JP2011171197A - 燃料電池用膜電極構造体及びその製造方法 - Google Patents

燃料電池用膜電極構造体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、燃料電池の再起動時におけるアノードの電極触媒層の劣化を防止することで、従来よりも耐久性に優れた燃料電池用膜電極構造体を提供することにある。
【解決手段】本発明の燃料電池用膜電極構造体1は、高分子電解質膜2がアノード3及びカソード4の電極触媒層32,42で挟持された燃料電池用膜電極構造体1において、前記アノード3の前記電極触媒層32に形成される細孔径が3μm以下の細孔が占める細孔容積中、0.1μm以下の細孔径の細孔が占める細孔容積の割合が、70%以上であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池用膜電極構造体(MEA:Membrane Electrode Assembly)及びその製造方法に関する。
燃料電池用膜電極構造体としては、高分子電解質膜の両面のそれぞれにアノードとカソードとを有するものが知られている。この燃料電池用膜電極構造体は、反応ガス(例えば空気及び水素)の流路を有する一対のセパレータで挟持されることで燃料電池(単セル)を構成する。このような燃料電池では、カソード側に供給される空気中の酸素と、アノード側に供給される水素との電気化学反応によって発電が行われる。
ところで、燃料電池の発電が停止すると、燃料電池への反応ガスの供給が停止されるものの、残存している反応ガスによってカソードが高電位に保持されて劣化する場合がある。そこで、例えば、アノード側に残存する水素を空気で強制的にパージする方法が行われている。
一方、アノード側に空気(酸素)が存在する状態で燃料電池を再起動すると、カソードの電極触媒層(カーボン)を腐食する腐食電流の回路が膜電極構造体に形成される。次に参照する図6は、燃料電池用膜電極構造体に腐食電流の回路が形成される様子を示す概念図である。
燃料電池が再起動する際には、図6に示すように、アノード3側に、パージに使用された、式(3)中の「O」で示される空気中の酸素と、反応ガスとして供給された、式(1)中の「H」で示される水素とが存在する。一方、カソード4側には、反応ガスとして供給された、式(2)中の「O」で示される空気中の酸素と、発電時に副生した、式(4)及び式(5)中の「HO」で示される水とが存在する。そして、式(1)で生成したプロトン(H)が、アノード3から高分子電解質膜2を介してカソード4に移動し、式(2)で示される反応が進行することで発電が行われる。
この際、アノード3側に残存する前記した酸素によって、式(3)で示される反応が進行する。式(3)の反応は、式(1)で生起した電子「e」の供与を受けると共に、式(4)で示される反応(カソード4側での水の分解反応)によって生成したプロトン(H)の供与を受ける。また、カソード4側では、式(5)で示される、水と電極触媒層に含まれるカーボン「C」との反応も進行する。そして、式(4)及び式(5)で示される反応が進行して生起した電子「e」は、式(2)の反応にも供与される。つまり、式(1)から式(5)の反応が進行することによって、図6に示す腐食電流の回路がアノード3とカソード4との間に形成される。
そして、例えば、通常の発電時(アノード3に酸素が存在しない場合)にアノード3の電位が0Vであり、カソード4の電位が0.7V程度であると想定すると、腐食電流の回路が形成される再起動時には、アノード3の電位が0.7V程度となり、カソード4の電位が1.4V程度にも及ぶこととなる。
また、このようにカソード4が高電位となると、カソード4では、式(4)で示される反応よりも、式(5)で示される反応のほうが優先的に進行する。その結果、カソード4を構成する電極触媒層(図示省略)中のカーボンが消費されて電極触媒層が著しく劣化する。
そこで、この問題を解決するために、例えば、アノード3の電極触媒層内に空気(酸素)が取り込まれないように電極触媒層の細孔径を微細にすることによって、式(3)で示される反応が生じるのを防止する構成が考えられる。更に具体的に説明すると、電極触媒層の細孔径を、水素の入り込みを許容しつつ、空気の入り込みを抑制する大きさとなるように制御することが考えられる。
従来、電極触媒層の細孔径を制御するための技術としては、カソード4の電極触媒層の細孔容積の確保を図ることを目的として、後工程で酸溶出させる亜鉛粒子(溶出粒子)と、粒度分布が異なる2種類のカーボン粒子とを含む組成物を用いて電極触媒層を形成するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この技術は、前記組成物に含まれる亜鉛粒子を酸溶出させた痕としてカソード4の電極触媒層に細孔を形成するものである。また、この製造方法は、前記したように、大粒子径のカーボン粒子(骨体形成粒子)と、触媒金属を担持した小粒子径のカーボン粒子(触媒粒子)との2種類を使用することによって、細孔径が小さくなり過ぎないように構成されている。
特開平10−241703号公報
しかしながら、従来の技術(例えば、特許文献1参照)は、カソード4の電極触媒層の細孔容積を大きくして空気の流通を確保するものであるから、細孔径が小さくなるように制御して電極触媒層への空気(酸素)の入り込みを防止するものではない。つまり、従来の技術では、前記した燃料電池の再起動時における劣化を防止することができるアノード3の電極触媒層を形成することができない。
そこで、本発明の課題は、燃料電池の再起動時におけるアノードの電極触媒層の劣化を防止することで、従来よりも耐久性に優れた燃料電池用膜電極構造体及びその製造方法を提供することにある。
前記課題を鋭意検討した結果、本発明の発明者らは、詳しくは後記するように、アノードの電極触媒層における細孔の細孔径が0.1μm以下になると、空気(酸素)の透過が抑制されることを見出し、特に、0.1μm以下のこの細孔を所定の割合以上で含む電極触媒層は、腐食電流による腐食耐久性(以下、単に「耐久性」という)が変曲的に向上することを見出して本発明に到達した。
すなわち、前記課題を解決した本発明の第1は、高分子電解質膜がアノード及びカソードの電極触媒層で挟持された燃料電池用膜電極構造体において、前記アノードの前記電極触媒層に形成される細孔径が3μm以下の細孔が占める細孔容積中、0.1μm以下の細孔径の細孔が占める細孔容積の割合が、70%以上であることを特徴とする。
