JP2011178064A - ガスバリア性積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】高いガスバリア性が必要とされる場合に好適に用いることができる透明なガスバリア性積層フィルムを提供する。
【解決手段】基材層1の少なくとも片面に、アンカー層2と、SiOxCy(xは1.5以上2.0以下、yは0以上0.5以下)で表される酸化珪素からなるガスバリア層3と、オーバーコート層4とが順次形成され、基材層1の屈折率n1、アンカー層2の屈折率n2、ガスバリア層3の屈折率n3、オーバーコート層4の屈折率n4が、n1>n2>n3>n4で表され、それぞれ1.4≦n2≦1.7、1.3≦n3≦1.6、1.2≦n4≦1.5であり、アンカー層2の厚みが10nm以上100nm以下であり、ガスバリア層3の厚みが10nm以上100nm以下であり、オーバーコート層4の厚みが10nm以上100nm以下であるガスバリア性積層フィルム。
【選択図】図1

Description

本発明は、食品、日用品、医薬品などの包装分野、および電子機器関連部材などの分野において、特に高いガスバリア性が必要とされる場合に、好適に用いられる透明なガスバリア性積層フィルムに関するものである。
食品、日用品、医薬品などの包装に用いられる包装材料や電子機器関連部材などに用いられる包装材料は、収容物の変質を抑制して、その機能や性質を包装中においても保持できるようにするため、包装材料を透過する酸素、水蒸気など、収容物を変質させる気体による影響を防止する必要があり、これらの気体を遮断するガスバリア性を備えていることが求められている。
通常のガスバリア性を有する包装材料としては、比較的ガスバリア性に優れている塩化ビニリデン樹脂フィルムまたは塩化ビニリデン樹脂をコーティングしたフィルムなどがよく用いられてきたが、これらの包装材料は、高度なガスバリア性が要求される包装に用いることはできない。従って高度なガスバリア性が要求される場合には、アルミニウムなどの金属箔をガスバリア層として積層した包装材料を用いざるを得なかった。
アルミニウムなどの金属箔を積層した包装材料は、温度や湿度の影響が殆どなく、高度なガスバリア性を有している。しかし、こうした包装材料では、それを透視して収容物を確認することができない、使用後に不燃物として廃棄処理しなければならない、収容物の検査に金属探知器が使用できない、などの多くの欠点を有していた。
これらの欠点を克服した包装材料として、特許文献1には、透明なプラスチックフィルムからなる基材層に、透明な酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの無機酸化物の蒸着薄膜層をガスバリア層とし、その上に適宜のガスバリア性被膜層とを積層してなる積層フィルムが開示されている。
一方近年、地球温暖化問題に対する関心が高まるなか、太陽電池市場が急速に拡大している。太陽電池の構造としては、太陽電池素子単体をそのままの状態で使用することはなく、一般的に数枚から数十枚の素子を直列、並列に配線し、素子を長期間保護するためにパッケージが行なわれ、ユニット化されている。このパッケージに組み込まれたユニットを太陽電池モジュールと呼び、一般的に太陽光が当たる面をガラスで覆い、熱可塑性プラスチックからなる充填材で隙間を埋め、裏面を耐熱、耐候性プラスチック材料などからなるシートで保護された構成になっている。
また、この太陽電池モジュールをフレキシブル化させるべく開発も行なわれており、これを達成するためには太陽光が当たる表面のガラス基板もプラスチック材料などからなるシートに置き換える必要がある。太陽電池モジュールは屋外で利用されるため、太陽電池表面保護シートには透明性の他、十分な耐久性や耐候性が要求される。表面保護シートの耐久性を評価する手法として、加速試験が挙げられる。加速試験とは、太陽電池モジュールが屋外で高温・高湿度に長期間曝されたときの、表面保護シートの性質の変化を短時間で評価するための手法で、プレッシャークッカー試験(PCT)などが知られている。
また近年、次世代のFPDとして期待される電子ペーパー、有機ELなどの開発が進むなかで、これらFPDのフレキシブル化を達成するため、ガラス基板をプラスチックフィルムに置き換えたいという要求が高まっている。
ガラス基板は環境由来の酸素や水蒸気による内部素子の劣化を抑制するため必要とされるガスバリア性が備わっている。しかし、上述した包装材料用のガスバリアフィルムはそのバリアレベルには達しておらず、プラスチックフィルムが適用され得る電子ペーパー、有機ELなどでは、食品包材用バリアフィルムの100倍から1万倍のガスバリア性が必要とも言われている。
