JP2006299062A - 硫酸容器用ポリエチレン樹脂及びそれからなる硫酸用容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】硫酸に対する耐変色性とクリーン性、耐薬品性に優れ、かつブロー成形性に優れた硫酸容器用ポリエチレン樹脂及びそれからなる硫酸用容器の提供。
【解決手段】(a)温度190℃、荷重2.16kgのメルトフローレート(MFR)が0.02〜3g/10分、(b)フローレシオ(FR:温度190℃、荷重21.6kgのメルトフローレート(HLMFR)と温度190℃、荷重2.16kgのメルトフローレート(MFR)の比(HLMFR/MFR))が40〜70、(c)二重結合が1000カーボン当たり0.5個以下、(d)塩素残渣量が10ppm以下であって、添加剤が無添加である高密度ポリエチレンからなることを特徴とする硫酸容器用ポリエチレン樹脂。
【選択図】なし
【解決手段】(a)温度190℃、荷重2.16kgのメルトフローレート(MFR)が0.02〜3g/10分、(b)フローレシオ(FR:温度190℃、荷重21.6kgのメルトフローレート(HLMFR)と温度190℃、荷重2.16kgのメルトフローレート(MFR)の比(HLMFR/MFR))が40〜70、(c)二重結合が1000カーボン当たり0.5個以下、(d)塩素残渣量が10ppm以下であって、添加剤が無添加である高密度ポリエチレンからなることを特徴とする硫酸容器用ポリエチレン樹脂。
【選択図】なし
Description
本発明は、硫酸容器用ポリエチレン樹脂及びそれからなる硫酸用容器に関し、詳しくは容器の耐変色性に優れた硫酸容器用ポリエチレン樹脂及びそれからなる硫酸用容器に関する。
近年、軽量化、省エネルギー化の目的で、各種容器のプラスチック化が活発に押し進められている。プラスチック材料としては、高強度、高耐候性、高耐薬品性および環境問題等の観点からポリオレフィン樹脂が多く用いられている。ポリオレフィン樹脂の中でも、ポリエチレン樹脂は、耐酸性に優れ、ブロー成形性にも優れるため、試薬、半導体製造処理用の高純度強酸容器として広く用いられ、特に、特定の物性を限定し、樹脂由来の微粒子や触媒成分由来の成分を少なくし、かつ耐環境応力亀裂性(ESCR)や成形性に優れたクリーンなポリエチレンが開示されている。
例えば、密度が0.94〜0.97g/cm3、温度190℃、荷重21.6kgのメルトフローレート(HLMFR)が1〜15g/10分、Mw/Mnが8〜15、溶融張力(MT)が15〜65g、沸騰ノルマルヘキサン抽出量が0.1重量%以下、灰分量が50PPM以下、含有塩素量が15PPM以下のポリエチレン樹脂(例えば、特許文献1参照。)、密度が0.95〜0.97g/cm3、温度190℃、荷重2.16kgのメルトフローレート(MFR)が0.1〜1g/10分、灰分量が15ppm以下、動的粘弾性測定により求められた貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”とが等しくなる時の貯蔵弾性率の値G0が300000〜540000dyn/cm2のポリエチレン樹脂(例えば、特許文献2参照。)、密度が0.94〜0.97g/cm3、MFRが1〜15g/10分、溶融張力が160mN以上、剪断応力が0.30MPa以下、シャルピー衝撃強さが30kJ/m2以上の高密度ポリエチレン樹脂(例えば、特許文献3参照。)等が挙げられる。
ところが、これらのポリエチレン樹脂製容器でも、内溶液が硫酸の場合、容器が内壁面より黒褐色に変色することがあった。この硫酸によって容器が黒褐色に変色する問題については、原因が特定できず容器利用上大きな問題となっていた。
特開平11−80449号公報
特開2003−96133号公報
特開2004−331706号公報
本発明の目的は、硫酸に対する耐変色性とクリーン性、耐薬品性に優れ、かつブロー成形性に優れた硫酸容器用ポリエチレン樹脂及びそれからなる硫酸用容器を提供することにある。
本発明者らは、前述の硫酸による変色の問題を鋭意検討した結果、特定のMFR、FR、二重結合量、塩素残渣量を有する高密度ポリエチレン樹脂を用いることにより、硫酸に対する耐変色性とクリーン性、耐薬品性に優れ、かつブロー成形性にも優れた、硫酸容器用ポリエチレン樹脂が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記(a)〜(d)の要件を満足し、添加剤が無添加である高密度ポリエチレンからなることを特徴とする硫酸容器用ポリエチレン樹脂が提供される。
(a)温度190℃、荷重2.16kgのメルトフローレート(MFR)が0.02〜3g/10分
(b)フローレシオ(FR:温度190℃、荷重21.6kgのメルトフローレート(HLMFR)と温度190℃、荷重2.16kgのメルトフローレート(MFR)の比(HLMFR/MFR))が40〜70
(c)二重結合が1000カーボン当たり0.5個以下
(d)塩素残渣量が10ppm以下
(a)温度190℃、荷重2.16kgのメルトフローレート(MFR)が0.02〜3g/10分
(b)フローレシオ(FR:温度190℃、荷重21.6kgのメルトフローレート(HLMFR)と温度190℃、荷重2.16kgのメルトフローレート(MFR)の比(HLMFR/MFR))が40〜70
(c)二重結合が1000カーボン当たり0.5個以下
(d)塩素残渣量が10ppm以下
