JP2011183416A - 溶接組付方法 - Google Patents

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Yoichi Shimizu
洋一 清水
Mitsuo Tsuchida
三雄 土田
Kazunori Asai
和典 浅井
Naohiko Kumagai
直彦 熊谷
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Abstract

【課題】溶接を施すワークの種類が多岐にわたる製造ラインでの治具の切替を容易にし、低コストで短期間に設定変更ができる生産設備を提供する。
【解決手段】溶接組付ライン100には、台車106の経路107が設定されている。台車106には、治具110が着脱自在に載置される。識別部150は、治具110にセットされたワークの種類を特定する。台車106が進行した後、リフタ112は、ワークがセットされている治具110を持ち上げて保持する。溶接ロボット111は、リフタ112に保持された治具110上のワークに対して、識別部150によって特定されたワークの種類に応じた溶接を施す。溶接後、解放装置113は、ワークを治具110から解放する。マテリアルハンドリングロボット114は、この解放されたワークを取り出す。
【選択図】図1

Description

本発明は、ワーク等の各種部品に溶接を施して組み付ける溶接組付方法に関する。
従来、自動車のボデーの製造工場においてなされる、ワーク等の各種部品に溶接を施して組み付けボデーを形作る工程では、各種部品同士の際の組付け誤差を抑えるために、治具を用いて各種部品を高精度に位置決めすることが行われている。近年、製造工場で製造されるボデーの種類は多岐にわたってきている。このため、製造工場では、製造するボデーの種類に応じて多くの種類の溶接用の治具を用意しなければならない。その一方で、経済情勢によって自動車の生産台数が大きく変動するため、低コストで短期間に設定変更ができる生産設備が求められている。
多岐にわたる自動車部品を一つの製造ラインで製造するための発明の一例としては、特許文献1に示されるような、サッシュに変形力を作用させてサッシュの矯正を行うことで、多種混合生産方式のドア製造ラインに適用できるようにした自動車用ドアサッシュ矯正装置の発明がある。
特開2008−043964号公報(要約、段落0050、図2、図3及び図7)
ボデーをはじめ、溶接を施して製造するような自動車部品は、その剛性により変形させることができない。この点、特許文献1に記載の自動車用ドアサッシュ矯正装置は、製造物がドアサッシュであるからこそ適用できるものであって、溶接を施されるワークのような部品に対して適用できるものではない。
また、溶接を施すワークの種類が多岐にわたる場合には、治具装置15をワークの種類に応じたものに変更しなければならない。一方で、ワークに溶接を施す際の位置精度を高めるためには、ワークが動かないよう、治具それ自体を確実に固定しなければならない。この点、特許文献1に記載の自動車用ドアサッシュ矯正装置を構成する治具装置15は、支柱34が工場の地面に固定されて設置されるものである。このため、特許文献1に記載されるように、多種多様なワークに溶接を施すためにワークの種類に応じて治具を工場に設置し直すことは、製造工場での大規模な改築工事を伴い現実的とはいえない。
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであり、溶接を施すワークの種類が多岐にわたる製造ラインでの治具の切替を容易にし、低コストで短期間に設定変更ができる生産設備を提供することを目的とする。
本発明の溶接組付方法は、所定の経路を移動する台車と、前記台車に着脱自在に載置される治具と、を用いて行われ、識別部が、前記治具にセットされたワークの種類を特定するステップと、リフタが、ワークがセットされている前記治具を持ち上げて保持するステップと、溶接装置が、前記リフタに保持された前記治具上のワークに、前記識別部によって特定されたワークの種類に応じた溶接を施すステップと、解放装置が、前記溶接装置によって溶接が施されたワークを前記治具から解放させるステップと、取出装置が、前記解放装置によって解放された前記ワークを取り出すステップと、を備える。
本発明によれば、ワークの種類に応じた治具を台車に載置してこの治具にワークをセットすれば、台車が移動する過程でワークの種類が特定されこの種類に応じた溶接が施される。このため、溶接を施すワークの種類が多岐にわたる製造ラインでの治具の切替が容易になり、生産設備において低コストで短期間に設定変更ができるようになる。
