JP2011173949A - ポリエチレン系樹脂組成物及びそれからなる食品包装容器 - Google Patents

ポリエチレン系樹脂組成物及びそれからなる食品包装容器 Download PDF

Info

Publication number
JP2011173949A
JP2011173949A JP2010037211A JP2010037211A JP2011173949A JP 2011173949 A JP2011173949 A JP 2011173949A JP 2010037211 A JP2010037211 A JP 2010037211A JP 2010037211 A JP2010037211 A JP 2010037211A JP 2011173949 A JP2011173949 A JP 2011173949A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tocopherol
polyethylene
resin composition
polyethylene resin
antioxidant
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2010037211A
Other languages
English (en)
Inventor
Hitoaki Kurumi
仁朗 久留美
Yuichiro Yasukawa
雄一郎 安川
Hirotsugu Kido
浩胤 城戸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Foods Corp
Japan Polyethylene Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Foods Corp
Japan Polyethylene Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Foods Corp, Japan Polyethylene Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Foods Corp
Priority to JP2010037211A priority Critical patent/JP2011173949A/ja
Publication of JP2011173949A publication Critical patent/JP2011173949A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Wrappers (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Packages (AREA)

Abstract

【課題】従来の合成によるα−トコフェロールからなるビタミンEを配合した場合よりも、少量の添加で優れた酸化防止性能を付与させることのできるα−トコフェロール以外のトコフェロールを酸化防止剤として配合してなる安定化されたポリエチレン系樹脂組成物及びそれからなる食品包装容器の提供。
【解決手段】ポリエチレン系樹脂100重量部に対し、γ−トコフェロール及び/又はδ−トコフェロールからなる酸化防止剤を0.001〜2重量部配合することを特徴とするポリエチレン系樹脂組成物等により提供。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエチレン系樹脂組成物及びそれからなる食品包装容器に関し、さらに詳しくは、従来の合成によるα−トコフェロールからなるビタミンEを配合した場合よりも、少量の添加で優れた酸化防止性能を付与させることのできるα−トコフェロール以外のトコフェロールを酸化防止剤として配合してなる安定化されたポリエチレン系樹脂組成物及びそれからなる食品包装容器に関する。
ポリエチレン系樹脂は、柔軟性、耐衝撃性、耐寒性等の機械的強度、透明性、光沢等の外観、ヒートシール性、滑り性等の包装適性、押出成形性、容器成形性等の加工性及び衛生性等が優れているため、ブロー、射出、チューブ、フィルム、シート等の食品容器用材料として幅広く使用されている。
ところが、比較的劣化しにくいポリエチレン系樹脂であっても、成形加工時の熱やせん断力で、樹脂が架橋劣化あるいは分解劣化してしまう問題があった。このため、ポリエチレン系樹脂には、石油の誘導体や動植物の油脂等を原料とし化学反応を伴った合成法によって得られるフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等の酸化防止剤が一般的に配合されてきた。
しかし、安全性を厳しく求める用途については、やむを得ず、酸化防止剤等の添加剤を完全に除いた無添加のポリエチレン系樹脂が使用されてきたが、酸化防止剤を無添加にした場合、樹脂の溶融加工工程において熱酸化による架橋劣化や分子切断が生じ、焼け炭化樹脂を発生させ、樹脂物性を低下させる問題をどうしても避けることができず、また、得られた樹脂製品を長期間使用、保管した場合、樹脂の酸化劣化が更に進行して品質低下を招くという問題があった。