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明の硫酸容器用ポリエチレン樹脂を用いて成形することを特徴とする硫酸用容器が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明の硫酸容器用ポリエチレン樹脂を最内層に用いて多層成形することを特徴とする硫酸用容器が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第2又は3の発明において、再生材を含まない硫酸容器用ポリエチレン樹脂からなることを特徴とする硫酸用容器が提供される。
本発明の高密度ポリエチレン樹脂は、硫酸に対する耐変色性とクリーン性、耐薬品性に優れ、かつブロー成形性にも優れ、硫酸容器用ポリエチレン樹脂として好適に用いることができる。
本発明の硫酸容器用高密度ポリエチレン樹脂は、エチレン単独重合体またはエチレンと他のα−オレフィンとの共重合体からなり、α−オレフィンとしては、炭素数3〜20のα−オレフィン、例えば、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン等が挙げられる。このα−オレフィンの中では1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましく、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の硫酸容器用高密度ポリエチレン樹脂は、チーグラー型触媒、メタロセン触媒等の高活性触媒により重合して得られるが、高活性チーグラー型触媒による重合が好ましい。チーグラー型触媒における固体触媒成分の例としては、三塩化チタン、三塩化バナジウム、四塩化チタン又はチタンのハロアルコラートをマグネシウム化合物に担持した触媒成分、マグネシウム化合物とチタンの化合物の共沈殿物または共晶体などからなる触媒成分等が挙げられる。この中では、マグネシウム、チタン、塩素を含む固体触媒成分が好ましく、該固体触媒成分と有機アルミニウム化合物とを組み合わせてなる触媒系が好ましい。有機アルミニウムとしては、トリエチルアルミニウム(以下、TEAと略す)、トリイソブチルアルミニウム(以下、TIBAと略す)、ジエチルアルミニウムクロライド(以下、DEACと略す)等が挙げられるが、樹脂の腐食性の観点より塩素成分を含まないものが好ましく、クリーン性の観点から触媒活性の高いトリエチルアルミニウムは、より好ましい。一方、クロム化合物を主成分とするフィリップス触媒から得られるポリエチレン樹脂は、ポリエチレン中の二重結合量が多くなり好ましくない。
上記重合触媒系を用いた、この高密度ポリエチレン樹脂の製造における重合方法は、スラリー重合法、気相重合法、溶液重合法等を例示することが出来る。この中でも、炭素数が4〜10の重合溶媒、例えば、イソブタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン等を用いるスラリー重合法が好ましく、この重合方法による多段重合法を採用するのが好ましい。
また、本発明の高密度ポリエチレン樹脂は、以下に示す(a)〜(d)、好ましくは、さらに(e)を満足することが必要であり、この特性を有することにより、内溶液が硫酸の場合でも耐変色性とクリーン性、耐薬品性に優れ、かつブロー成形性にも優れた、硫酸容器用高密度ポリエチレン樹脂とすることができる。
(a)MFR
本発明で用いる高密度ポリエチレン樹脂のMFRは、JIS−K7210(1999)熱可塑性プラスチックの流れ試験方法により、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定した値である。このMFRは、0.02〜3g/10分、好ましくは0.05〜1.0g/10分である。このMFRが0.02g/10分未満の場合は、成形時に押し出しが困難になり、また樹脂の外表面が肌荒れを起こす。一方、このMFRが3g/10分を超える場合は、ESCR、落下強度が低下し、また成形時樹脂が垂れるドローダウン現象が発生し、成形が困難になる問題もある。
このMFRを調整する方法としては、重合時の水素濃度、重合温度を変化させる方法等の一般的な方法で調整でき、水素濃度が高く、重合温度が高いほどMFRは高くなる。また、3g/10分を超えると耐ドローダウン性が低下し、容器成形性が悪化すると共にESCRが低下する。
本発明で用いる高密度ポリエチレン樹脂のMFRは、JIS−K7210(1999)熱可塑性プラスチックの流れ試験方法により、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定した値である。このMFRは、0.02〜3g/10分、好ましくは0.05〜1.0g/10分である。このMFRが0.02g/10分未満の場合は、成形時に押し出しが困難になり、また樹脂の外表面が肌荒れを起こす。一方、このMFRが3g/10分を超える場合は、ESCR、落下強度が低下し、また成形時樹脂が垂れるドローダウン現象が発生し、成形が困難になる問題もある。
このMFRを調整する方法としては、重合時の水素濃度、重合温度を変化させる方法等の一般的な方法で調整でき、水素濃度が高く、重合温度が高いほどMFRは高くなる。また、3g/10分を超えると耐ドローダウン性が低下し、容器成形性が悪化すると共にESCRが低下する。
(b)FR