この燃料電池用膜電極構造体によれば、細孔径が3μm以下の細孔が占める細孔容積中、0.1μm以下の細孔径の細孔が占める細孔容積の割合が、70%以上となっているので、アノードの電極触媒層に対する空気(酸素)の入り込みが抑制される。その結果、この燃料電池用膜電極構造体では、燃料電池の再起動時に、アノードとカソードとの間に腐食電流の回路が形成されることが防止される。したがって、この燃料電池用膜電極構造体によれば、その耐久性を高めることができる。
また、このような燃料電池用膜電極構造体においては、前記アノードの前記電極触媒層に形成される細孔径が3μm以下の細孔が占める細孔容積が、2.0μL/mm以下であることが望ましい。
この燃料電池用膜電極構造体によれば、アノードの電極触媒層に形成される細孔径が3μm以下の細孔が、2.0μL/mm以下となっているので、アノードの電極触媒層に対する空気(酸素)の入り込みを、より確実に抑制する。したがって、この燃料電池用膜電極構造体によれば、その耐久性を、より確実に高めることができる。
また、前記課題を解決した本発明の第2は、高分子電解質膜がアノード及びカソードの電極触媒層で挟持された燃料電池用膜電極構造体において、前記アノードの前記電極触媒層に含まれる粒子径が1μm未満の触媒粒子の体積割合は、前記アノードの前記電極触媒層に含まれる全ての前記触媒粒子の体積に対して、2.5%以上であることを特徴とする。
この燃料電池用膜電極構造体によれば、アノードの電極触媒層に含まれる粒子径が1μm未満の触媒粒子の体積割合が、電極触媒層に含まれる全ての触媒粒子の体積に対して、2.5%以上となっているので、電極触媒層には、細孔径0.1μm以下の細孔が多く形成される。つまり、アノードの電極触媒層に対する空気(酸素)の入り込みが抑制される。その結果、この燃料電池用膜電極構造体では、燃料電池の再起動時に、アノードとカソードとの間に腐食電流の回路が形成されることが防止される。したがって、この燃料電池用膜電極構造体によれば、その耐久性を高めることができる。
また、前記課題を解決した本発明の第3は、少なくとも触媒粒子及びイオン導電性物質を混練してアノードの電極触媒層形成用組成物を調製する第1工程と、前記電極触媒層形成用組成物を塗工して電極シートを形成する第2工程と、高分子電解質膜の膜面に前記電極シートを配置してアノードの電極触媒層を形成する第3工程と、を有する燃料電池用膜電極構造体の製造方法において、前記第1工程に先立って、触媒粒子を粉砕する工程を更に有することを特徴とする。
この製造方法によれば、電極触媒層形成用組成物中の微細な触媒粒子の割合が増加する。つまり、電極触媒層には、細孔径0.1μm以下の細孔が多く形成されて、アノードの電極触媒層に対する空気(酸素)の入り込みが抑制される。その結果、この製造方法で得られた燃料電池用膜電極構造体を備える燃料電池は、その再起動時に、アノードとカソードとの間に腐食電流の回路が形成されることが防止される。したがって、この製造方法によれば、耐久性に優れた燃料電池用膜電極構造体を製造することができる。
また、前記課題を解決した本発明の第4は、少なくとも触媒粒子及びイオン導電性物質を混練してアノードの電極触媒層形成用組成物を調製する第1工程と、前記電極触媒層形成用組成物を展延して電極シートを形成する第2工程と、高分子電解質膜の膜面に前記電極シートを配置して電極触媒層を形成する第3工程と、を有する燃料電池用膜電極構造体の製造方法において、前記第1工程に先立って、用意した第1の触媒粒子に、別途に用意した触媒粒子を篩い分けた篩下の触媒粒子として得られる第2の触媒粒子を加えて、粒子径が1μm未満の触媒粒子の体積割合が、前記電極触媒層に含まれる全ての触媒粒子の体積に対して、2.5%以上となるように調製する工程を更に有することを特徴とする。
この製造方法によれば、細孔径0.1μm以下の細孔が多く形成されるアノードの電極触媒層を得ることができる。つまり、アノードの電極触媒層に対する空気(酸素)の入り込みが抑制される。その結果、この製造方法で得られた燃料電池用膜電極構造体を備える燃料電池は、その再起動時に、アノードとカソードとの間に腐食電流の回路が形成されることが防止される。したがって、この製造方法によれば、耐久性に優れた燃料電池用膜電極構造体を製造することができる。
本発明によれば、燃料電池の再起動時におけるアノードの電極触媒層の劣化を防止することで、従来よりも耐久性に優れた燃料電池用膜電極構造体及びその製造方法を提供することができる。
実施形態に係る燃料電池用膜電極構造体を備えた固体高分子型燃料電池(単セル)の構造を模式的に示す断面図であり、セパレータを仮想線で記した図である。 実施形態に係る燃料電池用膜電極構造体において、アノードの電極触媒層における細孔分布を、従来例の電極触媒層の細孔分布との対比で説明するためのグラフであり、横軸は細孔径[μm]を示し、縦軸は電極触媒層の細孔容積[μL/mm]を示している。 カソードの電極触媒層における細孔径のピーク位置[μm]を横軸とし、この電極触媒層を使用した燃料電池のセル電圧[V]を縦軸としたグラフである。 アノードの電極触媒層における細孔径が3μm以下の細孔のうちの細孔径が0.1μm以下のものの細孔容積の割合と、その電極触媒層を使用した燃料電池の耐久性との関係を示すグラフであって、横軸が細孔容積の割合[%]を示し、縦軸が燃料電池の性能低下速度[mV/1000回]を示している。 アノードの電極触媒層における細孔容積と、その電極触媒層を使用した燃料電池の耐久性との関係を示すグラフであって、横軸が細孔容積[μL/mm]を示し、縦軸が燃料電池の性能低下速度[mV/1000回]を示している。 アノードの電極触媒層に使用する、粒子径0.1μm未満の触媒粒子の体積割合と、その電極触媒層を使用した燃料電池の耐久性との関係を示すグラフであって、横軸が粒子径0.1μm未満の触媒粒子の体積割合[%]を示し、縦軸が燃料電池の性能低下速度[mV/1000回]を示している。 燃料電池用膜電極構造体に腐食電流の回路が形成される様子を示す概念図である。
次に、本発明の燃料電池用膜電極構造体の実施形態について適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
(燃料電池用膜電極構造体)
本発明の燃料電池用膜電極構造体は、後に詳しく説明するように、アノードの電極触媒層に形成される細孔径が3μm以下の細孔が占める細孔容積中、0.1μm以下の細孔径の細孔が占める細孔容積の割合が、70%以上であることを特徴とし、また、アノードの電極触媒層に形成される細孔径が3μm以下の細孔が占める細孔容積が、2.0μL/mm以下であることを特徴とする。なお、本発明での細孔径は、水銀圧入法(MIP法)によって求めたものである。