溶接組付ラインの全体の模式図である。 台車をその進行方向後方側から見た図である。 治具の一例を示す斜視図である。 (a)及び(b)は、リフタ及び解放装置の側面図である。 引っ掛けアームの斜視図である。 (a)、(c)及び(d)は、フックの動きを示す斜視図である。(b)は、フックの動きを示す側面図である。 第2可動部の動きを示す側面図である。
実施の一形態を、図1ないし図7に基づいて説明する。図1は、溶接組付ライン100の全体の模式図である。溶接組付ライン100は、自動車のボデーの製造が行われる製造工場内に設けられる。溶接組付ライン100では、自動車のボデーを構成する各種のワークWK(図7参照)に対する溶接が行われる。
溶接組付ライン100は、仕切壁101で仕切られた作業エリア102内に各種の装置が配置されて構成される。作業エリア102は、平面視において縦長の略矩形形状をなす。この作業エリア102の一方の短辺側は開放され、ここは溶接組付ライン100の上流端をなすワーク導入口103となる。また、作業エリア102の他方の短辺側は一部分だけ開放され、ここは溶接組付ライン100の下流端をなすワーク運出口104となる。また、作業エリア102の各長辺の中央近傍部分も開放され、ここは台車出口105となる。
溶接組付ライン100には、台車106の経路107が二つ設定される。これらの経路107は、いずれも、ワーク導入口103から作業エリア102に入って台車出口105から作業エリア102を退出し再びワーク導入口103に至る巡回経路である。経路107には、ワーク導入口103から見て右側(図1における下側)の台車出口105を経由する平面視時計回り方向の第1経路107aと、ワーク導入口103から見て左側(図1における上側)の台車出口105を経由する平面視反対時計回り方向の第2経路107bと、がある。ところで、本実施の形態における台車106は、自動搬送車であって、作業エリア102の近傍に設置された工程制御盤108の制御に応じて、走行及び停止するものである。また、各経路107には、複数台(例えば、二台)の台車106を設置することができる。
作業エリア102内でワーク導入口103の近傍には、脚柱109が設置される。脚柱109は、その下方に、台車106並びにこれに載置される治具110及びワークWKが通過できる空間を形成する。脚柱109の上には、溶接装置としての溶接ロボット111が二台、ワーク導入口103から見て横並びに配置される。
作業エリア102内で脚柱109と台車出口105との間には、四台のリフタ112が配置される。リフタ112は、二台で一組をなし、それぞれの組が作業エリア102内を通過する二つの経路107を挟んでいる。各リフタ112には、解放装置113が取り付けられる。
作業エリア102内で二つの台車出口105の間には、取出装置としてのマテリアルハンドリングロボット114が配置される。また、作業エリア102内でマテリアルハンドリングロボット114とワーク運出口104との間には、増打定置ガン装置115が配置される。また、ワーク導入口103、ワーク運出口104及び二つの台車出口105のそれぞれの両端には、ゲートセンサ116が配置される。ゲートセンサ116は、ワーク導入口103やワーク運出口104、各台車出口105を通過する物体をセンシングし、そのセンシング結果を工程制御盤108に出力する。
ワーク導入口103の近傍で各経路107の上方には、撮像部としてのカメラ117が配置される。カメラ117は、経路107を移動する台車106並びにこれに載置される治具110及びワークWKの撮像を行う。また、仕切壁101の上端で各カメラ117の近傍には、モニター118が配置される。モニター118は、作業エリア102の方向に向きワーク導入口103に対面して立つ作業員119が視認できる向きに向けられる。
ところで、台車106が移動する二つの経路107(第1経路107a及び第2経路107b)は、それぞれ、ワーク導入口103について左右対称に、平面視においてカメラ117やモニター118を中心に折り返すように設定されている。このため、作業エリア102よりも外側でワーク導入口103に対面する外側の領域には、作業員119が台車106にぶつかることなく安全に移動できる台形形状の作業エリア120(図1に斜線で示す)が形成される。
図2は、台車106をその進行方向後方側から見た図である。台車106の平面視は略矩形であり(図1参照)、正面視や背面視も略矩形であり、側面視は略台形である。この台車106の底面の四隅にはタイヤ121が取り付けられている。台車106と工程制御盤108との間では、有線又は無線で伝達される制御信号が通信自在となっており、台車106は、走行するためのモータ(図示せず)を有していて、工程制御盤108からの制御信号を受けて経路107に沿って進行方向の前方側にも後方側にも移動する。台車106の背面には、台車106に対する操作を直接的に行う各種のスイッチ122が配置される。
