JP2011176181A - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐電圧性能の高い、高性能の固体電解コンデンサの製造方法および固体電解コンデンサを提供する。
【解決手段】表面に誘電体皮膜が形成された陽極体と、陽極体上に形成された導電性高分子層と、を備える固体電解コンデンサの製造方法であって、陽極体の表面に誘電体皮膜を形成する工程と、誘電体皮膜上に導電性のプレコート層を形成する工程と、プレコート層に給電点を設け、給電点に給電する電流を経時的に増加させながら電解重合を行うことにより、プレコート層上に導電性高分子層を形成する工程と、を有する固体電解コンデンサの製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体電解コンデンサの製造方法に関し、特に、電解重合によって形成された導電性高分子層を有する固体電解コンデンサの製造方法に関する。
従来より、小型化に適したコンデンサとして、固体電解コンデンサが広く知られている。固体電解コンデンサは、表面に誘電体被膜が形成された陽極体を有し、さらに、陽極体と陰極層との間に固体電解質を有している。
陽極体には、弁作用金属の金属板または金属箔をエッチングしたもの、弁作用金属の粉末の成形体を焼結したものなどがあり、このような陽極体の表面を電解酸化することにより、誘電体被膜を形成することができる。このようにして形成される誘電体被膜は、極めて緻密であり、耐久性が高く、かつ非常に薄い。このため、固体電解コンデンサは、他のコンデンサ、たとえば、紙コンデンサやフィルムコンデンサと比較して、静電容量を低下させることなく小型化することが可能となる。
また、固体電解質の材料としては、二酸化マンガン、導電性高分子などが知られている。特に、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェンなどの導電性高分子からなる固体電解質の電気伝導性は高く、固体電解コンデンサの等価直列抵抗(以下、「ESR」という。)を低くすることが可能となる。
導電性高分子層を形成する方法として、化学重合を利用する方法および電解重合を利用する方法がある。化学重合を利用する方法では、たとえば、誘電体被膜が形成された陽極体を、酸化剤と導電性高分子の前駆体とを含む溶液に浸漬し、誘電体被膜上で前駆体を重合させることによって、導電性高分子層を形成することができる。また、電解重合を利用する方法では、たとえば、誘電体被膜が形成された陽極体を電解液に浸漬させ、アノードで生じる酸化反応を利用して前駆体を重合させることにより、誘電体被膜上に導電性高分子層を形成することができる。
一般的に、電解重合によって形成される導電性高分子層は、強度が強く、電気伝導度が高いため、高性能の固体電解コンデンサの製造への利用が望まれる。しかし、誘電体被膜は絶縁体であるため、電解重合によって誘電体被膜上に直接導電性高分子層を形成するのは困難であるという問題があった。
この問題を解決する方法として、化学重合を用いて、誘電体被膜上に導電性のプレコート層を形成した後に、電解重合によって、プレコート層上に導電性高分子層を形成する方法が提案されている(引用文献1)。
特開昭63−173313号公報
しかしながら、さらに高性能な固体電解コンデンサ、すなわち、ESRが低く、耐電圧性能が高く、静電容量の大きい、固体電解コンデンサの需要は未だ高まっており、導電性高分子層の質をさらに高める必要性がある。
そこで、上記事情に鑑み、本発明の目的は、高性能な固体電解コンデンサの製造方法を提供することである。
本発明は、表面に誘電体被膜が形成された陽極体と、陽極体上に形成された導電性高分子層と、を備える固体電解コンデンサの製造方法であって、陽極体の表面に誘電体被膜を形成する工程と、誘電体被膜上に導電性のプレコート層を形成する工程と、プレコート層に給電点を設け、給電点に給電する電流を経時的に増加させながら電解重合を行うことにより、プレコート層上に導電性高分子層を形成する工程と、を有する、固体電解コンデンサの製造方法である。
本発明において、プレコート層は、化学重合によって形成される導電性高分子層であることが好ましい。
本発明によれば、ESRの低い、高性能な固体電解コンデンサの製造方法を提供することができる。