このようなアノードの電極触媒層に含まれる1μm未満の粒子径の触媒粒子は、アノードの電極触媒層に含まれる全ての触媒粒子の体積に対して、2.5%以上となっている。本発明は、このような粒度分布を有する触媒粒子を使用すると、前記した細孔容積を有する電極触媒層を形成できることを見出してなされたものである。
なお、ここで「触媒粒子」とは、触媒活性を発揮するように触媒金属を担持させたカーボン粒子を意味し、「触媒粒子」の粒子径は、触媒金属を担持したカーボン粒子の最大外径を意味している。
また、ここでの「粒子径」は、触媒粒子をレーザ回折散乱法、沈降法等によって測定解析して求められた、触媒粒子が全て球形であると仮定したいわゆる「有効径」を意味している。
ここでは先ず、燃料電池用膜電極構造体の全体構成について説明する。
図1に示すように、燃料電池用膜電極構造体1は、高分子電解質膜2と、この高分子電解質膜2を挟持するアノード3及びカソード4と、を備えている。
この燃料電池用膜電極構造体1は、一対のセパレータ5,6で挟持されることで固体高分子型燃料電池FCの単セルを構成する。そして、この単セルが積層されることで燃料電池スタックを構成する。ちなみに、この固体高分子型燃料電池FCの単セルでは、セパレータ5の流路5aを流通する水素が、アノード3に供給され、セパレータ6の流路6aを流通する空気が、カソード4に供給されると、水素と空気(酸素)との電気化学的反応によって発電が行われる。ちなみに、この電気化学的反応は発熱反応であり、発電によって生じた熱は、セパレータ5,6の流路5b,6bを流通する冷却水によって冷却される。
このような燃料電池用膜電極構造体1(以下、単に「膜電極構造体1」ということがある)を構成する前記した高分子電解質膜2は、固体高分子電解質が膜状に成形されたものである。
この固体高分子電解質としては、例えば、パーフルオロアルキレンスルホン酸系ポリマ、パーフルオロアルキレンホスホン酸系ポリマ、トリフルオロスチレンスルホン酸系ポリマ、エチレンテトラフルオロエチレン−g−スチレンスルホン酸系ポリマ、スルホン化ポリフェニレンサルファイド系ポリマ、スルホン化ポリイミド系ポリマ、りん酸ドープ型ポリベンゾイミダゾール系ポリマ、スルホン化シンジオタクティックポリスチレン系ポリマ、スルホン化ポリアリーレン系ポリマ、スルホン化ポリエーテル系ポリマ等が挙げられる。
前記したアノード3は、ガス拡散層31と、電極触媒層32とで構成されており、電極触媒層32側で高分子電解質膜2と接するように配置されている。また、前記したカソード4は、ガス拡散層41と、電極触媒層42とで構成されており、電極触媒層42側で高分子電解質膜2と接するように配置されている。
アノード3及びカソード4のガス拡散層31,41は、セパレータ5,6の流路5a,6aを介して供給される水素及び空気が、電極触媒層32,42との接触面に均等に行き渡るようにするものである。このガス拡散層31,41としては、カーボンペーパを使用することができる。また、このカーボンペーパとしては、電極触媒層32,42側にカーボン・テフロン(登録商標)層を有するものを使用することができる。
カソード4の電極触媒層42は、触媒粒子と、イオン伝導性物質とを含んで構成されている。この電極触媒層42は、
本実施形態での触媒粒子は、前記した電気化学反応において触媒活性を発揮するように触媒金属を担持させたカーボン粒子である。
触媒金属としては、白金系の触媒金属を使用することができ、中でもカソード4の電極触媒層42には白金−コバルト合金からなる触媒金属が望ましい。
カーボン粒子としては、電気伝導性物質からなる粒子を使用することが好ましく、具体的には、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック(ケッチェンブラックやバルカン等)等が挙げられる。
なお、この電極触媒層42用の触媒粒子としては、上市品を使用することができる。
本実施形態でのイオン伝導性物質には、高分子電解質膜2を形成する固体高分子電解質と同様のものを使用することができる。
次に、アノード3の電極触媒層32について更に詳しく説明する。
この電極触媒層32は、触媒粒子と、カソード4の電極触媒層42に使用することができる前記したイオン伝導性物質と同様のイオン伝導性物質とを含んで構成されている。
電極触媒層32の触媒粒子は、前記した電気化学反応において触媒活性を発揮するように触媒金属を担持させたカーボン粒子である。
触媒金属としては、前記したカソード4の電極触媒層42と同様に、白金系の触媒金属を使用することができるが、中でもアノード3の電極触媒層32には白金−ルテニウム合金からなる触媒金属が望ましい。
カーボン粒子としては、カソード4の電極触媒層42のカーボン粒子と同様のものを使用することができる。
アノード3の電極触媒層32の触媒粒子は、前記したように、粒子径1μm未満の触媒粒子が、電極触媒層32に含まれる全ての触媒粒子の体積に対して、2.5%以上となっている。
このような粒度分布を有する触媒粒子は、後で詳しく説明するが、上市品として一般に流通する、触媒粒子を粉砕し、或いは分級して得ることができる。分級は、「粒子径が1μm以上の触媒粒子」を除去してこの「粒子径が1μm以上の触媒粒子」の体積割合を低減することで得ることができる。
本実施形態での電極触媒層32は、このような粒度分布を有する触媒粒子を使用することで、電極触媒層32内に細孔径0.1μm以下の細孔が多くを占めるように構成されている。
次に参照する図2は、アノードの電極触媒層における細孔分布を、従来例の電極触媒層の細孔分布との対比で説明するためのグラフであり、横軸は細孔径[μm]を示し、縦軸は電極触媒層の細孔容積[μL/mm]を示している。
図2中、Aは本実施形態での電極触媒層32に形成された細孔の細孔径の分布を示しており、細孔径が0.1μm以下の細孔が占める細孔容積(V1)が、3μm以下の細孔が占める細孔容積(V1+V2)の70%以上となっている。なお、細孔容積V2は、細孔径0.1μmを超え、3μm以下の細孔が占める細孔容積を意味する。つまり、電極触媒層32の細孔は、次の関係式が成立する。
70≦100・V1/(V1+V2)