このような高いガスバリア性を有するプラスチックフィルムを実現するために、電子ビーム蒸着や誘導加熱蒸着を用いた反応性蒸着法、スパッタリング法、プラズマ化学蒸着(CVD)法などのドライコーティング法により成膜された無機酸化物薄膜は、高いガスバリア性の発現が期待できるものとして検討されている。
しかしながら、上記ドライコーティング法を用いたとしても、高いガスバリア性を目指すために緻密な膜を得ようとすると、高温プロセスが必要であったり、緻密であるために膜中の応力が大きくなる傾向がある。そのため、プラスチックフィルムの使用可能な温度範囲では緻密な膜を得ることが困難であったり、プラスチックフィルムと無機酸化物薄膜との熱膨張係数の差が大きいため密着不良やクラックが発生したりする問題が生じ、高いガスバリア性の発現は容易ではない。
その中で、有機シラン化合物を用いたプラズマCVD法による酸化珪素薄膜は、高いガスバリア性を発現するバリア層として検討されており、食品包装分野では実用化されている。特許文献2には炭素濃度および、酸化珪素薄膜の組成を制御することで、密着性と透明性が改善するとの報告があるが、水蒸気バリア性は若干劣ると記載されており、高いガスバリア性を必要とする電子ペーパーやLCD、有機ELなどのFPD向けとしては、ガスバリア性が不十分である。
特開平7−164591号公報 特開平11−322981号公報
特許文献1に記載された積層フィルムは、印刷、ラミネート、製袋などの、包装材料としての通常の加工を施したときに、水蒸気透過度などのガスバリア性が劣化してしまうという欠点を有していた。そのため、本発明の目的は、食品、日用品、医薬品などの包装分野や電子機器関連部材などの分野において、包装材料としての通常の加工を施してもガスバリア性が劣化しない、特に高いガスバリア性が必要とされる場合に好適に用いることができる透明なガスバリア性積層フィルムを提供することにある。
特に、上述した太陽電池モジュールの表面保護シート、電子ペーパーやLCD、有機ELなどのFPD向けとして、耐久性およびガスバリア性が不十分である問題を解決するものであり、水蒸気バリア性および耐久性に優れた、透明なガスバリア性積層フィルムを提供することにある。
請求項1に記載の発明は、プラスチックフィルムからなる基材層の少なくとも片面に、アンカー層と、SiOxCy(xは1.5以上2.0以下、yは0以上0.5以下)で表される酸化珪素からなるガスバリア層と、オーバーコート層とが順次形成されたガスバリア性積層フィルムにおいて、前記基材層の屈折率n1、アンカー層の屈折率n2、ガスバリア層の屈折率n3、オーバーコート層の屈折率n4が、n1>n2>n3>n4で表され、それぞれ1.4≦n2≦1.7、1.3≦n3≦1.6、1.2≦n4≦1.5であり、
前記アンカー層の厚みが10nm以上100nm以下であり、前記ガスバリア層の厚みが10nm以上100nm以下であり、前記オーバーコート層の厚みが10nm以上100nm以下であることを特徴とするガスバリア性積層フィルムである。
請求項2に記載の発明は、前記ガスバリア性積層フィルムにおいて、400nm〜1000nmにおける分光透過率が85%以上であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性積層フィルムである。
請求項3に記載の発明は、前記アンカー層が少なくともポリオール類とイソシアネート化合物を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のガスバリア性積層フィルム。
請求項4に記載の発明は、前記ガスバリア層が、プラズマ化学蒸着(CVD)法により形成されたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア性積層フィルムである。
請求項5に記載の発明は、前記オーバーコート層が少なくとも水溶性高分子および金属アルコキシドまたはその加水分解物を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリア性積層フィルムである。
本発明によれば、食品、日用品、医薬品などの包装分野や、電子機器関連部材などの分野において、包装材料としての通常の加工を施してもガスバリア性が劣化せず、また包装材料を透視して収容物を確認することができ、また、太陽電池やFPD向けとして特に高いガスバリア性が必要とされる場合に好適に用いることができる透明なガスバリア性積層フィルムを提供することができる。