一方、近年食品や医療に関する消費者、食品業界、医薬品業界関係者等から、より安心できる安全な容器が強く求められてきている。このため、特許文献1〜3等には、食品用抗酸化剤添加物として用いられているビタミンE(トコフェロール)をポリエチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂に配合したものが開示されている。
しかし、ビタミンEは、一般的に用いられる樹脂用フェノール系酸化防止剤等に比べ少量の配合でも比較的高い酸化防止効果が得られるが、少量の配合でも樹脂が黄色く変色しやすい問題があった。
また、ビタミンE(トコフェロール)としては、合成法によるトコフェロールや野菜、果実等の天然物から抽出したトコフェロールが挙げられるが、トコフェロールの種類による性能の比較が必ずしも十分になされておらず、入手のしやすさより合成法により得られたα−トコフェロールを用いるのが一般的であった。さらに、ポリオレフィン樹脂用酸化防止剤として工業的に用いられているビタミンEは、合成法により得られたα−トコフェロールであったため、合成時の不純物成分混入の可能性等安全性の観点より、食用植物等から抽出した天然物由来のビタミンEが好ましいという状況にある。
さらに、ポリオレフィン系樹脂にトコフェロール系酸化防止剤を添加する例として、例えば、特許文献4には、ポリオレフィン、アスコルビン酸及び1種以上のトコフェロールを含有する安定化組成物が開示され、トコフェロールについて、ビタミン活性を有する4種の天然産化合物が例示されている。
また、特許文献5には、UHMWポリエチレンにビタミンEが含有された移植用のUHMWポリエチレンが開示され、天然ビタミンEに含まれるβ−トコフェロールと別の異性体は、抗酸化剤としてやや小さい効果を有することが示されている。
さらにまた、特許文献6には、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体、ビタミンE、リン系酸化防止剤を含む医療容器用ポリエチレン系樹脂組成物が開示され、ビタミンEとして、天然の植物油に含まれるα、β、γ及びδ−トコフェロールとα、β、γ及びδ−トコトリエノールの8種類が例示され、α−トコフェロール以外のトコフェロールについて、酸化防止剤等への適用検討が進められている。
こうした状況下に、従来の合成によるα−トコフェロールからなるビタミンEを配合した場合よりも、少量の添加で優れた酸化防止性能を付与させることのできるα−トコフェロール以外のトコフェロールを酸化防止剤として配合してなるポリエチレン系樹脂組成物の開発が望まれていた。
特開昭50−110442号公報 特開昭51−010855号公報 特開2002−069314号公報 特開平08−041252号公報 特開2000−126281号公報 特開2001−204791号公報
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点に鑑み、従来の合成によるα−トコフェロールからなるビタミンEを配合した場合よりも、少量の添加で優れた酸化防止性能を付与させることのできるα−トコフェロール以外のトコフェロールを酸化防止剤として配合してなる安定化されたポリエチレン系樹脂組成物及びそれからなる食品包装容器を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究した結果、ポリエチレン系樹脂にα−トコフェロール以外の特定のトコフェロールを酸化防止剤として特定量配合したところ、少量の添加でもって優れた酸化防止性能を付与できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、ポリエチレン系樹脂100重量部に対し、γ−トコフェロール及び/又はδ−トコフェロールからなる酸化防止剤を0.001〜2重量部配合することを特徴とするポリエチレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記ポリエチレン系樹脂に含まれる遷移金属量は、1重量ppm以下であることを特徴とするポリエチレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、前記ポリエチレン系樹脂は、高圧ラジカル重合によって得られることを特徴とするポリエチレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、前記γ−トコフェロール及び/又はδ−トコフェロールは、大豆から抽出されることを特徴とするポリエチレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明に係るポリエチレン系樹脂組成物を成形してなることを特徴とする食品包装容器が提供される。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、特定のトコフェロールを配合することにより、少量で高い酸化防止性能が得られ、耐変色性に優れる。また、本発明によれば、大豆から抽出されたトコフェロールも用いることができるので、より安全で安価なポリエチレン樹脂組成物および食品包装容器を製造することができ、その工業的な利用価値は非常に高い。