ここで細孔容積(V1)を規定する細孔は、電極触媒層32に対する空気(酸素)の入り込みを抑制する細孔径を有するものであり、前記したように、水銀圧入法(MIP法)に準拠した細孔径測定装置で電極触媒層32を測定した際に、細孔径が0.1μm以下となる全ての細孔がこれに含まれる。なお、水銀圧入法に準拠した上市の細孔径測定装置(例えば、マイクロメトリックス社製、オートポアIV9520等)においては、一般に、細孔径の定量限界が0.003μm程度であることが知られているが、本発明においては空気(酸素)の入り込みを抑制する細孔径を有する細孔の割合を規定するものであるから、細孔径が0.1μm以下(図2中の「最適細孔径の範囲」)であればその下限は、0μmを超え、0.003μm未満の範囲で設定することができ、その設定した下限以上、0.1μm以下の範囲で規定した細孔の細孔容積(V1)においても、前記した式は成立する。
そして、細孔径3μmの値は、触媒活性を発揮させるために必要な比表面積を設定するための細孔径の下限である。なお、細孔径が3μmを超える細孔は、一般に、電極触媒層の比表面積を指数的に減少させるために、電極触媒層での触媒反応を不十分にするとされている。つまり、本発明においては、触媒反応が不十分となって腐食電流の回路の形成に大きく寄与しない3μmを超える細孔については発明特定事項とせずに、3μm以下の細孔径について規定することによって前記した課題を解決するものである。
また、本実施形態での電極触媒層32は、細孔径が3μm以下の細孔が占める細孔容積(V1+V2)が、前記したように、電極触媒層32の単位体積当り、2.0μL/mm以下となっている。細孔容積(V1+V2)が2.0μL/mm以下の電極触媒層32は、空気(酸素)の入り込みを、より確実に抑制する。
なお、この細孔容積(V1+V2)は、0.3μL/mm以上、2.0μL/mm以下とするのが望ましい。ちなみに、0.3μL/mm以上とすることで電極触媒層32の形成が容易になる。
このようなアノード3の電極触媒層32における細孔分布は、前記したように、粒子径1μm未満の触媒粒子が、電極触媒層32に含まれる全ての触媒粒子の体積に対して、2.5%以上となっているものを選択して使用することで形成することができる。
これに対して、上市品として一般に流通する、粒子径1μm未満の触媒粒子が2.5%未満のものを使用した従来の電極触媒層は、図2中、Bとして示すカーブのように、細孔径が0.1μm以下の細孔が占める細孔容積が、細孔径が3μm以下の細孔が占める細孔容積の70%未満となっている。
次に、本実施形態に係る膜電極構造体1の作用効果について説明する。
この膜電極構造体1(図1参照)においては、アノード3の電極触媒層32に含まれる粒子径が1μm未満の触媒粒子の体積割合が、電極触媒層32に含まれる全ての触媒粒子の体積に対して、2.5%以上となっているので、電極触媒層32には、細孔径0.1μm以下の細孔が多く形成される。
したがって、この膜電極構造体1によれば、アノード3の電極触媒層32に対する空気(酸素)の入り込みが抑制される。その結果、この膜電極構造体1では、燃料電池FCの再起動時に、アノード3とカソード4との間に腐食電流の回路が形成されることが防止される。よって、この膜電極構造体1によれば、その耐久性を高めることができる。
また、この膜電極構造体1(図1参照)においては、粒子径が1μm未満の触媒粒子の体積割合を2.5%以上とすることで、電極触媒層32に前記した「最適細孔径の範囲」の細孔を多く形成することができるので、従来の技術(例えば、特許文献1参照)と異なって、細孔容積を制御するために、亜鉛粒子(溶出粒子)の溶出工程の必要もない。したがって、この膜電極構造体1によれば、簡素化された工程で電極触媒層32を形成することができるので、製造コストを低減することができる。
また、この膜電極構造体1(図1参照)においては、前記したように、電極触媒層32には、0.1μm以下の細孔が多く形成され、具体的には、細孔径が3μm以下の細孔が占める細孔容積中、0.1μm以下の細孔が占める細孔容積の割合が、70%以上となっているので、アノード3の電極触媒層32に対する空気(酸素)の入り込みが抑制される。その結果、この膜電極構造体1では、燃料電池FCの再起動時に、アノード3とカソード4との間に腐食電流の回路が形成されることが防止される。したがって、この膜電極構造体1によれば、その耐久性を高めることができる。
また、この膜電極構造体1(図1参照)においては、アノード3の電極触媒層32に形成される細孔径が3μm以下の細孔が占める細孔容積が、2.0μL/mm以下となっているので、アノード3の電極触媒層32に対する空気(酸素)の入り込みが、より確実に抑制される。その結果、この膜電極構造体1では、燃料電池FCの再起動時に、アノード3とカソード4との間に腐食電流の回路が形成されることが、より確実に防止される。したがって、この膜電極構造体1によれば、その耐久性を、より確実に高めることができる。
(膜電極構造体の製造方法)
次に、本実施形態に係る膜電極構造体の製造方法について説明する。ここでは、図1に示す膜電極構造体1の製造方法を例にとって説明する。そして、本発明の製造方法は、アノード3の製造工程に特徴点を有しており、カソード4の製造工程については周知の製造方法を好適に使用することができるので、以下ではアノード3の製造工程について主に説明し、カソード4の製造工程についてはその説明を省略する。なお、以下の製造方法の説明においては符号を省略する。
この製造方法は、アノードの電極触媒層形成用組成物を調製する工程(第1工程)と、この電極触媒層形成用組成物で電極シートを形成する工程(第2工程)と、この電極シートを高分子電解質膜の膜面に配置して電極触媒層を形成する工程(第3工程)とを有している。
そして、本実施形態に係る膜電極構造体の製造方法は、前記した第1工程に先立って、アノードの電極触媒層形成用組成物の原料として使用する触媒粒子を粉砕する工程を更に有することを主な特徴としている。
触媒粒子を粉砕する方法としては、粉砕具又は装置を使用して粉砕することができる。この粉砕具又は装置としては、各種乳鉢及び乳棒、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル等が挙げられる。
この粉砕によって、触媒粒子は粒子径が1μm未満のものを多く含むこととなる。具体的には、粒子径が1μm未満の触媒粒子の体積割合を2.5%以上とする。この粒子径は、前記したように「有効径」であり、前記した方法で測定することができる。
また、触媒粒子は、上市品を篩い分けし、その篩下として得ることで、その粒度分布を調整することもできる。
前記した篩い分けの方法としては、例えば、規定のメッシュ上に振動子を当てて篩い分けを行う方法、高速旋回気流を利用したサイクロン型分級装置を使用する方法、エルボージェット型分級装置を使用する方法等の乾式法、沈降速度の差を利用した湿式分級装置を使用する方法、溶媒に分散させた後に遠心分離を行う方法、クロマト法等の湿式法が挙げられる。なお、ここでの「篩下」の用語は、篩い分けの方法としてメッシュを使用したものに限らず、それ以外の前記した篩い分けの方法においても微細側に篩い分けられる触媒粒子について使用される。