本発明で用いる高密度ポリエチレン樹脂のFR(フローレシオ)は、JIS−K7210(1999)熱可塑性プラスチックの流れ試験方法により、温度190℃、荷重21.6kgの条件で測定したメルトフローレート(HLMFR)を温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定したメルトフローレート(MFR)で除した値のことである。このMFR比値(HLMFR/MFR)はレオロジー的には、非ニュートン性の度合いを示し、分子量分布が広くなると一般的には数値が大きくなる。このFRは40〜70であり、好ましくは50〜60である。このFRが40未満の場合は、相対的に高分子量成分量が低下するためESCR、ドローダウン性の低下と、逆に低分子量成分量の低下による成形機スクリューでの樹脂圧力、モーター負荷の上昇と押出量の低下が生じ、同じ押出量を維持しようとすると樹脂の剪断発熱により樹脂温度が高くなってしまう。一方、このFRが70を超える場合は、低分子量成分が増加するため、内溶液への溶出ポリマー成分が増加し、内溶液のクリーン性を低下させると共に落下強度等の衝撃強度も低下する。
このFRを調整する方法としては、ポリマー重合用触媒の選択と重合方法で調整できる。具体的な重合方法によるFR調整法としては、多段重合により分子量成分差を持たせる方法が挙げられる。
本発明で用いる高密度ポリエチレン樹脂のFR(フローレシオ)は、JIS−K7210(1999)熱可塑性プラスチックの流れ試験方法により、温度190℃、荷重21.6kgの条件で測定したメルトフローレート(HLMFR)を温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定したメルトフローレート(MFR)で除した値のことである。このMFR比値(HLMFR/MFR)はレオロジー的には、非ニュートン性の度合いを示し、分子量分布が広くなると一般的には数値が大きくなる。このFRは40〜70であり、好ましくは50〜60である。このFRが40未満の場合は、相対的に高分子量成分量が低下するためESCR、ドローダウン性の低下と、逆に低分子量成分量の低下による成形機スクリューでの樹脂圧力、モーター負荷の上昇と押出量の低下が生じ、同じ押出量を維持しようとすると樹脂の剪断発熱により樹脂温度が高くなってしまう。一方、このFRが70を超える場合は、低分子量成分が増加するため、内溶液への溶出ポリマー成分が増加し、内溶液のクリーン性を低下させると共に落下強度等の衝撃強度も低下する。
このFRを調整する方法としては、ポリマー重合用触媒の選択と重合方法で調整できる。具体的な重合方法によるFR調整法としては、多段重合により分子量成分差を持たせる方法が挙げられる。
(c)二重結合
本発明で用いる高密度ポリエチレン樹脂の二重結合は、赤外分光光度計を用いトランス結合を波数963cm−1、末端ビニル結合を波数910cm−1、ビニリデン結合を波数888cm−1での吸光度より求めたトランス結合、末端ビニル結合、ビニリデン結合の合計値である。
本発明で用いる高密度ポリエチレン樹脂の二重結合は、赤外分光光度計を用いトランス結合を波数963cm−1、末端ビニル結合を波数910cm−1、ビニリデン結合を波数888cm−1での吸光度より求めたトランス結合、末端ビニル結合、ビニリデン結合の合計値である。
この測定及び吸光度から1000カーボン当たりの個数への変換式については、1995年に株式会社紀伊国屋書店から発行された社団法人日本分析化学会著『新版 高分子分析ハンドブック』の594ページのC=C不飽和結合により求めた。具体的には下記式(1)〜(3)より計算した合計値である。
トランス(個/1000C)=0.083A/ρ・t …(1)
末端ビニル(個/1000C)=0.114A/ρ・t …(2)
ビニリデン(個/1000C)=0.109A/ρ・t …(3)
(式(1)〜(3)中、Aは吸光度、ρは密度(g/cm3)、tは厚み(mm)を表す)
トランス(個/1000C)=0.083A/ρ・t …(1)
末端ビニル(個/1000C)=0.114A/ρ・t …(2)
ビニリデン(個/1000C)=0.109A/ρ・t …(3)
(式(1)〜(3)中、Aは吸光度、ρは密度(g/cm3)、tは厚み(mm)を表す)
これらトランス結合、末端ビニル結合、ビニリデン結合の合計値である二重結合は、1000カーボン当たり0.5個以下であり、好ましくは0.4個以下であり、さらに好ましくは0.3個以下である。この二重結合が1000カーボン当たり0.5個を超える場合は、濃硫酸によって容器が黒褐色に著しく変色する。この二重結合量の調整は、重合用触媒の選択と分子量調整用水素量を変化させる方法で行うことがきる。
二重結合量は、重合温度との見合いで分子量が高くなる触媒を用い、分子量調整用の水素を使用することで末端ビニル結合量を少なくできる。
この二重結合と硫酸による変色反応の詳細なメカニズムは不明であるが、高密度ポリエチレン樹脂の二重結合が多い場合や樹脂が酸化劣化した場合、硫酸によるスルホン化が進みやすく、この影響で炭化もしやすくなり黒色化するのではないかと考えられる。なお、この現象に関連して、飽和炭化水素であるデカンに濃硫酸を混合した場合と二重結合を有するオレフィンの1−デセンに濃硫酸を混合した場合を比較したところ、1−デセンの方が明らかに黒褐色になりやすいことを確認した。
二重結合量は、重合温度との見合いで分子量が高くなる触媒を用い、分子量調整用の水素を使用することで末端ビニル結合量を少なくできる。
この二重結合と硫酸による変色反応の詳細なメカニズムは不明であるが、高密度ポリエチレン樹脂の二重結合が多い場合や樹脂が酸化劣化した場合、硫酸によるスルホン化が進みやすく、この影響で炭化もしやすくなり黒色化するのではないかと考えられる。なお、この現象に関連して、飽和炭化水素であるデカンに濃硫酸を混合した場合と二重結合を有するオレフィンの1−デセンに濃硫酸を混合した場合を比較したところ、1−デセンの方が明らかに黒褐色になりやすいことを確認した。