治具110は、台車106に着脱自在に載置される。この治具110は、溶接組付ライン100で製造されるボデーの種類に対応するもので、そのボデーを構成するワークWKの形状やこのワークWKの溶接作業に適した構造を有している。治具110は、板状の治具ベース123に固定取付される。治具ベース123は、治具基部124に支持される。治具基部124は、治具基部ベース125と、治具基部柱126と、治具基部梁127と、嵌合凸部128とを備える。
治具基部ベース125は、板状をなし、台車106の上面に載置され、固定部材124aによって外れないように固定される。治具基部柱126は、台車106の正面視及び背面視において左右端部を残して中央から上方に立ち上がる。治具基部梁127は、水平方向に延びる部材であって、各治具基部柱126を繋いでいる。治具基部梁127は、台車106の正面視及び背面視において治具基部柱126の中央から上方に延び、治具ベース123の下面に設けられる嵌合凹部129に嵌合する。また、治具基部梁127の上端面は、治具ベース123の下面に接触しこの治具ベース123を支持する。
治具ベース123は、台車106の正面視及び背面視において治具基部柱126よりも左右両方向に延びている。このため、治具ベース123の下方かつ治具基部ベース125の上方で治具基部柱126よりも左右外側には、台車106の正面視及び背面視で見て略コ字形状をなす空間SPが形成される。また、嵌合凸部128及び嵌合凹部129、並びに、治具基部柱126の上端面及び治具ベース123の下面は、いずれも離反できるようになっている。
治具ベース123には、ボルト孔131が複数設けられる。このボルト孔131には、ボルトナット130が取り付けられる。ボルト孔131には、予め、治具110に搭載されるワークWK(図7参照)の種類に応じた個数及び並び方でボルトナット130が締結される。つまり、ボルト孔131に締結されたボルトナット130の個数及び並び方によって、ワークWKの種類が特定されることになる。また、ボルト孔131は、台車106が経路107を移動する途中でカメラ117(図1参照)に撮像される箇所に設けられる。カメラ117は、台車106並びにこれに載置される治具110及びワークWKの撮像結果を工程制御盤108(図1参照)に出力する。工程制御盤108は、カメラ117の撮像結果を画像処理する機能を備えており、この機能を利用して撮像結果に含まれるボルトナット130の個数及び並び方を分析し、ワークWKの種類に対応する制御信号を溶接ロボット111(図1参照)に送信する。溶接ロボット111は、この制御信号の種類に応じた動きを行って、台車106上のワークWKに対して溶接を施す。このように、ボルトナット130は、ボルト孔131に取り付けられて、ワークWKの種類を特定するためのシンボルとしての役割を果たす。また、ボルトナット130とカメラ117と工程制御盤108とは、識別部150(図1参照)を構成する。また、工程制御盤108は、制御部としての役割を果たす。
なお、ボルトナット130を取り付けるボルト孔131は、台車106に設けられてもよい。さらに、ワークWKの種類を特定するために用いられカメラ117に撮像されるシンボルとしては、ボルトナット130の他にも、バーコードや二次元コード、文字や数字等の記号を図案化したものであってもよい。そして、バーコードや二次元コード等をシールに印刷してワークWKに貼り付け、カメラ117にこのシールに印刷された内容を撮像させることで、ワークWKの種類を特定するようにしてもよい。さらに、制御部としては、画像処理を行うためのプログラムがインストールされたコンピュータを用いてもよい。
図3は、治具110の一例を示す斜視図である。治具110は、固定部132と、フック133と、可動部134と、連結体としてのワイヤ135とが含まれる。固定部132は、治具ベース123に対して動かない。フック133は、水平でありかつ台車106の進行方向に対して直交する方向にスライド自在に設けられる。可動部134は、フック133を動かすことによってワークWKに保持する位置(第1位置)と、ワークから解放する位置(第2位置)と、の間で変位自在となっている。ワイヤ135は、可動部134とフック133とを連結し、フック133の動きを可動部134に伝達する。
