなり、走行するキャリアフィルム6との間の摩擦力を低減している。
又、ホイール20が両端部6e上面に点接触するよう、ホイール20の取り付け位置が調整されており、キャリアフィルム6は基台80上面とホイール20との隙間を走行しつつ、ホイール20で押圧され、両端部6eの上反りが防止されるようになっている。
このように、第2の実施形態の場合も、走行方向Lにおいて、少なくともドクターブレード7と重なる位置で、反り押さえ部材20が両端部6eの上面に接している。このため、キャリアフィルム6とドクターブレード7とのギャップを一定に保ち、スラリーの厚みを均一にすることができる。
なお、第2の実施形態の場合、ホイール(反り押さえ部材)20は、走行方向Lに沿って中間領域M及びドクターブレード7の位置の3箇所で両端部6eと点接触すると共に、走行方向Lに直角な平面においても、両端部6eと点接触している。このため、面接触に比べ、反り押さえ部材20と両端部6eとの摩擦力が低く、キャリアフィルム6の走行を円滑に行うことができる。
次に、図7、図8を参照して、本発明の第3の実施形態に係るグリーンシートの製造装置103の構成について説明する。グリーンシートの製造装置103は、反り押さえ部材30の構成が異なること以外は、第1の実施形態と同一であるので、第1の実施形態と同一の構成部分については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
又、図7は、グリーンシートの製造装置103の概略構成を示す斜視図、図8は図7のC−C線に沿う断面図である。
図7において、1対の反り押さえ部材30は走行方向Lに細長い板状をなし、反り押さえ部材30の長辺の一端が、走行方向Lに延びる支持板32の上に取り付けられている。又、走行方向Lに垂直な方向から見て、反り押さえ部材30の板面がキャリアフィルム6の外側から内側へ向かって斜めに下がるように配置されている。そして、キャリアフィルム6に向かって立ち下がる反り押さえ部材30の長辺の他端は、両端部6eの上にそれぞれ点で接し、両端部6eの上向きの反りを防止するようになっている。
又、支持板32は、上下方向に立設する複数の支柱34に支持され、支持板32と支柱34との取り付け位置を微調整し、反り押さえ部材30とキャリアフィルム6との間隔を調整可能になっている。
なお、走行方向Lにおいて、反り押さえ部材30は反り押さえ部材10と同一の位置に配置されている。
図8に示すように、キャリアフィルム6を挟むようにして1対の支持板32及び支柱34が配置され、各支持板32からキャリアフィルム6に向かって各反り押さえ部材30が延び、かつ、反り押さえ部材30の板面がキャリアフィルム6の外側から内側へ向かって斜めに下がっている。そして、反り押さえ部材30の長辺側の端30aが両端部6e上面に点接触している。
又、反り押さえ部材30の端30aが両端部6eの上面と同一高さになるよう、反り押さえ部材30の取り付け位置が調整されており、キャリアフィルム6は基台80上面と反り押さえ部材30の端30aとの隙間を走行しつつ、端30aで押圧され、両端部6eが上反りすることを防止するようになっている。
このように、第3の実施形態の場合も、走行方向Lにおいて、少なくともドクターブレード7と重なる位置で、反り押さえ部材30が両端部6eの上面に接している。このため、キャリアフィルム6とドクターブレード7とのギャップを一定に保ち、スラリーの厚みを均一にすることができる。
なお、第3の実施形態の場合、反り押さえ部材30は、走行方向Lに沿って両端部6eと面接触すると共に、走行方向Lに直角な平面においては、両端部6eと点接触している。このため、反り押さえ部材30は、走行方向Lに沿って面接触により確実に両端部6eを押さえ、かつ走行方向Lに直角な平面においては両端6eとの摩擦力が低く、キャリアフィルム6の走行を円滑に行うことができる。
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
例えば、反り押さえ部材10のうちキャリアフィルム6の両端との接触部分に、潤滑材を積層してもよい。この潤滑材として、キャリアフィルム6自身を用いてもよい。
また、本発明ではキャリアフィルム6の走行方向においてドクターブレード7と重なる位置に少なくとも反り押さえ部材10を配置するように規定したが、この「重なる位置」は、走行方向Lにおいてドクターブレード7がキャリアフィルム6上の泥漿液と実質的に1点のみで接する場合(例えば、ドクターブレードがナイフ状など)には、かかる接点となる。
一方、図1、図2に示したように、走行方向Lにおいてドクターブレード7下面が幅(厚み)を有し(図1、図2では、ドクターブレード7下面が三角形の底面をなしている)、この下面がキャリアフィルム6の上面と平行になっている場合、ドクターブレード7の最上流側にて泥漿液の厚みが最初に調整される。従って、ドクターブレード7の最上流側が「重なる位置」となり、少なくともドクターブレード7の最上流側には反り押さえ部材が配置されている必要がある。しかしながら、仮にドクターブレード7の最上流側(走行方向Lに沿って乾燥炉と反対側)のみでフィルムの反りを押さえても、その後にフィルムの反りが戻りつつドクターブレード7の下面を走行すると、フィルムが反った状態で泥漿液の厚みが調整される不具合が生じうる。従って、この場合には、ドクターブレード7とキャリアフィルム6上面との隙間が最も小さく、かつキャリアフィルム6の上面と平行をなしている部分すべてに反り押さえ部材が配置されていることが、より好ましい。