本発明は、ポリエチレン系樹脂100重量部に対し、γ−トコフェロール及び/又はδ−トコフェロールからなる酸化防止剤を0.001〜2重量部配合することを特徴とするポリエチレン系樹脂組成物、さらには、それからなる食品包装容器に係るものである。以下、本発明を各項目ごとに説明する。
[I]ポリエチレン系樹脂
本発明において用いられるポリエチレン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、遷移金属のイオン重合触媒を用いて製造される高密度ポリエチレン、エチレンとα−オレフィンの共重合体である直鎖状低密度ポリエチレンや高圧ラジカル重合法により製造される低密度ポリエチレン、EVA、EMA、EEA等のポリエチレン系樹脂が挙げられる。
本発明で用いられるイオン重合触媒としては、酸化クロムを用いるフィリップス型触媒、塩化チタン等のチタン化合物を用いるチーグラー型触媒、シクロペンタジエニル環を有する周期表第IV族の遷移金属化合物とアルキルアルミノキサンとの組み合わせからなるメタロセン触媒系、又はシクロペンタジエニル環を有する周期表第IV族の遷移金属化合物とそれと反応してイオン性の錯体を形成する化合物および有機アルミニウム化合物との組み合わせからなるメタロセン触媒系など挙げられ、それらの触媒を用いて、回分式重合法、連続式重合法などで製造されたものを用いることが可能である。
これらイオン重合触媒を用いて製造されるポリエチレン系樹脂は、種々の製造プロセスを用いることができる。例えば、不活性炭化水素溶媒によるスラリー重合法、溶媒重合法、無溶媒による液相重合法、気相重合法、又はそれらを連続的に行う液相−気相重合法等で製造されたものである。これらポリエチレン系樹脂は、必要に応じて残留溶媒や、製造時に副生する超低分子量のオリゴマー等を除去するために、ポリエチレン系樹脂が融解する温度以下の温度で乾燥が行われたものを使用することができる。
本発明に用いられるポリエチレン系樹脂の物性は、食品包装容器として射出成形やブロー成形、射出成形、押出成形、発泡成形等ができるものであれば特に限定されるものではない。具体的には、JIS−K7210(1999)熱可塑性プラスチックの流れ試験方法に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜100g/10分、密度(JIS−K6922−1及び2(1997)のポリエチレン成形用及び押出用材料試験方法により、190℃で標準メルトインデクサーから押し出されたストランドを30分間沸騰処理し、1時間放置後24時間以内に密度勾配管にて測定したに準拠して測定される)が0.86〜0.97g/cmの範囲のものが使用できる。
次に、本発明に用いられる好適なポリエチレン系樹脂について以下に説明する。
本発明は、トコフェロールの配合量を極力少なくし、酸化防止効果と耐変色性に優れた組成物を得ることであり、この効果を達成するためのポリエチレン系樹脂としては、遷移金属残渣量の少ないものが好ましく、高活性のメタロセン触媒を用いたポリエチレンやイオン重合触媒を用いない高圧法ラジカル重合により得られたポリエチレンがより好ましい。特に好ましくは高圧法ラジカル重合法のポリエチレンである。
本発明に用いられる好適なポリエチレン系樹脂の遷移金属とは、第一遷移元素系列に挙げられている金属元素であり、具体的には、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cuである。この遷移金属残渣量は、1重量ppm以下が好ましく、より好ましくは0.2重量ppm以下である。一般的に金属成分が存在するとポリマーは劣化しやすくなるが、微量の添加量で酸化防止性能の高いトコフェロールを含有する場合、これらの特定遷移金属によって著しく酸化防止性能を低下させてしまう。このため、本発明に用いられるポリエチレン樹脂として遷移金属残渣量は1重量ppm以下が好ましい。
本発明をさらに一層効果的にするには、ポリエチレン系樹脂に含まれるイオン重合触媒残渣以外の金属含有量を少なくすることが好ましい。具体的な金属としては、イオン重合触媒の収率を高くするための担体成分であるマグネシウム、アルミニウム、また顔料、着色料、酸化防止剤、中和剤、耐候剤、滑剤等の添加剤中に含まれるにナトリウム、アルミニウム、カルシウム、バリウム、亜鉛等の金属が挙げられる。これら金属元素のポリエチレン系樹脂への含有量は、10重量ppm以下、好ましくは2重量ppm以下である。
特に、高純度薬品や医薬品の場合、樹脂劣化以外に内溶液への金属溶出量が少ないことが求められため、ポリエチレン系樹脂への金属含有量は重要である。