フック133及び可動部134のそれぞれについて、さらに詳細に説明する。フック133は、第1フック133aと、第2フック133bと、第3フック133cとを含む。第1フック133aは、第2フック133b及び第3フック133cのいずれよりも台車106の進行方向の前方側に位置し、この進行方向に対して左側に延びる。第2フック133bは、第1フック133aよりも台車106の進行方向の後方側に位置し、この進行方向に対して右側に延びる。第3フック133cは、第2フック133bよりも台車106の進行方向の後方側に位置し、この進行方向に対して左側に延びる。第1フック133a、第2フック133b及び第3フック133cのいずれも、その先端に、上方に延びる爪部136を有する。爪部136には、治具110から離れるにつれて下方に下がるように傾斜する傾斜面136aが形成される。傾斜面136aには、引っ掛けシャフト146の傾斜面146a(図5、図6(a)〜図6(d)参照)が接触する。
可動部134は、第1可動部134aと、第2可動部134bと、第3可動部134cとを含む。第2可動部134bについては、図7に基づいて後述する。第1可動部134aと第1フック133aとは、ワイヤ135によって連結されている。第1可動部134aは、ワークWKを保持する機能を有し上下に進退自在の突起134aaと、この突起134aaを上下に動かしこの突起134aaにワークWKを保持させたりその保持を解除させたりするためのハンドクランプ134abと、を有する。ハンドクランプ134abと突起134aaと第1フック133aとは、連動する。同様に、第3可動部134c及び第3フック133cも、ワイヤ135により連結されている。第3可動部134cは、ワークWKを保持する機能を有し上下に進退自在の突起134caと、この突起134caを上下に動かしこの突起134caにワークWKを保持させたりその保持を解除させたりするためのハンドクランプ134cbとを有する。ハンドクランプ134cbと突起134caと第3フック133cとは、連動する。
図4(a)及び図4(b)は、リフタ112及び解放装置113の側面図である。なお、図4(a)及び図4(b)では、治具110に関して、第2可動部134b及び一部の固定部132についてのみ図示してあり、その他の固定部132やフック133(第1フック133a〜第3フック133c)、第1可動部134a、第3可動部134c等については省略してある。リフタ112は、治具110を持ち上げて保持する装置であり、基部137と、レール138と、保持アーム139と、駆動源となるエアシリンダ(図示せず)と、ブレーキ機構(図示せず)と、制御回路(図示せず)と備える。基部137は、土台をなし工場の床面FLに固定取付される。レール138は、一つの基部137に対して台車106の経路107(図1参照)に沿う方向に並べて二つ取り付けられ、いずれも鉛直方向に延びている。保持アーム139は、水平に延び、レール138のそれぞれにスライド自在に嵌合して上下移動自在となっている。保持アーム139の先端部分は、台車106が移動することにより、治具ベース123下の空間SPに位置付けられる。この保持アーム139の先端部分には、治具ベース123の下面に接触する接触部140と、治具ベース123に形成された嵌合孔(図示せず)に嵌合する嵌合突起141とが設けられる。
リフタ112では、制御回路が工程制御盤108(図1参照)からの制御信号を受けてエアシリンダとブレーキ機構とを駆動制御し、エアシリンダの駆動によって保持アーム139が上下移動し、ブレーキ機構の制御によって保持アーム139が所定の高さ位置に保持される。そして、保持アーム139が上昇すると、接触部140が治具ベース123の下面に接触し、嵌合突起141が治具ベース123に形成された嵌合孔に入り込む。この状態からさらに保持アーム139が上昇すると(図4(b))、治具ベース123の下面は治具基部柱126の上端面から離反し、嵌合凹部129も嵌合凸部128から離反して、治具ベース123は保持アーム139に持ち上げられて保持される。
図5は、引っ掛けアーム142の斜視図である。図4(b)及び図5を参照して、解放装置113について説明する。解放装置113は、治具110にセットされたワークWKを治具110から解放させる装置であり、基部137の上方に取り付けられて個々のリフタ112の上方に対応させて設けられる。解放装置113は、スライド基部143と、スライド体144と、回転アーム145と、駆動源としてのエアシリンダ(図示せず)と、制御回路(図示せず)とを備える。スライド基部143は、基部137に取り付けられて保持アーム139と平行に延びている。スライド基部143は、その内部に水平方向に延びるレール(図示せず)を有する。スライド体144は、スライド基部143内のレールに沿って水平方向にスライド自在となっている。スライド体144の先端部分には、回転軸144aが設けられる。この回転軸144aには回転アーム145が取り付けられる。回転アーム145は、その先端が上下方向に変位するように、回転軸144aを中心に回転自在となっている。