本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法の好ましい一例のフローチャートである。 (a)〜(f)は、図1のフローチャートに沿った製造方法を図解する模式的な断面図である。 実施形態に用いされる電解重合用装置の好ましい一例の構成を模式的に示す図である。 給電点に給電される電流と給電点への給電が開始されてからの経過時間との好ましい関係の一例を示すグラフである。 給電点に給電される電流と給電点への給電が開始されてからの経過時間との好ましい関係の一例を示すグラフである。 給電点に給電される電流と給電点への給電が開始されてからの経過時間との好ましい関係の一例を示すグラフである。 比較例1において、給電点に給電される電流と給電点への給電が開始されてからの経過時間との関係を示すグラフである。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。なお、図面における長さ、大きさ、幅などの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法を表していない。
<固体電解コンデンサの製造方法>
以下に、本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法の好ましい一例を説明する。ここでは、焼結体からなる陽極体を有する、固体電解コンデンサの製造方法について、図1および図2を用いて説明する。
図1は、本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法の好ましい一例のフローチャートであり、図2の(a)〜(f)は、図1のフローチャートに沿った製造方法を図解する模式的な断面図である。
1. 陽極体の形成(陽極体形成工程)
まず、図1のステップS101において、図2(a)に示す陽極体11を形成する。
具体的には、弁作用金属の粉末を準備し、棒状体の陽極リード17の長手方向の一端側を金属粉末に埋め込んだ状態で、当該粉末を所望の形状、たとえば長方形に成形する。そして、この成形体を焼結して、陽極リード17の一端が埋設された多孔質構造の陽極体11を形成する。弁作用金属としては、タンタル、ニオブ、チタン、アルミニウムなどを用いることができる。また、陽極リード17は金属からなるが、弁作用金属を好適に用いることができる。
2. 誘電体被膜の形成(誘電体被膜形成工程)
次に、図1のステップS102において、図2(b)に示すように、陽極体11の表面に誘電体被膜12を形成する。
本工程において、誘電体被膜12は、弁作用金属を化成処理することによって形成される。化成処理の方法としては、陽極体11を、リン酸水溶液または硝酸水溶液などの化成溶液中に浸して電圧を印加して電解酸化する方法がある。たとえば、弁作用金属としてタンタル(Ta)を用いた場合の誘電体被膜12の組成はTa25となり、弁作用金属としてアルミニウム(Al)を用いた場合の誘電体被膜12の組成はAl2となる。
3. プレコート層の形成(プレコート層形成工程)
次に、図1のステップS103において、図2(c)に示すように、誘電体被膜12上に導電性のプレコート層13を形成する。
本工程において、誘電体被膜12上で酸化剤を用いて前駆体を化学重合させることよって、プレコート層13を形成することが好ましい。化学重合を利用することによって、誘電体被膜12上に導電性高分子を付着させることができる。この方法によれば、導電性のプレコート層13を容易に形成することができる。なお、本明細書において、前駆体とは、重合することによって導電性高分子を形成するモノマー化合物をいう。
化学重合によって導電性高分子からなるプレコート層13を形成する具体的な方法としては、たとえば、誘電体被膜12が形成された陽極体11を、前駆体および酸化剤を含む溶液に浸漬して、誘電体被膜12上で前駆体を酸化重合させる方法がある。また、陽極体11を、酸化剤を含む溶液および前駆体を含む溶液のそれぞれに順次浸漬してもよく、前駆体を含む溶液および酸化剤を含む溶液のそれぞれに順次浸漬してもよい。
上記の方法は、化学重合のうちの液相重合であるが、液相重合の代わりに気相重合によってプレコート層13を形成してもよい。たとえば、誘電体被膜12が形成された陽極体11を酸化剤を含む溶液に浸漬し、その後陽極体11を前駆体を含むガスに曝露することによって、プレコート層13を形成することができる。なお、酸化剤を含む溶液は陽極体11に塗布してもよい。