(d)塩素残渣量
本発明で用いる高密度ポリエチレン樹脂の塩素残渣は、触媒残渣に起因する不純物であり、蛍光X線を用いて測定することができる。この塩素残渣量は10ppm以下であり、好ましくは5ppm以下である。この塩素残渣量が10ppmを超える場合は、成形機を腐食させると共に触媒残渣増加によって高密度ポリエチレンが劣化しやすくなり、低分子量の高密度ポリエチレン発生にともなう微粒子の発生等により容器のクリーン性を低下させる。
本発明で用いる高密度ポリエチレン樹脂の塩素残渣は、触媒残渣に起因する不純物であり、蛍光X線を用いて測定することができる。この塩素残渣量は10ppm以下であり、好ましくは5ppm以下である。この塩素残渣量が10ppmを超える場合は、成形機を腐食させると共に触媒残渣増加によって高密度ポリエチレンが劣化しやすくなり、低分子量の高密度ポリエチレン発生にともなう微粒子の発生等により容器のクリーン性を低下させる。
なお、塩素捕捉効果のある中和剤等の添加により成形機の腐食と高密度ポリエチレンの劣化に伴う微粒子の発生量は抑制することができるが、逆にこれら添加剤によってクリーン性が損なわれるので好ましくない。
この塩素残渣量は、触媒の種類と触媒収率で調整できる。触媒収率を上げて触媒残渣を低減するには、重合圧力を高くすることや重合温度を高くする等の方法が挙げられる。一方、塩素を含有しない触媒を用いる方法もあるが、塩素を含有しない代表的なクロム化合物を主成分とするフィリップス触媒品の場合は、ポリエチレン中の二重結合量が多くなってしまうので好ましくない。
この塩素残渣量は、触媒の種類と触媒収率で調整できる。触媒収率を上げて触媒残渣を低減するには、重合圧力を高くすることや重合温度を高くする等の方法が挙げられる。一方、塩素を含有しない触媒を用いる方法もあるが、塩素を含有しない代表的なクロム化合物を主成分とするフィリップス触媒品の場合は、ポリエチレン中の二重結合量が多くなってしまうので好ましくない。
(e)密度
本発明で用いる高密度ポリエチレン樹脂の密度は、JIS−K6922−1及び2(1997)のポリエチレン成形用及び押出用材料試験方法により、190℃で標準メルトインデクサーから押し出されたストランドを30分間沸騰処理し、1時間放置後24時間以内に密度勾配管にて測定した値である。この密度は高密度ポリエチレンとして定義される範囲の密度であればよいが、好ましくは0.950g/cm3以上である。この密度が0.950g/cm3未満の場合は、容器の剛性が低くなるばかりでなく硫酸が非結晶部に浸透しやすくなり酸による劣化が促進される。
本発明で用いる高密度ポリエチレン樹脂の密度は、JIS−K6922−1及び2(1997)のポリエチレン成形用及び押出用材料試験方法により、190℃で標準メルトインデクサーから押し出されたストランドを30分間沸騰処理し、1時間放置後24時間以内に密度勾配管にて測定した値である。この密度は高密度ポリエチレンとして定義される範囲の密度であればよいが、好ましくは0.950g/cm3以上である。この密度が0.950g/cm3未満の場合は、容器の剛性が低くなるばかりでなく硫酸が非結晶部に浸透しやすくなり酸による劣化が促進される。
本発明で用いる高密度ポリエチレン樹脂は、クリーン性の観点より通常のポリオレフィン用添加剤や配合材等として用いられる結晶化核剤、酸化防止剤、中和剤、耐候性改良剤、気泡防止剤、分散剤、帯電防止剤、滑剤、分子量調整剤(過酸化物等)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、潤滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、難燃剤、導電性付与剤、架橋剤、架橋助剤、金属不活性化剤、防菌剤、蛍光増白剤等の各種助剤、他の各種樹脂及びエラストマー、フィラー、着色剤等を添加しない無添加品である。但し、酸化防止剤等の添加剤を配合したポリエチレンも一般的には同一の製造装置で生産するため、若干の添加剤混入がある。このため本発明で用いる高密度ポリエチレン樹脂の添加剤無添加とは、混入量が50ppm以下、好ましくは20ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下である。一方、高密度ポエチレン樹脂同士の樹脂ブレンドの場合、ブレンド後の物性が特定の物性値、性能を満たすものであれば2種以上の組み合わせであってもかまわない。
本発明の容器は硫酸用ではあるが、硫酸以外にも塩酸、硝酸等の強酸類、アンモニア水等のアルカリ類等各種薬品用としても利用できる。但し、本発明は硫酸容器として効果を発揮するものであり、対象となる硫酸は、水溶液を含む一般的な硫酸と呼ばれているものである。特に容器の変色は、硫酸の濃度が高い方が起こりやすく、特に濃度が90重量%以上のもの、さらには95重量%以上のものほど変色しやすい。
本発明で用いる高密度ポリエチレン樹脂は、ブロー成形時に発生したバリ樹脂等の再生材の混合割合が少ないものほど好ましく、より好ましくは再生材をまったく使用しないニート樹脂のみで成形する方法である。この再生材の量が増加すると、分子切断した低分子量のポリマーが容器から内溶液へ溶出し、内溶液のクリーン性を低下させる。さらに、驚くべきことに、本発明者らは再生材が入ると硫酸によって容器内面が黒褐色に変色しやすいことを見出した。この詳細なメカニズムも不明ではあるが、分子切断による二重結合の増加や酸化劣化による着色しやすい極性基であるカルボニル結合の増加等が原因となっていることも考えられる。