回転アーム145は、台車106の経路107(図1参照)に沿う方向に離反して二つ並ぶ。各回転アーム145の先端部分の下面には、引っ掛けシャフト146が取り付けられる。引っ掛けシャフト146は、その両端部分が個々の回転アーム145に取り付けられ、台車106の経路107と平行に延びる長尺の部材である。引っ掛けシャフト146は、台車106の正面視及び背面視において、略直角二等辺三角形形状に見える。正面視及び背面視において直角二等辺三角形の斜辺をなす引っ掛けシャフト146の傾斜面146aは、治具ベース123がリフタ112に持ち上げられた状態(図4(b))における各フック133に形成された傾斜面136aと同じ高さ位置に位置付けられる。このような引っ掛けシャフト146と二つの回転アーム145とは、引掛部としての引っ掛けアーム142を構成する。
図6(a)、図6(c)及び図6(d)は、フック133の動きを示す斜視図である。図6(b)は、フック133の動きを示す側面図である。図5及び図6(a)〜図6(d)を参照して、引っ掛けアーム142及びフック133の動きを説明する。作業員119がハンドクランプ134cb,134cbを操作して突起134aa,134caを押し上げて第1可動部134a及び第3可動部134cにワークWKを保持させたり、第2可動部134b(図3参照)に備わる可動アーム134bb(図7参照)を作業員119(図1参照)が倒して第2可動部134bにワークWKを保持させたりすることで、フック133(フック133a、第2フック133b、第3フック133c)はワイヤ135を介して引っ張られ治具110の内側方向R1にスライド移動し、続いて、静止する(図6(a))。
引っ掛けシャフト146は、解放装置113(図4(a)及び図4(b)参照)によるスライド体144のスライド移動によって、図5の右上や図6(a)に示されるように治具110から台車106の進行方向の側方に離反した位置から、爪部136の傾斜面136aに傾斜面146aを接触させる位置まで動く(図6(b))。さらにスライド体144がスライド移動すると、回転アーム145がスライド体144を中心に回動して引っ掛けシャフト146が上方に動き、引っ掛けシャフト146は爪部136を乗り越え、図5の左下や図6(c)に示されるように爪部136の内側に入り込み、引っ掛けシャフト146はその自重によって下方に動く。その後、引っ掛けシャフト146は、解放装置113によるスライド体144のスライド移動によって、フック133の爪部136に引っ掛かり、フック133を外側方向R2方向に引っ張る。
図7は、第2可動部134bの動きを示す側面図である。図7及び図3を参照して、第2可動部134bについて説明する。第2可動部134bは、ピン部134baと、可動アーム134bbと、リンク機構134bcと、ワイヤ接続部134bdと、操作レバー134beとを備える。可動アーム134bbは、長尺の部材である。可動アーム134bbの一方の端部には、ピン部134baが配置される。ピン部134baは、ワークWKをその上方から接触して保持する機能を有する。このピン部134baは、可動アーム134bbの一方の端部から下方に向けて設けられる。可動アーム134bbの他方の端部は、リンク機構134bcに連結する。リンク機構134bcは、回転軸134bfとワイヤ接続部134bdとを有し、ワイヤ接続部134bdに連結されたワイヤ135の張力を可動アーム134bbに伝達して回転軸134bfを中心に回転させながら可動アーム134bbを動かし、ピン部134baをワークWKに対して近接離反させる。ここで、第2可動部134bは、治具ベース123から上方に立設する第2可動部基部134bgの上端部に設けられるものである。また、操作レバー134beは、作業員119(図1参照)が把持して可動アーム134bbを動かすためのもので、リンク機構134bcに連結される。
第2可動部134bは、図6(d)に示したように引っ掛けアーム142が動いて第2フック133bが外側方向R2(図3に示す矢印f2の方向)に引っ張られると、矢印f2’(図3も参照)の方向に動く。このとき、第2可動部134bに連動して操作レバー134beも矢印f2’の方向に動く。また、ピン部134baは、図7において実線に示すようなワークWKに近接した位置から、図7において二点鎖線に示すようなワークWKから離反した位置まで動く。また、作業員119が操作レバー134beを把持してこの操作レバー134beを矢印f2’とは反対の方向に動かすと、第2フック133bは内側方向R1(図3に示す矢印f2とは反対の方向)に動く。