この篩い分け工程における触媒粒子の粒度の測定は、実際の電極インク(電極触媒層形成用組成物)の分散・凝集状態を模擬するため、超音波をかけずに触媒粒子を攪拌しながら行うことが望ましい(電極インクは塗工直前に超音波をかけずに通常塗工されるため)。
また、触媒粒子の粒度の測定には、測定用溶媒として、n−プロピルアルコール水溶液(水との容量比が1:1)、エチルアルコール等を使用することができる。
そして、前記した第1工程では、粉砕工程及び/又は篩い分け工程を経た触媒粒子と、前記した高分子電解質とを混合し、必要に応じて更に溶媒を混合することで、ペースト状の電極触媒層形成用組成物を調製する。なお、この電極触媒層形成用組成物における触媒粒子、及び高分子電解質の配合割合は、燃料電池の分野で通常行われる範囲内で適宜に設定することができる。
次に、前記した第2工程では、例えばテフロン(登録商標)シート等の基材上に、電極触媒層形成用組成物を展延することで、電極触媒層形成用組成物からなる電極シートが形成される。
次に、前記した第3工程では、第2工程で形成された電極シートを高分子電解質膜の膜面に配置してアノードの電極触媒層が形成される。この際、高分子電解質膜への電極シートの配置は、よく乾燥させた基材上の電極シートを、デカール法で高分子電解質膜に転写した後、電極シートから基材を剥離することによって行うことができる。
この第3工程では、更に電極触媒層上にガス拡散層が形成される。そして、高分子電解質膜のアノードと反対側の膜面に、カソードの電極触媒層及びガス拡散層が常法によって形成されることで、本発明の膜電極構造体が完成する。ちなみに、アノード及びカソードのガス拡散層の形成方法としては、例えば、別途に用意したカーボンペーパ上に、ポリテトラフルオロエチレン等とカーボンブラックとを含むペーストを塗布、乾燥することでシート材を作製し、このシート材を高分子電解質膜の両面に設けた電極触媒層のそれぞれの上に配置した後、これをホットプレスで一体化する方法が挙げられる。
以上のような製造方法においては、粉砕工程及び/又は篩い分け工程によって、粒子径が1μm未満のものを多く含むこととなる。その結果、この製造方法によれば、電極触媒層には、細孔径が0.1μm以下の細孔が多く形成されて、アノードの電極触媒層に対する空気(酸素)の入り込みが抑制される。その結果、この製造方法で得られた膜電極構造体を備える燃料電池は、その再起動時に、アノードとカソードとの間に腐食電流の回路が形成されることが防止される。したがって、この製造方法によれば、耐久性に優れた膜電極構造体を製造することができる。
また、この製造方法によれば、粉砕工程及び/又は篩い分け工程によって、粒子径が1μm未満のものを多く含むこととなる。その結果、この製造方法によれば、アノードの電極触媒層に形成される細孔径が3μm以下の細孔が占める細孔容積が、2.0μL/mm以下、望ましくは0.3μL/mm以上、2.0μL/mm以下とすることができる。したがって、この製造方法によれば、アノードの電極触媒層に対する空気(酸素)の入り込みが、より確実に抑制される。その結果、この膜電極構造体では、燃料電池の再起動時に、アノードとカソードとの間に腐食電流の回路が形成されることが、より確実に防止される。したがって、この製造方法によれば、より確実に耐久性に優れた膜電極構造体を製造することができる。
また、この製造方法によれば、粒子径が1μm未満の触媒粒子の体積割合を2.5%以上とすることで、電極触媒層に前記した「最適細孔径の範囲」の細孔を多く形成することができる。したがって、この製造方法は、従来の技術(例えば、特許文献1参照)と異なって、細孔容積を制御するために、亜鉛粒子(溶出粒子)の溶出工程の必要もない。つまり、簡素化された工程でアノードの電極触媒層を形成することができる。したがって、この製造方法によれば、膜電極構造体(燃料電池)の製造コストを低減することができる。
また、この製造方法によれば、従来の技術(例えば、特許文献1参照)と異なって、細孔容積を制御するために、亜鉛粒子(溶出粒子)の溶出工程の必要もない。したがって、この製造方法によれば、電極触媒層に形成される細孔の大きさ(細孔径)及び細孔容積が、より確実に安定することとなる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、種々の形態で実施することができる。
前記実施形態では、アノードの電極触媒層形成用組成物として、少なくとも触媒粒子と、高分子電解質とを含み、特許文献1に記載された亜鉛粒子等の溶出粒子を含まないものを想定しているが、電極触媒層形成用組成物には、更に結晶性炭素繊維等の造孔材を含んでいてもよい。ちなみに、この結晶性炭素繊維等としては、例えば、単結晶の真性ウィスカ、多結晶の非真性ウィスカがあり、気相成長カーボン繊維やカーボンナノチューブ等が挙げられる。
また、前記実施形態に係る製造方法は、粉砕工程及び/又は篩い分け工程を経ることで、粒子径1μm未満の触媒粒子がアノードの電極触媒層に多く含まれるように構成されているが、本発明は前記第1工程に先立って、用意した第1の触媒粒子に、別途に用意した触媒粒子を篩い分けた篩下の触媒粒子として得られる第2の触媒粒子を加えることで、粒子径が1μm未満の触媒粒子の体積割合が、前記電極触媒層に含まれる全ての触媒粒子の体積に対して、2.5%以上となるように調製することができる。
この製造方法によっても、0.1μm以下の細孔が多く形成されるアノードの電極触媒層を得ることができる。つまり、アノードの電極触媒層に対する空気(酸素)の入り込みが抑制される。その結果、この製造方法で得られた燃料電池用膜電極構造体を備える燃料電池は、その再起動時に、アノードとカソードとの間に腐食電流の回路が形成されることが防止される。したがって、この製造方法によっても、耐久性に優れた燃料電池用膜電極構造体を製造することができる。
また、本発明は、触媒粒子の複数のロットの中から、触媒粒子の粒度分布が前記した範囲となるものを、測定により選択してアノードの電極触媒層を形成し、膜電極構造体を構成してもよい。
次に、本発明の効果を確認した実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(電極触媒層における空気透過性の評価試験)