本発明のガスバリア性積層フィルムの一例を示す概略断面図である。 実施例および比較例のガスバリア性積層フィルムおよびポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムの400nm〜1000nmにおける分光透過率を示す図である。
以下、本発明のガスバリア性積層フィルムを実施するための最良の形態を、図面に沿って説明する。
図1は、本発明のガスバリア性積層フィルムの一例を示す概略断面図である。基材層1上に、アンカー層2と、SiOxCy(xは1.5以上2.0以下、yは0以上0.5以下)で表される酸化珪素からなるガスバリア層3と、オーバーコート層4が順次積層されている。
本発明のガスバリア積層フィルムを太陽電池モジュールの表面保護シートやFPD向けに用いる場合、高い光透過性が求められるため、ガスバリア性積層フィルムの400nm〜1000nmにおける分光透過率は85%以上であることが好ましく、また90%以上であることがより好ましい。
本発明のガスバリア性積層フィルムにおいて、基材層1は透明なプラスチックフィルムからなっている。透明なプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルム、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリ乳酸などの生分解性プラスチックフィルム、などが用いられる。
これらの透明なプラスチックフィルムは、延伸、未延伸のどちらでもよいが、機械的強度や寸法安定性などが優れたものが好ましい。特に、耐熱性や寸法安定性などの面から、包装材料には二軸方向に延伸したポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられており、さらに高度な耐熱性や寸法安定性が求められるLCDや有機ELなどのFPD向けにはポリエチレンナフタレートやポリエーテルスルフォン、ポリカーボネートなどが好ましく用いられている。また、透明なプラスチックフィルムは、帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤等などの添加剤を含有してもよい。さらに、透明なプラスチックフィルムにおいて、他の層を積層する側の表面には、密着性をよくするために、コロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理、薬品処理、溶剤処理などを施してもよい。
これらの透明なプラスチックフィルムからなる基材層1の厚さは、特に制限を受けるものではないが、包装材料としての適性や他の層を積層する場合の加工適性などを考慮すると、実用的には3μm以上200μm以下の範囲、特に6μm以上30μm以下の範囲であることが好ましく、太陽電池、電子ペーパーや有機ELなどのFPD向けとしては、加工適正などを考慮すると、実用的には25μm以上200μm以下の範囲であることが好ましい。
本発明のガスバリア性積層フィルムにおけるアンカー層2は、基材層1上に形成されるものであり、プラスチックフィルムからなる基材1と、酸化珪素からなるガスバリア層3との密着を高め、さらにガスバリア性を向上する機能を発現する。
アンカー層2の屈折率n2は1.4≦n2≦1.7の範囲内であることが好ましく、基材層1の屈折率n1より小さいことが好ましい。屈折率n2をこの範囲とし、n1>n2であるアンカー層2を積層することで、基材層1の光反射を抑え良好な光学特性のガスバリア性積層フィルムを得ることができる。
またアンカー層2の膜厚は10nm以上100nm以下であることが好ましい。膜厚が10nm未満であると均一な膜形成が困難であり、ガスバリア性や密着性が低下する恐れがある。また100nmを超えるとガスバリア性積層体の光学特性を制御することが困難となる。
アンカー層は、少なくともポリオール類とイソシアネート化合物を含むことが好ましい。
ポリオール類とは、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリビニルアセタールなど高分子化合物の末端にヒドロキシル基を持つものであり、後述するイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応しウレタン結合が生成するものである。イソシアネート化合物との反応を考慮すると、ポリオール類のヒドロキシル価は5〜200KOHmg/gの間であることが好ましい。