同様に、引っ掛けアーム142の動きによって第1フック133aが外側方向R2(図3に示す矢印f1の方向)に引っ張られると、突起134aaは図3に示す矢印f1’の方向に動いてワークWKの保持を解除する。なお、作業員119がハンドクランプ134abを操作して第1可動部134aからワークWKを解放させても、第1フック133aは内側方向R1に動く。このとき、第1フック133aも連動して内側方向R1(図3に示す矢印f1とは反対の方向)に動く。
同様に、引っ掛けアーム142の動きによって第3フック133cが外側方向R2(図3に示す矢印f3の方向)に引っ張られると、突起134caは図3に示す矢印f3’の方向に動いてワークWKの保持を解除する。なお、作業員119がハンドクランプ134cbを操作して第3可動部134cからワークWKを解放させても、第3フック133cは内側方向R1に動く。このとき、第3フック133cも連動して内側方向R1(図3に示す矢印f3とは反対の方向)に動く。
図1及び図3を参照する。上記のように構成される溶接組付ライン100では、台車106が工程制御盤108からの制御信号を受けて経路107に沿って移動し、作業エリア120の近傍でワーク導入口103から作業エリア102に入る直前の位置で停止する。作業員119は、作業エリア120に立ち、台車106の上面に取り付けられた治具110に、ワークWKをセットする。このとき、作業員119は、固定部132、第1可動部134a及び第3可動部134cにワークWKを載置し、ハンドクランプ134ab、ハンドクランプ134cbを操作して第1可動部134aの突起134aa及び第3可動部134cの突起134caのそれぞれにワークWKを保持させ、操作レバー134beを動かして第2可動部134bのピン部134ba(図7参照)をワークWKに接触させ、このピン部134baにワークWKを保持させる。また、治具ベース123に設けられたボルト孔131(図2参照)には、ボルトナット130を、ワークWKの種類に応じた個数及び並べ方で取り付けておく。
続いて、作業員119は、治具110に備わるスイッチ122を押す。この操作により台車106は経路107に沿って進行し、ワーク導入口103から作業エリア102に入る。このとき、カメラ117は、台車106並びにこれに載置される治具110及びワークWKを撮像する。そして、工程制御盤108は、この撮像結果に基づいてワークWKの種類を特定し、ワークWKの種類に応じた制御信号を溶接ロボット111に送信出力する。
図1及び図4を参照する。台車106は、経路107に沿って引き続き進行し、二つのリフタ112に挟まれる位置に到達する。このとき、リフタ112の保持アーム139は、治具ベース123の下方の空間SPに入りこむ。台車106は、この位置で、工程制御盤108の制御信号を受けて停止する。このとき、リフタ112は、工程制御盤108からの制御信号を受けてエアシリンダ(図示せず)及びブレーキ機構(図示せず)を駆動制御し保持アーム139を上昇させ、治具ベース123を治具基部124から離反させて、ワークWKがセットされている治具110を持ち上げて保持する。ここで、リフタ112は、床面FLに固定取付されている。このため、治具110がリフタ112に保持されることによって、治具110にセットされているワークWKは、溶接作業に充分な位置精度で位置決めされる。
図1、図5、図6(a)〜(d)及び図7を参照する。続いて、溶接ロボット111は、工程制御盤108からの制御信号を受けて、リフタ112に保持された治具110上のワークWKに対し、ワークWKの種類に応じた溶接を施す。溶接ロボット111による溶接が終了すると、解放装置113は、工程制御盤108からの制御信号を受けてエアシリンダ(図示せず)を駆動制御する。これにより、引っ掛けアーム142が動き、図6(a)〜図6(d)に示すように引っ掛けシャフト146がフック133(第1フック133a〜第3フック133c)の爪部136に引っ掛かり、引っ掛けシャフト146がフック133を引っ張って可動部134(第1可動部134a〜第3可動部134c)を動かす。その結果、溶接ロボット111によって溶接が施されたワークWKは、治具110から解放される。
マテリアルハンドリングロボット114は、工程制御盤108からの制御信号を受けて、治具110から解放されたワークWKを取り出し、増打定置ガン装置115まで運ぶ。増打定置ガン装置115は、ワークWKに対してさらに溶接を施し、ワークWKでの溶接固定を確実にする。増打定置ガン装置115によって溶接が施されたワークWKは、搬送装置(図示せず)によってワーク運出口104から作業エリア102の外へ運び出される。