前駆体としては、脂肪族系化合物、芳香族系化合物、複素環式系化合物およびヘテロ原子含有化合物のうちの少なくとも1種類を用いることができる。なかでも、チオフェンおよびその誘導体、ピロールおよびその誘導体、アニリンおよびその誘導体、ならびにフランおよびその誘導体が好ましく、特に、ピロールおよびその誘導体を好適に用いることができる。これらを用いることにより、ポリチオフェン骨格、ポリピロール骨格、ポリアニリン骨格およびポリフラン骨格からなるプレコート層13を形成することができる。また、酸化剤としては、たとえば、硫酸、過酸化水素、第二鉄イオンなどを用いることができる。
4. 導電性高分子層の形成(導電性高分子層形成工程)
次に、図1のステップS104において、プレコート層13に給電点を設け、給電点に給電する電流を経時的に増加させながら電解重合を行うことにより、図2(d)に示すように、プレコート層13上に導電性高分子層14を形成する。
上記電解重合は、たとえば図3の電解重合用装置300を用いることによって行うことができる。
図3において、電解重合用装置300は、電解槽31と、直流電源32とを有する。直流電源32の正極側には陽極電極片33が接続されており、直流電源32の負極側には、陰極電極片34が接続されている。電解槽31内には、電解液35が満たされ、直流電源32、陽極電極片33、陰極電極片34、および電解液35で1つの電気回路が構成される。また、この電気回路には、可変抵抗器36が設けられており、これにより、電解回路に流れる電流量を制御することができる。
以下に、電解重合用装置300を用いて導電性高分子層14を形成する方法について具体的に説明する。
上記電解重合用装置300において、まず、電解槽31内に、前駆体を含む電解液35を満たす。前駆体としては、脂肪族系化合物、芳香族系化合物、複素環式系化合物およびヘテロ原子含有化合物のうちの少なくとも1種類を用いることができる。なかでも、チオフェンおよびその誘導体、ピロールおよびその誘導体、アニリンおよびその誘導体、ならびにフランおよびその誘導体が好ましく、特に、ピロールおよびその誘導体を好適に用いることができる。
次に、陽極電極片33、陰極電極片34およびプレコート層13が形成された陽極体11を電解液35に浸漬する。このとき、プレコート層13と陽極電極片33とが接触するように配置する。この接触部分が、プレコート層13に電流を給電するための給電点P1として機能する部分となる。
その後、直流電源32をオンにして給電点P1への電流の給電を開始する。これにより、給電点P1近傍における電解液35の電気分解が開始される。この電気分解に伴って、電解液35中の前駆体がプレコート層13上およびプレコート層13の隙間から露出している誘電体被膜12上で重合し、導電性高分子層14の形成が開始される。
そして、可変抵抗器36を調整することによって、給電点P1に給電する電流を経時的に増加させ、所望の厚さの導電性高分子層14が形成された段階で、直流電源32をオフにする。これにより、電解液35の電気分解が停止し、導電性高分子層14の形成が終了する。
本工程において、電解重合時に給電点P1に給電する電流を経時的に増加させるが、これは、本発明者が従来の電解重合によって形成された導電性高分子層の構造に着目し、導電性高分子層の構造に、給電される電流の変化の度合いが関係していることを知見したことによる。さらに、本発明者は、電解重合の最初にある大きさの電流を給電した場合、陽極体内部の弁作用金属粒子表面に十分に導電性高分子層が形成される前に、陽極体外周の表面部分に導電性高分子層が形成されてしまい、以降の陽極体内部の弁作用金属粒子表面上への導電性高分子層の形成が阻害されることも知見した。
本発明者は、上記知見に基づいて鋭意検討重ね、従来のように一定の電流で形成するよりも、経時的に増加する電流で形成したほうが、抵抗の低い導電性高分子層を形成することができ、もってESRの低い、高性能の固体電解コンデンサを提供できるに至った。
図4〜図6は、給電点に給電される電流と給電点への給電が開始されてからの経過時間との好ましい関係の一例を示す図である。
図4において、給電点P1に給電する電流密度は、給電開始時の0mA/cm2から一定の増加率(I/T)で増加する。給電時間TでImA/cm2の電流密度に到達した後、電流の給電が停止されている。