ここでは、電極触媒層の細孔の細孔径が0.1μm以下になると、空気(酸素)の透過が抑制されることの確認試験を、次のように作製した燃料電池を使用して行った。
<カソード用の電極シートの作製>
カソードの電極触媒層用の触媒粒子として上市のもの(田中貴金属工業社製、商品名「TEC36F52」、Pt:Co=3:1(モル比))を数十ロット用意した。この触媒粒子は、アセチレンブラックからなる担体粒子と、Pt−Co合金との質量比が48:52のものである。
そして、数十ロットの触媒粒子の中から相互に粒度分布が異なる7種の触媒粒子を選択した。これらの触媒粒子を表1に、No.S−1からNo.S−7として記す。
Figure 2011171197
次に、触媒粒子と、この触媒粒子の10倍の質量の溶媒(n−プロピルアルコールと水との容量比が1:2の混合液)と、パーフルオロアルキレンスルホン酸系ポリマ溶液(デュポン社製、商品名「ナフィオン(登録商標) DE2020」)とを混合した後、遊星ボールミルを使用して80rpmで120分混練してカソードの電極触媒層形成用組成物を調製した。
なお、パーフルオロアルキレンスルホン酸系ポリマ溶液の配合量は、触媒粒子と、パーフルオロアルキレンスルホン酸系ポリマ溶液中のポリマ分との質量比が1:1.5となるように設定した。
次に、電極触媒層形成用組成物をPETフィルムにスクリーン印刷で塗布し、これを60℃で10分加熱した。その後、減圧下に100℃で15分加熱して電極触媒層形成用組成物を乾燥させて、PETフィルム上にカソード用の電極シートを得た。
なお、PETフィルムに対する電極触媒層形成用組成物の塗布量は、Pt−Co合金が0.5mg/cmとなるように設定した。
<アノード用の電極シートの作製>
アノード用の電極触媒層用の触媒粒子として上市の同一品(田中貴金属工業社製、商品名「TEC10EA50E」)を用意した。この触媒粒子は、グラファイト化したケッチェンブラックからなる担体粒子と、Ptとの質量比が50:50のものである。
次に、この触媒粒子と、触媒粒子の10倍の質量の溶媒(n−プロピルアルコールと水との容量比が1:1の混合液)と、パーフルオロアルキレンスルホン酸系ポリマ溶液(デュポン社製、商品名「ナフィオン(登録商標) DE2020」)とを混合した後、遊星ボールミルを使用して80rpmで120分混練してアノードの電極触媒層形成用組成物を調製した。
なお、パーフルオロアルキレンスルホン酸系ポリマ溶液の配合量は、触媒粒子と、パーフルオロアルキレンスルホン酸系ポリマ溶液中のポリマ分との質量比が1:1となるように設定した。
次に、電極触媒層形成用組成物をPETフィルムにスクリーン印刷で塗布し、これを60℃で10分加熱した。その後、減圧下に100℃で15分加熱して電極触媒層形成用組成物を乾燥させて、PETフィルム上にアノード用の電極シートを得た。
なお、PETフィルムに対する電極触媒層形成用組成物の塗布量は、Ptが0.3mg/cmとなるように設定した。
<ガス拡散層用のシート材の作製>
まず、カーボンブラック(三菱化学社製、商品名「ケッチェンブラックEC」)と、ポリテトラフルオロエチレン粒子(三井・デュポンフロロケミカル社製、商品名「テフロン(登録商標)640J」)とを質量比が4:6となるように混合して得られた混合物を、エチレングリコールに分散させてスラリ状のガス拡散層形成用組成物を調製した。
次に、このガス拡散層形成用組成物を、カーボンペーパ(東レ社製、商品名「TGP−H060」)の片面(平坦面側)に塗布し、これを乾燥させて、カーボンペーパと、ガス拡散層形成用組成物からなる下地層とで構成されるシート材を作製した。
<膜電極構造体の製造>
用意した高分子電解質膜(デュポン社製、商品名「ナフィオン(登録商標)N112」)の両面に、それぞれPETフィルム上に形成したカソード用の電極シート、及びアノード用の電極シートを配置した後、これらをホットプレスにて120℃、2.0MPaの条件で一体化した。そして、高分子電解質膜を挟持した一対の電極シートのそれぞれからPETフィルムを剥離することで、高分子電解質膜に電極触媒層が形成された接合体(CCM:Catalyst Coated Membrane)を得た。つまり、選択した触媒粒子の種類に応じた7種の接合体(CCM)が得られた。
次いで、各接合体(CCM)を一対のガス拡散層用のシート材の下地層側で挟持すると共に、これらに、ホットプレスにて150℃、2.5MPaの条件で12分加熱及び加圧を行って膜電極構造体を得た。
<燃料電池の発電性能試験>
次に、作製した各膜電極構造体について、燃料電池(JARI(財団法人日本自動車研究所)標準セル)を作製した。そして、作製した各燃料電池のセル電圧[V]を測定した。その結果を表1に示す。この燃料電池の運転条件としては、純水素及び空気の利用率を75%とし、アノード及びカソードの加湿を70%(相対湿度)とし、ガス圧はアノード及びカソードとも100kPaとした。
<カソードの電極触媒層における細孔径のピーク位置の測定>
作製過程でサンプリングした膜電極構造体について、カソードの電極触媒層における細孔径のピーク位置を測定した。具体的には、膜電極構造体からアノードの電極触媒層を削り去り、高分子電解質膜に接合した状態のカソードの電極触媒層について、細孔径のピーク位置を測定した。
細孔径のピーク位置の測定には、水銀ポロシメータ(マイクロメトリックス社製、商品名「オートポアIV」)を使用した。その結果を表1及び図3に示す。図3は、カソードの電極触媒層における細孔径のピーク位置[μm]を横軸とし、この電極触媒層を使用した燃料電池のセル電圧[V]を縦軸としたグラフである。図3に記したプロットには、電極触媒層に使用した触媒粒子No.を付記した。
<電極触媒層における空気透過性の評価結果>
図3に示すように、細孔径のピーク位置が0.1μmを超えるカソードの電極触媒層を使用した燃料電池は、0.6V程度の安定したセル電圧を示しているのに対して、細孔径のピーク位置が0.1μm以下のカソードの電極触媒層を使用した燃料電池では、その0.1μmの値を境として急激にセル電圧が低下している。
つまり、電極触媒層においては、0.1μm以下の細孔径の細孔が空気(酸素)の透過を抑制するものと考えられる。
(発明原理の確認試験)
次に、アノードの電極触媒層において、細孔径が3μm以下の細孔のうち、細孔径0.1μm以下の細孔が占める細孔容積の割合と、膜電極構造体の耐久性との間に所定の相関関係が認められることを確認した。
<カソード用の電極シートの作製>
カソードの電極触媒層用の触媒粒子として、No.S−1(表1参照)を使用して前記したと同様にカソード用の電極シートを作製した。