また、本容器としては瓶形状本体だけでなく、容器の一部であるキャップの部分も含まれる。
また、本容器としては瓶形状本体だけでなく、容器の一部であるキャップの部分も含まれる。
本発明で用いる容器の成形法としては、一般的なブロー成形法が適用出来る。具体的には、単頭または多頭のダイレクト押出ブロー成形機、金型が多数個回転しながら連続的に押し出すローター式ブロー成形機、または樹脂を一度溜めてから間欠的に射出押し出しするアキューム式ブロー成形機、あるいは2種以上の層に出来る多層ブロー成形機の構造を合わせたもの等でもよい。
また、多層ブローの場合、最内層には本樹脂を用いる必要があり、最内層の肉厚は好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上、さらに好ましくは0.5mm以上である。これらブロー成形条件は、高密度ポリエチレンの一般的な条件でよい。具体的には、成形温度は成形可能な温度であるが、樹脂温度で150〜250℃が好ましいが、成形時の熱により高密度ポリエチレンが分子切断しやすくなり内溶液のクリーン性を低下させ、硫酸による変色も起きやすくなるので樹脂温度で200℃以下の低温で成形するほうがより好ましい。ブロー圧力については3〜10Kg/cm2程度、金型での冷却時間5〜60秒程度でボトル容量としては10ミリリットルから200リットル程度のものである。また、キャップの部分の成形法としては、一般的な射出成形法が適用でき、具体的にはキャップ形状のキャビティーに溶融樹脂を射出充填し、金型内で冷却後、取り出す方法が代表的な方法として挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。尚、高密度ポリエチレン樹脂の物性評価および容器評価の方法は次の通りである。
1.物性評価
(1)MFR:JIS−K7210(1999)熱可塑性プラスチックの流れ試験方法により、MFR計を用い高密度ポリエチレンペレットを温度190℃、荷重2.16kgの条件でMFRを測定した。
(2)FR:JIS−K7210(1999)熱可塑性プラスチックの流れ試験方法により、MFR計を用い高密度ポリエチレンペレットを温度190℃、荷重21.6kgの条件で測定した値を前記(1)項で測定した温度190℃、荷重2.16kgのMFR値で除した計算値を求めた。
(3)密度:JIS−K6922−1及び2(1997)のポリエチレン成形用及び押出用材料試験方法により、190℃で標準メルトインデクサーから押し出されたストランドを30分間沸騰処理し、1時間放置後24時間以内に密度勾配管にて測定した。
(4)二重結合:高密度ポリエチレンペレットを温度180℃の熱圧縮成形機により溶融後25℃/minの速度で降温し、厚み0.5mmのシートを成形。このシートを日本分光工業社製IR−100型汎用赤外分光光度計により波長963cm−1、910cm−1、888cm−1での吸光度を測定した。この吸光度、前記測定密度および測定シートの厚みより、二重結合量を計算により求めた。
即ち、1995年に株式会社紀伊国屋書店から発行された社団法人日本分析化学会著『新版 高分子分析ハンドブック』の594ページのC=C不飽和結合により求めた。具体的には下記式(1)〜(3)より計算した合計値である。
トランス(個/1000C)=0.083A/ρ・t …(1)
末端ビニル(個/1000C)=0.114A/ρ・t …(2)
ビニリデン(個/1000C)=0.109A/ρ・t …(3)
(式(1)〜(3)中、Aは吸光度、ρは密度(g/cm3)、tは厚み(mm)を表す)
(5)塩素残渣量:高密度ポリエチレンペレットを温度180℃の熱圧縮成形機により、溶融後25℃/minの速度で降温し、厚み5mmのシートを成形。このシートを島津製作所製波長分散型蛍光X線分析装置にて検量線法により、塩素の定量測定をした。
(6)耐腐食性:鉄板をサンドペーパーで研磨し、ヘプタンで脱脂した後、この鉄板で高密度ポリエチレンペレットを挟み温度250℃で10分間加熱した状態で圧縮シートを成形。次に金属板で挟んだまま温度80℃、湿度80%の恒温恒湿槽に48時間入れ、金属板の樹脂との接触部を目視で観察し腐食状態を試験した。この耐腐食性は下記の基準で判定した。
○:ほとんど腐食せず
△:一部のみ腐食
×:全面腐食
(1)MFR:JIS−K7210(1999)熱可塑性プラスチックの流れ試験方法により、MFR計を用い高密度ポリエチレンペレットを温度190℃、荷重2.16kgの条件でMFRを測定した。
(2)FR:JIS−K7210(1999)熱可塑性プラスチックの流れ試験方法により、MFR計を用い高密度ポリエチレンペレットを温度190℃、荷重21.6kgの条件で測定した値を前記(1)項で測定した温度190℃、荷重2.16kgのMFR値で除した計算値を求めた。
(3)密度:JIS−K6922−1及び2(1997)のポリエチレン成形用及び押出用材料試験方法により、190℃で標準メルトインデクサーから押し出されたストランドを30分間沸騰処理し、1時間放置後24時間以内に密度勾配管にて測定した。
(4)二重結合:高密度ポリエチレンペレットを温度180℃の熱圧縮成形機により溶融後25℃/minの速度で降温し、厚み0.5mmのシートを成形。このシートを日本分光工業社製IR−100型汎用赤外分光光度計により波長963cm−1、910cm−1、888cm−1での吸光度を測定した。この吸光度、前記測定密度および測定シートの厚みより、二重結合量を計算により求めた。