イソシアネート化合物とは、前記ポリオール類と反応してできるウレタン結合により、基材層1やガスバリア層3との密着性を高めるために添加されるものである。一般にTDI(トリレンジイソシアネート)系、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)系、XDI(キシリレンジイソシアネート)系、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)系などやそれらのアダクト体、ヌレート体を用いることができ、さらに末端イソシアネート基のウレタンポリマーのようなものでもよい。イソシアネート化合物は、イソシアネート化合物由来のイソシアネート基とポリオール類由来のヒドロキシル基が当量となるように添加することが好ましく、添加方法は周知の方法が使用可能で特に限定されるものではない。
本発明のガスバリア性積層フィルムにおいて、アンカー層2は、ポリオール類とイソシアネート化合物を任意の配合比で混合した混合液を調製し、混合液を基材層1にコーティングして形成することができる。混合液は溶媒を加え、任意の濃度に希釈してもよい。
アンカー層2は、周知のコーティング方法、例えばディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、エアナイフコート法、コンマコート法などを用いて基材層1の片面もしくは両面にコーティングし、その後溶媒などを除去し、コーティング膜を乾燥・硬化させることで得ることができる。
本発明のガスバリア性積層フィルムにおいて、ガスバリア層3は、アンカー層2上に形成され、酸化珪素からなる。ガスバリア層3の屈折率n3は1.3≦n3≦1.6の範囲内であることが好ましく、アンカー層2の屈折率n2より小さいことが好ましい。屈折率n3をこの範囲とし、n2>n3であるガスバリア層3を積層することで、光反射を抑え良好な光学特性のガスバリア性積層フィルムを得ることができる。
またガスバリア層3の膜厚は10nm以上100nm以下であることが好ましい。膜厚が10nm未満であるとガスバリア材としての機能を十分に果たすことができず、また100nmを超えるとガスバリア層3にクラックが生じやすくなる他、ガスバリア性積層体の光学特性を制御することが困難となる。
ガスバリア層3は、SiOxCy(xは1.5以上2.0以下、yは0以上0.5以下)で表される。酸化珪素からなるガスバリア層は、炭素成分の増加に伴い透明性が低下するため、透明性が求められる、食品、日用品などの包装材料や、電子ペーパーや有機ELなどのFPD向けのプラスチック基材では上記ガスバリア層3の炭素成分を増やし過ぎないようにする必要があり、yを0.5以下にすることが好ましく、より高い透明性が求められる場合にはyを0.3以下にすることが好ましい。また、本発明のガスバリア性積層フィルムにおいて、yはガスバリア層3の層内で異なる値にしても問題なく、例えば、ガスバリア層3の深さ方向において、このyを大きくしたり、また反対に小さくしたりすることもできる。
また、SiOxCyで表されるガスバリア層の酸素成分に関しては、xを2に近づけることで一般的に透明性が向上する傾向があり、また、反対にxを2から小さくしていくことで、ガスバリア性が向上する傾向がある。
すなわち、xは2より大きくなり過ぎると透明性およびガスバリア性の両方に悪影響を及ぼすため、2.0以下であることが好ましく、より効率的に高い透明性と高いガスバリア性を両立して発現させるためには、1.9以下であることが好ましい。
また、xは1.5より小さいと透明性の低下が著しくなり、透明性が求められる、食品、日用品などの包装材料や、電子ペーパーや有機ELなどのFPD向けのプラスチック基材には不向きであるため、xは1.5以上であることが好ましく、より高い透明性が求められる場合にはxを1.6以上にすることが好ましい。
従って、酸素成分の組成比を示すxの実用的な範囲は1.5以上2.0以下となるが、このようなxの範囲のなかで、高い透明性および高いガスバリア性を両立して発現するためには、xが1.6以上1.9以下であることが望ましい。
また、本発明のガスバリア性積層フィルムにおいて、xはガスバリア層3の層内で異なる値にしても問題なく、例えば、ガスバリア層2の深さ方向において、このxを大きくしたり、また反対に小さくしたりすることもできる。
本発明のガスバリア性積層フィルムにおいて、ガスバリア層3の形成方法は、特に限定されるものではないが、アンカー層2の表面に、酸化珪素からなるガスバリア層3を真空中において成膜して、高いガスバリア性を発現させるためには、現時点ではプラズマ化学蒸着(CVD)法が好ましく、上記プラスチックフィルムからなる基材層の片面もしくは両面に成膜することができる。また、プラスチック基材の特徴を活かした巻取式による連続蒸着を行うことができ、巻取式の真空蒸着成膜装置を用いることが好ましい。また、プラズマ発生装置としては、直流(DC)プラズマ、低周波プラズマ、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、3極構造プラズマ、マイクロ波プラズマなどの低温プラズマ発生装置が用いられる。