図5において、給電点P1に給電する電流密度の増加率(I/T)は、給電開始時の0mA/cm2から徐々に大きくなる。給電時間TでImA/cm2の電流密度に到達した後、電流の給電が停止されている。すなわち、電流密度の増加率(I/T)は、給電開始直後が最も低く、給電終了直前が最も高い。
図6において、給電点P1に給電する電流密度の増加率(I/T)は、給電開始時の0mA/cm2から徐々に小さくなる。給電時間TでImA/cm2の電流密度に到達した後、電流の給電が停止されている。すなわち、電流密度の増加率(I/T)は、給電開始直後が最も高く、給電終了直前が最も低い。
5. 陰極層の形成(陰極層形成工程)
次に、図1のステップS105において、導電性高分子層14上に、陰極層を形成する。
陰極層は、カーボン層15および銀ペイント層16からなり、いずれも、公知の方法によって形成することができる。陰極層としてのカーボン層15は導電性を有していればよく、たとえば、グラファイトを用いて構成することができる。本工程により、図2(e)に示すように、導電性高分子層14上にカーボン層15および銀ペイント層16からなる陰極層が形成され、コンデンサ素子10が作製される。
6. コンデンサ素子の封止(封止工程)
最後に、図1のステップS106において、コンデンサ素子10に、公知の技術にしたがって、陽極端子18の一端を陽極リード17に溶接し、陰極端子20の一端を導電性の接着層19を介して銀ペイント層16に接続させる。そして、陽極端子18の他端および陰極端子20の他端のみが外部に露出するように、コンデンサ素子10を外装樹脂21にて封止する。そして、外装樹脂21の外部に露出している陽極端子18および陰極端子20を外装樹脂21に沿うように折り曲げた後に、エージング処理する。以上の操作により、図2(f)に示す固体電解コンデンサ100の製造を完了する。なお、陽極端子18および陰極端子20は、たとえば銅または銅合金などの金属で構成することができ、外装樹脂21の素材としては、たとえばエポキシ樹脂を用いることができる。
以上に詳述した第1の実施形態に係る固体電解コンデンサの製造方法によれば、プレコート層13を形成した後、プレコート層13に設けた給電点に給電する電流を経時的に増加させながら電解重合を行う。これにより、導電性高分子層14の構造が改善され、もって、固体電解コンデンサ100のESRを向上させることができる。
また、第1の実施形態における固体電解コンデンサの製造方法は、上記の焼結陽極体を有する固体電解コンデンサ100の製造方法に限定されず、公知の形状に応用することができる。公知の形状としては具体的に、弁金属の板または弁金属の箔を用いた積層タイプの固体電解コンデンサなどがある。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各実施例および各比較例において、固体電解コンデンサを100個ずつ製造した。
<実施例1>
1. 陽極体の形成(陽極体形成工程)
まず、タンタル粉末を準備し、ワイヤー状の陽極リード17の一端側をタンタル粉末に埋め込んた状態で、タンタル粉末を縦×横×高さが1.5mm×2.8mm×2.5mmの直方体に成形した。そして、これを焼結することにより、陽極リード17の一端が埋め込まれた陽極体11を形成した。陽極リード17には、タンタルからなるワイヤーを用いた。
2. 誘電体被膜の形成(誘電体被膜形成工程)
次に、陽極体11をリン酸水溶液に浸漬し、陽極体11に30Vの電圧を印加して電解酸化することにより、陽極体の表面にTa25からなる誘電体被膜12を形成した。
3. プレコート層の形成(プレコート層形成工程)
次に、以下の化学重合を行って、誘電体被膜12上にプレコート層13を形成した。
具体的には、まず、ピロールを3mol/Lの濃度で含むエタノール溶液と、酸化剤としての過硫酸アンモニウムおよびパラトルエンスルホン酸を含有する水溶液を準備した。そして、25℃に調整した上記エタノール溶液中に、誘電体被膜12が形成された陽極体11を5分間浸漬して、誘電体被膜12に前駆体としてのピロールを付着させた。その後、陽極体11をエタノール溶液から引き上げて、引き続き、25℃に設定された上記水溶液に5分間浸漬した。そして、陽極体11を水溶液から引き上げた後に乾燥させた。以上の操作により、プレコート層13を誘電体被膜12上に形成した。
4. 導電性高分子層の形成(導電性高分子層形成工程)