本発明に用いられる好適なポリエチレン系樹脂の物性としては、成形法に適合する材料が好ましい。
具体的に挙げると、ブロー成形とチューブ成形の場合は、具体的には、JIS−K7210(1999)熱可塑性プラスチックの流れ試験方法に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.1〜10g/10分、密度(JIS−K6922−1及び2(1997)のポリエチレン成形用及び押出用材料試験方法により、190℃で標準メルトインデクサーから押し出されたストランドを30分間沸騰処理し、1時間放置後24時間以内に密度勾配管にて測定したに準拠して測定される)が0.86〜0.97g/cmの範囲のものが好ましい。射出成形の場合は、MFRが1〜100g/10分、密度が0.86〜0.97g/cmの範囲のものが好ましい。フィルムとシート成形の場合は、MFRが0.3〜10g/10分、密度が0.86〜0.97g/cmの範囲のものが好ましい。
[II]酸化防止剤
本発明に用いられる酸化防止剤は、γ−トコフェロール(7,8−ジメチルトコール)及び/又はδ−トコフェロール(8−メチルトコール)である。
一般的にビタミンEと総称されている中には、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール以外にα−トコフェロール(5,7,8−トリメチルトコール)とβ−トコフェロール(5,8−ジメチルトコール)もあるが、α−トコフェロールとβ−トコフェロールは、酸化防止効果が低く好ましくない。但し、本発明の効果を損なわない範囲で、α−トコフェロール又はβ−トコフェロールが含有されていてもよい。
γ−トコフェロール、δ−トコフェロールは、合成でも天然物から抽出されたものであってもよいが、安全性の観点からは化学反応を伴わない天然物抽出品のほうが好ましい。天然物から抽出するものとしては、大豆等の植物からの抽出品が好ましく、大豆の場合のトコフェロールの主成分は、γ−トコフェロール、δ−トコフェロールであり、かつ安価に入手できるので特に好ましい。なお、食品から抽出する場合、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール以外にα−トコフェロール、β−トコフェロールも含まれているが、γ−トコフェロール、δ−トコフェロールが主成分であれば特に問題ない。
本発明において、ポリエチレン系樹脂に配合されるγ−トコフェロール及び/又はδ−トコフェロールからなる酸化防止剤の配合量は、ポリエチレン系樹脂100重量部に対し、0.001〜2重量部、好ましくは0.001〜0.1重量部、さらに好ましくは、0.001〜0.01重量部である。これらの成分の配合量が上記範囲よりも少ない場合或いは配合されない場合は、ポリエチレン系樹脂の酸化防止性能が劣り、成形加工時に熱劣化がしやすくなる。また、上記範囲よりも多い場合は、樹脂組成物の着色が強くなり、トコフェロール添加によるコストアップを招き酸化防止効果も飽和してくる。
本発明において、酸化防止剤としてγ−トコフェロールとδ−トコフェロールとを併用する場合は、γ−トコフェロールとδ−トコフェロールとの量比は、特に限定されるものでないが、好ましくは、γ−トコフェロール/δ−トコフェロール重量比は、0.1/99.9〜99.9/0.1、更に好ましくは、1/99〜99/1である。
[III]その他の配合物
本発明に用いられるポリエチレン系樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で他の添加剤、例えば、中和剤(ハイドロタルサイト、高級脂肪酸の金属塩)、滑剤、帯電防止剤、抗ブロッキング剤、紫外線吸収剤、耐候剤等が添加されてもよい。また、必要に応じて透明化剤、造核剤、又は炭酸カルシウム、水酸化アルカリ土類金属化合物、シリカ、タルク、ガラス繊維等の無機充填剤、着色用の顔料等を少量添加することが可能である。但し、本発明の目的からは、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cuの金属成分を含む添加剤、また工業的な合成法による添加剤は極力配合しないことが好ましく、より好ましくは無添加配合である。
また、本発明において用いられるポリオレフィン系樹脂組成物には、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲で、本発明に用いられるポリエチレン系樹脂以外の他の樹脂も配合することができる。例えば、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体やスチレン−イソプレン−スチレン共重合体を水添したスチレン系共重合体、その他のエラストマー等を配合することも可能であるが、これら樹脂は添加剤を含まない無添加樹脂であることが好ましい。
[IV]ポリエチレン系樹脂組成物