即ち、1995年に株式会社紀伊国屋書店から発行された社団法人日本分析化学会著『新版 高分子分析ハンドブック』の594ページのC=C不飽和結合により求めた。具体的には下記式(1)〜(3)より計算した合計値である。
トランス(個/1000C)=0.083A/ρ・t …(1)
末端ビニル(個/1000C)=0.114A/ρ・t …(2)
ビニリデン(個/1000C)=0.109A/ρ・t …(3)
(式(1)〜(3)中、Aは吸光度、ρは密度(g/cm3)、tは厚み(mm)を表す)
(5)塩素残渣量:高密度ポリエチレンペレットを温度180℃の熱圧縮成形機により、溶融後25℃/minの速度で降温し、厚み5mmのシートを成形。このシートを島津製作所製波長分散型蛍光X線分析装置にて検量線法により、塩素の定量測定をした。
(6)耐腐食性:鉄板をサンドペーパーで研磨し、ヘプタンで脱脂した後、この鉄板で高密度ポリエチレンペレットを挟み温度250℃で10分間加熱した状態で圧縮シートを成形。次に金属板で挟んだまま温度80℃、湿度80%の恒温恒湿槽に48時間入れ、金属板の樹脂との接触部を目視で観察し腐食状態を試験した。この耐腐食性は下記の基準で判定した。
○:ほとんど腐食せず
△:一部のみ腐食
×:全面腐食
2.容器性能評価
(1)ブロー成形性:高密度ポリエチレンペレットを小型ダイレクトブロー成形機であるタハラ社製TL5543Lを用い、温度180℃、スクリュー回転30rpm、ダイス径21.8mm、コア径18.9mmの条件でJIS−Z1703(1976)の2種500ccボトル金型に30℃の冷却水を通水して10秒間冷却し、重量30gのボトル容器を成形した。このブロー成形での成形のしやすさを下記の基準で判定した。
○:問題なく成形できるもの
×押:モーター負荷、樹脂圧力が高くて押出が困難なもの
×肌:表面が鮫肌状になるもの
×垂:溶融パリソンが垂れて賦形できないもの
(2)容器の耐硫酸変色性:上記で得られたJIS−Z1703(1976)の2種500ccボトル容器に、高純度の濃硫酸として三菱化学株式会社製の電子工業用高純度プロセス薬品”スターシリーズ”硫酸を約100cc充填し、温度65℃のオーブンに7日間入れボトル内面の着色性を目視にて評価した。
(3)硫酸液に溶出微粒子:上記で得られたJIS−Z1703(1976)の2種500ccボトル容器をクリーンルーム内で濃硫酸(三菱化学株式会社製の電子工業用高純度プロセス薬品”スターシリーズ”硫酸)にて5回洗浄後、容器にこの濃硫酸を充填し3ヶ月間放置後に0.1μm以上の微粒子の数をリオン(株)社製KL−25型液体微粒子カウンターで測定した。
(1)ブロー成形性:高密度ポリエチレンペレットを小型ダイレクトブロー成形機であるタハラ社製TL5543Lを用い、温度180℃、スクリュー回転30rpm、ダイス径21.8mm、コア径18.9mmの条件でJIS−Z1703(1976)の2種500ccボトル金型に30℃の冷却水を通水して10秒間冷却し、重量30gのボトル容器を成形した。このブロー成形での成形のしやすさを下記の基準で判定した。
○:問題なく成形できるもの
×押:モーター負荷、樹脂圧力が高くて押出が困難なもの
×肌:表面が鮫肌状になるもの
×垂:溶融パリソンが垂れて賦形できないもの
(2)容器の耐硫酸変色性:上記で得られたJIS−Z1703(1976)の2種500ccボトル容器に、高純度の濃硫酸として三菱化学株式会社製の電子工業用高純度プロセス薬品”スターシリーズ”硫酸を約100cc充填し、温度65℃のオーブンに7日間入れボトル内面の着色性を目視にて評価した。
(3)硫酸液に溶出微粒子:上記で得られたJIS−Z1703(1976)の2種500ccボトル容器をクリーンルーム内で濃硫酸(三菱化学株式会社製の電子工業用高純度プロセス薬品”スターシリーズ”硫酸)にて5回洗浄後、容器にこの濃硫酸を充填し3ヶ月間放置後に0.1μm以上の微粒子の数をリオン(株)社製KL−25型液体微粒子カウンターで測定した。
(実施例1)
(A)固体触媒の調製
Mg(OEt)2の575gとTi(OBu)3Clの755gとn−C4H9OHの185gとを150℃で6時間混合して均一化し、冷却後ノルマルヘキサンを所定量加えて均一溶液にした。次いで、所定温度にてエチルアルミニウムセスキクロライドを2285g滴下し1時間攪拌した。さらに、ノルマルヘキサンにて洗浄を繰り返してチーグラー型高活性の固体触媒1100gを得た。
(B)エチレンの重合
攪拌機付反応器を2基直列に接続した装置にて、上記固体触媒と有機アルミニウム助触媒として固体触媒の二倍量のTEAを助触媒として用い、ノルマルヘプタンを溶媒として、気相中の水素を対エチレン濃度比で1.9モル/モルに保って圧力12kg/cm2、温度90℃でエチレンの第1槽目の連続重合を行った。次に、ノルマルヘプタンを溶媒として、気相中の水素を対エチレン濃度で0.11モル/モル、1−ブテンを対エチレン濃度で0.015モル/モルに保って圧力3kg/cm2、温度80℃で第1槽目と同量の重合割合になるよう第2槽目のエチレンと1−ブテンの共重合を行った。この後、得られた重合スラリーは遠心分離器にて固液分離を行い、乾燥工程を経て、添加剤を一切使用せずにL/Dが26、直径40mmφのフルフライト型シングルスリュータイプの押出機で樹脂温度が220℃になるように調整してペレツト化した。
(C)ペレット物性の評価
上記(B)で得られた高密度ポリエチレンペレットを用いMFR、FR、二重結合、塩素残渣量の測定を行った。測定の結果を表1に示す。
(D)容器の評価
上記(B)で得られた高密度ポリエチレンペレットを用い、重量30gのJIS−Z1703(1976)の2種500ccボトルを樹脂温度180℃でブロー成形し、容器の耐硫酸変色性、容器内硫酸液に溶出される微粒子量の容器評価を行った。これらの物性測定の結果を表1に示す。