図3に示す電解重合用装置300を用い、まず、電解液として、ピロールおよび支持電解質としてのアルキルベンゼンスルホン酸を含む水溶液を準備し、該水溶液を電解重合用装置300の電解槽31内に満たした。プレコート層13が形成された陽極体11を陽極電極片33に接触させて給電点P1を構成させ、直流電源32をオンにして、可変抵抗器36を制御することにより、13mA/cm2/分の速度で電流を増加させながら、120分間給電した。この操作により、プレコート層13上に導電性高分子層14が形成された。このときの導電性高分子層14の厚さは40μmであった。なお、このときの給電点P1に給電される電流の経時変化を示す線形は、図4に示す線形と同様であった。
5. 陰極層の形成(陰極層形成工程)
次に、導電性高分子層14上に、グラファイト粒子懸濁液を塗布して大気中で乾燥させることによりカーボン層15を形成し、さらに、公知の技術にしたがって、銀ペイント層16を形成した。以上の工程により、コンデンサ素子10が作製された。
6. コンデンサ素子の封止(封止工程)
陽極リード17に銅からなる陽極端子18を溶接し、銀ペイント層16に銀接着剤を塗布して接着層19を形成し、接着層19に銅からなる陰極端子20の一端を接着させた。さらに、陽極端子18および陰極端子20の一部が露出するように、コンデンサ素子10を外装樹脂21で封止した。露出する陽極端子18および陰極端子20を外装樹脂21に沿うように折り曲げた後、エージング処理することにより、固体電解コンデンサ100を完成させた。固体電解コンデンサ100の定格電圧は10V、定格容量は330μFであり、縦×横×高さが7.3mm×4.3mm×3.8mmであった。
<比較例1>
導電性高分子層形成工程において、直流電源32をオンにして、50mAの電流を30分間給電した以外は、実施例1と同様の方法により、固体電解コンデンサを製造した。給電点P1に対する給電時間は、30分間であった。なお、このときの給電点P1に給電される電流の経時変化を示す線形は、図7に示す線形と同様であった。
<性能評価>
≪ESRの測定≫
実施例1および比較例1の固体電解コンデンサについて、4端子測定用のLCRメータを用いて周波数100kHzにおける各固体電解コンデンサのESR(mΩ)を測定した。実施例1および比較例1における平均値を算出した。この結果を表1の「ESR(mΩ)」に示した。
Figure 2011176181
表1を参照して、実施例1および比較例1を比較すると、導電性高分子層の厚さが同等であるにもかかわらず、実施例1において、ESRが比較例1よりも小さかった。この結果から、従来のように導電性高分子層14を一定電流で形成した場合よりも、電流を経時的に増加させながら導電性高分子層14を形成した場合のほうが、製造される固体電解コンデンサの性能が高いことが分かった。
今回開示された実施形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、固体電解コンデンサとしての特性、特にESRを向上させるために広く利用することができる。
10 コンデンサ素子、11 陽極体、12 誘電体被膜、13 プレコート層、14 導電性高分子層、15 カーボン層、16 銀ペイント層、17 陽極リード、18 陽極端子、19 接着層、20 陰極端子、21 外層樹脂、31 電解槽、32 直列電源、33 陽極電極片、34 陰極電極片、35 電解液、36 可変抵抗器、100 固体電解コンデンサ、300 電解重合用装置。

Claims (2)

  1. 表面に誘電体皮膜が形成された陽極体と、前記陽極体上に形成された導電性高分子層と、を備える固体電解コンデンサの製造方法であって、
    前記陽極体の表面に前記誘電体皮膜を形成する工程と、
    前記誘電体皮膜上に導電性のプレコート層を形成する工程と、
    前記プレコート層に給電点を設け、前記給電点に給電する電流を経時的に増加させながら電解重合を行うことにより、前記プレコート層上に導電性高分子層を形成する工程と、を有する、固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 前記プレコート層は、化学重合によって形成される導電性高分子層である、請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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