本発明のポリエチレン系樹脂組成物の製造方法は、特に限定されないが、ポリエチレン系樹脂とγ−トコフェロール及び/又はδ−トコフェロールからなる酸化防止剤とを、さらには必要に応じて他の配合物を加えて、例えば、溶融押出機、バンバリーミキサーを使用して、有機過酸化物の存在下又は不存在下で溶融混練する方法でペレット化が可能である。なお、このペレタイズ時にトコフェロールが極力消費しないように窒素等の不活性ガス等を用い酸素遮断下で行うことが好ましい。さらには、ポリエチレン系樹脂とγ−トコフェロール及び/又はδ−トコフェロールからなる酸化防止剤とを物理的に配合しておき、成形機内にて溶融混合することによって樹脂組成物とすることもできる。
[V]ポリエチレン系樹脂組成物の用途
本発明のポリエチレン系樹脂組成物が用いられる製品としては、特に限定されないが、例えば、食品包装容器、医療包装容器、化粧品包装容器、洗剤包装容器、玩具等生活雑貨用品から自動車向け部品としての工業用部品、土木・農業資材等どの用途でも用いることができる。本発明のポリエチレン系樹脂組成物は、安全性を特徴としていることより、好ましい用途としては、安全性を強く求められる食品包装容器、医療包装容器、超分子量ポリエチレン製人工関節、化粧品洗剤包装容器、玩具である。
本発明のポリエチレン系樹脂組成物が用いられる食品包装容器としては、各種食品包装フィルム、乳飲料紙容器ラミネート、カップ食用油容器、マヨネーズボトル、アイスクリームカップ、ヨーグルト容器、スパウト飲料容器、調味料容器、食料品トレイ等がある。
[VI]ポリエチレン系樹脂組成物の用途製品の成形方法
本発明のポリエチレン系樹脂組成物が用いられる製品の成形方法としては、ポリエチレン系樹脂で成形可能な方法であればどの成形方法でも適用できる。
具体的な成形方法としては、フィルム、射出、ブロー、チューブ、シート、回転成形等が挙げられる。また、これら成形は単層だけでなく、本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂もしくはそれ以外の樹脂、紙、鉄等の異種材料と多層化してもよいが、本発明は安全性に特徴を持たせていることから直接食品と接触する層に用いるのが好ましい。
ブロー成形法としては、一般的なブロー成形法が適用出来る。具体的には、単頭または多頭のダイレクト押出ブロー成形機、金型が多数個回転しながら連続的に押し出すローター式ブロー成形機、または樹脂を一度溜めてから間欠的に射出押し出しするアキューム式ブロー成形機が挙げられる。また、これら成形機の中でも2種以上の層に出来る多層構造のブロー成形機が好ましい。
射出成形法としては、一般的な射出成形法が適用出来る。具体的には、キャビティーに溶融樹脂を射出充填し、金型内で冷却後、取り出す方法が代表的な方法として挙げられる。また、二色射出成形機、サンドイッチ射出成形機により多層構造のものを成形することができる。これら射出成形条件は、通常のポリエチレンの一般的な条件でよい。具体的には、成形温度は、成形可能な温度であれば特に限定されないが、樹脂温度で150〜300℃が好ましく、酸化防止剤が添加されていない場合は、成形時の熱によりポリエチレンが分子切断しやすくなり、樹脂の劣化を招くので、樹脂温度が250℃以下の低温で成形する方がより好ましい。
チューブ成形法としては、一般的な押出チューブ成形法が適用出来る。具体的には、押出機からクロスヘッド等のチューブダイスに溶融樹脂を押出し、サイジング装置で規定の肉厚に調整し冷却後、取り出す方法が代表的な方法として挙げられる。このチューブ成形機も多層スパイラルダイ等を用いた多層構造になった成形機が好ましい。チューブ成形容器の肉厚は0.3〜2.0mmが好ましく、更に好ましくは0.4〜1.0mmである。これらチューブ成形条件は、通常のポリエチレンの一般的な条件でよい。具体的には、成形温度は成形可能な温度であれば特に限定されないが、樹脂温度で150〜250℃が好ましく、酸化防止剤が添加されていない場合は、成形時の熱によりポリエチレンが分子切断しやすくなり、樹脂の劣化を招くので樹脂温度が200℃以下の低温で成形する方がより好ましい。サイジング方法は、外径制御の真空サイジング法、内圧サイジング法や内径制御のマンドレルサイジング法等を用いることができる。また、冷却方法は水冷、散水方法が一般的である。
以下、実施例、比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において使用した測定方法および材料関係は、以下の通りである。
1.測定方法
(1)トコフェロールの定性、定量分析
トコフェロールの定性及び定量分析は、社団法人日本油化学会2003年版基準油脂分析試験法のトコフェロール(蛍光検出器−高速液体クロマトグラフ法)分析法に準じ各種トコフェロールの標準品と比較し、ピーク検出より定性、ピーク面積より定量分析した。
(2)酸化誘導時間評価方法