プラズマCVD法により積層される酸化珪素からなるガスバリア層3は、分子内に炭素を有するシラン化合物と酸素ガスを原料として成膜することができ、この原料に不活性ガスを加えて成膜することもできる。分子内に炭素を有するシラン化合物としては、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラメチルシラン(TMS)、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、テトラメチルジシロキサン、メチルトリメトキシシランなどの比較的低分子量のシラン化合物を選択し、これらシラン化合物の1つまたは、複数を選択しても良い。
プラズマCVD法による成膜では、上記シラン化合物を気化させ酸素ガスと混合したものを電極間に導入し、低温プラズマ発生装置にて電力を印加してプラズマ化し、上記アンカー層2に積層することができる。また、プラズマCVD法では、酸化珪素からなるガスバリア層3の膜質を様々な方法で変えることが可能であり、ガスバリア層3の酸素成分や炭素成分の組成比を増減させることが比較的容易にでき、例えば、シラン化合物やガス種の変更、シラン化合物と酸素ガスの混合比や、印加電力の増減などがその有効な手法となる。
本発明のガスバリア性積層フィルムにおけるオーバーコート層4は、ガスバリア層3上に形成されるものであり、酸化珪素からなるガスバリア層3を保護し、さらにガスバリア性を向上する機能を発現する。
オーバーコート層4の屈折率n4は1.2≦n4≦1.5の範囲内であることが好ましく、ガスバリア層3の屈折率n3より小さいことが好ましい。屈折率n4をこの範囲とし、n3>n4であるオーバーコート層4を積層することで、光反射を抑え良好な光学特性のガスバリア性積層フィルムを得ることができる。
またオーバーコート層4の膜厚は10nm以上100nm以下であることが好ましい。膜厚が10nm未満であると均一な膜形成が困難であり、ガスバリア性や密着性が低下する恐れがある。また100nmを超えるとガスバリア性積層体の光学特性を制御することが困難となる。
オーバーコート層4は、少なくとも水溶性高分子および金属アルコキシドまたはその加水分解物を含むことが好ましい。
水溶性高分子には、ポリビニルアルコール、カルボキシルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが好ましく用いられる。
また金属アルコキシドとは、一般式M(OR)n(M:Si、Ti、Alなどの金属、R:CH、Cなどのアルキル基)で表せる化合物であり、具体的にはテトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムなどが好ましく用いられる。
本発明のガスバリア性積層フィルムにおいて、オーバーコート層4は、水溶性高分子および金属アルコキシドまたはその加水分解物を任意の配合比で混合した混合液を調製し、混合液をガスバリア層3にコーティングして形成することができる。混合液は溶媒を加え、任意の濃度に希釈してもよい。また混合液中に、シランカップリング剤、分散剤、安定化剤などを添加してもよい。
オーバーコート層4は、周知のコーティング方法、例えばディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、エアナイフコート法、コンマコート法などを用いてガスバリア層3上にコーティングし、その後溶媒などを除去し、コーティング膜を乾燥・硬化させることで得ることができる。
以上のような層構成のガスバリア性積層フィルムは、ガスバリア性積層フィルムを構成する基材層の分光透過率よりも、高い分光透過率にすることができるため、太陽電池モジュールの表面保護シートやFPD向けに用いることができる。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
〈実施例1〉