<アノード用の電極シートの作製>
前記したアノード用の電極触媒層用の触媒粒子と同一のもの(田中貴金属工業社製、商品名「TEC10EA50E」)を別途に数十ロット用意した。
次に、触媒粒子のそれぞれのロットについて、粒度分布を測定した。この測定には、レーザ回折式粒度分布計測装置(島津製作所社製、SALD−2000)を使用した。
測定用溶媒には、n−プロピルアルコールと水との容量比が1:1である混合液を使用した。粒度分布の測定は、混合液を攪拌しながら試料の触媒粒子を投入した。そして20分攪拌した後に測定を開始した。測定中、攪拌は継続した。測定時の吸光度は0.17〜0.19に設定し、試料を投入した混合液の温度は23℃に維持した。
なお、測定は、塗工時の触媒状態を再現するために、超音波を試料にかけずに行った。
触媒粒子の粒度分布の測定は、n−プロピルアルコールと水との容量比が1:1である混合液を使用した場合についても併せて行ったが、容量比が1:2の前記混合液を使用した場合と、同様の結果が得られた。
そして、数十ロットの触媒粒子の中から相互に粒度分布が異なる7種の触媒粒子を選択した。これらの触媒粒子を表2に、No.NG−1からNo.NG−3、及びNo.G−1からNo.G−4として記す。
Figure 2011171197
次に、これらの触媒粒子を使用した以外は、前記したと同様にして、PETフィルム上にアノード用の7種の電極シートを得た。
<膜電極構造体の製造>
作製したカソード用の電極シート、及びアノード用の7種の電極シートを使用した以外は、前記したと同様にして、膜電極構造体を得た。
<膜電極構造体の耐久性試験>
次に、作製した各膜電極構造体について、燃料電池(JARI(財団法人日本自動車研究所)標準セル)を作製した。そして、作製した各燃料電池について、セル温度を50℃に設定し、起動と停止を5000回繰り返した。起動時には、アノード側に純水素を供給し、カソード側に空気を供給した。なお、アノード加湿及びカソード加湿は、共にRH100%とした。停止時にはアノード及びカソードの両極側を共に窒素で置換した後、更に空気で置換した。
この耐久性試験では、起動及び停止のサイクルを500回繰り返すごとに、セル電位を測定した。なお、セル電位の測定時には、セル温度を70℃に設定し、アノード加湿は65%とし、カソード加湿は75%とし、純水素及び空気の圧力は、共に100kPaとした。また、セル電位は、1A/cmとした条件で測定した。そして、セル電位の測定値に基づいて、サイクル数1000回当りのセル電位の低下幅を線形近似で算出した。算出した性能低下速度[mV/1000回]を膜電極構造体の耐久性の判定指標として表2に記す。
<アノードの電極触媒層における細孔容積の測定>
作製過程でサンプリングした膜電極構造体についてアノードの電極触媒層の細孔容積を測定した。具体的には、膜電極構造体からカソードの電極触媒層を削り去り、高分子電解質膜に接合した状態のアノードの電極触媒層について細孔容積を測定した。
細孔容積の測定には、水銀ポロシメータ(マイクロメトリックス社製、商品名「Auto Pore4」)を使用した。
なお、ここでは、細孔径0.003μm(前記水銀ポロシメータの定量限界)以上、0.1μm以下の細孔が占める細孔容積(図2のV1)と、細孔径0.1μmを超え、3μm以下の細孔が占める細孔容積(図2のV2)とを測定した。そして、細孔径が0.003μm以上、3μm以下の細孔が占める細孔容積中、0.1μm以下の細孔が占める細孔容積の割合を算出した。その結果を「細孔容積の割合[%]」として表2に記すと共に、図4に示す。図4は、横軸が細孔容積の割合[%]を示し、縦軸が燃料電池の性能低下速度[mV/1000回]を示している。また、図4に記したプロットには、燃料電池に使用した触媒粒子No.を付記した。
<細孔容積の割合と性能低下速度との関係>
図4に示すように、細孔径0.1μm以下の細孔が占める細孔容積の割合[%]が多くなるにしたがって、性能低下速度[mV/1000回]が小さくなっている。具体的には、触媒No.NG−1を使用したものから、No.NG−2を使用したもの、そしてNo.NG−3を使用したものへと略直線的に、燃料電池の性能低下速度[mV/1000回]が小さくなっている。そして、細孔容積の割合[%]が70%となったところで変曲点を迎え、70%以上では、図4中のNo.G−1、No.G−2、No.G−3及びNo.G−4が示すように、性能低下速度[mV/1000回]が小さく安定した値となっている。
以上のことから、細孔径が3μm以下、更に詳しくは定量限界0.003μm以上、3μm以下の細孔径の細孔が占める細孔容積(図2のV1+V2)中、0.1μm以下の細孔が占める細孔容積(図2のV1)の割合が、70%以上となるアノードの電極触媒層を備えた燃料電池は、その性能低下速度[mV/1000回]が安定的に小さくなることが確認された。つまり、アノードの電極触媒層の耐久性が一段と良好となることが確認された。
<細孔容積と膜電極構造体の耐久性との関係>
次に、アノードの電極触媒層において、細孔径が3μm以下の細孔が占める細孔容積と、膜電極構造体の耐久性との間に所定の相関関係が認められることを確認した。
ここでは、前記した7種の触媒粒子とは別に、数十ロットの触媒粒子(田中貴金属工業社製、商品名「TEC10EA50E」)の中から相互に粒度分布が異なる5種の触媒粒子を選択した。これらの触媒粒子を表3に、No.NG−4、No.NG−5、No.NG−6、及びNo.G−5として記す。
なお、表3中のNo.G−1からNo.G−4は、表2に示した触媒粒子と同じものである。
Figure 2011171197
また、表3の触媒粒子No.G−6は、表2の触媒粒子No.NG−3を粉砕したものである。具体的には、触媒粒子No.NG−3を2gずつ分取して、それぞれをめのう乳鉢で20分間すり潰したものを合わせて調製したものである。
表3の触媒粒子No.G−7は、数十ロットの触媒粒子(田中貴金属工業社製、商品名「TEC10EA50E」)の中から選んだ任意の触媒粒子を篩い分けし、微細側に篩い分けた触媒粒子(篩下としての前記した第2の触媒粒子に相当する)を、表2の触媒粒子No.NG−3(前記した第1の触媒粒子に相当する)に加えて調製したものである。ちなみに、篩い分けは、サイクロン型分級装置(日本ニューマチック工業社製、商品名「MP−150型」)を使用し、粒子径2μmよりも粒子径が小さい篩下として触媒粒子を得た。そして、表3の触媒粒子No.G−7は、表2の触媒粒子No.NG−3に対して、この篩下として得た触媒粒子が30%となる量を分取して加えて調製したものである。