なお、走行方向Lにおいてドクターブレード7下面が幅(厚み)を有していても、この下面がキャリアフィルム6上面と平行でない場合には、ドクターブレード7とキャリアフィルム6上面との隙間が最も小さくなる部分においてのみ泥漿液の厚みが調整される。走行方向Lにおいてドクターブレード7とキャリアフィルム6上の泥漿液との接点が1点のみのときは、係る接点が「重なる位置」に相当する。走行方向Lにおいてドクターブレード7とキャリアフィルム6上の泥漿液との接点が複数存在するときには、係る接点の中で最も上流側の接点が「重なる位置」に相当し、最も上流側の接点には反り押さえ部材が配置されている必要があるが、より好ましくは、全ての接点に反り押さえ部材が配置されているとよい。
更に、本発明はガスセンサ素子用又はヒータ素子用のグリーンシートの製造方法に特に適している。これは、ガスセンサ素子用又はヒータ素子用のグリーンシートを作る際には、セラミックパッケージ基板等に用いるグリーンシートを作成する時に比べて、揮発性の溶剤を多く含むので乾燥時のスラリーの収縮が大きく、キャリアフィルムの反りがさらに生じやすいためである。
2 液溜め
4 グリーンシート
4a 泥漿液
6 キャリアフィルム
6e 両端部
7 ドクターブレード
7a ドクターブレードの先端
8 乾燥炉
8i 乾燥炉の入口
10、20、30 反り押さえ部材
101〜103 グリーンシートの製造装置
G キャリアフィルムとドクターブレードの隙間
L キャリアフィルムの走行方向
M 中間領域

Claims (9)

  1. 原料粉末、溶剤およびバインダー材を混合、分散してなる泥漿液を貯留する液溜めと、
    一方向に走行すると共に、自身の上面に前記液溜めから前記泥漿液が連続的に塗工される帯状のキャリアフィルムと、
    前記キャリアフィルムの上面から一定の隙間を設けて配置され、当該隙間に基づいて、前記キャリアフィルム上に連続的に塗工された前記泥漿液の厚みを調整するドクターブレードと、
    前記ドクターブレードで厚みを調整された前記泥漿液を加熱乾燥し、前記ドクターブレードよりも前記キャリアフィルムの走行方向の下流側に配置された乾燥炉と、
    を有するグリーンシートの製造装置において、
    前記泥漿液が塗工されない前記キャリアフィルムの両端部であって、且つ前記走行方向において少なくとも前記ドクターブレードと重なる位置に配置され、前記キャリアフィルムの上面に接して前記両端部が上向きに反るのを防止する反り押さえ部材
    を備えたグリーンシートの製造装置。
  2. 前記反り押さえ部材は、前記走行方向における前記ドクターブレードと前記乾燥炉の入口との間の中間領域の少なくとも一部で、前記両端部の上面に接している請求項1に記載のグリーンシートの製造装置。
  3. 前記反り押さえ部材は、前記走行方向に沿って前記ドクターブレードと前記乾燥炉の入口との間の中間領域の複数箇所又は全部で、前記両端部の上面に接している請求項1又は2に記載のグリーンシートの製造装置。
  4. 前記反り押さえ部材は、前記ドクターブレードと前記乾燥炉の入口との間の中間領域であって、前記キャリアフィルムの前記走行方向と直角な幅方向において、前記両端部の上面にそれぞれ面接触又は点接触している請求項1又は2に記載のグリーンシートの製造装置。
  5. 前記反り押さえ部材のうち前記両端部との接触部分に潤滑材が存在している請求項1〜4のいずれかに記載のグリーンシートの製造装置。
  6. 前記反り押さえ部材は、前記乾燥炉の内部においても、前記両端部の上面に接している請求項1〜5のいずれかに記載のグリーンシートの製造装置。
  7. 一方向に走行するキャリアフィルムの上面から一定の隙間を設けてドクターブレードを配し、該隙間より原料粉末、溶剤およびバインダー材を混合、分散してなる泥漿液を連続的に前記キャリアフィルムの上面に塗工しつつ、塗工された前記泥漿液の厚みを調整する塗工調整工程と、
    前記ドクターブレードにより厚みを調整された前記泥漿液を乾燥炉で加熱乾燥してグリーンシートを形成する加熱乾燥工程と、
    を有するグリーンシートの製造方法において、
    前記キャリアフィルムが前記ドクターブレードを通過する際に、前記泥漿液が塗工されない前記キャリアフィルムの両端部の上面であって、且つ前記キャリアフィルムの走行方向において前記ドクターブレードと重なる位置を押さえ、前記両端部が上向きに反るのを防止するグリーンシートの製造方法。
  8. さらに、前記キャリアフィルムが前記ドクターブレードを通過してから前記乾燥炉の入口に導入される間、前記両端部の上面を押さえ、当該両端部が上向きに反るのを防止する請求項7に記載のグリーンシートの製造方法。
  9. さらに、前記乾燥炉の内部に導入された前記両端部の上面を押さえ、当該両端部が上向きに反るのを防止する請求項8に記載のグリーンシートの製造方法。
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