樹脂組成物の酸防効果を確認するため、対象とするカッティグペレットを180℃加熱プレス成形機にて厚み2mmtのプレスシートを作製した。次に、プレスシートを約15mgカットし、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製DSC7020型示差走査熱量計を用いて測定した。190℃までは窒素流量50ml/minで窒素シールしながら20℃/minの昇温速度で昇温、190℃になった後、窒素を止め酸素に切り替え酸素流量を50ml/min流し、酸素を流し始めてから急激に酸化発熱するまでの時間(酸化誘導時間)を熱量計により測定した。
2.材料関係
使用したポリエチレン樹脂および酸化防止剤(トコフェロール、フェノール系酸化防止剤)を以下に示す。
2−1.ポリエチレン系樹脂
(1)LC500粉砕品
高圧ラジカル重合で得られた配合物無添加の日本ポリエチレン社製のポリエチレン(商品名ノバテックLD LC500)のペレットをポールマン型粉砕品機で粉砕したパウダーである。このLC500は、MFRが4.3g/10min、密度が0.919g/cmである。
(2)HB232RN粉砕品
フィリプス型酸化クロム触媒を用いた完全無添加の日本ポリエチレン社製のポリエチレン(商品名ノバテックHD HB232RN)のペレットをポールマン型粉砕機で粉砕したパウダーである。このHB232RNは、MFRが0.35g/10min、密度が0.946g/cmである。
(3)HB534N粉砕品
チーグラー触媒を用いて重合した完全無添加の日本ポリエチレン社製のポリエチレン(商品名ノバテックHD HB534N)のペレットをポールマン型粉砕品機で粉砕したパウダーである。このHB534Nは、MFRが0.35g/10min、密度が0.957g/cmである。
2−2.酸化防止剤
(1)α−トコフェロール
化学名5,7,8−トリメチルトコールで、チバ・ジャパン社製のビタミンE系加工熱安定剤IRGANOX E201を使用。
(2)γ−トコフェロール
化学名7,8−ジメチルトコールで関東化学社製の試薬を使用。
(3)δ−トコフェロール
化学名8−メチルトコールで関東化学社製の試薬を使用。
(4)大豆抽出トコフェロール
三菱化学フーズ製の大豆抽出トコフェロール(α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロールの混合物)を使用。総トコフェロール中の各トコフェロールの含有比は、α:β:γ:δ=7:1:67:25である。
(5)フェノール系酸化防止剤
フェノール系酸化防止剤は、化学名オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートで、チバ・ジャパン社製のヒンダードフェノール系酸化防止剤 IRGANOX1076を使用。
(実施例1)
LC500粉砕品100重量部とδ−トコフェロール0.005重量部を、ヘンシェル型ミキサーに入れ3分間攪拌混合後、スクリュウ径が30mmφ、L/Dが26のフルフライトスクリューを有した短軸混練機で窒素シール下、180℃で溶融混合押出、水槽冷却し、ストランドカッターでペレット状にカッティングした。この後、熱劣化を促進させるため、このペレットを同様の方法で再度押出し、カッティグしペレットを得た。
このカッテイングペレットを用い、上記の酸化誘導時間評価方法により、酸化誘導時間を測定した。結果を表1に示す。
(実施例2〜12)
実施例1において、添加剤の種類と量を表1のとおりに変えた以外は、実施例1記載の方法と同様に行った。結果を表1に示す。
(比較例1〜6)
実施例1において、添加剤の種類と量を表1のとおりに変えた以外は、実施例1記載の方法と同様に行った。結果を表1に示す。
Figure 2011173949
(実施例と比較例の結果の対照による考察)
上記表1より明らかなように、本発明の要件を満たす実施例1〜12では、いずれも得られたポリエチレン系樹脂組成物は、酸化誘導時間が長く、酸化防止効果が大きいことがわかる。
一方、酸化防止剤をまったく使用しない比較例1では、酸化誘導時間が短く、酸化防止効果が小さいことがわかる。また、α−トコフェロール(IRGANOX E201)のみを使用した比較例2、3では、本願のγ−トコフェロール及び/又はδ−トコフェロールを使用した場合よりも酸化誘導時間が短く、酸化防止効果が小さいことがわかる。さらに、従来のフェノール系酸化防止剤(IRGANOX 1076)のみを使用した比較例4〜6では、本願のγ−トコフェロール及び/又はδ−トコフェロールを使用した場合よりも酸化誘導時間が短く、酸化防止効果が小さいことがわかる。
以上から明らかなように、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、特定のトコフェロールを配合することにより、少量で高い酸化防止性能が得られ、耐変色性に優れる。また、本発明によれば、大豆から抽出されたトコフェロールも用いることができるので、より安全で安価なポリエチレン樹脂組成物および食品包装容器を製造することができる。
したがって、このような安全で安価なポリエチレン樹脂組成物および食品包装容器を製造することができる本発明の工業的価値は極めて大きい。