基材層1として、屈折率n1が1.6である厚さ100μmのポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムを用意し、フィルムの片面にアクリルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)からなる混合液をグラビアコート法によりコーティングし、乾燥・硬化させ厚さ60nmのアンカー層2を形成した。このとき、アンカー層2の屈折率n2は1.5であった。続いてプラズマCVD法を用い、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)/酸素=10/100sccmの混合ガスを電極間に導入し、電力を0.5kW印加してプラズマ化し、アンカー層2上にSiOxCy(x=1.8,y=0.05)で表される厚さ60nmのガスバリア層3を積層した。このとき、ガスバリア層3の屈折率n3は1.4であった。次にポリビニルアルコールおよびテトラエトキシシランからなる混合溶液をグラビアコート法によりコーティングし、乾燥・硬化させ60nmのオーバーコート層4を形成した。このとき、オーバーコート層4の屈折率n4は1.3であった。こうして実施例1のガスバリア性積層フィルムを作製した。
〈比較例1〉
実施例1におけるアンカー層2の膜厚を200nm、ガスバリア層3の膜厚を150nm、オーバーコート層4の膜厚を200nmとした以外は、実施例1と同様にして比較例1のガスバリア性積層フィルムを作製した。
〈比較例2〉
実施例1におけるガスバリア層3の膜厚を5nmとした以外は、実施例1と同様にして比較例2のガスバリア性積層フィルムを作製した。
〈比較評価〉
1.分光透過率
実施例1、比較例1、2のガスバリア性積層フィルムおよびPENフィルムについて、400nm〜1000nmにおける分光透過率を測定した。この結果を図1に示す。
2.水蒸気透過度
実施例1および比較例1、2のガスバリア性積層フィルムについて、モダンコントロール社製の水蒸気透過度計(MOCON PERMATRAN 3/31)により、40℃90%RH雰囲気下での水蒸気透過度(g/m/24h)を測定した。この測定結果を表1に示す。
Figure 2011178064
図1および表1から、実施例1のガスバリア性積層フィルムはPENフィルムと比較して分光透過率が高く、水蒸気透過度は低いことがわかる。一方比較例1に関しては、水蒸気透過度は実施例1と同等レベルであるが、450nm、550nm、750nmにおける分光透過率が低く、干渉が起こっている。また比較例2に関しては、分光透過率は高いが、水蒸気透過度が著しく高くなっている。
本発明のガスバリア性積層フィルムは、食品、日用品、医薬品などの包装分野、電子機器関連部材などの分野、さらには太陽電池やFPD向けのプラスチック基材として、特に高い透明性とガスバリア性が必要とされる場合に好適に用いられる。
1…基材層、2…アンカー層、3…ガスバリア層、4…オーバーコート層。

Claims (5)

  1. プラスチックフィルムからなる基材層の少なくとも片面に、アンカー層と、SiOxCy(xは1.5以上2.0以下、yは0以上0.5以下)で表される酸化珪素からなるガスバリア層と、オーバーコート層とが順次形成されたガスバリア性積層フィルムにおいて、前記基材層の屈折率n1、アンカー層の屈折率n2、ガスバリア層の屈折率n3、オーバーコート層の屈折率n4が、n1>n2>n3>n4で表され、それぞれ1.4≦n2≦1.7、1.3≦n3≦1.6、1.2≦n4≦1.5であり、
    前記アンカー層の厚みが10nm以上100nm以下であり、前記ガスバリア層の厚みが10nm以上100nm以下であり、前記オーバーコート層の厚みが10nm以上100nm以下であることを特徴とするガスバリア性積層フィルム。
  2. 前記ガスバリア性積層フィルムにおいて、400nm〜1000nmにおける分光透過率が85%以上であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性積層フィルム。
  3. 前記アンカー層が少なくともポリオール類とイソシアネート化合物を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のガスバリア性積層フィルム。
  4. 前記ガスバリア層が、プラズマ化学蒸着(CVD)法により形成されたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア性積層フィルム。
  5. 前記オーバーコート層が少なくとも水溶性高分子および金属アルコキシドまたはその加水分解物を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリア性積層フィルム。
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