(A)固体触媒の調製
Mg(OEt)2の575gとTi(OBu)3Clの755gとn−C4H9OHの185gとを150℃で6時間混合して均一化し、冷却後ノルマルヘキサンを所定量加えて均一溶液にした。次いで、所定温度にてエチルアルミニウムセスキクロライドを2285g滴下し1時間攪拌した。さらに、ノルマルヘキサンにて洗浄を繰り返してチーグラー型高活性の固体触媒1100gを得た。
(B)エチレンの重合
攪拌機付反応器を2基直列に接続した装置にて、上記固体触媒と有機アルミニウム助触媒として固体触媒の二倍量のTEAを助触媒として用い、ノルマルヘプタンを溶媒として、気相中の水素を対エチレン濃度比で1.9モル/モルに保って圧力12kg/cm2、温度90℃でエチレンの第1槽目の連続重合を行った。次に、ノルマルヘプタンを溶媒として、気相中の水素を対エチレン濃度で0.11モル/モル、1−ブテンを対エチレン濃度で0.015モル/モルに保って圧力3kg/cm2、温度80℃で第1槽目と同量の重合割合になるよう第2槽目のエチレンと1−ブテンの共重合を行った。この後、得られた重合スラリーは遠心分離器にて固液分離を行い、乾燥工程を経て、添加剤を一切使用せずにL/Dが26、直径40mmφのフルフライト型シングルスリュータイプの押出機で樹脂温度が220℃になるように調整してペレツト化した。
(C)ペレット物性の評価
上記(B)で得られた高密度ポリエチレンペレットを用いMFR、FR、二重結合、塩素残渣量の測定を行った。測定の結果を表1に示す。
(D)容器の評価
上記(B)で得られた高密度ポリエチレンペレットを用い、重量30gのJIS−Z1703(1976)の2種500ccボトルを樹脂温度180℃でブロー成形し、容器の耐硫酸変色性、容器内硫酸液に溶出される微粒子量の容器評価を行った。これらの物性測定の結果を表1に示す。
(比較例1)
固体触媒として、シリカに無水三酸化クロムと純水を混合した溶液を攪拌混合し、110℃で乾燥後、さらに電気炉内の石英ガラス管に入れ800℃で10時間焼成したクロム原子担持量1%のフィリプス型触媒を用い、イソブタンを溶媒として、無水素状態で圧力30kg/cm2、温度100℃でエチレンの連続重合を行った。次に、このスラリーを減圧し、イソブタンを蒸発させ乾燥後、添加剤を一切使用せずにL/Dが26、直径40mmφのフルフライト型シングルスリュータイプの押出機で樹脂温度が220℃になるように調整してペレツト化した以外は実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂とそのブロー成形容器を得た。これらのペレット物性と容器の評価結果を表1に示す。
固体触媒として、シリカに無水三酸化クロムと純水を混合した溶液を攪拌混合し、110℃で乾燥後、さらに電気炉内の石英ガラス管に入れ800℃で10時間焼成したクロム原子担持量1%のフィリプス型触媒を用い、イソブタンを溶媒として、無水素状態で圧力30kg/cm2、温度100℃でエチレンの連続重合を行った。次に、このスラリーを減圧し、イソブタンを蒸発させ乾燥後、添加剤を一切使用せずにL/Dが26、直径40mmφのフルフライト型シングルスリュータイプの押出機で樹脂温度が220℃になるように調整してペレツト化した以外は実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂とそのブロー成形容器を得た。これらのペレット物性と容器の評価結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1のエチレンの重合において、有機アルミニウムをDEACに替えて水素濃度、重合比率を調整して目標のサンプルを得た以外は実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂とそのブロー成形容器を得た。これらのペレット物性と容器の評価結果を表1に示す。
実施例1のエチレンの重合において、有機アルミニウムをDEACに替えて水素濃度、重合比率を調整して目標のサンプルを得た以外は実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂とそのブロー成形容器を得た。これらのペレット物性と容器の評価結果を表1に示す。
(比較例3、比較例4)
実施例1のエチレンの重合において、水素濃度を変えて目標のサンプルを得た以外は実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂とそのブロー成形容器を得た。これらのペレット物性と容器の評価結果を表1に示す。
実施例1のエチレンの重合において、水素濃度を変えて目標のサンプルを得た以外は実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂とそのブロー成形容器を得た。これらのペレット物性と容器の評価結果を表1に示す。
(比較例5、実施例2、比較例6)
実施例1のエチレンの重合において、水素濃度、重合比率、温度を調整して目標のサンプルを得た以外は実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂とそのブロー成形容器を得た。これらのペレット物性と容器の評価結果を表1、2に示す。
実施例1のエチレンの重合において、水素濃度、重合比率、温度を調整して目標のサンプルを得た以外は実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂とそのブロー成形容器を得た。これらのペレット物性と容器の評価結果を表1、2に示す。