Claims (5)

  1. ポリエチレン系樹脂100重量部に対し、γ−トコフェロール及び/又はδ−トコフェロールからなる酸化防止剤を0.001〜2重量部配合することを特徴とするポリエチレン系樹脂組成物。
  2. 前記ポリエチレン系樹脂に含まれる遷移金属量は、1重量ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記ポリエチレン系樹脂は、高圧ラジカル重合によって得られることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記γ−トコフェロール及び/又はδ−トコフェロールは、大豆から抽出されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエチレン系樹脂組成物を成形してなることを特徴とする食品包装容器。
JP2010037211A 2010-02-23 2010-02-23 ポリエチレン系樹脂組成物及びそれからなる食品包装容器 Pending JP2011173949A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010037211A JP2011173949A (ja) 2010-02-23 2010-02-23 ポリエチレン系樹脂組成物及びそれからなる食品包装容器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010037211A JP2011173949A (ja) 2010-02-23 2010-02-23 ポリエチレン系樹脂組成物及びそれからなる食品包装容器

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2011173949A true JP2011173949A (ja) 2011-09-08

Family

ID=44687120

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010037211A Pending JP2011173949A (ja) 2010-02-23 2010-02-23 ポリエチレン系樹脂組成物及びそれからなる食品包装容器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2011173949A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016117283A (ja) * 2014-12-22 2016-06-30 日本ポリエチレン株式会社 発泡性積層体用樹脂組成物、発泡性積層体、その製造方法及びそれを用いた発泡加工紙並びに断熱容器
JP2016524011A (ja) * 2013-06-20 2016-08-12 サウディ ベーシック インダストリーズ コーポレイション 高分子組成物
CN112662032A (zh) * 2020-12-03 2021-04-16 江苏格兰特管业有限公司 一种耐腐蚀性塑料粒子及其制造方法

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS54114551A (en) * 1978-02-28 1979-09-06 Nisshin Flour Milling Co Ltd Material for packaging
JPH0841252A (ja) * 1994-05-12 1996-02-13 Phillips Petroleum Co 熱酸化安定性ポリマー組成物
JPH10508045A (ja) * 1994-08-11 1998-08-04 ザパタ テクノロジーズ インコーポレイテッド 香味保護クロージャーライナー組成物
JPH11292933A (ja) * 1998-04-13 1999-10-26 Asahi Chem Ind Co Ltd 高純度薬品用容器
JP2001261671A (ja) * 2000-02-02 2001-09-26 Malaysian Palm Oil Board クロマトグラフによるビタミンe異性体の単離方法
JP2002194230A (ja) * 2000-12-25 2002-07-10 Asahi Denka Kogyo Kk 樹脂組成物
JP2003292489A (ja) * 2002-04-04 2003-10-15 Mitsubishi Chemicals Corp トコフェロール類及びトコトリエノール類の分離方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS54114551A (en) * 1978-02-28 1979-09-06 Nisshin Flour Milling Co Ltd Material for packaging
JPH0841252A (ja) * 1994-05-12 1996-02-13 Phillips Petroleum Co 熱酸化安定性ポリマー組成物
JPH10508045A (ja) * 1994-08-11 1998-08-04 ザパタ テクノロジーズ インコーポレイテッド 香味保護クロージャーライナー組成物
JPH11292933A (ja) * 1998-04-13 1999-10-26 Asahi Chem Ind Co Ltd 高純度薬品用容器
JP2001261671A (ja) * 2000-02-02 2001-09-26 Malaysian Palm Oil Board クロマトグラフによるビタミンe異性体の単離方法
JP2002194230A (ja) * 2000-12-25 2002-07-10 Asahi Denka Kogyo Kk 樹脂組成物
JP2003292489A (ja) * 2002-04-04 2003-10-15 Mitsubishi Chemicals Corp トコフェロール類及びトコトリエノール類の分離方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6013022038; SUFFIELD R M et al.: 'Evaluation of antioxidant performance of a natural product in polyolefins' Soc Plast Eng Annu Tech Conf Vol.10, 200403, 52-56 *