ここで、マテリアルハンドリングロボット114によってワークWKが取り出された後、リフタ112は、工程制御盤108からの制御信号を受けてエアシリンダ(図示せず)及びブレーキ機構(図示せず)を受けて保持アーム139を下げる。これにより、治具ベース123は、治具基部124に載置される。続いて、台車106は、工程制御盤108の制御信号を受けて経路107に沿って進行する。このとき、引っ掛けアーム142はフック133に引っ掛かったままである。しかしながら、引っ掛けシャフト146は経路107と平行に延びている。このために、台車106が経路107に沿って移動すると、引っ掛けシャフト146は爪部136に接触したまま台車106の進行方向前方側に摺動し、引っ掛けシャフト146はフック133から抜けて外れる。台車106は、引き続き経路107に沿って動き、台車出口105を通過して作業エリア102の外に出て、再び作業エリア120の近傍に戻る。
作業員119は、作業エリア120の近傍に戻ってきた台車106上の治具110に対して、別のワークWKをセットすることができる。また、作業員119は、作業エリア120の近傍に戻ってきた台車106に対して、固定部材124a(図2参照)を取り外して、その台車106に載置される治具110を異なる種類のワークに対応する別の治具に交換することもできる。
このように、本実施の形態の溶接組付ライン100によれば、ワークWKの種類に応じて治具110を台車106に付け替えることが容易になる。そして、台車106に載置された治具110にワークWKをセットすれば、台車106が移動する過程でワークWKの種類が特定されこの種類に応じた溶接が施される。このため、溶接を施すワークWKの種類が多岐にわたる製造ラインでの治具110の切替が容易になり、生産設備において低コストで短期間に設定変更ができるようになる。
また、本実施の形態の溶接組付ライン100では、台車106に治具110を動かすための動力源を搭載する必要がなく、従って、治具110そのものを小型化することが可能になる。
なお、上記に説明した実施の形態での溶接組付ライン100は、台車106が経路107に沿って巡回移動するものであるが、別の実施の形態として、経路107が巡回せず往復移動のみするものであってもよい。この場合、溶接が施されたワークWKがマテリアルハンドリングロボット114によって取り去られたあと、台車106は、工程制御盤108からの制御信号を受けて経路107に沿って後退し、ワーク導入口103から作業エリア102の外に出て、再び作業エリア120の近傍に戻る。
100 溶接組付ライン
106 台車
107 経路
108 工程制御盤(制御部)
110 治具
111 溶接ロボット(溶接装置)
112 リフタ
113 解放装置
114 マテリアルハンドリングロボット(取出装置)
117 カメラ
130 ボルトナット(シンボル)
133 フック
134 可動部
135 ワイヤ(連結体)
142 引っ掛けアーム(引掛部)
143 スライド基部(フックをスライドさせる機構)
144 スライド体(フックをスライドさせる機構)
150 識別部
WK ワーク

Claims (3)

  1. 所定の経路を移動する台車と、前記台車に着脱自在に載置される治具と、を用いて行われる溶接組付方法であって、
    識別部が、前記治具にセットされたワークの種類を特定するステップと、
    リフタが、ワークがセットされている前記治具を持ち上げて保持するステップと、
    溶接装置が、前記リフタに保持された前記治具上のワークに、前記識別部によって特定されたワークの種類に応じた溶接を施すステップと、
    解放装置が、前記溶接装置によって溶接が施されたワークを前記治具から解放させるステップと、
    取出装置が、前記解放装置によって解放された前記ワークを取り出すステップと、
    を備える溶接組付方法。
  2. 前記治具は、
    ワークを保持する第1位置とワークを解放する第2位置との間で変位自在の可動部と、
    スライド自在に設けられるフックと、
    前記可動部と前記フックとを連結する連結体と、
    を含み、
    前記解放装置は、前記フックに引っ掛かる引掛部と、前記引掛部を前記フックに引っ掛けて前記フックをスライドさせる機構と、を有して前記連結体を介して前記第1位置に位置する前記可動部を引っ張って前記第2位置に位置付ける、
    請求項1記載の溶接組付方法。
  3. 前記識別部は、
    前記台車と前記治具と前記治具上のワークとの少なくとも一に付されるワークの種類に対応したシンボルと、
    前記シンボルを撮像する撮像部と、
    前記撮像部が撮像したシンボルに基づいて前記ワークの種類を特定しこの種類に応じた制御を前記溶接装置に行わせる制御部と、
    を含む、
    請求項1又は2記載の溶接組付方法。
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