次に、触媒粒子No.NG−4からNo.NG−6、及びNo.G−4からNo.G−7について、粒度分布を測定した。この粒度分布の測定は、前記した条件と同様にして行った。粒子径1μm未満の触媒粒子の体積割合を表4に示す。
Figure 2011171197
次に、触媒粒子No.NG−4からNG−6、及びNo.G−5からNo.G−7の6種の触媒粒子を使用した以外は、前記したと同様に、アノードの電極触媒層を形成して6種の膜電極構造体を作製した。
そして、作製した各膜電極構造体について、前記したと同様に、その耐久性試験を行った。その結果を、表3及び表4に示す。なお、表3には、No.G−1、No.G−2、No.G−3、及びNo.G−4についての前記「燃料電池の性能低下速度[mV/1000回]」(表2参照)の値を転記し、表4には、No.G−4についての前記「燃料電池の性能低下速度[mV/1000回]」(表2参照)の値を転記している。
そして、表3に示す触媒粒子No.NG−4からNo.NG−6、及びNo.G−1からNo.G−7についての「細孔径3μm以下の細孔が占める細孔容積[μm/mm]」と、「燃料電池の性能低下速度[mV/1000回]」との関係を図5に示した。図5は、横軸が細孔容積[μL/mm]を示し、縦軸が燃料電池の性能低下速度[mV/1000回]を示している。また、図5に記したプロットには、燃料電池に使用した触媒粒子No.を付記した。
図5に示すように、細孔径0.003μm以上、3μm以下の細孔が占める細孔容積[μL/mm]が小さくなるにしたがって、性能低下速度[mV/1000回]が小さくなっている。具体的には、触媒No.NG−4を使用したものから、No.NG−5を使用したもの、そしてNo.NG−6を使用したものへと燃料電池の性能低下速度[mV/1000回]が小さくなっている。そして、細孔容積が2μL/mm以下となったところで変曲点を迎え、0.3μL/mm以上、2μL/mm以下の間で、性能低下速度[mV/1000回]が小さく安定した値となっている。
以上のことから、細孔径が3μm以下の細孔が占める細孔容積が、2.0μL/mm以下であるアノードの電極触媒層を備えた燃料電池は、その性能低下速度[mV/1000回]が安定的に小さくなることが確認された。つまり、アノードの電極触媒層の耐久性が一段と良好となることが確認された。
<触媒粒子の粒度分布と膜電極構造体の耐久性との関係>
次に、表4に示す触媒粒子No.NG−4からNo.NG−6、及びNo.G−4からNo.G−7についての「粒子径1μm未満の触媒粒子の体積割合[%]」と、「燃料電池の性能低下速度[mV/1000回]」との関係を図6に示した。図6は、図6は、横軸が粒子径1μm未満の触媒粒子の体積割合[%]を示し、縦軸が燃料電池の性能低下速度[mV/1000回]を示している。
図6に示すように、粒子径1μm未満の触媒粒子の体積割合[%]が増加するにしたがって、性能低下速度[mV/1000回]が小さくなっている。具体的には、触媒No.NG−4を使用したものから、No.NG−5を使用したもの、そしてNo.NG−6を使用したものへと略直線的に、燃料電池の性能低下速度[mV/1000回]が小さくなっている。そして、触媒粒子の体積割合[%]が2.5%となったところで変曲点を迎え、2.5%以上では、図5中のNo.G−4、No.G−5、No.G−6及びNo.G−7が示すように、性能低下速度[mV/1000回]が小さく安定した値となっている。
以上のことから、アノードの電極触媒層に含まれる全ての触媒粒子の体積に対して、粒子径が1μm未満の触媒粒子の体積割合が2.5%以上であるアノードの電極触媒層を備えた燃料電池は、その性能低下速度[mV/1000回]が安定的に小さくなることが確認された。つまり、アノードの電極触媒層の耐久性が一段と良好となることが確認された。
1 燃料電池用膜電極構造体(膜電極構造体)
2 高分子電解質膜
3 アノード
4 カソード
5 セパレータ
6 セパレータ
31 アノードのガス拡散層
32 アノードの電極触媒層
41 カソードのガス拡散層
42 カソードの電極触媒層
FC 固体高分子型燃料電池(単セル)

Claims (5)

  1. 高分子電解質膜がアノード及びカソードの電極触媒層で挟持された燃料電池用膜電極構造体において、
    前記アノードの前記電極触媒層に形成される細孔径が3μm以下の細孔が占める細孔容積中、0.1μm以下の細孔径の細孔が占める細孔容積の割合が、70%以上であることを特徴とする燃料電池用膜電極構造体。
  2. 請求項1に記載の燃料電池用膜電極構造体において、
    前記アノードの前記電極触媒層に形成される細孔径が3μm以下の細孔が占める細孔容積が、2.0μL/mm以下であることを特徴とする燃料電池用膜電極構造体。
  3. 高分子電解質膜がアノード及びカソードの電極触媒層で挟持された燃料電池用膜電極構造体において、
    前記アノードの前記電極触媒層に含まれる1μm未満の粒子径の触媒粒子の体積割合は、前記アノードの前記電極触媒層に含まれる全ての前記触媒粒子の体積に対して、2.5%以上であることを特徴とする燃料電池用膜電極構造体。
  4. 少なくとも触媒粒子及びイオン導電性物質を混練してアノードの電極触媒層形成用組成物を調製する第1工程と、
    前記電極触媒層形成用組成物を塗工して電極シートを形成する第2工程と、
    高分子電解質膜の膜面に前記電極シートを配置してアノードの電極触媒層を形成する第3工程と、
    を有する燃料電池用膜電極構造体の製造方法において、
    前記第1工程に先立って、触媒粒子を粉砕する工程を更に有することを特徴とする燃料電池用膜電極構造体の製造方法。
  5. 少なくとも触媒粒子及びイオン導電性物質を混練してアノードの電極触媒層形成用組成物を調製する第1工程と、
    前記電極触媒層形成用組成物を展延して電極シートを形成する第2工程と、
    高分子電解質膜の膜面に前記電極シートを配置して電極触媒層を形成する第3工程と、
    を有する燃料電池用膜電極構造体の製造方法において、
    前記第1工程に先立って、用意した第1の触媒粒子に、別途に用意した触媒粒子を篩い分けた篩下の触媒粒子として得られる第2の触媒粒子を加えて、粒子径が1μm未満の触媒粒子の体積割合が、前記電極触媒層に含まれる全ての触媒粒子の体積に対して、2.5%以上となるように調製する工程を更に有することを特徴とする燃料電池用膜電極構造体の製造方法。
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