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016524011A (ja) * 2013-06-20 2016-08-12 サウディ ベーシック インダストリーズ コーポレイション 高分子組成物
JP2016117283A (ja) * 2014-12-22 2016-06-30 日本ポリエチレン株式会社 発泡性積層体用樹脂組成物、発泡性積層体、その製造方法及びそれを用いた発泡加工紙並びに断熱容器
CN112662032A (zh) * 2020-12-03 2021-04-16 江苏格兰特管业有限公司 一种耐腐蚀性塑料粒子及其制造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2285892B1 (en) Polymeric compositions and articles comprising polylactic acid and polyolefin
AU2007297645B2 (en) Toughened poly(hydroxyalkanoic acid) compositions
RU2352597C1 (ru) Биоразлагаемая гранулированная полиолефиновая композиция и способ ее получения
JPS6411061B2 (ja)
CN104327369B (zh) 一种聚丙烯组合物和聚丙烯粒料
CN100494260C (zh) 抑制由二缩醛产生的臭气和气味转移的抑制剂、包含该臭气和气味转移抑制剂的二缩醛组合物、包含该组合物的聚烯烃成核剂、和包含该成核剂的聚烯烃树脂组合物和成型产品
JP2012233149A (ja) ジアセタール組成物、該組成物を含むポリオレフィン系樹脂用核剤、該核剤を含有するポリオレフィン系樹脂組成物及びその成形体
WO2002077094A1 (fr) Composition de diacétal, agent de nucléation contenant la composition pour polyoléfine, composition de résine de polyolééfine contenant la composition de diacétal, procédé de production de la composition de résine, et objet moulé
TW201139448A (en) Transparentization agent composition containing sorbitol compound and method for producing polypropylene resin composition using this sorbitol compound
JP2011173949A (ja) ポリエチレン系樹脂組成物及びそれからなる食品包装容器
JP5183561B2 (ja) プロピレン系成形品
EP2358844A1 (en) Oxygen-scavenging composition and article formed therefrom
KR20100064681A (ko) 투명성 및 내충격 특성이 우수한 폴리프로필렌 수지 조성물
US8349955B2 (en) Poly(hydroxyalkanoic acid) plasticized with poly(trimethylene ether) glycol
JP3905006B2 (ja) 熱融着性フィルムおよびその用途
JP2006299062A (ja) 硫酸容器用ポリエチレン樹脂及びそれからなる硫酸用容器
CN113896977B (zh) 一种瓶盖用聚乙烯组合物及其制备方法
US10053554B2 (en) Propylene resin composition and stretched container formed of the same
CN109760393B (zh) 一种缓冲杀菌气垫膜及其制备方法
JP2008303270A (ja) ポリプロピレン樹脂組成物および成形体
JP5168811B2 (ja) 新規なジアセタール組成物、該組成物からなるポリオレフィン樹脂用核剤、該核剤を含むポリオレフィン樹脂組成物及び成形体
JP2004035625A (ja) 4−メチル−1−ペンテン系重合体の樹脂組成物
JP3367200B2 (ja) 核剤組成物及びポリオレフィン系樹脂組成物
JP4815629B2 (ja) キャップライナー材用組成物及びキャップ並びに包装容器
JP2001181455A (ja) 中空成形用樹脂組成物および中空成形容器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20121031

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130425

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130514

A02 Decision of refusal

Effective date: 20131008

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02