(比較例7)
実施例1のペレット化する前のポリマー50重量%と比較例1のペレット化する前のポリマー50重量%を混合し、添加剤を一切使用せずにL/Dが26、直径40mmφのフルフライト型シングルスリュータイプの押出機で樹脂温度が220℃になるように調整してペレツト化した以外は実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂とそのブロー成形容器を得た。これらのペレット物性と容器の評価結果を表2に示す。
実施例1のペレット化する前のポリマー50重量%と比較例1のペレット化する前のポリマー50重量%を混合し、添加剤を一切使用せずにL/Dが26、直径40mmφのフルフライト型シングルスリュータイプの押出機で樹脂温度が220℃になるように調整してペレツト化した以外は実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂とそのブロー成形容器を得た。これらのペレット物性と容器の評価結果を表2に示す。
(実施例3)
実施例1のブロー成形容器を粉砕機で粉砕した樹脂に実施例1のペレットを50重量%混合し、実施例1と同様の方法でブロー成形容器を成形した。この後、得られたブロー成形容器を再度粉砕し、この粉砕した樹脂に実施例1のペレットを50重量%再混合し、実施例1と同様の方法でブロー成形容器を成形した以外は実施例1と同様に評価した。なお、計算上この方法でブロー成形機を3回パスしたものは12.5重量%、2回パスしたものは12.5重量%、1回パスしたものは50重量%になる。これらのペレット物性と容器の評価結果を表2に示す。
実施例1のブロー成形容器を粉砕機で粉砕した樹脂に実施例1のペレットを50重量%混合し、実施例1と同様の方法でブロー成形容器を成形した。この後、得られたブロー成形容器を再度粉砕し、この粉砕した樹脂に実施例1のペレットを50重量%再混合し、実施例1と同様の方法でブロー成形容器を成形した以外は実施例1と同様に評価した。なお、計算上この方法でブロー成形機を3回パスしたものは12.5重量%、2回パスしたものは12.5重量%、1回パスしたものは50重量%になる。これらのペレット物性と容器の評価結果を表2に示す。
(実施例4)
実施例1のブロー成形において、樹脂温度を250℃でブロー成形した以外は実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂とそのブロー成形容器を得た。これらのペレット物性と容器の評価結果を表2に示す。
実施例1のブロー成形において、樹脂温度を250℃でブロー成形した以外は実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂とそのブロー成形容器を得た。これらのペレット物性と容器の評価結果を表2に示す。
(実施例5)
実施例1のペレット化において、添加剤としてステアリン酸カルシウム18重量ppmを添加した以外は実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂とそのブロー成形容器を得た。ペレット物性と容器の評価結果を表2に示す。
実施例1のペレット化において、添加剤としてステアリン酸カルシウム18重量ppmを添加した以外は実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂とそのブロー成形容器を得た。ペレット物性と容器の評価結果を表2に示す。
(比較例8)
実施例1のペレット化において、添加剤としてステアリン酸カルシウム60重量ppmを添加した以外は実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂とそのブロー成形容器を得た。ペレット物性と容器の評価結果を表2に示す。
実施例1のペレット化において、添加剤としてステアリン酸カルシウム60重量ppmを添加した以外は実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂とそのブロー成形容器を得た。ペレット物性と容器の評価結果を表2に示す。
本発明のポリエチレン樹脂は、工業薬品、試薬等としてよく用いられる硫酸に対する耐変色性とクリーン性、耐薬品性に優れ、かつブロー成形性にも優れた硫酸容器用ポリエチレン樹脂として用いることができ工業的に非常に利用価値の高いものである。
Claims (4)
- 下記(a)〜(d)の要件を満足し、添加剤が無添加である高密度ポリエチレンからなることを特徴とする硫酸容器用ポリエチレン樹脂。
(a)温度190℃、荷重2.16kgのメルトフローレート(MFR)が0.02〜3g/10分
(b)フローレシオ(FR:温度190℃、荷重21.6kgのメルトフローレート(HLMFR)と温度190℃、荷重2.16kgのメルトフローレート(MFR)の比(HLMFR/MFR))が40〜70
(c)二重結合が1000カーボン当たり0.5個以下
(d)塩素残渣量が10ppm以下 - 請求項1に記載された硫酸容器用ポリエチレン樹脂を用いて成形することを特徴とする硫酸用容器。
- 請求項1に記載された硫酸容器用ポリエチレン樹脂を最内層に用いて多層成形することを特徴とする硫酸用容器。
- 再生材を含まない硫酸容器用ポリエチレン樹脂からなることを特徴とする請求項2又は3に記載の硫酸用容器。
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